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禁じられています。ここに述べられている製品は常に改良がなされています。したがって、製品の操作は、記述されているものと異なる場合
があります。すべての内容は予告なしに変更される場合があります。 I
ARES 機器マニュアル

ドキュメント改訂履歴
ARES 機器マニュアル
902-30026

改訂 発行日

X1 2000 年 5 月
A 2000 年 6 月
B 2001 年 9 月
F 2004 年 9 月

II 2001 年 9 月
902-30026 改定 B
一般情報

システムの構成
この表は RSI のサービス/インストールエンジニアの助言の下に、システムのインストレーション時にお客様が空欄を埋
めてください。ティーエイ・インスツルメントジャパンに問い合わせをし、カスタマーサポートまたはサービスを受けられる際は、
下記の情報を参考になさってください。

パラメータ 仕様/説明 シリアル番号


機器 ARES
モータ
トランスデューサ
アクセサリ/ツール

オーブン
環境コントロールシステム 流体バス
ペルチエ
LN2 コントローラ
チラー
サーキュレータ
その他

カスタマーサービスとサポートは:
TEL: 03-5479-8418
Fax: 03-5479-7488

2001 年 9 月 III
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

ノート:

IV 2001 年 9 月
902-30026 改定 B
一般情報

一般情報

通知事項
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社は、慎重にこのドキュメントの準備を行ってまいりました。特別な製品の特長に関
して、レオメトリック・サイエンティフィック社は、そこに述べられている内容は正しく、このドキュメントが発行された時点で
代表的なものと考えています。そのような内容に関して保証はいたしません。いかなるダメージについても、それが偶然
であれ、必然的なものであっても、またこのドキュメントに記載されている性能やジオメトリ、使用によって発生することに
ついて保証をいたしません。いかなる特別な目的に対して、この製品の情報の適合性を示すことは行いません。レオメト
リック・サイエンティフィック社は、このドキュメントを改訂する権利を所有し、改定や変更の内容について、お客様にお知
らせしないで変更する権利を所有します。これは、第 15.103(c)節に基づく連邦規定 CH I の、FCC タイトル 47 のパート
15 に記される技術標準から免れます。
本製品は、EN 55011、グループ 1、クラス A の電磁 RF 放出基準を満たしており、工場などに設置して使用できるよう製
作されています。EN 55011 クラス A ISM の無線干渉範囲は、ビルなどで個別の目的のために、機器が低電圧の電源
供給ネットワークから供給される場合などには適さない場合があります。

ここに述べる製品は、常に改良がなされています。したがって、製品の操作方法は本ドキュメントに述べるものと異なる
場合があります。
本ドキュメントと RSIOrchestratorTM オンラインヘルプは、これらの機器の操作とキャリブレーションに関して、ティ-・エイ・イン
スツルメントジャパン社が正式に発行したものです。

用語と記号
このマニュアルを通して、以下に示す用語と記号が使用され、特別な状況に対して注意を促します。

用語または記号 内 容

回避しない場合は、直ちに障害や死に至る結果を招くことになります。
危険
回避しない場合は、直ちに障害や死に至る結果を招く可能性があります。
警告
回避しない場合は、機器にダメージを与えたり、または正常に働かなくなります。.
注意
関係するステップの手順の前に強調される情報です。

安全告知に関する一般的な認識記号です。これは同時に、この記号が付けられた機器
の位置に関係する情報を示します。

2001 年 9 月 V
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

安全に関して
修理をしないでください。
ユーザに修理部品を提供していないため、この機器には修理を行わないでください。

必要な機器
本機器を操作する際は、ANSI Z87.1 標準以上の目を保護する用具を使用してください。さらに、テストする材料やテス
トを行う際の温度に耐える着衣を身に着けてください。

安全に関する注意
下に示す注意は、ユーザの皆様の注意を促し、人体の安全と機器の安全のために記されたものです。これらの注意マ
ークは、このマニュアルの適切なところに記載されていますが、念のためにここで繰り返されています。さらに、機器に記
されているすべての注意は、IXページに記載されています。

注意
機器にダメージを与える可能性があります

エアードライヤーに付属の操作およびメインテナンスマニュアルをお読みください。間違った操作を行
ったり、適正なエアードライヤー温度を保たない場合は、機器に重大なダメージを与える可能性があり
ます。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

本マニュアルに記載されていない方法で使用されると、機器がダメージを受ける場合があります。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります
これは高トルクモータです。ダイナミックモードでこのモータを回転させると、ダイナミックゼロポジション
に高速で回転します。このため、トランスデューサや人体に対して極めて甚大なダメージを与える可能
性があります。あなた御自身やトランスデューサをダメージから避けるため:
· サンプルが乗せられている間は、決してモータをオンにしないでください。
· モータには決して手を触れないでください。

VI 2001 年 9 月
902-30026 改定 B
一般情報

注意
機器にダメージを与える可能性があります
フォース・リバランス・トランスデューサは、ベアリング・ロックに取り付けられている高精度のエアー・ベ
アリングがあり、これによりエアーが供給されないときにエアー・ベアリングが移動するのを防ぎます。
お手持ちのトランスデューサの破損を避けるため、このベアリング・ロックの操作に慣れていただき、次
に示す注意事項を参考にしてください:
· ベアリングにロックが掛かっているときは、機器に電源を供給しないでください。
· トランスデューサにエアーが供給されなければ、ベアリングのロックをはずさないでください。
· エアーの供給をどうしても止めなければならない場合は、エアーを抜く前に機器の電源を切り、
ベアリングをロックしてください。
· ベアリングのロックがはずされているとき、エアーの供給が遮られた場合、エアーの供給がなされ
るまでアンビルに触れないでください。
· トランスデューサへのエアーの流れを常に保ち、エアーベアリングが汚染されるのを防いでくださ
い。
これらの注意事項を怠るとトランスデューサにダメージを与えることになります。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

テスト・ステーションは一人で持ち上げたり移動しないでください。テスト・ステーションを持ち上げたり
移動すると、人体に重大な危害を与えたり、テスト・ステーションにダメージを与える可能性があります。

危険
人体に危害を与える可能性があります
流体シリコン(SF 96-50)は、温度が+140℃より高く加熱されると毒性の煙を発生します。サーキュレー
タの上部に、外部に換気することのできる排気フードが取り付けられている場合にのみ、この流体シリ
コン(SF 96-50)を+140℃より高い温度で使用してください。サーキュレータからは、発生した煙を十分
に排出されていることを確認してください。この作業を怠ると、人体に危害を与えたり死に至る場合が
あります。

2001 年 9 月 VII
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

注意
機器にダメージを与える可能性があります
下方のフィクスチャーの温度が、バスのそれより低い場合は、下部のフィクスチャーをバスの中に置か
ないでください。
フィクスチャーより暖かいバスに置くと、フィクスチャーは使用中に膨張してきます。膨張すると、バスに
ダメージを与えないで取り外すことは困難になります。
フェノール製スペーサを下方フィクスチャーの上端とバスの表面の間に一部分を挿入することをお勧
めします。下方のフィクスチャーの温度がバスの温度になるまで待ち、その後そのスペーサを取り外し
たあと下方のフィクスチャーを完全に挿入します。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

ヒューズの交換は、経験のある電子技術者のみが行ってください。

危険
人体に危害を与える可能性があります

ヒューズを交換する前に、テスト・ステーションへの AC 電源を OFF にしてください。電子回路に電気


が通じているときにヒューズを交換すると感電して危害をこうむったり死に至る場合があります。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

火災の発生から逃れるため、同じタイプ、同じ容量のヒューズと交換してください。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

次に示す手順は、熟練した電子技術者のみが行ってください。

VIII 2001 年 9 月
902-30026 改定 B
一般情報

危険
人体に危害を与える可能性があります
次の手順を行う前には、テスト・ステーションへの AC 電源が OFF になっていることを確認してください
(ステップ a を参照)。電子回路に電気が通じているときにヒューズを交換すると感電して危害をこうむっ
たり死に至る場合があります。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

この機器の操作には高電圧が使用されています。操作する人が安全に関する注意事項の実行を怠る
と感電死する場合があります。高電圧の接続部分を熟知し、機器のキャリブレーションを行うとき、それ
らの部分に接触しないよう注意してください。機器の内部を作業する前には、すべての宝飾品をはず
し、電源を切り、手を触れる前に高電圧部をアースしてください。絶縁された電子調整ツールを用いて
調整を行ってください。機器に電源が供給されているときは、機器の内部のどのコンポーネントにも直
接触れないようにしてください。

2001 年 9 月 IX
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

電源シャーシの裏側

警告:
常時障害を避けるため、
同じタイプ、同じ容量のヒューズと
交換してください。

トランスデューサの前面(FRT のみ)

エアープレッシャをオンにして
ロックをインストール/アンロック
してください

モータマウントの前面

警告:
電源オンと操作時には、
モータから手と品物を離すこと。

オーブンの前面

危険
ツールおよび表面が高温

X 2001 年 9 月
902-30026 改定 B
一般情報

目 次

第 1 章 はじめに ...................................................................................................... 1

1-1 はじめに ................................................................................................................. 1


1-1.1 このマニュアルの目的と範囲 ............................................................................................................. 1
1-1.2 レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社 への連絡........................................................... 1
1-1.3 このマニュアルのきまり...................................................................................................................... 2

1-2 機器の説明 ............................................................................................................. 2


1-2.1 モータ ............................................................................................................................................. 2
1-2.2 モータのモード................................................................................................................................. 2
1-2.3 トランスデューサ............................................................................................................................... 3
1-2.4 ノーマルフォース(法線応力)による応力再バランス(FRTN1) .................................................................. 3
1-2.5 標準トランスデューサの概要(STD) ..................................................................................................... 3
1-2.6 環境制御オプション.......................................................................................................................... 3

1-3 操作原理................................................................................................................ 5
1-3.1 制御コンピュータ.............................................................................................................................. 5
1-3.2 モータ ............................................................................................................................................. 5
1-3.3 トランスデューサ............................................................................................................................... 5
1-3.4 環境制御システム............................................................................................................................. 6

1-4 仕様 ...................................................................................................................... 7
1-4.1 モータの性能仕様............................................................................................................................ 9
1-4.2 トランスデューサの操作仕様............................................................................................................ 10

第 2 章 機器のコンポーネント: 確認と操作 .................................................................... 13

2-1 コンポーネントの確認と設置....................................................................................... 13
2-1.1 ホストコンピュータ........................................................................................................................... 15
2-1.2 テストステーション........................................................................................................................... 15

2-2 テストステーション前面のアセンブリーと制御 .................................................................. 15


2-2.1 モータ ........................................................................................................................................... 15
2-2.2 モータ/オーブンストップ.................................................................................................................. 16
2-2.3 トランスデューサ............................................................................................................................. 17
2-2.4 ステージ........................................................................................................................................ 17
2-2.5 手動によるステージの制御 .............................................................................................................. 17
2-2.6 ソフトウェアによるステージの制御..................................................................................................... 18
2-2.7 フロントパネルの LCD ディスプレイ .................................................................................................. 20

2001 年 9 月 XI
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

2-3 アクチュエータのベアリングロック ................................................................................ 21


2-3.1 標準トランスデューサ(2K STD および 10K STD) ................................................................................21
2-3.2 ノーマルフォースのない FRT(100 FRT および 200 FRT).....................................................................21
2-3.3 ノーマルフォースのある FRT(FRTN) .................................................................................................22
2-3.4 高精度(HS)および高トルク(HT)モータ...............................................................................................23
2-3.5 低せん断(LS)モータ ........................................................................................................................23

2-4 テストステーション後面の入力パネル ........................................................................... 25


2-4.1 信号パネル....................................................................................................................................25
2-4.2 電源パネル....................................................................................................................................28
2-4.3 主電源スイッチ ...............................................................................................................................29
2-4.4 空気圧パネル.................................................................................................................................30

2-5 オーブン............................................................................................................... 35
2-5.1 オーブンの温度制御..........................................................................................................................
2-5.2 チラー ...........................................................................................................................................36
2-5.3 LN2 のコントローラ ..........................................................................................................................38
2-5.4 オーブンのガスの選択 .......................................................................................................................
2-5.5 オーブン操作の要件 ....................................................................................................................................
TM
2-5.6 RSIORCHESTRATOR でのオーブンの構成..............................................................................................
2-5.7 オーブンの操作.................................................................................................................................
2-5.8 オーブンシステムのステータスインジケータ .......................................................................................42

2-6 流体バス 2 ............................................................................................................ 43


2-6.1 説明 ..............................................................................................................................................43
2-6.2 流体バスのインストール ...................................................................................................................43
2-6.3 サーキュレータの接続 .....................................................................................................................46
2-6.4 PRT のインストレーション .................................................................................................................46
2-6.5 下方フィクスチャーの取り付けと取り外し ............................................................................................47
2-6.6 サーキュレータの充填 .....................................................................................................................47
TM
2-6.7 流体バス 2 RSIORCHESTRATOR での構成 ..........................................................................................48
2-6.8 流体バス 2 操作の要件 ...................................................................................................................50
2-6.9 流体バス 2 操作 .............................................................................................................................50

2-7 ペルチエ .............................................................................................................. 51


2-7.1 説明 ..............................................................................................................................................51
2-7.2 ペルチエのインストール...................................................................................................................53
2-7.3 サーキュレータの接続 .....................................................................................................................55
2-7.4 サーキュレータに充填 .....................................................................................................................55
TM
2-7.5 RSIORCHESTRATOR でのペルチエの構成 ..........................................................................................56
2-7.6 ペルチエ操作の要件 ......................................................................................................................58
2-7.7 ペルチエの操作 .............................................................................................................................58

2-8 流体バス .............................................................................................................. 60


2-8.1 説明 ..............................................................................................................................................60
2-8.2 流体バスのインストール ...................................................................................................................60
2-8.3 サーキュレータの接続 .....................................................................................................................63
2-8.4 サーキュレータに充填 .....................................................................................................................63

XII 2001 年 9 月
902-30026 改定 B
一般情報

TM
2-8.5 RSIORCHESTRATOR での流体バスの構成 .......................................................................................... 65
2-8.6 流体バス操作の要件 ...................................................................................................................... 67
2-8.7 流体バスの操作 ............................................................................................................................. 67

第 3 章 テストの説明 ............................................................................................... 69

3-1 はじめに ............................................................................................................... 69


3-1.1 応力、歪み、粘弾性........................................................................................................................ 69
3-1.2 定常状態でのテスト ........................................................................................................................ 70
3-1.3 ダイナミック・メカニカルテスト ........................................................................................................... 70
3-1.4 機器のソフトウェア操作の記述......................................................................................................... 74

3-2 テストのモード ........................................................................................................ 75

3-3 歪みを制御した動的テストの方法................................................................................ 76
3-3.1 動的単一点計測 ............................................................................................................................ 76
3-3.2 動的時間スイープ .......................................................................................................................... 77
3-3.3 周波数スイープ.............................................................................................................................. 78
3-3.4 動的温度ステップ........................................................................................................................... 80
3-3.5 動的歪みスイープ .......................................................................................................................... 82
3-3.6 動的温度傾斜テスト........................................................................................................................ 84
3-3.7 マルチウェーブ、シングルポイント; マルチウェーブ温度傾斜 .............................................................. 86
3-3.8 周波数/温度スイープ ..................................................................................................................... 89

3-4 制御歪み、定常テストの方法...................................................................................... 90
3-4.1 定常シングルポイント...................................................................................................................... 90
3-4.2 定常傾斜スイープ .......................................................................................................................... 92

3-5 制御歪みの遷移テストの方法..................................................................................... 94
3-5.1 せん断ステップ速度........................................................................................................................ 94
3-5.2 応力緩和(遷移ステップ歪み)........................................................................................................... 95
3-5.3 マルチ伸長モード .......................................................................................................................... 96
3-5.4 任意波形テスト............................................................................................................................... 98
3-5.5 シクソトロピック ループ(速度傾斜)..................................................................................................101
3-5.6 トルク/ノーマル・リラクゼーション(法線緩和) .....................................................................................102
3-5.7 フォース・ギャップ・テスト ................................................................................................................103
3-5.8 定常ステップ速度温度勾配............................................................................................................104

3-6 応力制御された遷移テストの方法 .............................................................................. 106


3-6.1 一定応力テスト..............................................................................................................................106
3-6.2 応力勾配テスト..............................................................................................................................107

3-7 テスト・オプション .......................................................................................................


3-7.1 定常プリシェア ...................................................................................................................................
3-7.2 テスト前遅延 ......................................................................................................................................
3-7.3 自動テンション調整 .......................................................................................................................110
3-7.4 アナログ・データ入力..........................................................................................................................

2001 年 9 月 XIII
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

3-7.5 自動歪み .......................................................................... エラー! ブックマークが定義されていません。


3-7.6 計測オプション ............................................................................................................................. 114

第 4 章 テストのジオメトリと式................................................................................... 117

4-1 はじめに .............................................................................................................. 117

4-2 一般テストフィクスチャーの情報 ................................................................................. 117


4-2.1 ジオメトリ選択の一般的推奨事項.................................................................................................... 117
4-2.2 テストの限界とコンプライアンス ....................................................................................................... 118
4-2.3 エラーに関するソースと原因 .......................................................................................................... 120

4-3 一般テスト用フィクスチャーのインストール.....................................................................122
4-3.1 上部フィクスチャーのインストール ................................................................................................... 122
4-3.2 下部フィクスチャーのインストール: モータ・マウント(オーブンまたは周囲) .......................................... 122
4-3.3 下部フィクスチャーのインストール: 流体バスのマウント .................................................................... 122

4-4 ギャップのセッティング............................................................................................. 125


4-4.1 手動によるゼロ ............................................................................................................................. 125
4-4.2 自動ゼロとギャップのセッティング ................................................................................................... 125
4-4.3 ギャップ・コントロールパネルに関するコメント ................................................................................... 126

4-5 テスト・フィクスチャーのインストールとサンプルの装填...................................................... 128


4-5.1 一般指針 ..................................................................................................................................... 128
4-5.2 並行プレート ................................................................................................................................ 129
4-5.3 コーンとプレート............................................................................................................................ 133
4-5.4 矩形ねじり、新デザイン ................................................................................................................. 137
4-5.5 矩形ねじり、オリジナル・デザイン .................................................................................................. 143・
4-5.6 フィルムとファイバーの引っ張り ...................................................................................................... 149
クエット.................................................................................................................................................... I
二重壁クエット ......................................................................................................................................... I

4-6 テスト用の式 .........................................................................................................165


4-6.1 ダイナミック測定用の式 ................................................................................................................. 165
4-6.2 定常および遷移域測定用の式....................................................................................................... 166

第 5 章 キャリブレーション....................................................................................... 169

5-1 はじめに .............................................................................................................. 169

5-2 手順 ................................................................................................................... 169


5-2.1 キャリブレーション間隔 .................................................................................................................. 169
5-2.2 トルクのキャリブレーション(すべてのトランスデューサ用) ................................................................... 171
5-2.3 ノーマル・フォースのキャリブレーション(すべてのトランスデューサ用) ................................................. 177
5-2.4 位相角りチェック ........................................................................................................................... 180

XIV 2001 年 9 月
902-30026 改定 B
一般情報

5-2.5 歪みキャリブレーションのチェック ....................................................................................................182


5-2.6 PDMS を用いたシステムのチェック ..................................................................................................184

5-3 温度のキャリブレーション ......................................................................................... 186


5-3.1 RSIORCHESTRATORTM を用いた温度のキャリブレーション ......................................................................186

第 6 章 メインテナンス ............................................................................................ 189

6-1 一般情報............................................................................................................. 189

6-2 日常のメインテナンス .............................................................................................. 189


6-2.1 ケーブルとホースの点検 ................................................................................................................189
6-2.2 機器の洗浄 ..................................................................................................................................190
6-2.3 機器の吊り上げと移動 ...................................................................................................................190

6-3 スペシャルメインテナンス ......................................................................................... 191


6-3.1 テストステーションの修理と交換 ......................................................................................................191
6-3.2 診断 LED .....................................................................................................................................191

6-4 トラブルシューティングガイド ..................................................................................... 193


6-4.1 キャリブレーション..........................................................................................................................193
6-4.2 操作.............................................................................................................................................194

索引.................................................................................................................... 199

補遺 1: 種々フィクスチャーのための複雑なモジュール.................................................... 203

2001 年 9 月 XV
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

ARES テスト・ステーション。表示しているテスト・ステーションは、強制対流オーブンが取り付けられています。オプション
の LN2 コントローラも見られます。

XVI 2001 年 9 月
902-30026 改定 B
1
はじめに
第 章

CHAPTER
1 apter numbe
1-1 はじめに

1-1.1 マニュアルの目的と範囲

このマニュアルは、次に示す ARES の機器のもつ特長が記述されています。ティ・エイ・インスツルメントジャ


パンの RSIOrchestrator™の操作に関する情報は、 RSIOrchestrator™のオンライン・ヘルプを参照してく
ださい。

第 1 章 はじめに

第 1 章では、マニュアルと機器の性能仕様が述べられています。

第 2 章 機器のコンポーネント: 確認と操作

第 2 章では、基本となる機器とオプションからなるコンポーネントを確認します。

第 3 章 テストの説明

第 3 章では、ARES で行えるテストに関する情報を与えます。

第 4 章 テスト フィクスチャー、ジオメトリ、式

第 4 章では、ジオメトリやサンプルの装填に必要な情報を与えます。

第 5 章 キャリブレーション

第 5 章では、機器のキャリブレーションの手順を示します。

第 6 章 メインテナンス

第 6 章では、メインテナンスと指針の詳細を示します。

1-1.2 ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社への連絡

ティー・エイ。インスツルメント。ジャパン株式会社
〒140-0001 東京都品川区北品川 1-3-12 第五小池ビル 4F
電話 : 03-5479-8418 (代表)
ファックス:: 03-5479-7488

2001 年 9 月 1
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

1-1.3 このマニュアルのきまり

各章のトピックスは、節によって整理されています。節は 12 ポイントのフォントで記述され、次のように、
先頭は章番号に続き、節の番号で表されます:

3-1 これは節の先頭です

下の節は、次のように同様に表されます:

3-1.2 これは下の節の先頭です

下の節にあるトピックスも、同様に太字で表されます。節、下の節、トピックスは、分かりやすいようにマ
ージンをとって字下げしています。

1-2 機器の説明

ARES は、歪み制御タイプの動的粘弾性測定装置であり、サンプルにダイナミック(正弦波)または、定
常せん断変形を与え、このせん断歪みに対して、サンプルから発生するトルクを計測するものです。
せん断歪みはモータによって与えられ、トルクはトランスデューサによって測定されます。歪み量と周
波数がオペレータによって設定され、サンプルが変形します。実際の変形量はモータとトランスデュー
サの移動量から計算されます。

1-2.1 モータ

ARES で使用できるモータは 3 つの基本モータがあります。高精度(High Resolution (HR))モータは、


ボールベアリング、ダイレクトドライブモータです。このモータは、ダイナミック・定常とも、極めて精度が
高く、正確に動きます。与えられた歪みは、基本的に瞬時のものです。

高トルク(High Torque (HT))モータは、HR モータと類似していますが、より高いトルクを生成するよう設


計されています。この HT モータは、10K STD トランスデューサと使用するよう考慮されています。

低せん断(Low Shear (LS))モータは、主に流体のテストによく用いられます。モータの軸は、高精度の


エア・ベアリングで軸方向に支えられています。これは、軸方向の移動をなくし、極めてスムースなノー
マル・フォースデータが得られます。また、定常せん断テストの際に、極めて低いせん断速度をコントロ
ールすることのできる特別なタイプです。

1-2.2 モータのモード

ダイナミック・モードでは、モータは振動します。モータはすべてのテストで、モータ・ゼロ位置からスタ
ートし、この点を中心に(選択した周波数で)指定した移動量(歪み)まで、対称に運動します。モータの
最大角偏移は、モータ・ゼロ位置から両方向に 0.5 ラジアンです。ダイナミック・モードのとき、機器は
歪みとトルクを測定します。

定常モードでは、モータは任意の位置から、正逆(指定)どちら方向でも指定する回転(せん断)速度で
テストを開始できます。定常モードのとき、機器は回転速度とトルク、および適切なトランスデューサが
取り付けられていれば、ノーマル・フォースを測定します。

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第 1 章: はじめに

1-2.3 トランスデューサ

ARES 用には、二つのタイプのトランスデューサがあります。フォースリバランストランスデューサ(FRT)
は、アクティブ・タイプのトランスデューサで、高解像度で高い温度安定性を示します。
標準トランスデューサは、パッシブ・スプリングタイプで、高い周波数特性を示し、QC(品質管理)ラボな
どの酷使されるところでも用いられます。どのタイプとも、いくつか異なるレンジで用いられます。

1-2.4 フォースリバランス・トランスデューサ(ノーマル・フォース付) (FRTN1) の概要

ノーマル・フォース付、フォースリバランストランスデューサは、回転(トルク)と軸方向(ノーマル・フォー
ス)サーボ・コントロールシステムからなっています。それぞれ、位置フィードバックを用いて、力が与え
られていないとき、ゼロ位置にある、FRT 軸(質量はサンプルに接する)を維持します。FRT 軸に力が
与えられると、サーボ・コントロールシステムは、ゼロ位置に戻ります。ゼロ位置に戻るのに必要な電流
は、与えられた力に比例します。この電流は DC(直流)電圧に変換され、トランスデューサの出力を計
ります。

すべてのフォースリバランストランスデューサは、デュアル(二重)レンジです。レンジの選択は、
RSI
OrchestratorTM ソフトウェアによって行います。ファームウェア・バージョン 5.00.00 以降では、テスト
中に自動的にレンジが切り替わります。FRT トランスデューサはまた、ノーマル・フォース測定にも用い
られます。ノーマル・フォースオプションに対して、引っ張り(下方)の測定範囲は、ノーマル・フォースサ
ーボによって支えられているトランスデューサ軸の重みが加わるため、圧縮(上方)の 60%です。

1-2.5 標準トランスデューサ(STD)の概要

標準トランスデューサは、高い周波数特性を示し、QC(品質管理)ラボなどの酷使されるところでも用い
られます。一般に、固体や溶融体などのテストに用いられます。この標準トランスデューサは、トーショ
ン(ねじり)バーで支えられているシャフトを利用します。このバーにはモーメント・アームがマウントされ
ます。モーメント・アーム両端の位置センサーにより、回転位置に関する情報が得られます。与えた方
向への回転にしたがい、一方のセンサからの出力が増え、他方からの出力は減少します。トルク信号
はこれら 2 つの出力の差から得られます。トーション・バーとモーメント・アームは板ばねで軸方向に支
えられていて、軸方向に動きに追従します。

3 つ目の位置センサーは、ばねアセンブリの上端に取り付けられ、軸方向の力を感知するのに用いら
れます。

1-2.6 環境コントロールオプション

この機器は、サンプルをさまざまな温度環境におくためにオプションから選択することができます。そ
のオプション内容は、強制対流オーブン、再循環流体バス、ペルチエ・システムなどです。それぞれの
環境制御オプションに関する詳細は、第 2 章の機器のコンポーネント:操作の確認を参照してください。

XVI ページには ARES テスト・ステーションの写真が載せてあります。

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ホストコンピュータ

トランスデューササブシステム コントロールコンピュータ

図 1-1 ARES: 機能ブロック・ダイアグラム

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第 1 章: はじめに

1-3 操作原理

図 1-1 は、ARES の簡略化されたブロック・ダイアグラムです。以下に述べる内容は、図 1-1 を参考に、


ARES の概略の操作を示します。図 1-1 で、立体で書かれた用語は、種々コンポーネントまたはサブ。
システムを表し、システムから送られる信号は斜体で記されています。

ARES は、次のサブ・システムからなっています:
制御コンピュータ
モータおよびトランスデューサ
環境システム


1-3.1 制御コンピュータ

制御コンピュータは、ホストコンピュータからの命令を、指示、実行し、すべてのサブシステムからの生
データを処理します。制御コンピュータの CPU(中央処理ユニット)は、命令を発したり、モニタ-したり、
全二重バスを介して通信を維持します。入出力(I/O)コントローラは、機器内ですべてのハードウェア
の切り換えを制御します。A/D(アナログからディジタル)変換により、モータやトランスデューサからのア
ナログ信号を、適正なゲインにして CPU で処理できるようディジタル信号に変換します。温度コントロ
ーラはは電子命令を送り、ユーザの入力をもとに、環境制御サブシステム(温度コマンドおよび測定)を
操作します。また環境制御や表示を行うため、温度データを受け、処理をします。

CPU と RAM(ランダム・アクセス・メモリ)には、メモリ・デバイスがあり、テスト手順をプログラムして実行し
ます。RAM 回路は、後にホストコンピュータ(IBM®または IBM®100%互換のパソコン)で処理できるよう、
すべてのサブシステムから受けたデータを保管します。ホストコンピュータは、制御コンピュータと RS-
232C データ通信リンクを介して通信します。

1-3.2 モータ

ダイナミック・モードでは、モータは位置サーボとして動作します。定常モードでは、速度サーボとして
動作します。テストがスタートすると、機能ジェネレータ(FUNCTION GENERATOR)は、適用する(コマンド)
波形を決定します。モータ・コントローラは、このコマンド信号(およびサーボ・スピードやサーボ偏移フ
ィードバック信号)を用いて、モータを(サーボ)運転し、サンプルに変形を加えます。フィードバック偏移
信号(サーボ偏移)は、モータの軸に取り付けられているセンサから得られます。サーボ偏移は調節さ
れ、歪み変形信号として A/D 入力に設定されます。

1-3.3 トランスデューサ

FRT トランスデューサも位置サーボとして構成されます。トランスデューサ軸はモータによって与えられ
たサンプルの変形の結果として動きます。フィードバック偏移信号は、トランスデューサ軸に取り付けら
れているセンサから得られます。トランスデューサに加えられるトルクは、トランスデューサを既知の位
置にとどめるために必要なエネルギに比例します。このエネルギ(トルク応答)は調節され、サンプル
(力)に加えられた力として、A/D 入力に送られます。

標準トランスデューサ(図 1-1 には示されていません)は、アクティブ・フィードバック制御なしに、内部ト


ーション・バーの偏移量に比例する信号を生成します。

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1-3.4 環境コントロールシステム

この機器は、いくつかの異なった環境システムを用いて、さまざまな温度環境をサンプルに与えること
ができます。

エア強制対流オーブンを用いるときは、オーブンの左側に取り付けられている 2 個の電熱ヒータにより、
サンプルのテスト温度をコントロールします。オプションの液体窒素コントローラにより、周囲温度より低
い温度でテストを行うことができます。ヒータの電源は環境コントローラ(ENVIRONMENTAL CONTROLLER)
によって指示、モニタされ、制御コンピュータ内にある温度コントローラ(TEMP CONTROLLER)からコマン
ドを受けます。

テスト温度がホストコンピュータ(HOST COMPUTER)で選択されると、CPU は環境コントローラ


(ENVIRONMENTAL CONTROLLER)にコマンド(温度コマンドおよび測定)を出力します。このコマンドは、ヒ
ータ電源フィードバック信号と組み合わせ、必要に応じてヒータのパワーを増減してオーブンの温度を
制御します。実際のオーブンの温度をモニタするために、白金抵抗温度計(PRT)をオーブンに取り付
けています。2 つの PRT は、それぞれのヒータでエア温度をモニタし、3 番目の PRT(ツール温度)は
使用している下側のサンプル・フィクスチャーの温度をモニタします。温度コントローラ回路は、PRT の
抵抗をモニタし、内部オーブンの実際の温度を決定します。PRT によって感知された実際の温度と、
ホストコンピュータでユーザによって入力された指定温度との差は、環境コントローラの回路((TEMP
CONTROL AND FEEDBACK))によって、エラー信号が生成されます。このエラー信号は、PRT で感知した
温度と指定した温度が同じくなるまで、内部オーブンの温度を上昇または下降させます。

流体バスを用いている場合、サーキュレータは、テスト・ステーションからの RS-232C でコントロールさ


れます。サーキュレータ内の流体(サーキュレータの内部 PRT を用いて)または、下方のテスト・フィクス
チャー自体(下方フィクスチャーPRT を用いて)のどちらかが、求める温度を維持します。

ペルチエシステムを用いるときは、温度制御とモニタリングは、下方のフィクスチャーPRT コネクタ(ツー
ル温度)および、ARES テスト・ステーションにある特別回路によって行います。

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第 1 章: はじめに

1-4 仕様

表 1-1 物理仕様

シャーシ 幅 奥行 高さ 重量

テスト・ステーション 26 in 21 in 36 in 275 lbs


66.0 cm 53.3 cm 91.4 cm 125 kg

LN2 コントローラ 11 in 9.5 in 22 in 38 lbs


(オプション) 28 cm 24.1 cm 55.9 cm 17.3 kg

メカニカル・チラー 29 in 20 in 46 in 260 lbs


(オプション)
73.6 cm 50.8 cm 116.7 cm 118 kg

流体バス・サーキュレータ 12 in 17 in 25 in 74 lb
(オプション)
30.4 cm 43.1 cm 63.5 cm 33 kg

表 1-2 テスト・ステーションの操作仕様

操作パラメータ 仕様

主電源 180~264 VAC @ 20 A , 50/60 Hz 単相

遷移過電圧 過電圧、カテゴリーII をインスート-ル

温度範囲、周囲 5℃~40℃

相対湿度 35℃まで 80%、その後 40℃まで直線的に 50%まで減少

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表 1-1. Pneumatic Ratings

エア流入率
項目
エア圧 流れ エア品質
HR または HT モータ: オーブン付: 次の特徴を備える機器品質エア:
60 psi (4.1 bar) 5 scfm (142 l/min) • エアに含まれるいかなる粒子も、直径
5μm 未満が必須。
機器 LS モータ: Oven なし: • 相対湿度=35~70%
80 psi (5.5 bar) 2 scfm (57 l/min) 結露点=10℃

HR または HT モータ:
使用するエア・ドライヤによる。使用しているエア・ドライヤに付属の
80 psi (5.5 bar)
マニュアルを参照してください。
エア・ドライヤ LS モータ:
100 psi (6.8 bar)

表 1-4 アクセサリの電源仕様

コンポーネント 定格電圧、電流、周波数

アメリカ合衆国:
流体バス・サーキュレータ 115 VAC, 10 A, 60 Hz
ヨーロッパ:
220 VAC, 10 A, 50 Hz
日本:
100 VAC, 10 A, 50 Hz
(60 Hz 増幅トランス付き)
標準:
メカニカル・チラー 220 VAC, 10 A, 50/60 Hz
AC-PO オプション:
190-200 VAC, 10 A, 50 Hz

表 1-5 操作仕様、環境コントローラ

操作パラメータ 強制対流オーブン 流体バス ペルチエ

温度範囲
標準 周囲温度~+600℃ -10℃~140℃ -30℃~150℃
オプション -150℃~+600℃

30℃/min(サーキュレ
使用するサーキュレー
温度勾配 0.1℃~50℃/min ータの流体温度 20℃
タによる
にて)

温度平衡時の安定度 ± 0.5℃ ± 0.01℃ ± 0.1℃

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第 1 章: はじめに

1-4.1 モータ性能の仕様

表 1-6 仕様: 高精度モータ(HR)

パラメータ ダイナミック・モード 定常モード

角度偏移範囲 0.005~500 mrad 使用できません


周波数範囲 1E-5~500 rad/sec 使用できません
回転速度範囲 使用できません 0.001~100 rad/sec

表 1-7 仕様: 高トルクモータ(HT)

パラメータ ダイナミック・モード 定常モード

角度偏移範囲 0.005~500 mrad 使用できません


周波数範囲 1E-5~100 rad/sec 使用できません
回転速度範囲 使用できません 0.001~100 rad/sec

表 1-8 仕様: 低せん断モータ(LS)

パラメータ ダイナミック・モード 定常モード

角度偏移範囲 0.005~500 mrad 使用できません


周波数範囲 1E-5~100 rad/sec 使用できません
回転速度範囲 使用できません 2×10-6~200 rad/sec

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1-4.2 トランスデューサの操作仕様

表 1-9 仕様: フォースリバランストランスデューサ 2K FRTN1 および 2K FRTN1E

トルク 仕 様

測定範囲 高レンジ: 2~2000 g·cm


低レンジ: 0.02~200 g·cm
最高操作周波数 100 rad/sec (16 Hz)

ノーマル・フォース 仕 様

測定範囲 2~2000 gmf

表 1-10 仕様: フォースリバランストランスデューサ 1K FRTN1

トルク 仕 様

測定範囲 高レンジ: 1~1000 g·cm


低レンジ: 0.004~20 g·cm
最高操作周波数 100rad/sec (16 Hz)

ノーマル・フォース 仕 様

測定範囲 2~2000 gmf

表 1-11 仕様: フォースリバランストランスデューサ 100 FRTN1 および 200 FRTN1

トルク 仕 様 100 FRTN1 仕 様 200FRTN1

測定範囲 高レンジ: 0.04~100 g·cm 高レンジ: 0.08~200 g·cm


低レンジ: 0.004~10 g·cm 低レンジ: 0.008~20 g·cm
最高操作周波数 100 rad/sec (16 Hz)

ノーマル・フォース 仕 様 100 FRTN1 および 200 FRTN1

測定範囲 0.1~100 gmf

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第 1 章: はじめに

表 1-12 仕様: フォースリバランストランスデューサ 100 FRT および 200 FRT

トルク 仕 様 100 FRT 仕 様 200 FRT

測定範囲 高レンジ: 0.02~100 g·cm 高レンジ: 0.04~200 g·cm


低レンジ: 0.002~10 g·cm 低レンジ: 0.004~20 g·cm
最高操作周波数 100 rad/sec (16 Hz)

ノーマル・フォース 仕 様 100 FRT および 200 FRT

測定できません

表 1-13 仕様: フォースリバランストランスデューサ 2K STD および 10K STD

トルク 仕 様 2K STD 仕 様 10K STD

測定範囲 0.2~2000 g·cm 1~10,000 g·cm


最高操作周波数 500 rad/sec (80 Hz)

ノーマル・フォース 仕 様 2K STD および 10K STD

測定範囲 2~1500 gmf 2~1500 gmf

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ARES 機器マニュアル

ノート :

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機器の構成: 認証と操作
第 章

CHAPTER 2 INSTRUMENT COMPONENTS: IDENTIFICATION AND OPERATION


2
2-1 機器のコンポーネント: 確認と操作

基本システム(図 2-1)は、オーブン付のテスト・ステーションとホストコンピュータからなります。追加の
オプションコンポーネントには、LN2 コントローラやエア・フィルタ/ドライヤなどがあります。図 2-1 は、
推奨する配置図を示します。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

本マニュアルに記載されていない方法で使用されると、
機器によるプロテクションにダメージを受ける場合があります。

図 2-1 基本システム

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ARES 機器マニュアル

図 2-2 テスト・ステーション: 正面図、オプションの環境制御システムを含む

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14 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-1.1 ホスト・コンピュータ

ホスト・コンピュータにより、オペレータがテスト・ステーションを制御し、ディスプレイ上で測定結果をモ
ニタします。テスト中にデータを解析することも可能で。制御は、RSIOrchestratorTM を介して行います。
このソフトウェアに関するいくつかの基本内容は、以下の節で述べられていますが、このソフトウェアを
すべて参照するためには、RSIOrchestratorTM のオンラインヘルプや他のソフトウェアの参照事項を参照
してください。

2-1.2 テスト・ステーション

テスト・ステーションは、この機器の主となるコンポーネントであり、モータやトランスデューサを備えて
います。この中にテストするサンプルが装填されます。また、環境コントローラや、テスト・ステーション
に電源を供給したり、コントロールするのに用いる電子サブシステムも備えています。図 2-2 と図 2-10
は、テスト・ステーションの様子を示します。

2-2 テスト・ステーションの正面アセンブリと制御装置

テスト・ステーション(図 2-2)の正面には、モータ、トランスデューサ、オーブンなどが配置されています。
さらに、テスト・ステーションを操作するのに必要な基本制御装置がフロントパネルにあります。ARES
に関する基本的な機械操作は、テスト・ステーションのフロントから行います。以下の数節で、より詳し
いフロントパネルシステムが記されています。

2-2.1 モータ

アクチュエータのところでも参照しますが、モータ(図 2-2)は、サンプルにせん断歪みを与えてサンプ
ルを変形します。モータはダイナミック(正弦波)モード、または定常(一定回転速度)モードで操作でき
ます。モータの動作の振幅と周波数は、ユーザが制御できます。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります
これは高トルクモータです。ダイナミックモードでこのモータを回転させると、ダイナミックゼロポジ
ションに高速で回転します。このため、トランスデューサや人体に対して極めて甚大なダメージを
与える可能性があります。あなた御自身やトランスデューサをダメージから避けるため:
· サンプルが乗せられている間は、決してモータをオンにしないでください。
モータには決して手を触れないでください。

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902-30026 改訂 B 15
ARES 機器マニュアル

モータのオンオフ制御
モータへの電源は、RSIOrchestratorTM ソフトウェアで実行可能な Instrument Control Panel 機能を用い
て制御します。モータをオンまたはオフするには、ツールバーにある"コントロール・パネル、Control
Panel"ボタン(図 2-3)をクリックするか、コントロール(Control)コントロール、プルダウンメニューから、
Instrument Control Panel をオープンします。モータの電源オンまたはオフ(MOTOR POWER ON または
OFF)を選択し、"Ok"ボタンを選択します。

コントロール・パネル ボタン

図 2-3 機器のコントロール・パネル 注: 環境コントローラオプションが


"オン、on"に設定されているときは、コントロール・パネルは図 2-19 のように表示されます。

2-2.2 モータ/オーブンの停止

テスト・ステーションのフロントパネルにあるモータ停止(Motor Stop)およびオーブン停止(Oven Stop)


ボタンは、迅速かつ無条件の電源オフが行えます。モータとオーブンをオンに戻すには、通常のソフト
ウェアコントロールから行ってください。

2001 年 9 月
16 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-2.3 トランスデューサ

トランスデューサ(図 2-2)はモータによる変形中にサンプルから生成される力を測定します。このサン
プルは第 4 章に示す、さまざまなフィクスチャーを用いて、モータとトランスデューサの間に取り付けま
す。

注意
機器にダメージを与える可能性があります
フォース・リバランス・トランスデューサは、ベアリング・ロックに取り付けられている高精度のエア
ー・ベアリングがあり、これによりエアーが供給されないときにエアー・ベアリングが移動するのを
防ぎます。お手持ちのトランスデューサの破損を避けるため、このベアリング・ロックの操作に慣
れていただき、次に示す注意事項を参考にしてください:
· ベアリングにロックが掛かっているときは、機器に電源を供給しないでください。
· トランスデューサにエアーが供給されなければ、ベアリングのロックをはずさないでください。
· エアーの供給をどうしても止めなければならない場合は、エアーを抜く前に機器の電源を切
り、ベアリングをロックしてください。
· ベアリングのロックがはずされているとき、エアーの供給が遮られた場合、エアーの供給が
なされるまでアンビルに触れないでください。
· トランスデューサへのエアーの流れを常に保ち、エアーベアリングが汚染されるのを防いで
ください。
これらの注意事項を怠るとトランスデューサにダメージを与えることになります。

2-2.4 ステージ

ステージ(図 2-2)は、トランスデューサを支える、モータ駆動の台です。このステージは上下に移動で
き、テスト・ステーションの右側にあるマニュアル制御ボタンまたは、RSIOrchestratorTM ソフトウェア制御
により、サンプルを装填します。ステージの移動速度はソフトウェアにより調節します。

2-2.5 手動によるステージの制御

手動によるステージ制御は、テスト・ステーション(図 2-2)のパネル右下にある 3 ボタンアクチュエータ


で行います。これにより、サンプル装填などを含むステージの移動が行えます。ステージの移動は次
の操作モードで定義されます:

1) ステップ
ステップをすると、ステージは極めてゆっくりと、シングル・ステップ単位でステージモータが
移動します。ステージを下方にステップするには、下方のボタンを押し続けます。
上方にステップするには、上側のボタンを押し続けます。
2) スリュー(Slew)
スリューをすると、ステージは迅速かつスムースに移動します。
ステージを下方にスリューするには、センターと下方ボタンを同時に押し続けます。
ステージを上方にスリューするには、センターと上方ボタンを同時に押し続けます。

2001 年 9 月
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2-2.6 ソフトウェアによるステージの制御

ステージの移動は RSIOrchestratorTM ソフトウェアの、ギャップ/機器制御の設定(Set Gap/Instrument


Control)機能からも制御できます。ツールバーの"ギャップのセット、Set Gap"ボタン(図 2-4)をクリック
します。ギャップ/機器制御の設定(Set Gap/Instrument Control)機能は、コントロール(Control)プルダ
ウンメニューからもオープンできます。ギャップ/機器制御の設定(Set Gap/Instrument Control)機能に
は、トルク、ノーマル・フォース、現在ギャップを示す画面があります。さらに、機器の特徴を制御するい
くつかのボタンもあります。"上へ、Send to Top"ボタンは、ステージの移動可能な最上部へ移動する
のに用いられます。フィクスチャーを移動したり、ギャップを設定する力は"最大許容応力、Max
Allowed Force"ボックスで入力された力を超えることはありません。"ゼロ・フィクスチャー、Zero
Fixture"ボタンは、ギャップゼロをつくり、そこからギャップが設定されます。第 4-4 節はこのギャップの
設定や、そこにある多くの機能ボタンの使用方法について詳しく述べられています。

ギャップ/機器制御ボタンの設定

図 2-4 ギャップ/機器制御機能設定の主入力フォーム

2001 年 9 月
18 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

ステージの速度調整
オペレータによるステージの制御ステップ速度とスリュー速度とも、図 2-5 に示す、Advanced Control
画面で調整できます。ギャップ/機器制御の設定(Set Gap/Instrument Control)機能主フォームから、
"Advanced"ボタンをクリックし、Advanced Control に進みます。ステップ速度とスリュー速度を必要な
値に調整します。"上へ、Send to Top"および"ギャップのセット、Set Gap"ボタンを用いた速度は調整
できません。フロントパネルの LCD のコントラストもこの画面の左側のボックスで調整できます。

図 2-5 ギャップ/機器制御機能中の Advanced Control 画面

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 19
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2-2.7 フロントパネルの LCD ディスプレイ

フロントパネルの LCD ディスプレイ(図 2-6)は、いくつかの機器のステータス情報を表示するのに用い


られています。ARES に関しては、温度、ギャップ、ノーマル・フォースなどが表示されます。LCD ディ
スプレイは、ギャップセット/機器の制御(Set Gap/Instrument Control)機能(図 2-5)の Advanced
Controlで操作できます。

図 2-6 ARES のフロントパネルの LCD ディスプレイ

2001 年 9 月
20 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-3 アクチュエータのベアリング・ロック

2-3.1 標準トランスデューサ(2K STD および 10K STD)

標準トランスデューサには、ベアリング・ロックの必要はありません。

2-3.2 ノーマル・フォースのない FRT(100 FRT および 200 FRT)

100FRT と 200FRT は、2 つのねじでトランスデューサに締め付けたアルミブロック(図 2-7)からなるベ


アリング・ロックを使用します。このブロックは、ブロックをスライドしてロックしたりアンロックできるようある
角度で機械加工されています。

図 2-7 ベアリング・ロック: 100 FRT および 200 FRT

エア・ベアリングをロックまたはアンロックする手順: 100 FRT および 200 FRT


図 2-7 を参考にしながら、次の手順を行ってください。

FRT のエアベアリングをロック(Lock)するには:
1) 17 ページの注意を読んでください。
2) 機器の電源がオフで、エアが FRT に供給されていることを確認します。
3) 2 つのねじを緩め、ブロックをロック位置にスライドします。
4) 2 つのねじを締めます。

FRT ベアリングのロックをはずす(Unlock)には:
1) 17 ページの注意を読んでください。
2) 機器の電源がオフで、エアが FRT に供給されていることを確認します。
3) 2 つのねじを緩め、ブロックをアンロック位置にスライドします。
4) 2 つのねじを締めます。.

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902-30026 改訂 B 21
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2-3.3 ノーマル・フォースのある FRT(FRTN)

FRTN トランスデューサは、両側(図 2-8)に、トランスデューサのハウジングに挿入されるクランプのある


スチールピンからなるベアリングロックを用います。ほとんどの 2K FRTN1 トランスデューサでは、ピン
は機器の左前方コーナに向かうよう取り付けられます。しかし、いくつかの 2K FRTN1 トランスデュー
サは、この位置から僅かに回転するよう取り付けられます。これらのトランスデューサに対して、ベアリ
ングロックとアンロックするには、ピンを左または右に押すよう求めてきます。ピンの並びに関係なく、
“左、left”は、機器の前方に面するように眺められる、トランスデューサの左半球に向かうのを意味しま
す。低レンジのトランスデューサ(100 FRTN1/ 200 FRTN1/ 1K FRTN1)では、ピンは取り付けられてい
て、図 2-8 の下半分に示すとおり、トランスデューサのハウジングの前面に向いています。

図 2-8 ベアリング・ロック: 2K FRTN1/FRTN1E および 100/200 FRTN1。


2K FRTN1 トランスデューサの図は、機器の正面から眺めたものです。1K FRTN1 のロックは、100/200
FRTN1 トランスデューサで示したものと同様なものです。

2001 年 9 月
22 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

エアベアリングをロック、アンロックする手順: FRTN1 および FRTN1E


図 2-8 を参考にしながら、次の手順を行ってください。

FRT1 のエアベアリングをロック(Lock)するには:
1) 17 ページの注意を読んでください。
2) 機器の電源がオフで、エアがトランスデューサに供給されていることを確認します。
3) トランスデューサのタイプにより、次の操作を行ってください:
2K FRTN1 または 2K FRTN1E
右のクランプがトランスデューサのハウジングに接するまで、ピンを機器の左方向に押し
ます。

100 FRTN1/200 FRTN1 または 1K FRTN1


後ろのクランプがトランスデューサのハウジングに接するまで、ピンを機器の前方向に押
します。
FRTN1 のベアリングのロックをはずす(Unlock)には:
1) 17 ページの注意を読んでください。
2) 機器の電源がオフで、エアがトランスデューサに供給されていることを確認します。
3) トランスデューサのタイプにより、次の操作を行ってください:
2K FRTN1 または 2K FRTN1E
左のクランプがトランスデューサのハウジングに接するまで、ピンを機器の右方向に押し
ます。
100 FRTN1/ 200 FRTN1 または 1K FRTN1
前のクランプがトランスデューサのハウジングに接するまで、ピンを機器の後ろ方向に押
します。

2-3.4 高精度(HR)および高トルク(HT)モータ
HT および HR モータには、ベアリング・ロックの必要はありません。

2-3.5 低せん断(LS)モータ
LS モータのベアリングロック(図 2-9)は、3 個のねじと 1 個のフィリップスヘッド・スクリューでモータのア
ンビルに固定されたメタルプレートからなっています。このロックを取り付けるには、モータカバーを外
さなければなりません。

エアベアリングをロックまたはアンロックする手順: LS モータ
図 2-9 を参考にしながら、次の手順を行ってください。

LS モータのエアベアリングをロック(Lock)するには:
1) 15 ページの注意を読んでください。
2) 機器の電源がオフで、エアがモータに供給されていることを確認します。
3) ロック用にフィリップスヘッドスクリューを残し、モータカバーを外し(図 2-10、57 ページ)ます。
4) モータのロックを置き、4 個のねじ穴にあわせます。
5) 3 本のねじとフィリップスヘッドスクリューを差し込み、締めます。
6) ロックが取り外されたとき、再び取り付けるよう、モータカバーと残りのフィリップスヘッドスクリュ
ーを保持します。

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ARES 機器マニュアル

LS ベアリングのロックを外す(Unlock)には:
1) 15 ページの注意を読んでください。
2) 機器の電源がオフで、エアがモータに供給されていることを確認します。
3) 3 本のねじとフィリップス・ヘッドスクリューを緩めて外します。
4) ロックを外します。
5) モータカバーを取り付けます(図 2-21、58 ページ) 注: ロックから外された、フィリップス・ヘッ
ドスクリューは、カバーの安全のための 4 本のねじのうちの 1 本です。

図 2-9 LS モータのベアリング・ロック。

2001 年 9 月
24 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-4 テスト・ステーション後面のパネル

テスト・ステーションの後ろにすべての電子コネクタ、空気圧コネクタ、信号コネクタが配置されていま
す(図 2-10)。主電源スイッチも、テスト・ステーションの後面に配置されています。

図 2-10 テスト・ステーション: 後面

2-4.1 信号パネル

信号パネルは、テスト・ステーションから出入りする、電気信号の出入インターフェイスです。図 2-11
および表 2-1 は、テスト・ステーションで用いる基本信号を含むパネルのコネクタを示します。

信号の接続
テスト・ステーションの操作には、2 つの基本的な信号の接続があります。それは、ホストコンピュータ
への接続と、使用している環境制御システムによる、オーブンまたはバス・サーキュレータへの接続で
す。テスト・ステーションからホストコンピュータへは、信号パネルのホスト(HOST)ポートと、ホストコンピ
ュータの適切なコモン(COM)ポートを接続します。デフォルト(既定値)では、最初に実行されるとき、ソ
フトウェアによって、COM1 が選択されます。もし、これと異なる COM ポートを用いている場合は、ユ
ーティリティ(Utilities)プルダウンメニューの機器のセットアップ(Instrument Set Up)を用いて、ソフトウェ

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 25
ARES 機器マニュアル

アの構成を変更し、正しい COM ポートを反映させてください。テスト・ステーションとの正しい通信を行


うため、ソフトウェアには、用いている正しい COM ポートを知らせなければなりません。シリアルマウス
を用いている場合は、COM1 を使用している可能性が高く、その場合は他のシリアルポート(たとえば
COM2 など)を用いてテスト・ステーションとの通信を行う必要があります。

オーブンの位置・温度センサは、オーブン(OVEN)コネクタを介して、テスト・ステーションに接続してい
ます。冷却が必要な場合、オプションの LN2 コントローラは、LN2 コネクタに接続されます。流体バス
を用いる場合は、サーキュレータからの RS-232 出力をサーキュレータ(CIRCULATOR)コネクタに接
続します。

ARES の標準的な操作の場合は、多くのコネクタは使用されていません。しかし、必要な場合のよりカ
スタマイズされたプリケーション用に、使用できる状態になっています。いくつかの例として、外部ストリ
ップチャートレコーダに与えられた応力をプロットしたり、テストデータにより、ディジタル化する外部電
圧の入力などがあります。表 2-1 は、これらの追加した接続端子に関する詳細情報が記されています。

図 2-11 テスト・ステーションの信号パネル

2001 年 9 月
26 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

表 2-1 信号パネルの接続端子

コネクタへ 目 的

トルク出力 トランスデューサの出力(トルク)に比例する DC(直流)電圧を出力します。


スケーリングは: 0 VDC » 0 g・cm トルク、 ±5 VDC » ±フルスケール・トルク

機器の出荷時は、トルク入力(TORQUE IN)は、トルク出力(TORQUE OUT)に接続さ


トルク入力 れ、同じ信号を出力します。このコネクタは通常、診断のために. RSI のサービスによっ
て用いられます。
ダイナミック・モード:
モータの歪み(実際のモータの角度偏移)に比例する DC(直流)電圧を出力します。
スケールは: 0 VDC » 0 ラジアン、±5 VDC »±0.5 ラジアン
歪み/ノーマル出力
定常モード:
トランスデューサのノーマル(軸方向)の力に比例する DC 電圧を出力します。
スケールは: 0 VDC » 0 gmf 、±5 VDC » ±フルスケールのノーマル・フォース

機器の出荷時は、歪み/ノーマル入力(STRAIN/NORMAL IN)は歪み/ノーマル出力
歪み/ノーマル入力 (STRAIN/NORMAL OUT)に接続され、同じ信号を出力します。このコネクタは、通常、
診断のために. RSI のサービスによって用いられます。
コマンド歪み(ユーザによって命令された)に比例する DC 電圧を出力し、これがモータ
コマンド出力 をダイナミック・モードでドライブします。
スケールは: 0 VDC » 0 ラジアン ±10 VDC » ±0.5 ラジアン
機器の出荷時は、コマンド入力(COMMAND IN)はコマンド出力(COMMAND OUT)に
コマンド入力 接続され、同じ信号を出力します。このコネクタは、通常、診断のために. RSI のサービ
スによって用いられます。

トランスデューサのノーマル(軸方向)・フォースに比例する DC 電圧を出力します。
ノーマル出力
スケールは: 0 VDC » 0 gmf ±5 VDC » ±フルスケール ノーマル・フォース

±10 VDC の入力信号を受け、1Hz でサンプルし、データファイルに保存できます。こ


アナログ 1 入力
れは、RSIOrchestratorTM のアナログ・データ(Analog Data)入力用のデータです。
アナログ 2 入力 将来使用するためのもの
アナログ 3 入力 将来使用するためのもの
アナログ 1 出力 将来使用するためのもの
アナログ 2 出力 将来使用するためのもの
LN2 オプションの LN2 コントローラと機器との間の通信インターフェイス。LN2 コントローラに
接続します。

ホスト・コンピュータと機器との間の通信インターフェイス。ユーザが RSI Orchestrator ソ


フトウェアを用いて、異なるポートを選択しない限り、ホスト(HOST)はホスト・コンピュータ
ホスト
のシリアル通信ポート com1 に接続されます。

オプションの流体バス環境制御サーキュレータと機器との間の通信インターフェイス
サーキュレータ
RS-232 RS-232 プロトコル(OAM2 と DETA と共に使用)を用いる通信リンクを受入れる。

オーブン オーブン・スイッチや温度センサと機器間の電子インターフェイス。オーブンに接続。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 27
ARES 機器マニュアル

2-4.2 電源パネル

オーブンが備えられているテスト・ステーションでは、パワー・パネルに 3 つの機能がついています:
1) テスト・ステーションに電力を送る。
2) オーブンに電力を送る。
3) オプションの LN2 コントローラに電力を送る。

オーブンのないテスト・ステーションでは、この電源パネルは必要ありません。主電源が直接主電源ス
イッチ(Main Power Switch)につながります(次節に示されます)。

図 2-12 電源パネルのコネクタを示す。

図 2-12 電源パネル。

2001 年 9 月
28 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

電源の接続
システムへの電源の接続は、表 2-2 に概要が示されています。所要入力電源は、220 VAC, 20A,
50/60 Hz です。

表 2-2 電源パネルの接続。

コネクタ 相手先 用 途

220V 入力(IN) ユーザによって供給される 220 システムへの主電源。


V の入力電力

220V 出力(OUT) 主電源スイッチのプラグに接続 テスト・ステーションへのヒューズ付き 220VAC 電


源入力。
オーブン入力(OVEN オーブンへ接続 オーブン制御回路への 220VAC 電源入力。
IN)
N2 ヒータ オプションの LN2 コントローラに オプションの LN2 コントローラ用電源。
接続

2-4.3 主電源スイッチ

リアパネルの主電源スイッチは、テスト・ステーション(図 2-13)の主要な箇所の電源をオンオフします。
テスト・ステーションの主要な箇所への AC ラインヒューズは、電源コードソケットの下にあります。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります
主電源スイッチは、オーブンや LN2 コントローラの電源を切りません。主電源コード(220V
IN)をパワーパネルから必ずはずして、システムからの AC 電源を完全に取り外してください。

図 2-13 主電源スイッチ。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 29
ARES 機器マニュアル

2-4.4 空気圧パネル

空気圧パネルは、すべての気体の接続や調整、モニタを行う場所です。このパネルは、テスト・ステー
ションの右後ろのコーナーにあります。このパネルは独特で、二面パネルを持ち、テスト・ステーション
の横と後ろに面しています。図 2-14 は、空気圧パネルの横と後ろの両サイドを示します。

ガスの入力
2 つのガス入力が行え、一方は標準の圧縮ガス(エアサプライ- MAIN)で、他の圧縮ガスは、オプショ
ンのポート(N2/GAS)です。メインのエア供給は、2 つの重要な機能を果たします。トランスデューサと
モータのエア・ベアリングにエアを送ります。さらに、オーブン内のガン・ヒータの循環媒体として機能し
ます。ARES のテスト・ステーションを使用中は常に、清浄なエアを供給することが極めて大切で、そう
でなければ機器に重大なダメージを与える結果となることがあります。

オプションの N2/GAS 入力は、テストされるサンプルが、通常のエアに反応するサンプルを用いるとき、


オーブンを加熱する際に、これ以外のガスを使用するのに用います。この場合、窒素ガスが一般に用
いられます。ガス・サプライ(Gas Supply)を用いて、オーブン・セレクタ・スイッチ(ゲージ下の黒いノブ)を
用い、オーブンへガスを供給するガス入力ポートを選択します。

ガス圧の仕様
通常エアは、圧力 60~80psi(5.5 バール)で、5scfm(141 リットル/分)で ARES に供給してください。テ
スト・ステーションに、LS モータを用いる場合は、圧力は 80psi で供給して下さい。N2/GAS ポートに
接続されるガスは、60~70psi(4.8 バール)で供給します。さまざまなコンポーネントに供給されるガスは、
パネルの裏側にあるエア圧調整ノブを用いて調整します。ノブを引き出して、コンポーネントに必要な
圧力まで時計方向に回して高めます。圧力は空気圧パネルの側にある対応するゲージを用いてモニ
タします。

種々のコンポーネントへの圧力は、次の値に調整します:

コンポーネント 所要圧力

トランスデューサ 35 psi

HT または HR モータ 0 psi (次ページのノートを参照)

LS モータ 60 psi

オーブン 40 psi(オーブンのオン時)

2001 年 9 月
30 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素


HR または HT モータが備えられている ARES では、センタ(モータ、MOTOR)の圧力ゲージと調整ノブ
は接続されていません。これらの機器を構成するには、モータにはエアは必要ありません。LS モータ
が備えられている機器では、モータへのエア圧は、センタ(モータ、MOTOR)調整ノブと圧力ゲージを
用いて 60psi に調整してください。

エア品質の仕様
常に高品質で清浄、乾燥したエアが供給されることが不可欠です。エアに含まれる粒子は、5 ミクロン
未満でなければなりません。モータとトランスデューサは、エアベアリングを用いているため、エアに大
きな粒子があると、これらのコンポーネントのデリケートな高精度ベアリング表面に簡単にダメージを与
えてしまいます。ベアリング表面にダメージを与えると、誤った測定をしたり、さらに被害が大きくなると、
モータまたはトランスデューサ全体を交換する必要が発生します。

供給するエアの相対湿度は、露点が 10℃の 35%~70%にしてください。テスト・ステーションとエア供給


間に、オプションのエアドライヤ/フィルタを取り付けることを強くお勧めいたします。供給するエアが湿
度レベルを超えると、水滴となり、エアドライヤの前に水のトラップが必要となります。
エアサプライで湿度がレベルを大きく超えると、テスト・ステーションにダメージを与えます。

注意
機器にダメージを与える可能性があります
エア・ドライヤに付属している操作およびメインテナンスマニュアルをお読みください。適正な操作やエ
ア・ドライヤのメインテナンスを行わないと、この機器に重大なダメージを与える結果となります。

機器へのエアの供給では、厳しい要件が必要であるため、また操作ミスによって高価なダメージをこう
むる可能性があるため、研究室の上司やコンプレッサのメインテナンス担当者に、機器の要求する条
件を詳しく知らせてくださることを強くお勧めします。また、エアの供給が妨げられたり、コンプレッサの
メインテナンスなどがなされるときは、事前に通知してもらうようにしてください。そうすれば、適切にシャ
ットダウンができ、テスト・ステーションを保護することができます。特に、コンプレッサのメインテナンス
直後は、供給ラインに残余の粒子や湿り気のあることがあります。機器を再稼動させる前に、テスト・ス
テーション入力(またはエアドライヤ)からエアをはずし、ラインをパージしてください。

エアサプライに妨害があるかを迅速に知るには、エアドライヤの前に、圧力ゲージを取り付けるとよい
ことが分かっています。

空気圧の接続
図 2-14 はすべての空気圧接続端子の位置を示します。接続には、標準の接続用具で行います。メイ
ン(MAIN)と N2/GAS ポートへの接続は、クイック切断用具を用います。表 2-3 はテスト・ステーション
の操作に必要な(空気圧パネルの)空気圧接続端子を示します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 31
ARES 機器マニュアル

表 2-3 テスト・ステーションを操作するのに必要な空気圧の接続。

コネクタ 相手先 用 途

エア供給-メイン(MAIN) (外部)エア・ドライヤに接続。 テスト・ステーションへのエア入力。オーブンとテス


ト・ステーション全体へエアを供給するのに用い
る。供給圧は 60~80psi。エアの仕様について
は、第 2-3.4 節を参照。
エア供給-N2/GAS 外部窒素(または他の)ガス供給 テスト・ステーションへのエア入力。オーブンへは
に接続。 窒素(または他の)ガスを供給。このため、窒素ガス
が加熱媒体として用いられる。供給圧は 60~70
psi。
ガン・ヒータ オーブンに接続。 テスト・ステーションからオーブンへのエア出力。
オーブン(Oven)へのガス供給(Gas Supply)選択ス
イッチ(圧力ゲージ下の黒いノブ)の位置により、エ
アまたは N2 ガスを供給します。
オーブン圧力センサ オーブンにに接続。 オーブン圧センサへのエア入力。オーブンガス圧
のモニタに用いる。ガス圧は、オーブンが機能す
るために 35psi より上に保ってください。

パージ オーブンにに接続。
エアを受け入れるオーブンへの空気入力で、LN2
を用いているとき、オーブンを正圧にし、結露を最
小にするため、オーブン全体に循環させます。

2001 年 9 月
32 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

図 2-14 空気パネル。このパネルは、2 面あり、テスト・ステーションの右後ろコーナーを覆っています。ノート: 使用して


いるモータの正しい圧力設定について、マニュアルの本文を参照してください。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 33
ARES 機器マニュアル

環境制御システム
ARES で用いることのできる 3 つの環境システムがあります。それぞれのシステムは、サンプル温度を
正確に制御するのに用いられます。この 3 つのシステムは、強制空気対流オーブン(Oven)、再循環
流体バス、回転/振動ペルチエです。

強制対流オーブンは、広範囲の温度レンジ(周囲温度~600℃)と最大の温度安定度を得るために、2
つのエレメントが逆に回転するヒータがあります。周囲より低い温度が必要な場合は、オプションの
LN2 コントローラ(-150℃まで操作)または、メカニカル・エア・チラー(-60℃まで操作)を用いて、オーブ
ンの操作範囲を拡大することができます。強制対流オーブンは、ポリマー・メルトや固体の測定を行う
場合にお勧めします。また、これはコーン・プレート、パラレルプレート、トーション、共軸円筒ジオメトリ
にも適応できます。

再循環流体バス 2(またはオリジナル流体バス)は、周囲のエアの影響で蒸発するような液体サンプル
に適しています。バスの制御範囲は、約-20℃から 140℃(サーキュレータと用いる流体バスに依存)で、
パラレルプレート、コーン・プレート、クエット、ダブルウォールクエットジオメトリなどが使用できます。

わが社特許の回転/振動ペルチエ・システムは、-30℃から 150℃まで、最大加熱速度 30℃/分で行う


ことができます。このペルチエ・システムは、コーン・プレート、パラレルプレートジオメトリが使用できま
す。

以下の数節では、それぞれの環境オプションについて示しています。:

2001 年 9 月
34 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-5 オーブン

オーブンは、サンプルを密封する強制対流環境チャンバーです。オーブンに取り付けられているのは、
2 本の抵抗ヒータ(ガン・ヒータ)であり、中に入れられたガスの温度を制御するのに用いられます、周囲
温度またはそれ以上の温度でテスト中は、エアまたは窒素ガスをヒータに入力できます。テスト温度が
室温より低い温度に達する場合には、オプションの LN2 コントローラ(LN2)または、チラーを用います。

図 2-5 ガン・ヒータと PRT を示すオーブン・チャンバー

2-5.1 オーブンの温度制御

ユーザによって指定されたオーブンの温度は、プラチナ抵抗温度計(PRT)に囲まれた制御ループによ
って維持されます。ARES には、2 つの制御ループ(オーブン PRT)があり、垂直方向の温度勾配を少
なくしています。それらは、モニタされるガンヒータの前に取り付けられています。この制御システムは、
PRT に一定電流を流し、それによって得た電圧を測定して実際のオーブンの温度を決定します。指
定した温度と実際の温度の差は、常に最小になるように運転されています。

ユーザは、オーブンの環境または、ある場合には下方フィクスチャーを選択、コントロールできます。こ
の選択は、RSIOrchestratorTM ソフトウェア(第 2-5.6 節を参照)を用いて行います。下方フィクスチャーの
温度は、下方フィクスチャーの(ツール)PRT でモニタできます。下方フィクスチャーPRT のインストール
は、第 3 章の下方フィクスチャーのインストールで述べられています。通常の操作条件の下では、オ
ーブン PRT は、オーブンの温度を制御し、ツール PRT はサンプル温度を報告するのに用いられます。
しかし、このツール PRT は、オーブンの温度を制御するのにも用いることができます。

図 2-15 は、オーブン・チャンバーの内側と、ガン・ヒータ、2 つの PRT を示します。表 2-4 には、温度


制御オプションの詳しい説明がなされています。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 35
ARES 機器マニュアル

2-5.2 チラー

エア・チラーは、機械式に冷却を行って、オーブンの温度を-60℃まで下げることができます。チラー
は、単体の統合されたパッケージで、エア・フィルタやエア・ドライヤ、冷却ユニットからなっています。こ
れは、強制対流オーブンによるテスト・ステーションに直接つながるよう設計されています。チラーは
85 psi および 4scfm の別々のエア入力ラインが必要です。エアはフィルタ、エア・ドライヤを通り、その
あと-70℃に冷された冷却ユニットに送られます。このあと冷たいエアはオーブンに送られます。

接続
チラーからのエア出力は、強制対流オーブンに接続されます。チラーからの信号ケーブルを、信号パ
ネル(図 2-11)の LN2 ポートに接続します。チラーを適切な電源ソースに差し込みます。このインストー
ルは、経験のある RSI の技術サービス者が行います。

ソフトウェアの構成
チラーは、RSIOrchestratorTM ソフトウェアを用いて操作するよう設計されています。第 2-5.4 節から 2-
5.8 では、LN2 コントローラまたはチラーの選択方法を含め、セットアップや操作に関して述べられて
います。

チラーの操作
チラーを操作するには、電源スイッチ(エア・ドライヤや J ボックス、エア・フィルタのある、冷却ユニットの
反対側にあります)をオンにし、J ボックスのオンオフスイッチをオンにします(図 2-16)。圧力レギュレー
タのゲージが 60psi を指していることを確認してください。必要であれば、圧力レギュレータを調節して
60psi にしてください。ノブを時計方向に回すと圧力が減少し、反時計方向にすると増加します。

スペック外の領域で使用するとチラーの部品内部が凍結し、エアの流れを妨げる可能性があります。
ガン・ヒータがダメージを受ける(不十分なガスの流れによる)のを防ぐため、チラーは緊急切断装置が
備えてあり、チラーへのエアの流れが落ちれば、コンプレッサをシャットダウンし、ヒータの電源を切りま
す。これが発生すると、チラーの電源を切り、続いて行う前に凍結部を暖めます。凍結は一般に、入力
ガスの結露点が-80℃より低くなると発生します。エア・ドライヤは、結露点が十分低い乾燥ガスを供給
して凍結を防ぐよう設計されています。チラーは実際に使用していないときはオフにしてください。そう
すれば、エア・ドライヤは正常に維持され、検査されます。

メインテナンス
冷却ユニット内でユーザが作業する部分はありません。コンプレッサとコンデンサは、無給油潤滑であ
るため、オイルを必要としません。コンデンサのフィンとグリルは、清浄にして好ましい空気の流れを確
保してください。必要に応じて、コンプレッサのエアを用い、それらを吸引したり吹き飛ばしてください。
また、フィルタ・ハウジングからの水滴は、定期的に排水してください。より詳しいチラーのメインテナン
スのため、エア・ドライヤやエア・フィルタ、冷却ユニットの項も参照してください。

チラーに同梱されているマニュアルに説明されているように、バランス圧力も定期的にモニターしてく
ださい。機器を受け取ったとき、吸い込みゲージの圧力値を記録してください。このゲージは、エア・ド
ライヤや J ボックス、エア・フィルタのある、冷却ユニットの反対側にあります。チラーは、バランス圧力
を読み込む前に、24 時間オフにしてください。初期読み値は 100psig を超えなければなりません。次
の読み値は、元の値の 7psig 内でなければなりません。バランス圧力が 7psig を超えて降下すれば、
冷却システムに漏れが発生していることを示します。

2001 年 9 月
36 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

図 2-16 チラー概略図

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 37
ARES 機器マニュアル

2-5.3 LN2 コントローラ

LN2 コントローラは、液体窒素を用いて、オーブンの低温域を-150℃まで下げます。この LN2 コントロ


ーラは、外部の液体窒素装置(ユーザが供給)とテスト・ステーション(図 2-1)間を接続します。
RSI
OrchestratorTM ソフトウェアにより、テスト・ステーションで制御される LN2 コントローラは、デュワー瓶
や、これに流れ込む液体窒素を制御するソレノイド・バルブ、液体窒素の沸騰を制御するハードウェア
により極めて低い温度の窒素ガスを生成するハードウェアからなっています。2 つ目のソレノイド・バル
ブはテスト・ステーションで用いるため、デュワー瓶から出て行く冷たい窒素ガスの流れを調整します。

デュワー瓶
デュワー瓶は、液体窒素を効率的に保管するために特別に設計されたコンテナです。デュワー瓶によ
り、その二重壁構造によって、蒸発を防いでいます。デュワー瓶の中では、LN2 に浸されたヒータが、
沸騰を制御します。デュワーには圧力リリーフバルブがあり、システムへのダメージを防いでいます。
通常は、デュワーの残留液化窒素を気体に蒸発させるため、LN2 コントローラをシャットオフしたあと、
このリリーフバルブを数分間開きます(ぽんと音がする)。

接続
LN2 の出力は、強制対流オーブンに接続します。LN2 コントローラからの信号ケーブルを、信号パネ
ルの LN2 ポートに接続します(図 2-11)。ARES へのすべての接続は、通常、RSI のサービス担当者が
システムをインストールするときに行われます。LN2 コントローラのフィラ・ホースを、お手持ちの液体窒
素タンクに接続します。外部液体窒素タンクは、低圧(30psi 未満)のバルブが必要です。窒素タンクと
LN2 コントローラ間のホースは、LN2 コントローラの性能を最大限高めるため、できるだけ短くしてくだ
さい。

ソフトウェアの構成
LN2 は、RSIOrchestratorTM ソフトウェアを用いて操作するよう設計されています。第 2-5.4 から 2-5.8 に
は、LN2 コントローラまたはチラーの使用方法を含め、オーブンのセット・アップから操作までを述べて
あります。

LN2 コントローラの操作へ
液体窒素の元のバルブを開きます。これ以外の LN2 のすべての操作は、RSIOrchestratorTM を介して
行います。デュワーを満たすには、RSIOrchestratorTM の機器制御パネル(Instrument Control Panel)を
用いて、LN2 コントローラ・デュワをオン(ON)にします。デュワーに注がれている間、ソフトウェアシステ
ムのステータスは、LN2 注入中(LN2 filling)を表示し、温度制御は行われません。デュワーが満たされ
ると、ソフトウェアのステータスは LN2 の準備 OK (LN2 READY)を表示し、この時点で温度制御が開
始されます。

メインテナンス
LN2 コントローラの内部は、ユーザがメインテナンスを行う部分はありません。定期的なサービス作業
は、テクニカル・サービス担当者がテスト・ステーションのメインテナンスを行うときになされます。

2001 年 9 月
38 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-5.4 オーブンのガスの選択

テスト中は、気体窒素(N2)またはエアは、ヒータを通って流れます。N2 とエアを切り換えるには、ガスの
供給(Gas Supply)を、空気回路サイドパネル(図 2-14)にある圧力ゲージ下にある、オーブン選択スイッ
チへ(to Oven Selector Switch)を用います。バルブを必要な位置に回転させます(位置は表示されて
あります)。

オプションの LN2 コントローラを使用しているときは、ソフトウェアから次の 2 つの方法から、ヒータから


の流入ガスを選択できます:
1) 常に用いている気化した液体窒素(LN2)
2) ユーザが指定した温度に達するまで、液体窒素を用い、その後、オーブン選択スイッチへの
ガス供給(Gas Supply to Oven Selector Switch)で選択したガス入力ポートによって窒素ガスま
たはエアを用います。

ガス切り換えオプションを用いているとき、LN2 から Gas へ(LN2 to Gas)の切り換え入力温度は、


LN2 へのガスからの切り換え(switch from Gas)への入力より、約 10℃高くしてください。これにより、
液体窒素からガスに切り換えるとき、切り換えが発生すると瞬間的に温度が変化するため、切り換
え温度でシステムが 2 つのソースを切り換え続けるのを防ぎます。

RSI
OrchestratorTM(図 2-17)の Control プルダウンメニューの、テスト条件の設定(Set Test Conditions)
機能を用いて、ガス切り換え(Gas switching)オプションを有効にし、切り換え温度を設定します。

図 2-1. ガス切り換え可能を示す、テスト条件の設定フォーム(Set Test Conditions form)


ここで、フォーム内の N2 は液体窒素をあらわします。

2-5.5 オーブン操作の要件

オーブンは、下の条件に合致したときのみ操作することができます:
· オーブンが現在の環境システムに選択されている(第 2-5.6 節を参照)。
· 機器制御パネル(Instrument Control Panel)の環境コントローラがオン(ON)になっている。
· オーブンは、右に位置しており、必ずクローズされている。
· オーブンにエアまたは N2 が、35psi より高い圧力で供給されている。
· LN2 コントローラを使用しているときは、デュワーの液体窒素(LN2)のレベルは、容量の 50%~
70%の間になければなりません。条件がそろっていれば、RSIOrchestratorTM のオンライン・インジケ
ータには LN2 準備 OK(LN2 Ready)が表示されます。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 39
ARES 機器マニュアル

RSI
2-5.6 OrchestratorTM でのオーブンの構成

ユーザが温度を指定すると、RSIOrchestratorTM ソフトウェアは、機器の構成(Instrument Configuration)


を用いて、現在使用している環境システムを決め、操作条件を作成します。オーブンを操作する前に、
ユーティリティ(Utilities)プルダウンメニューの、サービス(Service)機能の下にある、機器の構成
(Instrument Configuration)機能にアクセスして、図 2-18 に示すような指針に沿って機器をセットアッ
プしてください。

図 2-18 環境システムの条件を入力するためのセットアップ画面。

ノート:
1) 次の内容が選択されていることを確認。
機器のセットアップ = 温度の制御(TEMPERATURE CONTROL)
温度の制御(Temperature Control) = オーブン(OVEN)(エア、チラー、LN2 デュワー)
2) 最高および最低温度が、許容される所要操作範囲に対応していることを確認してください。
3) オプションに LN2 がインストールされ、用いられている場合は、冷却コントローラが LN2 に設
定されていることを確認します。
4) 表 2-4 を基本にして、温度ループコントロール(Temperature Loop Control)を選択します。

2001 年 9 月
40 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

表 2-4 オーブンの温度制御ループオプション。

モード 温度の制御元 温度の報告元 温度の制御方法

1. オーブン・ オーブン PRT ツール PRT オーブンに流入するガスは、指定された温度に保持されま


エア温度 (上、下とも) す。温度は下方のフィクスチャー(ツール)PRT により、報告さ
れます。

2. サンプル/ ツール PRT ツール PRT オーブンの温度は、下方のフィクスチャー(ツール)PRT を用


ツール温度 いて保持されます。温度は、同じ PRT を用いて報告それま
す。

3. RAA オー オーブン PRT 下方オーブン オーブンのガス温度は、モード 1 と同様に保持されます。温


ブン・エア温度 (上、下とも) PRT 度は下方オーブンの PRT を用いて報告されます。下方フィ
クスチャーがツール PRT をサポートしない(たとえば、トーショ
ン)場合の使用法を考慮されています。

4. RAA ツー ツール PRT 下方オーブン オーブンの温度は、モード 2 と同様に保持されます。温度


ルの PRT PRT は、下方のオーブン PRT を用いて報告されます。ARES で
は通常は用いられません。

2-5.7 オーブンの操作

オーブンは、Instrument Control Panel を用いて操作されます(図 2-19)。Instrument Control Panel に


表示されるオプションは、第 2-4.6 節に示すように、Instrument Configuration 機能を用いて入力され
た環境システムの内容を反映しています。表 2-5 は、それぞれのオプションの特長をあらわしていま
す。

図 2-19 環境制御オプションを示す制御パネル。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 41
ARES 機器マニュアル

表 2-5 Instrument Control Panel のオーブン制御オプションの説明。

オプション 説 明

温度 命令温度

温度制御 使用する環境システム(オーブン、バス)を選択。これは、オーブン
(エア、チラー、LN2 デュワー)に設定してください。

環境コントローラ オーブン環境システムのオン/オフを選択します。

液体窒素デュワー LN2 コントローラをオンオフします。オンにすると、LN2 急速冷却


(LN2 Rapid Cooling)がフォームに表示されます。

オーブン圧力ソース オーブンに導入する気体の種類を選択します。Gas の場合、エアま


たは N2 などを選択します。LN2 を選択すると、LN2 コントローラから
気化した N2 を供給します。

LN2 急速冷却 急速冷却をオンオフし、最大速度で LN2 を蒸発させます。命令温


度が-124℃未満のときは、常にオンにします。

2-5.8 オーブンシステムのステータス・インジケータ

オーブン・カバーの前にある、2 つのネオンランプは、2 本のガン・ヒータのステータスを知らせます。上


のランプは上側ヒータの出力レベルを示します。ランプが最も明るくなっているときは、ヒーターガンは、
フルの ON の状態です。

RSI
OrchestratorTM のオンラインヘルプにもありますように、機器のステータスを示すオンラインインジケ
ータを画面の下に表示することができます。次のインジケータを選択することができ、オーブンの環境
システムのステータスを示します:

インジケータ 意 味

Environment On/Off/Oven Open

オーブン Open オーブンは閉じられていません。この条件は、オーブンの環境システムを使用できませ


ん。
Env On オーブンの環境システムは現在使用できます。
Env Off オーブンの環境システムは現在使用できません。
Gas/LN2 Status (オーブンのみ)

ガス エアまたは気体窒素(N2)が現在オーブンに入力されています。
LN2 Fill LN2 コントローラのデュワーに、現在液体窒素を注入しています。LN2 のレベルは、フラ
スコ容量の 50%未満です。液体窒素を注入している間は、温度制御が行われません。
LN2 Ready LN2 コントローラは、現在使用できます。この場合、デュワー瓶の LN2 レベルは、50%~
75%の間です。
LN2 Off LN2 コントローラは現在使用できません。

2001 年 9 月
42 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-6 流体バス 2

2-6.1 説明

流体バス 2 は、閉鎖された流体循環システムを用いて、サンプルの温度を正確に制御します。流体バ
ス 2 の温度範囲は、-10℃~140℃です。サーキュレータから供給された温度制御された流体は、この
バスを介して流れます。下方のテスト・フィクスチャーは、バス内に取り付けられてあり、周りのバスの温
度平衡値を得ます。下方フィクスチャーの温度は、バス PRT で測定され、これはバスを介してモータ
に取り付けられています。ユーザは、下方フィクスチャーまたは、サーキュレータ流体自体のどちらか
を選択して温度の制御をします。

サーキュレータは流体バスの温度を調整し、流体バスから流体を送ります。(レオメトリック・サイエンティ
フィックから供給された)サーキュレータは、テスト・ステーションとソフトウェアに接続され、制御されます。
バスを循環する流体は、RSIOrchestratorTM で選択された温度に保持されます。サーキュレータはまた、
その中に流体温度調整装置を備え、これは RSIOrchestratorTM のマニュアル温度制御を選択して、バス
の温度制御ループとして用いられます。現在、レオメトリック・サイエンティフィックから供給される、標準
のサーキュレータは、Julabo FS-18 です。

2-6.2 流体バスのインストール

流体バスは、ねじ付きカラーを用いて、モータに取り付けられています。

3 つのねじによって流体バス(図 2-20)の回転軸をテスト・ステーションのモータ・アンビルに締めつけま
す。ねじ付きカラーによって、流体バス本体は、テスト・ステーションのモータ・ハウジングに確実に取り
付けられます。

2 本のホースは、流体バスと流体ソース間に流体を供給します。これは主に、コンピュータ制御のサー
キュレータです。

流体バスを取り付ける前に、ARES 機器に関して、次の作業を行ってください:
· ステージを最高の高さに持ち上げます。
· すべての上方・下方のテストフィクスチャーを取り外し、モータ・アンビルに取り付けてあるアン
ビル・固定ノブを緩めます。
· テスト・フィクスチャーのトランスデューサ・アンビル、モータ・アンビルのマウント表面を注意深く
検査し、流体バスの取り付け時に障害となるあらゆる粒子物質をきれいにします。これは、バス
と機器間を機械的に適正につなぐための重要な作業です。
· Instrument Control Panel を用いて、モータをオフにします。.

次のステップを行ってバスをインストールするとき、図 2-10 と図 2-21 を参照してください:

1) 流体バスのねじ付きカラーから、2 つのピンをねじ付きカラースパナレンチ(供給品)に置き、カ
ラーに穴あけされた穴に入れ、レンチを反時計方向に回して、保護プラスチックベースを取り
外します。
2) 流体バスのカバーを完全に上にスライドさせて、軸にアクセスします。
3) この機器の右側に面するバス・ホースで ARES モータ・アンビルの上に流体バスを保持します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 43
ARES 機器マニュアル

4) 流体バスの軸を回転させ、軸の平たい部分と ARES モータ・アンビルの平たい部分を整列しま


す(両方の平面は、機器を見る方向から、右に面するようにします)。
5) バスを ARES モータ・ハウジングにゆっくりと降ろし、次のことを確認します:
· 軸の 3 本のねじは、ARES モータ・アンビルに機械加工された 3 本のねじに整列して
いる。
· 流体バスの下に入れられたピン(図 2-22)は ARES モータ・ハウジング内のノッチに収
まっている(ピンとノッチは機器の後ろに向かっていなければなりません)。必要に応じ
て、ピンがノッチにうまく収まるまで、バスを前後に回転させてください。
· 流体バスのねじ付きカラーは、ARES モータ・ハウジングのねじのある箇所に収まって
います。
· スプリング(図 2-20)は、ARES モータのアンビル固定ノブの後ろにあることを確認してく
ださい。モータ・アンビルを回転させ、アンビル・固定ノブにアクセスし、ノブを締めてく
ださい。きつく締めすぎなければ、平頭ねじ回しを使用できます。

次のステップとして順番に示していますが、実際は多かれ少なかれ、同時に行うことになります。つまり、
カラーはほんの少しだけ締め、次にねじを回し始め、そのあとカラーをもう少し締め、すべてのコンポ
ーネントが整列し、正しく合っていることを確認します。どのパーツでも、うまくフィットしていないと考え
られるときは、作業を停止して、原因を考えます。力を入れ過ぎないようにしてください。

6) 2 本のピンをスパナ・レンチ(供給品)に置き、突起付きカラーを締め、2 つの機械加工された穴
のカラーの中に入れ、レンチを反時計方向に回します(図 2-21)。カラーを締め付けすぎない
でください。
7) 供給された 5.5mm の先が開いたレンチで、軸内の 3 本のねじを締めてください。再度、ねじ
を締め付けすぎないでください。

図 2-20 流体バス 2 の下部の詳細。

2001 年 9 月
44 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

図 2-21 流体バス 2 のコンポーネントとインストール。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 45
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2-6.3 サーキュレータの接続

供給されたコネクタを用いて、サーキュレータをバスに接続します。バスの下方のホースは、バスに流
入する(サーキュレータから)ためのものであり、上方のホースは、バスから流出するためのものです(図
2-20)。サーキュレータは、作業エリア下の床面に置くようにしてください。すべてのホースが、それぞ
れのホース口に完全に接続され、かつクランプがしっかりと留められていることを確認してください。サ
ーキュレータの RS-232 コネクタとテスト・ステーションの信号パネルのサーキュレータ(C IRCULATOR)コ
ネクタ間をケーブル 707-00750 で接続します。

2-6.4 PRT のインストール

2 つの PRT(図 2-23)が使用でき、それぞれは、特定の下方フィクスチャーで用いられるよう設計されて
います。各 PRT は、下方フィクスチャーに接続し、フィクスチャーの温度を与えます。

数種類のクエットで用いる PRT は、プレートフィクスチャーに用いられるものより、短いことに注意してく


ださい。その長さにより、クエット PRT を手で取り外すのは困難です。引き抜きツールが付属している
ため、この PRT を取り外すときに用いてください。短い PRT を取り外すときは、PRT の端の上をツー
ルを滑らせ、図 2-23 に詳しく示すとおり、PRT のピン上のツール内にスロットを合わせてください。
PRT をバスから真上に引き上げますコネクタにダメージが加わるため、PRT のマウント時は、回転させ
ないでください。

次に示すとおり、下方フィクスチャーPRT をインストールしてください:
1) ARES 流体バス 2 で使用できる、下方フィクスチャーPRT から、適正な PRT が選択されている
ことを確認してください。
2) ほんの少しの力で、PRT(キー付きの端)プラグを、穴を介してバスに置き、モータにインストー
ルされたソケットに置きます。
3) PRT をやさしく押し下げ、PRT がソケットに差し込まれるまで回転させます(PRT のキー付きの
端は機械加工されたキースロットに滑り込みます)。PRT をソケットの中に完全に収めます。正
しくインストールされると、表示された温度パラメータは、周囲温度を表示します。

図 2-22 流体バスのアラインメントピン。

2001 年 9 月
46 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

図 2-23 流体バス 2 の下部フィクスチャーと PRT オプション。

2-6.5 下部フィクスチャーのインストールと取り外し
下方のフィクスチャーは、図 2-21 に示すとおり、バスの中に取り付けられます。このバスにはねじがあ
り、フィクスチャーのねじと噛み合います。このフィクスチャーは手の力のみで時計方向に締め付けま
す。下方フィクスチャーをインストールする前に、適正な PRT がインストールされ、操作できることを確
認してください。

フィクスチャーを取り外すには、供給されたレンチ(図 2-21)を、必要であれば使い、バスからフィクスチ
ャーを緩めてください。フィクスチャーに用いたレンチは、ツール用"FOR TOOL"とラベルが貼られ、
バスを固定するのに用いるレンチは、カバー用"FOR COVER"と記されています。下方フィクスチャー
とバス容器のねじを清浄に保ち、ダメージがなければ、簡単にインストール、取り外しができます。

2-6.6 サーキュレータに充填
使用しているサーキュレータのタイプや、サーキュレータの所要操作範囲により、表 2-6 に記されてい
る流体でサーキュレータに充填してください。Julabo FS-18 サーキュレータは、2 リットルの流体が必要
で、上から 5mm 以内まで充填しなければなりません。他のサーキュレータをご使用の場合にはそのサ
ーキュレータのマニュアルを参考にし、特定の充填方法や操作指針に従い、ご自分のアプリケーショ
ン用に他のバス流体を充填してください。また、用いている特別なバス流体を安全に取り扱うための、
流体バス MSD 指針を参照してください。

流体バス 2 の構成により、シールは極めてデリケートなものです。50%エチレングリコール/50%水の混
合液をバスに用いる必要があります。また、Julabo® Thermal H10S も用いることができます。シールの
寿命を著しく短くするため、純粋な水を用いるのはお勧めしません。シールが破損した場合、サービス
と修理のため、バスは必ず RSI に返送してください。

2001 年 9 月
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ARES 機器マニュアル

表 2-6 種々のバスの流体を用いたサーキュレータの操作範囲

サーキュレータの好ましい操作範囲
流 体
(バスの温度範囲はこれより少し低い)

-5℃~+100℃ 50%エチレングリコール/50%水

+40℃~+110℃ 100%エチレングリコール

-20℃~ +150℃ Julabo® Thermal H10S

RSI TM
2-6.7 Orchestrator における流体バス 2 の構成

ユーザが温度を指令すると、RSIOrchestratorTM ソフトウェアは定められている環境システムに対して操
作条件を確立します。流体バスを操作する前に、ユーティリティ(Utilities)メニューのサービス(Service)
機能の下にある、機器の構成(Instrument Configuration )機能にアクセスして、図 2-24 に示す指針に
より、機器をセットアップしてください。

図 2-24 流体バスシステムのセットアップ画面。

ノート:
1) 次のものが選択されていることを確認してください
機器のセットアップ(Instrument Setup) = 温度制御(TEMPERATURE CONTROL)
温度制御(Temperature Control) = バス(BATH)(INSTRUMENT C ONTROLLED ONLY)
2) 必要なサーキュレータ操作範囲と流体(サーキュレータに充填を参照)に対応する最高・最低
温度が、(Max and Min Temperature) 正しく入力されていることを確認してください。

2001 年 9 月
48 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

3) 次の内容に従って、温度ループ制御オプションを選択してください:
· サーキュレータの温度
選択すると、サーキュレータ内の流体の温度は、指定した温度に保たれます。下方フ
ィクスチャーPRT は、指定した(サーキュレータ)の温度より、わずかに異なる温度を報
告します。サーキュレータの温度制御は、ステップまたは勾配タイプの温度研究時に
実行されるのに用いられます。ここでは、制御、定常、温度変化、スピードは、実際の
サンプル温度よりもさらにクリティカルになります。
· ツールの温度
選択すると、下方テストフィクスチャーの温度は、指定する温度に保持されます。ツー
ルの温度制御は、等温(およびいくつかのステップ)テストにお勧めするセッティングで
す。ここでは、実際のサンプルの温度を制御するのはより重要になってきます。指定し
た温度に到達した後、テストをスタートしますが、その前に、その温度で 20~30 分待
ち、バスとサンプルの温度を安定させることをお勧めします。
4) 通常、温度キャリブレーション表をデフォルト(既定値)に設定してください。クリテ
ィカルな温度実験には、調整オプションを用い、特別な温度設定点"setpoints"に対し、
キャリブレーションオフセット"offsets"を入力することができます。この特徴のセットアップに関
する詳細ヘルプは、RSIOrchestratorTM のオンラインヘルプを参照してください。

PID ループのセットアップ
ツール温度制御を使用するとき、指定した温度と、実際の温度との差は、PID(比例+積分+微分)ルー
プ制御システムによって、ゼロにされます。この PID ループセッティング(図 2-25)は、設定温度におけ
るバスの温度勾配に影響を及ぼします。これらの値は、使用しているサーキュレータの流体や仕様に
影響されます。バスが設定点に達すれば、一般的に数℃のオーバーシュートが見られ、その後、数回
の振動があったあと安定します。一般的に、安定時間は 15 分で 0.1℃、35 分で 0.01℃に達します。
比例幅(P 係数)を調整して、オーバーシュートを少なくすることもできますが、バスが安定するまで、振
動する回数が増え、全体的な安定までにはより長い時間がかかります。

図 2-25 PID セットアップのフォーム。

表 2-7 に示す値は、指針として用いられ、ほとんどのアプリケーションで用いられます。しかし、ユーザ
は、システムや特別なアプリケーションに用いているバスに最適な PID セッティング値を得るため、実
験を行う必要があることもあります。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 49
ARES 機器マニュアル

表 2-7 Julabo®サーキュレータと選択した流体の PID 値。

サーキュレータ Julabo® FS-18


50%水/
バス流体
50%エチレングリコール
比例幅 0.75
リセット 0.25
速度 0.67

2-6.8 流体バス 2 操作の要件

流体バスは、次の条件に合ったときのみ操作することができます:
· 現在の環境システムとして流体バスが選択されている(第 2-6.7 節を参照)。
· サーキュレータが満たされ、かつバスを流体が循環している。
· サーキュレータが正しい RS-232 ケーブルを通して、接続されている。

2-6.9 流体バス 2 の操作

流体バスは、機器制御パネル(Instrument Control Panel、図 2-26)を用いて操作します。温度


(Temperature)入力欄に、求める温度を入力します。ほとんどのアプリケーション、特に等温テスト、ま
たは実際のフィクスチャーの温度が必要な場合、温度制御(Temperature control)ツールを用います。
逆に、温度勾配テストでは、サーキュレータ(マニュアル)制御がより良い結果を得られます。等温テスト
においても、マニュアル温度制御で好ましい結果を得られる場合があいますが、サーキュレータ流体
の調整が必要です。

図 2-26 流体バスの操作オプションを示す機器制御パネル。

2001 年 9 月
50 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-7 ペルチエ

2-7.1 説明

ペルチエの環境制御システムは、ソリッド・ステートヒートポンプ(サーモ・パイル)を用い、下方フィクスチ
ャーの温度を制御し、これはペルチエ・アセンブリの統合された箇所です。一般に、ソリッド・ステートヒ
ートポンプは、複数の半導体デバイスが直列に並び、それぞれは N-P ジャンクションからなっていま
す。これらのデバイスは、下方フィクスチャーとヒートシンクの間に位置しています(図 2-27)。

電気絶縁体/熱伝導体

導電体

N 型半導体

P 型半導体

図 2-27 ソリッド・ステートヒートポンプ(ぺルチエ)の図。

DC(直流)電圧は半導体を介して供給され、電圧の極性によって、下方フィクスチャーを加熱または冷
却します。半導体は、下方フィクスチャーとヒートシンク間の熱エネルギを変換します。これは、基本的
には、流体(代表的には水)が流れることによる熱交換です。流体の温度は、下方フィクスチャーへ送っ
たり、そこから受ける熱エネルギの量によって決められます。流体の温度は、これから、実際の操作温
度範囲を、システム全体の仕様内に修正します(表 2-8 ペルチエ・システムの仕様)。

表 2-8 ペルチエシステムの仕様。
温度の範囲 -30℃~+150℃、サーキュレータ流体の温度に依存。
温度勾配 30℃/分。0℃~+100℃(流体温度が 20℃の場合)
安定度 ±0.1℃

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 51
ARES 機器マニュアル

サーキュレータ・オプション
ペルチエは。循環する流体ソースに接続されていなければなりません。手動で加熱/冷却制御できる
ものが使用でき、指定した温度範囲にわたってペルチエ・システムを操作します。これはまた、流体バ
スと同じサーキュレータを用いることができます。ARES ペルチエ・アセンブリの流体ホースにインストー
ルされている標準の取り付け具は、レオメトリック・サイエンティフィックから販売されている、コンピュー
タ制御のサーキュレータにも適用できます。

レオメトリック・サイエンティフィックで製造されたペルチエ・サーキュレータは、高効率かつ廉価な製品
で、温度制御されていない循環流体を供給します。このペルチエサーキュレータの使用法はサーキュ
レータに取り付けられているラベルに印刷されています。ペルチエ・サーキュレータを用いる際は、
ARES ペルチエ・アセンブリ流体ホースから、標準流体を取り除き、その後、ペルチエ、サーキュレータ
用に特別に供給された流体をインストールしてください。

温度操作範囲の選択へ
循環する流体の温度は、ペルチエ・システムの温度操作範囲によって決められます。温度操作範囲を
選択するには、流体の温度が次の指針によって設定されていなければなりません。

ヒートシンク近辺の周囲温度を+20℃と仮定すると、下側の温度差(DT L)の約-40℃は、流体の温度と
温度操作範囲の最低温度の間にあります。上側の温度差(DTU)の約;80℃は、流体の温度と温度操作
範囲の最高温度の間にあります。

与えられた流体温度の操作温度範囲を決めるには、この差分の値を流体温度に加えます。たとえば、
流体の温度が+20℃の場合、ペルチエ・システムの操作温度範囲は、次のように計算して、約-20℃~
100℃です:

最低値 最高値

= DTL + 流体の温度 = DTU +流体の温度

= -40℃ + (+20℃) = +80℃ + (+20℃)


= -20℃ = +100℃

流体の温度が+40℃の場合、ペルチエ・システムの操作温度範囲は、次のように計算して、約 0℃~
120℃です:

最低値 最高値

= DTL +流体の温度 = DTU + 流体の温度


=-40℃ + (+40℃) = +80℃ + (+40℃)
= 0℃ = +120℃

2001 年 9 月
52 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-7.2 ペルチエのインストール

回転するペルチエ・アセンブリを、テスト・ステーションモータのアンビルに 3 本のねじで締めます。ね
じ付きカラーにより、ペルチエ・アセンブリ本体をテスト・ステーションのモータ・ハウジングに確実に取り
付けます。

テスト・ステーションへの接続は、ペルチエ・アセンブリの回転する軸にある、7 ピンのおす Lemo®PRT


プラグで行います。ペルチエ・アセンブリを取り付けるとき、PRT プラグは、モータ・アンビルの中心にあ
る、PRT ソケットに自動的に押し下げられます。

2 本のホースは、ペルチエ・アセンブリと流体ソース間に流体を供給します。これは、主に温度を制御
されたサーキュレータです。

ペルチエ・アセンブリを取り付ける前に、ARES 機器に関する次の作業を行ってください:

· ステージを最高の位置まで上げます。
· 上下すべてのテストフィクスチャーを取りはずし、モータ・アンビルにあるアンビル締め付けノブ
を緩めます。
· テスト・フィクスチャーの取り付け表面(すなわち、トランスデューサのアンビルとモータのアンビ
ル)を注意深く検査し、ペルチエの取り付けに妨げとなるあらゆる材料を清浄にします。これは、
ペルチエ・アセンブリと機器をあまく合わせるのに重要です。
· モータをオフにします。

次のインストール手順を行うときは、図 2-18 を参照してください。

1) スパナ・レンチ(供給品)の 2 つのピンを 2 つの機械加工された穴にあて、カラーに差し込んで


レンチを反時計方向に回して、ペルチエ・アセンブリ・カラーから、保護用プラスチックベース
を取り外します。
2) ペルチエ・アセンブリのカバーを上にいっぱいにスライドさせて、ペルチエ・アセンブリ軸にアク
セスします。
3) 機器の右に面しているバス・ホースにより、ARES のモータ・アンビル上のペルチエ・アンビルを
支えます。
4) ペルチエ・アセンブリ軸を回転して、軸の平面部を ARES のモータ・アンビルの平面と合わせ
ます(両方の平面は、機器に向かって右側に向いていなければなりません)。このとき、PRT プ
ラグの赤い点は、機器の正面を向いています。

注意
機器にダメージを与える可能性があります
次のステップでペルチエ・アセンブリを下げるとき、この PRT プラグは ARES の PRT コンセントに差し
込みます。PRT プラグやコンセントを傷めるため、下げるときに抵抗があっても、強く力を加えないでく
ださい。このような場合は、ペルチエ・アセンブリを持ち上げ、次のステップに示すように、傾いていな
いかチェックしたあと、再度試してください。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 53
ARES 機器マニュアル

図 2-28 ARES のペルチエ・アセンブリ

5) ペルチエ・アセンブリを ARES モータ・アセンブリにゆっくりと下げ、次の事項を確認します:


· ペルチエ・アセンブリ軸内の 3 本のねじは、ARES のモータ・アンビルに機械加工され
た 3 つのねじ穴に合っています。
· ペルチエ・アセンブリの下に機械加工されたピン(図 2-19)は、ARES のモータ・ハウジ
ングのノッチに置かれます(ピンとノッチは、機器の後ろ方向に位置します)。ピンがノッ
チに落ち込むのに、ペルチエ・アセンブリを左右に回転させる必要がある場合もありま
す。
· ペルチエ・アセンブリのねじ付きカラーは、ARES のモータ・ハウジングのねじのある箇
所に収まります。
· ばね(図 2-28)が ARES のモータのアンビル。締め付けノブの後ろにあることを確認し
たあと、ノブを締めてください(もし、締めすぎなければ、平頭ドライバを使用てきます)。

次の番で示している内容は、実際は多かれ少なかれ同時に行うことになります。つまり、カラーはほん
の少しだけ締め、次にねじを回し始め、そのあとカラーをもう少し締め、すべてのコンポーネントが整列
し、正しく合っていることを確認します。どのパーツでも、うまくフィットしていないと考えられるときは、作
業を停止して、原因を考えます。力を入れ過ぎないようにしてください。

2001 年 9 月
54 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

6) 2 本のピンをスパナ・レンチ(供給品)に置き、ペルチエ・アセンブリ・カラーを締め、2 つの機械
加工された穴のカラーの中に入れ、レンチを反時計方向に回します(カラーを締め付けすぎな
いでください)。
7) 供給された 5.5mm の先が開いたレンチで、ペルチエ・アセンブリ軸内の 3 本のねじを締めてく
ださい(ねじを締め付けすぎないでください)。.

図 2-29 ペルチエアライメントピン

2-7.3 サーキュレータの接続

次に示すとおり、サーキュレータ・ホースをペルチエ・アセンブリに接続します:

接続元... 接続先...
サーキュレータから流体出力 ペルチエ・アセンブリの下方ホース
流体入力からサーキュレータへ ペルチエ・アセンブリの上方ホース

サーキュレータは、作業エリアより下の床面に設置します。すべてのホースが対応するホース口に取り
付けられ、確実にクランプされていることを確認してください。

2-7.4 サーキュレータに充填

使用するサーキュレータのタイプにかかわらず、使用する流体は、50%水と 50%エチレン・グリコールの
混合液を使用することをお勧めします。水のみや他の混合液を用いると、特に変質したり腐食するな
ど、ペルチエ・アセンブリにダメージを与える結果となります。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 55
ARES 機器マニュアル

RSI
2-7.5 OrchestratorTM によるペルチエの構成

ユーザが温度を指令すると、RSIOrchestratorTM ソフトウェアは、現在用いている環境システムを基に、
操作条件を確立します。流体バスを操作する前に、ユーティリティ(Utilities)メニューのサービス
(Service)機能の下にある、機器の構成(Instrument Configuration )機能にアクセスし、図 2-30 に示す
指針を用いて機器をセットアップします。

図 2-30 ペルチエ・システムのセットアップフォーム。

ノート:
1) 次のものが選択されていることを確認してください
機器のセットアップ = TEMPERATURE CONTROL
温度制御 = PELTIER(THERMOPILE HEAT PUMP)
2) 最高および最低温度が次のように設定されていることを確認してください:
最高温度(Maximum Temp) = +150℃
最低温度(Minimum Temp) = -30℃
3) 通常のアプリケーションでは、温度キャリブレーション表は、デフォルト(既定値)に設定してくだ
さい。温度に大きく影響される作業では、調整オプションを用いて、オフセット"offsets"キ
ャリブレーションから、特定の設定温度"setpoints"をを入力します。RSIOrchestratorTM のオンラ
インヘルプから、この特長をセットアップするための詳細を参照してください。

2001 年 9 月
56 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

PID ループのセットアップ
環境制御システムを使用するとき、指定した温度と、実際の温度との差は、PID(比例+積分+微分)ルー
プ制御システムによって、ゼロにされます。この PID ループセッティング(図 2-31)は、ペルチエがどの
ように設定されるかに影響を及ぼします。ペルチエが設定点に達すれば、一般に数℃のオーバーシ
ュートが見られ、その後、数回の振動があったあと安定します。ペルチエは、一般に、数分以内で安定
状態に達します。比例幅(P 係数)を調整して、オーバーシュートを少なくすることもできますが、バスが
安定するまで、振動する回数が増え、全体的な安定までにはより長い時間がかかります。

図 2-31 ペルチエの設定内容を示す、PID セットアップフォーム。

表 2-9 種々の ARES ファーム・ウェアバージョンに対する、デフォルトの PID ループ値。


バージョン 4 バージョン 5 および 6
PID ループ
ファームウェア ファームウェア
比例係数 .5% 2.5%
リセット 10.67reps/min 10.67reps/min
速度 .015 min. .015

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 57
ARES 機器マニュアル

2-7.6 ペルチエ操作の要件

ペルチエは、次の条件が整ったときにのみ操作できます:
· ペルチエが現在の環境システムに選択される(第 2-7.5 節を参照)。
· 機器制御パネル(Instrument Control Panel)で環境システムがオンになっている。
· 流体がペルチエを介して流れている。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります
流体がポンプによって流れていない場合は、ペルチエ・システムを操作しないでください。ぺルチエ・
システムを操作するときはいつでも、サーキュレータがペルチエ・アセンブリに接続され、サーキュレー
タのポンプがオンになっていることを確認してください。この注意事項を怠ると、ペルチエ・アセンブリホ
ースに取り込まれた流体が直ちに蒸発し、ホースが裂けたり、ペルチエ・アセンブリにダメージを与えた
り、人体にも危害を与える可能性があります。.

2-7.7 ペルチエの操作

サーキュレータをオンにし、必要な温度に設定します。ペルチエは、機器制御パネル(図 2-32)を用い
て操作します。環境コントロールオプションをオンにします。制御可能な温度は、温度入力欄に設定さ
れます。

湿度カバー
サンプルを装填したあと、ペルチエ・アセンブリの上部に 2 つに分けられたカバー(図 2-33)を置き、金
具をとめるとインストールすることができます。湿度カバーにより、温度制御も良くなります。また、テスト
中にサンプルが蒸発するのも防ぎます。カバー内側のパッド"pads"は、蒸発を最小限にするため、使
用前に溶剤(水など)で湿らせておいてください。

警告
人体に危害を与える可能性があります
周囲温度以外の温度でテストをする間および、そのあとは、サンプルのテスト表面温度は人体に危害
を与える温度に達している場合があります。サンプルテスト表面やサンプルに手を触れる前に、ペルチ
エシステムを周囲の温度に戻らせてください。

2001 年 9 月
58 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

図 2-32 ペルチエの制御パネル

図 2-33 湿度カバー

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 59
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2-8 流体バス

2-8.1 説明

流体バスは、オープンの再循環システムを用いて、サンプルの温度を高精度に制御します。下方テス
ト・フィクスチャーは、バス内に取り付けられ、周りはサーキュレータから供給される、温度制御された流
体に囲まれます。下方フィクスチャーの温度は、バス PRT で測定され、バス・ウェルを介してモータに
取り付けられています。ユーザは、下方フィクスチャーまたはサーキュレータの流体のどちらかの温度
をコントロールするよう選択できます。

サーキュレータは、バス流体の温度を調整し、流体バスを介して流体を送ります。サーキュレータ(レオ
メトリック・サイエンティフィックから供給された)は、テスト・ステーションとソフトウェアに接続され、これら
にコントロールされます。バスを介して循環する流体は、RSIOrchestratorTM で選択された温度に保たれ
ます。サーキュレータは、独自の流体温度調整機能を持ち、バスの温度コントロールループ用に、オ
プションで用いることができます。

2-8.2 流体バスのインストール

流体バスは、ねじつきのカラーを用いてモータに取り付けます。

次のステップを実行してバスをインストールするとき、図 2-34 を参照してください:

1) ステージを最高位置に持ち上げ、上のテスト・フィクスチャーを取り外します。
2) オーブンを左にスライドさせます。
3) モータを切ります。
4) ノブが、機器の前方に来るようにモータ・アンビルを動かします。
5) アクセス・ポートでバスを、機器の前方と、整列ピンに面するようにします。これはバスの内径に
位置し(図 2-22)、モータハウジングに機械加工された、対応するノッチ(機器の後ろに向かっ
て位置する)と整列します。
6) ねじ付きのカラーを機械加工されたねじ付きのモータに乗せ、整列ピンをモータハウジングに
当てて、バスをモータに取り付けます。ピンがノッチにうまく入るまで、バスを左右に回す必要
があることがあります。
7) ねじ付きカラーを締め、その後モータアンビルのノブを締め付けます(手で締めてください─決
して締めすぎないこと)。
8) 次のように下方フィクスチャーPRT をインストールします:
a) ARES バスに使用できる、3 つの下方フィクスチャーPRT から、適正な PRT が選択さ
れていることを確認してください:

相手: 下方フィクスチャーPRT パーツ番号

下方プレート(パラレルプレートまたはコーン・プレートジオメトリ) 700-02647
下方カップ(標準クエットジオメトリ) 700-02647-1
17mm 下方カップ(狭いクエットジオメトリ) 700-02647-2

2001 年 9 月
60 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

b) ほんの少しの力で、PRT(キー付きの端)プラグを、穴を介してバスに置き、モータにイン
ストールされたソケットに置きます。
c) PRT にやさしく押し下げ、PRT がソケットに差し込まれるまで回転させます(PRT のキー
付きの端は機械加工されたキースロットに滑り込みます)。正しくインストールされると、
RSI
OrchestratorTM は周囲温度を表示します。

図 2-34 流体バスのインストール。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 61
ARES 機器マニュアル

下方フィクスチャーのインストール
下方のフィクスチャーを流体バスにインストールするには、フィクスチャーをバス(図 2-35)に置き、フィ
クスチャーバスに対し平面になるまで押し下げます。

注意
機器にダメージを与える可能性があります
下方のフィクスチャーの温度が、バスのそれより低い場合は、下部のフィクスチャーをバ
スの中に置かないでください。
フィクスチャーより暖かいバスに置くと、フィクスチャーは使用中に膨張してきます。膨張
すると、バスにダメージを与えないで取り外すことは困難になります。
フェノール製スペーサを下方フィクスチャーの上端とバスの表面の間に一部分を挿入
することをお勧めします。下方のフィクスチャーの温度がバスの温度になるまで待ち、そ
の後そのスペーサを取り外したあと下方のフィクスチャーを完全に挿入します。

図 2-35 流体バスへの下方フィクスチャーのインストール。

2001 年 9 月
62 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

2-8.3 サーキュレータの接続

図 2-36 は、バスとテスト・ステーション間の流体の接続を示します。サーキュレータは作業エリアより下
の床面に設置します。すべてのホースは、それぞれの相手のかかりに完全に接続され、確実にクラン
プされていることを確認してください。供給されたケーブルで、サーキュレータまたは RS-232 コネクタ
と、テスト・ステーション信号パネルの、サーキュレータ(C IRCULATOR)コネクタ間を接続します。

入り口ラインのクランプ
クランプは、サーキュレータ・ポンプ出力から流体バス入力に使用しているホースに取り付けてください。
このクランプは、バスへの流れを調整する大切なものです。クランプを取り付けなかったり、流れが適
正に調整されていなければ、流体バスがオーバーフローし、テスト・ステーションのモータに重大なダメ
ージを与える原因になることがあります。

クランプは、入力ホース(サーキュレータはオフ)の上に置き、できる限りしっかりと締め付けてください
(手で締めること)。クランプ・ノブには、指示マークをつけ、それを参考にして、クランプを 2 から 4 回転
緩めます。クランプがオープンされるまでの回転数は、用いているサーキュレータの製造モデルによっ
て異なります。Julabo FS-18(新規システムに供給)を用いた場合、このクランプは 4 回転でオープンし
ます。古い NesLab チラーは、2 回転でオープンしました。しかし、この値は、指針としてのみ用いてく
ださい。ユーザは流れやバスをモニタして、バスへの流速がそれぞれのシステムに適正であることを確
認してください。

クランプが適正にセットされると、バスの出力ホース(微振動する)から、力強い流体の流れを感じられ、
バスは約 30 分で、所要温度に安定してきます。クランプを締めすぎると、バスの出力ホースからの流
れは弱かったり、全くなかったりして、温度は安定せず連続的に変動します。クランプを開けすぎると、
バスは最終的にオーバーフローします。バスは常にモニタし、バス・カップと本体(図 2-34)間の上の継
ぎ目に流体が出てきたら、直ちにクランプを締めてください。

2-8.4 サーキュレータに充填

用いているサーキュレータのタイプや、サーキュレータの所要の操作範囲により、表 2-10 に指定され


た流体でサーキュレータに充填してください。特定のサーキュレータ流体や指針により、また用いてい
るアプリケーションのための他の流体オプションに関し、バスの説明書を参照してください。また、用い
ているバス流体特有の安全な取り扱いに関する指針のため、バス流体 MSD を参照してください。

表 2-10 種々のバス流体を用いた、サーキュレータの操作範囲。

サーキュレータの望ましい操作範囲
流 体
(バスの温度はこれよりわずかに低い)

-20℃~+30℃ 100% Dow Corning® Syltherm® XLT

+1℃~+99℃ 100% 水

-5℃~+100℃ 50%エチレン・グリコール/50%水

+40℃~+110℃ 100% エチレン・グリコール

-20℃~+150℃ Julabo® Thermal H10S

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 63
ARES 機器マニュアル

図 2-36 流体バス: 流体の接続

2001 年 9 月
64 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

RSI
2-8.5 OrchestratorTM による、流体バスの構成

ユーザが温度を指令すると、RSIOrchestratorTM ソフトウェアは、現在用いている環境システムから操作
条件を確立します。流体バスを操作する前に、ユーティリティ(Utilities)メニューのサービス(Service )機
能の下にある、機器の構成(Instrument Configuration)機能にアクセスし、図 2-37 に示す指針を用い
て機器をセットアップします。

図 2-37 流体バスのシステム入力のセットアップフォーム。

ノート:
1) 次のものが選択されていることを確認してください
機器のセットアップ = 温度制御(TEMPERATURE CONTROL)
温度制御 = バス(BATH) (機器の制御のみ)

2) サーキュレータの操作範囲と、流体に対応する最高・最低温度(前のトピックの、サーキュレー
タに充填を参照)が、最高・最低温度(Max and Min Temperature)欄に入力されていることを確
認してください。

3) 温度ループ制御オプションを、次の内容を指針にして、選択してください:
· サーキュレータの温度
選択されると、サーキュレータ内の流体の温度は、指定された温度に保持されます。
下方の PRT フィクスチャーは、サーキュレータの温度に依存せず、その設置位置によ
り、指定した(サーキュレータ)温度よりわずかに異なる温度を報告してきます。サーキュ
レータ温度での制御は、温度変化のスピードが、実際のサンプル温度より重要となる、
温度ステップまたは温度勾配の研究時に用いてください。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 65
ARES 機器マニュアル

· ツールの温度
選択されると、下方のテストフィクスチャーは、指定された温度に保持されます。ツール
温度制御は、等温(およびいくつかのステップ)テストのセッティングに用いることをお勧
めし、ここでは実際のサンプルの温度が最も重要となります。指定した温度が達成され
るた後、テストをスタートする前に、その温度で 20 分~30 分待機し、バスとサンプル
の温度を安定させてください。
4) 通常のアプリケーションでは、温度キャリブレーション表をデフォルト(既定値)に設
定してください。温度が重要な作業では、調整オプションを用いて、オフセット
"offsets"キャリブレーションから、特定の設定温度"setpoints"をを入力します。
RSI
OrchestratorTM のオンラインヘルプから、この特長をセットアップするための詳細を参照して
ください。

PID ループのセットアップ
環境制御システムを使用するとき、指定した温度と、実際の温度との差は、PID(比例+積分+微分)ルー
プ制御システムによって、ゼロにされます。この PID ループセッティング(図 2-2)は、バスがどのように
設定されるかに影響を及ぼします。これらの値は、使用しているサーキュレータの流体や仕様に影響
されます。バスが設定点に達すれば、一般に数℃のオーバーシュートが見られ、その後、数回の振動
があったあと安定します。一般に、安定時間は 15 分で 0.1℃、35 分で 0.01℃に達します。比例幅(P
係数)を調整して、オーバーシュートを少なくすることもできますが、バスが安定するまで、振動する回
数が増え、全体的な安定までにはより長い時間がかかります。

図 2-2. 流体バスの PID セットアップ・フォーム(PID setup form)。

表 2-1 に示す値は、指針として用いてください。ほとんどのテストで動作します。しかし、ユーザは使用
しているシステムや特別なアプリケーション用に、最良の pid 設定条件を求めて、異なる値でテストす
る必要のある場合もあります。RSIOrchestratorTM のオンライン・ヘルプには、決定方法や PID 係数のチ
ューニングなどについて、詳しい説明が述べられています。

2001 年 9 月
66 902-30026 改訂 B
第 2 章: 機器の構成要素

表 2-1 種々サーキュレータと流体に対する PID の値。

Julabo® Julabo® NesLab V5 NesLab V4 (以


サーキュレータ
FS-18 FS-18 ファームウェア 前)ファームウェア
50% Water
バス流体 100% Water 100 % Water 100% Water
50% Ethylene Glycol
比例幅 0.75 0.75 1.00 3.00
リセット 0.50 0.25 0.75 0.75

速度 0.30 0.67 0.25 0.25

2-8.6 流体バス操作の要件

流体バスは、下記の条件が整ったときのみ操作することができます:
· 流体バスが現在の環境システムとして選択される(第 2-8.5 節を参照)。
· サーキュレータが満たされ、流体がバスに循環している。
· サーキュレータが、正しい RS-232 ケーブルを介してテスト・ステーションに接続されている。
· 正しくクランプされている。

2-8.7 流体バスの操作

流体バスは、機器制御パネル(Instrument Control Panel、図 2-39)を用いて制御されます。所要の温


度は、温度入力欄で設定します。周囲より高い温度でテストするときは、サーキュレータの設定点は、
必要なバスの温度より常に高く設定してください。

図 2-39 流体バス制御オプションを示す、機器の制御パネル。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 67
ARES 機器マニュアル

ノート:

2001 年 9 月
68 902-30026 改訂 B
3
テストの説明
第 章

CHAPTER 3 TEST DESCRIPTIONS


3
3-1 はじめに

3-1.1 応力、歪み、粘弾性

用語の定義
弾性は、変形エネルギを保存する材料の能力で、変形後に元のジオメトリに戻る材料の能力で眺める
ことができます。粘性は、流れに抵抗する材料の能力の基準で、流れによって変形エネルギが消散さ
れる材料の性質を反映しています。材料は、弾性的あるいは粘性的な挙動、あるいはより一般には、
この両方のメカニズムの組み合わせによって、与えられた力に応答します。この組み合わされた挙動
は、粘弾性と呼ばれています。

レオロジーの測定では、この変形力を応力または、単位面積当たりの力と表します。材料に与えられ
た変形の割合は、歪みと呼ばれます。歪みは、変形前のサンプルのジオメトリに対する、(変形後の)サ
ンプルの偏移として表されます。

Hooke の法則と Newton の法則


Hooke の法則は、理想固体の機械的挙動を表します。Hooke の法則は、せん断歪みγが理想固体
に与えられ、せん断応力τ が材料内に歪みに正比例して発達することを示します:

τ= Gγ

せん断(G)の比例定数は、物質の弾性率として知られます。この弾性率は硬さや変形に抗する能力の
尺度です。応力─歪み曲線が直線で得られる場合、歪みが変化しても弾性率が不変な定数として特
徴づけられます。歪みが変化しても弾性率が一定の領域は、線形領域と呼ばれます。線形領域はま
た、物質のフッキアン(Hookean)l)領域とも呼ばれます。

Newton の法則は、理想粘性流体の機械的な挙動を示します。流体がパイプを押されて移動するとき、
または押出し機でスクリューから押し出されるときなどは、その移動はせん断と呼ばれます。Newton の
法則は、歪み速度(またはせん断速度) dγ/dt に対する与えられた応力(τ)に関係します:
dg
t =h ここで η =粘度 (または粘性係数)
dt

流体は、その粘度が歪み速度に依存しないとき、Newtonian であるといいます。類似の式は、引っ張り
テスト用に書くことができ、ここでは引っ張り応力(σ)は、次のように引っ張り歪み(ε)に関係します:
de
s =m
dt

非ニュートン(non-Newtonian)流体では、粘度は一定ではなく、歪み速度に比例します。多くの高分子
溶液は、せん断速度が増加すると粘度が減少するため非ニュートン(non-Newtonian)流体です。これ
は、シェアシニングまたは、擬塑性と呼ばれます。これとは逆に、せん断速度が高くなると粘度が増加

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 69
ARES 機器マニュアル

する流体は、シェアシックニングまたはダイラタンシーと呼ばれています。これは、土や砂が高濃度で
水に分散しているような場合に見られることがあります。

3-1.2 定常せん断テスト
定常せん断テストは、連続して回転をさせ、歪みを与えます。定常なせん断速度に達すると、せん断
応力(τ)はせん断速度(dγ/dt)の関数として測定されます。応力/せん断速度は粘度(η)を与えます。
測定は、広い範囲のせん断速度について行い、サンプルのせん断速度依存性について研究します。

3-1.3 ダイナミック・メカニカルテスト
変数の定義
動的テストは、サンプルに振動歪みを与える測定です。入力歪みに対して発生する正弦波応力が測
定され、粘度特性および弾性特性が同時に測定されます。サンプルが理想弾性固体のような挙動を
とるならば、発生する応力は、歪みの大きさに比例し(Hooke の法則)、応力と歪みの信号は、同位相と
なります。サンプルが理想流体のように挙動すれば、応力は歪み速度、または歪みの一次微分に比
例します(Newton の法則)。この場合、応力の信号は歪みと位相がずれ、90゜進みます。

粘弾性物質は、応力と歪み間の位相角のシフト(δ)は弾性と粘性の間の値となります。粘弾性物質か
ら生成される応力信号は、歪みと同位相の弾性応力(τ')と、歪み速度(dγ/dt)と90゜ずれる粘性応
力(τ'' ) の 2 つの成分に分けられます。弾性および粘性応力は、それぞれ同位相応力、ずれ位相
応力と参照されます。

弾性応力は、材料が弾性固体として振舞う度合いの評価基準となります。粘性応力は、材料が粘性
固体として振舞う度合いの評価基準となります。応力をこれらの 2 成分に分けることによって、材料の
歪み量と歪み速度依存性が同時に測定できます。

粘性応力および弾性応力は、その応力対歪みの比(または係数)により、材料の特性に関連づけられ
ます。このうち、弾性応力対歪みの比は、弾性係数(G')と呼ばれ、材料がエネルギを弾性的に保存す
る能力を表します。

粘性応力対歪みの比は、粘性係数(または損失弾性率)(G'')とされ、材料の消散エネルギの能力を表
します。複素弾性率(G*)は、材料の変形に対する全体の抵抗の測度となります。これらの測定が、せ
ん断の代わりに、伸長ジオメトリでなされると、係数を表す文字は、G の代わりに E が用いられます。

場合によっては、これはサンプル応力に対するサンプル歪みの比で表すこともあります。これは、コン
プライアンスとして知られ、せん断テストでは J、伸長テストでは D で表されます。係数の値の場合には、
弾性成分(J'または D')および粘性成分(J"または D")の両者を定義でき、複素コンプライアンス(J*また
は D*)が求められます。

弾性係数に対する粘性係数の比は、応力と歪み間の位相角シフトのタンジェント、または tan δです。


tan δは、材料のダンピング特性の測度です。
表 3-1 と表 3-2 には、線形テストおよびせん断テストの両方のダイナミック・メカニカルテストでよく用い
られる変数をまとめてあります。

2001 年 9 月
70 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

表 3-1 ダイナミック・メカニカル変数─ せん断ジオメトリ

記号 変数 式

τ* 複素応力
γ* 複素歪み
δ 位相角
G* 複素弾性率 τ*/γ*
G' 貯蔵弾性率 G* cos(δ)
G" 損失弾性率 G* sin(δ)
J* 複素コンプライアンス γ*/τ*
J' 貯蔵コンプライアンス D* cos(δ)
J" 損失コンプライアンス D* sin(δ)
η* 複素粘度 G*/ω
η' 同相粘度 η* sin(δ)
η" 異相粘度 η*cos(δ)

表 3-2 ダイナミック・メカニカル変数─伸長タイプ

記号 変数 式

σ* 複素応力の積
ε* 複素歪みの積
δ 位相シフト
E* 複素弾性率 σ*/ε*
E' 貯蔵弾性率 E* cos(δ)
E" 損失弾性率 E* sin(δ)
D* 複素コンプライアンス ε*/σ*
D' 貯蔵コンプライアンス D* cos(δ)
D" 損失コンプライアンス D* sin(δ)
μ* 複素粘度 E*/ω
μ' 同位相粘度 μ*sin(δ)
μ" 異位相粘度 μ*cos(μ)

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 71
ARES 機器マニュアル

測定方法
ダイナミック・メカニカル テスト中、ARES の制御コンピュータは、印加された移動(歪み)と力(応力)間の
大きさと位相シフトを比較して、測定された歪みと力のディジタル相関を作ります。テストが開始される
と、コンピュータは歪みと力を 2,048 回測定し、平均振幅と位相シフトの両方を決定します。測定は、
固定した振幅の 2 つの参照正弦波(コマンド)に関連し、図 3-1A に示すように、位相角 0°および
90°を得て行われます。

結果として、歪みと応力の位相は図 3-1B のように示されます。

基本のジオメトリの方法を用いると、図 3-1B の位相は、回転することができ、歪みは、図 3-1C に示す


ように参照軸となります。ここで、力ベクトルは角度θに比例する同位相および異位相成分に関して、
定義することができます。

テストを行っているジオメトリに適する式を用いて、平均の力のベクトルは、応力に変換され、平均の歪
みベクトルはパーセント歪みに変換されます。応力を歪みで割ると、材料を変形するのに必要な総エ
ネルギである複素弾性率 G*が得られます。位相角のコサイン(余弦)を G*に掛けると、応力 G'の同位
相成分を与え、これは弾性的に保存されるエネルギに比例します。位相角のサイン(正弦)を G*に掛
けると、応力 G''の異位相成分を与え、これは粘性的に消散されるエネルギ量に比例します。

データ収集
すべてのダイナミック・メカニカルデータの相関は、表 3-3 に示すように、テストする周波数によって、1
~64 サイクルの振動によって行われます。

表 3-3 シングル・ポイント計測によるデータ収集

周波数(rad/sec) 収集サイクル

<2 1
<4 2
<8 4
<16 8
<100 16
<500 64

制御コンピュータは、テスト周波数に関係なく、2,048 個のデータをサンプルします。相関のサイクル数
は、サイクル当たりサンプルされたデータ点の数を決めます。たとえば、2(ラジアン/秒)より低い周波数
では、コンピュータは、応力と力の 1 サイクルの間に、2,048 すべてのデータ点をサンプルします。500
(ラジアン/秒)では、32 のデータ点のみサンプルされます。より高い周波数では、1 サイクル当たり、よ
り少ない点が用いられます。しかし、データは複数のサイクルにわたって収集されるため、実際のデー
タサンプル点数は、やはり 2,048 個です。

収集には、少なくとも 1 つの完全なサイクルが必要であり、測定時間は周波数に反比例します。ジェ
ルやサーモセットを含む養生などサンプル材料の特性がテスト前と後とで大きく異なる場合のように、
時間の経過で急速に変化するのを観察する場合、このことは重要な点です。

2001 年 9 月
72 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

図 3-1 ダイナミックウェーブ・フォームとベクトル

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 73
ARES 機器マニュアル

3-1.4 機器のソフトウェア操作の記述

機器とユーザ間のインターフェイスは、RSIOrchestratorTM です。本マニュアルで示す操作手順は、
RSI
OrchestratorTM のバージョン 6.5.6 を用いて示されます。しかし、メニューや機能名などは、以降のソ
フトウェアのリリースに伴い、お客様にお知らせせずに変更される場合があります。現在ご使用中のソ
フトウェアのバージョンに関して、特定の項目の詳細をお知りになるには、RSIOrchestratorTM のオンライ
ンヘルプを参照してください。

RSI
OrchestratorTM の操作に関する全体的な手順は、2 つのマニュアルで供給されています:

RSI
OrchestratorTM ユーザーズ・ガイド、レオメトリック・サイエンティフィック ドキュメント No. 902-
30010I。RSIOrchestratorTM セットアップキットに含まれる、このドキュメントには、システム・ソフトウェア
の操作に関する内容が述べられています。

RSI
OrchestratorTM オンラインヘルプ システム。

ユーザは、テストの前および、テストのセットアップ、実行中には、(本マニュアルと同様)これらのドキュ
メントを参照してください。

2001 年 9 月
74 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-2 テストのモード

ARES は、ダイナミック、定常、過渡(時間ベース)のメカニカル・テストを実行することができます。これら
は、次の分類により RSIOrchestratorTM で統括されています。:

· 歪み制御 - ダイナミック -- ダイナミック(振動)メカニカル測定。歪みを制御し、応力を測定。


· 歪み制御- 定常 --定常流測定。歪み速度が制御され、応力を測定。サンプルが定常状態に達
したあと、測定値は時間全体にわたって平均されます。
· 歪み制御- 過渡-- 定常時間ベーステスト。歪みもしくは歪み速度が制御され、応力を測定。デ
ータは迅速に収集され、時間全体にわたって、サンプルの応答を記録します。
· 応力制御- 過渡 --歪み制御-過渡テストに類似。しかし、こちらは応力が制御され、歪みが測定
されます。

指定する分類とテストは、RSIOrchestratorTM の Edit/Start Test 機能にある中から選択します。ARES を


用いて実行可能なテストは、次のとおりです:

歪み制御- ダイナミック
· ダイナミック・シングルポイント測定
· 周波数スイープ
· ダイナミック温度ステップ
· 周波数/温度スイープ
· ダイナミック歪みスイープ
· ダイナミック時間スイープ
· ダイナミック温度勾配
· マルチウェーブ・シングルポイント
· マルチウェーブ温度勾配
歪み制御- 定常
· 定常シングルポイント
· 速度スイープへ
歪み制御- 過渡
· 応力緩和
· 任意波形
· ステップせん断速度
· チキソトロピック・ループ
· フォースギャップテスト
· トルク/ノーマル緩和
· 伸張モード
一定力モード(クリープ/反跳)
歪み速度モード
Hencky 歪み速度モード
リムせん断(スクイーズ流れ)モード
· ステップせん速度温度勾配

応力制御の過渡
· 一定応力テスト
· 応力勾配テスト

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 75
ARES 機器マニュアル

3-3 ダイナミック歪み制御テストの方法

3-3.1 ダイナミック・シングルポイント測定

機能の説明
シングル・ポイント測定は、固定した周波数、歪み、温度で 1 回の測定を行います。

図 3-2 ダイナミック・シングルポイントテストのセットアップ画面.

推奨する使用法
シングル・ポイントの推奨する使用法は、次のとおりです:
· 新規サンプルの場合における、応答レンジの把握
· 新規テストの設計のための、パラメータの決定
· スイープ中に、トランスデューサの範囲内で、力を維持するため、さまざまな条件と温度で生成さ
れる力の決定。

テスト・オプション
次のテストのオプションは、シングル・ポイント測定で用いるために選択できます(より詳細は、テストの
オプションの節を参照):
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力
· 相関(測定)オプション

2001 年 9 月
76 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-3.2 ダイナミック時間スイープ

機能の説明
時間スイープテストは、一定の温度、周波数、歪みで、ユーザが選択した時間間隔で測定を行います。

測定を行うのに必要な時間は、周波数に依存します。2.0 ラジアン/sec(0.3Hz)未満の周波数では、完
了するのに必要な時間、約 1.5 サイクルの振動に等しいです。高い周波数では、限界は測定当たり、
約 2 秒です。相関遅延(“測定オプションを参照”)を調整することは、測定を行うのに必要な時間に関
して効果的です。

測定ごとの時間"Time Per Measure"に、測定(図 3-3)を完了するのに必要な時間より短い値が入力さ


れると、制御コンピュータは、周波数に従って、その最高スピードでデータポイントを取ります。短時間
に数多くの点を取らなければならないとき、たとえば、2.0 秒のように、短時間/測定を用います。これ
は、機器に最高速の測定を行わせます。

図 3-3 ダイナミック時間スイープテストのセットアップ画面.

推奨する使用法
時間スイープは、たとえば、ある温度での熱変質、熱硬化性樹脂システムの養生、ネットワーク構造の
構築と分解など、材料の時間依存の挙動をモニタする場合に有効です。

テストのオプション
時間スイープには、次のテストのオプションが用いられます:
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· オートテンション
· アナログデータ入力
· オートストレイン
· 測定オプション
遅延の設定
歪み振幅制御

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 77
ARES 機器マニュアル

3-3.3 周波数スイープ

機能の説明
周波数スイープテストは、一定の歪みと温度を保ちながら、ユーザが選択した周波数で、順に測定を
行います。理想的な測定を行うためには、選択した歪みがサンプルの線形粘弾性領域に収まらなけ
ればなりません。テストを完了するのに必要な時間は、選択した低い側の周波数に大きく依存します。
たとえば、0.1~100 rad/sec(1 桁当たり、10 点のデータを取る)では、約 12 分を要します。範囲を 0.01
~100 rad/sec に変更すると、テスト時間は約 2 時間に増えます。さらに、0.001~100 rad/sec にする
と、20 時間以上要します。

次に示すように、3 つの周波数スイープのタイプを実行できます(図 3-4):

対数周波数スイープ
対数周波数スイープは、スイープ周波数の上下限として、ユーザが入力した値を用います。対数
周波数スイープは、上昇または下降順に実行されます。これらは、周波数の各桁で測定できる測
定点が最大 500 点で、1×10e-6Hz~80Hz の任意の周波数で、開始または終了することができま
す。

この場合、必要な入力パラメータは初期及び最終周波数、1 桁当たりの測定ポイント数になります。
デケード当たりのポイント数は、初期周波数を含みますが、最終周波数は含みません。一例として、
周波数の 1 桁間(10~100 ラジアン/sec.)のスイープを考えます。1 桁当たり、測定するデータ点数
に 5 を選ぶと、エンドポイント対数の差を 5 等分の指数を作ります。これにより、6 個の離散周波数
が生成されます:

初期周波数 = 10 ラジアン/sec
デケード周波数 = 15.9, 25.1, 39.8, 63.1 ラジアン/sec
最終周波数 = 100 ラジアン/sec

データは、それぞれの周波数で測定されます。

直線周波数スイープ
直線周波数スイープは、ユーザが入力した周波数領域を用います。テストは、初期周波数からスタ
ートし、最終周波数に達するまで続けられます。もし最終周波数が初期周波数が大きい場合は、
次に続く周波数に周波数の増分を付加し、小さい場合は減じて、続けられます。

一例として、10~50 ラジアン/sec へのスイープは、1 秒当たり 10 ラジアンを増加させ、周波数 10、


20、30、40、50 ラジアン/sec を生成します。データは、各周波数で測定されます。

不連続周波数スイープ
不連続周波数スイープは、最大 10 点のユーザ入力の周波数で測定されます。不連続周波数スイ
ープは、任意の順で実行でき、スペックの範囲であれば、任意の周波数から始めたり、終了するこ
とができます。

2001 年 9 月
78 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

図 3-4 周波数スイープテストのセットアップ画面

推奨する使用法
周波数スイープは、サンプルの周波数と時間に依存する挙動を解析するのに用いられます。一般に、
高周波数は短い時間スケールを、低周波数は、長時間スケールに対応します。

テストのオプション
周波数スイープを用いるには、次のテストのオプションを用いることができます:
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力
· オートストレイン
· 相関(測定) オプション

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 79
ARES 機器マニュアル

3-3.4 ダイナミック温度ステップ

機能の説明
温度ステップテストは、周波数と歪みを一定に保ちながら、ユーザが選択できる温度で順に測定しま
す。

温度は、ユーザが選択したステップで、選択できる最低および最高温度から、自動的に増加または減
少します。テスト条件の独自の組み合わせを、最高 4 つの温度範囲またはゾーンで入力できます。選
択できる、各温度でのソークタイムが平衡時間に当たります。

温度ステップテストをセットアップ(図 3-5)するとき、ユーザはテスト周波数と初期温度またはスタート温
度を入力します。次に、ユーザは、各ゾーンに最終温度、ステップサイズ、ソークタイム、歪みなどを入
力します。テストの限界は、各領域に対して表示されます。

このテストで歪み値を設定するときには注意が必要です。サンプルの弾性率は温度で大きく変化し、
与えられた歪みで生成されるトルク信号が大きく変化します。室温では、好ましいトルクを与え、線形
粘弾性領域に収まっている歪みも、より低い温度ではトランスデューサがオーバーロードになる場合が
あります。各ゾーンに適正な歪みの設定するためには、温度の両端でシングルポイントのテストを行う
ことをお勧めします。オートストレイン機能もまた、テストで生成されるトルクを最適化するのに良いオプ
ションです。オートストレインが用いられているときは、2 番目以降のゾーンの歪みにゼロの値("受け継
ぎ、Inherit"特性)を入力して、現在の歪みを新しいゾーンに伝えることができることに注意してください。

最終温度は、機器の範囲内であれば、任意の温度が可能です。またステップサイズにも制限はありま
せん。

データ測定の方法
それぞれの測定は、1 つのデータ点と同等です。たとえば、温度を 10℃~100℃まで、10℃ステッ
プで変化させると、10 個のデータ点が作られます。同じ温度を 5℃ステップでは、19 個のデータ点
を作ります。ソークタイムは、サンプルの膨張率と温度の上昇率とを考慮して選択してください。大
きなサンプルと大きなステップサイズは、平衡までより長い時間が必要です。代表的なソークタイム
は、1~5 分です。最短ソークタイムは、0 秒、最大のそれは、65,000 秒です。

図 3-5 温度ステップテストのセットアップメニュー。

2001 年 9 月
80 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

推奨する使用法
温度ステップテストは、一般に温度の関数としてのサンプルの挙動を解析するのに用いられます。温
度ステップは、正確な等温データが必要な場合、温度勾配法よりよく使われます。これは、サンプルの
熱伝導度によっては、ある与えられた温度でサンプルが平衡するまでに内部に温度勾配が発生する
からです。

テストオプション
温度スイープでは、以下のテストのオプションを選択できます:
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力
· オートテンション
· オートストレイン
· 測定オプション
遅延の設定
歪み振幅制御

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 81
ARES 機器マニュアル

3-3.5 ダイナミック歪みスイープ

機能の説明
歪みスイープは、周波数と温度を一定に保ちながら、ユーザが選択した歪みのステップを増加させて
順に測定を続けます。次のように、2 つのタイプの歪みを実行できます(図 3-6):

対数歪みスイープ
対数歪みスイープでは、スイープの最高および最低歪み限度にしたがい、ユーザが入力した歪み
値(無次元の歪み単位)を用います。増加またはステップのサイズ、また歪み単位で入力してくださ
い。増加は、対数ステップで行います。1 デケード当たりの点の数は初期歪みを含みますが、最終
歪みは含みません。

一例として、歪みを 1 桁(10%~100%)スイープさせることを考えます。1 桁間に 5 つのデータ点を


取ることを選択し、測定点は対数目盛で等間隔になるよう分割します。したがって、6 つの異なった
速度が順に生成され、各指数の逆対数がとられます:
初期周波数 = 10%
デケード周波数 = 15.9%, 25.1%, 39.8%, 63.1%
最終周波数 = 100%
1 つのデータ点は、それぞれの歪みで測定されます。

歪みの各桁ごとに、最大 500 のデータ点を測定できます。対数歪みスイープは、昇順または降順


のどちらも実行でき、機器の範囲内では、任意の歪みで開始または終えることができます。

線形歪みスイープ
線形歪みスイープは、ユーザが入力した限界値を用います。テストは初期歪みからスタートし、最
終歪みに達するまで続けます。最終歪みが初期値より大きい場合は、それぞれの歪みを増加させ、
小さい場合は、減少させてテストを続けます。

図 3-6 ダイナミック歪みスイープテストのセットアップ画面.

2001 年 9 月
82 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

推奨する使用法
歪みスイープで推奨する使用法は次のとおりです:
· 線形粘弾性領域とトルクレベルの限度の決定。
· 熱可塑性材料(含添加剤)、熱可塑性混合物、など非線形挙動を顕著に示すサンプルの
特徴づけ。

テストのオプション
歪みスイープで用いる次のテストオプションが選択できます:
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力
· オートストレイン
· 測定オプション
遅延の設定
歪みの大きさ制御

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 83
ARES 機器マニュアル

3-3.6 ダイナミック温度勾配テスト

機能の説明
温度勾配テストでは、周波数および歪みを一定にしたまま、ユーザが選択した温度勾配で測定を行い
ます。

温度は、選択できる上下の制限温度から、ユーザが選択した速度で、自動的に上げたりまたは、下げ
られます。最大 8 つの温度範囲、または”区域”の独自テスト条件を入力できます。各ゾーンの終わり
での”ソークタイム”は、次の勾配を開始する前の温度の安定を確実にします。

温度勾配テストを設定するとき、ユーザはテスト周波数や、初期またはスタート温度を入力します。次
に、ユーザは個々のゾーンの最終温度や、速度勾配(2℃/min.、5℃/min.、その他)、ソークタイム、歪
みなどの値を入力します。

このテストで歪み値を設定するときは、サンプルの弾性率が温度によって大きく変わり、与えられた歪
みによって生成するトルクは、温度の変化に伴って大きく変化することに注意してください。室温では
好ましいトルクを与え、且つ線形念男性領域内にある歪みであっても、温度が低下するとトランスデュ
ーサに過負荷を与えることがあります。温度の変化が大きな場合、シングルポイントのテストは、各ゾー
ンでの適切な歪み値を見つけるのに良い方法です。オートストレイン(AutoStrain)調整も、このテストで
得られるトルクを最適化するのに良い選択肢です。オートストレイン(AutoStrain)を用いる場合には、2
番目以降のゾーンにおいて歪みにの値を入力すると、現在の値を得て新しいゾーンに伝えることがで
きます(“受け継ぎ”特性)。

周波数と初期温度は最初に入力し(図 3-7)、次に、各ゾーンに対して以下のパラメータを入力します:

最終温度
最終温度は、それぞれのゾーン内で、機器が温度の変化を停止する温度です。最終温度は、時
間に依存しません。

温度勾配速度
勾配速度は、変化の割合(正または負)で、サンプル材料はテスト中に変化します。勾配の方向は、
ゾーンでスタート温度と最終温度を入力して設定します。勾配速度の単位は、℃/min.です。入力
欄は、この値に対し、任意の正の値を受け入れます。実際に維持できる最大勾配速度は、サイズと、
サンプルの温度特性の関数です。温度制御が不要で、歪みまたはサンプリング・レートが適切であ
る場合は、この値は 0℃/min.に設定してください。

測定当たりの時間
測定当たりの時間は、サンプリング・レートを作ります。この値を入力するとき、ダイナミック測定を行
うのに必要な物理的な時間より短い時間になりえないことを考慮してください。もし、このような値を
入力すると、機器はそれが可能な最高の速度でサンプルします。

歪み
歪みは、機器の許容する範囲(境界ウィンドウで示すように)内で任意の値を設定できますが、サン
プル材料の線形粘弾性領域を超えないようにしてください。ゼロの値を入力すると、このゾーンは
前のゾーンからの歪みレベルを受け継ぎます。またオートストレイン(AutoStrain)機能が用いられて
いる場合は、この値を上書きすることができることにも注意してください。

勾配後のソークタイム

2001 年 9 月
84 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

勾配のあと、次のゾーンに進む前に、最終温度に保持されている時間。

図 3-7 ダイナミック温度勾配テストのセットアップ画面.

推奨する使用法
温度勾配テストの推奨する使用法:
· 温度の関数としてサンプルの挙動を迅速に解析したり、次に続く温度ステップテストのテストパラ
メータを決定する。
· 材料が、時間/温度分布でプログラミングして用いられたときに経験するプロセス条件をシミュレ
ートする。
· 時間または温度の関数として歪みレベルを変え、材料の応答を研究する。
· 温度勾配(Temperature Ramp)テストは、複雑な温度/時間/歪み分布 を取り扱えるため、すべて
のテストモードの中で最も柔軟性のある方法のひとつです。

テストのオプション
次に示すテストのオプションは、温度勾配を採用するときに選択することができます:
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· オートテンション
· アナログデータ入力
· オートストレイン
· 測定オプション
遅延の設定
歪み量制御

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 85
ARES 機器マニュアル

3-3.7 マルチウェーブ・シングルポイント; マルチウェーブ温度勾配

機能の説明
マルチウェーブ(MultiWave)テストは、選択した基本周波数に、最高 7 つの高調波周波数を重ねる、
ダイナミック・テスト法です。これにより、従来の周波数スイープを実行させるのに要する時間だけで、
複数の周波数のデータを同時に得ることができます。

マルチウェーブ(MultiWave)は、ボルツマンの重畳原理(Boltzmann Superposition Principle)に基礎を


置いています。これは複数の同時歪み変形が、それぞれ互いに独立であることを保証するものです。
それぞれの波が独立して作用するため、材料内のある点の偏移(歪み)は、各波によって生じた歪みの
合計であり、総歪みは、材料の線形粘弾性領域内に収まります。データの相関は、与えた周波数それ
ぞれで起こり、同じ生データのセットを用い、アルゴリズムは数学的に信号のすべての組み合わせから、
所要の周波数でのトルクと移動量信号を抽出します。

このテストをプログラムするには、ユーザは基本周波数に関する情報を与えてください:

周波数
基本周波数(最低値)を用います。この値は、データ相関アルゴリズムが正しく動作させるため、
2.0rad/s 未満にしてください。
歪み
基本周波数の歪み量。
温度
テスト温度。

高調波情報は、次の”テストのセットアップ画面”に与えられています:

倍音
基本が掛け算される整数の値で、与えられた倍数で周波数が決められます。値 0.0(ゼロ)は、その
ゾーンは用いられていないことを示します。
歪み
与えられた倍数の歪み量。値 0.0(ゼロ)は、機器に対して、その周波数で歪みを加えないまま、そ
の倍数で測定を行うように信号を送るのに用いることができます。

マルチウェーブ(MultiWave)セットアップメニューは、シングル・ポイント(図 3-8)または、温度勾配(図
3-9)のどちらかを選択して表示されます。ここで、ユーザは、2 ラジアン/sec.および 1x10e-5rad/sec.の
間の基本周波数を選択してください。基本周波数に対する歪みレベルもまた、入力します。

ユーザは、次に最大 7 つの倍数(基本の掛け数)を選択し、各倍数に対し、歪みを割り当てます。一般
法則として、歪みの合計は、その材料の粘弾性領域を超えないようにしてください。歪みスイープを用
いて線形挙動する限界を、もしその情報が知られていなければ、決めるのに用いることができます。歪
みおよび倍数共にゼロが入力される場合は、その欄は使用しません。ゼロでない周波数が入力され
れば、歪みレベルがゼロで、データは続いてその周波数で収集されます。これにより、他の異なる周
波数によって生成される大量の高調波応力を測定する方法を与え、この測定の線形性まで洞察を深
めることができます。

すべての周波数成分が指定されると、シングル・ポイント測定テストと温度勾配は異なります。マルチウ
ェーブ(MultiWave)温度勾配テストは、さらに温度制御のため、最大 8 つのゾーンを指定します。詳細
は、温度勾配テスト(Temperature Ramp Test)を参照してください。

2001 年 9 月
86 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

いちど歪みと周波数が指定されると、それに対応する波形が機器にダウンロードされます。“Wave”ボ
タンは、得られた波形を計算するのに用いられ、結果を表示し、オプションを与えて、機器の波形メモ
リに直接ダウンロードします。歪みや周波数パラメータへのその他の変更は、波形を再計算し、再送
する必要があります。ソフトウェアは、すべての変更点を追跡し、テストがスタートすれば、必要であれ
ば、波形を再送するよう促します。

図 3-8 マルチ・ウェーブ、シングルポイントテストのセットアップ画面。

図 3-9 マルチ・ウェーブ温度勾配テストのセットアップ画面。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 87
ARES 機器マニュアル

テストのオプション
次のテストのオプションは温度勾配のあるときに選択することができます:
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· オートテンション
· アナログデータ入力
· オプションの測定
遅延の設定
歪み量の制御

2001 年 9 月
88 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-3.8 周波数/温度スイープ

機能の説明
周波数/温度スイープは、ユーザが選択した周波数範囲にわたって、一定温度ステップ幅で継続測
定します。各温度ステップでは、周波数スイープが行われます(温度は一定に保持)。温度はそのあと
次のステップに変わり、平衡になるのを待ち、再び周波数スイープが実行されます。

周波数/温度スイープで、歪み値の入力欄と初期温度は、ホストコンピュータに表示されます(図 3-10)。
ユーザは、線形(linear)、対数(logarithmic)、離散(discrete)からどれかを選択し、周波数パラメータを入
力します。温度ステップ幅と浸す時間もユーザが選択できます。より詳しい内容は、第 3-3.2(周波数ス
イープ)節と第 3-3.4(ダイナミック温度ステップ)節を参照してください。

図 3-10 周波数/温度スイープテストのセットアップ画面。

推奨する使用法
周波数/温度スイープは、周波数と温度ステップの方法を結びつけ、曲線グループを生成し、時間─
温度重ね合わせ(TTS)を用いて、選択した参照周波数で実験的に実用的な周波数まで、周波数軸に
沿って周波数特性のレンジを広げます。TTS のデータから、そのサンプルに関するマスターカーブが
得られます。

テストのオプション
次のテストのオプションは、周波数-温度スイープを使用するときに選択することができます:
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力
· オートテンション
· 測定オプション
遅延の設定
歪み量の制御

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 89
ARES 機器マニュアル

3-4 歪み制御定常流テストモード

3-4.1 定常流シングルポイント

機能の説明
定常流シングルポイントは、ユーザが命令した単一のせん断速度のみで測定を行います。データは、
与えられたせん断速度と温度(図 3-12)に対してとられます。データは、次の 2 種類のモードのどちら
かを用いて収集します:

時間ベース
時間ベースによるデータ収集は、単一の測定です。テストのスタートをクリックすると、測定前の待
ち時間(Delay Before Measure)、すなわちモータの回転が始ってからデータ収集が始まるまでの間
隔があります。これは、材料が定常状態に達する時間を入力します。測定時間は、データが実際
に収集されている時間です。
マニュアル・モード
テストのスタートに続き、マニュアル・モードがユーザによって命令されたとき、シングル測定のデー
タの収集がなされます。マニュアル・モードの操作は、次のとおりです:
· テストのスタート。.
· 好みにより、測定をスタートするのに、ツールバーの"Toggle Steady Measure"ボタン(図
3-11)か、コントロール(Control)プルダウンメニューからアクセスして、定常測定切り換え
(Toggle Steady Measure )機能をクリックします。
· 好みにより、ツールバーの定常測定切り換え"Toggle Steady Measure"ボタンか、定常
測定切り換え(Toggle Steady Measure)機能をクリックして測定をストップします。

マニュアル・モードは、ユーザがサンプルの応力に比例するトルク信号(たとえば、外部のストリップ
チャート・レコーダを用いて)をマニュアルでモニタして、定常状態領域でデータを収集できるよう設
計されています。定常状態の正確なデータを得るには、測定はトルク信号による遷移のすべてが
消え、トルク値が相対的に一定であるときに行ってください。

図 3-11 Toggle Steady Measure ボタン。

方向
正の速度値に対して、方向(Direction)は、最初に命令したせん断速度と、アクチュエータの回転方向
を指定します。測定ごとの方向に 1"One"を選択すると、アクチュエータが指定した方向に回転してい
るときにデータが収集されます。測定ごとの方向に 2"Two"を選択すると、次のイベントが実行されま
す:
1) データは、アクチュエータが指定された方向に回転しているときに収集される。
2) データは、アクチュエータが指定されたのと反対方向に回転しているときに収集される。
3) データは、平均され、RSI の RSIOrchestratorTM から報告されるシングルデータ点が与えられる。

測定ごとに、2 つの方向を用いると、低い速度でより正確な結果を得られます。

2001 年 9 月
90 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

図 3-12 定常流シングル・ポイントテストのセットアップ画面。

推奨する使用法
定常シングル・ポイントは、次の内容を決定するのに用いられます:
· 新規サンプル材料の、未知の範囲の応答限度
· 新しいテストの設計パラメータ
· 与えられたせんだん速度において、サンプル材料が定常状態に達するのに必要な時間(たとえ
ば外部ストリップチャートで、トルク/応力信号がマニュアルでモニタされているとき)

オプション
定常シングルポイントでの測定には、次のテストのオプションが行えます:
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 91
ARES 機器マニュアル

3-4.2 定常流速度スイープ

機能の説明
定常流速度スイープは、ユーザが命令したせん断速度に対する応力値(トルク、粘度などを含む)を
測定します(図 3-13)。せん断速度は、次のように生成されます:

対数的
対数速度スイープは、対数的に増加する速度を命令し、秒の逆数(1/s)単位で、対数目盛でプロッ
トすると等間隔にデータがプロットされます。せん断速度は、初期および最終速度と、1 桁の間の
測定データ点を指定します。

一例として、速度の 1 桁(10~100 (1/s))をスイープすることを考えます。1 桁に 5 つのデータ点を


取ることを選択し、測定点は対数目盛で等間隔になるよう分割します:

6 つの異なった速度が順に生成され、各指数の逆対数がとられます:
初期速度 = 10 1/sec
デケード速度 = 15.9, 25.1, 39.8, 63.1 1/sec
最終速度 = 100 1/sec
1 つのデータ点は、それぞれの速度で測定されます。
不連続
不連続の速度スイープは、最大 5 個のせん断速度を順に生成します。各せん断速度は、ゾーン
に入れられます。

データ収集モード
データは時間ベースモード(1 つの測定は、それぞれのせん断速度で行われます)、またはマニュアル
モード(1 つの測定は、ユーザが指定する速度で行われます)。

時間ベース
テストのスタートに続き、時間ベースのデータ収集は、各速度で 1 つの測定が行われます。スイー
プモードを対数に設定すると、せん断速度を対数的に増加するよう命令します。離散スイープモー
ドは、最大 5 個の独立したせん断速度を順に命令します。各せん断速度の測定時間は、データが
収集される時間です。各せん断速度の測定前の遅延は、現在の速度命令とデータ収集開始間の
時間です。

マニュアル・モード
テストのスタートに続き、マニュアルモードのデータ収集が、ユーザによってシングル測定が命令さ
れたとき、この測定が行われます。マニュアル・モードオプションは次のとおりです:
· テストのスタート。.
· 好みにより、測定をスタートするのに、ツールバーの"Toggle Steady Measure"ボタン(図
3-11)か、コントロール(Control)プルダウンメニューからアクセスして、定常測定切り換え
(Toggle Steady Measure )機能をクリックします。
· 好みにより、ツールバーの定常測定切り換え"Toggle Steady Measure"ボタンか、定常
測定切り換え(Toggle Steady Measure)機能をクリックして測定をストップします。

2001 年 9 月
92 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

方向
正の速度値に対して、方向(Direction)は、最初に命令したせん断速度と、アクチュエータの回転方向
を指定します。測定ごとの方向に 1"One"を選択すると、アクチュエータが指定した方向に回転してい
るときにデータが収集されます。測定ごとの方向に 2"Two"を選択すると、次のイベントが実行されま
す:

1) データは、アクチュエータが指定された方向に回転しているときに収集される。
2) データは、アクチュエータが指定されたのと反対方向に回転しているときに収集される。.
3) データは、平均され、RSI の RSIOrchestratorTM から報告されるシングルデータ点が与え
られる。

テスト中にトランスデューサが範囲を変更すると、1 測定当たり、2 方向が必要です。

図 3-13 定常流速度スイープテストのセットアップ画面。

推奨する使用法
このテストは、応力と粘度をせん断速度の関数として測定し、サンプルのフローカーブ“flow curves”を
生成するのに用いられます。

オプション
定常速度スイープを用いると、次のテストのオプションが行えます:
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 93
ARES 機器マニュアル

3-5 歪み制御の過渡テスト方法

3-5.1 ステップせん断速度

機能の説明
ステップせん断速度は、選択した時間の間、命令したせん断速度を与える、定常流過渡テストです。
最大 4 つのゾーンをプログラムでき、それぞれは、独自のパラメータの組み合わせが可能です(図 3-
14)。各ゾーンには、最大 350 のデータ点がサンプルできます。データ点間は、対数的又は線形的に
増加することができます。各ゾーン内では、次の項目が設定できます:
せん断速度
秒の逆数の単位で、せん断速度を命令。データ収集中に、せん断速度にゼロを入力すると、定常
せん断のあとに緩和を調べることができます。
ゾーンタイム
せん断速度を与える時間。
方向
正のせん断速度値を与えるアクチュエータの回転方向を示します。

図 3-14 ステップせん断速度テストのセットアップ画面。

推奨する使用法
ステップせん断速度は、次のサンプルの特長を試験するのに用いられます:
· 一定温度における応力成長および緩和。
· 定常状態流れの挙動に達するのに必要な時間。
· 定常せん断後の緩和(パラメータの説明のせん断速度参照)

テストのオプション
指定した機器のタイプでステップ速度を用いたとき、次のテストオプションが使えます。
· テスト前の待ち時間

2001 年 9 月
94 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-5.2 応力緩和(過渡ステップ歪み)

機能の説明
応力緩和(過渡ステップ歪み)は、モータのステップをユーザが選択した歪みに上方または下方に 1 ス
テップ移動し、測定してサンプルの応力をモニタします。1 ゾーン当たり最大 350 データ点で、4 つの
ゾーン"zones"を測定できます。ステップ歪みに対する力の応答(緩和プロファイルまたは G(t))は対数
または線形サンプリングモードで測定できます。
Log (対数)
対数サンプリングは、対数的に増加する間隔でデータが取られます。一例として、100 秒の間にゾ
ーン当たり 5 つの点を選択すると、ゾーンは最終点時間(対数)のと差を等間隔に分けます。各指
数の逆対数を取って、6 個のデータ点が順に測定されます: 10、15.9、25.1、39.8、63.1、100 秒。
線形
線形サンプリングは、線形的に増加する間隔でデータを取ります。一例として、100 秒のゾーンを 1
ゾーン当たり、5 個の点を選択すると、線形的に増加する 5 つのデータ点(20、40、60、80、100 秒)
を作ります。

ユーザは、テスト全体にわたって維持され(図 3-15)る、歪みと方向を選択したあと、4 つのゾーンそれ


ぞれに対し、サンプル時間(ゾーン時間)を選択します。時間は、2.0 から 1.6×108 秒まで任意の値が
取れます。通常、緩和は極めて速く起こるので、最初のゾーンは短い時間間隔(代表的に 2.0 から 10
秒)を設定し、続くゾーンはこれより長く設定します。入力欄の入力に関係なく、機器が取る最速のデ
ータは、10 ミリ秒ごとに 1 データ点です。

図 3-15 応力緩和テストのセットアップ画面。

推奨する使用法
応力緩和で推奨する使用法は、次のとおりです:
· サンプル材料が変形後、緩和に要する時間の決定。
· サンプルの時間依存性の解析。
テストのオプション
· テスト前の待ち時間
· 定常プリシェア
アナログデータ入力

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 95
ARES 機器マニュアル

3-5.3 マルチ伸張モード

機能の説明
マルチ伸張モードは、別々の伸張テストタイプを実行できる 4 つのゾーンを提供します。この伸張モー
ドは、線形速度、Hencky 歪み速度(元のジオメトリに関連)、力、圧縮リムシェア(スクイーズ流れとして
知られる)などを元にしています。

マルチ伸張モードのセットアップ画面(図 3-16)では、ユーザは各ゾーンに対して、ゾーン時間を選択
してください。これは、テストのタイプにより各ゾーンで発生する(秒/分/時間)単位で入力する時間で
す。Extension Value の単位は、選択したテストのモードに依存します。いくつかの異なるテストオプシ
ョンは、このモードで実行できます。5 番目の実行できるタイプの選択は、テスト終了“End Test”で、こ
れは伸張モードのテストを終了させます。表 3-4 は、実行可能な異なるテストのタイプのまとめと、それ
ぞれの使用法を示しています。

図 3-16 マルチ伸張モードテストのセットアップ画面。

テストのオプション
マルチ伸張モードテストのオプションは、次のとおりです:
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力
· モータ制御ゲイン- マニュアルまたはデフォルト(一定力モード)
ゲイン比例係数の設定(マニュアルまたはデフォルトの 1.0)
ゲイン積分因数の設定(マニュアルまたはデフォルトの 0.1)

モータ制御のゲインは、調整して一定応力モードで応力レベルを制御する制御ループの応答を変更
します。

2001 年 9 月
96 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

表 3-4 マルチ伸張モードテストのオプションのまとめ。
伸張モード 説 明 使用法
速度[mm/s] 線形移動量で一定速度を与える。サンプ 移動量の関数として力をプロットして、材料の
ルのせん断速度は、サンプルの長さが変 線形挙動の範囲を決定するのに用いられま
化するため一定ではありません。 す。
Hencky [1/s] サンプルに対し、一定の歪み速度を与え サンプルの伸張係数の特性を測定するのに
る。線形移動量速度は、調整されて一定 用います。
サンプル歪み速度を維持します。
リムシェア[1/s] スクイーズ流れのサンプルに一定せん断 材料のスクイーズ流れの特性を測定します。
速度を与える。速度は、サンプルの端のせ
ん断速度に対応します。
力[gmf] サンプルに一定の力を与え、それを保ち 材料のクリープ挙動の情報を与えるのに用い
ます。 ます。
テスト終了 ゾーンは使用されていなく、テストは終了 ---
されていることを示すのに用います。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 97
ARES 機器マニュアル

3-5.4 任意波形テスト

機能の説明
任意波形(Arbitrary Waveshape)テストは、歪みに対して時間の関数として 1 つ以上の式を与えて、サ
ンプルを変形するのに用いる歪み履歴をユーザが定義できます。それぞれ時間間隔を指定する、最
大で 4 つの式を用いることができます。これにはまた 4 つの"ゾーン、Zones"があり、データ収集に用
いられ、各ゾーンは、波形に指定した時間に依存しない時間間隔でサンプリングできます。

ユーザは最初に各データ収集ゾーンの時間間隔を定義し(図 3-17)、各ゾーンでの収集(サンプル)点
数を定義します。フォームの次のパートは、時間の関数としての歪みの式を入力し、式が再生される時
間を決定する再生“playback”時間(Wave Time)を入力するのに用います。歪みは常に歪み単位(パー
セント歪みではなく)で与え、限度(現在のジオメトリをもとにした)は、下の式欄から与えます。波形は、
任意の点で歪み値が限界を超えると作成できません。

波の総時間が、データ収集時間の合計より短ければ、モータはいったん波の全体が再生されると、停
止します。

図 3-17 任意波形テストのセットアップ画面。

2001 年 9 月
98 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

式を評価するとき、各式の時間は、最初の式がスタートしてから実行している時間をもとにしています。
たとえば、2 つの式が用いられるとき、各式の長さ 2 秒の時間変数は、最初の式では 0~2 秒、2 番目
の式では、2~4 秒で評価します。ある式の最後と次の式のスタート間に、歪み値の不連続性があれ
ば、測定中に位置のジャンプが発生します。これを望まない場合は、遷移時にこれを避けるため歪み
値は、両式が連続となるようにしてください。

歪みの式とサンプル時間が指定されると、波形は機器に送られます。“波、Wave”ボタンは、結果とし
て得られる波形を計算したり、結果をグラフィカルに表示したり、オプションを直接機器の波形メモリに
ダウンロードするときなどに用います。この式や波時間(Wave Time)欄に変更を加えると、波形の再計
算や再送が必要になってきます。ソフトウェアは、どの新しい変更点もチェックをしているので、テスト
がスタートすると、必要に応じて波形を再送するようユーザに注意を促します。

ゾーン 1~ゾーン 4 の時間は、ホストコンピュータに表示されるように、データ収集時間であり、波再生


時間に依存しません。すなわち、波形は、入力された波時間(Wave Time)をもとに、再生されるとすぐ
に次の波形が再生され、データ収集のゾーン時間をもとにしていません。1 つのゾーン内で、複数の
波形を再生することができ、また複数のゾーンにまたがって式を実行することもできます。すべての波
形が実行されると、モータは回転を止めますが、ソフトウェアは最後のデータ収集ゾーン時間が終了
するまでデータの収集を続けます。

次の式を考えます:
式 1 波時間(One Wave Time) = 10 秒; 式 2 波時間(Two Wave Time) = 15 秒
ゾーン 1 収集時間= 20 秒; ゾーン 2 収集時間= 10 秒

データは、ゾーン 1 で、式 1 の再生継続時間(波時間、Wave Time)10 秒の間、収集されます。式 1 が


終了すると、データは依然ゾーン 1 で収集されながら、式 2 が実行をスタートします。10 秒後(式 2 は
なお実行中)、データ収集はゾーン 1 で終了し、データ収集はゾーン 2 でスタートします。さらに 5 秒
後、式 2 は実行を終え、モータは停止します。データはさらに 5 秒間、ゾーン 2 で収集され、このあと
テストは終了します。

式のシンタックス
波形の式は、変数“t”を用いて時間の関数として入力されます。標準の算術演算子(+、-、*、/、^)が用
いられ、sin()、cos()、exp()などの多くの関数も用いられます。標準の演算子の優先順位が用いられ、
括弧は計算順を変更するのに用いられます。表 3-5 は、用いることのできる関数のリストを示します。

テストのオプション
· テスト前の待ち時間
· アナログデータ入力

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 99
ARES 機器マニュアル

表 3-5 任意波形テストに使用できる関数。注: 角度はラジアン単位。


演算子 数学的操作 優先度
^ べき乗 最高
* 乗算 |
/ 除算 |
+ 加算 |
- 引き算 最低

関数 読み
sin( ) サイン
cos( ) コサイン
tan( ) タンジェント
log( ) 常用対数
ln( ) 自然対数
exp( ) eのx乗
sinh( ) 双曲サイン
cosh( ) 双曲コサイン
asin( ) アークサイン
acos( ) アークコサイン
atan( ) アークタンジェント
sqrt( ) ルート
abs( ) 絶対値

2001 年 9 月
100 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-5.5 チキソトロピー・ループ(速度勾配)

説明
最高 4 つのゾーンのそれぞれで、チキソトロピー(Thixotropic)・ループは、最終せん断速度に向かっ
て、線形的に加速または減速する定常せん断速度を命令します。最終せん断速度に達するため割り
当てる時間は、各ゾーンでユーザが選択でき、アクチュエータの加速を制御します(図 3-18)。

各ゾーンでは、次のパラメータが設定されます:
最終せん断速度
初期速度のせん断速度は加速または減速されます。最初のゾーンでは、初期速度はゼロです。
続くゾーンでは、初期速度は前のゾーンの最終せん断速度です。
ゾーン・タイム
総時間は割り当てられ、最終せん断速度に達します
方向
方向は最終せん断速度値が正になるアクチュエータの回転方向です。

図 3-18 チキソトロピー・ループテストのセットアップ画面。

推奨する使用法
· チキソトロピー・ループは、材料のチキソトロピーまたはヒステリシスを決めるのに用いられます。こ
れは、材料の応答性(せん断応力または粘度で測定して)を参考にし、前の歪み速度履歴を求め
ます。これは同時に、構造流体の構造の生成、崩壊に関連させることができます。

オプション
次のテストのオプションをチキソトロピー・ループに用いることができます。
· テスト前の待ち時間

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 101
ARES 機器マニュアル

3-5.6 トルク/ノーマル緩和

機能の説明
トルク/ノーマル緩和は、1 つの遷移変形(ステップ歪み)を与え、維持します。データは 4 つのゾーン
のそれぞれで収集され、その時間は別々にユーザが選択できます(図 3-19)。トルクとノーマル・フォー
スは、テストの間モニタされ、報告されます。これは、第 3-5.1 節で示された、応力緩和実験に対比す
るものです。これは、同じタイプの変形を用いますが、トルクとノーマル・フォースではなく、トルクと歪み
をモニタします。選択した方向は、正の歪み値でのアクチュエータの回転方向です。データは次の 2
つのモードでとることができます:
Log (対数)
対数サンプリングは、対数的に増加する間隔でデータが取られます。結果として、対数的に目盛ら
れた時間の関数でプロットされれば、等間隔に並んだデータ点(取られたデータの点数は、ゾーン
時間に反比例)となります。一例として、100 秒の間にゾーン当たり 5 つの点を選択すると、ゾーン
は最終点時間(対数)のと差を等間隔に分けます。各指数の逆対数を取って、6 個のデータ点が順
に測定されます: 10、15.9、25.1、39.8、63.1、100 秒。
線形
線形サンプリングは、線形的に増加する間隔でデータを取ります。結果として、線形的に目盛られ
た時間の関数としてプロットされると、等間隔に並んだデータ点となります。この方法は、比較的短
いゾーン時間のときに有用で、この線形時間の巣リングは実用的です。一例として、100 秒のゾー
ンを 1 ゾーン当たり、5 個の点を選択すると、線形的に増加する 5 つのデータ点(20、40、60、80、
100 秒)を作ります。

図 3-19 トルク/ノーマル緩和テストのセットアップフォーム。

推奨する使用法
· サンプル材料(材料が装填されたとき)が変形後に緩和するのに要する時間の決定。
· サンプルの時間に依存する挙動の解析。

オプション
応力緩和を用いるときに、次のテストのオプションが行えます:
テスト前の待ち時間

定常プリシェア


2001 年 9 月
102 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-5.7 フォース・ギャップ・テスト

説明
フォース・ギャップ・テストは、指定した時間にわたって、サンプルのギャップを指定する値に調整しま
す。データはギャップが変化している間、収集することができます。次のパラメータは、フォース・ギャッ
プ・テスト(Force Gap Test)のセットアップ画面から、ユーザが設定できます(図 3-5)。

サンプルのギャップを____
この欄で、フォース・ギャップ・テストの終わりで、必要なサンプルのギャップを入力します。このギャ
ップに達すると、ギャップ調整時間(次の項目)に関係なく、このテストは終わります。

ギャップ調整時間
この欄は、ギャップの命令が変化したときの速度を決めます。ギャップが初期位置(テストのスタート
位置)からフォース・サンプル・ギャップ(Force Sample Gap)欄で指定したギャップまでの時間を入力
します。

テストデータのセーブ
チェックされる時、ギャップが変化する間に収集されたデータはセーブされます。これらのデータは、
ギャップ(機器のギャップ測定)vs.時間として報告されます。

図 3-20 フォース・ギャップテストのセットアップ画面.

推奨する使用法
このテストは、2 つのテストの間に挿入して、制御されたギャップの調整を有効にできるため、一連のテ
ストに有用です。

このテストは、サンプルの装填にも好ましいです。これは、文書化できる確実なサンプルの装填ができ、
装填中にサンプルへのダメージまたは軸方向の力を最小にします。

テストのオプション
このテストにはオプションはありません。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 103
ARES 機器マニュアル

3-5.8 定常ステップ速度温度勾配

説明

定常速度温度勾配は、最大 8 つの独立したプログラマブル・ゾーン内で、指定した一連のせん断速
度で、時間の関数として材料の応力と粘度をモニタします。各ゾーンの中で、ユーザは初期温度から
上方または下方に(選択できる速度で)温度を変化させることができます(図 3-21)。各ゾーンで、対数
サンプルを指定すると、対数的に増加する間隔でデータ点の数を指定します。線形を選択すると、線
形的に増加する間隔でデータ点の数を指定します。各ゾーンでは、最大 350 のデータ点をとることが
できます。

各ゾーンで、最終温度は、機器が対応するゾーン内で温度の変化を停止する温度です。傾斜速度は、
材料がテスト中に受ける温度変化の速度です。RSIOrchestratorTM は、計算した傾斜時間としてと呈した
傾斜速度で割って、初期温度と最終温度の設定点間の差を報告します。

傾斜方向は、ゾーンの中で、初期および最終温度を用いて設定します。傾斜速度の単位は、℃毎分
(℃/min.)であり、入力欄は、機器の許容範囲であれば、表示解像度 0.1℃で、任意の値を受け入れま
す。温度制御が必要なく、また変形が 1 つの所要変化のみであれば、傾斜速度は 0℃/min.に設定し
ます。傾斜速度が 0℃/min.は、時間スイープでテストを行います; したがって、このテストは時間/キュ
ア・スイープ(time/cure sweep)と呼ばれます。

温度変化後の、ソークタイムは、温度が最終温度に保持される時間です。RSIOrchestratorTM は、計算し
たテスト時間としてのすべてのゾーンと浸し時間を含めた、テストを実行するのに必要な総時間を報告
します。

図 3-21 定常ステップ速度温度勾配のセットアップ画面。

2001 年 9 月
104 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

推奨する使用法
定常ステップ速度の温度傾斜は、次の内容を試験するのに使用できます:
· プロセスのシミュレーション
· 遷移域の材料応答で、せん断速度と温度が変化します。

オプション
次のテストのオプションは、定常ステップ速度温度傾斜速度に使用できます:
· テスト前の待ち時間

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 105
ARES 機器マニュアル

3-6 応力制御過渡テストの方法

3-6.1 一定応力テスト

機能の説明
一定応力は、最大 2 つのゾーンで、指定する時間間隔で選択した方向に応力が加えられる過渡テス
トです。各ゾーンでは、速度は歪みまたは時間限度に達するまで、応力を維持するため変化します。
そこでは、応力ゼロが命令されています。
一定応力テストをセットアップするとき、テストを指揮する所要温度やサンプルの推測粘度(せん断応
力をせん断速度で割って)は、最初に入力されます(図 3-6)。そのあと、テスト全体で最も大きなアクチ
ュエータの移動量である、最大許容歪みを入力します。許容最大歪みまたは時間(次の項目を参照)
のどちらかに達すると、速度ゼロ(および応力ゼロ)が命令されます。予測粘度の値は、クローズド・ルー
プのアルゴリズムにおけるゲイン項を修正するのに用いられます。これはモータの回転速度を調整し、
必要な応力レベルを生成します。
各ゾーンには、次の項目を入力します:
応力
命令応力、これは変化するせん断速度で維持されます。応力の正の値は、時計方向を示します。
負の応力は、反時計方向を意味します。
時間
最大許容歪み(前の項目を参照)に最初に達しない限り、せん断応力が命令された時間です。時
間または最大許容歪みに達したとき、速度ゼロ(および応力ゼロ)が命令されます。

図 3-22 一定応力テストのセットアップ画面.
推奨する使用法
このテストは、材料のクリープ応答を計るときに用いられます。これは、命令した応力の関数として
測定歪みの遷移情報を与えます。
オプション
一定応力テストには、次のテストのオプションが選択できます:
· テスト前の待ち時間
· 定常プリシェア
· モータの PID

2001 年 9 月
106 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-6.2 応力勾配テスト

説明
応力速度は、初期応力から最終応力まで、ゾーン時間をもとにした、選択できる線形速度で定常応力
レベルを命令します。正の最終応力値は、アクチュエータ(応力ヘッド)の時計方向の回転を示し、負
の値は、反時計方向を意味します。各ゾーンでは、データは対数または線形間隔でサンプルされます
(図 3-23)。

対数サンプリングは、対数的に増加する間隔でデータが取られます。結果として、対数的に目盛られ
た時間の関数でプロットされれば、等間隔に並んだデータ点(取られたデータの点数は、ゾーン時間
に反比例)となります。線形サンプリングは、線形的に増加する間隔でデータを取ります。結果として、
線形的に目盛られた時間の関数としてプロットされると、等間隔に並んだデータ点となります。この方
法は、比較的短いゾーン時間のときに有用で、この線形時間の巣リングは実用的です。予測粘度の
値は、クローズド・ループのアルゴリズムにおけるゲイン項を修正するのに用いられます。これはモータ
の回転速度を調整し、必要な応力レベルを生成します。

図 3-23 応力勾配テストのセットアップ画面.

推奨する使用法
応力勾配テストは、せん断応力命令を線形加速または減速によって材料を変形して、材料のヒステリ
シスを決めるのに用いられます。テストは、せん断-制御機器で行える、チキソトロピーと類似していま
す。

オプション
次のテストのオプションは、応力傾斜に使用できます:
· テスト前の待ち時間

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 107
ARES 機器マニュアル

3-7 テストのオプション

この節では、プログラミング選択のダイナミックテストのときに選択できる次のオプションを記していま
す。:
· 定常プリシェア
· テスト前の待ち時間
· オートテンション調整
· アナログデータ入力
· オートストレイン調整
· 測定オプション

3-7.1 定常プリシェア

定常プリシェアは、ダイナミックテストの前に、ユーザがサンプルに定常せん断変形をかけることができ
ます。テスト前の待ち時間(Delay Before Test)オプションが選択されると、遅延の前に定常プリシェア
がかけられます。プリシェアがかけられている間は、データは取られません。

次のパラメータは、定常プリシェア セットアップ画面を介してユーザが設定します(図 3-24):

プリシェア速度
プリシェアのせん断速度。正のプリシェア速度は、アクチュエータの時計方向の回転をします。負
のプリシェア速度は、アクチュエータの反時計方向の回転をします。

プリシェア時間
プリシェア時間が適用されている時間の長さ。

図 3-24 定常プリシェア セットアップ画面。.

2001 年 9 月
108 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-7.2 テスト前の待ち時間

マニュアル遅延
マニュアルで入力された"テスト前の待ち時間、Delay Before Test"は、テストのスタートをクリックしてか
ら最初の測定までの時間(1~65,000 秒)です。"テスト前の待ち時間、Delay Before Test"で選択した
この時間により、変形を印加する前に、機器を平衡させ、またサンプルを緩和させます。

オートテンションを与える
“待ち時間の終わりにオートテンションを与える、Apply AutoTension at the End of Delay”チェックボッ
クスは、オートテンションが加えられる時間を決めます。これにチェックマークを入れないと、オートテン
ションは、遅延のスタート時に与えられます。このボックスにチェックを入れると、遅延時間が終わるま
で与えられません。

指令温度のときに自動的にテストをスタート
チェックを入れると、テストのスタートは(環境制御システム、Environmental Control System)が命令温
度で平衡に達するまで遅延されます。

図 3-25 テスト前の待ち時間オプション セットアップ画面。.

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 109
ARES 機器マニュアル

3-7.3 オートテンションの調整

オートテンションは、ユーザが指定したサンプルの軸方向の力を維持させる機能です。オートテンショ
ンは、引っ張り応力を与え、サンプルの形(サンプルのバックリングを防ぐ)を保ったり、圧縮力で圧縮負
荷を維持し、テスト・フィクスチャーが接触しなくなるのを防いだりします。トーションフィクスチャーを用
いてダイナミックテストを行うときは、自動テンションは熱膨張により発生するサンプル長さの変化を補
償するのに用いられます。平衡プレートなどでフィクスチャーによるオートテンションを用いると、サンプ
ルとフィクスチャー間の接触がなくなることを防げます。

次の項目は、オートテンション調整セットアップ画面で、ユーザが設定しなければならないオートテン
ションパラメータの説明です(図 3-26)。

オートテンションの方向
引っ張り(Tension)が選択されると、引っ張り定常力が加えられます。圧縮(Compression)が選択さ
れると、圧縮定常力が加えられます。

初期の力
テスト中維持される力。この値は、テスト中のノーマル・フォースの最大値より大きくなければなりま
せん。

オートテンション感度
初期の力を維持するために調整する、ノーマル方向フォースの最小変化。

サンプル弾性率が…のとき、オートテンションに切り換える。
サンプル弾性率がこの欄に入力した値より小さいところまで減少したとき、熱膨張係数が用いられ、
サンプルの長さを最良に維持する、オートテンションの力を決めます。熱膨張係数は、次式で与え
られます:

DL
a= L
DT

ここで: ΔL = サンプルの長さの変化
L = サンプルの長さ
ΔT = サンプルの温度の変化
です。

この特長は、温度を"スイープ、sweeps"で実行するとき有用で、温度が高くなったとき、サンプルが
伸び過ぎるのを防ぎます。この調整は、G'が大きくかつ急に落ちる、ガラス転移点を通過する測定
を行うときに重要となります。この調整を行わないと、"柔らかくなる、softer"サンプルは(ガラス転移
点を越えると)、急に伸び、最終的に引っ張られたままの状態になります。この値を設定する前に、
テストランをして、どこでガラス転移が発生するかを決めなければなりません。

2001 年 9 月
110 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

図 3-26 オートテンション調整のセットアップ画面。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 111
ARES 機器マニュアル

3-7.4 アナログデータ入力

アナログデータ入力により、±10V DC アナログ入力信号を、テスト・ステーションの裏パネルのアナロ
グ入力(Analog Input)BNC (ANALOG 1 IN)コンセントにつないで測定し、データの残りで記録し、任
意のテスト中に入力することができます。データは 1Hz でサンプルされ、各データ入力に対し、1 回の
測定のみで記録されます。

±10V DC アナログ入力信号を加え、アナログデータ収集チェックボックスをチェックします(図 3-27)。


テスト中は、RSIOrchestratorTM はアナログ入力をアナログ入力データとして報告し、スプレッドシートに
表示したり、プロットまたはオンラインパラメータとして表示されます。記録された値は、入力電圧を 10
で割って正規化します。したがって、入力電圧+10V は、データには、+1.00 と記録されます。

図 3-27 アナログデータ入力のセットアップ画面

2001 年 9 月
112 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

3-7.5 オートストレイン
オートストレインは、ダイナミック応力が、トランスデューサに指定した力の制限を越えたり下がるのを防
ぐのに用います。オートストレイン制御を用いているとき、実際のサンプル歪みは、命令した値と異なる
場合があります。

次に示すのは、ユーザが設定(図 3-28)するオートストレインパラメータの説明です:

最大付加歪み _____
この値は、オートストレイン調整で用いられる、最大許容歪みを示します。歪みの大きさは、測定さ
れた力に関係なく、この値を決して超えません。

許容最大応力 _____
ダイナミック応力がこの値を超えると、歪みは減少します。これは、ユーザが測定中に維持したい
最大ダイナミック応力に設定してください。

許容最小応力_____
ダイナミック応力がこの値を下回ると、歪みは増加します。これは、ユーザが測定中に維持したい
最小ダイナミック応力に設定してください。

歪み調整 _____
これは、測定ダイナミック力が最小許容応力を下回ったり、入力した最大許容応力を上回るとき、
歪みが増加されたり減少するパーセント割合です。入力された命令歪みのパーセンテージは、ダ
イナミック応力がいかに速く測定間で減少するかに依存します。

図 3-28 オートストレインセットアップ画面。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 113
ARES 機器マニュアル

3-7.6 測定オプション

テストの測定オプションは、遅延の設定を制御できます。デフォルト設定では、データ収集の前に 0.5
サイクルまたは 3 秒(このうちの長い方)遅延します。軟らかく滑りやすいサンプルには、遅延はもっと長
くする必要があります。図 3-29 に示すように、ユーザはマニュアル設定でも調整できます。

相関遅延
相関遅延は、サンプルの変形のスタートとダイナミックテストでの最初の測定間の時間です。この間、
機器はデータを収集しません。データ収集の遅延であり、モータの回転ではないことに注意してくださ
い。遅延の補正により、サンプルは測定が行われる前にテスト条件に平衡することができ、応力のスタ
ートと歪み正弦波から、位相角を発達させることができます。最初は、機器は、最小の増分 0.1 秒、最
小時間間隔 0.2 秒の、秒の単位で遅延の相関を計算します。相関するサイクル数は、周波数に依存
して変化します。最大許容時間間隔は、65,000 秒です。

1 サイクル相関
1 サイクル相関オプションは、制御コンピュータに命令を送り、テスト周波数に関係なく、1 サイクルで
測定されたデータを使用することができます。通常、2rad/s より上の周波数では、データは複数サイク
ルが収集され、平均されます。1 サイクル相関は、1 サイクルのみのデータを作成し、次のサイクルに
必要な時間を節約します。1 サイクル相関は、高周波数でのサンプルの養生などの、速い測定が必要
なアプリケーションに有用です。この欠点は、データを平均しないため、多数のサイクルから集めたデ
ータより、データ点には多くのノイズが含まれることです。

歪み増幅制御
テスト中に命令した歪みが、実際に加えられた歪みの、あるパーセンテージにある間は、測定は開始
されません。この特長により、ユーザがこのパーセントを指定することができます:

デフォルト
歪み振幅制御は用いません。実際のサンプル歪みは単純に記録されます。

調整可
測定はサンプルの歪みが初期に命令された歪みのパーセンテージ内にあるとき開始します。これ
は、モータの回転が速くなって必要なサンプル歪み似達するにしたがってテスト時間が増えます。

2001 年 9 月
114 902-30026 改訂 B
CHAPTER 3: TEST DESCRIPTIONS

図 3-29 測定オプション セットアップ画面。.

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 115
ARES 機器マニュアル

ノート:

2001 年 9 月
116 902-30026 改訂 B
テストのジオメトリと式

第 4 章
CHAPTER 4 TEST GEOMETRIES AND FORMULAS
4
4-1 はじめに

この章は、次のように配列されています:

一般テストフィクスチャー情報
· ジオメトリの選択に当たって、一般的な推奨事項
· 測定可能領域とコンプライアンス
· 考えられるエラーの原因
一般のテストフィクスチャーのインストール
ゼロギャップとギャップの設定
テストフィクスチャーのジオメトリ
· テストの制限、指定するテスト・フィクスチャー用のインストールとサンプル装填の手順。
テストの式
· ダイナミック測定の式
· 定常流および過渡測定の式
· 歪みおよび応力定数

4-2 一般テストフィクスチャー情報

4-2.1 ジオメトリ選択に当たって、一般的な推奨事項

サンプルの物理的特性は、一般に適切なサンプルのジオメトリが必要ですが、複数のジオメトリを用い
て与えられたサンプルをテストすることも可能です。理想的には、テストの結果は異なるジオメトリのも
のでも同じであるべきです。しかし、実際は実験上の制限があり、あるジオメトリのほうが他のものより好
ましい場合が出てきます。さらに、歪みに対して非等方性や差違により、異なるジオメトリで一致しない
結果を得ることがあります。

サンプルのタイプをもとに、推奨するジオメトリの選択を次に示します:

薄いフィルムまたはファイバー
たとえば、磁気記録テープやファイバーのような薄いフィルムではファイバー/フィルムフィクスチャー
を用います。テストジオメトリの寸法を適切なテンションジオメトリ画面に入れてください。

流体、サスペンジョン、エマルジョン
低粘度の流体、または安定度の低いサスペンジョンは、クエットまたは、二重壁クエットを用いてテスト
します。より高粘度の流体に関しては、パラレルプレートまたはコーン・プレートジオメトリを用いて、より
濃いサスペンジョンやエマルジョンがテストできます。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 117
ARES 機器マニュアル

熱硬化、熱可塑、エラストマーを含む固体サンプル
これらの材料は、トーションフィクスチャーを用いてテストできます。さまざまなサンプルの厚みに対応し
て、いくつかのインサートが用意されています。

ポリマー・メルトとソフト固体
メルトは、平行プレートまたはコーン・プレートジオメトリを用いてテストします。

熱硬化性樹脂及び他のキュア過程
これらの材料は、平行プレートフィクスチャーでテストを行うと最も好ましいです。キュアの測定では、使
い捨てのプレートまたは壊れるタイプの材料を用いることができます。

4-2.2 測定可能領域とコンプライアンス

コンプライアンスと剛性の定義
ここでは、コンプライアンスを与えられたトルクの 1 グラム・センチメートル当たりの回転量(ラジアン単
位)と定義します。剛性は、コンプライアンスの逆数です。トランスデューサのコンプライアンスは、トラン
スデューサに加えられたトルクによる、トランスデューサの軸の偏移です。軸の偏移はトランスデューサ
軸に取り付けてある位置センサで測定します。サンプルのコンプライアンスは、サンプルに加えられた
力による偏移です。

トランスデューサは完全な剛性体ではないため、トランスデューサにもサンプルにもコンプライアンスが
存在します。トランスデューサはサンプルに沿って変形するため、命令した歪みの一部はサンプルを
変形させ、他の一部はトランスデューサを変形させます。これは、サンプルの係数を求めるのにエラー
を生じ、サンプルの剛性が高くなるほど増大します。

ARES は、オンラインの相関表を用い、トランスデューサのコンプライアンスを調整しています。システ
ムは、(測定した)モータとトランスデューサの偏移信号の差を取ってサンプルの変形(歪み)を決定しま
す。測定は歪み解像度の影響され、モータの変動やトランスデューサ、キャリブレーション、リニアリテ
ィなどにも影響されます。理想的な条件下では、トルクを与えたとき、サンプルの変形は比較的大きく、
トランスデューサの偏移はモータのそれよりもはるかに小さいです。2 つの変形の差(サンプルの偏移
を求めるのに用いる)は、したがって、大きな数値となり、測定値が小さい場合は、エラーが伴います。
しかし、このエラーは極めて剛性の高いサンプルをテストしたときは大きくなり、トランスデューサの偏移
はモータの偏移と近くなってきます。この場合、2 つの偏移の差が小さいため、比較的エラーが大きく
なり、測定値と大きさが近くなります。

測定された歪み値は、命令された歪み値よりはるかに小さい場合は、データはトランスデューサのコン
プライアンスに影響されがちです。実際上の指針として、測定時のサンプルの歪みは少なくとも命令し
た歪みの 30%はなければなりません。しかし、測定はこの制限を下回る場合があるため、ユーザは精
度が影響を受けることに注意してください。トランスデューサのコンプライアンスに影響を受ける測定は、
真の弾性率より小さな値で報告される場合があります。トランスデューサのコンプライアンスがデータに
影響を及ぼしている場合に、決定する方法のひとつは、異なるジオメトリに切り換えて、最初のテストの
結果と比較することです。データがコンプライアンスによって影響されていない場合は、2 つのジオメト
リから得られた結果はほぼ同等です。

サンプルのコンプライアンスまたは剛性は、サンプルの弾性率とジオメトリの両方に関連します。弾性
率は、ほとんどの場合、固定されていて、ユーザによって変更されません。サンプルの寸法は通常調
整され(サンプルの合成を弱める)、ジオメトリも変更し、必要なサンプルのコンプライアンスを得ます。

2001 年 9 月
118 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

サンプルのコンプライアンスは、機器の許容操作範囲内で行うことが大切で、これを超えると矛盾した
り不正確な結果を得ることになります。

操作範囲の決定
操作範囲は、指定するジオメトリを用いた各トランスデューサによって測定できる、最大・最小複素弾

性率 G によって囲まれる範囲と定義されます。それぞれのジオメトリに対し、そのジオメトリに対する
操作範囲に影響を及ぼす特定の要因があります。さらに、次に示す要因は、すべてのジオメトリに対し、
操作範囲に影響を及ぼします:
· トランスデューサで測定される最低トルク
· トランスデューサのコンプライアンス
· モータによって生成される最大歪み


各トランスデューサのタイプによって測定できる、最小および最大 G を計算するには、次の式を用い
ます:

æ Kt ö
G * = çç ÷C
÷
(4-1)
è Kg ø

ここで K t = 指定するジオメトリの応力定数
K g =指定するジオメトリの歪み定数
C は次の表から決算します:

トランスデューサ
最大 G* に対する C 最小 G*に対する C
式 値s 式 値s

2K FRTN1 M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
2K FRTN1E C = 0.1 ç ÷ J = 1.15e-06 (rad/g·cm) q max
èJø
M min
1K FRTN1 æ1ö C= (下記ノートを参照)
C = 0.1 ç ÷ J = 4.9 e-06 q max
èJø
2K STD æ1ö M min
C = 0.1 ç ÷ J = 2.60e-06 C= (下記ノートを参照)
10K STD q max
èJø
100 FRT for ω=100; J = 2.60e-05
æ1ö
200 FRT C = 0.1 ç ÷ for ω=10; J = 2.60e-06
èJø M min
100 FRTN1 C= (下記ノートを参照)
200 FRTN1 q max
M For ω<10; (下記ノートを参
C = max
q min 照)

ノート: M (g·cm)および θ (rad)の値は、第 1 章の仕様表(表 1-6~表 1-13)に示されています。お使い


のトランスデューサとモータの組み合わせによって、適正な値を用いてください。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 119
ARES 機器マニュアル

与えられた周波数で測定できる、最大または最小複素粘度 η* を決定するには、次の式を用います:

G*
h* = (4-2)
w

ここで η* = 複素粘度 (P)


G*= 複素弾性率 (dyn/cm2)
ω = 周波数(rad/sec.)

マイクロソフト社のエクセル Excel™などのスプレッドシートソフトを用いると、上の式が利用でき、次のよ
うに与えられた、ジオメトリ/トランスデューサの組み合わせに対し、テストする範囲の複素粘度をプロッ
トすることができます:

1) 式 4-1 を用いて、最大 G*と最小 G*を計算します。


2) G*の最大値を式 4-2 に代入し、各ωでη*を計算して操作の上限を決定します(ω値はトラン
スデューサの操作範囲内の最低周波数~最高周波数から選択します)。
3) G*の最小値を式 4-2 に代入し、各ωでのη*を計算して、最低限を決定します。
4) 複素粘度η* (Y 軸) vs. 周波数ω (X 軸)の X-Y プロットを作成する。

操作の最大・最小限間の領域は、テストできる複素粘度の範囲です。上の J に関する値は、名目の値
であり、トランスデューサによってわずかに変動します。このため(優れた標準作業により)、与えられた
システムの上下限近くでテストを行うときは、(データが有効であることを確実にするため)、細心の注意
を払ってください。

4-2.3 エラーのソースと原因

ここでは、フィクスチャーとサンプルの制限によって発生するエラーに関する内容を示します。

サンプルジオメトリの矛盾
与えられた歪み量に対して生成する力は、材料の弾性率およびサンプルのサイズの関数です。した
がって、サンプルの寸法の矛盾は、明らかにテスト結果の精度に影響を及ぼします。各ジオメトリの歪
みと応力定数に関する式を参考にし、各寸法のコンプライアンス依存性に注意してください。この依存
性により、サンプル寸法の小さなエラーは、コンプライアンス、したがって係数、に大きなエラーに発展
する可能性があります。

線形領域外のテスト
実行できるテストの多くは、サンプルの線形領域内で行われるように設計されています(第 3-3.1 節を
参照)。線形領域を超えてテストを行うと、エラーのある正しくないデータが得られます。与えられた材
料は、最初に線形領域を決定し、次にそれらの得られた結果を元にして続くテストを行うことが重要で
す。材料の線形領域を決定するには、代表的にダイナミック歪みスイープを予備テストとして実行しま
す。

2001 年 9 月
120 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

温度変動
測定中の温度の変化は、特に応力の損失成分や tan δに大きく影響を及ぼすことがあります。結果と
して、材料の温度依存性を研究するとき、温度ステップ(ここで、温度は測定中一定に保たれます)は、
より好ましい tan δ解像度を示し、温度が測定中に変化する温度勾配はこれに対比します。また、テ
スト温度に達するまで、サンプル全体に、十分な平衡するまでの時間が与えられることに注意してくだ
さい。

いくつかのサンプルは、温度が変化することにより、比較的大きな寸法変動をします。オートテンション
またはオートストレインは、温度に関連する変化に対して、調整する必要があります。

その他の要因
エラーの原因となるその他の要因は、サンプル端の欠け、サンプルの反り、サンプルのすべり、クラン
プの問題などがあります。注意深くサンプルを装填し、適正なテスト範囲を決定し、必要に応じて、オ
ートテンションを正しく与えてください。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 121
ARES 機器マニュアル

4-3 一般のテストフィクスチャーのインストール

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

本マニュアルに記載されていない方法、あるいは意図と違う方法で使用されると、
機器のプロテクションにダメージを受ける場合があります。

4-3.1 上フィクスチャーのインストール

上フィクスチャーを取り付けるには、アンビル(図 4-1)のノブを緩め、アンビルにそのフィクスチャーを挿
入し、必要に応じてリテーナを引いて離します。ノブを締め、手でノブを締めます─決して締めすぎな
いようにしてください。

4-3.2 下方フィクスチャーのインストール: モータ・マウント(オーブンまたは大気)

モータに下方フィクスチャー取り付けるには、図 4-2 を参考にして、次のステップを行ってください:


1) フィクスチャーに PRT が使用できれば、次のようにして PRT ツールをインストールします:
a) プラグを、モータアンビル内にマウントされている電気ジャックの上に置きます(押さな
いでください)。
b) 軽く下方に押しながら、PRT ツールを、PRT が電気ジャックのキーに沿うのを示す、正
しい位置に滑り込むまで回転させます。正しく組み込まれると、RSIOrchestratorTM は周
囲温度を表示します。
2) アンビルのノブを緩め、アンビルにフィクスチャーを挿入します。必要に応じてリテーナを引い
て離します。手でノブを締めます(決して締めすぎないようにしてください)。

4-3.3 下方フィクスチャーのインストール: 流体バスのマウント

下方フィクスチャーを流体バスのどちらかに取り付けるには、特定のインストール指示について、第 2
章(第 2-6.5 または 2-8.2)を参照してください。どちらのバスについても、正しい下方 PRT を最初に取
り付け、次にフィクスチャーを取り付けてください。

2001 年 9 月
122 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

アンビル
リテーナ

ノブ

上フィクスチャー

リテーナ
アンビル

ノブ
1. 取り付けまたは
外すときは、ここ
を持つ フィクスチャ

2. フィクスチャーをアンビル内に十分
に持ち上げ、正しい位置に置く。

3. ノブを締める

4. インストールしたフィクスチャー

図 4-1 上フィクスチャーのインストール。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 123
ARES 機器マニュアル

下方フィクスチャー

ツール PRT

整列キー

ノブ

図 4-2 下方フィクスチャーのインストール、モータ・マウント。

2001 年 9 月
124 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-4 ギャップのセッティング

上と下方のフィクスチャー間のギャップをゼロにするのは、サンプルを装填するときにギャップを設定
するのに必要です。ギャップをゼロにするには、上・下方のフィクスチャーが触れるまで、ステージを下
げ、そのギャップ値を 0mm に設定します。このあと、ステージを移動すると、GAP 値で表示されるギャ
ップ値は正しい値を示します。

次に示す手順は、すべてのテストフィクスチャーに共通です。各フィクスチャーに関して特別な詳細事
項は、それぞれのフィクスチャーが記載されている下に説明されています。ギャップを設定するには、2
つの方法があります:手動ゼロとオートゼロです。ほとんどのアプリケーションでは、オートゼロ(Auto
Zero)をお勧めします。RSIOrchestratorTM の(ギャップ設定/機器の制御、Set Gap/Instrument Control)
機能により、ギャップをゼロにおよび設定するときのステージの移動をコントロールします。第 2-2.6 節
は、(ギャップ設定/機器の制御、Set Gap/Instrument Control)の機能ボタンと制御が説明されていま
す。

テストが周囲温度以外で行われる場合は、フィクスチャーを取り付けて、そのあと温度を必要な初期値
に調整します。ギャップをゼロにおよび設定する前に、フィクスチャーが温度平衡値に達するようにし
てください。

4-4.1 手動でゼロ

上下フィクスチャー間のギャップを手動でゼロ、および設定するには、次のステップを行ってください:
1) 上下フィクスチャーが清浄であることを確認してから取り付けてください。
2) (ギャップ設定/機器の制御、Set Gap/Instrument Control)機能を選択します。(ギャップ/機器
の制御パネル、Gap/Instrument Control Panel)が表示されます。
3) "トルクをゼロに、Offset Torque To Zero"および"フォースをゼロに、Offset Force To Zero"ボ
タンを押して、トルクとノーマル・フォースをゼロにします。
4) 手動ステージ制御のスリュー(急速)・モードにより、上下のフィクスチャー間の距離が約 0.5mm
になるまでステージを下げます。
5) ステージ制御のステップ(スロー)モードにより、ノーマル・フォース(ギャップ設定/機器の制御
パネル、Set Gap/Instrument Control Panel に表示)がゼロからちょうど変形を始めるまで下げ
ます。これはフィクスチャーが接したことを示します。
6) 表示されたギャップの下にある、"ゼロインジケータ、Zero Indicator"ボタンを押して、ギャップ
をゼロにします。
7) サンプルが充填できる高さまで、ステージを上げます。
この段階でサンプルは、装填できます。ステージを下げると、(ギャップの設定/機器の制御パネル、
Set Gap/Instrument Control Panel)は、フィクスチャー間の正しい距離を表示します。

4-4.2 オートゼロおよびギャップの設定

(ギャップの設定/機器の制御パネル、Set Gap/Instrument Control Panel)機能により、ユーザは自動


的にゼロにし、上下フィクスチャー間のギャップを設定できます。
ギャップをゼロに
次のように、上下フィクスチャー間のゼロギャップをとります:
1) サンプルが装填されていなく、上下フィクスチャーが清浄であることを確認します。
2) (手動ステージ制御、Manual Stage Control)を用い、ステージを下げてギャップ幅を約 1mm に
します(目視で)。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 125
ARES 機器マニュアル

3) (ギャップの設定/機器の制御パネル、Set Gap/Instrument Control Panel)機能を選択します。


Set Gap/Instrument Control Panel ダイアログボックスが表示されます。
4) "フィクスチャーをゼロに、Zero Fixture"をクリックします。情報フォームが表示され、ゼロ化操
作の模様が(経過時間で)表示されます。現在のギャップは(現在のギャップ、Current Gap)欄
に表示され、1 秒間隔で更新されます。次の内容は、ゼロ化操作のときに発生します:
a) ステージは下げられ、フィクスチャー同士が接します。
b) 接したあと、ギャップの表示はゼロとなります。
5) サンプルの装填準備で、(最も上に送る、Send to Top)をクリックして、最も高い高さにステージ
を上昇させます。
(ギャップの制御パネル、Gap Control Panel)に残り、次のトピックの(ギャップの設定、Setting the Gap)
に進みます。

ギャップの設定
ギャップをゼロにしたあと、次のように設定します:
1) サンプルを下方フィクスチャーに置きます。
2) 次の内容を入力します:
a) 命令されたギャップの位置─必要なギャップを mm 単位で入力します。
b) 最大許容力─サンプルがギャップの設定操作のときに、圧縮される最大ノーマル・フ
ォースを(g・F 単位で)入力します。ノーマル・フォースがこの値を超える場合は、ステー
ジは、ノーマル・フォースがこの値を下回るまで、下降を停止します。下回れば、ステ
ージの移動は元に戻ります。
3) (ギャップの設定、Set Gap)をクリックします。情報フォームが現れ、ボタンがクリックされてから
の経過時間が表示されます。ステージは、比較的迅速に(代表的に 5mm/sec.)、上フィクスチ
ャーが命令したギャップ位置から 3mm まで下降し、そこからはギャップが達成されるまで下降
速度を低めます。上フォームが表示されなくなるとギャップは設定されます。

4-4.3 ギャップ制御パネルのコメント

(ギャップ制御パネル、Gap Control Panel)有効に


(ギャップの制御パネル、Gap Control Panel)機能は、ステッパ・モータとリモート・ギャップ・モニタリング
オプションが利用できるときのみ操作できます。これらのオプションは、工場出荷時に有効にされてい
るため、ユーザが修正を加える必要はありません。しかし、参考のために示すと、これらはユーティリテ
ィ(Utilities)プルダウンメニューの、サービス(Service )機能下にある、(機器の構成、Instrument
Configuration)機能を用いて設定します。"ステッパまたはリニア・モータ、Stepper or Linear Motor" お
よび"リモートギャップモニタリング、Remote Gap Monitoring"オプションを Yes にします(図 4-3)。
(テストフィクスチャーギャップ、Test Fixture Gap)チェックボックスを読む
" テストフィクスチャーギャップを読む、Read Test Fixture Gap"チェックボックスは、このフォームにあり、
指定するジオメトリを編集するのに用います((編集/テストスタート、Edit/Start Test)ダイアログボックス
の"ジオメトリの編集、Edit Geometry"ボタンをクリックしてアクセスします)。このチェックボックスが選択
されると、機器はテストのスタート直前に、実際のギャップを読み込み(そして保存)します。そのあと、実
際のギャップを用いて(指定するジオメトリのフォームに入力されたギャップを上書きして)歪みのエラー
を再チェックします。範囲を外れると、報告されます。

保存されたジオメトリに対し、"テストフィクスチャーのギャップを読む、Read Test Fixture Gap"チェック


ボックスは、"リモート・ギャップりモニタリング、Remote Gap Monitoring"オプションが有効のときに、(保
存したジオメトリ、Stored Geometry)を(機器の構成、Instrument Configuration 機能を用いて)保存して
いる場合にのみ表示されます。

2001 年 9 月
126 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

機器のギャップの表示
機器から読み込んだギャップは、オンラインパラメータ(CurrGap)として表示できます。

ギャップ設定中の、最大許容応力
ギャップの設定中の"最大許容応力、Max Allowed Force"は、2 つの良い点があります。1 つは、オペ
レータがギャップを再現性のある、形に残しておけるということです。毎回、同じようにサンプルを装填
することは、異なるオペレータ間または異なるジオメトリで、より再現性のある結果となります。さらに、こ
れは、装填中にサンプルに対し、内部でプリストレスを避けることができます。これは、再度のべると、
エラーのある矛盾する結果を導きます。これはまた、軟らかいサンプルを装填中に、過大な力が加わ
ると、テストフィクスチャーの間から流れ出てしまう可能性のあるものに有効です。

図 4-3 (機器の構成機能、Instrument Configuration Function - "機器(Instrument)オプション"。

"ステッパまたはリニアモータ、Stepper or Linear Motor"および"リモートギャップモニタ、Remote Gap Monitoring"

オプションに、Yes を答えて、(ギャップの制御パネル、Gap Control Panel)機能を有効にします。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 127
ARES 機器マニュアル

4-5 テストフィクスチャーのインストールとサンプルの装填

4-5.1 一般指針

次の数節では、各ジオメトリで用いられるテストフィクスチャーをインストールする、固有の手順を示しま
す。それぞれのサンプルの装填に関する指針は、それぞれのフィクスチャーのところに記されていま
す。しかし、次の一般的なサンプルの装填の指針は、すべてのフィクスチャーに共通です:

· フィクスチャーは清浄で、ダメージがないことを確認してください。
· 説明に沿ってフィクスチャーを正しく装填してください。一般に、フィクスチャーの装填は簡単で
す。不適当な力が要るのは、何か問題点のあるサインです。そのまま続けないで、作業を中止し
て、確かめてください。
· フィクスチャーがお互いに整列して、ギャップが正しくゼロになっていることを確かめてください。
· オーブンを用いるときは、オーブンのドアを注意深く閉じ、サンプルまたはフィクスチャーがオー
ブンのドアを妨害して以内ことを確認してください。

サンプルをフィクスチャーに装填するとき、サンプルは中心にあり、可能な限りフィクスチャー取り付け
表面の間にあることを確認してください。中心を外れて装填すると、トランスデューサ/モータ軸が整列
しなくなる場合があります。さらに、整列がうまくできないときは、データの精度に影響を与える可能性
があります。整列ができていないときは、サンプルをフィクスチャーから取り除き、再度注意深く装填し
てください。

テストを周囲(またはサンプルが装填されたときの温度)より低い温度で行うときは、クランプ(いくつかの
ツールにある)は、温度の低下に伴って緩む場合もあります。これは、サンプルとフィクスチャーの熱膨
張率の違いによるものです。最も低い温度で、初期化テストの直前に、ユーザはオーブンのドアを開
け、ねじがクランプを確実に固定していることを確認し、極めて低い温度になっているオーブンやフィ
クスチャーのどこにも触れないように注意してください。

2001 年 9 月
128 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-5.2 パラレルプレート

歪み定数 応力定数
R 2000(G c )
Kg = Kt =
H pR 3

変数

Gc = 重力定数
= 980.7(cgs)または 98.07(SI)
R = プレートの半径 (mm)
H = プレート間のギャップ (mm)

オプション
サイズ 8、25、40、50 mm
Serated プレート
ディスポーザブルプレート
インバープレート

環境システム
大気
オーブン
流体バス、流体バス 2 * 平行プレートフィクスチャー
ペルチエ
* 下方フィクスチャーに関する詳細は、第 2 章を参照
一般情報
パラレルプレートは、ポリマー・メルトや、軟固体、高粘度流体などのテストに用いられます。 ディスポ
ーザブルプレートは熱硬化性樹脂やエポキシのキュアテストに用いられます。これらの広い範囲のサ
イズにより、広い範囲の粘度、可動ギャップ、装填のし易さもあいまって、極めて多目的なツールにな
っています。さらに、ギャップを狭く設定すれば、高せん断速度に達することができます。
操作の範囲
操作の範囲は、パラレルプレートジオメトリを用いて、各トランスデューサのタイプによって測定できる、
*
最大・最小の複素弾性率 G で囲まれる範囲で定義されます。次のジオメトリ─特性係数は、パラレル
プレートジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
· プレートの直径(歪み定数 K g および応力定数 K t )
· プレート間のギャップ(歪み定数 K g )

さらに、次の機器特有の要因も、すべてのジオメトリの操作範囲に影響します:
· トランスデューサで測定される最小トルク
· トランスデューサのコンプライアンス
· モータによって生成される最大歪み

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 129
ARES 機器マニュアル


パラレルプレートジオメトリを用いて、各トランスデューサタイプで測定される、最大・最小 G を計算す
るには、次の式を用います:

æ Kt ö
G * = çç ÷C
÷
(4-1)
è Kg ø

ここで K t = 応力定数
K g = 歪み定数
C は次の式から計算:

トランスデューサ
G* 最大に対する C G* 最小に対する C
式 値s 式 値s

2K FRTN1 M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
2K FRTN1E C = 0.1 ç ÷ J = 1.15e-06 (rad/g·cm) q max
èJø
M min
1K FRTN1 æ1ö C= (下記ノートを参照)
C = 0.1 ç ÷ J = 4.9 e-06 q max
èJø
2K STD æ1ö M min
C = 0.1 ç ÷ J = 2.60e-06 C= (下記ノートを参照)
10K STD q max
èJø
100 FRT for ω=100; J = 2.60e-05
æ1ö
200 FRT C = 0.1 ç ÷ for ω=10; J = 2.60e-06
èJø M min
100 FRTN1 C= (下記ノートを参照)
200 FRTN1 q max
M
C = max for ω< 10; (下記ノートを参照)
q min

ノート: M (g·cm)および ω (rad)の値は、第 1 章の仕様表(表 1-6~表 1-13)に示されています。お使い


のトランスデューサとモータの組み合わせによって、適正な値を用いてください。

与えられた周波数で測定できる、最大・最小複素粘度 η*を決定するには、次の式を用います:

G*
h* = (4-2)
w

*
ここで η = 複素粘度(ポアズ)
G*= 複素係数(dyn/cm2)
ω = 周波数(rad/sec.)

2001 年 9 月
130 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

マイクロソフト社のエクセルなどのスプレッドシートソフトを用いて、上の式を使用し、次に示す与えられ
たジオメトリ/トランスデューサに関し、複素粘度をプロットできます:

1) 式 4-1 を用いて、G*の最大値、および G*の最小値を計算します。


2) 式 4-2 に G*の最大値を代入して、各ω(ωは、トランスデューサの操作範囲内で、最低
から最高周波数までで選択します)におけるη*を計算して、操作の上限を決定しま
す。
3) 式 4-2 に G*の最小値を代入し、各ωでのη*を計算して、操作の最小値を決定します。
4) 複素粘度η*(Y 軸)vs 周波数ω(X 軸)の X-Y グラフをプロットします。

操作の上・下限間の領域は、テストする複素粘度の範囲です。補遺 1 には、いくつかのトランスデュー
サとモータの組み合わせにおける G*の値の表が示されています。

フィクスチャーのインストール
RSI
1) OrchestratorTM のコントロール・メニュー下のギャップ設定/機器のコントロール(Set
Gap/Instrument Control)機能を選択します。"上に上げる、Send to Top"ボタンにより、ステー
ジをローディング位置に持ち上げます。
2) モータがオンになっていることを確認したあと、アクチュエータのシャフトに上下のフィクスチャ
ーを取り付けます。
RSI
3) OrchestratorTM のギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を
用いて、"ノーマル・フォースをゼロに、Offset Normal Force to Zero"および"トルクをゼロに、
Offset Torque to Zero"ボタンを使用して、ノーマル・フォースをゼロにします。
4) ステッパ制御ボタンを用いて、フィクスチャーが近づいても接しないポイントまで、ステージを下
げます。
5) ギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能の、"ゼロ・フィクスチャ
ー、Zero Fixture"ボタンを用いて、テストフィクスチャーのゼロ点を決めます。
6) ステージを上げて、サンプルの装填に十分な空間を作ります。

サンプルの装填
推奨するパラレルプレートのギャップ幅は、0.5~2mm の間です。図 4-4 は、サンプルを装填した平行
プレートを示します。

1) サンプルを下のプレートに置きます。サンプルは、フィクスチャーの中心に置いてください。
2) テスト・ステーションの右側にある、ステッパ・モータボタンを用いて、上のプレートが材料に近
づくまで調整します。第 4-4.2 節と、大 4-4.3 節に示されるように、ギャップの設定/機器の制
御、Set Gap/Instrument Control 機能を用い、適切なパラメータを入力してギャップを設定し
ます。流動しない材料であれば、わずかな応力が生成されるまで、ユーザは上のプレートを手
動で下げてゆくこともできます。初期ギャップは、最終的に必要なギャップより約 0.05mm 上に
設定して、サンプルの調整をします。
3) 材料がジェルや流動材料であるときは、上のプレートをサンプルまで下げると、下のプレート上
で円盤状に分散してしまいます。サンプルは、手動の装填方法では、サンプルの緩和のため
の十分な時間ないため、このようなサンプルのタイプについては、ノーマル・フォースの制限を
用いると、サンプルがダメージを受けるのを避けることができます。どちらの場合でも、初期ギャ
ップは、最終所要ギャップより 0.05mm 高くするようにしてください。
4) サンプルのジオメトリをを整えて、両プレートのエッジと同一面になるようにします。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 131
ARES 機器マニュアル

5) ステージを最終のギャップ設定まで下げます。ここでも、手動で行ったり、あるいはギャップの
設定/機器の制御、Set Gap/Instrument Control 機能を用いて、入力したギャップを必要な最
終値に変更して行うこともできます。図 4-4 に示すように、サンプルは、わずかに外側に膨ら
んでいます。
6) ダイナミック・テストを行う前に、力をモニタして、その値がゼロに近づくのを待ちながら、サンプ
ルを緩和させます。
7) RSIOrchestratorTM のテストジオメトリ画面内の、サンプルの寸法を入力します。フィクスチャーが
正しくゼロにされれば、実際のサンプルのギャップはギャップ・リアルタイムパラメータから、また
はジオメトリ(Geometry)画面の"テストフィクスチャーギャップを読む、Read Test Fixture Gap"
チェックボックスをから選択して、テストのスタート時自動的に測定されることに注意してくださ
い。

上フィクスチャー

サンプル

下方フィクスチャー

図 4-4 サンプルを充填したパラレルプレート。

2001 年 9 月
132 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-5.3 コーン・プレート

歪み定数 応力定数

1 3000(G c )
Kg = Kt =
b 2p R 3

ノーマル応力定数 第一法線応力差

200 N1 = K Z * FZ
KZ = * GC
pR 2

変数

Gc = 重力定数
= 980.7(cgs)または 98.07(SI)
R = プレートの半径(mm)
β = コーン角(rad)
Fz = ノーマル・フォース(g)

オプション
直径 25、50mm; コーン角 0.02、0.04、0.1 ラジアン
ディスポーザブルコーン・プレート
インバーコーン・プレート
環境システム
周囲
オーブン コーン・プレートフィクスチャー
流体バス、流体バス 2 *
ペルチエ
* 下方フィクスチャーに関する詳細は、第 2 章を参照

一般情報
コーン・プレートフィクスチャーは、ポリマー・メルトや、サスペンジョン、エマルジョンなどをテストすると
きに用いられます。定常せん断テストにおいて、プレートの中心部と外周部とで速度勾配はありません。
また、これは法線応力測定が必要なときにも用いられます。パラレルプレートと異なり、コーン・プレート
のギャップは固定され、コーンのジオメトリで決められます。このため、熱膨張により温度が変わるとギ
ャップも変わってくるコーン・プレートは、等温テストのみに用いられます。しかし、特別な場合は、イン
バー(Invar)ツールが用いられます。インバーの例外的な熱膨張特性により、インバー・ツールは、温度
勾配やスイープが必要なアプリケーションのときに用いられます。

操作の範囲
操作の範囲は、コーン・プレートジオメトリを用いて、各トランスデューサのタイプで測定される、最大・
*
最小の複素弾性率 G で囲まれる範囲として定義されます。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 133
ARES 機器マニュアル

次のジオメトリに特有な要因は、コーン・プレートジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
· プレートの直径(歪み定数 K g および、応力定数 K t )
· コーン角(歪み定数 K g )

さらに、次の機器に特有な要因は、すべてのジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
· トランスデューサで測定できる最小トルク
· トランスデューサのコンプライアンス
· モータによって生成される最大歪み

*
コーン・プレートジオメトリを用いて、各トランスデューサで測定できる最大、最小 G を計算するには、
次の式を用います:

æ Kt ö
G * = çç ÷C
÷
(4-1)
è Kg ø

ここで K t = 応力定数
K g = 歪み定数
C は次の式から計算:

トランスデューサ
G* 最大に対する C G* 最小に対する C
式 値 式 値s

2K FRTN1 M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
2K FRTN1E C = 0.1 ç ÷ J = 1.15e-06 (rad/g·cm) q max
èJø
M min
1K FRTN1 æ1ö C= (下記ノートを参照)
C = 0.1 ç ÷ J = 4.9 e-06 q max
èJø
2K STD æ1ö M min
C = 0.1 ç ÷ J = 2.60e-06 C= (下記ノートを参照)
10K STD q max
èJø
100 FRT for ω=100; J = 2.60e-05
æ1ö
200 FRT C = 0.1 ç ÷ for ω=10; J = 2.60e-06
èJø M min
100 FRTN1 C= (下記ノートを参照)
200 FRTN1 q max
M
C = max for ω< 10; (下記ノートを参照)
q min

ノート: M (g·cm)および ω (rad)の値は、第 1 章の仕様表(表 1-6~表 1-13)に示されています。お使い


のトランスデューサとモータの組み合わせによって、適正な値を用いてください。

2001 年 9 月
134 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

与えられた周波数で測定できる、最大または最小複素粘度 η* を決めるには、次の式を用います:

G*
h* = (4-2)
w

ここで η* = 複素粘度 (P)


G*= 複素弾性率 (dyn/cm2)
ω = 周波数 (rad/sec.)
です。

マイクロソフト社のエクセルなどのスプレッドシートソフトを用いて、上の式を使用し、次に示す与えられ
たジオメトリ/トランスデューサに関し、複素粘度をプロットできます:

1) 式 4-1 を用いて、G*の最大値、および G*の最小値を計算します。


2) 式 4-2 に G*の最大値を代入して、各ω(ωは、トランスデューサの操作範囲内で、最低
から最高周波数までで選択します)におけるη*を計算して、操作の上限を決定しま
す。
3) 式 4-2 に G*の最小値を代入し、各ωでのη*を計算して、操作の最小値を決定します。
4) 複素粘度η*(Y 軸)vs 周波数ω(X 軸)の X-Y グラフをプロットします。

操作の上・下限間の領域は、テストする複素粘度の範囲です。補遺 1 には、いくつかのトランスデュー
サとモータ用の二重壁クエットに関する G*の値の表が示されています。

フィクスチャーのインストール
RSI
1) OrchestratorTM のコントロール・メニュー下のギャップ設定/機器のコントロール(Set
Gap/Instrument Control)機能を選択します。"上に上げる、Send to Top"ボタンにより、ステー
ジを装填位置に持ち上げます。
2) モータがオンになっていることを確認したあと、アクチュエータのシャフトに上下のフィクスチャ
ーを取り付けます。
RSI
3) OrchestratorTM のギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を
用いて、"ノーマル・フォースをゼロに、Offset Normal Force to Zero"および"トルクをゼロに、
Offset Torque to Zero"ボタンを使用して、ノーマル・フォースをゼロにします。
4) ステッパ制御ボタンを用いて、フィクスチャーが近づいても接しないポイントまで、ステージを
下げます。
5) ギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能の、"ゼロ・フィクスチャ
ー、Zero Fixture"ボタンを用いて、テストフィクスチャーのゼロ点を決めます。
6) ステージを上げて、サンプルの装填に十分な空間を作ります。

ギャップとコーン角
各コーンとプレートフィクスチャーの、実際のギャップとコーン角のセッティングは、フィクスチャー・キッ
トに収められているキャリブレーションの証明書に示されています。もし、この証明書がなければ、テク
ニカル・サポートまでご連絡ください。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 135
ARES 機器マニュアル

周囲温度以外の温度でのテスト
標準コーン・プレートツールは、等温テストのみに用います。遷移によって温度が上昇すれば、フィクス
チャーが膨張する結果となります。たとえば、50mm のコーン・プレートジオメトリが、名目 50 ミクロンの
ギャップの場合、熱膨張によって 2 つのフィクスチャーは接触し、エラーを含むデータを得る結果とな
ります。このシステムは、測定温度で平衡に達したあと、最終のギャップを設定してください。

特別なアプリケーションには、インバー(Invar)ツールを用います。インバーの熱膨張は、ステンレスに
比べ、温度 0℃~230℃で、10 分の 1 です。この範囲を超えると、インバーの熱膨張係数はステンレス
のそれと同等となります。コーン・プレートツールを用いて温度勾配やスイープを行わなければならな
いとき、必ずインバーを用いてください。

サンプルの装填
1) ギャップがゼロになっていることを確認します。
2) サンプルを下のプレートに置きます。サンプルは、フィクスチャーの中心に置いてください。
3) テスト・ステーションの右側にある、ステッパ・モータボタンを用いて、上のプレートが材料に近
づくまで調整します。第 4-4.2 節と、大 4-4.3 節に示されるように、ギャップの設定/機器の制
御、Set Gap/Instrument Control 機能を用い、適切なパラメータを入力してギャップを設定し
ます。見本が整ったジオメトリをし、流動しない材料であれば、わずかな応力が生成されるまで、
ユーザは上のプレートを手動で下げてゆくこともできます。初期ギャップは、最終的に必要な
ギャップより約 0.05mm 上に設定して、サンプルの調整をします。
4) サンプルのジオメトリをを整えて、両プレートのエッジと同一面になるようにします。
5) ステージを下げて、キャリブレーション証明書(Certificate of Calibration)に記されているギャッ
プにします。ここでも、手動で行ったり、あるいはギャップの設定/機器の制御、Set
Gap/Instrument Control 機能を用いて、入力したギャップを必要な最終値に変更して行うこと
もできます。図 4-5 に示すように、サンプルは、わずかに外側に膨らんでいます。
6) ダイナミック・テストを行う前に、力をモニタして、その値がゼロに近づくのを待ちながら、サンプ
ルを緩和させます。
RSI
7) OrchestratorTM のテストジオメトリ画面内の、サンプルの寸法を入力します。フィクスチャーが
正しくゼロにされれば、実際のサンプルのギャップはギャップ・リアルタイムパラメータから、また
はジオメトリ(Geometry)画面の"テストフィクスチャーギャップを読む、Read Test Fixture Gap"
チェックボックスをから選択して、テストのスタート時自動的に測定されることに注意してくださ
い。

上フィクスチャー

サンプル

下方フィクスチャー

図 4-5 サンプルを装填したコーン・プレート

2001 年 9 月
136 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-5.4 トーション、新タイプ(トレクト)

歪み定数 応力定数
æ æ 2 öö æ æ æ T öö ö
Kg =
T ç1 - ç 0.378 æç T ö÷ ÷÷ ç 3 + ç18
. ç ÷÷ ÷
L ç ç è W ø ÷ø÷ø ç è è W øø ÷
è è Kt = 1000 ç ÷ Gc
çç WT 2 ÷÷
è ø

変数

Gc = 重力定数
= 980.7(cgs)または 98.07(SI)

T = サンプルの厚み(mm)
W = サンプルの幅(mm)
L = サンプルの長さ(mm)
オプション
厚み調整用、最大 6.5mm のクランプ

環境システム
トーションフィクスチャー
周囲
(新設計)
オーブン

一般情報
再設計されたトーションフィクスチャー(トレクト)は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、エラストマーなど、
高弾性率固体のテストに用いられます。サンプルは上下のツール間に引っ張られた状態で保持され
ます。3 つの設定アンビル(図 4-6)が用意され、厚みの変動するサンプルに対応します。それぞれの
設定アンビルは、2 つの異なる厚み範囲のサンプルをクランプすることができます。それぞれの値を下
に示します。

サンプルの寸法
フィクスチャーの物理的制約の範囲にあるサンプルを用意するには、次の指針を参考にしてください:
· 最大サンプル幅: 12.7 mm
· 標準的なサンプル長さ: 45 mm
· サンプルの厚みは、用いた設定アンビルのサイズに依存します:
名目厚み 実際のサンプルの厚み
設定アンビル
表面での値 クランプ範囲
0.3 mm 最大 0.6 mm まで
1
1.0 mm 0.6~1.5 mm
2.0 mm 1.5~2.5 mm
2
3.0 mm 2.5~3.5 mm
4.0 mm 3.5~5.0 mm
3
6.0 mm 5.0~6.5 mm

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 137
ARES 機器マニュアル

クランプのトルク
サンプルの厚みに対応して、常に正しいサイズの設定アンビルを用いてください。サンプルがツール
内で正しくセットされていない場合、誤ったデータを得ることになります。調整クランプをスライドさせて、
適正な締め付けを行うことが必要です。トルク・スクリュードライバは、ツールに含まれています。各材
料に対し、良い結果を得るため、最適のクランプ・トルク値を見つけるのに、いくつか実験をする必要
があります。締め足りなかったり、柔らかな材料などへの締めすぎは、エラーのあるデータが得られま
す。いったん、特定のサンプル(材料と歪み)に対する、好ましいトルクが得られれば、以降のサンプル
も、同じ値で締めてください。また、両方のクランプは、常に同じトルク値で締めてください。

注意
軟らかいサンプルや、クランプに正しくフィットしないサンプルは、正確でないデー
タを得る結果となります。

操作の範囲
操作の範囲は、トーションジオメトリを用いて、各トランスデューサのタイプで測定される、最大・最小の
*
複素弾性率 G で囲まれる範囲として定義されます。

次のジオメトリに特有な要因は、オーションジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
サンプルの厚み (応力定数 Kt および歪み定数 Kg)
サンプルの幅 (応力定数 Kt および歪み定数 Kg)
サンプルの長さ (歪み定数 Kg)
さらに、次のジオメトリに特有な要因は、トーションジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
· トランスデューサで測定できる最小トルク
· トランスデューサのコンプライアンス
· モータによって生成される最大歪み

*
トーションジオメトリを用いて、各トランスデューサで測定できる最大、最小 G を計算するには、次の式
を用います:

æ Kt ö
G * = çç ÷C
÷
(4-1)
è Kg ø

ここで K t = 応力定数
K g = 歪み定数
C は、次の表から計算される値:

2001 年 9 月
138 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

トランスデューサ
最大 G*に対する C 最小 G*に対する C
式 値 式 値

2K FRTN1 M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
2K FRTN1E C = 0.1 ç ÷ J = 1.15e-06 (rad/g·cm) q max
èJø
このトランスデューサは、このツールには一般にお
1K FRTN1 勧めしません。しかし、限られたアプリケーション
に対しては、用いることも可能です。
2K STD æ1ö M min
C = 0.1 ç ÷ J = 2.60e-06 C= (下記ノートを参照)
10K STD q max
èJø
100 FRT
200 FRT これらのトランスデューサでは、トーションフィク
100 FRTN1 スチャーの使用をお勧めしません。
200 FRTN1

ノート: M (g·cm)および θ (rad)の値は、第 1 章の仕様表(表 1-6~表 1-13)に示されています。お使い


のトランスデューサとモータの組み合わせによって、適正な値を用いてください。

マイクロソフト社のエクセルなどのスプレッドシートソフトを用いて、上の式を使用し、次に示す与えられ
たジオメトリ/トランスデューサに関し、複素粘度をプロットできます:

1) 式 4-1 を用いて、G*の最大値、および G*の最小値を計算します。


2) 複素粘度η*(Y 軸)vs 周波数ω(X 軸)の X-Y グラフをプロットします。

上下領域間の操作の限度は、テストできる複素弾性率の範囲です。

熱膨張係数(a)
周囲温度以外の温度でテストを行うときは、トーションジオメトリの熱膨張係数は、次のように定義され
ます:

DL æ 1 ö
a= ç ÷
Dt çè L0 ÷ø
æ1 ö
ここでa = 熱膨張係数 ç ÷
è °C ø
Dt = 温度変化(°C)
L0 = サンプルの元の長さ(mm)
DL = サンプルの長さの変化 (mm)
正のDLの値は、サンプルが長 くなることを示す

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 139
ARES 機器マニュアル

フィクスチャーのインストール
RSI
1) OrchestratorTM のコントロール・メニュー下のギャップの設定/機器の制御(Set
Gap/Instrument Control)機能を選択します。"上に上げる、Send to Top"ボタンにより、ステー
ジを装填位置に持ち上げます。
2) モータがオンになっていて、ダイナミック・モードになっていることを確認します。
3) アクチュエータ・シャフトに、上下フィクスチャーを取り付けます。
4) RSIOrchestratorTM のギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を
用いて、"ノーマル・フォースをゼロに、Offset Normal Force to Zero"および"トルクをゼロに、
Offset Torque to Zero"ボタンを使用して、トルクとノーマル・フォースをゼロにします。
5) ステッパ制御ボタンを用いて、フィクスチャーが近づいても接しないポイントまで、ステージを下
げます。
6) ギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を用いて、上下のフィ
クスチャーの開口部が整列しているのを確認します。
7) 2K FRT トランスデューサのみ(STD トランスデューサをお使いであれば、スキップしてください)、
RSI
OrchestratorTM のギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を
用いて、"ノーマル・フォースをゼロに、Offset Normal Force to Zero"および"トルクをゼロに、
Offset Torque to Zero"ボタンを使用して、ノーマル・フォースをゼロにします。
8) ステージを上げて、サンプルの装填に十分な空間を作ります。
サンプルの装填
図 4-6 および図 4-7 を参考にして次の手順を行ってください。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります
これは高トルクモータです。ダイナミックモードでこのモータを回転させると、ダイナミックゼロポジション
に高速で回転します。このため、トランスデューサや人体に対して極めて甚大なダメージを与える可能
性があります。あなた御自身やトランスデューサをダメージから避けるため:
· サンプルが乗せられている間は、決してモータをオンにしないでください。
· モータには決して手を触れないでください。
1) 次のサンプルの寸法を測定、記録します:
·幅、
·厚み、
· 長さ(STD トランスデューサのみ-2K FRT トランスデューサではギャップ設定から決めら
れます)
2) (サンプルの厚みをもとに)マッチングの取れたセッティング・アンビルを選択し、上下のツール
にあることを確認します。それぞれのアンビルは、2 つの異なる厚みのサンプルに取り付けら
れるように機械加工されたものであることに注意してください。"名目、nominal"の厚み(おおま
かに、クランプの中心)は、アンビル面の 2 個所(反対側)で押されています。セッティング・アン
ビルは、ツールの外の後ろ側("back")から、求める"名目、nominal"の厚みが目視できるよう取
り付けてください。
3) サンプルを下のフィクスチャー内に置きます。セッティング・アンビルとスライドするクランプに示
してふる参考ラインを用いて、ツールの中心にサンプルを置きます。特に、(調整ねじを用い
て)クランプを締めてサンプルを保持してください。
4) 上のフィクスチャーを、サンプルから上約 6.3mm になるまでステージを下げます。
RSI
5) OrchestratorTM の、ギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能
の、"モータ位置オフセット、Motor Position Offset"ボタンを用いて、必要であけば上のフィク
スチャーによってサンプルを半径方向に整列します。

2001 年 9 月
140 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

注意
機器にダメージを与える可能性があります
次のステップでは、トルクまたはノーマル・フォースをフルスケールの 50%より大きくしない
でください。これを怠ると、トランスデューサにダメージを与える結果となることがあります。

6) サンプルが上のフィクスチャーにフィットするのを確かめ、圧縮(下方)ノーマル・フォースが、フ
ルスケールの約 10%に増えるまでステージを下げます。サンプルが正しく整列しない場合は、
ステージを上げ、"モータ位置のオフセット、Motor Position Offset"ボタンを用いて、再度サン
プルとフィクスチャーを整えます。
7) サンプルがフィクスチャーに完全に挿入されていることを(目視で)確かめます。
8) (調整ねじを用いて)上下のスライディング・クランプを、トルク付きねじ回しで所要のトルクにな
るまで締め付けます。
9) ステージを、力がフルスケールの約 10%になるまで上げます。このテンションレベルは、一般的
な推奨値であり、ユーザはサンプルの特徴によって好ましい値を設定しください。自動テンショ
ンを用いると、ステージはノーマル・フォースがゼロになるよう調整されます。
RSI
10) OrchestratorTM の、ギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能
の、"モータ位置オフセット、Motor Position Offset"スライダを用いて、表示トルクがゼロになる
よう調整します。
ここでは"トルクをゼロにオフセット、Offset torque to Zero"ボタンを用いないでください。
11) ギャップを読みこの距離をサンプルの長さに記録します(2K FRT トランスデューサのみ)。
12) 温度を変化させるときは、コントロール(Control)プルダウン下のホールド(Hold)機能を用いま
す。

図 4-6 新しいトーションツール(トレクト)の詳細。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 141
ARES 機器マニュアル

図 4-7 サンプルを装填した、トーションツール。

2001 年 9 月
142 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-5.5 トーション、旧タイプ

歪み定数 応力定数
æ æ æ T ö öö÷
2 æ æ æ T öö ö
T ç ç ç 3 + ç18
. ç ÷÷ ÷
Kg = 1 - ç 0.378 ç ÷ ÷÷
L ç è W ø ø÷ø ç è è W øø ÷
è è Kt = 1000 ç ÷ Gc
çç WT 2 ÷÷
è ø

変数

Gc = 重力定数
= 980.7(cgs) or 98.07(SI)

T = サンプルの厚み(mm)
W = サンプルの幅(mm)
L = サンプルの長さ(mm)
オプション
厚み 0.76 mm~6.35 mm の適切なものを挿入

環境システム トーションフィクスチャー
(旧タイプ)
周囲
オーブン

一般情報
トーションフィクスチャーは、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、エラストマーなどの高弾性率固体のテス
トに用いられます。サンプルは上下のツール間に引っ張られた状態で、保持されます。いくつかのイン
サートは、各サンプルの厚みに対応します。

サンプルの寸法
物理的な制約を満たすサンプルを準備するには、次の指針を用います:
· 最大サンプル幅: 12.7 mm
· 標準サンプル長さ: 45 mm
· 挿入したインサートによるサンプルの厚み:

インサート名称 最大サンプル厚み(mm)
インサート 1 0.85
インサート 2 1.62
インサート 3 3.15

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 143
ARES 機器マニュアル

サンプルの厚みに対しては、常に正しいサイズのインサートを用いてください。サンプルがインサート
の中でしっかりとフィットしない場合は、エラーのあるデータが得られる結果となります。極めて薄いサ
ンプルには、同じサイズのシムをサンプルの両側に用いるという条件で、シムを用いることができます。

注意
軟らかいサンプルや、クランプに正しくフィットしないサンプルは、正確でないデー
タを得る結果となります。

操作の範囲
捜査の範囲は
操作の範囲は、トーションジオメトリを用いて、各トランスデューサのタイプで測定される、最大・最小の
*
複素係数 G で囲まれる範囲として定義されます。

次のジオメトリに特有な要因は、トーションジオメトリの操作の範囲に影響を及ぼします:
サンプルの厚み (応力定数 Kt および歪み定数 Kg)
サンプルの幅 (応力定数 Kt および歪み定数 Kg)
サンプルの長さ (歪み定数 Kg)
さらに、次のジオメトリに特有な要因は、トーションジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
· トランスデューサで測定できる最小トルク
· トランスデューサ コンプライアンス
· モータによって生成される最大歪み

*
トーションジオメトリを用いて、各トランスデューサのタイプで測定できる最大、最小 G を計算するには、
次の式を用います:

æ Kt ö
G * = çç ÷C
÷
(4-1)
è Kg ø

ここで K t = 応力定数
K g = 歪み定数
C は、次の式により計算される:
です。

2001 年 9 月
144 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

トランスデューサ
C for G* MAXIMUM C for G* MINIMUM
式 値s 式 値s

2K FRTN1 M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
2K FRTN1E C = 0.1 ç ÷ J = 1.15e-06 (rad/g·cm) q max
èJø
このトランスデューサは、このツールには一般にお
1K FRTN1 勧めしません。しかし、限られたアプリケーション
に対しては、用いることも可能です。
2K STD æ1ö M min
C = 0.1 ç ÷ J = 2.60e-06 C= (下記ノートを参照)
10K STD q max
èJø
100 FRT
200 FRT これらのトランスデューサでは、トーションフィク
100 FRTN1 スチャーの使用をお勧めしません。
200 FRTN1

ノート: M (g·cm)および ω (rad)の値は、第 1 章の仕様表(表 1-6~表 1-13)に示されています。お使い


のトランスデューサとモータの組み合わせによって、適正な値を用いてください。

マイクロソフト社のエクセルなどのスプレッドシートソフトを用いて、上の式を使用し、次に示す与えられ
たジオメトリ/トランスデューサに関し、複素粘度をプロットできます:

3) 式 4-1 を用いて、固定長・固定幅で、フィクスチャーが合わせられる最小・最大の厚みでサン
プルの G*の最大値、および G*の最小値を計算します。
4) 複素粘度η*(Y 軸)vs 周波数ω(X 軸)の X-Y グラフをプロットします。

上下領域間の操作の限度は、テストできる複素係数の範囲です。

熱膨張係数(a)
周囲温度以外の温度でテストを行うときは、トーションジオメトリの熱膨張係数は、次のように定義され
ます:

DL æ 1 ö
a= ç ÷
Dt çè L0 ÷ø
æ1ö
ここでa = 温度伸張係数 ç ÷
è °C ø
Dt = 温度変化(°C)
L0 = サンプルの元の長さ(mm)
DL = サンプルの長さの変化 (mm)
正のDLの値はサンプルの長さ が長くなることを示す

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 145
ARES 機器マニュアル

フィクスチャーのインストール
RSI
1) OrchestratorTM のコントロール・メニュー下のギャップの設定/機器の制御(Set
Gap/Instrument Control)機能を選択します。"上に上げる、Send to Top"ボタンにより、ステー
ジを装填位置に持ち上げます。
2) モータがオンになっていて、ダイナミック・モードになっていることを確認します。
3) アクチュエータ・シャフトに、上下フィクスチャーを取り付けます。
RSI
4) OrchestratorTM のギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を
用いて、"ノーマル・フォースをゼロに、Offset Normal Force to Zero"および"トルクをゼロに、
Offset Torque to Zero"ボタンを使用して、ノーマル・フォースをゼロにします。
5) ステッパ制御ボタンを用いて、フィクスチャーが近づいても接しないポイントまで、ステージを下
げます。
6) ギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を用いて、上下のフィ
クスチャーの開口部が整列しているのを確認します。
7) 2K FRT トランスデューサのみ(STD トランスデューサをお使いであれば、スキップしてください)、
RSI
OrchestratorTM のギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を
用いて、"ノーマル・フォースをゼロに、Offset Normal Force to Zero"および"トルクをゼロに、
Offset Torque to Zero"ボタンを使用して、トルクとノーマル・フォースをゼロにします。
8) ステージを上げて、サンプルの装填に十分な空間を作ります。

サンプルの装填
これは、2K FRT および STD トランスデューサのみを用いる場合の手順です。
図 4-8 を参考にして次の手順を行ってください。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります
これは高トルクモータです。ダイナミックモードでこのモータを回転させると、ダイナミックゼロポジション
に高速で回転します。このため、トランスデューサや人体に対して極めて甚大なダメージを与える可能
性があります。あなた御自身やトランスデューサをダメージから避けるため:
· サンプルが乗せられている間は、決してモータをオンにしないでください。
· モータには決して手を触れないでください。

1) 次のサンプルの寸法を測定、記録します:
幅、·
厚み、
·
· 長さ(STD トランスデューサのみ-2K FRT トランスデューサのギャップ設定から決められま
す)
2) インサートを選択し、サンプルを 2 つのインサート間に置きます。
3) (インサート付き)サンプルを下のフィクスチャー内に置きます。そのあと、両方のカラーをサン
プルの上に置きます(1 つは上に他はべつに)。下のカラーが下フィクスチャーの 4 本のストッ
プピンに同一面に入っていることを確認します。
4) 上のフィクスチャーがサンプルから約 6.2mm になるまでステージを下げます。
5) ギャップの設定/機器の制御(Set Gap/Instrument Control)機能をオープンします。"モータ位
置のオフセット、Motor Position Offset"ボタンを用い、必要に応じて、サンプルを上のフィクス
チャーと半径方向に揃えます。

2001 年 9 月
146 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

注意
機器にダメージを与える可能性があります
次のステップでは、トルクまたはノーマル・フォースをフルスケールの 50%より大きくしな
いでください。これを怠ると、トランスデューサにダメージを与える結果となることがありま
す。

6) 上のインサート (とサンプル)が上のフィクスチャーにフィットするのを確かめ、圧縮(下
方)ノーマル・フォースが、フルスケールの約 10%に増えるまでステージを下げます。サ
ンプルが正しく整列しない場合は、ステージを上げ、"モータ位置のオフセット、Motor
Position Offset"ボタンを用いて、再度サンプルとフィクスチャーを整えます。
7) インサートが、下の(および上の上)インサートの直接下にある 4 本の小さなピンに収ま
っているのを(目視で)確かめます。
8) カラーがフィクスチャー内の 4 本のストップピンに対して同一面に収まるのを確認しな
がら、上のカラーを上フィクスチャーまでスライドさせます。
9) 上下カラーを締め付けます。
10) ステージを、力がフルスケールの約 10%になるまで上げます。このテンションレベルは、
一般的な推奨値であり、ユーザはサンプルの特徴によって好ましい値を設定しください。
自動テンションを用いると、ステージはノーマル・フォースがゼロになるよう調整されます。
RSI
11) OrchestratorTM の、ギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument
Control)機能の、"モータ位置オフセット、Motor Position Offset"スライダを用いて、表
示トルクがゼロになるよう調整します。
ここでは"トルクをゼロにオフセット、Offset torque to Zero"ボタンを用いないでください。
12) ギャップを読みこの距離をサンプルの長さに記録します(2K FRT トランスデューサの
み)。
13) 温度を変化するときは、コントロール(Control)プルダウン下のホールド(Hold)機能を用
います。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 147
ARES 機器マニュアル

図 4-8 サンプルを装填したトーション。

2001 年 9 月
148 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-5.6 フィルムとファイバーの引っ張り

ファイバー歪み定数 ファイバー応力定数

1 100
Kg = Kt = Gc
2 1.8756pR 2

フィルム歪み定数 フィルム応力定数

1 100
Kg = Kt = Gc
2 18756
. TW

変数

Gc = 重力定数
= 980.7(cgs) or 98.07(SI)

R = プレートの半径(mm)
T = サンプルの厚み(mm)
W = サンプルの幅(mm)

オプション

環境システム
ファイバーとフィルムフィクスチャー
周囲
オーブン

一般情報
ファイバとフィルムのフィクスチャーは、フィルムとファイバーの引っ張りテストに用いられます。これは、
2K FRT トランスデューサのみと用いるよう考慮されています。また、等温テストのみに用いるように考
慮されています。
サンプルの寸法
すべてのファイバおよびフィルムサンプルの推奨する長さは、60mm です。同じく推奨するサンプルの
直径(ファイバ)または厚み(フィルム)は、0.001mm~0.1mm です。
操作の範囲
操作の範囲は、フィルムおよびファイバ・ジオメトリを用いて、各トランスデューサタイプで測定できる最

大・最小複素係数 E で囲まれる範囲で定義されます。

次のジオメトリに特有な要因は、フィルムとファイバのジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
フィルム – サンプルの厚みと幅(応力定数 Kt)
ファイバー – サンプルの半径(応力定数 Kt)

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 149
ARES 機器マニュアル

さらに、機器特有の要件により、すべての寸法に対して、操作範囲に影響を及ぼします:
· トランスデューサによって測定できる最小トルク
· トランスデューサのコンプライアンス
· モータによって生成される最大歪み


フィルムとファイバーを用いて、各トランスデューサのタイプによって測定される E の最大値と最小値
を計算するには、次の式を用います:

æ Kt ö
E * = çç ÷C
÷
(4-1)
è Kg ø

ここで K t = 応力定数
K g = 歪み定数
C は、次の式から計算されます:

トランスデューサ
最大値 E* に対する C 最小値 E* に対する C
式 値s 式 値s

2K FRTN1 M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
2K FRTN1E C = 0.1 ç ÷ J = 1.15e-06 (ラジアン/g·cm) q max
èJø
2K STD
10K STD
これらのトランスデューサは、ファイバーおよび
100 FRT
フィルムフィクスチャーで用いるにはお勧めしま
200 FRT
せん。
100 FRTN1
200 FRTN1
1K FRTN1

ノート: M (g·cm)および (ラジアン)の値は、第 1 章の仕様表(表 1-6~表 1-13)に示されています。お使


いのトランスデューサとモータの組み合わせによって、適正な値を用いてください。

2001 年 9 月
150 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

マイクロソフト社のエクセルなどのスプレッドシートソフトを用いて、上の式を使用し、次に示す与えられ
たジオメトリ/トランスデューサの組み合わせに関し、複素粘度をプロットできます:

3) 固定したサンプルの幅と、フィクスチャーが対応する最大・最小厚み(またはファイバの半径)を用
いて、さまざまな断面積のサンプルに対し、(式 4-1 を用いて) E*の最大値、および E*の最小値
を計算します。

4) サンプルの厚みの X-Y グラフをプロット、または半径(Y 軸)vs 複素係数 G (X 軸)をプロットし
ます。

上下領域間の操作の限度は、テストできる複素係数の範囲です。

フィクスチャーのインストールと整列
測定エラーは、上のフィクスチャーのサンプルホールだが下のフィクスチャーサンプルホールダと垂直
になっていない場合に起こります。整列用フィクスチャーを用いれば、確実に垂直性を得られます。図
4-9 を参考に、フィクスチャーを次のように整列します:

RSI
1) OrchestratorTM のコントロール・メニュー下のギャップの設定/機器の制御(Set
Gap/Instrument Control)機能を選択します。"上に上げる、Send to Top"ボタンにより、
ステージを装填位置に持ち上げます。
2) モータがオンになっていて、ダイナミック・モードになっていることを確認します。
3) サンプルホールダが、示すようにアームに確実に取り付けられるのを確認しながら、上
下フィクスチャーを取り付けます。
RSI
4) OrchestratorTM のギャップの設定/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)
機能を用いて、"ノーマル・フォースをゼロに、Offset Normal Force to Zero"および"ト
ルクをゼロに、Offset Torque to Zero"ボタンを使用して、ノーマル・フォースをゼロにし
ます。
5) 整列フィクスチャーを下のサンプル・ホールダに取り付けます。
6) 上のサンプル・ホールダが、整列フィクスチャーに接する約 3.2mm 手前までステージを
下げます。

注意
機器にダメージを与える可能性があります
次のステップでは、トルクまたはノーマル・フォースをフルスケールの 50%より大きくしないで
ください。これを怠ると、トランスデューサにダメージを与える結果となることがあります。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 151
ARES 機器マニュアル

7) 上のサンプルホールダが、トルクを発生させずに整列フィクスチャー内に入るまで、次のステス
ップを行ってください。

a) 必要に応じて、ギャップの設定/機器の制御(Set Gap/Instrument Control)機能の、"


モータ位置オフセット、Motor Position Offset"を用いて、アラインメントフィクスチャーと
上のサンプルホールダ間の半径方向を粗く揃えてください。
b) トルクがちょうど生成するところまでステージを下げます。
c) ギャップの設定/機器の制御(Set Gap/Instrument Control)機能の、"トルクをゼロに、
Offset torque to Zero"を用いて、トルクをゼロにします。
d) ギャップの設定/機器の制御(Set Gap/Instrument Control)機能に表示されるように、"
モータ位置オフセット、Motor Position Offset"とギャップの設定内容を記録します。
8) フィクスチャーが上のフィクスチャーと離れるまで、ステージを上げ、そのあと下のフィクスチャ
ーから整列フィクスチャーを取り外します。
9) ステージを、記録したギャップに達するまで下げます。

サンプルの装填
サンプルを装填する前に、サンプルがテストする温度になっていることを確認します。これは、言い換
えれば、正しいプリテンションが加えられるということを示します。次の手順を行うときは、図 4-9 を参照
してください。

1) サンプルを、下のフィクスチャーのサンプルホールダとクランプ間に置き、サンプルがアームに
平行であることを確かめながら、しっかりと締め付けます。

2) ギャップの設定/機器の制御(Set Gap/Instrument Control)機能を用い、下のフィクスチャー・


アームを回転します。すると、わずかに上のフィクスチャー・アームに近づきます。実際の距離
は、与えたプリテンション(PreTension)の大きさによって異なります(次のトピック、サンプルにプ
リテンションを与える(Applying Sample PreTension)を参照)。

3) サンプルのもう一方の端を、上のフィクスチャー・サンプルホールダとクランプ間に置き、サンプ
ルがアームに平行であることを確かめながら、しっかりと締め付けます。

4) "モータ位置のオフセット、Motor Position Offset"を、フィクスチャーのインストールと整列のと


きに読み込み記録した値に調整します。

2001 年 9 月
152 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

UPPER FIXTURE

ALIGNMENT FIXTURE

SAMPLE

SAMPLE HOLDER
(ONE EACH
UPPER AND LOWER)

CLAMP

LOWER FIXTURE

ALIGNMENT TOOL INSTALLED SAMPLE LOADED

図 4-9 ファイバーおよびフィルムのテンションフィクスチャー:

整列フィクスチャーとサンプル装填のようす(正面図)。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 153
ARES 機器マニュアル

サンプルにプリテンションを与える

プリテンション(PreTension)を与えるのは、基本的に、テスト中にサンプルをしっかりと保持するための
引っ張りで、これによりうねりやそりを防ぎます。プリテンションは、歪みオフセット(Strain Offset)を用い、
サンプルに適切なテンションが与えられるまでモータを回転させます。

一般に、推奨するプリテンションは、フルスケール・トルクの 5~10%です。ご自分の判断でプリテンショ
ンを与えてください。ただし、次のことを忘れないようにしてください:

テスト中に得られるトルクチは、プリテンションの範囲内になければならない。

たとえば、トルク範囲のフルスケールが 2000 g·cm を用いるミッドレンジ FRT でテストすることを考えま


す。テスト中に得られたトルク値は、200 g·cm (10% of 2000 = 200)を超えてはなりません。プリテンショ
ン値を超えることは、サンプルがそったりゆがんだりすることを表します。

テスト中に、プリテンション(PreTension)が不十分(フルスケール・トルクの 10%未満)であっても、歪みオ
フセット(Strain Offset)を調整してテンションを大きくしないでください。そのような操作は、フィクスチャ
ーの整列エラーとなります。その代わり、プリテンション(PreTension)を与えるには、次の方法をお勧め
します:

プリテンション(PreTension)が大きすぎる(フルスケール・トルクの 10%より大きい)場合:

プリテンションが、フルスケールトルクの 5~10%になるまでサンプルのクランプを緩め、そのあと再
びクランプを締めます。

プリテンション(PreTension)が不十分(フルスケール・トルクの 10%未満)の場合:

a) 現在の"モータ位置オフセット、Motor Position Offset"の読みを(ギャップの設定/機器の制御


(Set Gap/Instrument Control)機能に表示されるように記録します。そのあと、サンプルが緩む
まで、"モータ位置オフセット、Motor Position Offset"スライダを調整します。
b) 下のフィクスチャーサンプルのクランプを緩めま、サンプル内のスラックを取り外し、再びサン
プルのクランプを締めます。
c) スライダを用い、"モータ位置オフセット、Motor Position Offset"を、ステップ a で記録値の値
までリストアします。
d) プリテンション(PreTension)がフルスケールトルクの 5~10%になるまで、ステップ a から c を繰り
返します。

歪みを命令する

一般に、パーセントで歪みを命令すると、次のトルク値になります:

プリテンション値の 50%未満。
使用しているトランスデューサによって測定できる最小トルクより大きい。

2001 年 9 月
154 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-5.7 クエット

歪み一定 応力一定

Kg =
2
Kt =
(1000 ) ( Gc )
2
2 p L ( RB )
2
æR ö
1 - çç B ÷÷
è RC ø

変数

Gc = 重力定数
= 980.7(cgs)または 98.07(SI)
L = ボブの長さ(mm)

RB = ボブの半径(mm)
RC = カップの半径(mm)

オプション
25 mm ボブ/ 27 mm カップ(周囲テストのみ)
32 mm ボブ/ 34mm カップ(流体バスまたは流体バス 2 用)
16.5 mm ボブ/17mm カップ(流体バスまたは流体バス 2 用)

環境システム
周囲
オーブン
流体バス、流体バス 2 * クエット取り付け具
* 下方フィクスチャーに関して、より詳細は第 2 章参照

一般情報
クエットフィクスチャーは、並行プレートでは十分なトルクを生成しない低粘度の流体のテストに用いら
れます。また、流体の汚れが他のフィクスチャーでは用いられないところにも用いることができます。
操作範囲

操作範囲は、最大および最小複素係数 G の範囲として定義されます。これは、クエットを用いて各ト
ランスデューサによって計測できます。次のジオメトリ依存ファクターは、クエットの操作範囲に影響を
及ぼします:
· ボブの長さ(応力一定 K t )

· ボブの半径(歪み一定 K g および応力一定 K t )
· カップの半径(歪み一定 K g )

さらに、次の機器に依存するファクターはすべてのジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
· トランスデューサによって測定される最小トルク
· トランスデューサのコンプライアンス
· モータにより発生できる最大歪み

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 155
ARES 機器マニュアル


クエットを用い、各トランスデューサタイプで測定できる G の最大および最小を計算するには、次の
式を用います:

æ Kt ö
G * = çç ÷C
÷
(4-1)
è Kg ø

ここで K t = 応力定数
K g = 歪み定数
C は次の式から計算されます:

トランスデューサ
G* 最大の C G* 最小の C
式 値 式 値

2K FRTN1 M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
2K FRTN1E C = 0.1 ç ÷ J = 1.15e-06 (rad/g·cm) q max
èJø
M min
1K FRTN1 æ1ö C= (下記ノートを参照)
C = 0.1 ç ÷ J = 4.9 e-06 q max
èJø
2K STD このトランスデューサはクエットに使用することを
10K STD お勧めしません。

100 FRT for =100; J = 2.60e-05


æ1ö
200 FRT C = 0.1 ç ÷ for =10; J = 2.60e-06
èJø M min
100 FRTN1 C= (下記ノートを参照)
200 FRTN1 q max
M
C = max for <10; (下記ノートを参照)
q min

ノート: M (g·cm) と (rad)に対する値は、第 1 章の仕様表(表 1-6~表 1-13)に示されています。ご使用


のトランスデューサとモータの組み合わせから適切な値を取り出してください。

与えられた周波数で計測される、最大または最小複素速度を決めるには、次の式を利用します:

G*
h* = (4-2)
w


ここで  = 複素粘度(ポアズ)

G = 複素係数(ダイン/cm2)
 = 周波数(ラジアン/sec)

2001 年 9 月
156 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

マイクロソフト社のエクセルのようなスプレッドシートを用いると、上の式を用いることができ、与えられた
ジオメトリ/トランスデューサの組み合わせに対して複素速度の範囲を次のようにプロットできます:

1) 式 4-1 を用いて、G* の最大値および G*の最小値を計算する。


2) 式 4-2 に G*の最大値を代入して、各(は、トランスデューサの操作範囲内で、最低か
ら最高周波数まで選択します)における を計算して、操作の上限を決定します。
3) 式 4-2 に G*の最大値を代入し、各 での 
を計算して、操作の最小値を決定します。
4) 複素粘度 
(Y 軸)vs 周波数
(X 軸)の X-Y グラフをプロットします。

操作の上・下限間の領域は、テストする複素粘度の範囲です。補遺 1 には、いくつかのトランスデュー
サと標準モータ用のボブとカップに関する G*の値の表が示されています。

フィクスチャーのインストール

下側フィクスチャーを流体バスのどちらかにインストールするのであれば、インストールする前に、第 2
章の適切な節(ユーザ所有のバス)でより詳しい情報を得てください。

RSI
1) OrchestratorTM にあるコントロールメニューのギャップ設定/機器のコントロール(Set Gap/
Instrument Control)を選択します。Use the "上に上げる、Send to Top"ボタンを使用して、ス
テージを装填位置まで持ち上げます。
2) モータがオンであることを確認し、トランスデューサ・シャフトに上フィクスチャーを取り付け、環
境コントロールシステムにより、下フィクスチャーを流体バスまたはアクチュエータシャフトの流
体バスに下げます。
RSI
3) OrchestratorTM のギャップ設定/機器のコントロール(Set Gap/ Instrument Control)機能を用
い、"ノーマル・フォースをゼロにオフセット、Offset Normal Force to Zero"および"トルクをゼロ
にオフセット、Offset Torque to Zero"ボタンにより、モータのノーマル・フォースとトルクをゼロ
にします。

サンプルの装填
一般に、サンプルをカップに注ぎ、ボブの上面がサンプルの面の下、1~2mm 低くなるまで下ろします
(図 4-10)。ボブの上面は、カップ上面下 0~5mm の間に入るようにしてください:

ボブ/カップサイズ サンプル容量
16.5 mm / 17 mm 4 ml
25 mm / 27 mm 8 ml
32 mm / 34 mm 15 ml
Vane / 34 mm 40 ml

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 157
ARES 機器マニュアル

図 4-6 サンプルを取り付けたクエット

ベーン・ツール
ベーン・ツールは、状況によってボブを交換するように設計されています。これはフォームやローション
のような、通常のボブではすべるかもしれない、高分子構造の材料に用いられます。この滑り易さによ
り、通常のボブを用いれば、降伏応力が間違って判断されることとなります。これらの流体に対しては、
ベーン・ツールを用いれば、ベーン内の材料は、固体の栓のように動きます。しかし、せん断薄化が少
ない流体は、ベーン間に二次流れが生じ、このため誤った粘度せん断速度データが得られるため、材
料に対して正しいツールを用いることが重要となります。また、ベーン・ツールは"塊のあるような、
chunky"流体や、さらに大きな粒子を含む流体などに有用です。多くの食品アイテムは、この分類に入
ります。

ベーン・ツールは、クリープ/回復(降伏応力を測定する)または、低スピードの定常せん断テストに用い
られます。ベーン・ツールは、低スピードの定常テストのみに使用してください。

ベーン・ツールは、標準のボブと同様な扱いです。クエットジオメトリも RSIOrchestratorTM.で選択します。
ツールの寸法は図 4-11 に示すように決定されます。ベーン・ツールは 34mm カップで用いるように設
計それています。サンプルの乱れを最小にするため、ベーン・ツールは注意深く下降させてください。

図 4-7 ベーン・ツール

2001 年 9 月
158 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-5.8 二重壁クエット
ボブ

歪み一定 応力一定

Kg =
1
+
1
Kt =
(1000) ( Gc )
( )
2
æ R2 ö æ R ö2
2p L ( R2 ) + ( R3 )
2 2
çç ÷÷ - 1 1 - çç 3 ÷÷
è R1 ø è R4 ø

変数

Gc = 重力定数
= 980.7(cgs)または 98.07(SI)
L = ボブの長さ(mm)

R1 R2 R3 R4 は図の半径に等しい:

オプション
カップ ボブ
外径 34 mm/内径 27.95 外径 32 mm/内径 29.5 二重壁クエット・フィクスチャー

環境システム
流体バス、流体バス 2 *
* 下方フィクスチャーの詳細については、第 2 章を参照

一般情報
二重壁クエットフィクスチャーは、並行プレートでは十分なトルクを生成しない低粘度の流体をテストす
るのに用いられます。また、少量のサンプルが必要な場合にも用いられます。

操作範囲

操作範囲は、最大および最小複素係数 G の範囲として定義されます。これは、二重壁クエットを用
いて各トランスデューサによって計測できます。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 159
ARES 機器マニュアル

次のジオメトリ依存ファクターは、二重壁クエットの操作範囲に影響を及ぼします:
· カップの内径、R1 (歪み一定 Kg)
· カップの外径、R4 (歪み一定 Kg)
· ボブの内径、R2 (応力一定 Ktおよび歪み一定 Kg)
· ボブの外径、R3 (応力一定 Ktおよび歪み一定 K )
· ボブの長さ(応力一定 Kt)

さらに、次の機器に依存するファクターは、すべてのジオメトリの操作範囲に影響を及ぼします:
· トランスデューサにより計測される最小トルク
· トランスデューサのコンプライアンス
· モータによって生成される最小歪み


二重壁クエットを用いて、各トランスデューサのタイプによって測定される、最小および最大 G を計算
するには、次の式を用います:

æ Kt ö
G * = çç ÷C
÷
(4-1)
è Kg ø

ここで K t = 応力定数
K g = 歪み定数
C は下記の式から計算されたもの:

トランスデューサ
G* 最大の C G* 最小の C
式 値 式 値

2K FRTN1 M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
2K FRTN1E C = 0.1 ç ÷ J = 1.15e-06 (rad/g·cm) q max
èJø
M min
æ1ö C= (下記ノートを参照)
1K FRTN1 C = 0.1 ç ÷ J = 4.9 e-06 q max
èJø
2K STD このトランスデューサは二重壁クエットに使用す
10K STD ることをお勧めしません。

100 FRT for =100; J = 2.60e-05


æ1ö
200 FRT C = 0.1 ç ÷ for =10; J = 2.60e-06
èJø M min
100 FRTN1 C= (下記ノートを参照)
200 FRTN1 q max
M
C = max for <10; (下記ノートを参照)
q min

ノート: M (g·cm) と (rad)に対する値は、第 1 章の仕様表(表 1-6~表 1-13)に示されています。ご使用


のトランスデューサとモータの組み合わせから適切な値を取り出してください。

2001 年 9 月
160 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

与えられた周波数で計測される、最大または最小複素粘度を決定するには、次の式を使用します:

G*
h* = (4-2)
w


ここで、  = 複素粘度(ポアズ)
G = 複素係数(ダイン/cm2)
 = 周波数(ラジアン/sec)

マイクロソフト社のエクセルなどのスプレッドシートソフトを用いて、上の式を使用し、次に示す与えられ
たジオメトリ/トランスデューサに関し、複素粘度をプロットできます:

1) 式 4-1 を使用して、G*の最大値、および G*の最小値を計算します。


2) 式 4-2 に G*の最大値を代入して、各(は、トランスデューサの操作範囲内で、最低か
ら最高周波数までで選択します)における を計算して、操作の上限を決定します。
3) 式 4-2 に G*の最大値を代入し、各 での 
を計算して、操作の最小値を決定します。
4) 複素粘度 
(Y 軸)vs 周波数
(X 軸)の X-Y グラフをプロットします。

操作の上・下限間の領域は、テストする複素粘度の範囲です。補遺 1 には、いくつかのトランスデュー
サとモータ用の二重壁クエットに関する G*の値の表が示されています。

フィクスチャーのインストール
二重壁クエットの下側フィクスチャー(カップ)は、流体バスまたは流体バス 2(第 2 章を参照)に取り付け、
高精度の温度コントロールを行います。このフィクスチャーをバスに入れる前に、テスト・ステーションに
バスをインストールします。

注意
機器にダメージを与える可能性があります
下方のフィクスチャーの温度が、バスのそれより低い場合は、下部のフィクスチャーをバ
スの中に置かないでください。
フィクスチャーより暖かいバスに置くと、フィクスチャーは使用中に膨張してきます。膨張
すると、バスにダメージを与えないで取り外すことは困難になります。
フェノール製スペーサを下方フィクスチャーの上端とバスの表面の間に一部分を挿入す
ることをお勧めします。下方のフィクスチャーの温度がバスの温度になるまで待ち、その
後そのスペーサを取り外したあと下方のフィクスチャーを完全に挿入します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 161
ARES 機器マニュアル

1) 図 4-13 に示すように、マウント用スクリューを用いて、内側のカップを、外側のカップに組み
込んで、下側フィクスチャー(カップ)を組み立てます。O リングには、汚れおよび傷のないもの
を用いてください。
RSI
2) OrchestratorTM のコントロール・メニュー下のギャップ設定/機器のコントロール(Set
Gap/Instrument Control)機能を選択します。"上に上げる、Send to Top"ボタンにより、ステー
ジをローディング位置に持ち上げます。
3) モータがオンになっていることを確認したあと、トランスデューサのシャフトに上のフィクスチャ
ーを取り付け、下側のフィクスチャーと PRT は、適切にセットした流体バスに取り付けます。
RSI
4) OrchestratorTM のギャップのセット/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を
用いて、"ノーマル・フォースをゼロに、Offset Normal Force to Zero"および"トルクをゼロに、
Offset Torque to Zero"ボタンを使用して、ノーマル・フォースをゼロにします。
5) 手動ステージコントロールボタンを用いて、ボブの上面がカップ上面の下になるまで、ステー
ジを下げます(図 4-12A)。
6) 直定規をカップの上面に置きます。ノーマル・フォースをモニタしながら、ボブの上面が直定
規に接触するまで、ステージをゆっくりと上昇させます。ボブが直定規に接触すれば、ノーマ
ル・フォースが大きく上昇します(図 4-12B)。
7) ギャップセット/機器のコントロール(Set Gap/Instrument Control)"機能にある、ゼロ・インジケ
ータ、Zero Indicator"ボタンを用いて、ギャップをゼロにします。
8) ステージを上げて、サンプルの装填に十分な空間を作ります。

サンプルの装填
仮のサンプル容量は 8ml です。一般に、サンプルをカップに注ぎ、ギャップが再びゼロになるまで、ボ
ブを下げると、サンプルは図 4-12C に示すように現れます。ギャップが前の節で述べたようにセットさ
れると、これはボブの長さが 31,90mm となります。ボブの上面は、できるだけカップの上面とちょうど同
じくなるようにしてください。

フィクスチャーのメインテナンス
下側フィクスチャーの清掃を簡単にするため、必要に応じて内部カップを外部カップからはずすことが
できます。O リングが切れていたり傷がついていないか検査をし、必要であれば交換してください。

2001 年 9 月
162 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

図4-1. 二重壁クエットのセットアップと使用。A と B – ギャップのセッティング、C - サンプルを装填。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 163
ARES 機器マニュアル

図4-2. 二重壁クエットのセットアップ、外側と内側のカップおよびツールの寸法を示す。

2001 年 9 月
164 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

4-6 テストに使用する式

すべての式と寸法定数は、RSIOrchestratorTM のオンラインヘルプにも記されています(Contents タブの下の Reference


Guide を参照)。

4-6.1 ダイナミック計測用の式

表4-1. ダイナミック計測用の式。

変数と式 変数の定義

t = 応力 Kt = 応力定数
= (Kt) (M)
M = トルク(g・cm)
g = 歪み Kg = 歪み定数
= (Kg) (q) q = モータのせん断角(ラジアン)
G' = 弾性(ストーレッジ)係数
ætö
= cos d ç ÷
èg ø
G'' = 粘性(損失)モジュール
ætö
= sin d ç ÷
èg ø d = 位相角(応力と歪みベクトル間の位相シフト)
G = 複素係数
t
= (G' )2 + (G'' )2 =
g

tan d = 損失係数
G''
=
G'
h' = ダイナミック(複素)粘性の実部
G''
=
w
w = 周波数(角度、rad/sec)
h'' = ダイナミック(複素)粘性の虚部
G'
=
w

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 165
ARES 機器マニュアル

表 4-1. ダイナミック測定用の式(つづき)

変数と式 変数の定義

h= 動(複素)粘度
G*
=
w
Jゥ = ストレージコンプライ アンス
Gゥ
=
(Gゥ) +(Gゥゥ )2
2

Jゥゥ = ロス コンプライアン ス
Gゥゥ
=
(Gゥ) +(Gゥゥ )2
2

4-6.2 定常および遷移域計測用の式

表4-2. 定常および遷移域計測用の式

パラメータと式 変数の定義

t = 応力 Kt = 応力定数
= (Kt) (M)
M = トルク (g•cm)

g = 歪み Kg = 歪み定数
= (Kg) () q = モータのせん断角(ラジアン)

g&= 歪み率(せん断率) Kg = 歪み定数


( )( )
= Kg q& q&= モータの角速度(ラジアン/sec)
h = 粘度 g&= 歪み速度
t dg
= =
g& dt

N1 = ノーマル・ストレス
= K Z * FZ

2001 年 9 月
166 902-30026 改訂 B
第 4 章: テスト部ジオメトリ

表 4-3 歪みと応力定数

ジオメトリ 歪み定数 K  応力定数 K 

並行プレート R 2(Gc )
H 3
æRö
pç ÷
è 10 ø
コーンとプレート 1 3000(Gc )
b 2p R 3

矩形ねじり
T æç æç æ T ö öö æ æ ö ö ö÷
2
1 - 0.378ç ÷ ÷ ÷ ç 3 + ç1.8æç T ÷ ÷÷
ç
L ç çè è W ø ÷ø ÷ø ç
1000ç è èW øø ÷
è ÷ Gc
ç WT 2 ÷
ç ÷
è ø

ファイバー 1 100
Gc
2 1.8756p R 2

フィルム 1 100
Gc
2 1.8756T W

クエット 2
2 (1000)(G c )
æR ö
1 - çç B ÷÷ 2 p L( R B ) 2
è RC ø
ダブルウォール・クエット 1 1
+ (1000)(Gc )
2p L((R2 )2 + (R3 )2 )
2 2
æ R2 ö æ R3 ö
ç ÷ ç ÷
ç R ÷ -1 1- ç R ÷
è 1ø è 4ø

変数:
L = 長さ(mm) W = 幅(mm) T = 厚み(mm) R = 半径(mm) H = 高さ(mm)
2
Gc = 重力定数 = 980.7 cm/s = コーン角度
RB = ボブ半径 RC = カップ半径
ダブルウォール・クエットの R 1, R2, R3, R 4 の定義に関しては、図 4-13 を参照

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 167
ARES 機器マニュアル

ノート:

2001 年 9 月
168 902-30026 改訂 B
5
キャリブレーション
第 章
CHAPTER 5 CALIBRATION
5
5-1 はじめに
この章では、ユーザが行うことのできるキャリブレーションの手順が述べられています。機器と
RSI
OrchestratorTM ソフトウェアの両方をよく理解する前にキャリブレーションを行わないでください。キャ
リブレーションの手順は RSIOrchestratorTM のバージョン 6.5.6 用に書かれています。これはこのマニュ
アルが発行された時点にリリースされたソフトウェアです。しかし、以後のソフトウェアのリリースでは、予
告なくメニューや機能名など変更される場合があります。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります

この機器の操作には高電圧が使用されています。操作する人が安全に関する注意事項の実行を怠ると
感電死する場合があります。高電圧の接続部分を熟知し、機器のキャリブレーションを行うとき、それらの
部分に接触しないよう注意してください。機器の内部を作業する前には、すべての宝飾品をはずし、電
源を切り、手を触れる前に高電圧部をアースしてください。絶縁された電子調整ツールを用いて調整を
行ってください。機器に電源が供給されているときは、機器の内部のどのコンポーネントにも直接触れな
いようにしてください。

5-2 手順

5-2.1 キャリブレーション間隔
表 5-1 は必要なキャリブレーション・タスクと、各タスクに対するお勧めするキャリブレーション間隔を示
します。この表はまた、キャリブレーションはこのように行うということも示します。

表5-1. キャリブレーション・タスクと推奨する間隔。

キャリブレーション・タスク キャリブレーション間隔

トルクのキャリブレーション 推奨: 月ごとに


必須: トランスデューサの交換のとき。

ノーマル・フォースのキャリブ 推奨: 月ごとに


レーション 必須: トランスデューサの交換のとき。

位相角のチェック 推奨: 月ごとに


必須:トランスデューサの交換のとき。
システムの問題を診断するとき。

推奨: 月ごとに
歪みキャリブレーション・チェ
必須: モータ制御システムの問題を診断するとき。
ック

2001 年 9 月 169
902-30026 改訂 B
ARES 機器マニュアル

図5-1. ARES キャリブレーションのフィクスチャー。

2001 年 9 月
170 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

トルクのキャリブレーション(すべてのトランスデューサ用)

トルクのキャリブレーションを行うと、トランスデューサはトルクを正確に計測できるようになります。キャリ
ブレーションは、キャリブレーションフィクスチャーに乗せた正確なウェイトを吊り下げて行います。これ
は 2.5cm のモーメントアームで、キャリブレーション中にトランスデューサの上に取り付けます。したが
って、与えられたトルクは、重量と 2.5cm の積です。たとえば、500g のウェイトは、トルクが(500 g)(2.5
cm) = 1250g・cm となります。

ここ以降のすべてのキャリブレーションでは、ホストコンピュータは ARES テストステーションに接続さ
れ、かつ RSIOrchestratorTM が実行されていることを前提としています。

手順
1) FRT をキャリブレートするときは、作業を進める前にトランスデューサが高レンジ(High Range)
に設定されていることを確認してください。高レンジに設定するには:
a) ユーティリティ(Utilities)プルダウンメニューの、 サービス(Service)オプションからトランス
デューサ(Transducer)を選択して、トランスデューサの特性を設定(Set Transducer
Characteristics)(図 5-7)フォームにアクセスします。
b) 選択したトランスデューサ"Transducer Selected"メニューから高レンジトランスデューサ
(high range transducer)を選択した後、"Ok"をクリックします。
2) すべてのテスト用フィクスチャーを取りはずします。
3) モータをオンにします。
4) ステージを上昇させ、ステンレス・スチール製のトランスデューサカバーの下を、機器のカバー
下約 5.1cm 持ち上げます(図 5-2)。
5) 図 5-1 から、どのキャリブレーションフィクスチャーを基本にするか決めてください。選択したフ
ィクスチャーとトランスデューサにより、プーリ・ホイールまたはハブを取り付けてください。
6) 図 5-2 に示すように、キャリブレーションフィクスチャーとプーリをインストールしてください。
a) For 10K STD トランスデューサには:
2 個のプーリが供給されます。図 5-2 を参考にし、テストステーションのそれぞれ
の側にプーリを挿入し、各プーリ・シャフトの平面加工した側が、アクセス・ホール
に向いていることを確認してください。図 5-2 は、右側のプーリだけを示しているこ
とに注意してください。
b) 他のすべてのトランスデューサには:
図 5-2 に示すように、テスト・ステーションのフレームにプーリを挿入します。プー
リ・シャフトの平面加工した側がアクセス・ホールに向いていることを確認してくださ
い。
1.5mm の六角レンチを用いて、アクセスホール内でセットスクリューにより、プーリを確実に取り
付けてください。キャリブレーションフィクスチャーとプーリは、図 5-3 に示すようにインストール
されていることを確認してください。10K STD トランスデューサをお持ちであれば、左側にもう 1
個のプーリをインストールしてください。
7) RSIOrchestratorTM のギャップセット/機器の制御(Set Gap/Instrument Control)機能を用い、”ノ
ーマルフォースをゼロにオフセット"Offset Normal Force to Zero"”ボタンと”トルクをゼロにオ
フセット"Offset Torque to Zero"”ボタンにより、モータのノーマル・フォースとトルクをゼロにし
ます。終了すれば、このフォームから出ます。
8) 表 5-2 に示すように、使用しているトランスデューサにより、キャリブレーション・ラインを用意し
ます。それぞれの終わりでは、ループを作成してキャリブレーション・ラインを用意します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 171
ARES 機器マニュアル

図 5-2 キャリブレーションフィクスチャーと 1 個のプーリのインストール

2001 年 9 月
172 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

図 5-3 インストールされたキャリブレーションフィクスチャーと 1 個のプーリ

表 5-2 キャリブレーションライン

トランスデューサ キャリブレーション・ライン

2K FRTN1 モノフィラメントの長さにカット
2K FRTN1E (パーツ番号 613-01075)
1K FRTN1
2K STD
100 FRTN1
200 FRTN1 スレッドの長さにカット
(パーツ番号 613-00716)
100 FRT
200 FRT
モノフィラメントの長さの 2 つの別の長さにカット
10K STD (パーツ番号 613-01075)

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 173
ARES 機器マニュアル

9) ユーティリティ(Utilities)プルダウンメニューの、 RSIOrchestratorTM 機能、”機器をキャリブレート


Calibrate Instrument”を用いて、トランスデューサの特性(Transducer Characteristics)フォー
ムにアクセスします。

10) "XducerCal"ボタンを選択します。"ゼロ、Zero"を選択して、トルクゼロ参考値を作ります。約
30 分待機します。この間に、機器はいくつか読み込みを行い、トルクゼロ参考値を作ります。ト
ルクのゼロ化が完了すると、トランスデューサ・キャリブレーション(Transducer Calibration)のフ
ォームが表示されます(図 5-4)。このフォームに表示されたゼロ値は、フルスケール・トルク値
の 0.1%未満でなければなりません。

If, after selecting the "ゼロ、ZERO"ボタンを選択した後、表示されたトルク値は、(たとえば


1E+5 のような)極めて大きな値またはちょうどゼロとなります。トラブル・シューティングガイドを
参照してください。

注:
少なくとも 1 回の読み込みがなされるまで、ウェイトは吊り下げないでください。

11) 次に示すように、使用しているトランスデューサによって、キャリブレートされたトルク(図 5-5)を


与えてください:
a) キャリブレーションフィクスチャーのハブの上のライン端に置き、プーリの溝にラインを
置いてください。
b) 表 5-3 に示すように、ラインのループから(使用しているトランスデューサによって)ウェ
イトを吊ります。
c) ウェイトは他のものに触れず、静止している(左右に振れない)ことを確認してください。
12) "トルク・キャリブレーション、Torque Cal"ボタンを選択します。トルク・キャリブレーション、
Torque Calibration フォームが表示されます。
13) 使用しているトランスデューサにより、表 5-3 で指定されたキャリブレーション・トルクを入力し
ます。
14) "すぐにキャリブレート、Calibrate Now"ボタンを選択します。キャリブレーションが完了すれば、
トランスデューサのキャリブレーション、Transducer Calibration フォームが再度表示されます。

図 5-4 トランスデューサのキャリブレーション・フォーム。

2001 年 9 月
174 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

図 5-5 キャリブレーションウェイトを用いてトルクを与える。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 175
ARES 機器マニュアル

15) 使用しているトランスデューサにより、トランスデューサ・キャリブレーション(Transducer
Calibration )フォーム(図 5-4)に示されるトルク (Torque) 値が、表 5-3 に示すトルク値(TORQUE
VALUE)の範囲にあることを確認してください。トランスデューサ・キャリブレーション(Transducer
Calibration )フォームに示される、現在のトルク・キャリブレーション(Current Torque Cal)値が、
表 5-3 に示す、キャリブレートされたフルスケール(CALIBRATED FULL S CALE VALUE)値の範囲
内にあることを確認してください。
トルクの値が指定する範囲にない場合は、テクニカル・サービス部までご連絡ください。
16) 了解(Accept)ボタンを選択します。画面は、トランスデューサの特徴(Transducer
Characteristics)フォームに戻ります。
17) 画面(トランスデューサが FRT の場合は高レンジ値)に表示される、トルク・キャリブレーション
値(Torque Calibration Value)が、いま表示されたトランスデューサ・キャリブレーション画面の、
現在のトルク・キャリブレーション(Current Torque Cal)と同じであることを確認してください。
"Ok"を押します。
18) 使用しているトランスデューサが FRT の場合は、次の手順を行ってください。STD の場合は、
ステップ 19 に進んでください。
c) ユーティリティ(Utilities)プルダウンメニューのサービス(Service)機能から、トランスデュ
ーサ(Transducer)オプションを選択して、トランスデューサ特性の設定(Set Transducer
Characteristics)にアクセスします。
d) 高レンジトランスデューサ用の表示されている、トルク・キャリブレーション値(Torque
Calibration Value)を 10 で割り、低レンジトランスデューサ用として(画面内に)この値を
入力します。1K FRTN1 トランスデューサのみは、高レンジのトルクキャリブレーション値
(Torque Calibration Value)を 50 で割り、低レンジのトランスデューサ用セッティングに
この値を入力します。
19) Ok をクリックします。必要であれば、ノーマル・フォース・キャリブレーションに進んでください。
必要でない場合は、キャリブレーションフィクスチャー、ウェイト、プーリを取り外し、キャリブレ
ーションキットに保管してください。
これで、トルク・キャリブレーションは完了です。

表 5-3 トルク・キャリブレーションのウェイト、付加トルク、フルスケール値。
キャリブレーション トルク値 キャリブレートされた
トランスデューサ ウェイト トルク(付加) (表示) フルスケール値
(計算値)
2K FRTN1 200 grams 500 g・cm 500 ± 2 g・cm 2100 ± 5%
2K FRTN1E (p/n 613-01221) (498~502) (1995~2205)
2K STD
1K FRTN1 200 grams 500 g・cm 500 ± 1 g・cm 1050 ± 5%
(p/n 613-01221) (499~501) (997.5~1102.5)

100 FRTN1 20 grams 50 g・cm 50 ± 0.1 g・cm 105 ± 5%


100 FRT (p/n 613-02775) (49.9~50.1) (99.75~110.25)

200 FRTN1 20 grams 50 g・cm 50 ± 0.2 g・cm 210 ± 5%


200 FRT (p/n 613-02775) (49.8~50.2) (199. 5~220. 5)

10K STD Two - 1000 gram 5000 g・cm 5000 ± 10 g・cm 10,500 ± 5%
(p/n 613-01222) (4980~5020) (9975~11,025)

2001 年 9 月
176 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

5-2.2 ノーマル・フォース・キャリブレーション(すべてのトランスデューサ用)

ノーマル・フォース・キャリブレーションを行うことにより、正しいノーマル・フォース(法線応力)を計測す
ることができます。このキャリブレーションは、キャリブレーションフィクスチャーに精密なウェイトを吊り下
げて行い、キャリブレーション中はトランスデューサに取り付けられています。付加されるノーマル・フォ
ースは、キャリブレーションフィクスチャーに加えられた重量の合計です。たとえば、1000g の重量は、
1000gmf のノーマル・フォースを与えます。

ノーマル・フォース・キャリブレーションの手順
1) FRT をキャリブレートする場合は、進める前にトランスデューサが高レンジ(High Range)にセッ
トしてください。トランスデューサを高レンジにセットするには:
a) ユーティリティ(Utilities)プルダウンメニューのサービス(Service)機能から、トランスデュ
ーサ(Transducer)オプションを選択し、トランスデューサの特徴の設定(Set Transducer
Characteristics)にアクセスします。
b) 選択したトランスデューサ"Transducer Selected"メニューを用い、高レンジトランスデュ
ーサを選択し、"Ok" をクリックします。
2) モータをオンにします。
3) ステージを最高の位置まで上げ、すべてのテストフィクスチャーを取りはずします。
4) 図 5-2 に示すように、キャリブレーションフィクスチャーをインストールします(プーリはインスト
ールする必要はありません)。
RSI
5) OrchestratorTM のギャップセット/機器コントロール(Set Gap/Instrument Control)機能を用い、
ノーマル・フォースをゼロに"Offset Normal Force to Zero"ボタンでモータのノーマル・フォー
スをゼロにオフセットします。
6) ユーティリティ(Utilities)プルダウンメニュー下の RSIOrchestratorTM 機能、機器のキャリブレート
(Calibrate Instrument)を用いてトランスデューサの特徴(Transducer Characteristics)にアクセ
スします。
7) トランスデューサのキャリブレーション"XducerCal"ボタンをクリックします。ゼロ("Zero")ボタン
を選択して、トルクゼロ参照値を作ります。ここで約 30 秒待ちます。この間に機器は何回か読
み込みを行い、トルクゼロ参照を作ります。ゼロ化が完了すれば、トランスデューサのキャリブ
レーション(Transducer Calibration)フォームが表示されます(図 5-4)。

ゼロ"Zero"ボタンを選択したあと、表示されるノーマル・フォース(NORMAL FORCE)値が(1E+5
のように)極めて大きかったり、ちょうどゼロなどであれば、トラブルシューティングガイドを参照
してください。ノーマル・フォースは、フルスケール・ノーマルフォースの 0.1%未満でなければ
なりません。


少なくとも 1 回の読み込みがなされるまでは、ウェイトは吊り下げないでください。

8) (使用しているトランスデューサにより)表 5-4 に示すように、キャリブレーションフィクスチャー


(図 5-6)の底面のフックからウェイトを吊り下げます。このウェイトは他のものに触れず、静止し
ている(左右に振れない)ことを確認してください。
9) ノーマル・キャリブレート"Normal Cal"ボタンを選択します。ノーマル・キャリブレート画面が表
示されます。
10) 表 5-4 で指定した付加ノーマル・フォース(APPLIED NORMAL FORCE)を入力します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 177
ARES 機器マニュアル

図 5-6 キャリブレーション・ウェイトを用いてノーマル・フォースを付加。

11) 今すぐにキャリブレートする"Calibrate Now"ボタンを選択します。キャリブレーションが完了す


ると、再びトランスデューサのキャリブレーション(Transducer Calibration )画面が表示されます。

12) トランスデューサのキャリブレーション(Transducer Calibration )画面に表示されたノーマル


(Normal)値が、使用しているトランスデューサにより、表 5-4 に示すノーマル・フォース値
(NORMAL FORCE VALUE)の制限内にあることを確認します。トランスデューサ・キャリブレーショ
ン(Transducer Calibration )画面に、表示された現在のノーマル・キャリブレーション(Current
Normal Cal)が、表 5-4 に示す、キャリブレートされたフルスケール値(CALIBRATED FULL SCALE
VALUE )の制限内にあることを確認してください。

表 5-4 ノーマル・フォースのキャリブレーション・ウェイト、付加ノーマル・フォース、キャリブレートされたフルスケール値。
付加ノーマル・ ノーマル・ キャリブレートされたフル
トランスデューサ ウェイト フォース スケール値
フォース値
2K FRTN1
1000 grams 1000 ± 2 gmf 2100 gmf ± 5%
2K FRTN1E 1000 gmf
(p/n 613-01222) (998~1002) (1995~2205)
1K FRTN1
100 FRTN1 100 grams 100 gmf 100 ± 0.1 gmf 105 gmf ± 5%
200 FRTN1 (p/n 613-02060) (99.9~100.1) (99.75~110.25)

2K STD 1000 grams 1000 ± 5 gmf 1575 gmf ± 5%


1000 gmf
10K STD (p/n 613-01222) (995~1005) (1496.25~1653.75)

2001 年 9 月
178 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

13) 了解"ACCEPT"ボタンを選択します。プログラムは、トランスデューサの特徴(Transducer
Characteristics)に戻ります。
14) 現在、画面(トランスデューサが FRT の場合は高レンジ値)に表示される、ノーマル・キャリブレ
ーション値(Normal Calibration Value)が、表示されたトランスデューサ・キャリブレーション
(Transducer Calibration )画面で表示された、現在のノーマル・キャリブレーション(Current
Normal Cal)と同じであることを確認してください。"Ok"を押します。
15) 使用しているトランスデューサが FRT の場合は、トランスデューサ・セットアップ(Transducer
Setup)画面に残り、次のステップを実行してください。トランスデューサが STD タイプのもので
あれば、ステップ 16 に進んでください。
a) ユーティリティ・プルダウンメニューのサービス(Service)機能から、トランスデューサ
(Transducer)オプションを選択して、トランスデューサの特徴の設定(Set Transducer
Characteristics)にアクセスします。
b) 高レンジトランスデューサの、ノーマル・キャリブレーション値(Normal Calibration
Value)を、低レンジトランスデューサ用のトランスデューサセッティングのあるコラムにコ
ピーしてください。
16) Ok をクリックします。.

これでノーマル・フォース・キャリブレーションは終了です。ウェイトとキャリブレーションフックをトランス
デューサからはずし、両方ともキャリブレーションキットに保管してください。

図 5-7 トランスデューサの特徴設定フォーム。影のウィンドウは、トルクおよび

ノーマルキャリブレーション値用の入力セルを示します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 179
ARES 機器マニュアル

5-2.3 位相角のチェック

原理
位相角補正は、位相シフトの補償を行い、機器の電子回路の A/D フィルタリングにより、トルクと歪み
に加えられます。これは電子回路の機能であり、モータやトランスデューサの機能ではありません。い
ちど補正が行われれば、このシステムである限り、同じです。位相角補正は、機器の発送前に工場で
計算され(RSIOrchestratorTM にあります)るため、通常の操作状況では調整する必要はありません。

この位相角は、次の手順に従って定期的にチェックし、システム全体が適正に機能しているのを確認
することをお勧めします。このテストにより、異常な値が得られた場合は、助言を得るため、テクニカル・
サービスにご連絡ください。

2K FRTN1 または、2K FRTN1E、 2K STD、10K STD を用いて位相角をチェックするには、ねじり矩形


フィクスチャーに取り付けられたスチール・サンプルで、ダイナミック周波数スイープが実行されます。
完全弾性のサンプルは、位相角が零度であることを思い起こしてください。スチールの位相角はほぼ
零度です。

100 FRTN1 または 200 FRTN1、100 FRT、200 FRT トランスデューサのうちの 1 つを使用している場


合は、平行プレートフィクスチャーに取り付けられた 1000 cP(センチポアズ)のニュートン流体(キャリブ
レーション流体)でダイナミック周波数スイープが実行されます。再び、完全粘性サンプルの位相角は
90 度であることを思い起こしてください。ニュートン流体の位相角は 90 度です。

1K FRTN1 トランスデューサの位相角をチェックするには、スチールまたはオイルのサンプルを使用し
ます。

1K FRTN1 または 2K FRTN1、2K FRTN1E, 2K STD、10K STD トランスデューサの手順


1) モータを回転させ、ダイナミックモードにあることを確認します。

2) トランスデューサが 2K FRTN1 または 2K FRTN1E、1K FRTN1 の場合は、このトランスデュー


サが高レンジになっていることを確認してください(RSIOrchestratorTMk の Utilities 機能:Service:
Transducer を使用)。

3) ねじり矩形フィクスチャーをインストールします(第 4 章を参照)。

4) フィクスチャーに供給されていキャリブレーション・スチールサンプル(パーツ番号 400-02589)
を取り付けます(第 4 章を参照)。

5) 次のパラメータを使用してダイナミック周波数スイープを行います:

周波数 0.1~100 rad/sec(対数スイープ)


歪み 0.02 %
温度 現在の周囲温度

位相角(
)は、周波数全体にわたって± 0.25°です。得られた値が、この範囲を越える場合は、助言
を得るためテクニカル・サービスにご連絡ください。

2001 年 9 月
180 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

100 FRTN1 および 200 FRTN1、100 FRT、200 FRT、1K FRTN1 の手順

1) モータを回転させ、ダイナミックモードになっていることを確認します。

RSI
2) OrchestratorTM で、機器テストの編集/スタート(Edit/Start Instrument Test)に入ります。平
行プレートジオメトリを選択し、"ジオメトリの編集、Edit Geometry"ボタンを押します。"オプショ
ン、オプション"を編集し、表示画面で 流体の密度 1 g/cm3 を入力します。

3) トランスデューサの範囲は高(high)レンジになっていることを確認します(RSIOrchestratorTMk の
Utilities 機能:Service: Transducer を使用)。1K FRTN1 のみをチェックする場合は、トランスデ
ューサを低(low (20 g·cm))に設定します。

4) 50 mm 並行プレートテストフィクスチャーを取り付けます(第 4 章を参照)。

5) 1000 cP のキャリブレーション用ニュートン流体(パーツ番号 700-01016)を、ギャップ 1mm で


取り付けます。

6) 次のパラメータを使用してダイナミック周波数スイープを行います:

周波数 0.1~100 rad/sec(ログ・スイープ)


歪み 100 %
温度 現在の周囲温度

位相角(
)が、全周波数にわたって 87ºと 92ºの間にあることを確認します。得られた値がこの範囲を越
える場合は、助言を得るためテクニカル・サービスにご連絡ください。

これで、位相角のチェックは終了です。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 181
ARES 機器マニュアル

5-2.4 歪みキャリブレーションのチェック

歪みキャリブレーションチェックを行えば、ユーザは実際の歪み(モータの振れ)が指定した歪みに対
応させることができます。一般に、この方法は並行プレートを選択し、フィクスチャーの寸法を修正し、
歪み係数 1 を得ます。この作業により、指定した歪みが実際のモータの振れと同じになります。すなわ
ち、25%の歪みを指定すると、モータはダイナミック・ゼロポジションから±0.25 ラジアン回転します。

ダイナミック・タイム・スイープを実行しているとき、モータに取り付けられているキャリブレーション・ポイ
ンタにより、モータ・カバーにエッチングされているキャリブレーション・マークに対して、モータの位置
が視覚的に確かめることができます。キャリブレーション・マークはダイナミック・ゼロポジションから両方
向に、0.1、0.25、0.5 とマークされています。さらに、ユーザは RSIOrchestratorTM オンラインパラメータ
表示によっても歪み(25%を示す)をチェックすることができます。

手順
1) すべてのテストフィクスチャーを取り除きます。

2) モータをオンにし、ダイナミックモードであることを確認します。

3) モータのポインタを、図 5-8 示すようにインストールします。

4) 歪みオフセットを使用して、ポインタをダイナミック・ゼロ位置に合わせます(図 5-9)。

5) 現在ジオメトリ(current geometry)に平行板(parallel plate)を選択し、次のフィクスチャー寸法を


入力します:
直径 2 mm
ギャップ 1 mm

6) ダイナミック・タイム・スイープを次の条件で設定します:

周波数 0.3 rad/sec


歪み 25 %
温度 現在の周囲温度
トータル時間 1000 sec
1 計測ごとの時間 10 sec

7) ダイナミック・タイム・スイープを実行します。

8) 次の条件が存在していることを確認してください:
a) 報告されている歪み値が、24.90 と 25.10 の間にあること。
b) 図 5-9 に示すように、ポインターが± 0.25 ラジアンそれていること。

どちらかの条件が合致していなければ、私どものテクニカル・サービスまでご連絡ください。

9) ダイナミック・タイム・スイープを停止します。

これで、歪みキャリブレーション・チェックは終了です。

2001 年 9 月
182 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

図5-2. 歪みキャリブレーション・チェック用のポインタのインストール。

図 5-9 ポインタ付の歪みキャリブレーション・チェック

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 183
ARES 機器マニュアル

5-2.5 PDMS を使用したシステムのチェック

キャリブレーションキット(機器に同梱)に含まれているのは、PDMS のジャーです。PDMS は、テストステ


ーションを正しい操作を確認するために使用する、レオロジー参照マテリアルです。PDMS テストは定
期的に行い、機器を正しく操作できるようにしてください。また、機器のパフォーマンスに疑問が起きた
ときはいつでも、作業に先立ち、これを実行させて診断を行ってください。

手順

1) モータを回転させ、ダイナミック・モードであることを確認します。

2) トランスデューサの範囲が高レンジにあることを確認します(RSIOrchestratorTM の機能のユーテ
ィリティ Utilities:Service:Transducer)。

3) 25mm 並行プレート、テストフィクスチャーを取り付けます(第 4 章を参照)。

4) 2mm のギャップで PDMS (パーツ番号 700-01011)を取り付けます。

5) 下のパラメータを使用して、ダイナミック・周波数スイープを行います(3-3.3 節):

5%
歪み
(100 または 200 FRT/FRTN1 は 1%)
温度 30℃
スイープ・モード 対数
初期周波数 0.1 rad/s
最終周波数 100 rad/s
点数/10 5

6) プロットをセットアップし、G'、G"、粘度、位相角を表示します。表示データは、図 5-10 に示さ


れるものと似ています。

7) このテストの終了時は、解析(Analysis)プルダウンメニューから、クロスオーバー関数(G'/G"
Crossover)を選択します。周波数と G'と G"の交差(交差点) 値が計算され、表示されます。計
算された周波数と G'/G" クロスオーバーを PDMS ジャーにある値と比較します。PDMS ジャ
ーには、クロスオーバー周波数(ラジアン/s 単位)が記され、クロスオーバー値は Gc で記され
ています(指数は記されていません)。この計算クロスオーバー点は、ジャーに与えられている
エラー制限内でなければなりません。スタンプ"Stamp"ボタンを押して、計算したクロスオーバ
ーデータをプロットに置きます。

これで PDMS テストは終了です。

2001 年 9 月
184 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

PDMS のダイナミック周波数スイープ

6
10 90.0

) 80.0
4
[Pa-s] )
G' / G" クロスオーバー点:(4.9045,2.438x10
Eta* ( 10 5 エラー:1.54% (周波数) 70.0
6.94% (G)
(
位相角[°]
60.0
)
[Pa]
10 4 50.0
G" (

40.0
) )
3
10 [Pa] 30.0
G' (
20.0

2
10 10.0
10
-1
100 10 1 10
2

周波数 q [rad/s]

図 5-10 代表的な PDMS テストの結果。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 185
ARES 機器マニュアル

5-3 温度キャリブレーション

ARES の温度は、電源オン時に自動的にキャリブレートされる、プラチナ抵抗温度計(PRT)でモニタさ
れます。このキャリブレーションは PRT に代わって高精度の抵抗器に切り換えられ、既知の抵抗により
調整し、電子機器を得ます。しかし、PRT エラーにより、いくつかのエラーやオーブン内に存在する温
度勾配により、エラーが発生する可能性があります。これにより、PRT で、サンプルの位置の温度と本
来的に異なる温度となる原因となります。しかし、これらのエラーは、一般に小さいものであるため、
PRT で計測した温度と、サンプルの実際の温度と、どの与えられた時間でも、不一致を示す場合があ
ります。

最も正確な温度を必要とする研究では、温度キャリブレーション表を入力し、計測温度対サンプルの
実際温度の違いを考慮すると効果的です。しかし、キャリブレーションを正しく行わなければ、これを行
わないのより悪いエラーが発生することもあることに注意してください。第一に考慮するのは、温度参
照を与える際は、キャリブレーション参照を極めて高精度に行うということです。1 つの選択として、正
確な温度計をサンプルの代わりに置き、それを PRT からの出力温度と、いくつかの温度ステップで比
較するものがあります。もう 1 つの方法は、正しく定義され、よく知られた温度遷移特性(たとえば、ガラ
ス遷移点など)の材料に関する温度勾配研究を実行し、報告値を利用して PRT 温度を調整することで
す。

5-3.1 RSIOrchestratorTM を用いた温度キャリブレーション

標準機器キャリブレーションメニュー画面や手順に、温度キャリブレーションが取り扱われていない場
合は、温度エラー効果用に、ARES を調整するため、RSIOrchestratorTM 内に次のオプションを用意して
います。このオプションは、ARES ファームウェアのバージョン 5.xx 以降のものに有効であることに注意
してください。

参照温度計または、上述の既知のサンプル・トランジション点を用いて、キャリブレーション温度と PRT
温度の比較表を得てください。材料の遷移点を使用する場合は、広い範囲でより正しい精度を得るた
め、必ず 2 種類以上の材料を使用してください。

ユーティリティ(Utilities)プルダウン・メニューで、サービス(Service)機能表から、機器の構成
(Instrument Configuration)機能を選択してください。温度コントロール(T EMPERATURE CONTROL)を選
択します。温度コントロール(T EMPERATURE CONTROL)を選択します(図 5-11)。フォーム近くのボタンで、
調整可"Adjustable"をクリックして、温度キャリブレーション表を表示します。表は最大 20 ウィンドウ表
示し、キャリブレーション値を入力できます。各キャリブレーション点で得られた計測値と理論値を入力
し、他のウィンドウはそのままにしておきます。ARES は、PRT で測定された温度をキャリブレーション
表によって調整し、表の値を直線で内挿します。

室温に対しては、同じ指定した温度とキャリブレートした値を入力することをお勧めします。そうすれば、
室温でずれが生じません。

2001 年 9 月
186 902-30026 改訂 B
第 5 章: キャリブレーション

図 5-11 セットアップ機器の温度オプションは、調整可能な温度キャリブレーション表を示す。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 187
ARES 機器マニュアル

ノート:

2001 年 9 月
188 902-30026 改訂 B
メインテナンス

第 6 章

CHAPTER 6 MAINTENANCE
6
6-1 一般情報

この章には、次の内容が述べられています:

日常のメインテナンス

日常のメインテナンスには、お勧めする定期的に行う基本作業が含まれます。
特別メインテナンス

特別メインテナンス作業は、熟練した電子技術者のみが行えるものです。
トラブル・シューティングガイド

トラブルシューティングガイドが供給されていますので、問題の診断の助けとなります。

6-2 日常のメインテナンス

6-2.1 ケーブルとホースの検査
AC 電源コードが破損していると、安全性に障害が発生する可能性があります。次に示すように、定期
的にこれらの品物を検査してください。

AC 電源コード
次のようにして AC 電源を外します:
1) メイン電源スイッチを押して、OFF (O)位置に切り換えます。
2) AC メインソースから POWER IN プラグを外します。
3) すべてのコードに、絶縁体の擦り切れや、銅線がむき出しになっていないか検査してください。
特に両端のプラグ付近のコードなど。ダメージが見つかった場合、レオメトリック・サイエンティ
フィックのテクニカル・サービスまでお知らせください。
次のように、機器に AC 電源を入れます:
1) AC メインに(ライン電圧ソース)にパワー・イン(POWER IN)プラグを差し込みます。
2) メイン電源スイッチを押して、ON (I)位置に切り換えます。
エア・ホ-ス
次のように機器への AC 電源をはずします:
1) メインの電源スイッチを押して、OFF (O)の位置に切り換えます。
2) AC メイン(ライン電源ソース)から電源イン(POWER IN)プラグをはずします。
3) トランスデューサとモータのベアリングをロックします。
4) 機器へのエア供給をはずします。

特に曲がっている付近で、エアの漏れの原因となるエアホースの裂け目や他のダメージを検査します。
ダメージが見つかった場合は、レオメトリック・サイエンティフィックのテクニカル・サービスにお知らせく
ださい。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 189
ARES 機器マニュアル

テスト・ステーションには内部フィルタもあり、約半年から 1 年ごとに検査を行ってください。このメイン
テナンスは、経験のある熟練した方のみが行ってください。

漏れが発見されない場合は、次のように機器へ AC 電源を供給します:
1) エアドライヤからエアの流れを作ります。しかし、エア出口をテスト・ステーションに接続しない
でください。エアを流して、3~5 分浄化してください。
2) エア出口をテスト・ステーションに接続します。
3) トランスデューサとベアリングのロックをはずします。
4) AC メイン(ライン電圧ソース)で電源イン(POWER IN)プラグを差し込みます。
5) メイン電源(Main Power)スイッチを押し、ON (I)位置に切り換えます。
モータ、トランスデューサ、オーブンへのエア圧が正しいことを確認してください。注意: オーブンのエ
ア圧をチェックするには、オーブンは右に向き、閉じてなければなりません。

エア・ドライヤ
付属のマニュアルにしたがってエアドライヤを検査、サービスを行ってください。この作業には、プレフ
ィルチのドレーンと清掃が含まれています。必要であれば交換してください。

6-2.2 機器の清掃
機器外部のプラスチックや金属部分の清掃が必要であれば、研磨剤を含まない家庭用台所洗剤溶
液のみで清掃してください。

清掃は次のように行います:
1) 次のように、機器への AC 電源をはずします:
2) メイン電源スイッチを押して、OFF (O)位置にします。
3) AC メイン(ライン電圧ソース)から、電源イン(POWER IN プラグをはずします。
4) 綿クロスに洗剤液を含ませ、余分な水分を絞ります。クロスは湿っていなければなりませんが、
濡れすぎないようにしてください。
5) クロスからの余分な水分が、機器の隙間から入らないことを確認しながら、クロスでやさしく外
部表面を清掃します。
6) 機器のすべての面が乾燥していることを確認します。
7) 次のように機器に AC 電源を供給します:
8) AC メイン(ライン電圧ソース)で電源イン(POWER IN)プラグを差し込みます。
9) メイン電源(Main Power)スイッチを押し、ON (I)位置に切り換えます。.

6-2.3 機器の持ち上げと搬送
テスト・ステーション
テスト・ステーションの重量は 275 ポンド(125kg)あります。これは、この重量を運べるフォークリフトのみ
によって安全に持ち上げたり搬送できます。しかし、フォークリフト用に十分な底面のスペースがない
ため、パレット内にフォークを差し込めるパレットの上に載せて(これが発送構成)持ち上げられるように
設計されています。

テスト・ステーションの側面にあるハンドルは、ワークベンチ表面でテスト・ステーションをずらすのに使
用できます。機器をずらしている間、少し持ち上げる必要が出てきます。しかし、機器をバランスさせる
ことは困難なため、持ち上げや搬送にはこのハンドルを使用しないでください。テスト・ステーションの
底面で足に怪我をしないよう注意してください。

2001 年 9 月
190 902-30026 改訂 B
第 6 章: メインテナンス

取り付け中は、テスト・ステーションはパレットからはずされ、ワークベンチ上に載せられます。このテス
ト・ステーションが将来移動する必要がおきたときのために、パレットは保管しておいてください。テス
ト・ステーションをパレットの上で後ろに置くには、フォークリフトを用いてパレット平面をワークベンチ上
面と同じ高さにしたあと、テスト・ステーションをずらします。

警告
人体に危害を与える可能性があります
機器にダメージを与える可能性があります
テスト・ステーションを手で持ち上げたり搬送しないでください。テスト・ステーションの重量に耐えるフォ
ークリフトを使用して搬送してください。手で搬送すると、人体に危害を与えたり、
機器にダメージを与える可能性があります。

6-3 特別メインテナンス

6-3.1 テスト・ステーションのサービスと修理

前の節で示した、日常のメインテナンス以外には、ユーザ自身で修理したり点検するところはありませ
ん。修理や点検が必要な場合や、レオメトリックのサービス契約やプランに関して、テクニカル・サービ
スまでご連絡ください。熟練したサービス技術者がテクニカルサービスと連携して、お持ちの機器に対
し最新のサービスを行います。

6-3.2 診断用 LED

取り外し可能な、各テスト・ステーションのマザーボードの回路ボードには、診断 LED(光ダイオード)の
並びがあり、重要な電気信号の動作状況を表示します。図 6-1 は、LED の位置を示し、アクセス・ドア
を開けば見られます。電子回路はメタルシールドで保護されており、基本的なトラブル・シューティング
の際に、これらの LED で検査することができます。

各 LED でモニタされる電気信号はラベル表示されています。図 6-1 に示されている以外のものは、


LED が点灯しているときは正常な動作を表します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 191
ARES 機器マニュアル

図 6-1 診断用 LED の位置。

2001 年 9 月
192 902-30026 改訂 B
第 6 章: メインテナンス

6-4 トラブル・シューティング ガイド


表 6-1 と表 6-2 は、機器のキャリブレーションや操作時に発生することのある問題点を示した表で、そ
れに対応する作業を示しています。修復作業は番号が表示されています。それぞれのトラブルシュー
ティング作業は 1 つの操作からなっています。たとえば、最初に修復作業 1 を行います。改善されな
い場合は、2 を行います。これを繰り返し、それでも解決しない場合は、最後にテクニカル・サービスに
ご連絡ください。
テクニカル・サービスにご連絡なさる前に、次の内容を手元にご準備ください:
機器のモデルとシリアル番号。
現在実行しているソフトウェアのバージョン。
問題を診断するために行ったトラブルシューティングの内容。

6-4.1 キャリブレーション
表 6-1 キャリブレーション トラブル・シューティング ガイド。

問題 修復作業

ノーマル・フォース キャリブレーション
トルクまたはノーマル・フォースのキャリブレーション 1) キャリブレーション操作から出て、トランスデュー
中に、表示される力の最初の値が。極めて高い(たと サのセットアップ(UTILITIES: SERVICE:
えば 1E+5 のように)か、ちょうどゼロになる。 T RANSDUCER)に入ります。トルク(またはノーマル)
キャリブレーション値は、使用しているトランスデ
ューサによって測定された最大の応力から名
目、約 5%高いです。この値は、ゼロであったり、
たとえば 1E+5 のように極めて大きな値であって
はなりません。もし、そうであれば、使用している
トランスデューサの正しいフルスケール値を入力
し(機器の仕様を参照)、そのあとキャリブレーショ
ンを繰り返してください。
2) キャリブレーション操作から出て、機器の主電源
を回します(オフにし、次にオンに)。キャリブレー
ションを繰り返します。
3) テクニカル・サービスに電話します。
位相角のキャリブレーション
スチールサンプルで位相角のキャリブレーション中 1) キャリブレーションを(1 回だけ)繰り返します。
に、位相角がキャリブレーション手順で示される制限 2) 入力した補正とオフセットの値が適切なものであ
内にない。
るかチェックしてください。
3) サンプルが正しく取り付けられていることを確認し
てください
4) 静圧が正しく、かつ適正な方向であることを確認
してくださす。
5) サンプルを取り外し、キャリブレーション操作から
出たあと、機器の主電源を回します(オフにし、次
にオンに)。サンプルを再度取り付け、キャリブレ
ーションを繰り返します。
6) テクニカル・サービスに電話します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 193
ARES 機器マニュアル

6-4.2 操作
表 6-2 機器の操作に関するトラブル・シューティングガイド。

問題 修復作業

モータ

モータが作動しないまたは、コマンドに応答しな 1) モータがオンになっていることを確認します。
い。 2) 機器が過負荷(OVERLOAD)の状態になっていないことを
確認。過負荷はオンライン・インジケータで表示されま
す。OVERLOAD が表示されれば、END TEST/R ESET 機能
を用いてテストをリセットします。
3) モータのエア圧がであることを確認します。
4) テクニカル・サービスに電話します。
モータの偏移が正しくない。 1) 正しい寸法が入力されたか確認します。
2) 必要な歪みが入力されたか確認します。
3) 診断 LED が点灯したか確認します。
4) テクニカル・サービスに電話します。

テストを実行させると、モータが振動し、ハイピッチ 1) サンプル剛性が高過ぎないか確認します。
で耳に聞こえる騒音を発する。
2) テクニカル・サービスに電話します。

オーブンと LN2 コントローラ

オーブンをオンにできない。 1) ヒータへの入力にエアが使用されていれば、
RSI
OrchestratorTM AIR LOW(低エア)インジケータがオン
でないことを確認します。オンであれば、オーブンへの
エアの供給が妨げられています。エアの流れを回復し
てください。
2) LN2 コントローラを使用していれば、次のことを確認し
てください:
LN2 の供給は十分で、バルブは開いている。
LN2 READY(準備 ok)インジケータがオン。
LN2 FAULT(失敗) インジケータがオフ(オンの場合
は、7 へ)。
3) オーブンのドアが閉じられ、オーブン開(OVEN OPEN)
インジケータが恩になっていないことを確認。
4) 報告温度が常に 650℃以上にならないことを確認。もし
なっていれば、PRT 電子回路が開いています。8 へ。
5) ユーザの温度制限の設定(SET USER TEMPERATURE
LIMIT)が適切な値に設定されていることを確認。
6) 機器の最高温度(MAXIMUM TEMPERATURE)が適切な値
に設定されていることを確認。
7) オーブンまたはヒータのヒューズが切れている場合があ
ります。チェックして、交換してください。
8) テクニカル・サービスに電話します。

2001 年 9 月
194 902-30026 改訂 B
第 6 章: メインテナンス

表 6-2 機器の操作に関するトラブル・シューティング(続き)

問題 修復作業

RSI
オーブンのスイッチは入るが、加熱されない。 1) OrchestratorTM オンラインインジケータが問題
を表示しない。表示すれば 7 へ。
2) 指示した温度が正しく適正なものであることを確
認します。そうでなければ、適切な温度を指示し
てください。
3) ユーザ設定の温度制限(S ET USER TEMPERATURE
LIMIT)が適正な値に設定されているか確認。もし
そうでなければ、適正にセットしてください。
RSI
4) OrchestratorTM から報告される温度が、実際の
温度と近似していることを確認。温度が 650ºC で
あれば、PRT の片方または両方が開いていま
す。
5) PRT が壊れていないか、目で検査します。壊れ
ている場合は、7 へ。
6) オーブンのヒューズが開いている可能性がある。
7) テクニカル・サービスに電話します。
RSI
オーブンのスイッチは入るが、正常に加熱されない。 1) OrchestratorTM から報告される温度が、実際の
温度と近似していることを確認。もしそうでなけれ
ば、温度コントロールをモード 3 に変更します(節
2-4.6)。報告温度が正しくなれば、Tool PRT ま
たは上側のオーブン PRT コントロール・ループ
が壊れています。報告温度が正しくなければ、下
側のオーブン PRT コントロール・ループが壊れ
ています。
2) PRT が壊れていないか、目で検査します。壊れ
ている場合は、7 へ。
3) オーブンのヒューズが開いている可能性がある。
4) テクニカル・サービスに電話します。
RSI
LN2 READY(準備 OK)表示がな い( OrchestratorTM) 1) LN2 供給圧が十分(i.e. 20-30 psi)であることを確
認します。もし十分でなければ、供給ラインをチ
ェックしてください。
2) LN2 フィルタが詰まっていないか確認します。そう
であれば、5 へ。
3) LN2 コントローラがオンのとき、換気ガスが LN2 コ
ントローラのマフラーから排出されているか確認
します。されていなければ、5 へ。
4) デュワー周りからリークがないことを確認します。
5) テクニカル・サービスに電話します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 195
ARES 機器マニュアル

表 6-2 機器の操作に関するトラブル・シューティング(続き)

問題 修復作業

トランスデューサ

トルクまたはノーマル・フォースのどちらかが、応答 1) 使用しているトランスデューサに適正なエア圧が供
しない、または圧力を与えなくてもフルスケールを 給されていることを確認します(機器の仕様を参
超える。 照)、圧力が正しくなければも 3 へ。
2) トランスデューサのロックが外されていることを確認
します。
3) テクニカル・サービスに電話します。
ステージ

ステージが動かない。 ノート:
ホールド(HOLD)ボタンを選択して、手動オートテンション
が作動しています(詳細は、RSIOrchestratorTM を参照)。
1) ステージが移動限度内にない。
2) 応力の過負荷がないことを確認する。
3) 手動オート・テンションが適性に機能しているか確
認、機能していなければ 5 へ。
4) ステージ・コントロールを使用してステージを移動し
ようとするとき、手動オート・テンションがオンになっ
ていないことを確認。オンになっていれば、オフに。
5) ファーム・ウェアで動作することを確認。
6) 機器の主電源を回します(オフにし、次にオンに)。
7) オーブンが常に左に、あるいは常に右にあることを
確認。
8) テクニカル・サービスに電話します。
オート・テンションを使用しないとき、ステージが一 1) ノーマル・フォースのオーバーロード条件が存在し
方向にしか動かない。 ないことを確認、存在すれば、その原因を考えてく
ださい。
2) ステージが移動限界点にないことを確認、もしそう
であれば、適切に調整してください。
3) 機器の主電源を回します(オフにし、次にオンに)。
4) テクニカル・サービスに電話します。
オート・テンションを使用しているとき、ステージが 1) サンプルの取り付け中に、ステージが移動限界点
一方向にしか動かない。 にないことを確認、もしそうであれば適切に調整し
てください。
2) オート・テンションウィンドウが適切な値にセットされ
ていることを確認します。適切でない場ウイは、リセ
ットしてください。
3) テクニカル・サービスに電話します。

2001 年 9 月
196 902-30026 改訂 B
第 6 章: メインテナンス

表 6-2 機器の操作に関するトラブル・シューティング(つづき)
問題 修復作業

テストの実行とデータ収集

データ点が違う、またはデータが欠ける。 1) 使用しているトランスデューサに適正なエア圧が
供給されているか確認する(機器の仕様を参
照)。圧が正しくなければ、7 に進んでください。
2) オート・テンションが正しく機能しているか確認し
てください。機能していなければ 8 へ。
3) オーブンが上・下のテストフィクスチャーに接触し
ていないか確認します。接触していれば 8 へ。
4) サンプルが正しく取り付けられているか確認しま
す。
5) 主電源を回します(オフ後、オンに)。
6) オンラインインジケータが(ON TEMP、温度適正)
を示していることを確認する。
7) スチール・シムで信頼性チェックを行う。
8) トルク・キャリブレーションを行います。
9) 歪みチェックを行います。
10) オーバー・ロード下の条件で応力レベルをチェッ
クする。
11) プリ・テンションが正しいことをチェックします。
12) サンプルの硬さ/寸法がテストフィクスチャーに対
して適切であることを確認します。
13) テクニカル・サービスに電話します。

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 197
ARES 機器マニュアル

ノート:

198 2001 年 1 月
902-30027 改訂 A
索引
INDEX

fixture installation ...........................................135


A
一般情報 .......................................................133
AC Power operating range ...............................................133
main power switch ............................................ 29 sample loading ................................................136
specifications .....................................................7 Constant Stress Test ..........................................106
Air..................................... See Gas, input オプション Correlation Delay ...............................................114
Air Dryer ..........................................13, 31, 32, 190 Couette (test fixture)
Air Quality .......................................................... 31 constants........................................................155
Analog Data Input.........................................96, 112 fixture installation ...........................................157
Arbitrary Waveshape Test .................................... 98 一般情報 .......................................................155
AutoStrain......................................................... 113 operating range ...............................................155
AutoTension...................................................... 110 sample loading ................................................157
vane tool ........................................................158
B
Creep ................................................................. 97
Bearing Locks
FRT with normal force ...................................... 22 D
FRT without normal force.................................. 21 Delay Before Test...............................................109
low shear (LS) motor......................................... 23 Dewar Flask ........................................................ 38
standard motors ............................................... 23 Diagnostic LEDs.................................................191
Standard Transducer......................................... 21 Dilatancy ............................................................ 70
Boltzmann Superposition Principle ......................... 86 Double Wall Couette (test fixture)
C constants........................................................159
fixture installation ...........................................161
Calibration 一般情報 .......................................................159
normal force................................................... 177 operating range ...............................................159
phase angle check........................................... 180 sample loading ................................................162
strain check ................................................... 182 Dynamic Measurement Formulas ..........................165
temperature ................................................... 186 Dynamic Single Point Measurment......................... 76
torque ........................................................... 171 Dynamic Strain Sweep .....................................75, 82
Calibration Intervals........................................... 169 Dynamic Temperature Ramp ............................84, 85
Chiller Dynamic Temperature Step................................... 80
description....................................................... 36 Dynamic Time Sweep ......................................75, 77
diagram ........................................................... 37
electrical specifications .......................................8 E
physical specifications.........................................7 E' See Elastic Modulus
circulator .............................. 6, 8, 26, 43, 46, 52, 63 E'' ............................................See Viscous Modulus
Cleaning the Instrument ..................................... 190 E* .......................................... See Complex Modulus
COM Port........................................................... 25 Elastic Modulus (E') ............................................. 70
Complex Modulus (E* ) ........................................ 70 Elastic Stress (' ) ............................................... 70
Compliance Elasticity ............................................................ 69
definition ....................................................... 118 Elastomers .........................................................118
determination of 操作範囲 .............................. 119 Emulsions...........................................................117
Cone and Plate (test fixture) Environmental Control System
constants....................................................... 133 configuring....................................................... 40

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 199
ARES 機器マニュアル

description .......................................................34 H
principles of operation ........................................ 6
Hencky Strain Rate ..............................................96
specifications..................................................... 8
Hookean Region...................................................69
Errors
Hooke's Law........................................................69
discrepancies in sample geometry .....................120
Host Computer ....................................................15
temperature variations.....................................120
Humidity Cover.............................................. 58, 59
testing outsidde linear region ...........................120
I
F
Instrument Control Panel................................ 16, 41
Film and Fiber Tension (test fixture)
applying sample pre-tension.............................154 L
constants .......................................................149
LCD Display........................................................20
fixture installation ...........................................151 LEDs
一般情報 .......................................................149
diagnostic ...................................................... 191
operating range...............................................149 Linear Region ......................................................69
sample loading ................................................152
Linear Strain Sweep..............................................82
Fluid Bath LN2 Controller
circulator connections .......................................62
description .......................................................60 description .......................................................38
location ...........................................................13
inet line clamp ..................................................63
installation .......................................................60 physical specifications .........................................7
lower fixture .....................................................62 Logarithmic Strain Sweep......................................82
operating specifications ...................................... 8 Loss Modulus............................ See Viscous Modulus
operation..........................................................67 M
Fluid Bath 2
Main Power Switch ...............................................29
circulator connections .......................................46
Maintenance
description .......................................................43
cleaning ......................................................... 190
installation .......................................................43
routine........................................................... 189
lower fixtures....................................................47
special ........................................................... 191
operation..........................................................50
Manual Delay..................................................... 109
PRT installation ................................................46
Modulus ..............................................................69
Force Gap test...................................................103
Motor
Force Gap Test..................................................103
air pressure requirements ..................................30
Frequency Sweep.......................................75, 78, 79
description .......................................................15
Frequency/Temperature Sweep ....................... 75, 89
location ...........................................................14
G principles of operation .........................................5
rapid shut off ....................................................16
Gap
automatic zero................................................125 specifications......................................................9
turning on and off .............................................16
enabling the gap control panel..........................126
manual zero....................................................125 Multiple Extension Mode.......................................96
MultiWave Single Point.........................................86
max force allowed option..................................127
read text fixture gap........................................126 MultiWave Temperature Ramp...............................86
set gap/instrument control function ....................18 N
setting, general...............................................125
Newton's Law ......................................................69
Gas
input オプション................................................30 O
pressure specifications.......................................30
One Cycle Correlation........................................ 114
Oven

2001 年 9 月
200 902-30026 改訂 B
索引

description....................................................... 35 Shear Thickening ................................. See Dilatancy


gas selection .................................................... 39 Shear Thinning ...........................See Pseudoplasticity
location ........................................................... 14 Signal Panel
operating requirements ..................................... 39 connectors....................................................... 27
operation ......................................................... 41 description ...................................................... 25
rapid shutdown................................................. 16 general connections.......................................... 25
signal connection to test station ........................ 26 location ........................................................... 25
temperature control .......................................... 35 Squeeze Flow ...................................................... 96
Oven PRT ........................................................... 41 Stage
description ...................................................... 17
P
location ........................................................... 14
Parallel Plates (test fixture) Stage Control
constants....................................................... 129 manual ............................................................ 17
fixture installation........................................... 131 rate adjustment................................................ 19
一般情報....................................................... 129 software .......................................................... 18
operating range .............................................. 129 Steady and Transient Measurement Formulas ........166
sample loading................................................ 131 Steady PreShear .................................................108
Peltier Steady Rate Sweep............................................... 92
description....................................................... 51 Steady Single Point .............................................. 90
humidity cover ................................................. 58 Steady Step Rate Temperature Ramp....................104
installation....................................................... 53 Step せん断速度 ................................................. 94
operating specifications.......................................8 Stiffness .............................................................118
operation ......................................................... 58 Storage Modulus......................... See Elastic Modulus
PID loop setup ................................................. 57 Strain ............................................... 69, 70, 72, 118
selecting operating range................................... 52 Stress ...................................................... 69, 70, 72
Phase Angle Stress Ramp Test................................................107
description....................................................... 70 Stress Relaxation ............................................75, 95
shift (........................................................... 70 Suspensions........................................................117
Platinum Resistance Thermometer ................ See PRT
T
Pneumatics Panel
connections ..................................................... 31 Tan  .................................................................. 70
description....................................................... 30 Temperature Calibration......................................186
location ........................................................... 25 Tensile Strain ...................................................... 69
Polymer Melts.................................................... 118 Tensile Stress...................................................... 69
Power Panel Test Fixtures
connections ..................................................... 29 general guidelines.................................... 122, 128
description....................................................... 28 upper fixture installation ..................................122
location ........................................................... 25 Test Modes......................................................... 75
PreTension..................................... See AutoTension Test Station ........................................................ 15
PRT............................................ 6, 35, 41, 186, 194 Thermal Expansion..............................................128
Pseudoplasticity................................................... 70 Thermopastics....................................................118
Thermosets ........................................................118
R
Thermosetting Resins..........................................118
Rim Shear............................................................ 96 Thin Films..........................................................117
Thixotropic Loop................................................101
S
Torque/Normal Relaxation...................................102
Sample PRT......................................................... 41 Torsion Rectangular, New Design (test fixture)
Service and Repair ............................................. 191 constants........................................................137
せん断速度......................................................... 69 fixture installation ...........................................140
Shear Stress ........................................................ 69

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 201
ARES 機器マニュアル

一般情報 .......................................................137 principles of operation .........................................5


operating range...............................................138 Transient Step Strain............................................95
sample loading ................................................140 Troubleshooting Guide........................................ 193
Torsion Rectangular, Original Design (test fixture)
V
constants .......................................................143
fixture installation ...........................................146 Vane Tool .............................................See Couette
一般情報 .......................................................143 Viscoelastic .........................................................69
operating range...............................................144 Viscosity .............................................................69
sample loading ................................................146 Viscous Modulus (E'') ...........................................70
Transducer Viscous Stress ( '' ) .............................................70
description .......................................................17

2001 年 9 月
202 902-30026 改訂 B
補遺 1
各種フィクスチャーの係数の制限
APPENDIX 1: LIMITS FOR VARIOUS FIXTURES

A1 Appendix 1

補遺表 A1-1。平行プレートの係数の制限: 2K FRTN1 および 2K FRTN1E トランスデューサ。

プレート直径(mm) ギャップ (mm) G 最大値(ダイン/cm2) G 最小値(ダイン/cm2)


2.05E+02 (High range)
2 4.45E+06
2.05E+00 (Low range)
1.02E+02 (High range)
25 1 2.22E+06
1.02E+00 (Low range)
5.11E+01 (High range)
0.5 1.11E+06
5.11E-01 (Low range)
1.28E+01 (High range)
2 2.78E+05
1.28E-01 (Low range)
6.39E+00 (High range)
50 1 1.39E+05
6.39E-02 (Low range)
3.20E+00 (High range)
0.5 6.95E+04
3.20E-02 (Low range)

補遺表 A1-1. 平行プレートの係数の制限: STD トランスデューサ。

プレート直径(mm) ギャップ (mm) G 最大値(ダイン/cm2) G 最小値(ダイン/cm2)

2 1.97E+06 2.05E+02 (2K STD)


1.02E+03 (10K STD)
25 1 9.84E+05 1.02E+02 (2K STD)
5.10E+2 (10K STD)
0.5 4.92E+05 5.11E+01 (2K STD)
2.56E+02 (10K STD)
2 1.23E+05 1.28E+01 (2K STD)
6.40E+01 (10K STD)
50 1 6.15E+04 6.39E+00 (2K STD)
4.09E+01 (10K STD)
0.5 3.07E+04 3.20E+00 (2K STD)
1.60E+01 (10K STD)

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 203
ARES 機器マニュアル

補遺表 A1-3. 平行プレートの係数の制限: 100 および 200 FRTN1 トランスデューサ。

プレート直径 ギャップ (mm) G最大値(ダイン/cm2)


G 最小値(ダイン/cm2)
(mm) 周波数 (rad/sec)において
9.84E+04 = 100 2.05E+00 (High range, 100 FRTN1)
1 9.84E+05 = 10 4.10E+00 (High range, 200 FRTN1)
25 5.11E+07 < 10 2.05E-01 (Low range, 100 FRTN1)
4.10E-01 (Low range, 200 FRTN1)
4.92E+04 = 100 1.02E-00 (High range, 100 FRTN1)
0.5 4.92E+05 = 10 2.04E+00 (High range, 200 FRTN1)
2.56E+07 < 10 1.02E-01 (Low range, 100 FRTN1)
2.04E-01 (Low range, 200 FRTN1)
6.15E+03 = 100 1.28E-01 (High range, 100 FRTN1)
1 6.15E+04 = 10 2.66E-01 (High range, 200 FRTN1)
50 3.20E+06 < 10 1.28E-02 (Low range, 100 FRTN1)
2.66E-02 (Low range, 200 FRTN1)
3.07E+03 = 100 6.39E-02 (High range, 100 FRTN1)
0.5 3.07E+04 = 10 1.28E-01 (High range, 200 FRTN1)
1.60E+06 < 10 6.39E-03 (Low range, 100 FRTN1)
1.28E-02 (Low range, 200 FRTN1)

補遺表 A1-4 平行プレートの係数の制限: 100 および 200 FRT トランスデューサ


プレート直径 ギャップ (mm) G最大値(ダイン/cm2)
G
最小値(ダイン/cm 2)
(mm) 周波数 (rad/sec)において
9.84E+04 = 100 1.02E+00 (High range, 100 FRT)
1 9.84E+05 = 10 2.04E+00 (High range, 200 FRT)
25 5.11E+07 < 10 1.02E-01 (Low range, 100 FRT)
2.04E-01 (Low range, 200 FRT)
4.92E+04 = 100 5.11E-01 (High range, 100 FRT)
0.5 4.92E+05 = 10 1.02E+00 (High range, 200 FRT)
2.56E+07 < 10 5.11E-02 (Low range, 100 FRT)
1.02E-01 (Low range, 200 FRT)
6.15E+03 = 100 6.39E-02 (High range, 100 FRT)
1 6.15E+04 = 10 1.28E-01 (High range, 200 FRT)
50 3.20E+06 < 10 6.39E-03 (Low range, 100 FRT)
1.28E-02 (Low range, 200 FRT)
3.07E+03 = 100 3.20E-02 (High range, 100 FRT)
0.5 3.07E+04 = 10 6.40E-02 (High range, 200 FRT)
1.60E+06 < 10 3.20E-03 (Low range, 100 FRT)
6.40E-03(Low range, 200 FRT)

2001 年 9 月
204 902-30026 改訂 B
補遺 1

補遺表 A1-5 円錐・プレートの係数制限: 2K FRTN1 および 2K FRTN1E トランスデューサ。


プレート直径 円錐の角度 G 最大値 G 最小値
(mm) (rad) (ダイン/cm2) (ダイン/cm 2)
9.59E+01 (high range)
0.1 2.08E+06
9.59E-01 (low range)
1.92E+01 (high range)
25 0.02 4.17E+05
1.92E-01 (low range)
3.84E+01 (high range)
0.04 8.34E+05
3.84E-01 (low range)
2.40E+00 (high range)
50 0.02 5.21E+04
2.40E-02 (low range)
4.79E+00 (high range)
0.04 1.04E+05
4.79E-02 (low range)

Appendix 表 A1-2. 複素係数 Limits for Cone and Plate: 2K and 10K Standard トランスデューサ.
PLATE DIAMETER CONE ANGLE G MAXIMUM G MINIMUM
(mm) (rad) (ダイン/cm2) (ダイン/cm2)
0.1 9.22E+05 9.59E+01 (2K)
4.80E+02 (10K)
25 0.02 1.84E+05 1.92E+01 (2K)
9.60E+01 (10K)
0.04 3.69E+05 3.84E+01 (2K)
1.92E+02 (10K)
0.02 2.31E+04 2.40E+00 (2K)
50 1.20E+01 (10K)
0.04 4.61E+04 4.79E+00 (2K)
2.40E+01 (10K)

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 205
ARES 機器マニュアル

Appendix 表 A1-3. 複素係数 Limits for Cone and Plate: FRTN1 トランスデューサ.
PLATE DIAMETER CONE ANGLE G M AXIMUM (ダイン/cm2) G MINIMUM
(mm) (rad) at 周波数 (rad/sec) (ダイン/cm2)
9.22E+04 = 100 1.92E+00 (High range, 100 FRTN1)
0.1
9.22E+05 = 10 3.84E+00 (High range, 200 FRTN1)
4.79E+07 
< 10 1.92E-01 (Low range, 100 FRTN1)
3.84E-01 (Low range, 200 FRTN1)
1.84E+04 = 100 3.84E-01 (High range, 100 FRTN1)
25 0.02
1.84E+05 = 10 7.68E-01 (High range, 200 FRTN1)
9.59E+06 
< 10 3.84E-02 (Low range, 100 FRTN1)
7.68E-02 (Low range, 200 FRTN1)
3.69E+04 = 100 7.67E-01 (High range, 100 FRTN1)
0.04
3.69E+05 = 10 1.53E+00 (High range, 200 FRTN1)
1.92E+07 
< 10 7.67E-02 (Low range, 100 FRTN1)
1.53E-01 (Low range, 200 FRTN1)
2.31E+03 = 100 4.79E-02 (High range, 100 FRTN1)
0.02
2.31E+04 = 10 9.58E-02 (High range, 200 FRTN1)
50 1.20E+06 
< 10 4.79E-03 (Low range, 100 FRTN1)
9.58E-03 (Low range, 200 FRTN1)
4.61E+03 = 100 9.59E-02 (High range, 100 FRTN1)
0.04
4.61E+04 = 10 1.92E-01 (High range, 200 FRTN1)
2.40E+06 
< 10 9.59E-03 (Low range, 100 FRTN1)
1.92E-02 (Low range, 200 FRTN1)

Appendix 表 A1-4. 複素係数 Limits for Cone and Plate: FRT トランスデューサ.
PLATE DIAMETER CONE ANGLE G M AXIMUM (ダイン/cm2) G MINIMUM
(mm) (rad) at 周波数 (rad/sec) (ダイン/cm2)
9.22E+04 = 100 9.59E-01 (High range, 100 FRT)
0.1
9.22E+05 = 10 1.92E-00 (High range, 200 FRT)
4.79E+07 
< 10 9.59E-02 (Low range, 100 FRT)
1.92E-01 (Low range, 200 FRT)
1.84E+04 = 100 1.92E-01 (High range, 100 FRT)
25 0.02
1.84E+05 = 10 3.84E-01 (High range, 200 FRT)
9.59E+06 
< 10 1.92E-02 (Low range, 100 FRT)
3.84E-02 (Low range, 200 FRT)
3.69E+04 = 100 3.84E-01 (High range, 100 FRT)
0.04
3.69E+05 = 10 7.68E-01 (High range, 200 FRT)
1.92E+07 
< 10 3.84E-02 (Low range, 100 FRT)
7.68E-02 (Low range, 200 FRT)
2.31E+03 = 100 2.40E-02 (High range, 100 FRT)
50 0.02
2.31E+04 = 10 4.80E-02 (High range, 200 FRT)
1.20E+06 
< 10 2.40E-03 (Low range, 100 FRT)
4.80E-03 (Low range, 200 FRT)
4.61E+03 = 100 4.79E-02 (High range, 100 FRT)
0.04
4.61E+04 = 10 9.58E-02 (High range, 200 FRT)
2.40E+06 
< 10 4.79E-03 (Low range, 100 FRT)
9.58E-03 (Low range, 200 FRT)

2001 年 9 月
206 902-30026 改訂 B
補遺 1

Appendix 表 A1-5. 複素係数 Limits for Couette (geometry: 2R C=34mm, 2RB=32mm, L=34mm ).
G MAXIMUM (ダイン/cm2)
トランスデューサ TYPE G M INIMUM (ダイン/cm2)
at 周波数 (rad/sec)
3.94E+03 = 100
100 FRTN1 8.19E-02 (High range)
3.94E+04 = 10
8.19E-01 (Low range)
2.05E+06 
< 10
3.94E+03 = 100
100 FRT 4.10E-02 (High range)
3.94E+04 = 10
4.10E-03 (Low range)
2.05E+06 
< 10

Appendix 表 A1-6. 複素係数 Limits for Double Wall Couette (Geometry: Cup OD = 34 mm,
Cup ID = 27.95 mm, Bob OD = 32 mm, Bob ID = 29.5 mm).
G MAXIMUM (ダイン/cm2)
トランスデューサ TYPE G M INIMUM (ダイン/cm2)
at 周波数 (rad/sec)
5.35E+02 = 100
100 FRTN1 1.11E-02 (High range)
5.35E+03 = 10
1.11E-03 (Low range)
2.78E+05 
< 10
5.35E+02 = 100
100 FRT 5.57E-03 (High range)
5.35E+03 = 10
5.57E-04 (Low range)
2.78E+05 
< 10

2001 年 9 月
902-30026 改訂 B 207

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