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修士論文(研究報告書)要旨

論文(報告書)タイトル:「Fintech によるキャッシュレス化の研究」

学籍番号:AM16206
氏 名:王婧珍

指導教授:安登 利幸 教授

【論文(報告書)の構成】
はじめに
第一章 問題意識及び研究目的
第二章 Fintech によるキャッシュレス化推進の優位性
第三章 Fintech によるキャッシュレス化の阻害要因
第四章 Fintech によるキャッシュレス化進展の可能性
おわりに

【論文(報告書)の内容】
1.研究目的
「決済」と言うのは、経済活動を支えるインフラ的サービスである。決済方式により、人々の経済
活動も色々変わってくる。従って、決済方式の進み方は経済活動の重要な要素である。日本でも、決
済関連の Fintech は既に各分野に導入されつつあり、日本発の Fintech 企業の台頭も確実である。一
方、日本において決済にモバイルを活用する動きは生じているものの、モバイルどころか、カードの
利用率もそれほど高くないし、現金決済が圧倒的に強い。従って、本研究の目的は、Fintech による
キャッシュレス化の優位性を分析し、それと日本におけるキャッシュレス化が進んでいない理由をモ
バイルペイが進んでいる中国の企業と比較することにより検証する。まとめて言えば、以下の二点で
ある。ⅰ.キャッシュレス化推進の優位性を模索すること。ⅱ.日本でキャッシュレス化が進まない
要因を探ること。

2.研究方法
まず、本研究の目的に関係する先行研究をレビューする。そして、先行研究のレビューにより認識し
た研究目的を分析する視点から、事例を分析する。具体的には、日本及び中国の決済現状から着手し、
日中の違いを「決済を取り巻く環境」から分析し、Fintech によるキャッシュレス化の進展のメリット
をまとめる。そして、日本の Fintech によるキャッシュレス化がなかなか進まない要因を中国と比べな
がら、中国での発展要因及び日本での阻害要因をまとめる。最後に、日本でキャッシュレス化を進める
ための課題を検討する。

3.研究結果
本研究では、Fintech によるキャッシュレス化の優位性を明らかにした上で、中国がこの部分で先行
している理由を日本と比較し、まとめた。ポイントとしては、以下の三つがあると言える。まず、一つ
目に、キャッシュレス化進展の環境が整備されているかどうかの点である。日本は決済インフラが既に
整備されていて、それと逆に中国の方はしっかり整備されていない所から、キャッシュレス化の進展に
向いている。二つ目に、決済、特にカードビジネスモデルの違いがある。日本の手数料依存と比べ中国
の方では手数料からビッグデータの収集と活用にシフトしている。三つ目に、政府の推進力があるかど
うかという所である。中国の場合は、身分証明書、銀行口座、携帯電話番号の情報がひも付いて政府に
管理され、キャッシュレス化の推進力が強いと言える。一方、日本では、政治的配慮(お年寄りへの配
慮など)や身分証明書が統一されていない所も阻害要因の一つと考えられる。そのような背景の下、な
かなか進展しにくい面がありつつも、日本もこれからキャッシュレス化の進展を進める方向に行くとい
うのは筆者の主張である。その要因は大きく分けて、以下の三点でまとめられる。一つ目は、社会コス
トの面から:現金を取り扱うための膨大なコストから解放することができる。二つ目は、消費者(個人)
の角度から:現金、カード携帯の繁雑さから解放することができる。三つ目は、データを数値化するこ
とにより、付加価値が生まれ、新しいビジネスの運用に役立つことである。この目標を達成させるため
に、筆者は以下の施策を提案する。一つ目は、キャッシュレス支払の導入を促進させるための環境整備、
二つ目は、サービスの統一規格や標準化等の整備、三つ目は、消費者に対する利便性向上と試す機会の
拡大である。日本も近い将来、キャッシュレス化が一気に普及すると筆者は信じている。

【主要参考文献】
1. 大平公一郎 (2018)『なぜ、日本で FinTech が普及しないのか』日刊工業新聞社

2. 加藤洋輝、桜井駿 (2016) 『決定版 Fintech』東洋経済新報社

3. 金融財政事情 2013.3.18,p38-41 「世界最大のオンライン決済会社アリペイの実像」 金山 隆一

4. 季刊 個人金融 2018 年冬 P40-49 「日本におけるキャッシュレス化の進展状況と課題」 福本 真樹

5. 季刊 個人金融 2018 年冬 P67-92 「我が国における非現金リテール決済手段の浸透に向けた課題」

中田 真佐男
6. 経済産業省 2017 年 12 月「キャッシュレス研究会の方向性」

(http://www.meti.go.jp/committee/syouhikeizai/pdf/004_02_05.pdf)
7. 経済産業省 2017 年 12 月「特定サービス産業動態統計調査」

(http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/index.html)
8. 経済産業省 2017 年 12 月「家計の消費動向とクレジットカードの利用」

(http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h17/h4a0509j3.pdf)
9. 経済産業省 2016 年 12 月「割賦販売法の一部を改正する法律について」

(https://www.j-credit.or.jp/download/170126_news_a1.pdf)
10. 週刊 ダイヤモンド 2017 年 7 月 15 日 P34-39「特集:キャッシュレス社会の衝撃――中国が世界

覇権を握る」

11. 城田 真琴 (2016) 『FinTech の衝撃』東洋経済新報社

12. SINA 財経頭条 2016 年 9 月 29 日「何故、世界で最も清潔な紙幣が日本のお札であろうか」

(http://cj.sina.com.cn/article/detail/1667856794/72863)

13. 神宮健 2015 年 8 月「インターネット金融の時代へ――中国のフィンテック」

(http://fis.nri.co.jp/ja-JP/publication/kinyu_itf/backnumber/2015/08/201508_07.html)

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