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[PA3060]情報教育 1 1 単位目

情報化社会における教育の在るべき姿について、情報教育の考え方、内容、方法等
の観点から以下にて論じる。
我が国では 1990 年代頃からインターネットや携帯電話の普及が本格化し、情報技
術の高度化に伴い、モノや資本などに代わって知識や情報に価値が置かれるように
なった。近年では情報通信技術がより一層高度化したことで高度情報化社会になり、
そして知識基盤社会、すなわち、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ
社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す社会へと発展を遂
げている。情報化社会として情報は ICT を通じて我々の生活に深く浸透し、現在では
携帯電話、スマートフォンやインターネットは現代人の生活になくてはならないものと
化している。
上述した情報通信技術の進歩と普及定着、急速な情報化社会への移行は現代人
に様々な影響を与えており、それというのは教育へも例外ではない。情報化社会がも
たらした功罪についてコミュニケーションの観点から観れば、好影響として素早く・安
価に・手軽に大量の人と他者との距離が関係なくコミュニケーションできるようになっ
た、共同作業が行いやすくなった等が挙げられるが、逆に悪影響として生活や仕事の
ペースの多忙化、グローバル化に半ば強制的に飲み込まれる、多くの人と交流するこ
とを利用した犯罪行為やウイルスなどの横行及び流通などが挙げられる。情報収拾の
観点からは、膨大の量の情報がインターネットを利用することで無料で簡単にどこにい
ても入手することができるようになった反面、誤った情報や偏った情報も多くあること
から必要な情報の取捨選択が困難になった、インターネットの利便性による依存度が
増したことで他媒体での情報収拾に支障をきたすなどが考えられる。急速に ICT が普
及したことで情報モラルが成熟しないままに情報化社会へ飛び出てしまう人々が続出
し、例えばインターネット上で心無い誹謗中傷がその人の道徳心を傷付けることもあれ
ば、情報収拾の観点で言えば、インターネット以外で物事について調べることができな
い大人へと成長してしまうなど、文明の発展で利便性が増した一方で、教育に対する
悪影響も存在しているのが事実としてあるのである。
では情報化社会の功罪を考慮し、情報通信技術の発展は社会にとって、また教育
にとって良いものとは言えないのか、と言われるとそんなこともない。情報化社会で生
きる現代人がこの情報化社会のメリットを最大限に享受しながらも、注意深くデメリッ
トを回避することも可能であるからである。グローバル化が進展している現在において
幅広く情報を収拾し、それを的確に処理して意思決定を行うこと、つまり現代の高度情
報化社会をより良く生きるための基本的素養である情報リテラシーを習得することが
重要であり、現代における欠かせない要素の一つになっていることは言うまでもない。
文部科学省が出している『教育の情報化に関する手引き』では、ここまで述べてきた
情報リテラシーとは情報活用能力のことである。この情報活用能力は三つの観点から
考えられており、「情報活用の実践力」、「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画す
る態度」に大別される。「情報活用の実践力」とは、課題や目的に応じて情報手段を適
切に活用し、必要な情報を主体的に収拾・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況な
どを踏まえて発信・伝達できる能力のことである。「情報の科学的な理解」は、情報活
用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を
評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解であり、「情報社会に参画する態
度」は社会生活で情報が果たす役割や影響を理解し、情報モラルの必要性について
考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度である。この三つは決してそれ
ぞれが独立した存在ではなく、相互に関連性を持っており、バランスよく身に付けさせ
ることが求められる。教育的観点から観れば、教師が現代の児童生徒に適切な情報
活用能力、すなわち以上の三つを関連付けて養うこと、つまりそのような情報教育が
求められる時代であると捉えることができる。
情報教育というのは上述してきた現在急速に進化している ICT の使用法であったり、
ICT に関する知識や技術の伝達のみを行うということではない。現在の知識基盤社会
を生き抜く力としての情報活用能力の涵養こそが情報教育の目的である。上記で挙げ
た情報活用能力の三つはどのように育成することができるのか。この教育的活動は特
定の教科で養うのではなく、全ての教科で育成することができるとされている。情報や
情報活用の視点で学習活動を捉えることで、例えば知識、情報の収集から適切な情
報の処理を行うことは「情報活用の実践力」を学ぶことにも繋がる。情報活用の文脈
で日々の学習を捉え、実践の中でそれらの情報活用能力を伸ばしていくことが可能で
ある。そのために、教師は情報活用能力の育成を目指した授業の設計が求められる。
つまり、教師は現代の情報化社会において、日常的な学習活動や使用教材に創意工
夫をしながら授業をデザインすることで児童生徒の情報活用能力を高める必要がある
のである。
[PA3060]情報教育 1 2 単位目
情報通信技術を活用した学習環境について、その有効性と留意すべき課題の観点
から以下にてまとめる。
2005 年の中央教育審議会答申(「我が国の高等教育の将来像」)が指摘する通り、
21 世紀の現代社会は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあ
らゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる知識基盤社会の
時代であると言われている。知識基盤社会の特質は例えば、知識に国境なくグローバ
ル化が進む、知識の競争と技術革新が絶え間なく生まれる、幅広い知識と柔軟な思
考力に基づく判断が一層重要となる、などがあるとされている。こうした時代及び社会
の構造的な変化の中で、我々自身がこの変化に対応する能力が求められており、そし
て教育的観点から言えば、この時代背景を前提として次代を担う子どもたちに必要で
ある「生きる力」や高度情報化社会において求められる情報リテラシーを教育的に養
うことが学校教育を中心に、家庭や地域社会とともに必要とされているのである。
文部科学省が出している『教育の情報化に関する手引き』によれば、上述した情報
リテラシーとは情報活用能力のことである。この情報活用能力は三つの観点から考え
られており、「情報活用の実践力」、「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画する態
度」に大別される。情報リテラシー、すなわち情報活用能力を涵養することを目的に情
報教育の考え方が存在する。つまり、知識基盤社会及び高度情報化社会と称される
現代社会においてこそ、情報リテラシー(情報活用能力)が必要とされ、そしてその能
力を養うために情報教育も不可欠なものとなっているのである。
情報活用能力の育成については『教育の情報化に関する手引き』によれば、すべて
の教科、学習活動で育成することができるとされている。情報活用能力は単なる情報
通信技術の活用や ICT の使用法だけではなく、「情報活用の実践力」、「情報の科学
的な理解」、「情報社会に参画する態度」から構成されているため、体系的な情報に対
する収集・判断・表現・処理・発信であるし、また情報活用への理解、そしてこの情報社
会の創造に参画しようとする態度である。したがって、一科目だけで育成することは困
難であり、また現在の情報化社会のあらゆる場面において情報活用能力が要求され
るためにすべての教科、学習活動で情報教育が必要であるし、育成されるべき教育活
動であると言えるのである。情報や情報活用の視点で学習活動を捉えることで、例え
ば国語の心情の読み取りや筆者の考えを考察することも文章(情報)の論理性を見出
す活用能力につながり、また自らの目標や現状を見つめ直して計画する、及び改善に
取り組もうとする姿勢は「情報の科学的な理解」を深めることにつながる。情報活用を
日々の実践の中で児童生徒に意識させ、活用能力を養うことが教師に求められている。
ここまで情報教育というのはすべての科目や学習活動で行うことができるものとして
論述を続けてきたが、教育における情報通信技術(ICT)の活用は情報教育により一
層の有効性をもたらす手段の一つとなっている。ICT の活用は情報教育の観点以外
でも多様な有効性を持ち、例えばプロジェクターによって資料を大きく提示・指示を明
確にする、映像や画像によって視覚に訴えてわかりやすく説明やまとめをできるように
する、児童生徒の関心や意欲を高める、知識や技能の定着を支援するなどが挙げられ
るが、将来的に科学技術がさらに進化を遂げて教育に運用されるようになればさらな
る教育的効果も期待される。情報教育の観点から ICT の活用の有効性を考察すると、
情報を共有することで思考を広げながら新たな学びを得ることができる、情報を他者
に効果的に伝達するために表現する、過去データなど多くの情報を共有し比較、処理
するなど ICT を駆使しなければ困難な方法で情報活用能力を高めることができる。例
えば KB を授業に用いることで、画面上で考えを共有し表現の幅を広げたり、視覚を
通して情報を他者に伝達する能力を養うことができる。他者の考えや表現を認識する
ことで、自分の考えと比較しながらさらに学びを深めることも期待することができる 。
KB の使用の事例は ICT 活用のたった一例に過ぎないが、他にも ICT の活用方法に
よって、また KB 以外の情報通信ツールを使用することで児童生徒により有効的な情
報教育を行うことができると考える。
ただし ICT の活用が教育においてメリットだけしかないと考えるべきではないことを
教員は充分に留意しておく必要がある。ICT を使用しない教育とは異なっていることを
意識し、それに対応した支援ができるようにしなければならない。学習意欲や集中力の
低下、表現方法が自由化したことによる難しさ、ツールの使用への抵抗など複数考え
られる。先述した KB の使用例で言えば、教師と児童生徒が対面で教授することが少
なくなったことで集中力が低下するなどの課題が生じることを留意しなければならな
い。
情報通信技術を活用した学習環境というのはすべての児童生徒にとって有効であ
るとは言い難い。多くの利点がある一方で欠点も併せ持つからである。しかしそのデメ
リットを最小限に抑えることができれば、情報教育、そして学習活動に有効なものとな
ることは間違いない。
[PA3070]情報教育 2 1 単位目
教科授業における情報通信技術の活用による授業方法の改善の可能性と実施上
の課題について以下にて論じる。
近年の情報機器の急速な発達に基づいて、情報通信技術( ICT)を教育に活かそう
とする動きが世界的にみても大きなものとなってきている。実際に日本の教育でも文部
科学省が出している『教育の情報化に関する手引き』によれば、教科指導における情
報通信技術の活用が推進されている。ここで述べる情報通信技術の活用とは、教科の
学習目標を達成するために教師や児童生徒が ICT を活用することである。学習指導
要領では各教科において随所に ICT 活用が例示されており、これらは(1)学習指導の
準備と評価のための教師による ICT 活用、(2)授業での教師による ICT 活用、(3)児童
生徒による ICT 活用の三つに大別されている。学習指導要領の総則において、教師が
コンピュータや情報通信ネットワークなどの「これらの情報手段に加え視聴覚教材や
教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」と記述されている。また学習指
導要領解説総則編では、「これらの教材・教具を有効、適切に活用するためには、教師
はそれぞれの情報手段の操作に習熟するだけでなく、それぞれの情報手段の特性を
理解し、指導の効果を高める方法について絶えず研究することが求められる」と記述
されている。
これらの記述は学習指導における ICT 活用の必要性の根拠であり、授業の中で
ICT を効果的に活用し、指導方法の改善を図りながら、児童生徒の学力向上につな
げていくことが重要であると考えられる。また、ICT を「有効、適切に」活用することが示
されていることから、ICT の教育効果や活用する上での配慮点を十分考慮することが
重要であるといえる。つまり、情報通信技術の活用による授業方法の改善による効果
が期待されることと同時に、ICT を活用するにあたっての実施上の課題が存在すると
いうことになる。
教育環境や教育機器は多様化しており、また ICT 機器の種類も多く存在するため、ま
ずは教師が ICT 機器を適切に選定し、授業の中で ICT 機器を効果的に活用すること
が望まれる。現在、使用されているものは例えばプロジェクター、ディスプレイや電子黒
板などの出力系や実物投影機、インターネットや CD-ROM 及び DVD などの教育コン
テンツなどの入力系などが挙げられる。
上記の ICT 機器による教科指導における改善の可能性として、プロジェクターやディ
スプレイなどの画面出力系によって資料を大きく提示・指示を明確にする、教育コンテ
ンツによる映像や画像によって視覚に訴えてわかりやすく説明やまとめをできるように
する、ICT 機器の利用により児童生徒の関心や意欲を高める、知識や技能の定着を支
援するなどが挙げられ、その使用法の幅と教育的効果の可能性は存分に広がってい
ると言える。また、客観的な数字としても同様の結果は明示されており、メディア教育開
発センターの「教育の情報化の推進に資する研究」によれば、学習指導での ICT 活用
の効果は認められている。授業に対する生徒の集中度や楽しく学習することができる
といった結果のほか、関心・意欲・態度の観点においては顕著に効果を示す結果と
なっている。情報教育の観点から ICT 活用の有効性を考察すると、情報を共有するこ
とで思考を広げながら新たな学びを得ることができる、情報を他者に効果的に伝達す
るために表現する、過去データなど多くの情報を共有し比較、処理するなどにより情報
活用能力を高めることができる。例えばボイシングボードを授業に用いることで、画面
上で表現の幅が格段に広がり、視覚を通して情報を他者に伝達する能力を養うことが
できる。他者の考えや表現を認識することで、自分の考えと比較しながらさらに学びを
深めることも期待することができる。ボイシングボードの使用の事例は ICT 活用のたっ
た一例に過ぎないが、他にも ICT の活用方法によって、また様々な情報通信ツールを
使用することで児童生徒により有効的な情報教育を行うことができると考える。した
がって、情報通信技術の活用による授業方法の改善の可能性が存分にあるということ
が考えられる。
教科指導における ICT 活用による教育的効果の向上にともなって実施上の課題も
併せ持つのが現実としてある。教員は ICT の活用が教育においてメリットだけしかな
いと考えるべきではないことを充分に留意しておく必要がある ICT を使用しない教育
とは異なっていることを意識し、それに対応した支援ができるようにしなければならな
い。例えば、ICT 機器の使用による集中力の低下、表現方法が自由化したことによる
難しさ、使用への抵抗など様々に考えられる。先述したボイシングボードの使用例で言
えば、教師と児童生徒が対面で教授することが少なくなったことで集中力が低下する
などの課題が生じることを留意しなければならない。最重要事項として、「 ICT の活用
そのものが教育的効果を発揮する」のではなく、「教師の授業技術として ICT 活用を
明確に位置付けることが児童生徒に教育的効果を発揮する」ということを留意しなけ
ればならない。
[PA3070]情報教育 2 2 単位目
情報教育の推進における情報通信技術、教材ソフトの課題と情報活用能力育成の
重要性について以下にてまとめることとする。
2005 年の中央教育審議会によれば、現代社会は知識基盤社会、すなわち新しい知
識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として
飛躍的に重要性を増す社会である。こうした時代、社会にある我々は情報活用能力及
び情報リテラシーを基礎として、創造力や問題解決能力といった高度な知的能力がよ
り一層求められている。したがって、教育的見地からすれば児童生徒の情報活用能力
及び情報リテラシーを養う情報教育を行うべきであり、また必要とされる教育的活動
である。
情報教育はコンピュータの伸展とともに発展を遂げてきた。日本では 1960 年代後
半からコンピュータが徐々に普及し始め、それに伴って情報教育も広がりをみせる。し
かし当初の情報教育は情報処理の知識や技術のみを扱うものであり、情報活用能力
を養うものとは程遠いものであった。その後、さらにコンピュータの進化、普及が進むと
教育におけるコンピュータの活用である CAI が 1980 年頃から次第に広がっていった。
初期段階の CAI はコンピュータが教師の代わりに教授活動を行い、個別指導を実現
するというチュートリアル型のもので、コンピュータが学習者に対して個別に教えるとい
うシステムは革新的であった。しかし新たなコースウェアの作成に時間を要することや
個別対応に限界があったことなどによりその熱は小さくなっていくが、CAI 自体のシス
テムというのはシンプルな演習ソフトや e-Learning に受け継がれている。CAI などの情
報教育における学習ソフトには特定の学習を支援し、一定の教育的効果がることが認
められている分、習得度を測定することや学習した範囲内から自らの理解できていな
い部分を発見することなどに有効的に機能するが、広義の情報活用能力というのは情
報活用の実践力、情報の科学的な理解、そして情報社会に参画する態度までも含ま
れているために、その全てを学習ソフトだけで習得することには限界があることが考え
られる。
1995 年以降にはインターネットが普及し始め、情報機器の発達に伴い、例えばプロ
ジェクタや電子黒板を使用したプレゼンテーション活動などコンピュータで表現するこ
とにより、表現の幅が格段に広がり、情報活用能力をさらに養う情報教育が可能と
なった。これにより、「相手を意識する情報活用」の観点が必要となることになる。また、
インターネットの普及から検索エンジンの利用が可能となり、調べるという行為に対し
ての時間の短縮、利便性が大きく向上した。しかし他人の情報を無断で利用すること
の横行や、それに伴う著作権問題、プライバシー、人権、肖像権などの問題が生じてい
る。だからこそ情報モラルやメディアリテラシーを養うことは現代人にとって必要不可
欠であり、広義の情報活用能力を育成する情報教育が欠かせないものとなるのであ
る。
情報教育の最大の目的は情報活用能力の涵養である。つまり、情報活用における
情報モラル、情報リテラシーの育成が情報教育に求められている。インターネットの普
及で現代人は世界中の人々とつながっていると捉えることができる。上述した「相手を
意識する情報活用」が原点にあり、そこから「公を意識する情報活用」へと発展させて
いくことが求められる。インターネットで世界中の人々とつながっているからこそ、相手
を意識すること、公を意識することを養うことは情報教育の基本的な考え方であるし、
そしてこれからもこの不特定多数の人と隣り合わせにいる現代社会において情報モラ
ル、メディアとの関わり方を考えながら情報活用ができるような情報教育が必要とされ
る。すなわち、情報教育における情報リテラシーの育成が重要であり、今後も発展を続
けるであろう情報機器を教育に組み込みながら情報教育を行なっていくことが教師に
求められ続けていくことなのである。

参考文献:『教師のための情報リテラシー』
監修:舟生日出男
ナカニシ出版 2013 年出版

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