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静電式振動発電デバイスの設計

―フリンジ電界における容量変化量の算出
およびマイクロばねの構造解析―
関⻄⼤学 ⾼橋 智⼀
Tel 06-6368-1835
E-mail t.taka@kansai-u.ac.jp

研究背景
環境発電 発電⽅式の特徴
環境中にある余剰エネルギを利⽤した発電⽅式 横振動 マス (誘電体) 電気⼒線 ばね
 振動発電 静電容量式 横振動  電極の幅を細くすることにより
出⼒電圧の周波数がマスの振動
 太陽光発電 圧電式 縦振動
周波数よりも⾼くでき、発電効 対向電極
 ⾵⼒発電 電磁式 率を⾼くできる エレクトレット
 地熱発電 ベース電極
 エレクトレットのパターニング
橋のモニタリングシステムや⾃動⾞のタイヤ圧 が必要→電荷が抜けやすい ⽯英ガラス
センサなどの⼩型の電池の代替として振動発電 負荷
抵抗
が期待されている。これは振動エネルギは暗所  電極とマスの位置合わせが困難 静電容量 ⼤ 静電容量 ⼩
においても発電でき、デバイスの⼩型化が⽐較
的容易であるためである。
縦振動
環境中にある振動の周波数は数〜数⼗ Hzであ  衝突するほど近づけることによ
るため、低周波数での発電効率が⾼い静電容量 ばね
り⼤きな容量変化が⽣じ、⾼い
式が有利とされている。 発電量が得られる 対向電極
静電容量式は対向する電極間の静電容量を振動 マス
 エレクトレットのパターニング Q2
により変えることで発電する。電源の代わりに 誘電体
がない i
エレクトレットと呼ばれる電荷を半永久的に保
持する材料を⽤いる。さらに発電⽅式には、電  電極とマスの位置合わせが容易 負荷
抵抗 エレクトレット Qimp
極⾯積を変える横振動と電極間距離を変える縦
 出⼒電圧の周波数が振動の周波 ベース電極 Q1
振動とがある。
数と同じ ⽯英ガラス
本研究では、横振動時に電極間に⽣じるフリン
ジ電界の解析と縦振動デバイスに⽤いるばねの 静電容量 ⼩ 静電容量 ⼤
構造解析を⾏った。

横振動時に電極間に⽣じるフリンジ電界の解析 縦振動デバイス⽤ばねの構造解析
解析条件 誘電体とエレクトレットが
向かい合っているとき
誘電体とエレクトレットが
互い違いのとき
解析条件 卍ばね (1層) 卍ばね(2層)
誘電体が動くことによる電 エレクトレットと誘電体を⾯接触さ 固定端 固定端 固定端 固定端
周期境界条件 16.5 mm 16.5 mm
極間の静電容量の変化を静 せるため、外部の振動周波数近傍に
電場解析により求めた。容 マス (誘電体)
振動の2次モードがないように設計し 0.3 mm
量変化を求めるため、2つの 50
エレクトレット
たい。 A Aʼ A Aʼ
モデルを⽤いる。 (CYTOP) しかし発電デバイスのマスは質量の
マスの誘電率とギャップ(g) 電極 ⼤きいほど発電量が⾼くなる。質量 15 mm 15 mm
に対する変化とマスの凹凸 ⽯英ガラス の⼤きいマスを1層の卍ばねを⽤いる 固定端 固定端 固定端 固定端
A Aʼ A Aʼ
の幅(a : b)に対する変化を と1次と2次の周波数が近くなる。そ
以下に⽰す。 こで本研究では2層の卍ばねを⽤いた。
マスの誘電率とギャップに対する容量変化量
卍ばねを⽤いた場合の固有周波数
0.4 0
PZT PZT
ΔC [pF/mm2]

0.3
Electric potential [V]

0.2
50 μm 30 μm 30 μm 50 μm -100 1次モード 14Hz 2次モード 24 Hz
PZT (r = 2600)
0.1 Quartz (r = 3.8)
50 μm 50 μm -200

0
-300
0 20 40 60 80 100 ElectrodeQuartz CYTOP ElectrodeQuartz CYTOP
Gap between electret 
/electrode /electrode
and mass: g [μm] -400
マスの誘電率が⾼く、ギャップが狭いほど静電容量変化が⼤きいことがわかる

マスの凹凸の幅に対する容量変化量
0.4 a = 30 μm; b = 50 μm 0
PZT PZT 1次モードと2次モードの周波数が近いため、デバイスに与える周波数によって
Electric potential [V]

0.3
ΔC [pF/mm2]

50 μm 30 μm 50 μm 30 μm -100 エレクトレットとマスが⾯接触しなくなる。
0.2
-200
0.1 50 μm 50 μm 2層卍ばねを⽤いた場合の固有周波数
-300
1次モード 19 Hz 2次モード 342 Hz
0
30/50 μm 40/40 μm 50/30 μm Electrode Quartz CYTOP Electrode Quartz CYTOP
Trench width / protrusion width /electrode /electrode
-400
a = 40 μm; b = 40 μm 0
マスの凹凸の幅の⽐を変えた
PZT PZT
とき、凹が凸に⽐べ⼤きいほ
Electric potential [V]

-100
ど容量変化が⼤きくなる。 40 μm 40 μm 40 μm 40 μm

これは凹の幅が⼤きいほど、 -200
隣接する電極による電場の影 50 μm 50 μm

響が⼩さいためである。 -300
Electrode Quartz CYTOP Electrode Quartz CYTOP
この結果をもとにPZT板を加⼯ /electrode /electrode -400
し、振動発電デバイスを作製
a = 50 μm; b = 30 μm
した。 Base Counter  0
electrode electrode PZT PZT 1次モードと2次モードの周波数に⼤きな差を設けることができた。
Electric potential [V]

-100
これによりマスと電極を⾯接触させることができる。
Width/Pitch/Depth:  30 μm 50 μm 30 μm 50 μm
50/80/50 μm
-200
50 μm 50 μm
実際にデバイスを作製したところ、マスの共振周波数は19 Hzとなり
Trench

-300
PZT Width/Pitch: 40/80 μm Electrode Quartz CYTOP Electrode Quartz CYTOP 10~24 Hzの周波数帯域にて安定して発電した。
/electrode /electrode
-400

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