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留 別 志﹄ ︵

一九基 九年︻
゛3 と富 士 谷 成 章 の ﹃非 南 留 別 志 ﹄ と の 年、東大出版会︶ 一 二五 一ペ ージ参 照。
4  注1 ﹃日本語 の年輪﹄ 及び ﹃岩波古語辞典﹄ の ﹁なな め﹂
議 論 に見 ら れ る如 く 、
  一般 に はす で にそ の原 義 を 忘 れ て書
の項参 照。
it檻 11-1、 3L

状 な ど に用 い て い た ら し く 、 お そ ら く 近 世 後 期 頃 に は か な
5  注1浜 田論文 による。
り 使 用 範 囲 の狭 い文 語 にな って いた も の と 推 測 さ れ る。
一方 、 ﹁な な め﹂ の方 も 、 ﹁な な め な らず ﹂ の形 で程 度 を
示 す 用 法 は や が て 口語 と し て は す た れ 、 具 体 的 な 意 味 に お
い て の み 用 いら れ る よ う にな って、 現 代 に至 って い る と 言
蕨 、明治5年︶ に は
え よ う 。 ヘボ ンの ﹃和 英 語 林 集 成 ﹄ 2 一
[/t

﹁な な め な ら ず ﹂ が 項 目 と し てあ げ ら れ て い る が 、 そ の 用
例 の ﹁喜 悦 な な め な ら ず ﹂ は い か にも 文 語 的 な 言 い 回 し で
‐「 」

あ る。 こ の用 法 と の関 連 で な お 現 代 にま で生 き 続 け 、 し か
11

1
[卜

も 割 に 日常 的 に用 いら れ て い る の は、 非 常 によ い と いう 意
味 で は な く 、 そ のあ ま り か んば し く な い こ と を 示 す 表 現 、
﹁御 機 嫌 な な め﹂ だ け であ ろう 。
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で圧︺ 一        [

ン 
il■ 4く

一    

肯定 と 否定︱うちとそと︱ ︵ 国語学﹄第 一輯、昭和

1  浜 田敦 ﹁ ﹂ ﹃

2年lo月︶
本宙 ﹁
、大 野 晋 ﹃日本語 の年輪﹄ ︵昭和4.年、新潮社︶
御伽草 子 の語彙﹂ η講座日本語の語彙4中世の語彙﹄昭
、松


r ′ ヽ一

6年、明治書院︶ 、 西尾寅弥 ﹃形容詞 の意味 ・用 法 の記 述
和5
7年、秀英出版︶など。 47 ´  一
的研究﹄ ︵ 昭和4 . ¨
'

出卜
r 後 ” 

ヽ  ﹁ 
 哺旧

曰 ´キ

L,封マ イr
く 日■

2  ﹃国語学大辞典﹄ の ﹁ 語形 の変遷﹂ の 項 金馴田富祓執筆︶


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参 照。
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8 、
不 ン

3  築島裕 ﹃平安時代 の漢文訓読語 につき て の研究﹄ ︿ 昭和3




ュ00o己 と発音 さ れ て いた。


は [
に っぽ ん 官杏

hめ
② 促 音 を完 全 な形 で実 現 す る た め に、 後
ほ 負 果 ︶        柳 田 征 司 続 す るま さ つ音 Φ を それ にふさ わ し い

(→
破 裂 音 にかえ たも のが [
●一3 8 ] であ

1鮮
我 が 国 の国名 を表 わす ﹁日本 ﹂ が も つ二 つの語 形 ﹁ニッ スつ。

∞〈
ポ ン﹂ と ﹁ニホ ン﹂ と の関 係 に ついて は、 明 治 以降 、
  一般 ●6 09 ] か ら促 音 を脱 落 さ せ
③ 一方 [

Φ
ゆ¨→ Φ
人 の関 心も高 く、 議 会 を はじ め各方 面 で問 題 とされ てき た ぎっ
●6 8 ] a T一
たも のが [ u であ る。
が 、 こ の問 題 を扱 った ま とま った論 文 と し て は、 次 の論 考

浜田説
これ を図 示 す ると図 1 のよう にな る。
が あ る。 他 方、 小松 氏 の説 は次 のよう に要 約 す る こ

l
吉 田澄夫 ﹁
室町時代以降 におけ る国号呼称﹂︵
橋本博士還暦記 とが でき る と思 わ れ る。


念 ﹃語
会 国 学論集﹄ 昭和 9 o 、
1年l月 岩波書店︶ ① こ の語 は、 正音 で [コ
斗 ユ と名 づ け

6、昭
浜 田 敦 ﹁ハ行音 の前 の促音IP音の発生︱﹂ S国語学﹄1 ら れ たが、 やが て和 音 に よ って [
●I
和9
2年3月︶ o8 ] と呼 ば れ る よう にな った。
同   ﹁
﹃捷解新語﹄ の原刊本 と改修本︱ ﹁
日本﹂と ﹁
看口習 口一
② [ 〓o邑 が 移 行 し た [
●一もつ8 ] から、
︱﹂ ﹁国文学孜﹄0、 8年3月X注己
3 昭和3 和 語 的 な語 を 求 め、 ﹁と て も ︱ と って
小松英雄 ﹃日本語 の音韻﹄ 3日本語の世界﹄7、昭和5
6年1月、
も ﹂ ﹁や はり︱ や っば り﹂ な ど の 促 音
中央公論社︶
によ って意味 の強 めを表 わす 語 に類 推
右 の論 文 に よ れ ば 、 二 つ の語 形 の成 立 に つ い て は 二 つ の

小松説
し て、 促 音 を脱 落 さ せ た も の が [
●7
考 え 方 が あ る。
  一つ は浜 田氏 の説 で、 他 は 小 松 氏 の説 であ 08 ] であ る。

】θ7 に っぼん
図2
る E ι。 ま ず 浜 田 氏 の説 を 要 約 す る と次 の よ う に な る と 思 これ を図 示 す ると図 2 のよう にな る。
わ れ る。 両 説 のちが いは、 原 形 を T”
一Ooこ と認 め る か
① こ の語 の原 形 は [
コ一Oo己 であ るが 、 ぞ んざ い体 で
け と認 め る か のちが いに出 てお り、 これ は ﹁日本 ﹂
語 にと ど ま る問 題 で はなく、 日本語 の ハ行 音 の歴 史 を どう と し て注 目 さ れ る。 ただ、 既 に指 摘 さ れ て いるよう に、 擬
と ら え る か のちが い に起 因 す るも のであ る。 浜 田氏 は、 現 声 擬 態 語 に ついて は扱 う と こ ろが なく、 こ の 一群 の p音 の
代 日本 語 の p音 の成 立 を、 強 調 のた め に 挿 入 さ れ る 音 促 成 立 に ついて説 明 でき な いと こ ろが 問題 であ る。
早 撥立
土 こ 全 体 を 展望 し、 真 直 の 音いの ﹁マ ッツ グ﹂ な
日・長立 ●る 09 ] の形 を表 わ す ら し い例が 見 え る こ と
文献 に [
ど の場 合 と同 じく、 ﹁モ ハラー モ ッパ ラ﹂ ﹁ア ハレー ア ッパ を 説 明 す る の には浜 田説 が 都 合 が よ いよう に見 え る。 し か
レ﹂ な ど と、 促 音 に後 続 す る ハ行 音 から生 ま れ たも のと し、 し、 浜 田氏 も ことわ って いる よう に、  コリ ャド の著 作 や セ
同 じ条 件 が 漢 字 音 の舌 内 入声 音 に ハ行 音 が 後 続 す る場 合 に ーリ スの ﹃日本 航海 記﹄ に 見 え る 0躍 o● ・お 喘︹oo な ど の
も 生 じ た とさ れ た。 が6 0o己 をあ ら わ す も のと は 言 い
重 子音 形 を ただ ち に [
これ に対 し て、 小松 氏 は、 亀 井 孝 氏 の説 屋 こ を受 け て、 が た い。 ま た、 そ の形 が 、 キ リ シタ ン資 料 の中 で、 日本 語
p← Φ ←h と唇 音 が 退 化 し て い った とさ れ る 日本 語 の ハ行 の観察 にお いてよ り深 いヤ ソ会 の手 にな る資 料 には見 えず 、
音 の歴 史 にお いて、
 p音 は擬 声 擬 態 語 にお いて は生 き続 け コリ ャド のも の に のみ見 え る ことも、 T6 09 ] と いう 形
て いた と し、 字 音 語 の入声 音 に続 く 場 合 にも 中 国原 音 の p の存在 を 疑 わ せ る。 も っとも、
 コリ ャド であ った か ら こそ、
を そ のま ま保 存 し て いた と し た。 ただ し、 小松 氏 の説 と亀 浮 動 し て いた語 形 の中 の微 妙 な形 を 記 録 し え た と いう考 え
井 氏 の説 と は、
 p音 が 生 き つづ け て いた とす る点 で は共 通 方 も し得 る。
す るが、 厳 密 に言 えば 、 亀 井 氏 は入声 音 に続 く音 の こと に し か し、 問 題 は、 こ こ に T6 09 ] と いう 語 形 を 認 め
は触 れ て いず 、 逆 に、 小松 氏 は、 亀 井 氏 が p音 の残存 と見 得 た とす る と、 それ は、 同時 に室 町末 江 戸 初 期 にお いても
て いる ﹁ア ハレー ア ッパ レ﹂ な ど の例 には触 れ て いな い。 こ の形 が な お生 き続 け て いた と いう ことを認 め る こと にな
 p← Φ の変 化 が 起 こる前 、 す な わ ち、 日
亀 井 氏 の説 で は、 る こと であ ろう。 こ の形 が、 何 ら か の特 殊事 情 によ り ﹁日
本 語 の ハ行 音 が pであ った時 に、 既 に 口頭 語 で は促音 を含 本 ﹂ と いう語 な ど特 定 の語 に のみ生 き 続 け て いた と いう の
む 形が 行 われ て いた と考 え てお られ る。 で はなく、 促 音 と p音 とが いま だ確 立 し て いな か った と し
浜 田氏 の論 文 は、 こ の説 に つく か否 か は別 と し て、 日木 て、 あ ら ゆ る場 合 に生 き て いた と す る な ら ば、 例 え ば 、
語 のパ行 音 が 現 わ れ る条 件 を はじ め て見 事た とら え たも の [ o
S 罵︻] が 確 立 せず 、 [
”oo“L こ でゆ れ て い た
と 冒電 “﹃
とす るな らば 、 そ の 原 形 は、 冒0”H
と が [ 出 にな っ
“1”H て不安 定 な音 韻 であ る と云 ふ ことが 根 本原 因 とな つて居 り、
て し ま って いる と いう よう に、
 ハ行 転 呼音 を起 こし て いる 従 つて促 音 のみな らず 、 撥 音、 狭義 の長音 いづ れ も展 を脱
こと にな る。 ﹁ア ハレ﹂ に例 を とれば、 促 音 に よ る 強 調 形 落 す る のであ る﹂ とす る。 ま た、 氏 は、 ﹁
促音 と 撥音 ﹂ で
[ ] は、 原 形 [
S も鶏Φ と が ハ行 転 呼音 を 起 こす前 に確
”0”﹁ は、 ﹁ミカ ン ︵蜜柑ご ﹁リ ス ︵栗鼠ご ﹁ニホ ン ︵日本ど な ど の
立 し て いた と見 る方 が 落 ち つき が ょ いよう に思 わ れ る。 原 促 音 の倍 屈 さ を避 け て、 な だ ら か
促 音 脱 落 例 を列 挙 し、 ﹁
”00“お] と いう 対 は落 ち つ
”1ミと に対 し て強 調 形 [
形 [ さ を求 め﹂ たも のと し た。 そ し て、 F一ッポ ン﹂ ﹁ニホ ン﹂
かな い。 に ついて は、 前 者 が 漢 文 的 な表 立 った文 体、 後 者 が 和 文 的
し か しなが ら、 こ の点 に つ いて は、 例 え ば [ ●1”︻ ム か な文体 に用 いられ る と し た。 し かし、 そ のよう な促 音 脱 落
らも [Sヽい こ が 生 ま れ た可能 性 が 考 え られ る。 亀 井 孝 氏 が 、 どう し てあ る 一群 の語 にだけ認 められ る のか に ついて
は、 ﹁マ ッフ ナジ﹂ 筒 ︶が ﹁マ ッポ ナジ﹂ と発 音 さ れ る 例 は説 明 さ れ て いな い。
に注 目 さ れ て いるE ι。 こ のよう な 例 と し て は、 ほ か に 一方 、 小 松 氏 の説 で は、 促 音 脱 落 の原 因 を、 先 掲 のよう
尻尾ご ﹁ミ ト ッポ ︵
﹁シ ッポ ︵ 丞戸男ど の例 を あげ て よ い で に、 和 語 的 な ひびき の語 を 保 持 し よう と し た と いう こと と、
あ ろう か。 ﹁と ても︱ と っても﹂ ﹁や はり︱ や っば り﹂ な ど に類 推 し た
ハ行 音 の歴 史 に ついて、 筆 者 は、 先 学 の説 を整 理 し て、 と いう こと と に求 め る。 前 者 は、 浜 田氏 の考 え に近 いも の
今 のと ころ こ こま で し か進 む ことが でき な い。 ﹁日本﹂ に であ る と考 え られ るが、 後 で取 り上 げ る こと にし て、 後 者
問 題 をも どし て、 字 音 語 にお いて p音 が 残 存 し て いた か ど の考 え方 に ついて見 る と、 こ れ は、 コ ッポ ン﹂ と ﹁ニ ホ
う か に ついて は、 つけ 加 え るも のをも って いな い。 ン﹂ と いう 二 つの語 形 が も って いる語 感 のちが いを 説 明 す
浜 田 ・小松 両 説 は、 そ の原 形 を異 な る語 形 に求 め るけ れ る ことが でき、 説得 的 であ る。 促 音 を含 む ﹁ニッポ ン﹂ を
ども、 T6 8 ] の成 立 に ついて は、 とも に 促 音 の 脱 落 と 強 調 形 と意 識 し て、 普 通 形 を求 め て ﹁ニホ ン﹂ が つく り出

θ に っぼん
す る。 こ の点 に ついて両 説 は説 得 的 であ る であ ろう か。 さ れ た とす るな らば 、 F一ッポ ン﹂ の方 が 力 強 い 感 じ を も
まず 、 浜 田氏 は、 ﹁ ヽあ る
促 音 の脱 落 す る理由 は いろノく って いて当 然 と いう こと にな る笙 己。


であ らう が、 要 す る に国語 の広 義 の長音 と云 ふも のが 極 め ただ、 F一ッポ ン﹂ と いう語 形が 強 調 形 と し て 音小
識され
る よう にな った に ついて は、 そ う な る にふさ わ し い用 法 が テ ア ラ ン ソ。 ︵
﹃荘子抄﹄古活字版 一、2
7ウO
・X注9︺
﹁日本 ﹂ と いう語 にあ って、 言 え る こと で あ ろ う。 浜 田氏 ○ 大 強 盗 力 入 レ ハ置 ヲ モ打 カ タ ケ筐 ヲ モ ヒ ツ サ ケ テ嚢   刀
が 既 に指 摘 す る よう に、 強調 形 は、 副 詞、 あ る いは形容 詞 ヲ ニナ ウ テ ユク、 シ ヤ ウ フ ヽロ シ組 テ懇 ニカ ラ ケ テ
的 性質 の語 に多 く 現 わ れ る。 名 詞 に現 われ る こともあ るけ 同四、1オ←
フイ タ フ ハ日本 一卜 思 フ ︵
れ ども、 そ の場 合 にも、 の のし り に用 いら れ た りす るな ど、 右 のよ う に意 味 が 拡 大 し て い る の で、 新 村 ・亀 井 両 氏 が 注
強 調 形 が 現 わ れ る理由 が 存 す るE E。 小松 氏 は、 名 詞 ﹁日 意 さ れ て い る よ う に、 ﹁ 重頼︶
唐 ま でも 日 本 一の月 夜 か な ﹂ ︵
本 ﹂ が 強 調 形 と意 識 さ れ る よう にな った事 情 を、 国威 の宣 と いう 句 が 作 ら れ る こ と にな る。 ま た、 中 国 の出 来 事 に つ
揚 と か示威 に求 め て おら れ る よう であ る。 そ の考 え方 も 確 い ても ﹁日 本 一﹂ を 用 い た 例 が 見 つか る。
か に説得 的 であ るが、 強 調 形 が 、 名 詞 ﹁日本 ﹂ によ って で ○ ウ イ ツ ラ イ 事 ニモ元 豊 年 中 二識 言 二逢 テ何 卜 云 詩 ヲ
はな く、 形 容 語 ﹁日本 一﹂ によ って意 識 され る よう にな っ 作 タ ト云 テ籠 二入 ル ヽ ハ誠 二注 ノ 衆 口礫 ′金 ソ。 日
た と考 え てみ て は どう であ ろう か。 本 一ノ金 ナ レ共 大 勢 ヨ ツ テ ソ テ ハナ イ銅 チ ャ ト云 ハ
﹁日本 一﹂ と いう 語 に ついて は、 早 く新 村 出 氏 が 注 目 さ 天 尽 ヤ イ テ ミ ツ ナ ト ス レ ハ金 ハ鎗 〆 ュ ク 含 足院蔵
れ、 ﹃浜松 中 納 言 物 語﹄ ﹃大 鏡 ﹄ ﹃平 治 物 語 ﹄ ﹃平 家 物 語 ﹄ ﹃
東坂抄﹄五︶
な ど から見 え る ことを 述 べ、 ﹃義 経 記 ﹄、 謡 曲 ・狂 言 。キ リ な お、 品 詞 か ら 見 る と、 副 詞 と し て 用 いら れ た 例 も 見 え る。
シタ ン資 料 な ど から も 例 を引 いて、 こ の語 が 室 町時 代 に流 ○ さ て鳥 帽 子 は似 合 ひ て候 ふ か  ンテさ ん 候 、 日 本 一
行 し、 そ の意 味 も拡 大 し て いる ことを指摘 し て いるE こ。 謡曲 ﹃
似 合 ひ て候 ︵ ︶E 巴
烏帽子折﹄
こ の語 は、 も と、 文 字 通 り 日本 で 一番 と いう 意 味 であ るが 、 ﹁日 本 一﹂ の こ の意 味 ・用 法 は、 時 代 が さ が る と、 ﹁日 本 ﹂
後 、 すば ら し い こと、 最 高 であ る ことを表 わ す よう にな っ だ け でも 表 わ す ょう にな って いる。
て いる。 若 千 例 示 す る。 ○ こ の景 色 は 日本 だ。 し か しな んだ か、 いや味 な光 が
謡曲、西行
○ 日本 一のご機 嫌 に て候 、 やが て 申 さ う。 ︵ さ す ぜ へ。 ﹁莫切自根金生木し歴 出
桜︶屋 己 さ て 、 こ の ﹁日 本 一﹂ は ﹁ニ ッポ ン イ チ ﹂ と 言 わ れ た の
〇 シ ヨト モナウ テ夏 ア ツイ時 分 ヒ ルネ シタ ラ ハ日本 一 か 、 コ 一ホ ンイ チ﹂ と 言 わ れ た の か 、 あ る い は 両 形 が 用 い
ら れ た の か。 右 に設 け た仮 説 、 つ ま り、 形 容 語 と し て の と ころ で、 促 音 によ る強 調 形 と いう のは、 も と は和 語 に
﹁日 本 一﹂ の用 法 に お い て 促 音 形 ﹁ニ ッポ ン﹂ が 強 調 形 と お いて行 わ れ はじ め たも のであ ろうが、 浜 田氏も 例示 さ れ、
意 識 さ れ る よ う にな った と いう 仮 定 が 成 り 立 つた め に は、 小 松 氏 も ﹁必要 に応 じ て漢 語 型 にも 適 用 さ れ る﹂ と指 摘 さ
こ の語 が 促 音 形 ﹁ニ ッポ ン﹂ で行 わ れ て いた と いう こ と が れ るよう に、 字 音語 にも行 わ れ る。 副 詞 ﹁イ チ ︵こ﹂ に対
欠 か せ な い こ と に な る。 ﹃日葡 辞 書 ﹄ に は ﹁日 本 一﹂ と い す る ﹁イ ッチ﹂ の例 は室 町時 代 から 例が 見 え る。 こ の語 は
う 語 は掲 出 さ れ て いな い。 た だ 、 ュもB P 5一
3 o●∞L と い 漢 字 で ﹁一﹂ と表 記 さ れ る のが 普 通 で あ る か ら、 ﹁イ チ﹂
う 語 が 、 別 に ●︼
︷ o●”L の形 で でも 掲 出 さ れ て い て、
9 ︶ ユヽ か ﹁イ ッチ﹂ か判 断 し にく い の で あ る が 、 仮 名 で ﹁イ ッ
両 形 で見 え る の に対 し て、 ﹁剛 の者 ﹂ の項 の引 例 に 見 え る チ﹂ と書 かれ た 例も確 か に存 す る。 例 えば 、 永 正 本 ﹃六物
﹁日 本 一﹂ は Z一 多 いと 促 音 形 と な って い る。 ロド リ
もB ● い 図 抄﹄ に は仮 名 表 記 ﹁イ ツチ﹂ が 索 引 に よ る と 九 例 見 え
ゲ ス ﹃日 本 大 文 典 ﹄ に は、 土 井 忠 生 氏 訳 本 の索 引 に よ る と、 スー注3
1ち
もB ● ユ ニ の形 が 二 箇 所 、 最 上 級 を 説 明 す る と こ ろ に見
Z︼ ○ 此 衣 二九 品 ァット ハ大 衣 ノカ ス九 アリ。 此 ニ ハイ ツ チ
え る こ と を 示 す が 、 F 一ホ ンイ チ﹂ の形 は見 え な い も の の 頭 ノ十 五 条 ヲ図 二出 ス ト 也 。 九 条 ハ大 衣 ノ中 ニテ イ
よ う であ る。 日 本 古 典 文 学 大 系 ﹃謡 曲 集 ﹄ 付 録 の ﹁謡 曲 読 ツ チ ノ ス ク ナ イ ヂ ヤ ソ。 ? ウこ
み癖 一覧 ﹂ や、 ﹃日 本 国 語 大 辞 典 ﹄ の解 説 す る謡 曲 の 読 み 他 の抄 物 にも 散 見 す る。
癖 でも 、 ﹁日本 一﹂ は ﹁ニ ッポ ンイ チ﹂ ま た は ﹁ニ ッポ ン 6ι 屋 こ
○ 第 八 識 カ イ ツ チ后 マテ残 サ フ η木杯余涯﹄下3
ニチ﹂ であ る E 2 。 亀 井 氏 は、 ﹁
唐 ま でも 日 本 一 の 月 夜 か ○ 下 ノ戸 帳 ノ様 ナ中 デ ハケ ナゲ ダ テ ヲ云 へ共 戦 場 へ出
先掲︶ と ﹁つぎ 分 け の椿 の花 や に は ん 一﹂ η鷹紆
な﹂ ︵ 現波し の ア ハイ ツ チ初 ニク ル也 。 ︵
東大本 ﹃句双紙抄﹄6 、

一 4オ■ ただ
例 を あ げ て、 ﹁ ニホ ンイ チ﹂ か ﹁ニ ッポ ンイ チ﹂ か は、 当 し、土井本は ﹁一﹂ 、明暦二年整版は ﹁イチ﹂ 、山鹿本は ﹁一番 二﹂
時 も 、 ど ち ら でも よ か った ﹂と さ れ た が 、 ﹁日 本 一﹂は、 本 にそれぞれつくる︶

に っぽ ん
来 は ﹁ニ ッポ ンイ チ﹂ であ った が 、 ﹁日 本 ﹂ が ﹁ニ ッポ ン﹂ ﹃片 言 ﹄ にも ﹁い ち と い ふ べ き を   oい つち﹂ と 見 え る E
﹁ニホ ン﹂ 両 形 を も つよ う にな る と、 F 一ホ ンイ チ﹂ でも 行 じ 。 同 じ く ﹃片 言 ﹄ に見 え る、 宇 音 語 に促 音 を挿 入 し た と

″1
わ れ る よ う に な った と 考 え る こ と は でき な い であ ろう か。 見 ら れ る語 のう ち、 次 の例 は や は り 強 調 に よ る も の か 屋 E 。
〇 あ る人 の奴 婢 を し か る と て。 が つき め と い へり しを。 る。 抄 物 に は、 別 に ﹁別 シテ﹂ と漢 字 で表 記 され た例 が あ  

餓 鬼 と こそ い ふべけ れ と。 老 師 ハ宣 へり り、 そ れ が ﹁ベ ツ シテ﹂ を表 わ す の か、 ﹁ベ シテ﹂ を 表 わ   H
○ 物 のせま り をぜ つぴ と いふ こと葉 ハ。 是 非 と いふ心 す のか明 ら か でな い。 出 雲 朝 子氏 は、 抄 物 に 仮 名 書 き 例
歎 。 と にかく にぜ つぴ ハ浅 ま しき 俗 語 成 べ し ﹁ベ ツ シテ﹂ の例 は見 え な いと し、 ﹃玉塵 ﹄ に見 え る ﹁別 シ
○ 無 器 用 な を   oぶ つき やう な E ビ 国会本一
テ﹂ ︵ 4一
覇 オー 別どこ︶の例 を 引 い て、 ﹁
叡山本は ﹁ 別シ
○ 奇 性 を   oき つく わ い テ﹂ も ﹁ベ シテ﹂ であ る とさ れ たE J。 これ に従 えば 、 今
○ 歴 ヽを  れ つき ノくヽ のと ころ同 一文 献 中 に ﹁ベ ッシテ﹂ と ﹁ベ シテ﹂ とが 共 存
従 って、 字 音 語 ﹁日本 一﹂ に強 調 の意 を意 識 し ても 不自 然 す る資 料 は見 つか って いな い こと に な る。 た だ、 ﹁アヤ マ
で はな い のであ る。 チ﹂ と いう語 が、 ﹃漢 書 列 伝 竺 桃 抄 ﹄ に お い て、 ﹁
過﹂ と
勿 論 、 同 じ字 音 語 と は い っても 、 右 に引 いた ﹁イ ツチ﹂ いう 漢字 表 記 で書 き 表 わ さ れ、 そ の 転 化 形 ﹁アイ マチ﹂
な ど の場 合 は、 促 音 挿 入 で あ り、 F一ッポ ンイ チ﹂ の 場 合 が 仮名 表 記 さ れ て、 区 別 さ れ て いる例が あ るE 型 のを見 る

は、 原 音 にも とも とあ った 入声 音 が かわ った促 音 であ る と と、 漢 字 表 記 ﹁別 シテ﹂ が ﹁ベ ッシテ﹂ を表 わ し 仮 名 表
いう 大 き な ちが いが あ る。 し か し、 後 者 のよう な促 音 に つ 記 ﹁ベ シテ﹂ と区 別 さ れ て いる可能 性 も 考 え られ る。 し か
いても、 強 調 と し て意 識 す る と いう ことが あ った ので はな し、 ﹁アヤ マチ﹂ と ﹁アイ マチ﹂ と の 場 合 は、 意 義 分 担 を
いか。 次 にあげ る よう な例 は、 や は りそ の痕 跡 と見 る こと し て いる から、 両 者 の文 脈 を比 較 す る こと によ って使 い分
が でき な いであ ろう か。 け を確 認 す る ことが でき るけ れ ど も、 戻 ッシテ﹂ と ﹁ベ
別 し て﹂ と いう語 は、 民 ッシテ﹂ と ﹁ベ シテ﹂ の両 形
﹁ シテ﹂ の場 合 は、 区 別 が あ る とす れば 強 調 形 か普 通 形 か の
で文 献 に現 わ れ るE E。 字 音 語 で、 促 音 形 と促 音 のな い形 ちが いであ る から、 文 脈 を 比 較 し ても 顕著 な ちが いを確 認
とが 対 応 す る と いう 点 は、 コ一ッポ ン﹂ r一ホ ン﹂ の例 に類 す る こと は期 待 でき な いはず であ る。 そ し て、 例 えば ﹃史
似 す る。 と は言 っても ,
 ロー マ字 書 き のキ リ シタ ン資 料 に 記 抄﹄ に ついて ﹁別 シテ﹂ と ﹁ベ シテ﹂ とを 比 べよう と し
お し か見 え な いよう であ り、 ﹁ヘシテ﹂ は 例 えば
は げ2 xい ても、 相 近 く に用 いられ た例 も なく、 区 別 を認 めが た い。
抄 物 な ど の仮 名 書 き の文 献 にし か見 え な いも の のよう であ し かし、 区 別 を認 めが た いから と い って、 両 者 が 別 形 であ
︱︱ ︱ 十 二
る のか同 形 であ る のか は判 断 でき な いと いう こと であ る。 音 が 強 調 のそ れ と意識 さ れ た た め に普 通 形 に当 た る ﹁ベ シ
と ころ で、 こ こで、 ま た、 逆 に、 仮 名 表 記 ﹁ベ シテ﹂ が 促 テ﹂が つく られ た と見 る こと は でき な いであ ろう かE 包。
音 無 表 記 例 で ﹁ベ ッシテ﹂ を表 わ し て いる可能 性 も 疑 って 字 音 語 が も とも とも って いた 入声 音 から来 て いる促 音 が
お かな く て はな ら な い。 ﹃史 記 抄﹄ は、 音 便 や 接 頭 辞 な ど 強 調 のそれ と意 識 され た ので はな いか と見 られ るも う 一つ
、 の例 と し て ﹁い っば い﹂ と いう副 詞 をあ げ る こと は でき な
の促 音 を無 表 記 と し た と見 られ る例 を稀 にも つけ れ ども
一般 に促 音 を ツで表 記 し て いる資 料 と言 って よ い。 無 表 記 いであ ろう か。 こ の語 は、 二 杯 ﹂ と いう字 音 語 であ るが 、
と し て いる場 合 も、 例 えば 副 詞 ﹁フ ツ ッヶテ﹂ は三 例 のう ぎ りぎ り の限度 ま で の意 にも 用 いら れ る。
ち 一例が 無 表 記 とな って いる に過 ぎ な いと い った具 合 であ ○ 満 白 ・︱︱ イ ツ ハイ弓 ヲ引 フク ラ メタ ソ。 弓 引 満 月
る。 これ を見 る と、 仮 名 表 記 例 六 四 例 す べ てが ﹁ベ シテ﹂ 卜云 心 二満 卜云 ソ。 S史記抄﹄古活字版 一四、74オ9︶
とな って いる こ の語 は、 表 記通 り 写♀ ︵
出 を 表 わ して い こ の意 味 は、 勿 論、 容 器 に入 った 一杯 から、 容 器 に入れ る
る と見 る方 が よ い ので はな いか と思 わ れ る。 こと の出 来 る限 度 の意 に変 わ ったわ け で、 自 然 な意 味 の拡
以 上 からす る と、 少 なく とも、 同 一資 料 に限 ら なけ れ ば
、 大 であ るが 、 促 音 の形 が 強 調 形 と意 識 さ れ た ことも、 意 味
﹁ヘ ッシテ﹂ と ﹁ベ シテ﹂ の両 形 が 存 し て いたも の と 見 ら の拡 大 に力 が あ った ので はな いか。 副 詞 の場 合 に は、 字 音
れ る。 こ の推 定 が 認 められ る と し て、 促 音 脱 落 の ﹁ベ シ 語 の促 音 形 も 強 調 形 と意 識 さ れ る ことが あ った ので はな い
テ﹂ は ど のよう に生 まれ た と考 え られ る であ ろう か。
 一つ か。 例 えば 、 現 代 語 の場 合 を 考 え て み て も、 ヨ 向 ﹂ 二
の解 釈 と し て は、 原 形 [
ぎ一 口こ は促 音 に後 続 す る音 が ま 切﹂ ﹁絶 対﹂ な ど の促 音 形 に強 調 の感 じを受 け て い る 人 は
さ つ音 であ る た め に、 促 音 が 不完 全 で あ って、 写♀ け
L に 多 い ので はあ るま いか。 ﹁日本 一﹂ は副 詞 の例 は 稀 で、 名
近 く実 現 され る た め に促音 が 脱 落 し やす いと いう状 況 にあ 詞 ま た は形 容 動 詞 と し て用 いられ て いるわ け であ るが 、 促
った ので はな いか。 も し、 そう であ る とす る な ら ば 、 ﹁
察 音 形 が や はり強 調 形 と意 識 さ れ た ので はな いか と見 ら れ る。

ピん
ゴユθ lrtっ セ
決 す る﹂ な ど の サ変 動 詞 にお いても 促 音 が 脱 落 し
す る﹂ ﹁ 以 上 のよう に見 る と、 小松 氏 の説 かれ る と ころが よく 理
て よ いこと にな る。 動 詞 に脱 落 が 起 こらず 、 副 詞 に起 こ っ 解 でき る よう に思 われ る。 そ し て、 F一ホ ン﹂ の 成 立 時 期
て いる の は、 こ こ でも や はり副 詞 ﹁ベ ッシテ﹂ の場 合 の促 も、 ﹁日本 一﹂ と いう 表 現 が 見 える ﹃浜松 中 納 言物 語 ﹄ ﹃大
鏡 ﹄ な ど よ り後 の こと で はな いか と考 え られ る。 と す る大 き な 動 き が あ って、 そ のう ち のあ るも の は強 調 形
し か し、 以 上 の筋 道 だ け か ら であ れば、 同 じ条 件 にあ る、 と し て意 識 さ れ 普 通 形 に当 た る も のが 作 成 さ れ る と いう か
例 えば ﹁イ ッパイ ︵一杯ど な ども ﹁イ ハイ﹂ と いう 形 を 生 た ち で促 音 の脱 落 が 実 現 し た と 見 る べき であ ろう か。
み出 し て よ い こと にな る。 右 のよう な こ と が 、 ﹁日本﹂ と 一ホ ン﹂ の両 形 が 行 わ れ る よ う に な った 後 、
﹁ニ ッポ ン﹂ ﹁一
いう 語 な ど に のみ起 こ った ことを説 明 す る た め には、 こ の ど の よ う な 意 識 で用 いら れ てき た か、 特 に明 治 以 降 、 政 界

語 に更 に別 の事 情 が あ った と見 る必要 が あ る。 小松 氏 は や 教 育 界 な どが こ の両 形 に対 し て ど の よ う な 姿 勢 を と って
そ れ を、 ﹁や ま と﹂ にかわ る国 号 と し て和 語 的 な ひびき の き た か な ど に つ い ても 記 す べ き こと は少 な く な いが 、 も は
国名 も 保 持 し た いと いう 心 理が 作 用 し た と説 明 さ れ て いる や 紙 幅 は な い。

と いう こと にな る のであ ろう。 吉 田澄 夫 氏 は 謡 曲 の ﹁日
本 ﹂ の例 に ついて、 ﹃白 楽 天 ﹄ ﹃善 界 ﹄ にお いて、 中 国人 が T圧︺
﹁ニ ッポ ン﹂ を 用 い、 日本 人 が ﹁ニホ ン﹂ を 用 いて い るE 1  これ ら に先 だ つ ﹁
促音 と撥音 ︵ 上︶︵ 下ご 3人文研究﹄ 一
の 一、昭和24年■月、  一2 一、同2月︶ でも扱う。
3 ことを指 摘 さ れ て いるが、 こ の事 実 も右 の考 え方 を支 持 1

2  吉 田氏 の論文 は両形 の成立を論 じたも のではな い しか
し て いる と言 え よう 。 し、両形 の成立 について は ●一 電 8 ∨ ュo8 と考 えてお ら
な お、 字 音 語 の二 つの語 形 のう ち の 一方 を和 語 の意 識 で れ、小松説 に同じ い。 ただし、 T69]形成立 については、

とら え る と いう こと は、 次 例 にも 認 められ る と こ ろ であ る ﹁当時 のわが国 の人 々が漢語 を促音 によ って発音 す る こ と
に必 しも習熟 してゐたとは考 へられな いので、漸次 そ の発
俗 音 と され る音 が 訓 と見 られ て いる。
音 の日本化が行 はれたと見 るべき であ る。﹂ とし て お り、
︵ 高山寺蔵 ﹃
︺甲 拗”膳 ︵ 四度加行用心報恩院流﹄明応七年〓8成立
小松 説 と は異な る。 なお、新村出 ﹁日本 国語 の称呼 に つい
室町末期写、9オー︶ て﹂ ﹁国学院雑誌﹄昭和3 9年1月︶も ニッポ ンを先 とす る。
春鷲 囀﹂ η国語学﹄9 、 4年2
右 に見 てき た筋 道 で は、 し か し、 な お、 浜 田氏 のあげ ら 3  ﹁ 3 昭和3 1月︶﹁ 古代人 の わ ら ひ
ごゑ ︵﹂ 古典文学大系7 ﹃
2 宇治拾遺物語﹄月報、昭和3 5年5月︶
れ た促 音 脱 落 の例、 Fヽカ ン ︵ 栗鼠ど ﹁ザ ヒ ツ
蜜柑ご ﹁リ ス ︵ 、
亀井孝 ほか編 ﹃日本語 の歴史﹄五 ︵ 昭和93年■月 平凡社︶
雑霊 ﹂E C な どを説 明す る ことが でき な い。 右 に見 て き た
︵ 4  ﹃日本語 の歴史﹄ 五
と ころ は、 む し ろ、 和 語 化 を起 こし て促 音 を脱 落 さ せ よう 5  一口田澄夫氏も ﹁ニッポ ンの方が力強 い感 じを与 へ、  ・一ホ
ンは和 ら かな感 じ を与 へる﹂ とす る。 われ るが、 同じ形容語 であ るから、便宜副詞 で代表 させる。
6   と は言 いなが ら、 例 えば 、 後 掲 の如 く、 ﹃片 言﹄に見 え る 9
・  ズ新刊紹介﹀鴎逆 爆 多 聴訴 謝 枢漢書列伝 竺 桃 抄﹂ ﹁国
語学﹄0 、
促 音 挿 入例 な どを見 る と、 強 調 であ ると説 明 し にく いよう 8 昭和54年3月︶
な例 も 認 め られ る。 促 音 挿 入例 を す べ て拾 い出 し て検 討 を 0  ただ し、﹃
2 史記抄﹄ では、 ﹁アヤ マチ﹂ は漢字表記 ﹁ 過﹂
加 え る必要 が あ る。 ととも に仮 名表記 でもあ らわれ る。
5年■月、創元社︶ 決 して﹂も同じ条件 にあ ること になるが、 この語
7   ﹁日本 一と 日本 晴 ﹂ 3日本 の言葉﹄昭和1 .  副詞 ﹁

8  新 村 氏 挙 例 。 引 用 は古 典 文 学 大 系 ﹃謡 曲 集 上﹄ によ る。 の成立 は新 し いよう で、事情が異な るか。
﹃調日本 文 化 史 大 系﹄七、 2 、 唐船﹂ では中 国人が ﹁ニホ ン﹂ を 用 いて い る
9  亀 井 孝 ﹁言 語 史 上 の室 町時代 ﹂ ︵ 2  ただし ﹁
昭和32年■月、小学館︶挙 例。 と いう。
0  新 村 氏 挙 例。 引 用 は古 典文 学 大 系 によ る。 3  浜 田氏 は、 この例を [
2 ●
N09昌 と推定 され て いる。

n  古 典 文 学 大 系 ﹃黄 表 紙集 ﹄ によ る。
2  士口田澄 夫 氏 も、 謡 由 にお いて、 ﹁日本 ﹂ の 場 合 に ﹁ニッ

ポ ン﹂ ﹁ニホ ン﹂ の両形 が 行 われ る の に対 し て、 ﹁日本 一﹂
﹁日本 第 ご の場 合 には ﹁ニッポ ンイ チ﹂ であ る こと を 指
摘 し て いる。
3  出 雲 朝 子 ﹁ 抄 物 の副 詞﹂ ﹁一星田

一 と文一 一 5、昭和4
百 6 4年7月︶

が 注 目 し て いる。

・  金 田弘 ﹁国語 史 料 とし てみ た躙詳鵬琺鮮 ﹃木 杯 余 涯 ︵ 碧巌 口
義ど ﹂ 翁国学院雑誌 昭和8年2
﹄ 4 1月 ︶ によ る。
5  ﹃片 言﹄ の引 用 は、吉 田澄 夫 編 ﹁ 安 原貞 室 著 ﹁かた言 L

η近代語研究﹄3、昭和7年 1月︶ によ 。
4 る
6 、
・  ﹃片 言﹄ には ほ か に ﹁ざ つ と う﹂ ︵ 座 頭︶ ﹁ず つ き ん﹂
頭巾︶ ﹁ちや つき ん﹂ ︵
︵ 茶巾︶ ﹁ち や つ せ ん﹂ ︵茶究︶ な ど の

I15 に っぽカ
例 が 見 え るが 、 これ ら の語 になぜ 促 音 が 挿 入 され て いる の
か に ついて は、今 のと こ ろ明 ら か でな い。
7 無 興 な﹂ か。
・  あ る い は ﹁
8   こ の両 形 は、 ﹁別 シタ の ご ﹁ベ シタ の ご の形 で も 現

③東北大 学大 学院  ④中世文芸 ︵
軍記物︶ ⑤東北大学文 短期大 学講師 ⑥ ﹁
﹃かなし﹄ を中 心 とす る感情形 容 詞 の
学部助教授 ⑥ ﹁
﹃平家物語﹄ におけ る平清盛 の 人 物 像﹂ 一考察︱ ﹃ 習 を資料として︱﹂ ﹁
源氏物笙 平安女流文学 におけ る属
﹁平家物語﹄ におけ る平維盛像 に ついて の 一考察﹂ 性複合形容詞 ﹃心︱﹄ の諸相﹂
2年 ■月3 日 ②新 潟
小 林   隆 → ばやし たかL  ① 昭 和3 梶 原 滉太郎 拿 じわら こうたろ2  ① 昭和 9年 1 月 2
5 日 ②

県 ③東北大学大 学院 ・④ 国語学 ⑤ 国立 国語研究所研究 愛媛県 ③東北大 学大 学院 ・④国 語学 ︵ 明治時代語の研究︶
貝 ⑥ 只顔 ﹀の語史﹂ ﹁
一 く るぶし
文献 と方言分布 からみた ︿ ⑤ 日立国語研究所研究員 ⑥ ﹁
中世説話 におけ る︿
たり﹀と
躁︾ の語史﹂
︵ りと ﹁
︿ 尾崎紅葉 ﹃三人妻﹄ の副詞 の表記﹂
石 井 みち江 → しい みやι ① 昭和8年1月2
2 .日 ② 山形県
0 日 ②秋 田県
佐 藤  稔 T とう みのこ ① 昭和2.年 9月1
③東北大学大 学院 ④ 日本語史 ⑥ ﹁ ﹁
室 町時 代 物 語﹂ の 文字論︶。国語 学史 ⑤秋 田
③東北大 学大 学院 ・④ 国語史 ︵
表 記 に見 る開合音 の消滅過程﹂ 漢字字形 の史的把握︱般若心経による
大学教育学部教授 ⑥ ﹁
6年3 月0 日 ②山形県
菊 池 由紀子 T くち ゆき じ ① 昭和3 試み︱﹂

③宮 城学院女子大 学 ④ 国語史 ⑤宮城県庁臨時職員 赤 羽  学 3 かばね まなじ  ① 昭和3年 ■月0 日 ② 長 野

8年2月3 日 ②愛 知
松 浦 昭¨子 T つうら て こ ① 昭和2 県 ③東北大 学 ④俳譜 ⑤ 岡山大学文 学部教授 ⑥ ﹃ 芭
, 1 1
県 ③東北大 学大 学院 ④ 国語学 ︵ 中古語彙︶ ⑤山形女子 蕉俳譜 の精神﹄
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喜 代 治

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