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日本語教育文法からみた「やさしい日本語」の構想
日本語教育文法からみた「やさしい日本語」の構想
『 8号
日本語教育文法か らみた「
や さしい 日本語」の構想
一初級 シラバスの再検討-
庵 功雄
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-2
55-
庵 功雄 「日本語教育文法からみた 「
やさしい日本語」の構想」
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J
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【
要旨】
新来外 国人が増加す るにつれて、地域 における日本語教育が重要性 を増 し
て きている。地域型 日本語教育は学校型 日本語教育 とはかな り異 なる存在で
あ り、地域型の特徴 に合 った教育が行 われる必要がある。一万、 日本社会が
完全 には多言語化 していない (
そ して、それが困難である)現状 に即 して、「や
さ しい 日本語」 とい うもの を設定す る必要がある。
「や さ しい 日本語 」 は文 法面 で はSt
ep1
,2とい う2
段 階 か ら構 成 され る。
St
eplは活 用 を伴 わ ない レベ ルで あ り、St
ep2には理解 レベ ルが存在 す る。
St
ep1
,2を合 わせ て も現行の初級文法 シラバ ス よ り大幅 に簡素化 されている
が、産出を重視す る立場か らすれば、これで十分であると言 える。 日本語教
育文法か ら見たSt
ep1
,2の安当性 は論理的に も説明で きるが 、KYコーパスを
利用 した山内 (
200
9)の分析 と比較 して も、その妥当性 は説明で きる。
「や さしい 日本語」が理想 とす る社会 は、外 国人側 に一定の 日本語習得 を
求める一方で 日本人側 も 「や さしい 日本語」で話 した り害いた りす ることを
学ぶ、両者が寄 り添いあ う社会である。本稿 は現在多面的に展開 しつつある
「や さしい 日本語」 を軸 とす る研究 プロジェク トの基盤 となる概念 を整理 し
た ものである。
0.は じめに
新来 (
ニューカマー)外国人の数が増加す るにつれ、 日本で生活す る外 国
人のあ り方 も多様化 して きてお り、 日本語教育 について もこれ までの留学生、
就学生 を対象 とす る もの とは異 なる考 え方が必要 とな りつつある。本稿では
-2
56-
『
語学教育研究論叢』第2
8号 (
大東文化大学語学教育研究所2
011
)
地域型 日本語教育 (
尾崎2
004) における 「
初級」のあ り方 についての私見 を
述べ たい1。
や さしい 日本語」
2.地域型 日本語教育 と 「
本稿では地域型 日本語教育 における 「
初級」について考 えるが、
その際 「
や
さしい 日本語」 とい う概念 を提示す ることにす る。
2- 1.「
や さしい 日本語」 とは
新来外 国人が増 えるにつれ、その人たちの 日本での生活 を言語的にどの よ
うに保証す るか とい うことが問題 となって くる。その際、理想的なのは多言
語化であるが、現状ではそれ を実現す るのは難 しい。実際、多言語化す るの
にはコス トがかかるため、 自治体 な どが 情報 を出す場合英語 だけです まされ
ることが多い。岩田 (
201
0)が考察 している広島の場合の ように、一部の情
報 は多言語化 されていて も、英語版 しかない場合 も多 く、母語の違いで情報
に格差が生 じている2。
こ う した現 状 に お い て 必 要 と され るの は 「補 償 教 育 (
compe
nsa
tor
y
e
duc
ati
on)
」(山田2
002)の対象 としての 日本語である。 山田 (
2002)によれば、
-2
57-
庵 功雄 「日本語教育文法か らみた 「
やさしい日本語」の構想」
補償教育 とは 「
本来 な らば [日本]社 会 を多言語化す るべ き」 だが、現状 で
はそ うでない とい う 「
不条理 を 日本側が詫 び」、「そのかわ り自己実現 を可能
にす る一定以上 の 日本語能力が習得 で きる機会 を 「
償 い」 と して保 障す る」
とい うことである。
こう した補償教育の対象 と しての 日本語 を本稿 では 「や さ しい 日本語」 と
呼ぶ3. こ捌 ま、 (
近い)将来新来外 国人に対す る初期 日本語教育の公的保障
が実現 した際 にその対象 として 「や さ しい 日本語」が想定 されることも視野
に入れた ものである。
2-2.「や さ しい 日本語」の内実
前小節 では 「や さ しい 日本語」の必要性 について述べ たが、 ここでは 「や
さ しい 日本語」が具体 的 に どの ような ものであ るか について述べ るJ
。 まず、
最初 に理解 レベル と産出 レベ ルの違いについて述べ る。
2-2-2.SteplとSIep2
以上 の ことを踏 まえて、「や さしい 日本語」 は 2つの段 階 (
Ste
plとSt
ep2)
か ら構 成 されることとす る。
-2
58-
語学教育研究論叢』 第2
『 8 大東文化大学語学教育研究所2
号 ( 011
)
疑問詞 だれ、何、何 ○ (
何時、
何年、うが 何個、
何歳、 ∼か(
疑問) ∼ね(
確認)
どっち、どの、どう、どうや って、どう 何人、何杯)、どこ、いつ、 どれ .
指示詞 (
絵 してですか ?[
かたま りとして導入】
これや写真
,それを汚
.あれ/
さしなが
こ ら)
これは何ですか ?
望)
、たぷん∼です/ ∼ます( 推量
その他 バナナを食べたいです(
っち
願 .そっち .あっち/ ここ .そ こ .あそ こ
項目
語嚢的な 数字、
∼の とき、∼ですか
助数詞( ら(
理由) )
、いちばん
一方 、St
eplを終 え個、人、杯)∼曜 日、頻度副詞(いつも、ときどきなど)
ルの項 目も現 た学習者が進 む レベルであるS
tep
2レベルでは理解 レベ
St
eplとSt
ep2
れる。
の関係この 表 2)の通 りである。
を レベルの文法項 目は次の (
まず 、S
teplレベ 寺村 1
概言 ( 984
)の表現 を例 に示す と次の通 りである。
lないので、副詞 「たぶん」
ルでは活用 を伴 う表現 は便わj
によって概言であるこ
は普通形が使 える 述語 はデス ・マス形)。次のS
とを示す ( t
ep2レベルで
だ し、 (
現行の初級ようになるので、「と思い ます」が使 えるようになる。 た
味の 「で しょう」 教科書 とは異 な り)「で しょう」 は導入 しない。推量の意
うのが普通で、 対話)では 「か」「ね」 な どの終助詞 を伴
は話 しことば (
な例 に見 られるような誤用
「で しょう」で言い切 も 「
るのは
を防 ぐために まれであ る。 さらに、次の よう
庵2
い ( 0
09 0
b) で しょう」 を含めるべ きではな
庵 功雄 「日本語教育文法か らみた 「
やさしい 日本語」の構想」
表 2) St
( ep2レベルの文法項 目
STEP2レベル文法項 目
産出 レベル
形態論 ∼て(
テ形) ∼た(
タ形) 辞書形 ∼ない(
ナイ
助詞 飛行機 で東京か ら大阪 まで帰 ります○(
か ら、まで 形)
形式名詞 :
場所)
文型 ∼は-
こと ことですO
もの-
ボイス ∼ ことができます ∼た
く/∼
り∼た りします
アスペク ト ∼ています (
まだ)
∼てい に/ ∼よ うにな ります
諺
モ)ダ リテ ィ(
認 ∼ と思います ません ∼た ことが あ ります
モ ダ リテ ィ(
対 ∼て く ∼な くちやいけません( 当為)
人) だ さい,
-ないで
∼て もいいですか( 許可求 くだ さい(
依頼)
って、
本 を借 ります○」) ∼てか ら
複文 .
接続詞 ∼て(「図書館 に行 め) ∼たいんですが(願望、許可求め)
∼
∼けど(
とき(
時間)
逆接、前置∼たき)
/ら(
∼O
条件)
でも、 ∼ので(
理 由)
(
/継起)
∼○だか
∼ために/∼よ うに/∼ための( 目的) ら、
その他 ∼
理解
モ ダ リテ
レベル んです ど うして-んですか ? ∼か らです ○
人) ィ(
対 ∼ま もいいです(
∼て しよう(
勧誘) ∼たほ
許可) うがいいです(
当為) ∼な さ
∼てはいけません(
禁止)
(
1)教 師 :王 さん、田中君が どこにい るか知○)
(名詞化)
なお、王
「よ(
学生 ):?
うです/ み図書館 」「ら しいです」
で しょう
たいです (
okだ と思 い
らない
なます)0 しない (
?
ども導入 St
レベ ルで これ らと 「と思 い ます」 との使 い分 け を扱 う必要 はない)。 e
p2
この ように 、St
ep1
,2で は 「
1機 能1
3. 日本語教育文法 か ら見 た 「や さ しい
形式」日本を原則
語」 と してい る。
2節 で は 「や さ しい 日本語 」 につ いて見 て きた。前述 の よ うに、「や さ し
い 日本語」 は補償教育 の対象 と して想定 され る ものであ る。 その 目的 を果 た
す た め には、「や さ しい 日本語 」 は知 的意味 を不足 な く表現 で き
語学教育研究論叢』第2
F 8 大東文化大学語学教育研究所2
号 ( 011
)
3- 1.Step1,2と現行初級文法 シラバ ス
tてい る もののS
この小節 では、現行の初級教科書 では通常採用 さj t
ep1
,2
には含 まれない項 目を取 り上 げ 、St
ep1
,2の特徴 を明 らか にす る。
3- 1- 1.動詞の 自他
まず 、最初 に取 り上 げるのは動詞の 自他 であ る。動詞 の 自他 (
特 に 自動詞
的表現 を好 む傾 向) は 日本語 の特徴 の 1つ と して挙 げ られる (
cf.池上 1
981
、
寺村 1
976
)。例 えば、次の ような場面で (
他動詞 も使 えるに もかかわ らず通常)
自動詞が使 われることはそ う した考 え方で説明で きるであろ う。
(
2) (
駅の アナ ウンス) ドアが 閉 ま ります。 ご注意 くだ さい。
しか し、初級 において この ような微妙 なニュア ンスの差 を問題す る必要 は
ない と考 え られ る。一方、現行 の初級 の文法 シラバ ス にお いて動詞 の 自他
に直接連 関す るのは 「ている」 と 「てあ る」の区別である。 これについては、
中俣 (
201
0)において興味深い調査結果が報告 されてい る。
中俣 (
201
0)は、「日本語話 し言葉 コ-バ ズ」(
CSJ
)㌔「名大会話 コーパス」、
現代 日本語書 き言葉均衡 コーパス」(
「 BCCWJ
)における 「てあ る」(
及 び 「て
お く」
)の全用例 を調べ た ものだが、その結果 による と、「てある」 に前接す
る動詞 のバ リエ ー シ ョンはか な り限 られてお り、全用例 の約半数 は 「
書 く」
であ る とい う。 この結果か ら、現行の初級教科書 の ように 「自動詞 :ている、
他動詞 :てある」 と考 える必要 はな く、初級 では 「
基本的に 「ている」、「
書
く」の ときだけ 「てあ る」 中俣 2
」 と考 えれば よい ことになる ( 010)
。いずれ
にせ よ、初級 で動詞の 自他 を集 中的 に導入す ることは費用対効果の点で大い
-2
61-
に疑問である。
3- 1-2.授受表現
次 に授受表現である。授受動詞 「あげる、もらう、くれる」の うち、「あげる」
と「もらう」の関係 は能動文 と(
直接)受動文の関係 に対応す るものであ り(
cf.
庵2
001
)、 また、英語のgi
ve-
rec
eiveの ように多 くの言語で同種の語桑のペ ア
が存在す ることか らも学習者 にとって理解 しやすい ものであると考 えられる。
一方、「くれ る」 に当た る語秦 を持 つ言語 は非常 に少 な く (
cf.Yamada
1
994
)、 また、適切 に導入 して も一定期 間次の (
3)の ような誤用が見 られる
とい うこと、 さらに、「くれる」の大部分が 「もらう」 を用いて表現で きる
ことか ら、「くれる」 は初級で導入す る必要 はない と考 える。
3)●
( 田中 さんが私 に本 をあげ ました (
ok くれ ました)0
授受動詞 はテ形の補助動詞 (
∼てあげる、∼て もらうなど) として使 われ
る方が多い。 これ らは恩恵の授受 を表すが、 こうした命題 にかぶ きって表 さ
れ る意味 は命題 レベ ルでの内容のや りとりを問題 とす るSt
ep1
,2では扱 う必
要はない (もちろん、 よ り進んだ段 階ではこれ らも導入す る)。
3- 1-3.受身
次に、受身について考える。受身の分類 には諸説あるが、直接受身 と間接
受身に分けることは一致 した見方である。 ここでは、この 2つの受身のいず
れ もが初級 には不要であることを示す。
まず、直接受身だが、直接受身で表 される内容 は基本的に能動文で代替可
能である。なお、このことは能動文 と直接受動文の機能が同 じであるとい う
ことを主張 しているわけではない。両者の間には (
4)に見 られるような差
がある。すなわち、 日本ハムフアンの発話 (
及び、中立的な発話)では (
4)
aが用い られるのに対 し、西武 フアンは (
通常) (
4)bを発話す るといった違
いである (
cf.庵2
001)。
4)a
( .ダルビッシュが西武 を迎えと 。 (
能動文)
-2
62-
語学教育研究論叢』第2
『 8 大東文化大学語学教育研究所2
号 ( 011
)
b.(
西武が) ダル ビッシュに抑 え られた。 (
直接受動文)
こう した違い を指摘す ることは (
直接)受身の導入 において重要ではあ る
が、現実 には現行 の初級教科書 において も受身は形態論的 レベ ルを大 きく出
てはお らず、 こう した違い を学習者が表現 し分 け られてい る とは言 えないの
で はなか ろ うか。そ うであ るな らば、St
ep1
,2に直接 受 身 を含 め る必要 はな
い と言 えよう。
一方、間接受 身であるが、間接受 身は対応す る能動文 を持 たない とい った
点で、非典型 的な受 身であ る と言 える。その ことの反映 として、実例 の数が
直接 受 身 に比べ て少 ない。 この こ との1
例 と して、筆者 の授業 の課題 と して
提 出 された レポー トの結果 を取 り上 げる。 この レポー トでは次の書物 におけ
る受身の出現 回数が調査対象 とされた。
阿部謹也 (
2007) 『自分のなか に歴 史 をよむ』 (
ち くま文庫)
その調査結果 に よる と、受動文 の全用例 2
83例 の全 てが直接 受 身で、間接
受身 (
持 ち主の受 身 を含 む)の用例 は1
例 もなか った とい う。 こ う した間接
受 身の出現頻度の少 な さは当該授業 の他の課題 レポー トで も確認 された。以
上見た ような出現頻度の少 な さか ら間接受身 を初級 で導入す る必要 はない と
言 え る。
3-1-4.使役
使役 につ い て は岩 田 ・森 (
201
0) に詳細 な議論 が あ る。 それ に よる と、
KYコーパ スで調べ た結果、使役 の出現数 は少 な く、次の ように、使役 を使
わな くて もいい場面で使役 を使 った結果誤宙 になってい る もの も多い との こ
とであ る。
5) あー、わ きます、<ん>わかせ て、水 を、<えーえー>あー、完全 に、
(
(
韓 国中級) 正一 わか して
6) わた しの、い えに、<はい>あの、誰 かあの、はい らせ 、 ま した、
(
はい らせ ま した (
英語 中級) 正一誰かに入 られた/誰 かが入 った
また、 これは岩 田 ・森 (
201
0)で触れ られていない論点であるが、「
裸の」
使役形 (
「(さ)せ る」のみで用 い られ る形) には次の ような使用制 限がある。
-2
63-
庵 功雄 「日本語教育文法からみた 「
やさしい日本語」の構想」
す なわち、「
裸の」使役形 は使役者が被使役者 (
動作主) よ り上 の立場 の も
のでなければ使 えない。
7) 父親は娘 を買い物 に行かせ た。
(
8) ?
( 娘 は父親 を買い物 に行かせた。
こうした制限は 「て もらう」 には存在 しない。
7) '父親は娘 に買い物 に行 って もらった。
(
8) ■
( 娘 は父親 に買い物 に行 って もらった。
こ う した こ とか ら、「裸 の」使役形 よ りもそれ と相補 的であ る 「て もら
う」 8を先 に導入す る必要があることが わか る。 この点か らも初級 において
使役 を導入す る必要 はない と言 える。
3- 1-5.敬語
最後 に敬語 についてである。狭義の敬語である尊敬語 と謙譲語 はSt
ep1
,2
の対象ではない。それは、これ らを使い こなす ことは 日本語母語話者 にとっ
て も困難であ り (
特 に若年層 において)、そ うした もの を補償教育の対象で
あるSt
ep1
,2に含める必要はない と考 えるか らである。
3- 2. 山内 (
2009) との関連
前小節 では、本稿 の立場 か らSt
ep1
,2を地域 日本語教 育 にお ける 「初級」
と定義す ることの意味づ けを行 った。 ここでは、「プロフイシエ ンシー」 と
い う立場か ら初級の文法教育 について論 じている山内 (
2009) との関連性 に
ついて考 える。
山内 (
2009) はKYコーパスの分析 をもとに、同 コーパスで中級 において
安定的に使用 される項 目を、 (
初級で教 えるべ きものであるとい う観点か ら)
「
初級文法」の対象 として捉 えている9
。 その結果、「
初級文法」 に含 まれ る
項 目は次の通 りである。
(
9) 山内 (
200
9:4
4-45) における初級文法項 目
大部分の格助詞 (
「へ」 を除 く1
0);
は、 も、 ぐらい、だけ;とか、 と;
-2
64-
語学教育研究論叢』第2
『 8 大東文化大学語学教育研究所2
号 ( 011
)
4. 「
や さしい 日本語」 をめ ぐる研究の進展
2
節 、3
節では 「や さしい 日本語」 について考 えて きた。本節では 「や さし
い 日本語」 をめ ぐる研究の現状 について述べ ることとす る。
本稿 を執筆 中の2
010
年9月現在 、「や さしい 日本語」 に関す る研究は筆者 を
研究代表者 とす る科研 費の研究 プロジェク ト11において行 われている。 同プ
表 3)を以下 に示す。
ロジェク トの理念図 (
-2
65-
庵 功雄 「日本語教育文法からみた 「
やさしい日本語」の構想」
(
図 1)科研費プロジェク トの理念図
社 会 還 元領 域 :
†ユ丁
>:†●t及.
-ザ ビl
J広報粧.
ティP至
研究成果の公棚
と欝 価 .
改 善 使い方マニユ7ル作成事
●f
● I
4拡:
外港人.日本人ユーザーに対するユーザビリティ■暮
応 用研 究 領 域 改暮(
l や さしい 拡:
]相評価強兵にIづく プロジェ
を便 胴 表 にす クト書正71 リケ- シヨン『
る去めの
●書き&えシステム粧:日一日自動交換システ 発
●作成支援システム虹: WEB-の実去.辞書 .if
l訳.
ム開発 訂正等dtk付
語学教育研究論叢』第2
『 8 大東文化大学語学教育研究所2
号 ( 011
)
4-2.「
や さしい 日本語」 が 目指す社会像
ここでは 「
や さしい 日本語」 をその中心 に据 えるわれわれの研究 プロジェ
ク トが 目指す社会像 について述べ ることにす る。
われわれの立場 において も、外 国人に一定の 日本語習得 を求める (
これは
完全 な多言語化が 困難であ ることの代償 であ る1
3)。 しか し、 これ まで とも
-2
67-
庵 功雄 「日本語教育文法からみた 「
やさしい日本語」の構想」
4-3.「
や さしい 日本語」 をめ ぐるそ 外 国人>
図 1) に表すい
本研究 プロジェク トは ( の他の研究
くつかの部分か ら構成 さ
その中で も、中心 となる もの として、地方 自治体が発行 している れている。
知 らせ)の 「や さ しい 日本語」へ の書 き換 えがあ る。 これ につ 公文書 (
お
在、経験年数 1
0年以上の 日本語教師による書 き換 え作業が現在進いては、現
が、その前段階 としての試行版の書 き換 え作業の結果が庵 ・岩田 ・ (
2
行森中である
庵 ・岩 田 ・筒井 ・森 ・松 田 (
2 0) において報告 されている。
01 01
1)、
5.
本稿
まとめ
では 「や さ しい 日本語」 について概観 した。「や さしい 日
償教育の対象 として、完全 な多言語化が困難である現在の 日本社本語」 は補
外 国人がで きる限 り不利益 を被 らないために案 出 された ものである1
会において
さしい 日本語」 は文法的にはS
tep1
,2か ら構成 される。S
tep1
,2は 4
。「や
教科書 における初級 よ りも分量的にかな り少 ないが、産出 レベル現行の初級
うことに即 して言 えば、十分 なカバー領域 を持 っている ものであであるとい
(
cf -
.32節)
。 ると言 える
語学教育研究論叢』第2
『 8 大東文化大学語学教育研究所2
号 ( 011
)
参考文献
庵 功雄 (
200
1)r
新 しい 日本語学入門j ス リーエーネッ トワーク
庵 功雄 (
200
6)「教育文法の観点か ら見た 日本語能力試験」土岐菅先生還暦記念論文集
編集委員会編 柑 本譜の教育か ら研究へj くろ しお出版
庵 功雄 (
200
9a)「地域 日本語教育 と日本語教育文法 - 「や さしい 日本語」 とい う観点か
ら- F 」
人文 ・自然研究」3、一橋大学
魔 功雄 (
200
9b)「推量の 「で しょう」に関す る一考察」r
日本語教育」1
42、 日本語教育
学 会
庵 功雄監修 (
201
0)r
にほんごこれだけ !1j ココ出版
庵 功雄 ・岩田一成 ・筒井千絵 ・森 篤嗣 ・松 田真希子 (
201
0)「
「や さしい 日本語」 を用
いたユニバーサ ルコ ミュニケーシ ョン実現のための予備的考察 」r
一橋大学国際教育
通巻 1
セ ンター紀要j 創刊号 ( 3号)、一橋大学
庵 功雄 ・
岩田一成 ・
森 篤嗣 (
201
1)「や さしい 日本語」 を用いた公文書の書 き換 え」r
人
文 ・自然15、一橋大学
池上嘉彦 (
198
1)T
「する」 と 「なる」の言語学j 大修館書店
岩田一成 (
201
0)「言語サー ビスにおける英語志向」r
社会言語科学j1
3-1
、社会言語科学
会
岩田一成 ・森 篤嗣 (
201
0)「初級 を軽 くす る一便役 に関する考察 -」r
世界 日語教育大会
論文集 (
DVD)
i
尾崎明人 (
200
4)「地域型 日本語教育の方法論的試論」小 山倍化編 F言語 と教育」 くろ し
お出版
佐藤和之 (
200
4)「災害時の言語表現 を考える」r
日本語学」2
318
、明治書院
寺村秀夫 (
197
6)「
「ナル」表現 と 「スル」表現」寺村秀夫 (
199
2)r
寺村秀夫論文集 Ⅱj
くろ しお出版、に再録
寺村秀夫 (
198
4)r
日本語のシンタクスと意味 Ⅱl くろ しお出版
中俣 尚己 (
201
0)「コーパ ス分析 による日本語教育文法研究」r
日本語文法学会第11回大会
発表予稿集J 日本語文法学会
野田尚史 (
200
8)「コ ミュニケーシ ョンのための 日本語教材」
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69-
庵 功 雄 「日本 語 教 育 文 法 か らみ た 「や さ しい 日本 語 」 の構 想 」
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/4ka
ipdf
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森 篤嗣 (
201
0)「言語使用調査 に よる 日本語教育文法研究 」r
日本語文法学会第11回大会
発表予稿集』 日本語文法学会
山内博之 (
20 r
09) プロフイシュ ンシーか ら見た 日本語教育文法』 ひつ じ書房
山田 泉 (
2002)「第 8章 地域社 会 と日本語教育」細川英雄編 rことば と文化 を結ぶ 日
本語教育』凡人社
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学報31
5、大阪大学
付記
本稿 は 日本学術振興会科学研究費補助金 に よる基盤研究 (
A)「や さ しい 日本語 を用い
課題番号 `2
たユニバーサル コミュニケーシ ョン社会実現のための総合的研 究」 ( 2242
013、
研究代表者 :庵 功雄)の成果の一部である。
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『
語学教育研究論叢』第28号 (
大東文化大学語学教育研究所2011)
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