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ももたろう Momotarou

Momotarou, the Peach Boy

ISBN4-591-03701-0 C8739 P1000E

Translation by Tom Ray and Hiromi Mochizuki (hiromi@hip.atr.co.jp) ももたろう


momotarou. Distributed By www.brantar.blogspot.com
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むかし、 むかし、 ある ところ に


おじいさん と おばあさん が いました。
おじいさん が やま へ き を きり に いけば、
おばあさん は かわ へ せんたく に でかけます。
「おじいさん、 はよう もどって きなされ。」
「おばあさん も き を つけて な。」
まいにちやさしく いい あって でかけます。

--

あるひ、 おばあさん が
川 で せんたく を して いたら、
つんぶらこ つんぶらこ
もも が ながれて きました。 ひろって
たべたら、 なんとも おいしくて
ほっぺた が おちそう。 おじいさん にも
たべさせて あげたい と おもって、
「うまい もも こっちゃ こい。
にがい もも あっちゃ いけ。」
と いったら、
どんぶらこ どんぶらこ
でっかい もも が ながれて きました。
おばあさん は よろこんで、 もも を
いえ に もって かえりました。

ゆうがた おじいさん が やま から
もどって きました。
「おじいさん、 おじいさん、 うまい もも を
ひろった で めしあがれ。」
おばあさん が きろう と したら、
もも が じゃくっ と われ、
ほぎゃあ ほぎゃあ おとこの あかんぼう が とびだしました。

「こりゃあ たまげた。」
「なんちゅう げんき な あかんぼう だ。」
ふたり は あわてて おゆ を わかす やら
きもの を さがす やら。

ふたり は この こ に ももたろう と
いう なまえ を つけ、 それは それは
だいじ に そだてました。
ももたろう は まんま を いっぱい
たべたら いっぱい だけ、 にはい たべたら
にはい だけ ずんずん おおきく なって、
たいへんな ちからもち に なりました。
なに を おしえて も すぐ おぼえ、
いえ の しごと から やま の しごと まで
てつだって くれました。
「こんな こども は めったに
いる もん じゃない。」
おじいさん も おばあさん も いよいよ
ももたろう を かわいがりました。

ところが、 その ころ、 おに ども が ちょくちょく


むら へ やってきて は わるい こと を して いました。
「よし、 おら が たいじ してやる。」
あるひ、 ももたろう は おじいさん と おばあさん の
まえに りょうて を ついて いいました。
「おにがしま へ おにたいじ に いく から、 にっぽんいち の
きびだんご を つくって くれ。」
「なに いう だ。 いくら ちから が つよく ても
おまえ の かてる あいて じゃない。」
ふたり は びっくり して とめました が、
ももたろう は しょうち しません。

--

そんなら しかたが ない。


おばあさん は たべれば ひゃくにんりき の でる
にっぽんいちの きびだんご を つくって くれました。
おじいさん は あたらしい きもの を だし、
はた まで つくって くれました。
きりりと はちまき を しめ、 かたな を こし に
さしたら、 つよ そうな わかもの に なりました。
「まけたら、 しょうちせん ぞ。」
「しっかり やって くるん だよ。」
おじいさん と おばあさん は なみだ を
こらえて いいました。
「では、 いってまいります。」
ももたろう は むね を はり、 ぐいと
くちびる を かみました。

むらはずれ まで くる と いぬ が きました。
「ももたろう さん、 ももたろう さん、
どこ へ いきなさる。」
「おにがしま へ おにたいじ に。」
「こし に つけた もの は なんでござる。」
「にっぽんいち の きびだんご。」
「そんなら ひとつ くだされ、 おとも します。」
「よし、 やろう。 ついて こい。」

やま の ほう へ いく と さる が きました。
「ももたろう さん、 ももたろう さん、 どこ へ いきなさる。」
「おにがしま へ おにたいじ に。」
「こし に つけた もの は なんでござる。」
「にっぴんいちの きびだんご。」
「そんなら ひとつ くだされ、 おとも します。」
「よし、 やろう。 ついて こい。」

やま の おく へ いく と きじ が
とんで きました。
「ももたろう さん、 ももたろう さん、
どこ へ いきなさる。」
「おにがしま へ おにたいじ に。」
「こし に つけた もの は なんでござる。」
「にっぽんの きびだんご。」
「そんなら ひとつ くだされ、
おとも します。」
「よし、 やろう。 ついて こい。」

ももたろう は いぬ と さる と きじ を ひきつれ、
いよいよ おにがしま へ しゅっぱつ しました。
やま を こえ、 たに を こえ、 うみ に でる と、
おに の ふね が ありました。 ももたろう たち は
ふね に のりこみました。
ふね は なみ を けたてて ぐいぐい
すすんで いきます。
「おにがしま が みえた ぞ。」
きじ が さけびました。

おにがしま には おおきな もん が たって いました。


「たのもう。」
ももたろう が もん を たたきました。 でも、
へんじ が ありません。 そこで さる は もんに
よじのぼり、 なか から かぎ を はずしました。

「おら は にっぽんいち の ももたろう。


おに ども かくご せい。」
ももたろう は かたな を ぬいて
とびこみました。
「なに を こしゃくな こぞう め が。」
おに ども は かなぼう を ふりあげ、
ももたろう に おそい かかって きました。
きじ は くちばし で つっつき、
さる は つめ で ひっかき、 いぬ は
かみつきました。
ももたろう は、 きってきって
きりまくりました。 きびだんご を
たべて いる ので 百人力 です。

--

「おら は 日本一 の ももたろう。


"I am Japan's number one Momotarou.

おに ども かくご せい。」
Devils make yourselves ready."

ももたろう は かたな を ぬいて とびこみました。


Momotarou pulled out his sword and jumped in.

「なに を こしゃくな こぞう め が。」


"What a shameless boy!"

おに ども は かなぼう を ふりあげ、
The devils raised their iron rods, and

ももたろう に おそい かかって きました。


attacked Momotarou.

きじ は くちばし で つっつき、
The pheasant pecked with his beak,

さる は つめ で ひっかき、
the monkey scratched with his nails,

いぬ は かみつきました。
The dog bit.

ももたろう は、 きってきって きりまくりました。


Momotarou continued cutting.

きびだんご を たべて いる ので 百人力 です。


Because he ate millet dumplings he had the power of one hundred people.

--

ども = plural
かくご = readiness, (a) resolution
かくごする = be ready (for), make up one's mind
とびこむ、とびこみます、とびこんで、飛び込む = jump into
ぬく、ぬきます、ぬいて、抜く = pull out
こしゃくな = shameless
こそう = boy
かなぼう = iron rod
ふる = wave
あげる = lift up
ふりあげる = swing up
おそう、おそいます、おそって、襲う = attack assault
つつく、つつきます、つついて、突つく = peck, poke
つめ = nails
ひっかく、ひっかきます、ひっかいて、引っ掻く = scratch
かみつく、かみつきます、かみついて = bite
きってきって = cut
きりまくる、きりまくります、きりまくって、切りまくる = continue cutting
ので = because

page 29

とうとう おに ども は 一ぴき
のこらず やっつけられました。
「まいった。 いのち ばかり は おたすけ を。」
おに の おやぶん は りょう手 を ついて
あやまりました。
「もう 二ど と わるい こと は しない。
たからもの を ぜんぶ わたす から
かんべん してくれ。」
「よし、 それなら たすけて やろう。」

--

とうとう おに ども は 一ぴき のこらず やっつけられました。


Finally not one devil remained unbeaten.

「まいった。 いのち ばかり は おたすけ を。」


"I am beaten. Please spare only my life."

おに の おやぶん は りょう手 を ついて あやまりました。


The boss devil put both hands on the ground and apologized.

「もう 二ど と わるい こと は しない。


"I will not do bad things again.
たからもの を ぜんぶ わたす から かんべん してくれ。」
I will hand over all the treasure so please pardon us.

「よし、 それなら たすけて やろう。」


"Ok, if so I will spare you."

--

とうとう = finally, at last


のこる、のこります、のこって、残る = remain
やっつける、やっつけます、やっつけて = beat, attack
まいる、まいります、まいって、参る = be beaten
ばかり = only
たすける、たすけます、たすけて、助ける = help
おやぶん = boss (mafia)
りょう手 = both hands
つく = put on
あやまる、あやまります、あやまって、謝る = apologize
わたす、わたします、わたして、渡す = give, hand over
かんべん する = forgive, pardon

page 30

ももたろう は たからもの を くるま に つんで


えんやら えんやら 村 へ もどって きました。
「やっぱり おら たち の ももたろう は 日本一。」
おじいさん と おばあさん が いったら
村 の ひと たち も 手 を たたいて、
「日本一 の ももたろう。」
と いいました。
ももたろう は 村 の ひと にも たからもの を
わけて あげ、 おじいさん と おばあさん と 三(さん)人(にん) で
いつまでも しあわせ に くらしました。

--

ももたろう は たからもの を くるま に つんで


Momotarou loaded the treasure on the cart and

えんやら えんやら 村 へ もどって きました。


with difficulty went back to the village.

「やっぱり おら たち の ももたろう は 日本一。」


"As expected our Momotarou is Japan's best."

おじいさん と おばあさん が いったら


When the old man and old woman said that

村 の ひと たち も 手 を たたいて、
the people of the village clapped their hands, and also
「日本一 の ももたろう。」 と いいました。
said "Japan's number one Momotarou."

ももたろう は 村 の ひと にも たからもの を わけて あげ、


Momotarou also divide the treasure among the people of the village, and

おじいさん と おばあさん と 三(さん)人(にん) で


With the old man and old woman, as three,

いつまでも しあわせ に くらしました。


they lived happily for ever after.

--

つむ、つみます、つんで、積む = pile up, load


えんやら = say to encourage yourself
たたく、たたきます、たたいて、叩く = clap
わける、わけます、わけて、分ける = divide, share

page 31

ほれほれ、 みんな も しっかり まんま を たべて


ももたろう みたい に ならなくちゃ のう。

--

ほれほれ、 みんな も しっかり まんま を たべて


ももたろう みたい に ならなくちゃ のう。

Listen, you should also eat well and become like Momotarou.

--

ほれほれ = listen
しっかり = hard, tight(ly), firm(ly)
まんま = rice
のう = to express one's feeling or thought

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