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記述が嫌なタイプの不等式評価を攻略する

りぼーす

2022 年 8 月 13 日

1 はじめに
早速ですが,
2n ≤ n + 2

みたいな不等式評価がが本選以降の N の最後に出てきたとき, 記述がかなり嫌な気分になります


よね. 自分はなります. 特に, ある程度本選形式の N に慣れてくると平方数ではさんだり, LTE の
補題と組み合わせたりするとき, 指数関数と多項式関数の間の不等式評価は避けて通れません. 普
段自分がこれらをどのように記述しているかをいくつかのパターンまとめてみます. 非本質部分の
手間は積極的に削っていきましょう. なお, 記号の乱用ですが, 関数 f (x) = x2 などという表記で,
「関数 f : R → R であり, 任意の x ∈ R に対し f (x) = x2 を満たすもの」, を表すこととします.
x2 の部分は多項式とは限りません.

2 多項式と多項式
例 1 n2 ≤ 5n + 3 を満たす最大の整数 n を求めよ.

二次関数の軸などの議論を使うのが一番早そうですね. 等号成立の解が無理数になってしまいま
すが, 2 次ですので解の公式を使うこともできます.

解答 二つ載せる.
5 5
1. 関数 f (x) = x2 − 5x − 3 の軸は x = であり, 2 次の係数は正なので x ≥ で f は単調増加.
2 2
今, f (5) ≤ 0, f (6) > 0 であるので, 求めるべき √ n は 5. √
5 − 37 5 + 37 √
2. x − 5x − 3 ≤ 0 の解は (実数範囲で)
2
≤x≤ であるので, 5 ≤ 37 ≤ 7 を合
2 2
5+5
わせ, 求めるべき n は = 5.
2
係数が大きいときは二つ目の方法を使うのが良いと思います.

例 2 n3 ≤ 2n2 + 4n + 1 を満たす最大の整数 n を求めよ.

1
これも同じような方法が使えます. ただ, 2 次のときもそうですが, まずは因数分解ができないか
確認しましょう.
2
解答 関数 f (x) = x3 − 2x2 − 4x − 1 について, f ′ (x) = 3x2 − 4x − 4 の解は x = − , 2 であるの
3
で x ≥ 2 で f は単調増加. 今, f (3) ≤ 0, f (4) > 0 であるので, 求めるべき n は 3.

あるいは, 微分を使いたくない人は次のような方法も使えます.

別解

x3 − 2x2 − 4x − 1 ≤ 0 ⇒ x3 − 2x2 − 4x − 16 < 0 ⇔ (x − 4)(x2 + 2x + 4) < 0

であり, x ≥ 4 で x2 + 2x + 4 ≥ 0 であるので, n ≥ 4 で与不等式は不成立. n = 3 で成立するので


求めるべき n は 3.

一般には 4 の代わりに不等式が成立しないような最小の整数をとってくれば良いですね. また,


≤ でなく < が使えるときはなるべくそちらを使いましょう. 今回は, 最右辺の式で n = 4 の場合分
けを回避しています. 負の場合だと符号が面倒くさいので微分のほうが安全です. 4 次以上の場合,
かなり手数は増えますが, 一般に適用できるような方法は限られてしまいます. (どうしても大きい
ところで解を持つ可能性がでてくるため). 何か使える方法があるという方はぜひ教えてください.
さて, 二変数の場合もいくつか見ていきましょう.

例 3 a3 + b3 ≤ 5ab を満たす正整数の組 (a, b) を全て求めよ.

一変数でも多変数でも言えるのが, 条件を緩めることで示しやすい形をつくる ということです.


この場合, 左辺が 3 次, 右辺が 2 次で気持ち悪いです. 不等式を緩めて斉次化をします.

解答 3 以上の整数 n に対し, 3n2 ≤ n3 が成り立つので, a, b ≥ 3 のとき

a3 + b3 ≤ 5ab ⇒ 3a2 + 3b2 ≤ 5ab ⇒ 3a2 + 3b2 < 6ab ⇔ (a − b)2 < 0

となるが, これの解は存在しない. よって, (対称性より)a = 1, 2 としてよい


a = 1 のとき

1 + b3 ≤ 5b ⇔ b3 − 5b + 1 ≤ 0 ⇒ b3 − 5b − 12 < 0 ⇔ (b − 3)(b2 + 3b + 4) < 0

よって, b ≤ 2 であり, 実際そのすべてで成立する.


a = 2 のとき

8 + b3 ≤ 10b ⇔ b3 − 10b + 8 ≤ 0 ⇒ b3 − 10b + 3 < 0 ⇔ (b − 3)(b2 + 3b − 1) < 0

よって, b ≤ 2 であり, 実際そのすべてで成立する. 以上より, 解は (1, 1), (1, 2), (2, 2), (2, 1).

あるいは,

2
別解 a ≤ b としてよい. このとき,

ab2 < a3 + b3 ≤ 5ab ⇒ b < 5

となる. 以下同じように.

別解 相加相乗平均より
p
2 (ab)3 ≤ a3 + b3 ≤ 5ab ⇒ ab ≤ 6

となる.

ここまでくればこれだけで立派な整数問題ですね. 多変数の場合は一変数の場合に比べ, かなり


Ad-hoc なことが多いです. そのとき気を付けるべきこととしては

• 十分大きいところでの挙動を感覚的につかめるようになる
• 対称性に敏感になる. 特に, 対象式の場合は適当に大小関係を設けられる
• そもそも不等式以前にほかの手段で解を絞れないか考える (不等式で絞っても n ≤ 100 とか
だと現実的じゃないですね)

特に 1 番目です. 例えば, a2 + b2 ≤ 5ab は a が b に比べ十分大きければ成立しなさそうです. 実


際, a = kb とおくと k について範囲が絞れます.

3 指数と指数
指数です. 特に, LTE の補題で不等式評価をした後頻出です.

例 4 3n ≤ 4 × 2n を満たす最大の正整数 n を求めよ.

ご存じの通り, 指数関数は十分大きいところでは底が大きければ大きいほど大きくなります. こ
れをうまく記述すれば良いですね.
 n
3
n
解答 両辺を 2 で割って, ≤ 4 である. 左辺が n について単調増加であることを使えば
2
n = 4 で不成立であることを併せて n = 3 が最大.

やっていることは本質的に同じですが次のような書き方もできます.

別解 非負整数 n に対して 2n ≤ 3n であるので, n ≥ 4 に対して

3n = 34 × 3n−4 > 34 × 2n−4 > 4 × 24 × 2n−4 = 4 × 2n

この別解は後でまた応用して使います. 数オリの記述では対数関数の近似値を使うことはあまり
好まれません. 減点はされないかもしれませんが, 「小数第三位で四捨五入」というのは不等式と
して非常に扱いづらい性質です. そこを厳密に議論するくらいでしたら対数を使わない方法のほう
が安全といえます.

3
例 5 22n+1 ≤ 5 × 3n を満たす最大の正整数 n を求めよ.

これも同じです.
 n
4 5
解答 両辺を 2 × 3 で割って,
n
≤ である. 左辺が n について単調増加であることを使えば
3 2
n = 4 で不成立であることを併せて n = 3 が最大.

指数をそろえると最初に挙げた議論が適用しやすいです. 次に指数が気持ち悪い場合です.
2
例 6 2n ≤ 32n を満たす最大の正整数 n を求めよ.

指数が二次関数だと例 5 のような形もいまいち使いづらいです. そこで, 指数を両方とも一次関


数, しかも十分先で左辺が大きくなるような評価をします.

解答 n ≥ 4 で n2 ≥ 4n. これより,
2
2n ≤ 32n ⇒ 24n ≤ 32n ⇔ 42n ≤ 32n

となるがこれは不成立. n = 3 での成立を併せれば最大値は 3.

これに関しては対数を使っても良いですね. 対数と非整数の比較は一般に計算量が多くなりやす
いので使う場面が難しいです.

別解 両辺底が 2 の対数を取って, n2 ≤ 2n log2 3, n ≤ log2 9, n ≤ 3.

両辺指数関数の場合は比較的どれも感覚的に扱えます. 次に, 指数関数と多項式関数が合わさっ


たものを見ていきます.

4 指数と多項式
初めに最初に挙げたものの伏線回収です.

例 7 2n ≤ n + 2 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

イメージとして, 指数は多項式に比べずっと大きいので多少雑に評価しても通ります. 一番オー


ソドックスなものでは二項定理を使う方法です.

解答 n ≥ 2 のとき, 二項定理より

n n n2
2n = (1 + 1)n > n C2 + + +1≥ +2
2 2 2
n2
+ 2 ≤ n + 2, n ≤ 2 がわかる. n = 2 での成立を合わせ, n = 2 が最大.
2
二項定理で展開し, 右辺より次数の大きい項を取り出せば十分先で不等式が成り立たなくなりま
す. 2 行目でややテクニカルな変形をしていますが, 極論を言えばこの部分は n C2 だけでも良いわ

4
けです. このあたりは, 実際に変形してみて一番計算量が少なくなるように調整していくのがおす
すめです. しかし, 次のような場合は同じ方法では計算量がかなり多くなってしまいます.

例 8 2n ≤ n + 2357 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

このような場合に僕が普段よく使っている方法を紹介します.

解答 n = 12 のとき成立しない. n > 12 のとき,

2n = 2 × · · · × 2 ×212
| {z }
n−12
    
1 1 1
> 1+ 1+ ··· 1 + × 212
n + 2356 n + 2355 12 + 2357
    
1 1 1
> 1+ 1+ ··· 1 + × (12 + 2357)
n + 2356 n + 2355 12 + 2357
= n + 2357

n = 11 での成立を併せ, 最大値は 11.

かなり汎用性が高い方法です. 右辺が二次になっても少し工夫すればできます.

例 9 3n ≤ n2 + 100n + 5000 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

解答 n = 8 のとき成立しない. n > 8 のとき,


 2
n2 + 100n + 5000 n2 + 100n + 2500 n + 50
< = <3
(n − 1)2 + 100(n − 1) + 5000 (n − 1)2 + 100(n − 1) + 2500 n + 49
であるので

3n = 3 × · · · × 3 ×38
| {z }
n−8
   2 
n2 + 100n + 5000 9 + 100 × 9 + 5000
> ··· × 38
(n − 1)2 + 100(n − 1) + 5000 82 + 100 × 8 + 5000
   2 
n2 + 100n + 5000 9 + 100 × 9 + 5000
> ··· × (82 + 100 × 8 + 5000)
(n − 1)2 + 100(n − 1) + 5000 82 + 100 × 8 + 5000
= n2 + 100n + 5000

n = 7 のときの成立を併せて最大値は 7.

やりすぎました. 式はかなり複雑ですがやっていることはそこまで複雑ではないので必要に応じ
て表記を省略できます. 普段の調子で書くと

解答 n = 8 のとき成立しない. それ以外 n が 1 増えるごとに左辺は 3 倍されるが, 右辺は高々


 2  2
(n + 1)2 + 100(n + 1) + 5000 n + 51 59
< < <3
n2 + 100n + 5000 n + 50 58

5
倍しかされないので, 帰納的に n ≥ 8 のとき不等式は成立しない.

程度です. そもそも本質部分ではないので議論が回っていれば記述は多少雑でも問題はないので
す (程度については自己責任で). ただ, 適当に不等式評価をしてその結果誤った結果を得てしまう
ことは減点に直結するので多少適当でも必ず根拠は書くようにしましょう. また, 特に本選の最初
のほうではそのような些細な記述の有無で減点対象となることが少なくないです. 次に指数が両辺
にある場合です.

例 10 2n ≥ 3n − 5 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

これもいくつかやり方があります.

解答 移項して両辺を 2n で割って
 n
5 3
2 ≥3 −5⇔1+ n ≥
n n
2 2
n = 3 のとき成立しない. n について左辺は単調減少, 右辺は単調増加なので n > 3 でも不成立.
n = 2 のときの成立を併せ, 求めるべき n は 2.

単調な項をうまく作り出せば, 十分先の議論を簡潔に書けますね. いくつか別解があります. 特


に一つ目は不等式評価に限らず応用が効く方法なので覚えておきましょう.

別解 移項して変形することで

5 ≥ 3n − 2n = (3 − 2)(3n−1 + 3 × 2n−2 + · · · + 2n−1 ) ≥ n × 2n−1

を得る. 最右辺は n について単調増加なので n = 3 での不成立, n = 2 での成立を併せ, 求めるべ


き n は 2.

別解 n = 3 で成立しない. それ以降 n を 1 増やすごとに右辺は高々 2 倍しかされないが, 右辺は

3n+1 − 5 10
=3+ n ≥3
3 −5
n 3 −5
より 3 倍以上されるので, 帰納的に n ≥ 3 で不成立. n = 2 での成立を併せ, 求めるべき n は 2.

ところで, 二つ目の別解の二行目, 先ほどからよく出てくる変形です. この形は不等式評価のとき


に非常に便利です. 一般化すると

命題 正の実数 a, b, c が a − c > b − c > 0 を満たしている. このとき,

a a−c
>
b b−c
が成立する.

証明 演習とする.

6
a − c を a として a を a + c とする形も度々現れます. ほとんど明らかですが証明なしで記述で
使うのは JMO だとグレーな気がします. 二つ目の別解のような変形をすれば一行で証明できるの
で書いておくと安心です. しかし, この形を見たときにどっち向きに不等式が立つのか一瞬で判断
できるようになると最後の最後で沼るということがなくなるため, 常に意識するに越したことはあ
りません. 最後にこの章の総合問題です.
2 n
例 11 5n ≥ 23 − 1 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

解答 n = 3 のとき,
2 3
53 = 59 < 89 − 1 = 227 − 1 = 23 − 1
n+1
−3n
より不成立. それ以降, n を 1 増やすと左辺は 52n+1 倍され, 右辺は 23 倍以上される. こ
こで,
n+1
−3n n n−1 n−1
−1
23 = 22×3 = 643 = 64 × 643

であり,
3n−1 − 1 = (3 − 1)(3n−2 + 3n−1 + · · · + 1) ≥ 2(n − 1) ≥ n

から
n+1
−3n n−1
−1
23 = 64 × 643 > 5 × 25n = 52n+1

となるので, 帰納的に n ≥ 3 で不成立. n = 2 のときの成立を併せ最大値は 2.

やり方は本当に色々あります. ところどころテクニカルな変形に見えますが, 実際はほとんど考


えずにできます. ここでポイントをまとめます.

• 指数がらみの不等式はかなり緩いことが多い. 必要以上に考えすぎず, まずは手を動かして


みる
• n を 1 増やしたときの挙動を考えると式が単純になることがよくある
•「指数 − 指数」は因数分解をすればかなり良い精度で抑えられる
• 単調性を常に意識する
• 不等式をいくらか緩めて考えてもうまくいくことが多い
• どの項が大きくなりそうか間隔をつかむ

これらを意識するだけでほとんど時間をかけずに処理できるようになると思います. 最後に階乗が
らみの不等式の処理方法を書きます.

5 階乗
階乗は指数に比べ登場頻度が少ないですが, 独特な考え方を使うことがあります. 初めに, 階
乗は十分先で指数より大きく, 二重指数より小さいです. このイメージを持っておくようにしま
しょう.

7
例 12 n! ≤ 2n + 1 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

解答 n ≥ 4 のとき,

n! = 1 × 2 × · · · n ≥ 1 × 2 × 3 × 4 × 2 × · · · × 2 = 3 × 2n−1 = 2n + 2n−1 > 2n + 1


| {z }
n−4

であるので, n = 3 での成立を併せれば最大値は 3.

階乗と指数の比較のときは階乗のいくつかの項を下から定数で抑え, 全体として指数オーダーに
そろえると評価しやすいですね. もちろん, 先の章の手法を使うこともできます.

別解 n = 4 のとき不成立. それ以降 n を 1 増やすと左辺は n + 1 ≥ 5 倍されるが, 右辺は

2n+1 + 1 1
n
=2− n <2
2 +1 2 +1
倍しかされないので, 帰納的に n ≥ 4 で不成立. n = 3 での成立を併せれば最大値は 3.

大分緩い不等式ですのでほかにも方法はあるかと思います. なお, 右辺が 2n − c の場合は


n! ≤ 2n − c ⇒ n! ≤ 2n と緩めてからすると別解の方法を使えます. 次に階乗と多項式の比較.

例 13 n! ≤ n3 + n + 1 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

多項式は指数より小さいので, 当然階乗よりずっと小さいです.

解答 n ≥ 6 のとき

n! = 1 × 2 × · · · n > 2n(n − 1)(n − 2) = 2n3 − 6n2 + 4n

ここで,

2n3 − 6n2 + 4n ≥ n3 + n + 1 ⇔ n3 − 6n2 + 3n − 1 ≥ 0


⇒ n3 − 6n2 + 3n − 18 ≥ 0
⇔ (n − 6)(n2 + 3) ≥ 0

であるので, n ≥ 6 で不成立. n = 5 での成立を併せれば最大値は 5.

二重指数の場合は n を増やしたときの挙動を見るのが早いです.
n
例 14 100n! ≥ 22 を満たす最大の正整数 n を求めよ.
n
解答 n = 4 のとき不成立. それ以降 n を 1 増やすと左辺は n + 1 倍され, 右辺は 22 倍される.
2n = (1 + 1)n ≥ n + 1 に注意すれば
n
22 > 2n ≥ n + 1

なので帰納的に n ≥ 4 で不成立. n = 3 での成立を併せれば最大値は 3.

8
最後に階乗特有の不等式評価です. 若干本筋とはずれますがこれも大事な内容です.

例 15 正整数 n に対して (2n − 1)! ≤ n2n−1 を示せ.

解答

(2n − 1)! = 1 × 2 × · · · (2n − 1)


= (1 × (2n − 1)) × (2 × (2n − 2)) × · · · × ((n − 1)(n + 1)) × n
= (n2 − (n − 1)2 )(n2 − (n − 2)2 ) · · · (n2 − 1) × n
≤ n2n−1

階乗は比較的自由に評価することができるので, 比較されているものが何かによって色々試して
みてください. まとめに入ります.

6 まとめ
多項式

• 二次の場合は軸の議論, 解の公式
• 微分して単調性を使う
• 整数解をもつように不等式を緩めて因数分解
• 多変数は扱いやすい形に変形

指数

• 指数を一か所に集めて単調性を利用
• 指数の部分を扱いやすい形 (多くは 1 次式) にそろえる
• n を増やしたときの挙動を見る
• 式が単純な時は対数をつかえることもある

指数と多項式の混ざった式

• 係数が小さいときは二項定理
• 成り立たない最小の整数を見つけて n を増やしたときの挙動を見る
a a−c
• > を常に意識する
b b−c
• 示しやすくなるように不等式を緩める
• 指数と指数の差は良い感じの評価ができる

階乗

• 階乗の中から比較対象と比較しやすい情報を抜き出す
• ほかと同じように n を増やしたときの挙動を見る

9
7 練習問題
需要があるか分かりませんが, 記述練習としてぜひ活用してみてください. 練習の番号は例題の
番号に大体対応しています.

練習 1 n2 ≤ 7n + 9 を満たす最大の整数 n を求めよ.

練習 2 n3 ≤ 2n2 + 10n + 8 を満たす最大の整数 n を求めよ.

練習 3 a4 + b4 ≤ a3 + b3 + 100 を満たす正整数の組 (a, b) を全て求めよ.

練習 4 5n ≤ 10 × 3n を満たす最大の正整数 n を求めよ.

練習 5 32n ≤ 23n+1 を満たす最大の正整数 n を求めよ.


n
練習 6 22 ≤ 32n を満たす最大の正整数 n を求めよ.

練習 7 3n ≤ 3n2 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

練習 8 2n ≤ 3n + 2468 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

練習 9 3n ≤ n2 + 1357 を満たす最大の正整数 n を求めよ.

練習 10 3n + 10n ≥ 5n を満たす最大の正整数 n を求めよ.


2 n
練習 11 3n +1
≥ 22 + n を満たす最大の正整数 n を求めよ.

練習 12 n! ≤ 2 × 3n を満たす最大の正整数 n を求めよ.

練習 13 n! ≤ n3 − n を満たす最大の正整数 n を求めよ.
2
練習 14 100n! と 2n は十分先でどちらが大きくなるか. また, それが他方よりも小さくなる最大
の正整数 n を求めよ.

練習 15 n! + n3 ≥ (n + 1)n を満たす最大の正整数 n を求めよ.

以下の問題はぜひ不等式まわりの記述を丁寧にしてみてください.

練習 16 8n + n が 2n + n で割り切れるような正の整数 n を全て求めよ.(JMO2009 本選 1)

n2 + 1 √
練習 17 と 2n−1 + m + 4 がともに整数になるような正の整数の組 (m, n) を全て求め
2m
よ.(JMO2020 本選 1)

10
8 終わりに
この内容は自分含め多くの人ができることなら避けたい内容だと思います. しかし本選以降で当
たり前のように使う必要があるためどうしても攻略しないといけない内容でもあるわけです. たし
かに面倒ですがパターンを習得し, 1 点でも多くとっていきましょう! この記事が少しでも役に立
てば嬉しいです.

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