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連載講座 最近の海外の長大橋基礎

第4回

韓国最大の李舜臣大橋の基礎¹

金 澤*/張 鶴成**/張 榮鎰***


性に優位性がある岩着式が採用されるに至った。
Û 麗水側アンカレイジの計画および設計
1.
2 調 査
1.
1 アンカレイジの計画 鉛直と斜め試推および3D電気比抵抗探査(図―2)によ
麗水側のアンカレイジについては,海上部位置となる る調査・分析により地質に異常帯がないことを確認する
重力式アンカレイジと陸上部位置となるトンネル式およ とともに,立体的な岩種の分布図(図―3)では抵抗く
び岩着式アンカレイジ(図―1)を検討した。海上工事 さびの仮想活動面位置における岩石強度がUCS2 00MPa
として船舶衝突防止工が追加で必要となる重力式は経済 前後で,良好な硬岩が分布していることを示している。
性に劣ること,海岸線近くの海水面下の掘削作業中の浸 露頭とボアホール内映像撮影(図―4)による不連続
透水が懸念されるトンネル式に対し,経済性および施工
YEOSU―BB4
BB4―P
274 POLES PLOT
○JOINTS<22m
×JOINTS>22m

5
Soil Water depth :5.8∼10.4m Water depth:11.5∼13.0m

3
Soft rock Clay:6.2∼7.9m

4
AHHW BL+1.731m Clay:10.7∼14.0m

Hard Clay Layer


The present

2
rock φ21m
design Cell―type

N
B×L×H=50×70×35m

4
cofferdam

岩着式 重力式

1
図―1 アンカレイジ位置の検討 CONTOURS AT 4, 8,
16 AND 20 POLES P
1% AREA

EQUAL AREA LOWER HEMISPHERE STEREOGRASPHIC PROJECTION

Sou
th W est ●●
Line1 節理方向分析
t Nor
Eas th 20 ●●
SETS A & D
●● Line2

SET B
20 ●● ●●
Elivation(m)

Line3
0m
●●
SET E SET C
0 0 ●●
●●
0
−20 −20
−10m
−20

BB―4 END POINT


30
Line1
BB―7
20 −20m
Line2 BB―8
10 BB―9 Line3 START POINT
EL m

BB―10 地層区分図
0
−30m
−10

−20
5+
000 020 040 060 080 100
STA

図―2 電気比抵抗探査

70/306
B EB―2 BB―3 B′ 70/030 23/177
A
N

BB―6
BB―1
Ⅳ 露頭調査
EB―11 EB―7

BB―6 EB―5
BB―8 EB―5 Ⅳ
BB―7 Ⅱ
BB―3
B 100 B′ Ⅲ Ⅳ
EB―2 BB―4 EB―3
BB―9 BB―10 Ⅱ

C BB―2 BB―5 C′
EB―4 EB―6

A′

平面図 東西断面 ケーブル定着部コア


図―3 立体的な地層構造の分析 図―4 岩盤不連続面の特性分析

*KIM Kyeong Taek 韓国 大林産業` 特殊橋梁部 部長 韓国ソウル市鐘路区鐘路1―36


**JANG Hak Sung 韓国 `惟信 基礎設計部 専務 韓国ソウル市江南区駅三洞8
32―40
***JANG Young Il 韓国 同 上 理事 同 上

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表―1 共連れ領域の仮定 Soil


.0m
30
TYPE1 TYPE2 Weatherd Rock

22.
0m
Soft Rock
.0m
40
Hard Rock

U3

t
H
t
T e
fac g)
l i d in U2
W (s U1 断面図
・一般アンカーと同様TYPE ・1面破壊TYPE
・上下と側面の破壊角φ/2 ・下面の破壊角0∼40度

23.0
・下面に自重,摩擦,粘着の考慮 ・下面に自重,摩擦,水圧の考慮

1.3
TYPE3 TYPE4

16.4

12.0

10.6
69.0
10.0

10.6

14.8

27.0
46.0
C
L

ve
si

16.4

12.0

10.6
W he
ad
W

1.3
nA W nA
co

si si
sA

W 7.720
W

W
co

平面図
sA

図―6 岩着式アンカレイジ
・1面せん断TYPE ・2面せん断TYPE
・ケーブル方向の下面破壊 ・ケーブル方向の上下面破壊
の各施工段階を考慮し,FLAC,PENTAGEON,PHASE2,
・下面に自重,摩擦の考慮 ・上下面に粘着と下面摩擦の考慮
3DECなどによる数値解析(図―5)を行ない,慣用手
SHED
法の安全性照査の妥当性を確認した。3DECの結果は
チェンバー位置で6.7Ùの最大変位であり,塑性領域に

SHAFT 発達しない安全な状態にあることを検証し,荷重増加法
PS STRAND
による荷重―変位の関係図から地盤の破断に対して3. 0以
CHAMBER
上の安全率を確保できることを確認した。

Ü 麗水側の岩着式アンカレイジの施工

連続体解析(PENTAGON) 不連続体解析(3DEC)
2.
1 アンカレイジ構造概要
図―5 解析モデル
岩着式アンカレイジ(図―6)は,スプレー長さ3 0m,
岩盤定着長4 0m,岩盤の緊張材は3 4組(1組当りPC鋼
面の卓越方向の調査を実施し,仮想活動面(Dip/Dip Di- より線1 2Ùを4
5. 8本)
,チェンバーの長さ6 4mで計画した。
5/1
rection2 80)と不連続面が一致しないことが明らか 2.
2 施工順序および現況
となって,岩着式が可能なことを再確認した。 アンカレイジの施工は200
9年3月からアンカレイジ前
1.3 慣用手法による安全照査 面部に築島と接岸施設などの工事をはじめ,垂直口,
岩着式アンカレイジは,主ケーブルの常時張力1 9
1 チェェンバー,PC鋼線用削孔,岩盤にプレストレス導
MN/Cableに対し抵抗する共連れ領域の形状,仮想滑り 入などの施工や構造物工事を1 0ヵ月で完了した。
面の角度によって4TYPEの照査ケース(表―1)により 2.
3 施工概要
検討を行ない。TYPE中で最も構造物の危険側と判断さ 前面支圧板位置における掘削表面の岩盤状態,節理特
れた“TYPE1”において,安全率はFS=抵抗力/ケー 性などに対してマッピング(写真―1)を実施し,岩の
ブル張力=3. 9>3.
5となり安全性の確認ができた。 状態が良好であることを直接現場で確認した。
1.4 FEMによる安全性の検証 チェンバー(写真―2)施工時は,装備作業通路およ
岩盤の節理方向と傾斜,岩盤強度特性,アンカレイジ び発破時避難のため別途の臨時トンネルを側面に構築し,

PORPHYRY
PORPHYRY

写真―1 前面支圧板の位置掘削面

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連載講座 最近の海外の長大橋基礎


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垂直口 チェンバー

主応力分布

PC鋼線用削孔 下部支圧板

主応力ベクタ
図―8 躯体の解析結果

Ý 光陽側アンカレイジの
計画や設計
通路 完了 3.1 重力式アンカレイジの計画
写真―2 チェンバー施工 光陽側アンカレイジは重力式アンカレ
イジを採用しており,設置位置は満潮時
−4,000 −2,000 0 2,000
0 に水深が3mで,その下に約2 0mの厚さでN =1の軟弱
施工時―0
施工時―90 粘土層がある。粘土層にはSCP?で補強工事を施し,そ
完工時―0 5
完工時―90 の上に築島を構築し工事用敷地を確保した。掘削工法は,
10 国内で運用中の地中連続壁(以下, 連壁)の施工装備能力
15 が充分なことから連壁工法を採用し,ケーブル張力に抵
抗するため, 基礎底面は軟岩層(EL−3 0m)
まで下げ,そ
20
の寸法は直径7 0.8m,長さ35.
5m,側壁厚さ1.4mとした。
25 3.
2 安定照査
30 アンカレイジ前面の粘土層の抵抗を考慮しない円形直
接基礎とし,滑動基準安全率(常時2. 0,地震時1.
2)を
35
確保するものとした。地震荷重に対しては,躯体と軟弱
FEM解析 曲げモーメント
粘土との位相差による相互作用を考慮し,背面の土圧が
図―7 連壁の断面設計
躯体に荷重で作用する場合の地震応答解析の安全性照査
を行なった。
施工性の向上,工事費の節減,工期の短縮を図った。設 3.
3 断面設計
計時にチェンバーがEL−27. 7mに位置するため,掘削 3.
3.1 連壁の断面
時に多くの海水が浸透することが心配されたが,良好な 掘削の段階別に作用する土圧などの外部荷重に対し,
硬岩のため施工時現場での浸透水が少なく,問題は生じ 連壁とリングビーム(逆巻工法により設けた本体壁)で
なかった。 一体に抵抗する概念で設計し,連壁の最大曲げモーメン
設計時に岩盤内での4 0m長さの一直線削孔が問題とな ト(図―7)は3, 20
7kN―mとなった。
り,施工前にSymmetrixビットを使った試験施工を行 3.
3.2 躯体の断面
ない誤差量を確認した。本施工において左上向に方向補 アンカーブロックとベント部の鉄筋コンクリート構造
正し削孔したため,平均施工誤差1%以内で施工を完了 は,三次元FEM解析により応力分布を確認し,最大の
することができた。 引張り主応力の大きさおよびその方向に相応な鉄筋を配
置した。躯体の応力分布とその主応力方向を図―8に示

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28
.0
5.0

18
.0
.0
20

72.0

Slurry wall Structure part


Foundation
(T=1.4m)
part
RCC

1.4 68.0 1.4


70.8 敷地造成 連壁施工

断面図

C
L Anchorage body
Slurry wall
(φ70.8m) (φ68.0m)
12.5
7.6

14.5
19.4
70.8

68.0
12.5
7.6

掘削の完了 RCC工

平面図
図―9 重力式アンカレイジ

すが,主引張り鉄筋は各方向の応力集中
部で最大HD2
9 CTC2
50Ùを配置した。
鉄筋組立 完了
Þ 光陽側の重力式アンカ レ イ 写真―3 アンカレイジの施工
ジの施工
1ガット(2. 8m)とし,安定液の比重管理と交換時間
4.
1 アンカレイジ構造概要 短縮,連結部にブラシングおよびグラウティング用パイ
重力式アンカレイジ(図―9)はスプレー長さ2 8m, プ設置,岩盤根入長さを短くして掘削時間短縮(根入長
定着長1 8m,高さ6 9m,直径7 0.8m,連壁は長さ3 5m, さはアンダーピニングによる確保) ,傾斜計追加設置に
厚さ1. 4mで計画した。 よる計測なをすることで解決した。崩壊部は埋立し,
4.
2 施工概要および現況 JSG(Jumbo jet Special Grout)工法で粘土層を補強後
アンカレイジ敷地造成の作業は2 008年3月にはじめ, に再施工した。敷地造成,連壁の施工,内部掘削,躯体
連壁施工,躯体壁および基礎の内部掘削を1 7ヵ月で完了 コンクリートの打設などの施工過程についての工事現況
し,コンクリート構造物の施工を2 011年3月に完了した。 を写真―3に示す。
本工事で主要な工程である連壁工法は,先行パネルを3
ß あとがき
ガット(6. 7m)2 3個と後行パネル1ガット(2. 8m)2

個で設計されたが,施工時先行パネルの中央ガット下部 韓国の李舜臣大橋の基礎設計・施工についてとりまと
から孔壁崩壊が発生したことが超音波側壁測定装置によ め紹介させていただいた。これらの資料が何らかの参考
り確認された。孔壁を保護するため孔壁回りにSCW となれば幸いである。最後に,本設計・施工に参与した
(Soil Cement Continuous Diaphragm Wall)が施工さ 技術者や本原稿にご指導をいただいた方々に感謝の意を
れていたが,掘削長が長いことからその役割を発揮でき 表します。
ないと判断された。この対策として,すべてのパネルは

004 ● 基礎工/2012. 6

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