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第6章 海上保険

1
海上運送と貨物海上保険
●海上運送人(船会社)の過失
航海過失:免責(船舶の衝突など)
商業過失:有責(不適当な積付けが原因で荷崩れを起こすなど)

ヘーグ・ルール
1包装または1単位(One Package or Unit)当たり
100英ポンド(イギリス及びその自治領)、10万円
(日本)、500ドル(米国)に支払額が限定

● 荷主は貨物海上保険をつけ、船会社免責となっ
ている航海過失や火災も、貨物海上保険では全額回
収できる。
2
保険金支払いと保険代位 船会社

重要なことは、荷主(被
保険者)に保険金を支
払った保険会社は、荷主
が船会社に対して持って ④(損害賠償請求権に基
いる損害賠償請求権を荷 づく)賠償金支払請求
主から譲り受けるのです。 〔代位取得〕
→保険代位
⑤賠償金支払い

③代位により損害賠償請求権移転

荷主 ②保険金支払い 保険会社

①保険金支払い請求

3
●考えてみましょう。
以下の損害を海上保険で回収できるか?
①貨物を輸出した後に輸入者が破産した。輸出代金の回収が
できなくなったので、その損害を回収したい。
②相手国に革命が勃発し、輸出代金が回収不能となったので、
その損害を回収したい。
③高品質なA商品を注文し、同時に代金を送金したので、低品
質のB商品が送られてきたので、その差額を回収したい。
④1,000ダースの商品を注文して代金も送金したが、実際には
800ダースしかなかった。盗難の形跡はない。200ダース分の
損害を回収したい。
⑤貿易決済通貨の為替相場が大きく変動し、手取り額が少なく
なる為替差損を被ったので、その損害を回収したい。
⑥ある商品を大量輸入したが、国内販売の見込みがはずれて不
良在庫だらけになった。この損失を回収したい。
⑦フィリッピンから輸入したバナナが、運送中に腐敗し、販売不
可能となった。この損害を回収したい。 4
海上保険と貿易保険
貿易取引と海上保険
① 貿易取引に伴う危険と危険回避の方法
• 信用危険(信用調査、前払い、信用状決済、輸出
手形保険)
• 非常危険(貿易保険制度の利用)
• 価格変動危険(ヘッジ取引)
• 為替変動危険(為替予約)
• 運送危険(海上保険)
• 売買両当事者の誤解(コミュニケーション能力)
② 貿易契約と海上保険の手配
• F.O.B.契約とC&F (CFR)契約の場合
• C.I.F.契約の場合
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海上保険の歩み
• 海上保険は、14世紀にイタリアで発生した海上保険
が最も古い。
• 中世において、現在の形式の海上保険が地中海沿
岸の商業都市を中心に発達し、貿易の隆盛とともに
大西洋沿岸諸都市に普及した。

• 近代の海上保険は、英国で完成し、17世紀前後か
ら大いに発達した。
• 英国で完成された英文海上保険証券の諸約款は、
世界各国の海上保険に絶大な影響を与えた。
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• 英文海上保険証券は、英国ロイズ組合が
1779年に採用したロイズSG(Ship Goods)
海上保険証券(Lloyd’s S.G. Policy)に、基
本的に依拠している。

• ロンドン保険業者協会が作成した約款を、協
会貨物保険約款(Institute Cargo Clauses;
ICC)という。1963年に実施した。

*要注意:
( ICC:Institute Cargo Clauses)
(ICC:International Chamber of Commerce)
7
• 1963年ICC約款が専門家以外には
難解であること、時代遅れの文言が
使用されていることなどを理由に、
より簡潔で平易な保険証券に改め
ることが要望。

• ロンドン海上保険市場は「新協会貨
物保険約款(A)(B)(C)1982」およ
び新貨物保険証券を発表した。
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海上保険契約
– 保険契約の当事者

・保険者(Insurer or Underwriter)
契約条件に従って損害の填補を約束する者
をさす。

・被保険者(Insured or Assured)
保険者より損害の填補を受ける者をさす。
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②保険の目的,期間
保険の目的とは、危険発生の客体をいう。
海上保険契約では船舶、貨物およびこれら
に準ずる有体物である。

保険期間:保険者は填補責任を負う期間をいう。
船舶保険:普通1か年を期間として契約される。
貨物保険:1航海または数航海を保険期間とする。
*1航海においては、「売主の倉庫を出てから買主の倉
庫に入るまで(warehouse to warehouse)」
10
貨物保険においては、「売主の倉庫を出て
から買主の倉庫に入るまで(warehouse to
warehouse)」

CIFの場合:全区間がカバーされる。
FOB、C&Fの場合:「売主倉庫から輸出
港の本船まで」の区間はカバーされない。

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③保険価額と保険金額
保険価額とは、 保険事故の発生により、生
ずべきことが予想される損害の額であり、被
保険利益を金銭に見積もった額である。
=被保険者が損害を被った場合の填補最
高限度額である。

インコタームズCIFのA3項:
CIF価格(FOB価格のときには運送賃、保
険料を加算)の110%をもって保険価額が協
定される。
10%=希望利益
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*保険価額を協定した保険証券を評価済保険証券
(Valued Policy)という。

*保険金額とは、一回の保険事故につき
填補される最高額をいう。
保険金額は保険価額の範囲内で決められるが、
もし、保険金額>保険価額の場合には、超過した金
額については保険契約が無効。

*保険金額は保険価額に対して同額か小額かにより、
全部保険、一部保険に分けられる。
日本では、保険金額=保険価額
全部保険(評価済保険証券)である。
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海上保険では?
貨物海上保険での保険金額は?
保険金額=CIF価額+希望利益10%

貨物海上保険での保険料は?
保険料=保険金額×保険料率

CIF価額100万円

料率=0.5%
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【問題】
CIF価額1,000万円で、希望利益は10%だとする
と、保険金額はいくらですか。保険料率は0.4%の
場合には、保険料はいくらですか。

【解答】
保険金額=CIF価額+希望利益10%
=1,000万円+100万円
=1,100万円
保険料=保険金額×保険料率
=1,100万円×0.004
=44,000円

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CIF輸出の場合の保険期間
仕出地 仕向地

売 保 保 買
主 税 税 主
の 蔵 蔵 の
倉 置 置 指
庫 場 場 定

(売主の危険負担期間) (買主の危険負担期間)

戦争危険の保険期間

海上危険およびストライキ危険の保険期間
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FOBおよびC&F輸出の場合の保険期間
仕出地 仕向地

売 保 保 買
主 税 税 主
の 蔵 蔵 の
倉 置 置 指
庫 場 場 定

(売主の危険負担期間) (買主の危険負担期間)

戦争危険の保険期間

荷主手配の仕出地
での損害保険期間 海上危険およびストライキ危険の保険期間
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1.担保危険
担保とは、保険者が危険を引き受けること

①海固有の危険
(沈没・座礁・触礁・衝突・荒天による海水濡れなど)
②その他の危険
火災、強盗、投荷、船長および海員の悪行、それら
と同種類の危険など
官憲の抑止、 戦争危険、ストライキ危険などが免責

担保しない危険:
被保険者の故意の不法行為、貨物の固有の瑕疵または性質、
遅延による損害、荷造りの不完全による損害など
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2.損失と費用

現実全損
全損 推定全損
①物的損害
共同海損
海上損害 分損
単独海損
共同海損費用
②費用損害 救助料
単独費用(損害防止費用、特別費用)
付随費用 19
損害とは、被保険利益の全部または一部の
滅失であり、保険の目的たる貨物に海上危険
が発生することによって生ずる被保険利益の
経済的損失である。
(1)全損(Total Loss)と分損(Partial Loss)
海上損害は損害の程度により全損と分損
に分類。
全損:被保険利益の全部の滅失
分損:被保険利益の一部の滅失

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現実全損(Actual Total Loss):
保険の目的が破壊され、または付保された
種類の物として存在しえなくなるほど大きな損
傷を被った場合、または、被保険者が保険の
目的を奪われて回復することができなくなった
場合には、現実全損が存在する。

例:
①火災による貨物の全焼
②海水浸入による穀物の腐敗
③航海事業に従事する船舶が行方不明となり、
相当の期間経過後にもその消息が知れない
場合、 など。 21
推定全損(Constructive Total Loss):
船舶が行方不明のため確証はないが全損が
推定できる場合と、
貨物それ自体は現実全損ではないが、修繕、
救出のために費用がかさんで、経済的に全損を
構成するとみなされる場合 をいう。

例: ある人が1シリング貨を深水に落とした場合には、
たとえ多大な費用をかければこれを拾い上げることが
できるとしても、彼は1シリング貨を失った。
1シリング貨は推定全損である。
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保険代位(Subrogation)
被保険者が運送人その他の第三者に対する
求償権を、保険者に譲渡することをいう。

保険代位の種類:
①保険の目的物に関する被保険者の権利が保
険者に移転する残存物代位
②第三者に対して被保険者の有する権利が保
険者に移転する求償権代位

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(2)単独海損(Particular Average)と
共同海損(General Average)
分損は、保険をつけた対象(保険の目的)が担
保危険により損害を被ったとき、その損害の程
度が一部分の損害に留まる場合をいう。
分損の負担者が誰になるかの観点から、
単独海損と共同海損に分けられる。

単独海損:被保険者が単独に被る損害である。
共同海損:損害は貨物の所有者のみに帰すべ
きではなく、危険を共有した船主、荷主全員によ
り負担されるものである。 24
• 甲板上に船積みされた貨物の一部がたまた
ま高波にさらわれたときには、その損害は、
貨物の所有者が単独で負担すべきものであ
れば、(単独海損)となる。

• 荒天に際し船舶が沈没する危険を避けるた
め、甲板上にある貨物が故意、かつ合理的に
海中に投棄され(投荷)、船足を軽くして沈没
の危険から逃れられた場合には、その損害
は、貨物の所有者のみに帰すべきではなく、
危険を共有した船主・荷主全員により負担さ
れる(共同海損)となる。
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3.損害填補
填補とは、被った損害を埋め補うことである。
填補損害=物的損害+費用損害
基本的な保険条件:
① All Risks(全危険担保・オール・リスク)
②単独海損担保(With Average; WA)
=分損担保
③単独海損不担保(Free from Particular
Average: FPA)
=分損不担保
基本的保険条件 + 特約 = 付保 26
All Risksの担保しない危険
①戦争危険
②ストライキ危険
③被保険者の故意の不法行為に起因する一切の損害
④航海の遅延に近因して生じた一切の損害
(貨物が遅延のためセールに間に合わず商品価値が
下落したための損害など)
⑤保険の目的の固有の瑕疵または性質に近因して生じ
た一切の損害
(貨物が一般的にまたは特殊的に有する欠陥的性質
のこと。野菜、果物が時の経過と共に腐敗する、鉄製
品が錆びるなど)。
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WA, FPAの担保する危険
*WAでは、単独海損を填補するが、免責歩合
(あらかじめ明示された一定歩合=パーセント
のことにつき、保険者が免責されるその歩合
をいう)の適用を受けることがある。
WA=特定分損+不特定分損
*FPAでは、原則として単独海損を担保しない
が、座礁、沈没、大火災が生じた場合などに
は例外的に単独海損(=特定分損)を填補す
る。
FPA=特定分損 28
新ICC
基本条件 A B C
担保危険、損害
火災、爆発 ○ ○ ○
船舶の座礁、乗り揚げ、沈没、転覆 ○ ○ ○
陸上輸送用具の転覆、脱線 ○ ○ ○
船舶、転覆輸送用具の水以外の ○ ○ ○
他物との衝突、転覆
避難港における貨物のに卸し ○ ○ ○
地震、噴火、雷 ○ ○ ×
共同海損犠牲 ○ ○ ○
投 荷 ○ ○ ○
波ざらい ○ ○ ×
海水、湖水、河川水の船舶、艀、船倉、輸送用具 ○ ○ ×
コンテナ、リフトバン、保管場所への侵入
積込み、荷卸中の海没、落下による ○ ○ ×
梱包1個ごとの全損
上記以外の一切の危険 ○ × ×
( ただし、免責条項の適用あり ) 29
WAとFPAの決定的な違い
• 座礁、沈没、大火災が生じなかった場合の潮
濡損害(Sea Water Damage)を保険者が負
担する(WA)か、しない(FPA)かである。

• 潮濡れ損害は概して重大な損害を貨物に与
えるので、WAの潮濡損害填補は大きな意味
をもつ。

• FPAで保険にかけられる商品は、海水に濡
れてもかまわない商品である丸太材、大理石、
鉄鉱石などの商品が対象となる。
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All Risksと(A)はどう違うのか?
*All Risks,(A)は原則として、あらゆる危険を担保する「包
括責任主義」を特色とする。
(WA, FPA、(B)、(C)は、具体的に担保危険を列挙す
る「列挙責任主義」)

* All Risksは、「あらゆる危険」を担保するが、5つの例外
がある。
(A)は、基本的にはAll Risksと同じ内容となっており、以下
の免責危険がある。
①船舶の所有者・管理者・用船者もしくは運航者の破産また
は経済上の債務不履行から生じた滅失、損失または費用
②原子のもしくは原子核分裂および/核融合またはその他の
同種の核反応または放射能物質を利用した一切の兵器の使
用によって生じた滅失、損傷または費用
➢ ①の船会社の経営破綻をカバーするかしないかが、
両者の主たる区別となる。 31
阪神大震災と保険
FOB条件で売買契約を締結し、コンテナ船により
輸送する場合
コンテナ取引条件では、「運送人の管理下に引渡されたとき」と。
コンテナ貨物がコンテナ・ターミナルでCYオペレター、CFSオペレ
ターに引渡された時である。
コンテナターミナル

輸出FOB保険 貨物海上保険
地震、噴火もしくはこれらによる津波またはこれらの関連のある
火災その他類似によって生じた損害に対し、保険金を支払わない。 32
阪神大震災 FOB等の危険負担

FCA等の危険負担
TERMINALでCY,
CFSオペレーター
に引渡された時 ? On Board

コンテナ
売主 ターミナル

税関 戸

33
今後の対応
1.トレードタームズと貨物海上保険の組み合わせ
を選択すべき
●6種類の貨物保険条件のうち、地震による損
害をカバーするものとして、All Risks, (A)(B)
の3条件のみ。

●輸出FOB保険は日本国内の陸上運送貨物の
保険に使用する「運送保険普通保険約款」の特
約に相当。地震による損害を免責とする。
⇒FOB,C&F条件の場合:輸出FOB保険+地
震担保特別約款
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2.適切なトレードタームズを選択すべき
●輸出の場合には、具体的にはトレードタームズは
CIF或いはC&I、保険条件は地震損害を担保するAll
Risks、(A)(B)から組み合わせることで、売主と買主
双方とも損害が回収できる。

●輸入の場合には、FOB、C&F、CIF、Ex系、
Delivered系のどれでも、海上保険締結の当事者とな
る売主・買主が、地震損害を担保するAll Risks、(A)、
(B)のいずれかを選択すれば、輸入地の輸入貨物の損害を回
収できる。

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共同海損が発生したら?
3億円の船舶に荷主Aの貨物(4000万円)が
甲板積みされ、荷主Bの貨物(6000万円)が
船倉内積みで積載されました。航海中大型台
風に襲われ、このままでは沈没の危険がある
と船長は合理的に判断し、Aの貨物を全て海
中に投棄し(投荷)、船足を軽くして台風から
脱出し、船舶とBの貨物は助かりました。この
場合の共同海損分担額はいくらになるでしょ
う。
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犠牲損害=4,000万円(荷主Aの貨物)
財産総額=船舶価格(3億円)+荷主Aの貨物(4,000
万円)+荷主Bの貨物(6,000万円)=4億円
3億円
船会社の負担=4,000×
4億円
=3,000万円
4,000万円
荷主Aの負担=4,000万円×
4億円
=400万円

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6,000万円
荷主Bの負担=4,000万円×
4億円
=600万円
分担額 犠牲損額 精算方法
船会社 3,000万円 3,000万円(支払い)
荷主A 400万円 4,000万円 4,000万円-400=3,600万円
(受け取り)
荷主B 600万円 600万円(支払い)
合計 4,000万円 4,000万円 0
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●考えましょう
[問題1] ある会社のCIF条件の輸出契約においてCIF価格の
110%をもってAll Risksと戦争危険を付保すると定められて
いるが、CIF価格はUS$15,000で、All Risksの保険料率
は0.6%、戦争危険の保険料率は0.03%とすると、保険
金額はいくらですか、保険料はいくらですか。

【解答】
保険金額=CIF価額+希望利益
=15,000+(15,000×10%)=16,500ドル

保険料=保険金額×保険料率
=16,500×(0.6%+0.03%)
=16,500×0.0063=103.95ドル
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売申込
輸出者 CFR YOKOHAMA, 輸入者
(中国) (日本)
US$2,000/トン
反対申込
CIF YOKOHAMA

[問題2]
この場合、CIF価額の110%をもってオール・リ
スクを付保し、オール・リスクの保険料率は1%
で、戦争危険のリスクは0.03%、とすると
CIF価格はいくらでしょうか。

40
【解答】
(C+F)×1.1R
保険料=
1-1.1R

2000×1.1(1%+0.03%)

1-1.1(1%+0.03%)

2000×1.1×0.0103
= =22.9ドル
1-1.1×0.0103

CIF=C+F+I
=2,000+22.9=2022.9ドル
41
CFR
CIF=
1-[保険料率×(1+付保加算率)]

2,000

1-[(1%+0.03%)×(1+10%)]

2,000
= 1-(1.03%×1.1)

2,000
= 0.98867
=2022.9ドル

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[問題3] ある会社はCIF London,£1,000/トンの単価で
商品を輸出するとする。契約によれば、売主はCIF価格の
110%をもって付保するが、保険条件はWAとSweat and
heating〔汗濡れ・発熱〕で、保険料率は合計して0.9%とな
る。お客さんはCFR価格で申し込むよう、と要求したとする。
この場合のCFR London価格はいくらですか。

【解答】
保険金額=CIF価額+希望利益
=1,000+(1,000×10%)=1,100ポンド

保険料=保険金額×保険料率
=1,100×0.9%=9.9ポンド

CFR=CIF-I
=1,000-9.9=990.1ポンド
43
CFR
CIF=
1-[保険料率×(1+付保加算率)

CFR
1,000=
1-[0.9%×(1+10%)]

CFR=1,000×(1-0.0099)

=990.1ポンド

44
[問題4] A社はある商品を輸出するとき、価格
はCFR○○港US$250,000である。お客さ
んはCIF価格の120%をもってオール・リスク
を付保するようと要求したが、A社は同意した。
もし保険料率は0.6%であれば、A社はお客
さんにいくらの保険料金を徴収しますか。

45
【解答】
(C+F)×1.2R
保険料=
1-1.2R

250,000×1.2×0.6% 1800
= = =1,813ドル
1-1.2×0.6% 0.9928

CFR
CIF=
1-[保険料率×(1+付保加算率)

250,000 250,000
= = =251,813ドル
1-[0.6%×(1+20%)] 1-0.0072

I=CIFーCFR
=251,813-250,000=1,813ドル
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損害発生貨物の保険金請求手続き
1.単独海損の場合

(A)手続き
*荷主(通常輸入者)は、貨物に損害が発生した事実
を知った時には、直ちに保険会社または代理店に
その旨を通知する。

*損害を立証する書類を提出することが、保険証券に
記載された損害通知条項により求められている。

47
*荷主は、貨物損害が保険期間
中に生じたこと、および損害を立
証する義務がある。

*よって、荷卸しを行う海貨業者
や海事検査人など第三者の助
力を得て損害の実態を証明しな
ければならない。
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*損傷貨物は、輸入港での本船荷役や倉庫搬入の際
に見つかることが普通である。

*荷主は、海貨業者に対し、到着貨物の引き取る前
に貨物状態をチェックし、損傷があればカーゴ・
ボート・ノート(Cargo Boat note;本船から
荷揚げされる貨物の状態が記載された荷受人側
からの貨物受取証)に、損傷状態を記したリマーク
(事故記録)を取るよう指示する。

→リマークのついたカーゴ・ボート・ノートは
損害を実証する非常に重要な証拠となる。
49
*日本の代表的な検査機関は、(社)日本海
事検定協会と、(財)新日本検定協会
がある。

*世界的にロイズ・エージェント(Lloyd’s Agent)
が有名である。

*検査人が作成する鑑定書(Survey Report)に
は、貨物の包装状態、損傷状態、損害原因な
どが記載される。

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*検査人に支払われる鑑定料(Survey Fee)
は、被保険者が支払う。
しかし、貨物損害が担保危険による損害で
あるとして保険会社により填補されることが
決定すれば、保険金に加算されて、保険会社
から支払われる。

*貨物の損傷が船会社の責任である商業過失
によるものであれば、船会社は運送契約に基
づき荷主に損害賠償責任を負う。
51
(B)保険会社への提出書類
①海上保険証券
(ただし、FOB,C&F輸入の場合には事務簡素化の
ため発行されていないので、保険料請求書をこれに
代えている)
②商業送り状
③船荷証券または運送契約書
④鑑定書またはその他の損害立証書類
⑤陸揚げを記録する関係書類
(在来船:陸揚報告書;コンテナー船:デバンニング・
レポート)
⑥運送人に対するクレーム・レター
⑦必要に応じて、重量証明書、傭船契約書、海難報告書
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(2)付保実務――予定保険

(A)個別予定保険
*貨物保険の申込は、貨物の品名、数量、保
険金額、船名、船積、荷卸港、保険条件など
が確定する必要。

*FOB,C&F買主は、これらの情報を売主から
提供される船積案内で入手する。しかし、間
に合わないときがある。
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*この場合、買主は未確定の部分を後日通知
することを条件として保険をつける。

*しかし、そのときに保険会社が発行するもの
が個別予定保険証券である。

*未確定部分が確定すると、被保険者は確定
申込を行うが、それに対して保険会社は確定
保険証券を発行する。

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(B)包括予定保険契約
*継続的に多数の輸出、輸入が行われる場合
に、保険のつけ漏れを防ぐために利用される
のが包括予定保険契約である。

*荷主は特定の保険会社に、自分の輸出入貨
物のすべての保険をつけることを約束し、保
険会社も損害補填を約束するものである。

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*保険会社がこの場合に発行する保険証券を
オープン・ポリシー(Open policy;包括予定保
険証券)という。

*オープン・ポリシーと同様なものに、オープ
ン・コントラスト(包括予定保険特約書)がある。
これは契約書としての性格を前面に押し出し、
被保険者と保険会社双方が調印する形式を
取っている。
*しかし、実務では両者ともにO/P(オーピー)
と簡略化して呼ばれている。
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