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帰還や1段飛ばしクロスPG帰還をかけたAB級
動作のプッシュプルパワーアンプ 初段は差動増
幅による位相反転.初段ドライブ段とも6922/ 。71芸
E88ccを使見1段飛ばしPG帰還の有効・無効 l収34B
を選択できる切り換え機能を付けるなどPG帰還
の可能性をさらに追及 周波数特性では,低域は
20Hzまでフラット,高域側は-3dBになる周波
数は100kHz以上試聴では低音域が素直に伸び,
スピード感のある中高域が得られている.
92 MJ
pGは州ご相.%ははひ .]・ 日貼り、.....=:.
[図1] 6L6GCプッシュプルパワーアンプ回路図
性図を使って設計します. 求める方法として,図3の変換表
定 格 俐Y X7h8ネ ク6y6H 500V S b
[・1
450V
dL6GCは最大プレート損失 を用います.たとえば本機の場合,
20mA
30Wの大型管ですが,初期のdLd 与えられたプレート静性のEsgが
最大プレート損失 r 1.5W
やdLdGはプレート損失が19W 250V,必要なプレート特性の&g 5.OW
1
の設定であり,またdL6GBや が275Vなので,電圧変換率Feは
スクリーン電圧 S b
5881などの派生管は20-25W 1.1(=275V-250V)となり,こ
プレート電流 都&ヤ 250V 12mA
程度の規格になっています. の変換表から電流変換率FLを読 動 作 例 h8ネ ク6y6H 涛 b
負荷抵抗 綏カ
6.cmS 免ツ綏ユ2
く取 の派生管も使用できるように, Ep 電圧(横軸およびコントロールグ
増幅率 33
∩.LIE.
=Esg-275V. Zp -65mAの動作 リッド電圧Egl)を1.1倍,電流(縦
内部抵抗(働鵬値) "綏エR 3.5kr)
1児,卓二
点で妥当性を検討します(Ep :プ 軸)を1.15倍に読み替えれば こ
7)- レート電鼠Esg:スクリーング の特性図が使えます.こうして換
1)ッド電圧, Zp:プレート電流). 算した電流,電圧値を代入したの した線となり, Eg1-OVカープと
⊥ま
201 8/3 93
6L6GCプッシュプルパワーアンプ
いJc .那
rFU) (抑ト15)
3義 わな ∫ Oo 備C#X 2 62 L6-OV 一才 秒 ) 秒 -3 秒 y 迭 V 剖b
す.
(2) PG帰還
本機は局部のPG帰還で,内部
'i
抵抗を引き下げる方針ですから,
PG帰還の帰還量について検討し
ます.
dLdGCのビーム管接続ではダ
rIB 牝
ンピングファクターDFはほとん
どゼロですから, DFを3程度ま
・Ⅴ) で上げるには4倍(12dB)の棉還
た, 量が必要です.出力管にPG帰還 510 100 r 8k 飛 負 + T夢 Q 50 淋 。 ) 300
ド をかけた場合の帰還量解析を図5
-7に示します. [図8コ6922/E88ccプレート特性
の
己庄 PG帰還前の所要人力(グリッ
ま ド・カソード間)は13.2Vですか ります.したがって, Rsの47kE2 の特性を揃える観点から双3極管
声は ら,帰還後の所要人力が4倍の との合計値である60kOが出力段 が妥当です.
;hす
53VになるようにRs, Rfを決め の入力インピーダンスとなります. これらの条件を満たす真空管と
己流 ればよいことになります.つまり, ドライブ段は,この60k幻負荷を して, 6DJ8ファミリー, 6BQ7,
しで Ⅰ点とG点の間の電圧が40Vにな 駆動できる設計が求められます. 5687, 12BH7などが候補にあ
しの ればよいので, Rf=200kE2と置く (3)ドライブ段 がりますが,適度な増幅率と直線
し と, R5 -200kE2 ⊥(163V+13.2V) 本機のドライブ段は,以下の条 性の良さが特徴で 現行生産品
■ス
×40V〒45.4kOとなります.そこ 件を満たすことが必要です. もあるdDJ8ファミリーの6922/
)て で, Rsに47kE2を実装すると, Ⅰ ①155Vp_p以上のドライブ出力 E88ccを選択することとします.
71 --L
点の所要入力は(163V+ 13.2V)- 電圧 図8が6922のプレート特性で
・拝 200kE2× 47k0-41.4V, 132V+ PG帰還後の出力段は最大出力 す.ドライブ段は130V, 6mA,
唱= 41.4V-54,6Vとなるので,実際 時に54.6Vrms- 155Vp_pの入力 バイアスー3.5Vを動作点とし,
lA の帰還量は20×Log(54.6T13.2) を要求します.したがって,ドラ 負荷抵抗を22kE2とします.也
±12,3dB(4.13倍)となります(図 イブ管はEg1-0のプレート特性 力段の人力インピーダンスが60
イ 6). 曲線の立ち上がりがよく,大電圧 kOですから,この段の実質負荷
′サ
次に, PG帰還後の出力段の入 が取れることが必須条件です. は22kE2〝60kE2± 16kE2となり, 16
MJ 201 8/3 95
I . = ・ . . 団 _ : ・ ⋮ . . ∴ ・ . 5 い 州 ︰ ・ ⋮ . i , : I .
特 性
以下, R-chを代表特性として
示します.
(1)入出力特性(図11)
本棟は合計19dBの負帰還をか
けるので,無帰還時の給合利得は
100倍超ときわめて高く, 120mV
入力で出力20Wに達します.出
力段のPG帰還12.3dBをかける
と380mV人力で,また加えてク
ロスPG帰還をかけると660mV
入力で,それぞれ最大出力の20
Wとなります.
以下 出力段PG帰還のみ,お
[図10]部分実体配線図
よびクロスPG帰還もかけた場合
について説明します.
: . ・ 朗 . 。 ・ . I . . .
アースやシャシーに流さないよう ゼロ電位点を, 10E2の抵抗を介し (2)周波数特性(図12)
にします.そして,電源ループの てシャシーアース点に接続します 周波数特性の低域は20Hzまで
フラット 高域側はいずれの場合
ち-3dBとなる周波数は100kHz
以上です.クロスPG帰還をかけ
た場合は, 150kHzに向けて利得
の落ち方が緩やかになり,わずか
′
に高域の揺れが残っているようで
' ・ ] . .
′
す.
_/ (3)ダンピングファクター(図
13)
ダンピングファクターは局部
・ ・
′
[図11]入出力特性 PG帰還のみで1.55,クロスPG
' r .
(R-ch, 1kHz) 帰還をかけると2.7に上昇します
_00 1 0 偵
が,いずれも設計億に比べて低
い値に留まりました これは,本
200
機の負帰還の起点が出力トランス
000 の1次側であるため, 1次と2次
-2 0D 間の伝送ロスや2次側巻線・配線
などに起因するインピーダンスが,
-■FB無 ・l.PGNF 剪 辻メメ "
-400
-.●C PG 披 F
帰還電圧の監視対象外になってい
宅JS00
るためと考えています.
400
(4)歪率特性(図14-17)
-1000
図14 15はPG帰還のみの場
1200 LJ 合です.歪率が1%を超えるのは
4-6Wからで, 15Wで2%です.
- flo 一oo 1 ,000 10.000 1 00,000
100 MJ
6L6GCプッシュプルパワーアンプ
3 2 整 凸 1 1
00 50 00 部 881
出力まで1%以内とプッシュプル Ill.L
て がわかります.
図16, 17はPG帰還に加えて
クロスPG帰還もかけた場合で, 010周波数(Hz)1.00010.000
は します.
lV なお,残留雑音はいずれの場合
出 もAカープ補正後50iLVと低いレ
る ベルです.
一ト I 1「■ エ エ
ク (5)方形波応答(写真8-13)
lV PG帰還のみの場合は写真8
20
-10で,いずれも方形波がきれ
ク`'
いに通っています.特筆すべき ノク
お は10kHzで,立ち上がりが速く,
(
上空
仁コ 残留振動もほとんどありません.
ループ帰還と違って遅延した信号
■\ _/
が帰還される現象が発生しにくい
で ため,位相補正なしで抜群の安定
▲ゝ
ロ 性を示します.このあたりが局部
001 010 1 00 1000
iz 帰還の優れた点といえそうです. 出力(W)
一方,クロスPG帰還をかけ
け [図14]歪率特性(R-ch,帰還のみ)
得 た場合は写真11-13のとおりで
か 10kHzの立ち上がりはさらに速 (6)パワーバンド(図18) コアの直流磁化がなく,低音域が
で くなりますが,わずかな振動が残 50Hz∼20kHzの範囲で正弦 素直に伸びます.また,高域位相
ります.大きなピークがあるわけ 波が18Wまで通ります.低域は 補正が入っていないので,スピー
図 ではないので位相補正はしていま 20Hzで4Wと,出力トランス設 ド感のある中高域が得られます.
せんが,この違いが音にどのよう 計の狙い値どおりです. 以下のヒアリング結果は,筆者
部 P す 低 本 ス 次 線 析 い
な影響を与えるのか(あるいは与 の部屋における個人的な感想です
ヒアリング結果とまとめ
えないのか),ヒアリングで検討 から,その前提でお読みください.
します. 本機はプッシュプルのご利益で (洋室6畳JBL LE8T十2402)
・.-■-1kHzH2 剪 リ ツ
+1kHzH3 剪 一l
5- _-∫
場はす大大
■項
出力(W) 出力(W)
一 ・..■- 牟 エ 鮭 H
∼.WYY
一一一一一 牟 H ド_J
≡
20 1 00 1.000 10,000 1 00,000
周波牡(HZ)
[図18]パワーバンド(R-ch)
m柑桃恥掛川耶ひLH・。・︰︰L
′
音像がわずかに大きくなる印象を
受けますが,複数の楽器や声が重
なる曲では,局部PG帰還のみの
/
- 場合とほとんど違いがありません
でした.計測上のダンピングファ
出力(W)
クターは1.55から2.7に上昇する
[図17] 1kHz歪率内訳(R-ch,クロスPG帰還あり)
ので,スピーカーシステムや試聴
環境によっては違いが出るかもし
れません
芦芦等
(2)電源共振周波数による違い
スピーカーや部屋の状況で効果
が変わってくると思います.私の
スピーカーシステムはバスレフポ
L製、∵Z・:・・㌧,.
ートの共振が55Hz (A音)近辺で
すから,アンプは16HzのC音共
波形(R-ch, i-100Hz, 形(Lch, i-1kHz, PG 形(LICh, f-10kHz. PG
振とするほうが残響のバランスが
PG帰還 上 人九 下 帰還 上.入九下 出力) 帰還,上人九下'出力)
よいようです.ここの周波数の選
択は,実際に音出ししてみるのが
一番です.
岳ii
(3)まとめと感想
ビーム管接続のdLdに12dBの
PG局部帰還という組み合わせは,
本誌記事やネットを探しても前例
が見当たらないと思います.しか
:(.:= TZ
し,今回チャレンジしてみて好結
形(R-ch, I-100Hz,ク 形(L-chJ-1kHz.クロ 形(Lch, f-10kHz,ク
ロスPG帰還,上人九下 スPG帰還,上:入九下・ ロスPG帰還,上▲入九 果が得られたと思います.
出力) 出力) 下 出力) 6L6系以外でも,オーディオ
用の多極管であるdCA7, 6Vd,
(1)クロスPG帰還の有無によ PG帰還の特徴であるように思い KT88などは,固定バイアス時の
る違い ます.一般的に,オリエントコア グリッドリークが100kE2以上ま
出力段の局部PG帰還のみで試 の出力トランスは低域音像が広が で許容されているので,本税と同
聴したところ,リアリティのある る傾向にあるのですが,本棟では 様に多量のPG帰還が比較的容易
';..
102 MJ 201