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みんなと関わって
か か
⑴ 社会のきまりを守って
ま も
⑵ 働くことの大切さを知って
はたら
⑶ 家族みんなで協力し合って
か ぞ く きょうりょく
⑷ 協力し合って楽しい学校、学級を
が っ きゅう
⑸ きょう土を愛する心をもって
あ い
⑹ 伝とうと文化を大切に
で ん ぶ ん か

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⑴社会のきまりを守って
ま も
約束やきまりを大切にすること
や く そ く
か てい
 わたしたちの学校や家庭、地いきには、いろいろな約束やきまりがあります。どうしてそのよ
うな約束やきまりはあるのでしょうか。
しゃしん へいせい い じょう がい
 左
の写真は、平成七(一九九五)年に六千人以上もの人がなくなるなど、大きなひ害をもたらした
はんしんあわ じ だいしんさい じょ よう す
﹁阪神淡路大震災﹂のときのひなん所の様子です。
か ぞく
 ならんでいるのは、家がこわれたり、家族がなくなったり、けがをしたりしている人がほとんどで
す。
くる たす
 このような苦しいときも、人々はきまりを作り、それを守って、助け合って生活できるようにした
のです。
じゅんじ ょ
 平成二十三(二○一一)年の﹁東日本大震災﹂のときにも、苦しいこ中
でも、順序を守ってならぶこ
うどう
とやルールを守ること、助け合うことなど、みんなのことを考えた行動が多く見られました。
きゅうじ ょ あつ ゆう き づ
 また、各地から救助の人やボランティアの人たちが集まり、ひ害にあった人たちを助け、勇気付け
ました。
約束やきまりはどうしてあるのでしょう。
き も
みんなで気持ちよくくらすための約束やきまり
にはどのようなものがあると思いますか。
社会のきまりを守って

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気持ちよくすごすためのきまりやマナーを見付けよう
き も み つ
学校
 や地いきで、気持ちよく、楽しくすごすためのきまりやマナーには、
どのようなものがあるでしょうか。見付けてみましょう。
見付けたこと
見付けたこと
見付けたこと
見付けたこと 見付けたこと
見付けたこと
社会のきまりを守って

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ぶらんこ復活
ふ っ か つ
めぐみ し
 よ恵
さんの学校では、ぶらんこでけがをする人が多く、先月から使
うきん し
用禁止になってしまいました。
あそ だい す
 ぶらんこ遊びが大好きな恵さんは、遊べなくなってしまったので
とてもこまりました。
﹁校長先生、またぶらんこで遊びたいです。﹂
ねが
 恵さんは、思い切って校長先生にお願
いしてみました。
まわ
 校長先生はぶらんこしの 周りにさくを作
んぱい
りましたが、まだ、心配です。
 校長先生は、こう言いました。
﹁ぶらんこを復活させるには、けががな
つか ひつよう
いように使うためのルールが必要です。
みんなもいっしょに考えてくれませんか。﹂
じ どう だ い ひょう い い ん
 そこで、児童会の代表委員にも、どうすれば、けがをしないで使
えるかを考えてもらうことにしました。
 代表委員は、ぶらんこを復活させるために話し合 が っ きゅう
学校や学級で、みんなが楽しく安全に
いました。
生活するためには、どのようなきまり
が必要でしょうか。

﹁待っているときは、 ば めん
こんな場面で
さくの外にいよう
ね。﹂
﹁こみ合う休み時間は、
ていがくねん
低学年の人が先に使 こんなきまりを
えるようにしよう
よ。﹂
﹁ぶらんこをしている
つぎ こんな場面で
人がおりてから、次
の人がさくの中に入
社会のきまりを守って

るようにしよう。﹂
まも あんぜん
こんなきまりを
 今では、みんなきまりを守り、楽しく安全にぶら
んこで遊んでいます。

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雨のバス停留所で
て い りゅう じ ょ
き ょ う かあ
 今
日は、お母さんといっしょに、おばさんの家に出かけ
る日です。ところが、朝から雨がふっています。よし子さ
んは、少しつまらなくなりました。家を出るときには、雨
はいっそう強くなり、おまけに風もふいてきました。おみ
やげが入っている紙ぶくろにも、大つぶの雨がどんどんふ
りかかります。
ま や
 バスの停留所では、バスを待つ人たちが、たばこ屋さん
あまやど
ののき下で雨宿りをしています。のき下に入っても、雨は
よし子さんの長ぐつや紙ぶくろにふきつけます。雨宿りを
している人たちは、バスが来る方を時々見ています。
 遠くの方に、小さくバスが見えました。
 よし子さんは、雨の中へタッタッとかけ出すと、停留所
で一番先頭にならびました。バスが来たことを知った人た
む はじ
ちは、ぞろぞろと停留所に向かって歩き始めました。
 その時です。
 後ろの方で、お母さんの声が聞こえ
たような気がしました。よその人の声
も聞こえたように思いました。どしゃ
べつ
ぶりの雨なので、よし子さんは別に気
にもしませんでした。
 バスが止まりました。
 よし子さんがかさをすぼめようとし
た時、かたが強い力で後ろの方にぐい
と引かれました。かたをしっかりつか
んだ、ものすごく強い力でした。びっ
社会のきまりを守って

かえ
くりしてふり返ると、お母さんの手で
した。よし子さんは、はっとしました。
それでもお母さんは何も言わないで、
よし子さんをお母さんがならんでいた

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ところ つ かあ
所 ま で 連 れ て い き ま し た。い つ も の お 母 さ ん の
顔とちがって、とてもこわい顔でした。
の れつ うご はじ
  バ ス に 乗 る 人 た ち の 列 が、動 き 始 め ま し た。
よこ
よ し 子 さ ん は 首 を 横 に 出 し て、な ら ん で い る 人
の 数 を 数 え ま し た。よ し 子 さ ん は、前 か ら 六 番
ひ と り
目 で し た。一 人 一 人 が か さ を す ぼ め て バ ス に 乗
るので、いつもとちがって時間がかかります。
(前の 人 た ち は、ど う し て 早 く 乗 っ て く れ な い
のだろう……。)
  よ し 子 さ ん は、こ ん な こ と を 考 え な が ら、少
き も すす
しじりじりした気持ちで前へ進みました。
せき
  バ ス に 乗 り ま し た。で も、も う 席
は空いてい
ませんでした。
(ほら、ごらんなさい。

と 言 う つ も り で、よ し 子 さ ん は 横 に 立 っ て い る
お 母 さ ん の 顔 を 見 上 げ ま し た。そ ん な よ し 子 さ
ん に 知 ら ぬ ふ り を し て、お 母 さ ん は だ ま っ た ま ま、ま ど
の外をじっと見つめています。
 いつもなら、やさしく話しかけてくれるお母さんです。
き ょ う ぜんぜん
でも、今日のお母さんは、いつもとは全然ちがうのです。
そ ん な お 母 さ ん の 横 顔 を 見 て い た よ し 子 さ ん は、自 分
 
が し た こ と を 考 え 始 め ま し た。バ ス の ま ど に は、大 つ ぶ
の雨がしきりにふきつけていました。
社会のきまりを守って

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みんなが守らなくてはならないきまりがある
ま も
あつ ひ と り
みんなが集まってくらす上で、一人一人が守らなくては
人をきず付けてはいけません。
なら 
ないきまりがあります。
あい て
どうしてきまりを守らなくてはならないのか、相手の立
場に 
立って考えてみましょう。
みんなが守らなくてはならないきまり
人の物をとっては
一 人をきず付けない。

いけません。
一 人の物をぬすまない。
も の
一 うそを言わない。
一 弱い者いじめをしない。
も の
一 ひきょうなことをしない。
ほか
他にもあるかな。 ごまかしたり、
どの 
ようなことがあるかを うそをついたり
考えてみましょう。 してはいけません。
弱い者いじめをしてはいけません。
ひきょうなことを
してはいけません。

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⑵働くことの大切さを知って
は た ら
働くことの大切さ
ば しょ し ごと
いろいろな場所でいろいろな仕事をしている人がいます。
人はなぜ働くのでしょうか。働くことの大切さについて考えてみましょう。
あなたがしたい仕事を書い
じゃ
かん者さんが元気になると、 てみましょう。
わたしたちも
元気をもらえます。
3年

人々や町の
あんぜん まも
安全を守る仕事は、
せきにんもあるし、
やりがいも しょうぼう し
4年

消防士
あります。
かんごし
のう か
工場で働く人 農家の人 みなさんのくらしが、
べん り
便利になるように
く ふう
工夫しています。
子どもたちの
せい ちょう
日々の成長が、
よろこ
わたしの喜びです。
や さい あじ
野菜の味をよくするように
がんばりました。
ぜひ、食べてください。
ぎょう
き業で働く人
日本の
働くことの大切さについて考えてみましょう。
働くことの大切さを知って

﹁ものづくり﹂の
ぎじゅつは、
すぐれて
いますよ。
きょう し
教師

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学校や学級でみんなのためにできること
が っ きゅう
し ごと
学 校 や学 級 でし て い る仕事を、どのよ
そうじ当番
うにやっていますか。
︿していること﹀ 学校や学級での仕事
教室を、きれいにほうきではきます。
︿思っていること、がんばっていること﹀ していること
き も
★みんなが気持ちよくすごせるように、すみのご
みなどをていねいにはいています。
思っていること、がんばっていること
きゅうしょく
給食当番
︿していること﹀
おかずをつぎ分けて給食のじゅんびをします。 ともだち
先生や友達からの一言
︿思っていること、がんばっていること﹀

★おかずをこぼさないように気を付けています。
早くじゅんびをすませて、みんなで楽しく給食
を食べたいと思っています。
家や地いきでみんなのためにできること
家や地いきでしている仕事を、どのようにやっていますか。
しょっ き かつどう
家での仕事 ︵せんたくものたたみ、食器ならべ など︶ 地いきでの仕事 ︵ボランティア活動、リサイクル活動 など︶
   
していること していること
思っていること、がんばっていること 思っていること、がんばっていること
仕事をしてよかったと思ったことを書いて
か ぞく
家族からの一言
働くことの大切さを知って

みましょう。

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じんぶつ
人物のコラム
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働くすがたが、かがやいている人たち
はたら
さまざま し ごと たい
 様々な分野で活やくする人たちの仕事に対する思いから、働くことについて考えてみましょ
う。
い しゃ と ちゅう
 心ぞうの手術は、医 じ ゃ せ い め い
者が途中で「もうできない」と
うしな
思ったとたんに、かん者の生命が失われてしまいます。
なん ど よう す
このため手術の前には、何度も手術の様子を思いうか
たいおう
あま の あつし
べて、細かく対応のかくにんをします。こうすると、
天野 篤
  手術中に何かあっても次の方法が思いうかぶので、落
つぎ ほうほう お
(一九五五〜) つ こうどう
心ぞう外科医
げ か い ち着いて行動ができます。
ぜ ん りょく
ぎりぎりまで自分のできることに全力をつくすこと
やく けん しゅ じゅつ
 一年間に約五〇〇件も手術をこなし、多  
けいけん
すく
くの経験を生かしてむずかしい心ぞうの手 が、かん者さんの命を救うことにつながっています。
いのち
せいこう
術も成功させてきた人です。
 大正時代はほとんどの女  
わたしは、
き き
の人が着物を着ている時代 電子機器の会
でした。わたしは、外国か 社をつくりま
つた
ら伝わった洋服を見て、 した。そして、
「人々の体に合ったすてき 人々の生活が
こ しの あや こ い ぶか まさる
小篠 綾子 な洋服をつくって、着た 井深 大 ゆたかで便利
べん り
(一九一三〜二○○六) よろこ (一九〇八〜一九九七)
人が喜ぶ顔を見たい。」 ぎ じゅつしゃ じつ ぎょう か
になるよう、
ファッションデザイナー ゆめ
技術者、実業家
き もの という夢をもちました。 だれもやらな
 多くの人が着物を着てい  トランジスタラジオをは
 そのころは、女の人が男
たい じ だい
しょう かつどう
た大正時代に、人々が活動 じめ、生活をゆたかにする いことにちょ
よう ふく つづ でん き せいひん かいはつ せん
しやすいように洋服づくり の人と同じように仕事を続 新しい電機製品を開発し、 う戦して、今
せい ちょう
の仕事にはげんだ人です。 たいへん 日本けいざいの成長にこう
けるのは大変なことでした。 までにない新
働くことの大切さを知って

けんした人です。
 しかしそれでも、わたし
しい電機製品
は当時めずらしかったミシンを買うことができまし を開発してき
ひゃっ か てん てんいん せいふく
た。それで百貨店の店員やかんごしの制服などを考 ました。
え、洋服をつくって、少しずつですが仕事をふやし  わたしは、自分の仕事に生きがいを
かん こうふく
ていきました。 感じることは、幸福なことだと思います。

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⑶家族みんなで協力し合って
か ぞ く き ょ う り ょ く
わたしの成長を温かく見守り続けてくれる人⋮⋮家族
せ い ちょう あたた み ま も つ づ
つぎ
次のようなとき、家族はどんなことを思ったのでしょうか。家族に聞いて書きましょう。
わたしが生まれたとき わたしが小学校に入るとき
・生まれてきてくれてありがとう。 ・楽しく学校に通ってね。
そだ ともだち
・元気に育ってね。 ・友達をたくさんつくってね。
わたしをしかるとき
さい ご
・最後まであきらめずにがんばる人になっ
てほしい。
・やさしい人になってほしい。
わたしが病気になったとき
びょう き
・早くよくなってね。
家族みんなで協力し合って

しんぱい
・夜もねむれないくらい心配したよ。

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大切な家族
か ぞ く
あなたにとって家族とは、どのような人たちですか。
つぎ
あずささんは、次のようにまとめてみました。
とう
おじいちゃん お父さん
し ごと
  こ ま っ て い る と き は、  わたしたちのために仕あそ
事をがんばってく
いつもいっしょになやん れている。いろいろな遊びを教えてくれる。
り りょう
でくれる。 お父さんが作ってくれる料理はおいしいよ。
かあ
お母さん
 わじたしよた ちのために仕事をがんばっている。
あずさ

しょく う い
食 事 の 用 意 や せ ん た く を し て く れ る。し か
られることもあるけど、何でも話せる。
おばあちゃん ねえ
お姉ちゃん
  元 気 が な い と き、は げ べん きょう
 勉
強 や 遊 び を 教 え て く れ る。け ん か も す
ま し て、お う え ん し て く
るけど、いっしょに遊ぶととても楽しい。
れる。
あなたも自分の家族のことをまとめてみましょう。
家族みんなで協力し合って

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家族への思い
か ぞ く
家族がいっしょにいられること
こうねつ つづ そ ふ
 いそつぼも元気な弟がとつぜん高
熱を出しました。何日も続いたある日、祖父
ふ あん
と祖母が学校にわたしをむかえにきました。わたしはとても不安になりまし
にゅうい ん
た。祖母から、弟が入院したこと、わたしと父は祖父の家でくらすことを聞
きました。
 母とは毎日少しだけ電話で話しました。さみしかったけれど、弟のために
わたしもがんばろうと思いました。
たいいん き ふ た り びょうい ん
 弟の退院が決まって、父と二人で病院にむかえにいくとき、うれしくて、
早く会いたくて、むねがドキドキしました。
びょうし つ つ
 病室に着くと、母が﹁よくがんばったね。きあも りがとう。﹂と、ギューッと
だっこしてくれました。心の中がやさしい気持ちでいっぱいになりました。
弟とけんかして、母におこられることもあるけれど、家族が元気で、いっ
  かん しあわ
しょにいられるということはすごく幸せなことだと感じています。
さくひん
︵小学三年生の作品︶
つた
あなたが家族に伝えたい気持ちを書いてみ 家 族 の た め に、が ん ば り た い こ と は ど の よ
ましょう。 うなことですか。
3年
家族みんなで協力し合って

4年

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ブラッドレーのせい求書
きゅう
かい
 ある朝、ブラッドレーが二階
からおりて朝食
のテーブルについたときのことです。
かあ
ポケットから、一まいの紙を出すと、お母さ

さら よこ お
んのお皿の横に置きました。
ひら
 お母さんは、それを開きました。
 けれども、お母さんは、その紙に書かれてい
しん
ることを本当だと信じることができませんでし
た。
つぎ
 ブラッドレーの置いた紙は、次のようなせい
求書だったのです。
わら
お母さんは、にっこりと笑って何も言

いませんでした。
ブラッドレーのせい求書
つか
 お使
いちん            1 ドル
 そして、お昼の時間のとき、お母さん
だい はブラッドレーのお皿の横に、四ドルの
 おそうじした代          
2ドル
音楽のけいこに行ったごほうび 1 ドル
     
     合  計         4 ドル
家族みんなで協力し合って

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お金を置きました。
と よろこ
 ブラッドレーはそれを見て、自分の取り引きがうまくいったと考えて、喜びました。
きゅう
 けれども、そこには、お金といっしょに、一まいの小さなせい求書がありました。
つぎ
 それには、次のように書かれていました。
かあ
お母さんからのせい求書
だい
 親切にしてあげた代        
0 ドル
びょう き
 病
気をしたときのかん病代     0 ドル
ふく
 服
や、くつや、おもちゃ代     0 ドル
しょく じ へ や
食事代と部屋代          0 ドル

合 計 0 ドル
                  
 これを読んだブラッドレーの目は、なみだでいっぱ
いになりました。
ところ
 そしてお母さんの所へかけて行き、
かえ
﹁お母さん、このお金は返します。そして、お母さん
のために、ぼくにも何かさせてください。﹂
と言いました。
家族みんなで協力し合って

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共に助け合って生きる
と も た す
もうどう犬
とう かあ
みきたの家には、お父さんとお母さん、そしてベルナが
目の不自由な人が行きたい
いま 
ふ じ ゆう
す。みきたのお父さんとお母さんは、目が不自由でし 場所 
へ出かけられるように、安
あん
か ぞく
たが、お母さんのもうどう犬ベルナといっしょに、家族は、 ぜん
全に歩くための手助けをします。
の しあわ
いろいろなことを乗りこえて、幸せにくらしていました。 目の不自由な人といっしょ
ば しょ
みきたが、赤ちゃんのころに、あぶない場所に行こうと に 電 
車 や バ ス に 乗 り、お 店 な
する 
き ところ はな
と、決まって、ベルナがお母さんの所に行って、鼻の どに入ることもできます。
先で足をつついて﹁お母さん、みきたくんがあぶないよ。﹂
たす
と知らせてくれました。ベルナは、お母さんの生活を助け
ねえ
るパートナーであり、みきたのお姉さんのようなそんざい
でした。
ところが、みきたが小学三年生のころのことです。年を
とっ 
はくない し りょく お びょう き
て、白内しょうという視力が落ちてしまう病気になっ
し ごと
て い た ベ ル ナ は、と う と う も う ど う 犬 の 仕 事 が で き な く
なってしまったのです。もうどう犬の仕事ができなくなれ
ば、ベルナは、もう、みきたたちとはいっしょにいられな
くなります。
お母さんは、なやみました。ベルナとは、これまでずっ こ の 話 に 出 て く る﹁ お 母 さ
ぐん じ
とい  ん﹂ 
くる
っしょに、苦しいことやつらいことを乗りこえてきま は、﹁郡司ななえ﹂さんとい
した。お母さんは、ベルナを自分の子どものように思って います。
もうどう
いました。ベルナの目が見えなくなったからといって、手

﹁盲導犬ベルナ
ななえさんは、
ひら さまざま
ばな
放すことはできないと思いました。けれども、お母さんに のお 
話の会﹂を開いて、様々な
やく こんなんを乗りこえながら、も
とっては、生活を助ける役わりをしてくれるもうどう犬が けい
ひつよう しんぱい うどう犬と共にくらしてきた経
必要です。お父さんもお母さんのことを心配して、ベルナ けん つた
べつ 験を多くの人に伝えています。
を手放して、別のもうどう犬と生活していこうとすすめま
した。
ある日の夕食のときです。どうしたらいいのかとずっと
なや 

んでいたお母さんは、とうとう泣き出しました。
よう す
みきたは、お母さんの様子を見て、自分がベルナの目に
なる 
からと言いました。自分がベルナの目になって、ベル
ナを助ければ、ずっとみんなでくらしていけると思ったか
らです。
こと ば
みきたの言葉を聞いたお母さんの目からは、ますますな
みだ 
がこぼれ、声をふるわせて﹁ありがとう。﹂と言うの
がやっとでした。

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