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<たみ先生の文章で読むアナリーゼ> XXIX

(※ 引用はひと声かけてくださり、
「たみ先生による」と書き添えてくださいネ)
◆ バッハ:平均律クラヴィーア曲集第 1 巻 第 1 番 ハ長調 BWV 846 から フーガ
この辺りで、主唱と答唱がトニック I -ドミナント V の関係になっているフーガも一
度見ておきましょう。
有名なグノーの《アヴェ・マリア》の伴奏形である、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」
第1巻第 1 番(ハ長調)のフーガを取り上げます。
ハ長調:ドレミファソファミラ I レソ_ソラソファミ
(リズム無しで失礼!)
という主唱で始まります。
【問題】 和声外音を外してみてください。
A:ドミファミ I レソミ
A さん、よく還元できましたね。
では、答唱は?
B: 〈ト長調:ソラシドレドシミ I ラレ_レミレドシ〉
、だから、〈ソシドシ I ラレシ〉
そうです、どこにも主音から属音の跳躍がないので、この主唱と答唱は音程関係が完全
な一致なのです。
【問題】 では、四声部の入りを見つけてください。
A:これは、鍵盤楽器の曲だから、わかりやすいです。
アルト-ソプラノ-テノール-バスの順で・・・、あれ?また主唱-答唱-答唱-主唱
です!
よくできました。そうですね、よくフーガの入門書にあるような主唱-答唱-主唱-答
唱と綺麗に並んでいるフーガに、まだ出会いませんね。
バッハは、順番よりも、音域とか音楽の流れに重点を置いて作曲していたことがよくわ
かります。
そして、対唱を見つけて欲しいのですが、これもなかなか同じ形では現れません。
A:え〜と、最初のアルトの声部が続けて歌う、3 小節目裏拍からの:
ファ♯ソーーファ♯ミファ♯レ I ソ
が、最初の対唱ですね。
【問題】還元すると?
B:ファ♯ソファ♯レ I ソ
【問題】 ええ、ではそこはどういう和声ですか?
A:還元したもの同士を組み合わせると:
ソプラノ:ソシ I ド シ ラ レ I シ
アルト : ファ♯ソ ファ♯ I ソ
つまり、3 小節目 1 拍目が V ドミナント、2 拍目が I トニック 3 拍目と4拍目が V ド
ミナントで、4 小節目 1 拍目が I トニック・・・
あれ?ドミナントとトニックだけでできてる!
そうなんです!こんなに骨組みは単純なのに、和声外音=装飾がつけられるとなんと美
しい 2 声部の旋律なのでしょう!
バッハは、シンプルであり華やかであり奥が深い証明ですね!
To be continued...

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