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経営学(6月10日)

皆さん、おはようございます。
今週も宜しくお願いします。なお、課題はありません。
ただし、しっかり理解して学習しておいてください。

今日は先週学習した損益計算書が各社でどのように違うのか、見てみたいと思
います。

次ページの表を見てください。
エーザイ(医薬品)、コーセー(化粧品)、味の素(食品)、スズキ(自動車)を採り
上げました。
各社で売上規模が異なるため、売上高を100%としたときの比率で表現していま
す。このような方法を構成比分析と呼びます。

この表を見て、各社のビジネスの仕方の違いを考えてみましょう。
エーザイ コーセー 味の素 スズキ
売上高 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%
売上原価 17.4% 24.2% 71.8% 74.0%
売上総利益 82.6% 75.8% 28.2% 26.0%
一般管理費・販売費 66.7% 64.8% 22.7% 21.0%
広告宣伝費 3.7% 5.5% 2.6% 2.8%
販促関連費 28.0% 20.5% 3.8% 5.0%
物流費 0.0% 2.8% 2.4% 2.6%
研究開発費 15.5% 2.3% 2.8% 3.3%
人件費 10.7% 24.1% 4.5% 2.4%
営業利益 15.9% 11.0% 5.5% 4.1%
営業外収益
営業外費用
経常利益 16.6% 11.6% 5.6% 4.3%
特別利益
特別損失
税引前利益 16.0% 10.5% 5.2% 4.4%
法人税等
当期純利益 10.5% 5.6% 3.2% 2.4%
エーザイのような医薬品企業は研究開発がモノを言う業界です。

人間の体に入って病気を治す薬の開発には莫大な費用と長い年月がかかり
ます。基礎実験から動物実験、人間の体を使った治験と薬剤の承認までには
多くのフェーズがありますが、一度製品が市場に出されれば、特許のおかげで
長期にわたって利益がもたらされる、そんなしくみが存在します。

売上原価と売上総利益の比率の差、研究開発費率の高さで見ても、製造その
ものよりも研究開発で付加価値をつけている様子がわかります。

また、製品の説明や医師との関係づくりにおいて重要な役割を果たすMRの教
育にも各社力を入れており、人件費率の高さはその表れです。

全体的に利益率は高めですが、薬というハイリスクな商材を扱っている見返り
としては当然の利益率と言えるでしょう。

大正製薬のような大衆薬中心の企業や、東和薬品のようなジェネリック医薬品
専門の企業の場合には全く異なる損益計算書になります。
コーセーのような化粧品企業は広告宣伝に特徴のある業界です。

化粧品にはスキンケアとメイクアップがありますが、スキンケアは成分の大部
分が水です。研究開発費率の低さからもわかるとおり、企業における研究開発
の地位は先の医薬品と比べると著しく低いです。

それに対して広告や販促の高さは目を見張るものがありますね。イメージで
売っていく業界であることが数値からも一目瞭然です。

人件費率の高さは百貨店等で対面販売を行う美容部員の人件費です。

ドラッグストアやコンビニでの販売が中心の企業であれば、少し構図が変わっ
てくるでしょう。
味の素のような食品企業の特徴は何と言っても、商材の安定性です。

前2社と比べると、売上原価と売上総利益のバランスが変わっているのがわか
りますか。

食品業界はそれほど研究開発も必要ではなく、広告宣伝も重要ではありませ
ん。例えば飲料であれば、「飲み物大国」の日本は毎年千種類以上の飲料が
市場に出ると言われています。最初から消費者のニーズや細かいターゲットな
どにこだわらず、どんどん製造して、とりあえず市場に出してみて、ある程度売
上がついたものだけ広告宣伝していくという戦略をとっています。

利益率は低めだと思うかもしれませんが、安定性の高い食品業界であれば、
このくらいの利益率でも十分にやっていけるのです。
スズキはどうでしょうか。日本の自動車メーカーは総じて組み立てメーカーです。

数多ある部品をそれぞれの大中小部品メーカーに製造させ、それをコンベア
が流れている間に組み立ててゆくのです。

売上原価率の高さは部品メーカーから仕入れる材料費が多くを占めていると
考えられます。

最終的な利益率の低さは部品をすべて外注に出していることによると考えられ
ます。

なお、4社とも営業利益の比率よりも経常利益の比率の方が高くなっています。
これは4社とも借金が少なく、銀行への支払利息が少ないためです。健全な企
業と言えるでしょう。
皆さん、よくわかりましたか。

損益計算書を見るだけで、その企業のビジネスのスタイルがわかるのです。
次週はもう1つの通信簿である貸借対照表についた学習します。

それでは、また来週。

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