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ラジオ学習メモ
実用文について考える (全二回)
講師 〔実用文の種類〕
高野光男 報道や広報の文章 手紙
紹介や案内の文章 会議の記録
法律の条文 契約書・協定書の文章
全二回 の 一 [実用文について考える]
− 205 −
上記所在の水道施設の維持及び管理に関して、使用者(以
甲は、乙に対し、維持管理費として、月額 1,000 円を
使用開始は原則として、維持管理費の支払いが完了し
、管理者( 以下、乙という)との間に、下記
■学習のねらい■
自立した社会生活を送るうえで必要不可欠となる実用文の
種類や特色、特に最も身近な実用文である新聞記事の特色、
■実用文(協定書)の例と特色■
所在地 東京都渋谷区神南1 丁目◯ ◯ 番
表現上の工夫について理解を深める。
1年分一括にて支払うものとする。
( 以下省略)
表現編
学習のポイント1
協定書
の条項による協定を締結する。
実用文の種類や特色を理解する
た日からとする。
高校講座・学習メモ
1 維持、管理費
2 使用開始時期
国語総合
〔実用文とは〕
下、甲という)
第 75・76 回
社会生活を送るうえで直接的に役に立つ文章、あるいは社会
生活に必要不可欠な文章のことをいう。
特色① 当事者の一方を「甲」、もう一方を「乙」と置き換 説明)
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えるのが一般的である。 ④その他(マーク・用語解説など)
特色② 協定の内容を「条項」によって箇条書きで明確に記
し、当事者に不利益や不都合が生じないようにしてい 〔表現上の工夫〕
る。 ①見出し……見出しを見ただけで記事のおおよその内容(要
⇒ 点)が理解できるように、短く的確な言葉が選ばれてい
実用文には、種類に応じた形式や表現の特色がある る。伝えたい内容に応じて、活字のポイントの大きさ、
ので、それらを正しく理解することが自立した社会生 活字の種類を変えることによって強弱がつけられている。
活を営む際に必要不可欠となる。 ②本文……最初の一文(一段落)はリードと呼ばれ、記事全
体の要約文となっており、5W1Hの基本形で記述され、
過不足のない内容になるように工夫されている。その後、
学習のポイント2
説明、補足の順で記事が書かれている。
新聞記事の構成の特色や
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③図版……本文の内容に合致した図版がつけられている。
表現上の工夫を確認する
放送で読む新聞記事を聞いて、記事の構成の特色 ※逆三角形の構造
課題
や表現上の工夫を指摘してみよう。 最初に一番伝えたいことが書かれてあり、後にいくほど細か
く詳しい内容になっていく新聞記事の文章の作り方をいう。
表現編
リード(要約)
高校講座・学習メモ
(要点)
国語総合
見出し
本文①
本文②
説明
補足
結論
説明
補足
〔構成の特色〕
第 75・76 回
①見出し
②本文
③図版(写真・グラフなど)+キャプション(図版の短い
学習のポイント3 * * * *
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− 207 −
容を理解するために役にたった。
例2 地球から3億キロメートルという遠く離れた小惑星
から、通信が途絶えたり、装置がうまく作動しなかっ
たりしながらも、イトカワの微粒子を持ち帰ったハヤ
ブサはすごいなあと思った。研究者の人たちがいろい
学習のポイント2
表現編
ろな困難を乗り越えて計画を成功させたことも偉いな
あと思った。これまで宇宙にはあまり興味がなかった 表現上の工夫や内容、
が、記事にある日本の宇宙技術や、太陽系の成り立ち 着眼点の違いを考える
高校講座・学習メモ
について、もっと知りたいと思った。 二つの新聞記事はともに、「見出し」
、「本文」
、「図版(写真
国語総合
+キャプション)」で構成されているので、以下の〔A・Bの
第 75・76 回
新聞記事の比較対照表〕のように、これらの項目ごとに「表現
上の工夫や内容、着眼点」の違いを整理していくとよい。
A B 二〇一二年春の開業を目指して建設が進む「東京スカイ
ラジオ学習メモ
ツリー」(東京都墨田区、
完成時の高さが634メートル)
「高さ日本一」という表現はA・Bに共通している。
の高さが338メートルと、東京タワー
(333メートル)
「東京タワーを抜く」という表現 「世代交代」という表現で、東京
によって、東京スカイツリーが東 スカイツリーと東京タワーを擬人
を抜いて日本一になった二九日、建設現場の周辺では、大
見出し
語の組み合わせ
真となってる。 られない。
キャプションも写真を説明するよ 東京タワーがはっきりと写ってい
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うに「東京タワー(手前)の高さ な い た め 、 「 東 京 タ ワ ー ( 後 方
を超えた東京スカイツリー……」
左 ) を 抜 き …… 」 と い う キ ャ 学習のポイント3
となっている。 プションが付けられている。
新聞記事を読む場合の
注意点を整理する
本文の冒頭の一文がリードにあた 記事のリードにあたるのは冒頭の
り、5W1Hで記述され、東京ス 第一段落(一文)で、この一文は
カイツリーが東京タワーを抜いた 複文(※)で、主たる主語は「見
という記事の要旨が端的に示され 物人」である。
「東京スカイツリーが東京タワーの高さを超えた」
表現編
ている。リードの主語は「東京ス リードの後に、「西東京市の○○
本文
カイツリー」である。 さん」という具体的な見物人を登
リード以降の説明部分では、着工
場させ、その人に対するインタビ という一つの事実
した時期、完成時の高さ・開業時 ューの内容や一日の行動の様子を
期など、客観的な事実だけが書か 紹介することによって、より親し
高校講座・学習メモ
れている。 みを感じさせる記事となってい
国語総合
る。 記事 B
第 75・76 回
記事 A
※複文……主語・述語の関係を二つ以上もっていて、それが 個人的な出来事を物語とし
客観的な事実だけを情報と
て読者に提示することで、客
対等でないものをいう。
⇔
して読者に伝える。
観的な事実を読者に伝える。
⇧
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記事の書き手の意図や思惑、価値判断が何らかのか
たちで、記事の文章に反映されているため、同じニュー
スを扱った新聞記事でも大きな違いがあらわれる。
〔新聞記事を読む場合の注意点〕
①新聞記事の内容を理解するだけではなく、記事の書き手の
意図をとらえながら読む。
②自分にとって特に関心がある記事、必要性の高い記事の場
合は、別の新聞ではどのように書かれているのか、異なっ
た新聞記事と比較する。
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表現編
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国語総合
第 75・76 回