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統語論8.

再帰形
とう ご ろん さい き けい

さい き けい
8.再帰形

た ろう じ ろう じ ぶん はな じ ぶん だれ さ
「太郎は次郎に自分について話した」の「自分」は誰を指しますか。

ぜんかい とう ご ろん き そ まな こんかい に ほん ご とくしゅ げんしょう


前回までは、統語論の基礎について学びました。今回からは、日本語に特殊な現 象
しょうてん あ に ほん ご ほか げん ご そう い てん かんが
に 焦 点を当てて、日本語と他の言語の相違点について 考 えていくことにしましょう。
つぎ えい ご み ぶん い み ちが
まず、次の英語を見てください。2 つの文には、どんな意味の違いがありますか。

(1) a. John blamed him.

b. John blamed himself.

(1a)の “him”は“John”以外 の別 の人 を指 し ているのに 対 して、(1b)の “himself”は


い がい べつ ひと さ たい

“John”を指しています。大事な点は、(1a)の“him”は絶対に“John”を指しませんが、
さ だい じ てん ぜったい さ

(1b)の“himself”は 必 ず“John”を指します。このことを、(2)のように 表 します。


かなら さ あらわ

(2) a. * Johni blamed himi.

b. Johni blamed himselfi.


みぎした ちい ↗な さ
右下の小さな“i”は、“John”と“him”、“John”と“himself”が同じものを指していること

を 表 しています。“him”と“himself”はどちらも代名詞(pronoun)ですが、“himself”の
あらわ だいめい し

ことを再帰形(reflexive form)と呼びます。
さい き けい よ

に ほん ご み
では、日本語ではどうでしょうか。(3)を見てください。

(3) a. 太郎は 彼を 責めた。


た ろう かれ せ

b. 太郎は 自分を 責めた。


た ろう じ ぶん せ

えい ご ↗な かれ た ろう い がい べつ ひと さ たい
英語の(1)と同じように、(3a)の「彼」は「太郎」以外の別の人を指しているのに対し
じ ぶん た ろう さ えい ご あ
て、(3b)の「自分」は「太郎」を指しています。ですから、英語の“himself”に当たる
に ほん ご さい き けい じ ぶん
日本語の再帰形は「自分」ということになります。

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