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4

39

日本冷凍空調学会論文集
Trans.ofthej
SRA
E
VoL26,No
.4(200
9)
pp.
439"-
'45
0
原稿受付:平成21年6
月58

出 沢徳秀料 原征洋*
Norihide

呪火回大学工学資源学部機械工学科 (
0108
502 秋田県秋田市手形学閤町 1
-1) 嗣

D
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rin
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k
ラit
a0108
502
) ラ 幽

料秋田大学大学院工学資源学研究科機械工学専攻 (
0108502 秋田県秋田市手形学園町ト1) 四

D
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rtm
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rig,
n G
rad
uat
eSc
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lof
Eng
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Theaimo
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words:
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oli
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act
ion,
N
atu
ralc
onv
ect
ion

1. 緒 もなり,また,工業的には送水管の凍結によっ
て流体の輸送能力が低下し,場合によっては管
液体が国体に相変化する凍結現象は,食品の が破壊されるなど,凍害問題を引き起こす原因
冷凍保存,製氷工場や化学処理工場,金属精錬, にもなっている.
原子力施設などの工学的分野のみならず,血液 従来より凍結問題を解明するために,く形容
の凍結保存をはじめとした生体工学など多くの 器内の凍結をはじめ,流れのある円管内,およ
分野にわたって観察され,能動的に利用されて び円管周りの凍結などを対象に多くの研究がな
いる. しかしながら,例えば積雪寒冷地などで -4)のは周知のとおりである.
されてきた 1
は,スリップ事故や歩行者の転倒などの原因と 本研究は,水の凍結問題を解くために,有限

Em
圃ail
:mt
ago
@me
ch.
aki
tau
.a
回j
c.

-69-
4
40

体積法と温度回復法に基づく簡便な数値計算方 2. 基 礎 式
法安提案するものである.本報では,その数値
計算手法の詳細について述べるとともに,本数 本研究で用いた基礎式は,以下に示す連続の
値計算方法の妥当性について検証するため 9 他 式,x方向運動方程式 ,y方向運動方程式 2 およ
の研究者らによる実験,および数値計算結果 5-7) び、エネルギー保存式で、ある.
と比較@検討を行ったので報告する. d/ , d

d )十 5
u 7(ρ
v) 口 o (
1)
記号@単位
3
(仰
い LW)十
去ρ(u
v)
(
2)
Cp 定圧比熱 [
J/(
kg
.瓦)] ェ生十三fμ2互い òμθ~1
h
L 凍結潜熱量 [J
/k
g] x O
o X¥' ox) 砂('砂 j
2]
q
U
:熱流束
x方向速度
[W/m
[m/s]
ρ
(
3小会(仰)+まいvv) 、

ν :y方向速度 [m/s] 二生十三μ +子


│生 1
匂1 O

│手1
μ +
(円nit ρ)g
' ox) りL り j
P :圧力 [Pa]
g
T
:重力加速度
:温度 [Ko
r
[m
/
o
s
c]
2]
ρCpT)十
;
( まいCpu 小
去ρ(り T) (
4)
roc]
九水の凍結温度
:時間
[Ko
[s]

=(A~:)+会(弓)十 ρ九与
~t 時間刻み,微小時間 [s] また,回相と液相との間をつなぐ結合条件と
メ :間相率 [
開] して,以下の結合条件式 8,9)を用いた.
制:闘相率の微小増加量 {国}
A2E472
仁川 o
c (
5)
P 代表コントロール@ボリューム中心 o
ns δn
{ " ~ o
t
E 東隣のコントロール@ボリューム中心
ここで nは法線方向の座標を示す.
W 西隣のコントロール@ボリューム中心
本研究では,これらの基礎式を有限体積法に
N 北隣のコントローノレ@ボリューム中心
基づいて離散化し, SIMPLE法 0 )を適用して数
1
S 南隣のコントロール@ボリューム中心
値計算を行った.なお,本数値計算手法には温
Greeks
ymb
ols
度回復法の概念も取り入れており,それについ
ρ :密度 [
kgm3]
/
ては次章で詳しく説明することにする.
A 熱伝導率 [W/(m.K)]
μ :粘性係数 [P
a.s]
3. 数値計算手法
ご :凍結層厚さ [m]
m

~ç 凍結層厚さの微小増加量
図 lは,南西から北東へ向かつて凍結が進行
S
ubs
cri
pt
している計算領域内の一部コントロール@ボリ
s 固相
ューム群を示したものである.破線が,コント
:液相
ローノレ@ボリュームの界面を表し, 白色部分が
x x方向座標
固相,黒色部分が液相に対応し,実線が凍結界
y :y方向座標
面を表している.凍結進行中の任意の代表コン
i
nt 初期値
i
トローノレ@ボリュームの格子点を P とし,その
北側,南側,東側,西側に,それぞれ格子点 N,
S,E,W を中心とするコントローノレ@ボリュー
ムを配置している. ~, ~y は,それぞれコント
ロール@ボリュームの l
幅,および高さを示す.

-70-
4
41

ムは,後に説明する凍結判定により,その領域
が完全に凍結したと判断されない限りは,液相
状態、にあると仮定した.
図において, W コントロール@ボリュームが
完全に凍結したと判断され,実線の位置まで凍
1t
結界面が進行してきた後に,微小時間 I の間に,
可 P コントロール@ボリューム内において,凍結
厚さがコントロール@ボリュームの高さ
S
oli
d: W込斗
方向に対して一様に ,X 方向に ι
Aだけ成長した
とすると x方向に関して以下の熱ノ〈ランス式
F
ig.
l C
ont
rolv
olu
mesi
nth
epr
oce
sso
ffr
eez
ing
, 9)が得られる.

δ

人ニム -A
3
x
ニニ
!
..
.=ρ'shJ
'3x .


L 3
t
(
6)

ここで ,A は熱イ云導率,Tは温度,P
Sは間相の
密度,h
Lは凍結潜熱量,とは凍結層厚さを表す.
式(
6)が先に示した式(
5)の結合条件式であり,間
液界面における熱バランスを表している.式(
6)
において,左辺第一項は田液界面を含む P コン
wco叫 v
olu
mef;蹴 s トローノレ@ボリューム(液相状態)から固相の W
j 畿
コントロール@ボリュームに流出する熱流束 q
sx,
左辺第二項は液相の E コントロール e ボリュー
ムから囲液界面を含む P コントロール@ボリュ
F
ig.
2 T
ypi
calc
ont
rol
-vo
lum
ewi
thp
has
ech
ang
e ーム(液相状態)に流入する熱流東 q
/' また,右
x
f
oraxd
回ire
cti
on 辺は回液界面を含む P コントロール@ボリュー
ムにおいて液相が凍結する際に放出した潜熱熱
また,図 2は,図 1に示した国液界面を含む 流東 q
μ に対応する.
コントロール@ボリューム(格子点 Pを中心とす 図 3は,同様に,図 lに示した国液界面を含
るコントロール@ボリューム)を中心として,そ むコントロール@ボリューム(格子点 Pを中心と
の左右に隣接している国相(格子点 W)と液相(格 するコントロール@ボリューム)を中心として,
子点 E)のコントロール@ボリュームの拡大図を )と液相
その上下に隣接している回相(格子点 S
示したものである.この図において ,q
sx
'qxは
/ , (格子点 N)のコントロール@ボリュームの y方向
それぞれ x 方向において国相,および液相を通 における拡大図を示したものである.この図に
過する熱流東を表している.また ,qLxは液相が おいても ,q
s' qかは,それぞれ,y 方向におい
y
凍結する際の x方向の放出潜熱熱流束を, ι
1
1は て固相,および液相を通過する熱流束を表して
微小時間 I
1tにおける凍結層厚さの x方向の微小 いる.また ,q
L , ~夜相が凍結する際の y 方向
yは
増加量を表している.なお,実線は, W コント の放出潜熱熱流束を, ι
1
1は,微小時間 I1tにお
ローノレ@ボリュームの界面を恭すとともに, p ける凍結層厚さの y 方向の微小増加量を表して
コントロール@ボリュームが完全に凍結したと いる.ここにおいても,実線は, S コントロー
判断されない限りは常に凍結界面を示している. ル@ボリュームの界面であると同時に, p コン
まず,図 2 に示した固相,および液相が共存 トロール@ボリュームが完全に凍結したと判断
する P コントロール@ボリュームにおいて ,x されない限りは常に凍結界面であることを示し
方向における困液界面の熱ノくランスについて考 ている .y方向についても x方向と同様に熱ノミラ
える.ただし,本数値計算方法では,国相,お ンスを考えると,以下が得られる.
よび液相が共存する P コントロール@ボリュー
4
42

わたり凍結したと判断されるまで, O
OCの水のま
まの状態にあると考えることにする.そのため,
固棺を通過する熱流束,すなわち凍結進行中の
コントロール@ボリュームからその西側にある
格子点 W の固相に流出する熱流束を求める際の
計算には,熱伝導率んとして,以下に示すよう
に,回相の熱伝導率 Awと液相の熱伝導率 Ap (凍
結が完了するまでは液棺と考えている格子点 P
の熱伝導率)の調和平均を用いた.
Sc
ont
rolvolumef
四 ace

ハU
/E1

-E
.-


EEA


-
-s 0
.5 0
.5
一一十一一
λw λ
p

F
ig.3 T
ypi
calc
ont
rolvolumew
i
固thp
has
ech
ang
e y方向の式(
9)についても,同様に考えられる.

f
orayd
i
嗣re
cti
on 本数値計算手法では,この様に式(
8),式(
9),お
)を用いて固液界面を含むコントロー
よび式(10
λニふーんニム口 ρ九 (
7) ル。ボリュームに隣接する国相(格子点 W ある
S 号
y 司 ' d
y '
. t
L

),および液相(格子点 E あるいはめの温
いは S
本数値計算方法では,式(
6),および式(
7)の固 ltの間における凍結層厚さの
度から,微小時間 !
相と液相主の間をつなぐ結合条件式を,国液界 微小増加量!lcを算出した.なお,時間を進行さ
面を含むコントロール@ボリュームと,それに せて計算していく際に,凍結進行中のコントロ
隣接する 4つのコントロール@ボリュームに対 ール。ボリューム中心 P 点の温度が,マイナス
cを算出
して適用し,凍結層厚さの微小増加量!l の温度に計算されてしまうが,実際の水の凍結
した.以下にその具体的な求め方について説明 現象は凍結温度 (
OOC
)を保持したまま進行する.
する. そこで,本数値計算方法では,凍結進行中のコ
まず,式(
6),式 (
7)から ,X,および、 y方向の凍 ントロール@ボリューム,すなわち,回液界面
結層厚さの微小増加量 A,!lι
ι を,それぞれ を含むコントロール@ボリューム(格子点 P
)の温
度については,常に凍結温度 (
OO
C)に設定し直し
M (.T … T
m _T r Ti
1c
!y= 一一一 !λ 」ー」ι-λiー~
ρ九人 :S!1x "1
I
!1x)
(
8) て計算を続けていくので,温度回復法の概念を
取り入れていると言える.
(• T_-T~ .L -T 1
_
(
9) 続いて,任意のコントロール@ボリューム(体
ρ九 '"s !
1y l
仏=一一|λ 江」三一 λ~I
'
"1 !
1y)
積 V [m3]
=!l
x!
l )が完全に凍結したか否かを判
yx1
と求めることにする.ここで x方向の式 (
8)に 断するにあたり,固相率五(任意のコントロー
おける Tw,T
Eは,それぞれ,回液界面を含むコ ノレ@ボリュームに占める国相の割合)なる変数を
ントロール@ボリュームに隣接する国相(格子点 取り入れたので,以下に説明する.
W),ならびに液相(格子点 E)の温度を , Tm は凍 図 4に,図 2,および図 3で示した国液界面を
結温度 (
OO
C)を表すものとする.この様に,微小 含む P コントロール@ボリュームの拡大図を示
ltの間における x方向の凍結層厚さの微小
時間 ! す.!l 隔を ,!
xはコントロール@ボリュームの i ly
増加量 !
lc
xを,固液界面を含むコントロール@ はコントロー f
レ@ボリュームの高さを表し,!l , ι
ボリュームとその両隣の格子点温度,すなわち, およびι
Aは,それぞれ,微小時間 !ltの間にお
格子点 W の間相の温度 T
wと,格子点 E の液棺 ける凍結層厚さのあおよび y方向の微小増加量
の温度らから求められるものとする.なお,閤 している.本数値計算方法では,先に示し
液界面を含むコントローノレ@ボリュームについ た式(
8),および式(
9)を,国液界面を含むコント
ては,そのコントロール@ボリュームが全体に ロール e ボリュームの x方向 ,y方向のそれぞれ
443



--
/'E1

E-A

Ef
Aι1

したがって,微小時間 /
}tの間における固相率の
.

微小増加量以は,国液界面を含むコントロー
ノいボリュームで、の微小時間仰の間におけるあ
および、 y方向の凍結層厚さの微小増加量 A,
乙 ι
.
}
/
から,重複部分を差し引くことによって

1
1
/,= 12
( )
i
lxl
1y

と求められる.しかしながら,本研究では,微

F
ig.4 O
ver
lapp
artofi
cel
ay
隣e
rth
ick
nes
sina 小時間 /
}t 聞の凍結層厚さの重複部分の大きさ
.

c
ont
rol
-vo
lum
e A
ιx/
}.ι
xlが十分に小さく無視できると考え,以
下の式を用いて固相率の微小増加量 /
}
.
!
Sを算定
に対して適用したので,微小時間 /
}tの聞に図
. 4 した.
の斜線部で表わされるように凍結層厚さの微小 年 1 c
>
1 l
1y+l1;y i
X
l
x)
増加最 ι
A,ι
.
}
/が重複する部分が生じてしまう. i
lxl
1y
(
l3)

式(
8),式 (
9)より,凍結層厚さの微小増加量 /
}
.
c
これより,凍結進行中の任意の時刻におけるコ
は,時間刻み /
}tの値が大きいと,大きく算出さ
.
皿3
ントロール@ボリューム(体積 V[ ]
=/}.x/
}.
y )の
x1
れ,また,時間刻み /
}tの値が小さいと,小さく
.
間相率五は,経過時間毎の面相率の微小増加量
算出される.
/
}
.
!
Sを加え合わせることにより,次のように求め
さらに,固液界面を含むコントロール@ボリ
られる.
ュームに隣接する国相の温度 T w,凡ならびに液
相の温度 T
E N も凍結層厚さの微小増加量 /
1 T }
.c λエ
ロI1f
s (
14)

に関係するため,冷却壁面温度や液相の初期温
図 5 は,任意のコントローノレ@ボリュームが
度の違いが,算出される凍結層摩さの微小増加
完全に凍結したか否かを国相率五によって判断
量/
}
.
cの大きさに影響をおよぼす.この様に,計
している様子を模式的に示したものである.国
算条件によって,算出される微小時間 /
}t間の凍
.
棺率 !
sが 1以下であれば未凍結(液棺状態にある
結層厚さの微小増加量 /
}
.cの算出値が変化し,そ
ものとする),国相率 !
sが lとなった時点で凍結
れにともない凍結層庫さの重複部分の大きさも
(固相状態)と判断する.本数値計算方法では,
変化することが予想される.また,当然のこと
(
14)を用いて p 凍結進行中の任意のコントロー
ながら,時間進行毎に生じる凍結層厚さの重複
ル@ボリューム(体積 V[m3]
=/}
.x/
}.
y )における国
x1
部分を考慮、しないと,凍結層厚さのあおよび、 y
相率の微小増加最 /
}
.
!Sを,時間進行とともに加え
方向の微小増加量 1ι
A
ι .
}
/の重複部分が園相率 合わせていき,国相率五が lになった時点で,
五に加算されることになり,凍結層を犀めに算定
そのコントロール@ボリューム全体にわたり凍
してしまうことになる. したがって,闘相率の
結が完了したとみなした.
微小増加量 A
五を算出する際には,時間進行毎に
一二傘一

2E且 留 咽

算出される凍結層厚さから,この重複部分を差 I
s<1
OAW
J
.
T

e
SBt'sseastt'
m
DA

胴駒

綱"
q
e
e
e

1"-嗣同園田
a
a
a
o

しw

し引かなければならない.そこで,凍結層厚さ
の重複部分を差し引いて固相率の微小増加 !務:
ぷを算出する具体的な方法について以下に説明

する. U
nfr
oze
n F
roz
en
図 4 の斜線部分で示される凍結層厚さの重複
部分の体積 V [m3]は以下のように求めることが F
ig.5 D
ete
rmi
nat
ionof企e
eze
-upbys
oli
dfr
act
ion
できる. 五
4
44

以上に述べたように,国液界面を含むコント
ロール@ボリュームに対して,凍結層厚さのあ
および y方向における微小増加量 A,d.ι
ι を算
出したこと,また 3 その値から回液界面を含む
コントロール@ボリュームにおける回相率の微
小増加量を算出したこと?さらに時間進行毎
の回相率の微小増加量を積算した回相率五
の値により,そのコントロール@ボリュームが
凍結したか否かの判定を行ったこと,これら一
連の操作@手順に本研究の特徴がある.
さて,本研究では液相内の流れ場も同時に解
F
ig
.6 V
elo
cit
yc om
ponen
tsont
heI
nte
rfa
ceso
fa
いているが,次に,凍結進行中の固液界面を含
s
cal
arcon
trol-
vol
ume
む P コントロール@ボリューム境界における速
度の処理について説明する.
口一ノレ@ボリュームで定義した回相率五により,
図 6 は,回液界面を含むコントロール@ボリ
),i
国相(国相率五=1 夜棺と回@液共存相(ともに
ューム(格子点 Pを中心とするスカラーコントロ
)の 3相を判 3
固相率五<1 rJし?国液界面を含むス
ール@ボリューム)を中心に隣接するスカラーコ
カラーコントロール@ボリュームに隣接する北
ントローノレ ボリューム群を示したものであり,
e
側と南側の国相率五と,東側と西側の田相率五
格子点はスカラーコントロール@ボリュームの
を,それぞれ比較し,大きい値の方向から小さ
中心を表している.本研究では,流れ場を求め
い値の方向に向かつて凍結が進行しているもの
るにあたりスタガードコントローノレ@ボリュー
と判断した.
ムを導入したので,スタガードコントロール@
ところで,水はどCで最大密度を有するため,
ボリューム中心で X,および y方向の速度 ,V
U
」の温度を境に経度の逆転現象が生じる.そこ
を定義した. したがって,破線上に位置する矢
で,本研究では,水の密度 p の温度依存性を考
印が,スタガードコントロール@ボリュームの
慮、するため,以下の式 11)を用いることにした.
中心速度 U,V を表している.この様に,スタガ
ードコントロール@ボリューム中心で定義した よ 1+β'lT リ~T2 +β3
ロ土 (
ρ ρ。 、 ,
'3+ β~T4)
T (
15)
速度 U,νは,温度と圧力を定義したスカラーコ
ントローノレ@ボリュームの境界にあたるため, '
>- -

.
.、 ,P
で o,sl> s2> s
3' およびんの値は p それ
これ以降,境界速度と呼ぶことにする. ぞれ,以下のとおりである e

本研究では,固液界聞を含むコントローノレ@ 仰
A 口 朔 8396(k 3
)
ボリュームが凍結完了と判断されるまでは,ス
s
1=-0
.67
896
452
xlO
-4
(IO
lC)
カラーコントロール@ボリュームは液相である
と考えることにした. したがって,図 6に示し -5(
s2=0.90加 4338xl0 lr
C2)
た状況下では,周波界面を含むスカラーコント
s3=-0.9附 68125xl
…7(lrC3)
O
ローノレ@ボリュームの東側,ならびに北側では
境界速度 U,V を解き続けることにし,凍結完了 パ1/OC
s4=0.873702983xl 4
)

と判断された時点で,国液界面を含むスカラー
コントロール@ボリュームの東側,および北側 4. 結果および考察
VをO
の境界速度 U, m/sに設定することにした.
以上の例は,南西から北東へ向かつて凍結が進 4
.1 驚藤の実験および数値計算との比較 5)

行する場合の境界速度の処理方法について説明 本数値計算方法の妥当性について検討を行う
したものであるが,東西南北のどの方向から凍 にあたり,まず,液相内の自然対流を考慮、しな
結が進行する場合においても,スカラーコント い斎藤の熱伝導モデル 5)との比較を行う.

-74
4
45

冷却開始と同時に,凍結層厚さの重複割合が増
加するものの, 1
10分後でも 凍結層厚さ 9

割合はおよそ .
7%であり 凍結層厚さ
3

合は極めて小さい値であることがわかる.
S
urro
undi
ngWal
1s
C
ooled 1t間
以上のことから?本研究では,微小時間 I
:
-0.
085C /m
in 0
の凍結層厚さの重複部分の大きさ ι
A 刈は
十分に小さく 9 これを無視しても十分に精度の
y ある数値計算が行えると判断し,重複部分を無
視じた式いりを用いて国相率の微小増加量を
算定することにした.
図 9 に,本数値計算方法で得られた計算結果
F
ig.7 C
omp
uta
tio
nalmodel と,粛藤の実験および数値計算結果を示す.図
には 冷却開始から 40分後, 80分後,ならびに
9
図 7に,計算モデノレをポす.本モデルでは,
1
10分後の凍結層が示されている .0印が本数値
斎藤の実験,および数値計算結果と比較@検討
計算結果であり,実線,およびム印は,それぞ
を行うために,斎藤と同一の容器寸法となるよ
れ,斎藤による実験,および数値計算結果に対
う一辺が 79mmの正方形容器とした.また,初
応している.また,本数値計算方法によって得
期条件として容器内の水の初期水温を O
OCと設
られた凍結層を,白から黒にかけてのグラデー
定し,境界条件としては,正方形容器周囲の壁
ションで示している.
の温度が O
OCから時間の経過にともなって低下
0 冷却開始から, 4
0分後の本数値計算結果と驚
するように設定し,その冷却速度を -0.08SC/min
藤の実験および数値計算結果を比較すると,凍
とした.なお,周囲の壁全体にわたり一定の冷
結層の厚さ,ならびにその形状はよく一致して
却速度で冷却したため,凍結挙動は左右対称と
いることがわかる.次に,冷却開始から 80分後
なる.したがって 中心線から半分(左側)の領域p

の本数値計算結果も,策藤の実験,および数値
を対象に計算を行った.
計算結果と極めてよく一致している様子が認め
ここで,本数値計算結果と驚藤の実験および
数値計算結果を示す前に,まず,凍結層厚さの 8
0
重複部分がどれだけ生じているのかを調べ,数
値計算を行う際には凍結層厚さの重複部分を無
視してよし 1か検証を行うことにした.
6
0
図 8に,凍結領域に占める凍結腸厚さの重複
割合の総和と経過時間の関係を示す.図より,

3
.0
40
2
.5

1
10min
(

6
'
?2.
0
屯J


以1.5 20 80min



,.

40min
る1.0
0
.5

n
n
m
u


ゐ3も



i

20 40 60 80
ElapsedTime(min)
1
00 1
20 。 20 40

9 Comparisonbetweenp
res
entr
esu
ltsand
F
ig.8 R
ela
tio
nsh
ipbetweeno
ver
lapr
ateand t
hos
ebyS
ait
ohf
ort
het
imev
ari
ati
onsof
e
lap
sedt
ime i
cel
aye
r

-75-
4
46

W4

d
d

u
n
p
δ

0 b r〆4
nJ1d
それ以外の壁では断熱条件を課し,初期水温を


と設定した.ここでも,凍結領域に占める凍
さの重複割合の総和がどれほど生じてい
I
ni
ti
alWater るのか検証した。その結果, 120分後においても
T
emper
ature4 o
c 1 と非常に小さく無視できると判断し,先に
した式を用いて回相率の微小増加量必を
Coo
ledWall 出した@
T
empera
tur o
c
e-10
1に,本数値計算方法で得られた計算結果
図1
と佐々木らによる実験結果を示す.図には,実
験開始から (
a)0分後, (
1 b)0分後 ならびに (
3 c)
96
0
分後の流線分布と凍結層席さが示されている.
なお,容器左下の白色部分が凍結層である.(
a),
(
b),(
c)し1ずれの図においても,左側が本数値計

F
ig.1
0 C
omp
uta
tio
nalmodel 算結果であり,右側が佐々木らの実験結果であ
る.
られる. 110分後では,脊藤の実験結果に比べて 0分後の本数値計算による流線
冷却開始から 1
本数値計算結果はわずかに凍結層の庫さが薄く 分布から,容器左壁近くの鉛直方向中央を中心
なっているものの 9 替藤の数値計算結果とは良 として,容器全体にわたり時計四りの流れが生
好な一致を示している e じている.これは,初期水温をど'C(最大密度)と
4
.2 佐々木らの実験結果的との比較 設定したことによって,冷却開始と同時に凍結
次l
0
こ 佐々木らの実験結果的と比較すること
9 層近傍の水が 4Cよりも低い温度に冷却される
によって,本数値計算方法の妥当性について検 ため密度が減少し,凍結界面に沿って上向きの
証する. 流れが発生し,その結果,容器全体にわたり時
0に,本数値計算モデルを示す.本モデル
図1 計回りの流れが生じたものと考えられる.佐々
では,佐々木らの実験結果と比較するため,彼 木らの実験結果でも,容器左接近くの鉛直方向
らの実験と同じ容器寸法,ならびに境界条件の 中央を中心に,時計四りの流れが容器全体に生
下で、計算を行った.容器は,縦 100mm,横 50mm じていることが確認できる.凍結層厚さについ
の二次元く形容器である.境界条件として,左 ては,佐々木らの実験結果に比べ,本数値計算
壁の下端から 20盟国の高さまで -lOOCで冷却し, 結果の方がわずかに薄くなっているのが観察さ

100

90

80

70

60

5
0

40

30

20

1
0
n
m
u

1
0 20 30 40 50 1
0 20 30 40 50
n

1
0 20 30 40 50
ふヨ 'b
u

(
a)1
0min (
b)30min (
c)60min

F
ig.1
1 Comparisonbetweenp
res
entr
esu1
tsandt
hos
ebyS
asa
kie
talf
. o
rth
eti
mev
ari
ati
onsof
b
othi
cel
aye
rands
閑tre
aml
ine
s

-76-
447

I
nsu
lat
edWall
れるものの?凍結層の成長にともなう流動挙動 8
u/ v
y=0,
8 。

と凍結層の形状については,本数値計算結果と
佐々木らの実験結果は定性的によく一致してい
HeatedWall CooledWal
l
る. T日mpera
ture5oC empera
ture-10o
C

冷却開始から 30分後においても 依然として 9 ln


it
ia
lWater
T日mpe
rat
ure5o
C g
g
容器全体に時計四りの流れが生じていることが o

u=v=O
本数値計算結果よりわかる.一方,佐々木らの 門

実験結果でも,容器全体にわたり持計回りの流
れが比較的鮮明に観察されている.
さらに, 60分後の本数値計算結果では時計回
りの流れの中心領域が鉛直方向に狭まっている
様子が観察される@また,佐々木らの実験結果
I
nsu
lat
edWall
についても同様に,流れの中心領域が鉛直方向
にいく分狭まっている様子が認められる.凍結
1
2 C
omp
uta
tio
nalmodel
層厚さについても,本数値計算結果と佐々木ら
の実験結果との間に顕著な違いは認められない. 験条件と同様に,容器内水面の境界に関して,
4
.3 M.T
.St
ick
ladらの実験結果 7)との比較
n 波立ちのない自由液面を実現するため,この水
前節において,本数値計算結果を佐々木らの 面に対して, θu
/砂口 0,v=0なる境界条件を課
実験結果と比較@検討し本数値計算方法の妥 した.なお,本モデノレにおいても時間進行俸に
当性を検証した.本節においては, M.T
.St
ick
lan
d 積算される凍結層厚さの重複割合について検証
らの実験結果 7 )と比較し本数値計算方法の妥 を行った結果,経過時間 9
0分後においても,凍
当性についてさらに検討する. 結領域に占める凍結層厚さの重複割合の総和は
2に
図1 , M.T
.St
ick
ladらの実験結果と比較す
n 2.2%と極めて小さい値で、あったので,凍結層厚
るための数値計算モデルを示す.本モデルで、も, さの重複部分は無視して数値計算を行うことと
彼らの実験装置@条件等に従った.二次元く形 した.
容器の寸法は,縦 140mm,横 75mmである.ま 本数値計算方法によって得られた計算結果と
た,境界条件として,右控を -lOOCの冷却壁, M.T
.St
ick
ladらの実験結果を,図 1
n 3に示す.
左壁は S
OCの加熱壁とした.初期水温は,容器左 には,二次元く形容器の右側の冷却壁下端から
側の加熱壁の温度と同じである.なお,彼ら い
)35mm,(b)70mm,および(c)105mmの高さに
の実験装置では,容器内の水が凍結する際の体 おける凍結層犀さの時間変化が示されている.
積膨張を考慮し,容器上部に空間(空気層)を設け (
a),(
b),(
c)のいずれの図においても,縦軸は凍
ているため,容器内の水面は自由液面となって 結層厚さを,横軸は冷却開始からの経過時間を
いる.したがって,本数値計算でも,彼らの実 表しており,本数値計算結果を破線で, M.T.

2
5 2
5 2
5

~20
日 ~20 (
E
}20
E

i
u
1
5


2A 1
t
4 5 j

a1
t 5
dコ

1
包1
0

"
J 炉ぷ包~巴~、10 包

也、1
B
三0
ω
~ 5

20 40 6
0 80 1
00 2
0 40 60 8
0 1
00 20 40 60 8
0 1
00
E
lap
sedTime(
min
) E
lap
sedTime(
min
) E
lap
sedT
ime(
min
)

(
a)y= 3
5m m (
b)y= 70m m (
c)y 1
05m m

1
3 Timev
ari
ati
o 印 刷l
nofi aye
rth
ick
nes
s

77
448

S
tic
kla
ndらの実験結果を実線で示した. 水にこの空気層から熱が与えられる@ したがっ
容器右側の冷却壁下端から高さ 35mmの位置 て,容器左側の加熱壁に沿って下向きに流れる
における凍結層厚さの時間変化より,冷却開始 擦に,水の温度は比較的早く最大密度を有する
から 20分後までは,本数値計算結果と の温度に達し その後は温度の上昇とともに
9

S
tic
kla
nd らの実験結果は比較的よく一致してい 密度が減少していきながら 9 下向きの流れは滅
る.しかしながら,それ以降では時間の経過に される.この減速された下向き流れは,容器
ともなって次第に凍結層厚さに差が見られるよ 左側下部に存在する時計四りの渦と衝突し,
うになり, 90分後には彼らの実験結果に比べて 器内の比較的高い位置で加熱控からはく離し,
本数値計算結果は 7mm ほど凍結層の厚さ の後容器右側の凍結層へ衝突する.このとき,
くなっている. 容器右側下部の凍結層に衝突する水の速度が遅
冷却壁下端から 70mmの位置においては,冷 いため,水から凍結層に対流熱伝達で伝わる熱
却開始から 40分後まで,本数値計算結果による 量が少なく,その結果,本数値計算結果と比較
凍結層厚さは,彼らの実験結果よりもわずかに して凍結層の成長が促進されたものと考えられ
く計算されているものの,本数値計算結果と る.
彼らの凍結層厚さの時間変化にはさほど大きな 一方,本数値計算における流動挙動は以下の
差は見られない.しかしながら, 40分以降では, 4に,本数値計算による冷却開
ようである.関 1
時間の経過にともなって 9 彼らの実験結果と 始から 60分後の流線分布,および凍結層庫さを
数値計算結果の差が広がり, 90分後には彼らの 示す.容器右側の灰色の部分が凍結層を表して
実験結果に比べて 6mm ほど本数値計算結果は いる.本数値計算結果による流線分布から,容
さが薄くなっていることがわかる. 器左側下部に時計回りの渦と,容器のほぼ全体
高さ 105mmの位置では,冷却開始から 40分 におよぶ反時計四りの渦が観察される.ただし,
以降で,本数値計算結果と彼らの実験結果の差 容器左側下部の時計四りの渦は, M.T
.St
ick
lan
d
がわずかに大きくなっているが,経過時間全体 らのそれと比べてかなり小さい.先に図 1
2の計
にわたり本数値計算結果と彼らの実験結果はよ 算モデノレで、説明したように,本数値計算の上部
く一致しているものと考えられる. 水面では完全な断熱が計算上実現されるため,
これまで,容器右側の冷却壁下端から 35mm, そこでの熱移動はなく,容器左側の加熱壁に向
かう水の温度は 4Cよりも低い状態になってい
0
70mm,および 105mmの高さにおける
さの時間変化について,本数値計算結果と ると考えられ, 40C~ こ到達するまで加熱壁に沿う
M.T
.St
ick
lad らの実験結果を比較してきた.そ
n 下向きの流れが密度の増加とともに助長される.
の結果,本数値計算結果と M.T
.St
ick
ladらの実
n
1
40
験結果は比較的よく一致することがわかった.
しかしながら,冷却壁下端からの位置が低いほ
1
20
ど,両者の凍結層厚さの差が大きい.この様に,
右側冷却壁における位置が低いほど凍結層厚さ 1
00
の成長に差が生じる理由については,凍結層の
8
0
成長にともなう容器内の流れから以下のように
考えられる. 60
まず, M
.T.
Sti
ckl
and らの実験では,冷却開始
から 60分後の容器内には,容器左側下部に時計 4
0

りの渦と,容器のほぼ全体におよぶ反時計四
2
0
りの渦が観察されている.彼らの実験装置では,
m
m

凍結による体積膨張を吸収するため水面上部に O
空気層の空間が設けられており,容器右側の冷 o 2
5 5
0 7
5

却壁で冷却されてヰ℃よりも温度が低くなった F
ig.1
4 I
cel
aye
rands
嗣 tre
aml
ine
saf
ter60min

-78-
4
49

そのため,加熱壁に沿う下向きの流れは,途中 において凍結腸の厚さが薄くなっているもの
で加熱壁からはく離することなく,容器左側下 の,その領域以外では, O
OCIこ固定した方がわず
部の小さな時計四りの渦を容器下部へと押し下 の厚さが増していることが数値デー
げながら,減速することなく容器右側下部の凍 タより確認できた.凍結層の厚さに関して,容
に衝突する.このとき,凍結属に衝突する 器上部の境界温度をと固定した場合には,容
水の速度は M工 S
tic
kla
ndらのそれに比べ速く, 器の上壁面近傍において 凍結層が薄くなる傾
水から凍結層へ対流熱伝達で伝わる熱量も多い 向が見られたが,この傾向は M.T
.St
ick
ladらの
n
ために,凍結層の成長が抑制されたものと考え 実験結果にも見られる. したがって,容器上部
られる. の境界温度を断熱からと国定したことで,
以上の考察を踏まえて,容器上部における 流線分布には変化が見られなかったものの,凍
界条件の違いが液相内の流動挙動,および凍結 結層の厚さ,およびその形状が M.T
.St
ick
ladら
n
の成長におよぼす影響について検証すること のそれに近づくことが確認できた.
にした.なお,容器上部の境界温度については 9 以上に示したとおり 9 本数値計算結果と M
.τ.
凍結局に沿って上向きに流れながら,容器上部 S
tic
kla
nd らの実験結果の比較より,容器上部の
に到達する水の温度が限りなく O
OCに近い温度 境界条件の違いが,凍結層の成長に定量的差異
になっていることが予測されるため,容器上部 となって現れたものと考えられる.
に適用する境界温度として,容器上部の境界温
度を O
OCに固定して数値計算を行った. 5
.結
5I
図1 こ,容器上部の境界温度を O
OCと固定し
た場合の冷却開始から 60分後の流線分布と凍結 本研究では,水の凍結問題を解くために,
層厚さを示す.ここにおいても,容器右側の灰 限体積法と温度回復法に基づく簡便な数値計算
色部分が凍結層を示している. 方法を提案し 9 その数値計算手法の詳細につい
容器内の流線分布について,容器上部の境界 て述べた.また,本数値計算方法の妥当性につ
温度を O
OCと悶定した場合(図 1
5)と容器上部を断 いて検証するために,他の研究者らによる実験,
熱とした場合(悶 1
4)を比較すると,顕著な違いは および数値計算結果日)と比較@検討を行つ…
見られない.しかしながら,凍結層の厚さにつ その結果,凍結層の厚さ 9 形状,および凍結
いては,容器上部の境界温度を O
OCと固定した場 層の成長にともなう容器内の流動挙動が他の研
合 L 断熱とした場合を比べると,上部の境界 究者らの結果と比較的よく一致したことから,
温度を O
OCに固定した方が,容器の上盤面近傍 簡易的数値計算方法として本数値計算方法はほ
ぼ妥当であることが検証できたと考えられる.
140

120
文献

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.St
ick
lan
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