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練習問題の解説

第 12 章 産業連関分析
1. 国 内 産 業 が 3 つに分 割 している場 合 の産 業 連 関 表 が下 表 のとき、空 欄 の①~⑥に該 当 する数
値 を答 えなさい。またこの国 の国 内 総 生 産 はいくらか答 えなさい。
[地 方 上 級 2007、1999 など]

産出 . 中間需要 総産出額


最終需要
投入      .
第1産業 第2産業 第3産業 (国内生産額)
中 第1産業 10 30 ① 100 190

第2産業 20 80 60 ② ③

入 第3産業 40 90 90 170 390
付加価値 ④ 110 190
総投入額
⑤ 310 ⑥
(国内生産額)

解答 1.①50、②150、③310、④120、⑤190、⑥390、国 内 総 生 産 は 420。
【解説】
表 26- 1 な ら び に 168~ 170 ペ ー ジ の 関 連 す る 解 説 を 参 照 し て く だ さ い 。
まず産業連関表では、最終列の総産出額(テキストでは国内生産額)と最終行の総投
入 額( 同 じ く 国 内 生 産 額 )は 一 致 し ま す 。し た が っ て 第 2 産 業 の 総 産 出 額( 国 内 生 産 額 )
③ = 310、 第 1 産 業 の 総 投 入 額 ( 国 内 生 産 額 ) ⑤ = 190、 第 3 産 業 の 総 投 入 額 ( 国 内 生 産
額 ) ⑥ = 390、 で す 。
..
次に産業連関表を横に読み、中間需要と最終需要の合計が総産出額(国内生産額)に
なる関係を第2産業について注目することで、第2産業の最終需要②=③-(中間需要
の 合 計 )、 で す 。 し た が っ て 、 ② = 310- 20- 80- 60= 150。
同 じ 関 係 を 第 1 産 業 に つ い て 注 目 す る と 、 ① = 190- 10- 30- 100= 50、 で す 。( 総 産
出 額 ( 国 内 生 産 額 ) - 第 1 産 業 の 中 間 需 要 - 第 2 産 業 の 中 間 需 要 - 最 終 需 要 )。
..
産 業 連 関 表 を 縦 に 読 む こ と で 、中 間 投 入 の 合 計 と 付 加 価 値 を 加 え た も の が 総 投 入 額( 国
内 生 産 額 ) に な る こ と か ら 、 ④ = ⑤ - ( 10+ 20+ 40) = 190- 70= 120、 で す 。
最 後 に 産 業 連 関 表 に お い て 国 内 総 生 産( GDP)は 、 最 終 需 要 の 合 計 な い し 付 加 価 値 の
合 計 と し て 集 計 さ れ ま す( 第 2 章 で 見 た 国 民 所 得 統 計 の 考 え 方 と 同 じ で す )。い ず れ で 計
算 し て も 420。( 100+ ② + 170= 100+ 150+ 170、 あ る い は 、 ④ + 110+ 190= 120+ 110
+ 190)。

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2. A、B、二 つの産 業 からなる産 業 連 関 表 で、投 入 係 数 の値 が下 表 のように与 えられています。
ここで各 産 業 の総 産 出 量 が A は 300、B は 200 のとき、各 産 業 の付 加 価 値 を答 えなさい。
[ 国 家 Ⅱ 種 2002]

産出
産業A 産業B
投入   .
産業A 0.10 0.20
産業B 0.25 0.30

解答 産 業 A は 195、産 業 B は 100。
【解説】
ま ず 投 入 係 数 の 意 味 を 思 い 出 し ま し ょ う( 170 ペ ー ジ )。つ ま り 産 業 連 関 表 を 縦 に 読
み、総産出量(国内生産)で産業部門毎の中間投入を除した値が投入係数です。した
が っ て 産 業 A が 自 部 門 で あ る 産 業 A か ら 購 入 す る 中 間 投 入 を x 11 、産 業 A の 総 産 出 量
を X 1 と す る と 、 1 行 1 列 目 の 中 間 投 入 a 11 ( = 0.10) = x 11 ÷X 1 、 で す 。
ゆ え に 、 中 間 投 入 x 11 = a 11 ×X 1 = 0.10×300= 30。
次 に 、産 業 A が 産 業 B か ら 購 入 す る 中 間 投 入 を x 2 1 と す る と 、a 2 1 = x 2 1 ÷X 1 。ゆ え に 、
中 間 投 入 x 2 1 = a 2 1 ×X 1 = 0.25×300= 75、 で す 。 し た が っ て 産 業 A の 中 間 投 入 の 合 計 は 、
30+ 75= 105。 前 問 で 説 明 し た よ う に 、 こ れ を 総 産 出 量 ( 国 内 生 産 ) か ら 差 し 引 く こ
と で 産 業 A の 付 加 価 値 が 求 め ら れ ま す 。 300- 105= 195( 答 )。
産業 B についても同様に計算します。
¾ 産 業 A か ら 購 入 す る 中 間 投 入 =[ 投 入 係 数 a 2 1( = 0.20)]×[ 総 産 出 量( = 200)]
¾ 産 業 B か ら の 自 部 門 投 入 = [ 投 入 係 数 a 2 2 ( = 0.30)] ×[ 総 産 出 量 ( = 200)]
¾ 中 間 投 入 の 合 計 は 、 0.2×200+ 0.3×200= 100。
し た が っ て 、 産 業 B の 付 加 価 値 = 200- 100= 100( 答 )、 で す 。

3. 2 部 門 からなる下 表 の産 業 連 関 表 があります。ここで第 2 部 門 の最 終 需 要 が 10 単 位 増 加 し
た場 合 、第 1 部 門 と第 2 部 門 の総 生 産 はそれぞれどれほど増 加 するか答 えなさい。ヒント:
産 業 連 関 分 析 において不 変 と仮 定 されている投 入 係 数 行 列 を求 め、連 立 方 程 式 を作 りま
す。
[ERE 第 14 回 2008、国 税 専 門 官 1997 など]

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産出 . 中間需要
最終需要 総生産
投入      . 第1部門 第2部門
中 第1部門 20 70 10 100


入 第2部門 20 20 60 100

付加価値 60 10
総生産 100 100

解 答 第 1 部 門 は 14、第 2 部 門 は 16。
【解 説 】
表 投入係数行列
① ヒントには対 応 しない解 説
a 11 = 0.2 a 12 = 0.7
産 業 連 関 表 を縦 方 向 に 読 み、中 間 投 入 を各 産 業 部 門 の総 生 産 ( 国
a 21 = 0.2 a 22 = 0.2
内 生 産 、いずれも 100)で除 すことによって右 表 の投 入 係 数 行 列 が求 め
a 11=20÷100
られます。これを 171 ページの(26-12)式 および(26-13)式 に代 入 する a 21=20÷100
ことで、両 産 業 部 門 の 最 終 需 要 に よ って決 定 さ れる各 産 業 部 門 の総 生 a 12=70÷100
a 22=20÷100
産 を求 める式 が得 られます。最 終 需 要 を、F 1 、F 2 として、

1 − 0 .2 0 .7
X1 = F1 + F2
(1 − 0.2)(1 − 0.2) − 0.7 × 0.2 (1 − 0.2)(1 − 0.2) − 0.7 × 0.2
0 .8 0 .7
=
   F1 + F2
0.64 − 0.14 0.64 − 0.14
0 .8 0 .7
=
   F1 + F2
0 .5 0 .5
= 1.6 F1 + 1.4 F2
  
0 .2 1 − 0 .2
X2 = F1 + F2
(1 − 0.2)(1 − 0.2) − 0.7 × 0.2 (1 − 0.2)(1 − 0.2) − 0.7 × 0.2
0 .2 0 .8
=
   F1 + F2
0.64 − 0.14 0.64 − 0.14
0 .2 0 .8
=
   F1 + F2
0 .5 0 .5
= 0.4 F1 + 1.6 F2
  
上 記 2式 が、各 産 業 部 門 の最 終 需 要 が1単 位 変 化 した場 合 の各 産 業 部 門 の総 生 産 (国 内
生 産 )の変 化 を示 します(誘 導 形 方 程 式 とよびます→33 ページ)。したがって問 題 文 にある第 2
部 門 の最 終 需 要 10 単 位 の増 加 は、第 1部 門 の総 生 産 を(1.4×10=)14 単 位 増 加 させ、第 2
部 門 の総 生 産 を(1.6×10=)16 単 位 増 加 させることになります。(答 )

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② ヒントに対 応 した解 説
171 ページの(26-12)式 および(26-13)式 を忘 れてしまったら?(26-7)式 に戻 って解 答 を
得 ることがで きます。(26-7) 式 と 投 入 係 数 の 性 質 は 産 業 連 関 表 の 構 造 を理 解 する 上 で 最 も
基 本 的 なも のです。これだけは忘 れないでほしいと思 い ます。これに より( 26-8)式 が 得 ら れ ま
す。投 入 係 数 と最 終 需 要 、それに総 生 産 はすでに得 られているので、(26-8)式 さえ思 い出 せ
ば、この問 題 は解 くことができます。

X 1 = a11 X 1 + a12 X 2 + F1
X 2 = a 21 X 1 + a 22 X 2 + F2

問 題 が求 めるのは、最 終 需 要 が 10 単 位 増 加 した状 況 ですから、上 式 で F 2 =60+10=70 と


置 き換 えます。F 1 =10 は変 わらず、投 入 係 数 a i j は先 の図 に示 すとおり。X 1 と X 2 が未 知 数 とな
る下 記 の連 立 方 程 式 が得 られます。係 数 の数 値 が定 まっているので、テキストの展 開 よりも容 易
に解 くことができます。
X 1 = 0.2 X 1 + 0.7 X 2 + 10
X 2 = 0.2 X 1 + 0.2 X 2 + 70
まず X 2 の項 が左 辺 となるように変 形 します。
− 0.7 X 2 = −0.8 X 1 + 10
0.8 X 2 = 0.2 X 1 + 70
第 1式 の両 辺 に-8を、第 2式 の両 辺 に7をかけて、両 式 の辺 辺 を引 きます。

5.6 X 2 = 6.4 X 1 − 80
5.6 X 2 = 1.4 X 1 + 490
∴ 0 = 5 X 1 − 570
∴ X 1 = 570 ÷ 5 = 114

第 1部 門 の総 生 産 が(114-100=)14 単 位 増 加 しました。これを上 記 第 1の式 に代 入 して、

5.6 X 1 = 6.4 × 114 − 80


5.6 X 1 = 729.6 − 80 = 649.6
X 1 = 649.6 ÷ 5.6
= 116
  
第 2部 門 の総 生 産 が(116-100=)16 単 位 増 加 しました。

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③ ヒントには対 応 しない解 説
行 列 代 数 を使 うと、先 の投 入 係 数 行 列 から①レオンティエフ行 列 、②レオンティエフ逆 行 列 を
計 算 することができます。下 の2つの表 のように計 算 できます。レオンティエフ逆 行 列 の各 要 素 が、
最 終 需 要 の変 化 に対 応 する各 産 業 部 門 の総 生 産 の変 化 を意 味 するので、第 2部 門 の最 終 需
要 が 10 単 位 増 加 した場 合 の、各 産 業 部 門 の総 生 産 の変 化 は、b 1 2 ×10=14(単 位 の増 加 )、
b 2 2 ×10=16(単 位 の増 加 )となります。(171 ページの も参 照 してください)。

表 レオンティエフ行列
(1-a 11)=0.8 -a 12=-0.7

-a 21=-0.2 (1-a 22)=0.8

表 レオンティエフ逆行列
b 11=1.6 b 12=1.4

b 21=0.4 b 22=1.6
注:173ページの(26-16)式を用
い、レオンティエフ行列の数値から
求めます。

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