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『パッチ・アダムス』

「アダムスさん、あなたは山小屋で患者の治療をしていたのですか? 」

「肉体的、精神的に助けを求めてるという意味では、彼らは患者です。でも同時に彼らは他人の面倒もみます。食事の世
話、入浴、ただ単に話を聞くという仕事も。つまり医者です。これは広義解釈ですが、でも人を助けるのが医者なのではな
いですか?いつからお偉い職業になったのですか?『先生、どうぞこちらへ』『上座にお座りください』『さすが、オナラも臭
くない!』。昔の医者は病人を助けてくれる、物知りで頼れる友達でした。『私が治療行為を行ったか?』。苦しみ助けを求
める者に家のドアを開き、勇気付けて熱が下がるよう冷たい布を当てる。それを治療行為と呼ぶなら私は有罪です。」

「その結果、患者を死に至らしめたらどうするのですか?」

「死は悪いことなのでしょうか?なぜ恐れるのです?死に人間性と尊厳とユーモアを与えては?死は敵ではない。病気と
戦う場での一番の敵は『無関心』です。教室で『医者は患者と距離を置くように』と教わりました。でも、人間同士が接触す
れば必ず影響を与え合う。それが医者と患者には許されない?そういう教えは間違いです。死を遠ざけるのではなく、生
を高めるのが医者の務め。だから、病気が相手なら負けることもある。でも、人間が相手なら結果はどうあれ医者が勝つ
べきなのです。

今日の聴衆は医学生たち。ヒトとして生命の奇跡に無感覚にならないように。人体の驚くべきメカニズムに畏敬の念を。
重要なのはそれだけ。成績なんか気にするな。さもないとどんな医者になるかわからない。医者になる前にヒトであれ。他
人や友達、電話の相手、誰でもいい、人と対話する能力を磨くのです。後ろの素晴らしい人々とも友達になってください。
毎日、患者の血と尿にまみれている看護師たちは得難い教師です。ハートが死んでない教師を手本にしてください。

私は医者になりたいのです。医者として人の役に立ちたい。私は全てを失いましたが、同時に全てを得ました。病院の患
者やスタッフと時間を過ごして、共に笑い共に泣いた。生涯、そう生きたい。神が証人です。今日の結論がどうであれ、私
はなってみませます。世界一と呼ばれる医者に。あなた方は卒業を阻み、私から免許獲得の機会と白衣を奪える。でも学
ぼうとする魂を抑え込むことはできません。どうします?私を情熱ある医師の一員にするのか、それとも歯に衣きせぬ頑
固な部外者にするのか。いずれにせよ、私はみなさんにとって厄介なトゲ。決して抜けないトゲです。」

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