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研究論文 1-10 りテレビドラマの内容分析を繰り返し行ってきた。

岩男は、Gerbner の枠組みを日本のテレビドラマ
テレビドラマの社会心理学的 に援用し、1
977年から1
994年まで定点観測的に6回
研究:内容分析を中心として1 に渡る内容分析を行ってきた(岩男、1
998・2
000)

本研究は、この岩男のテレビ「ドラマ」の内容分析
を西別府が継続発展させたものである。岩男の研究

西別府厚子 2 岩男壽美子 3 と同様に、ある仮説をもって分析するという仮説検


証を目指すものではなく、「視聴者に提供されてい
る番組内容をできるだけ客観的かつ正確に描き出
す」ことを第一の目的としている。
1.研究の背景と目的 その中でテレビドラマに反映された時代背景や家

953年に日本でテレビ放送が始まって以来5
0年余 族・人間関係、ライフスタイル、規範などを明らか
りが経過した。今日テレビは、幼児から高齢者まで にしていく。本研究は、テレビドラマの変化を定期
誰にとっても身近なメディアとなっており、人々の 的に追いかける継続研究であるから、単発の研究よ
生き方や考え方に影響を与えることも少なくない。 りも経年変化の過程が明らかになると考えられる。
とくに社会不安が増すなかで青少年犯罪の深刻化が また、1
990年代後半に放送関係者は児童および青少
問題にされる際には、テレビ番組の暴力的描写や性 年の視聴に配慮するための自主規制を打ち出した。
描写が視聴者、とりわけ青少年に及ぼす影響につい これにより、実際に暴力描写がどのように変わって
て多くの議論が展開されてきた。1
998年に発生した きたかを明らかにすることも目的のひとつとした。
少年によるバタフライナイフを用いた殺傷事件で
は、テレビドラマ「ギフト」の影響が語られた。さ テレビドラマの番組数、放送時間の推移を後述す
らに昨年(2
004年)6月に長崎県佐世保市の小学校 るが、1
977年には1
34本あった番組も年々その本数
で起った女子児童による殺人事件でも、暴力シーン が減り続け、2
004年には僅か4
5本になっていたこと
と事件との関連が、過剰なまでに取り沙汰された。 が明らかになった。このような状況の中でもテレビ
このような場合、客観的なデータに基づくことな ドラマは、その時代の人気俳優が出演するため高視
く、たまたま視聴した番組や耳にした話をもとに作 聴率を獲得したり、ドラマの内容が話題に上り流行
られたイメージによってテレビの影響が語られてい や人気俳優を誕生させたりと人々の関心が向けられ
るのではないだろうか。しかし、テレビがどのよう る。岩男は、分析対象には数多くあるテレビ番組の
な内容を提供しているのかを明らかにしない限り、 中でも、送り手と受け手の意識や文化、国民性、社
テレビ番組の影響を客観的に語ることができない筈 会心理や社会状況、送り手の意図などを総合的に反
である。本研究は、
受け手に提供されているメッセー 映する度合いが比較的大きいと思われる虚構の世界
ジ内容を明かにするための基礎的資料を提供するも である「ドラマ」に焦点を当てている。長期間に渡
のである。 る分析をすることで、日本のテレビドラマの特徴、
ペンシルバニア大学の Gerbner らは、長年に渡 時代の流れに伴う社会心理や価値観の変化が多角的
に捉えられるとしている。また、阿部孝太郎はテレ
1 本論文は岩男の研究を西別府が継続発展させた修士論文研究 ビドラマは、「フロイトの夢分析と同じように、物
の一部をまとめたものである。
語・神話の分析はその社会成員の無意識の部分を表
2 東邦大学学事統括部
3 武蔵工業大学環境情報学部特任教授 象している」と述べている(阿部、1
997)
。テレビ

79
ドラマはその時代の社会問題や関心事がテーマにな 前述したように、内容分析において視聴者に提供
るなど、「時代」と密接に関わり、時代を反映する されている番組内容をできるだけ客観的かつ正確に
興味深い研究対象であるととらえている。 描き出すことを目指している。しかし、たとえ充分
に訓練されたコーダーによる作業であっても、コー
2.研究方法 ダーの主観的判断に依存する項目については、コー
ここでは内容分析の概要を説明する。 ダーの個人差を完全に取り除くことはできないと岩
分析対象番組は「ストーリー性のあるフィクショ 男も述べている。できることなら、男女が混ざった
ン番組」である。一般に通常ドラマと呼んでいるも 複数のコーダーによってコーディングすることが望
のに加えて、アニメ番組も加わることになる。 ましいだろう。しかし、分析対象番組を一通りみる
岩男の研究(岩男、1
998・2
000)は、1
977年から だけでも最低6
7時間を要するため、他の人の協力を

994年までの1
8年間に6回、同一方法を用いて行わ 得ることが難しかった。他方、コーダーが1名であ
れている。第1回目の1
977年から第5回目の1
989年 ることの良い点は、1
999年と2
004年の2年度分にお
までは3年ごとに分析を行い、それまでの傾向を確 いて、コーダー間のずれがないことである。
認する意味で、5年後にあたる1
994年に6回目の分 本研究では、岩男のこれまでの分析結果との比較
析を行っている。本研究で対象となる年は、岩男が を行う。そのため、岩男が使用していた分析項目の
最後に分析を行った1
994年から5年経った1
999年と 中で、本研究でも使用する項目について、西別府の
それからさらに5年後の2
004年である。 コーディングと岩男が実施したコーディングとで
サンプルウィークは「特別番組の編成が少ない時 は、どのくらいの割合で一致するのかを調べた。
199

期」という理由からこれまでと同じ、7月1
4日∼2
0 年の高視聴率であった3番組について、当時のコー
日までの一週間とした。しかし、
選挙が行われた1
989 ディングとの一致度を調べると、8
1.9%であった。
年の年は特別番組の影響を考え6月1
4日∼2
0日に行 完全に客観的であることは不可能だが、過去のデー
われている。2
004年も参議院選挙が7月に行われた タと映像をもとにコーディング練習をすることで信
ため、1
989年と同様に6月1
4日∼2
0日とした。 頼性を高められることを示すことができた。
分析対象番組の放送時間帯は、毎日夕方5時から
夜1
1時までである。チャンネルは、NHK 総合、日 3.分析項目
本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日の5つの 分析項目については、テレビの功罪、特に青少年
キー局である。 の犯罪や非行に対する影響をはじめ、番組に描かれ

999年については、これまでと同条件で対象番組 る男女の性役割の変化など、できるだけ多角的な分
を収録し保存してあったものを使用した。この年の 析が可能なように設計されている。1
977年から1
994
対象番組は全部で5
4番組であるが、録画できなかっ 年までの研究と比較が可能なように、基本的には岩
た8番組を除く4
6番組についての分析結果となって 男が用いた分析項目を援用した。しかし、メディア
いる。 環境、社会、人々の価値観などが変わってきたこと
次に分析方法を説明する。3で述べる分析項目を、 をふまえ、継続性を大事にしつつも既存の分析項目
見落としの無いように各番組を繰り返し視聴する。 を削減し、新たな分析項目を加えコーディングシー
暴力シーンなど分析項目に該当する場面が出てくれ トを改定している。
ば、必要に応じてテープを止めたり、巻き戻したり 分析は大きく分けると、番組の性格を捉えるため
しながら、ストップウォッチで持続時間を計ったり、 の分析(各番組単位の番組分析)
、登場人物に焦点
該当事項のコーディングを行うという方法とった。 を当てた分析(各登場人物単位の登場人物分析)

80
暴力行為やシーンに関する分析(各暴力行為、シー みやすい⇔親しみにくい、など2
1対の SD 項目が用
ン単位の暴力描写分析)
、性的行為やシーンに関す いられた。しかしこれらは登場人物のイメージを捉
る分析(各性的行為、シーン単位の性描写分析)と える項目で、コーダーの主観的判断への依存が大き
いう岩男の研究が行った4種類に、「情報通信機器、 いため、今回の分析では削除した。
食育、犯罪、外国・外国人への偏見に関する分析」 分析対象数は1
999年が2
80人、2
004年は2
95人であ
という新しい分析を加えた。 る。

次に、それぞれの分析項目について説明する。 暴力描写分析
番組分析 暴力行為またはシーン(以後は暴力行為と表記)
番組分析では岩男の使用したコーディングシート に関する分析では、単純に暴力の有無だけではなく、
とほぼ同じであり、番組の基本的な情報や性格を捉 描き方を始めとする暴力の質を詳細に見ていく必要
えるための5
6項目である。分析項目には、チャンネ があるとして、各暴力行為ごとに暴力の量に加え、
ル、一話完結型か連続物か、曜日、視聴対象は幼児・ どのように暴力が描かれているかが分析できるよう
子ども向(以後は幼児向けと記す)か一般向か、放 な項目設計となっている。項目数は全部で4
2ある。
送開始時間、種類(1
0のジャンルに分類)
、結末(ハッ 具体的には、行為持続時間、死傷者数、流血がある
ピーエンドかアンハッピーエンドか)などの項目が か、違法行為かどうか、行為参加者の人間関係、描
含まれる。さらに、トーン(内容が深刻か、ユーモ 写が現実的か、日常的に起こりそうなことなのか、
ラスか)
、ストーリーの現実性、テーマ(争い・葛 残忍度、使用した道具、被害者の抵抗や苦痛描写が
藤、恋愛、義理人情など1
2の要素が含まれるか)
、 あるか、などの多岐に渡る項目を用いた。
人間関係のトラブル(親子、夫婦、近隣など1
0の組 本研究では、加害者それぞれについて、岩男が用
み合わせの中でトラブルがあったか)などがある。 いた善玉か悪玉かというタイプ、筋にとって重要な
さらに暴力や性描写について、個々の行為やシーン 人かどうかといった項目ははずし、暴力行為者に対
ではなく、番組全体を単位としてみた深刻度と重要 して報酬といったような賞賛があるか、また逆に罰
性についての項目がある。 として非難があるかという項目を加えた。
分析対象番組数は1
999年が4
6番組、2
004年は4
5番 分 析 対 象 数 は1
999年 が1
74件、2
004年 は2
02件 で
組である。 あった。

登場人物分析 性描写分析
登場人物(人間でなくても登場人物と表記)に焦 性的行為やシーンに関する分析でも各性的行為、
点を当てた分析では、各登場人物ごとにコードした。 シーン単位でコーディングを行った。暴力描写と同
つまり登場人物が5人いれば5人分のコーディング 様、性描写の有無だけでなく性描写の質をみていこ
となる。全部で5
3ある分析項目には、主役か脇役か、 うとした。その中には、体に触れる、キス、など8
性別や年齢などといった個人の特性、家事・育児へ 種類の描写があるかないか、描写の生々しさや描写
の参加、悪玉か善玉かといったタイプ、人生観(社 が深刻か軽いかといったトーン、関係者間の関係、
会活動志向の仕事・勉強型か、個人志向の趣味型か、 関係者の意志などの1
6項目がある。
家族志向のマイホーム型か)
、暴力や性的行為に関 分析対象数は1
999年が4
6件、2
004年が4
4件であっ
係があるかどうか、違法行為があるか、などが含ま た。
れる。先行研究では、魅力的⇔魅力的でない、親し

81
情報通信機器、食育、犯罪、外国・外国人への偏見 このような場合は放送時間3時間のうちの分析対象
に関する新たな分析 時間に含まれるのは3
0分で、放送時間の半分以下と
外国、外国人への偏見に関する新しい分析項目を いうことでカウントしていない。今までの分析と同
加えた。外国や外国人が実際に登場するのか、ある じように、「サザエさん」のような3
0分枠で3話放
いは会話上だけで登場するのか、どこの国の人か、 送する場合では、番組数を3番組、一番組あたりの
留学先や仕事相手などどのような登場の仕方なの 放送時間は1
0分としている。
か、友好的か否定的かというような描かれ方、など 下の表(図表1)を見てみると、番組平均時間は
の項目である。分析対象数は1
999年が1
6件、2
004年 ほんの少しずつ増えているが大きな変化はないこと
が9件であった。 がわかった。しかし番組数にいたっては大きく減り
情報通信機器では携帯電話や固定電話などがどの 続け、減少傾向がはっきりと認められる。
くらい使われているか番組単位での分析を追加し
図表1 内容分析対象番組数と放送時間
た。食育に関するものでは、食事をするとき一緒に
全番組 7時以降放送番組
食べる人の間の人間関係や料理が手作りのものか出
番組平 番組平
番組数 総時間 番組数 総時間
来合いか、食べ物を粗末に扱っていないかという項 均時間 均時間

目を加えた。分析対象数は1
999年が5
7件、2
004年が 1
977年 1
34 4
678 3
4.9 7
5 3
323 4
4.3

980年 1
28 4
515 3
5.3 7
8 3
294 4
2.2

4件である。犯罪に関するものは、密輸や盗み、万

983年 1
37 4
479 3
2.7 8
1 2
919 3
6.0
引きといった違法行為が描かれているかといった項

986年 9
9 4
089 4
1.3 6
1 2
754 4
5.1
目で、分析は番組単位で扱った。

989年 8
7 3
554 4
0.9 5
5 2
433 4
4.2

994年 8
0 3
398 4
2.5 4
3 1
981 4
6.1
上記の分析に加えて、各番組についてビデオ・リ 1
999年 5
4 2
359 4
3.7 3
9 1
856 4
7.6

サーチ社の視聴率を利用している。多くの場合、企 2
004年 4
5 2
034 4
5.2 3
6 1
780 4
9.4

画、キャスティング、監督、製作会社、番組宣伝な 全体 7
64 2
910
6 3
8.1 4
68 2
034
0 4
3.5

ど、製作のすべてのプロセスを決定する根幹は“視
聴率を上げること”だろう。岩男(岩男、2
000)は、 トータルの放送時間量(図表2)をみても一貫し
番組制作者は視聴者の好みを推定し、高視聴率をあ て減り続けていることが明らかに認められる。その
げることを意図して番組を制作しているから、高視 理由としては、情報バラエティ、バラエティ番組、
聴率の「ドラマ」番組は視聴者の好みをより的確に クイズ番組、歌番組の増加の影響も考えられる。こ
反映していると述べている。分析には年別に視聴率 こ1
0年では、特に夕方のニュース番組の時間拡大が
上位2
5%、下位2
5%に入る番組の比較を行った。 影響 し て い る よ う に 思 わ れ る(図 表3)
。夕 方 の
ニュース番組は1
994年にはどの局も6時から一斉に
4.番組数の推移 放送しており、6時まではアニメ番組やドラマの再
分析対象番組の本数と時間量を1
994年までのデー 放送を行っていた。しかし1
999年になると日本テレ
タと比較した。 ビとフジテレビで約5時半から、テレビ朝日に至っ

999年、2
004年は、放送時間の半分以上を夕方5 ては5時からニュース番組を放送するようになって
時∼夜1
1時までの時間に放送された番組の数と時間 いる。2
004年で は NHK と フ ジ テ レ ビ も5時 に は
をカウントしている。例えば、1
999年7月1
7日に「踊 ニュース番組が放送されるようになり、5時台のド
る大捜査線秋の犯罪撲滅スペシャル完璧版」が2時 ラマやアニメが非常に減った。そのため、5時から

0分∼5時3
0分まで3時間にわたり再放送された。 放送される再放送の割合も1
999年以降は急激に少な

82
は性別について分析した(図表4)
。全登場人物に
ついても主要登場人物でもすべての年度において、
男性に偏っていることがわかる。ドラマの世界は男
性優位である状態が依然として続いているのだ。し
かし、1
994年までは全登場人物の7割が男性であっ
たが、1
999年と2
004年は6割に留まっている。逆に
女性は1
999年と2
004年は4割に増えている。主要登
場人物についても1
999年に初めて4割を超えたの
だ。2
004年で3
0%台に戻ってしまってはいるが、性
図表2 放送時間量 別のバランスがとれる方向にある。
数の上での男女比よりも、どのような役柄でどの
ようなメッセージを伝えているかの方が重要である
と岩男の研究で述べられている。特に、ガーブナー
の培養仮説を考えると、多くの視聴者が虚構の世界
を現実の世界と受け止めがちという事になるうえ
に、メディアのインパクトの大きさを考えると、バ
ランスのとれたものにすることが望ましいとしてい
る(岩男、1
998・2
000)

図表 4 登場人物の男女構成
全登場人物 主要登場人物
男 女 男 女
図表3 放送時間別番組数 7
7年 7
3.6% 5
352
6.4% 1
927
0.7% 3
122
9.3% 1
29

0年 6
8.7% 3
773
1.3% 1
726
7.1% 2
533
2.9% 1
24

くなっている。ただ、ドラマの再放送は少なくなっ 8
3年 7
0.7% 6
672
9.3% 2
766
7.7% 3
463
2.3% 1
65

たかと思うとそうではなく、平日の午前1
0時半頃か 8
6年 6
8.8% 4
613
1.2% 2
096
2.2% 2
403
7.8% 1
46

9年 6
6.1% 3
833
3.9% 1
966
5.5% 2
163
4.5% 1
14
らと午後3時、4時くらいからに放送時間を移した

4年 6
8.2% 3
433
1.8% 1
606
4.9% 2
073
5.1% 1
12
ようである。近年の分析対象番組数、放送時間の減

9年 6
0.1% 1
663
9.9% 1
105
7.0% 9
443.
0% 7

少は、ニュース番組というよりもニュースバラエ

004年 6
2.6% 1
843
7.4% 1
106
0.2% 1
093
9.8% 7

ティ番組というべき番組の時間拡大の影響が大きい 全体 6
8.6% 3
1163
1.4% 1
4256
5.6% 1
7773
4.4% 9
33
ものと思われる。
登場人物の年齢分布をみるため、「不明」
「幼児(9
5.登場人物分析 歳以下)
」「子ども(1
0歳∼1
9歳)
」「若者(2
0歳∼2

ここでは各登場人物単位の分析結果をみていく。 歳)
」「中 年(3
0歳 か ら5
9歳)
」「老 人(6
0歳 以 上)

本論文では、登場人物の中には人間以外にも動物・ の6つに分類した。全体的にみて、主要登場人物、
機械・物(例:ドラえもん)
が含まれている。また、 脇役と共に中年層が最も多く、次いで若者、子供と
主要な人物でなくとも暴力行為や性行為に関係した いう順になっている(図表5)
。そして高齢者の占
登場人物については、コーディング対象にしている。 める割合は少ない。高齢社会が進む中で、1
977年か
登場人物の中で、男女の区別のつくものについて ら2
004年まで2
7年間を通して多少の凸凹があって

83
図表 5 主要登場人物と脇役別の年齢分布
主要人物
不明 幼児(0
‐9) 子供(1
0‐1
9) 若者(2
0‐2
9) 中年(3
0‐5
9) 老人(6
0‐) 計

7年 1
0.3% 4
9 5.
5% 2
6 1
9.6% 9
3 2
3.2% 1
10 3
7.1% 1
76 4.
4% 2
1 4
75

0年 5.
7% 2
2 4.
4% 1
7 2
3.8% 9
1 2
4.5% 9
4 3
6.0% 1
38 5.
5% 2
1 3
83

3年 7.
0% 3
7 7.
3% 3
9 2
3.1% 1
23 2
9.7% 1
58 3
0.3% 1
61 2.
6% 1
4 5
32

6年 7.
1% 2
8 2.
8% 1
1 2
3.9% 9
4 2
9.9% 1
18 3
2.0% 1
26 4.
3% 1
7 3
94

9年 7.
4% 2
5 8.
0% 2
7 1
5.7% 5
3 2
9.4% 9
9 3
6.5% 1
23 3.
0% 1
0 3
37

4年 8.
4% 2
7 2.
5% 8 1
9.8% 6
4 3
3.7% 1
09 3
3.1% 1
07 2.
5% 8 3
23

9年 9.
6% 1
6 7.
8% 1
3 2
1.1% 3
5 2
1.1% 3
5 3
6.1% 6
0 4.
2% 7 1
66

004年 8.
3% 1
5 3.
9% 7 1
9.3% 3
5 1
8.8% 3
4 4
4.2% 8
0 5.
5% 1
0 1
81
全 体 7.
8% 2
19 5.
3% 1
48 2
1.1% 5
88 2
7.1% 7
57 3
4.8% 9
71 3.
9% 1
08 2
791

脇役
不明 幼児(0
‐9) 子供(1
0‐1
9) 若者(2
0‐2
9) 中年(3
0‐5
9) 老人(6
0‐) 計

7年 1
6.4% 5
4 7.
6% 2
5 9.
4% 3
1 2
6.1% 8
6 3
7.0% 1
22 3.
6% 1
2 3
30

0年 5.
2% 9 4.
0% 7 1
3.2% 2
3 2
8.2% 4
9 4
3.7% 7
6 5.
7% 1
0 1
74

3年 1
5.8% 7
6 5.
8% 2
8 8.
3% 4
0 3
1.5% 1
52 3
5.5% 1
71 3.
1% 1
5 4
82

6年 1
6.0% 5
2 2.
5% 8 1
5.1% 4
9 2
5.2% 8
2 3
9.1% 1
27 2.
2% 7 3
25

9年 1
1.5% 3
2 3.
6% 1
0 1
1.5% 3
2 3
4.2% 9
5 3
6.3% 1
01 2.
9% 8 2
78

4年 9.
1% 1
8 4.
1% 8 1
7.8% 3
5 2
9.9% 5
9 3
6.0% 7
1 3.
0% 6 1
97

9年 1
4.9% 1
7 1.
8% 2 1
2.3% 1
4 2
8.1% 3
2 4
2.1% 4
8 0.
9% 1 1
14

004年 8.
8% 1
0 2.
6% 3 1
1.4% 1
3 1
9.3% 2
2 5
6.1% 6
4 1.
8% 2 1
14
全 体 1
3.3% 2
68 4.
5% 9
1 1
1.8% 2
37 2
8.6% 5
77 3
8.7% 7
80 3.
0% 6
1 2
014

も、高齢者が6%を越えたことはない。岩男は、高 図表 6 男女別年齢分布

齢者の活躍が期待される高齢社会において、こうし 1
999年 2
004年
男性 女性 男性 女性
た状況は、高齢者が社会の重要な構成員であるとい
う認識を受け手が持ちにくい状況を生んでいるので (0)不明 1
2.0% 2
0 8.
2% 9 9.
2% 1
7 6.
4% 7

はないかと述べている。 (1)幼児
7.
2% 1
2 2.
7% 3 3.
3% 6 3.
6% 4
『渡る世間は鬼ばかり』
(TBS)や、奔放な老人た 〔0∼9〕
(2)子供
ちの住む高級老人ホームが舞台の『エ・アロール』 1
5.7% 2
6 2
0.9% 2
3 1
7.4% 3
2 1
4.5% 1

〔1
0∼1
9〕
(2
003年、TBS)では、高齢者も比較的多く登場し、 (3)若者

1.1% 3
5 2
9.1% 3
2 1
2.0% 2
2 3
0.9% 3

活動的に描かれているようだが、まだまだドラマの 〔2
0∼2
9〕

世界では対応の遅れがあるといえるようだ。 (4)中年

1.0% 6
8 3
6.4% 4
0 5
3.8% 9
9 4
0.9% 4

〔3
0∼5
9〕
(5)老人
3.
0% 5 2.
7% 3 4.
3% 8 3.
6% 4
次に1
999年と2
004年の男女別での年齢分布をみて 〔6
0∼〕

みよう(図表6)
。先行研究(岩男、1
998・2
000)
で、 総計 1
00.
0% 1
661
00.
0% 1
101
00.
0% 1
841
00.
0% 1
10
女性は2
0代が多く、男性は中年が多く、男女で偏り
方が異なることが明らかにされていた。男性につい
ては相変らず中年が多く描かれている。それが、女

84
性の年齢分布をみると、中年の登場人物が占める割 2
004年にはそれらがはっきりと数値に表れている。
合は大きくなり、2
0代を上まわっているのである。 8分析時点を通じてみると、不参加の成人男性は
若さだけが女性の魅力ではなくなってきたのかもし 1
977年の8
5%から2
004年の2
7.8%に減少しており、
れない。 積極的参加は1
977年の5.
4%から2
004年の4
7.2%へ
本研究の分析対象番組のなかに『アットホーム・ と増加するという、実社会の変化を反映する極めて
ダッド』
(20
04年、フジテレビ)という「専業主夫」 興味深い結果となっている。
を題材にした作品があった。これは、男女の伝統的 一方、女性には男性ほど明らかな傾向はないが、
性役割と家族のあり方について考えさせるドラマで 同じように不参加の成人女性の減少傾向と積極的参
ある。このドラマは好評だったのか、同年1
2月に2 加の増加がみられる。女性の場合、2
004年には積極
時間のスペシャルを放送している。さらに2
005年に 的参加の割合が8割を超えている。これは、「家事
は同じ街に引越してきた夫婦を中心に新しい家族の の担い手は女性だ」という傾向が強まっているよう
形を提案するホームドラマとして「実録鬼嫁日記」 に感じられる。先行研究で述べられているとおり、
が放送されている。 女性は、時代にかかわりなく家事をするという現実
ここで登場人物の家事への参加状況をみてみよう を反映した形で描かれているからなのかもしれな
(図表7)
。以前から家事に不参加の成人男性が減少 い。
して積極的参加の増加がみられているが、1
999年、
6.暴力描写分析
図表 7 成人男女別、家事への参加
本研究での暴力は、岩男の定義に倣い「暴力を受
成人男性
ける者の意思に反して自分または他者に対して行使
不参加 参加‐補助的 参加‐積極的 計

7年 8
5.0% 1
25 9.
5% 1
4 5.
4% 8 1
47 される物理的な暴力の明示的表現」と定義する。こ

0年 8
4.8% 8
9 1
0.5% 1
1 4.
8% 5 1
05 のため、言葉による暴力や同意の上で行われた暴力、

3年 7
6.5% 1
27 1
5.7% 2
6 7.
8% 1
3 1
66 推測に基づくようなものについてはコーディングさ

6年 7
4.0% 9
1 1
0.6% 3 1
1 5.4% 1
9 1
23 れないことになる。

9年 6
1.0% 3
6 2
7.1% 6 1
1 1.9% 7 5

本研究では岩男の研究と同様に、途中から道具が

4年 6
2.5% 4
5 1
8.1% 3 1
1 9.4% 1
4 7

加わったり、変わったりしても、同じキャラクター

9年 4
7.2% 1
7 2
7.8% 0 2
1 5.0% 9 3

の間の暴力である限り、1つの行為とみなす。また

004年 2
7.8% 1
0 2
5.0% 9 4
7.2% 1
7 3

全体 7
2.6% 5
40 1
5.1% 1
12 1
2.4% 9
2 7
44 暴力行為の途中でフラッシュバックに遮断されて
も、実際に連続した行為である時には同一行為とみ
成人女性 なす。だだし、新しい登場人物が加わった場合は、
不参加 参加‐補助的 参加‐積極的 計 別の行為とみなす。

7年 2
0.4% 0 1
2 8.4% 8 6
1 1.2% 6
0 9

青少年犯罪の深刻化が問題になり、1
990年代後半

0年 2
1.6% 6 1
1 6.2% 2 6
1 2.2% 4
6 7

以降は青少年と放送の問題改善に向けていろいろな

3年 3
5.2% 7 1
3 2.4% 3 5
1 2.4% 5
5 1
05
組織が立ち上がり、議論が行われているようである。

6年 2
1.8% 7 1
1 4.1% 1 6
1 4.1% 5
0 7


9年 2
0.8% 1
0 8.
3% 4 7
0.8% 3
4 4


998年に「青少年と放送に関する調査研究会」
、19
99


4年 1
7.6% 9 1
5.7% 8 6
6.7% 3
4 5
1 年には「青少年と放送に関する専門家会合」
、20
03

9年 1
5.8% 6 5.
3% 2 7
8.9% 3
0 3
8 年に「放送倫理・番組向上機構(BPO)
」が発足し

004年 5.
4% 2 1
3.5% 5 8
1.1% 3
0 3
7 ている。
全体 2
2.1% 1
17 1
3.8% 3 6
7 4.1% 3
39 5
29

999年、民放では午後5時∼9時までを「子供に

85
配慮した時間」と定め暴力や性表現を自粛するとし りの平均暴力行為数をみてみよう(図表9)
。19
77
た。生活時間が夜型している子供たちにとって適切 年から2
004年までは番組数の減少と共に暴力行為数
な時間設定とはいえないかもしれないが、日本では も少なくなっている。番組平均暴力数は子どもアニ
初めての放送時間帯制限である。表現の自由だけで メ祭りのあった1
983年の6.
7を除くと、
199
9年にいっ
は説得力を持たなくなったため、何か具体的に示さ たん減少したものの、どの年もあまり大きな変化が
なければなかったのだろうか。他にも青少年向けの みられない。
番組を充実させるなど、放送関係者の自主的対応が 上記で述べたとおり、暴力描写を含む番組数は
ある。 減っているが、1番組あたりの平均番組行為数は減
このような状況の中で、テレビドラマの中での暴 少傾向がみられなかった。ある特定の番組に集中し
力表現はどうのように変化しているかみていこう。 て暴力描写を多く描くようになってきているのかも
図表8をみると、テレビドラマに描かれる暴力の しれない。例えば、本研究の分析対象番組の中で最
多さに驚かされる。どの年についても言えることだ も多く暴力行為を描いたのが、2時間のスペシャル
が、幼児向番組の方が一般向番組よりも暴力描写の ドラマ『ビー・バップ・ハイスクール』
(20
04年、
ある番組が多くなっている。1
999年、2
004年につい TBS)である。
ても、これらの傾向は1
977年から1
994年までの分析
図表9 暴力行為数と平均
結果と全く同様である。全8年度平均でみると、ド
番組数 暴力行為数 番組平均
ラマ全体では7
9.6%と約8割の番組に暴力が描かれ

7年 1
34 6
08 4.

ていることになる。 8
0年 1
28 5
64 4.


004年度については1
999年度と比べると、幼児向 8
3年 1
37 9
15 6.

番組が9
0.0%から7
1.4%に、一般向番組は8
8.9%か 8
6年 9
9 4
17 4.

ら6
5.8%へと、暴力描写の含む番組が減少している 8
9年 8
7 4
49 5.


4年 8
0 3
87 4.

ことがわかる。2
004年は全体でも、1
977年に分析が

9年 4
6 1
74 3.

スタートしてはじめて6
0%台に減少している。つま

004年 4
5 2
02 4.

り、暴力描写を含む番組数だけを考えた場合、暴力
表現の自主規制の成果があったようにみえる。 番組の中の暴力の深刻度については、「暴力なし」
「ユーモラスな暴力のみ」
「部分的にユーモラス」
「深
刻な暴力」の4つに分類した(図表1
0)。深刻な暴
力は1
989年まで大きな変化がみられなかったが、

994年 に4
1.3%に 増 加 し1
999年 に は4
5.7%と な っ
た。そして2
004年には過去最低の2
4.4%にまで減少
した。「暴力なし」の番組は、1
994年と1
999年に1
0%
台とそれ以前に比べ低い数値だったが、2
004年には
過去最高の3
3.3%に増加している。2
004年は暴力行
為がない番組、あったとしても「ユーモラスのみ」
の番組が多く、「深刻」な暴力描写の含まれる番組
は少なめであったといえる。青少年に与える影響を
図表8 形式別・暴力行為が含まれる番組の割合
考え、各局独自の基準作りができたため、表現の程
次に分析対象となった暴力行為の数と1番組あた 度が抑え気味になってきたのであろう。

86
図表10 暴力の深刻度 図表11 暴力の深刻度と視聴率
ユーモラス 部 分 的 に 上位2
5%
暴力なし 深刻 計
のみ ユーモラス ユーモラス 部 分 的 に
暴力なし 深刻な暴力 計

7年 1
9.4% 2
624.
6% 3
322.
4% 3
033.
6% 4
513
4 な暴力のみ ユーモラス

0年 2
5.8% 3
325.
8% 3
310.
2% 1
338.
3% 4
912
8 7
7年 2
1.2% 72
4.2% 8 9.
1% 34
5.5% 1
5 3


3年 1
1.7% 1
642.
3% 5
815.
3% 2
130.
7% 4
213
7 8
0年 3
7.5% 1
221.
9% 7 3.
1% 13
7.5% 1
2 3


6年 3
1.3% 3
119.
2% 1
916.
2% 1
633.
3% 3
3 9
9 8
3年 1
2.1% 44
8.5% 1
6 6.
1% 23
3.3% 1
1 3


9年 2
6.4% 2
326.
4% 2
313.
8% 1
233.
3% 2
9 8
7 8
6年 4
4.4% 1
237.
0% 1
0 7.
4% 21
1.1% 3 2


4年 1
6.3% 1
326.
3% 2
116.
3% 1
341.
3% 3
3 8
0 8
9年 4
1.7% 1
025.
0% 6 8.
3% 22
5.0% 6 2


9年 1
0.9% 51
9.6% 92
3.9% 1
145.
7% 2
1 4
6 9
4年 3
1.6% 62
1.1% 42
6.3% 52
1.1% 4 1


004年 3
3.3% 1
526.
7% 1
215.
6% 72
4.4% 1
1 4
5 9
9年 1
6.7% 21
6.7% 21
6.7% 25
0.0% 6 1

全体 2
1.4% 1
622
7.5% 2
081
6.3% 1
233
4.8% 2
637
56 2
004年 3
6.4% 43
6.4% 4 0.
0% 02
7.3% 3 1

小計 2
9.8% 5
729.
8% 5
7 8.
9% 1
731.
4% 6
019

視聴率上位・下位2
5%に含まれる番組で暴力の深
刻度をみてみよう(図表1
1)。上位2
5%に含まれる 下位2
5%

番組は、1
999年には深刻な暴力を含む番組が半分を ユーモラス 部 分 的 に
暴力なし 深刻な暴力 計
な暴力のみ ユーモラス
占めていたのが、2
004年には「暴力なし」
、「ユーモ

7年 1
4.7% 52
3.5% 83
5.3% 1
226.
5% 9 3

ラスな暴力のみ」の割合が増加し、「深刻な暴力」は

0年 1
5.6% 52
1.9% 72
1.9% 74
0.6% 1
3 3

減少している。全8年度平均でみると、
「暴力なし」
、 8
3年 5.
7% 24
8.6% 1
720.
0% 72
5.7% 9 3

「ユーモラスな暴力のみ」
、「深刻な暴力」で、それ 8
6年 2
7.3% 6 4.
5% 11
3.6% 35
4.5% 1
2 2

ぞれ約3
0%ずつに分かれている。岩男の過去6年分 8
9年 2
6.1% 63
0.4% 71
3.0% 33
0.4% 7 2

の分析でも同様な結果が得られており、高視聴率と 9
4年 2
0.0% 42
0.0% 41
0.0% 25
0.0% 1
0 2


9年 8.
3% 11
6.7% 23
3.3% 44
1.7% 5 1

番組の深刻度とは関係がないとしている。

004年 3
6.4% 41
8.2% 22
7.3% 31
8.2% 2 1

次に下位2
5%に含まれる番組をみてみる。年に
小計 1
7.5% 3
325.
4% 4
821.
7% 4
135.
4% 6
718

よって変動もあるが、全8年度平均では深刻な暴力
を含む番組の方が、視聴率が取りにくいようである。 る場合に「ユーモラスのみ」の番組が1
983年の頃
(3
2.8%)と同じくらいに増えている。「深刻」
も19
94
7.性描写分析 年 と1
999年 で2
0%に 達 し て い た が、2
004年 で は
各性的行為・シーン単位の分析結果を報告する。 1
5.6%に下がっている。
岩男の研究と同様に、ある描写に性的ニュアンスを
図表1
2 性描写の深刻度
付与するかは、受け手の主観的判断に関わっている
ユーモラス 部 分 的 に
性描写なし 深刻 計
ことが多いと考えられるので、本研究での性描写は、 のみ ユーモラス

描写された行為の有無を客観的に記録することにし 7
7年 8
1.3% 1
09 6.
0% 8 1.
5% 21
1.2% 1
513

た。
つまり、
暴力行為の分析と同じように、
あくまで 8
0年 7
2.7% 9
3 7.
0% 9 4.
7% 61
5.6% 2
012


3年 4
6.0% 6
332.
8% 4
5 4.
4% 61
6.8% 2
313

も描写された行為や状況をコードする方法で行った。

6年 5
9.6% 5
919.
2% 1
9 8.
1% 81
3.1% 1
3 9

性描写の深刻度を各番組で「性描写なし」
「ユー

9年 5
2.9% 4
628.
7% 2
5 3.
4% 31
4.9% 1
3 8

モラスのみ」
「部分的にユーモラス」
「深刻」の4つ

4年 5
3.8% 4
316.
3% 1
310.
0% 82
0.0% 1
6 8

に分類した(図表1
2)。「性描写なし」の番組が最も 9
9年 5
0.0% 2
313.
0% 61
3.0% 62
3.9% 1
1 4

多く半数を占める。2
004年度は「性描写なし」の番 2
004年 5
1.1% 2
331.
1% 1
4 2.
2% 11
5.6% 7 4

組の割合は他の年とあまり変らないが、性描写があ 全体 6
0.7% 4
591
8.4% 1
39 5.
3% 4
015.
6% 1
187
56

87
8.結び 各局独自の基準作りが進んだため、表現の程度が抑

977年から1
994年までの分析結果と、今回新たに え気味になってきたと思われる。放送時間帯制限を
加えた1
999年と2
004年の分析結果とを比較検討し 設けて、暴力・性表現を自粛するなどといった、具
た。 体的な青少年と放送との問題への取り組みは始まっ
女性登場人物の年齢で「若者」より「中年」の割 てまだ数年である。取り組み方針の見直しや V チッ
合が増加したなど、7
7年から9
4年の分析結果とは傾 プの問題を考えるうえでも、暴力や性表現がどのよ
向が変ったものもある。しかし、多くの項目で過去 うに変わっているか、いないのかを知る必要がある。
の分析結果と大きく異なることはなかった。つまり これらの暴力・性表現の変化を契機として、今後も
テレビドラマにおける登場人物は男性優位であった 積極的に青少年と放送との問題へ取り組んでいくこ
り、高齢者は登場することが少なかったりと、新た とが必要であろう。
に加えた分析でも、これまで指摘されていたテレビ 今回は紙面の関係で主要な結果のみについて述べ
ドラマの世界の歪みがそのまま確認されるかたちに てきた。テレビドラマは上述したように世相を反映
なったのである。 するだけでなく、「冬のソナタ」に代表されるよう
テレビ暴力の問題は、単に青少年の暴力行動への に、ドラマをきっかけにして、人々の国際交流が盛
影響だけが問題なのではない。ガーブナーは培養分 んになるといった影響もある。ドラマを分析するこ
析で、人々の主観的現実はテレビに描かれるシンボ とによって、社会の変化や人々の心理、価値観の変
リックな現実を多かれ少なかれ反映していると主張 化を汲み取ることができるのも、ドラマ分析の意義
している。テレビを長期的、反復的に視聴すること のひとつではないだろうか。
によって、人々の現実認識に影響を及ぼし、長時間
視聴者ほど大きな影響を受けるとしている。しかも、 引用参考文献
テレビドラマには現在も実にたくさんの暴力描写が 〔1〕岩男壽美子(1
998)「テレビ「ドラマ」の内容分析−

含まれているのだ。そのためガーブナーは、長時間 1977∼1
994−」
『メディア・コミュニケーション』No.
48

視聴者ほど現実に暴力犯罪が起っている割合を過剰 1998
〔2〕岩男壽美子(2
000)
『テレビドラマのメッセージ 社
に見積もったり、暴力への不信感を大きくしていた
会心理学的分析』勁草書房
り、さらには対人不信感まで強めてしまうかもしれ
〔3〕松村泰子/ヒラリア・ゴスマン(編)
(1998)
「メディ
ないといっている。
アがつくるジェンダー 日独の男女・家族像を読み
昨今、メディア・リテラシーという言葉が一般に とく」新曜社
使われるようになったが、十分には普及していない。 〔4〕佐々木輝美(1
996)「メディアと暴力」勁草書房
まず始めに受け手の側は、「テレビドラマの世界は 〔5〕西野知成(1
998)
「ホームドラマよどこへ行く ブラ

情報の内容に歪みが生じている」ことを認識するこ ウン管に映し出された家族の変遷とその背景」学文

とが必要であろう。この研究結果がその一助になる
〔6〕NHK 放送文化研究所(編)
(2003)「テレビ視聴の5

ことと考えている。
年」日本放送出版協会
暴力描写と性描写については、今回の分析結果で
〔7〕藤竹暁(編著)
(2000)
「図説 日本のマスメディア」
は2
004年度の場合、放送関係者の自主的対応の成果 NHK ブックス[8
97]日本放送出版協会
なのか、暴力描写を含む番組数が減少したり、深刻 〔8〕井上宏(1
987)
「テレビ文化の社会学」世界思想社
な暴力描写、性描写の含まれる番組が少なくなって 〔9〕NHK 放送文化研究所(2
000)「現代日本人の意識構

いた。そして幼児向番組の平均暴力描写時間は急激 造[第5版]
」NHK ブックス[8
80]日本放送出版協

に短くなっていることが明らかになった。これは、

88
〔10〕日高一郎(1991)「日本の放送のあゆみ」人間の科学 pp.173-199.
社 〔28〕Barbara J,W., Dale,K., Dan,L., James,P., Ed,D., Stacy
〔11〕碓井広義(2003)「第5章 視聴率は魔物か」『テレ L,S., Eva,B., Timothy,G,.
(1997)Televison Violence
ビの教科書 ビジネス構造から製作現場まで』PHP And Its Context : University Of California, Santa
研究所 Barbara Study, National Television Violence Study
〔1
2〕社団法人 日本民間放送連盟(2
002)『民放連放送基 Volume1
準解説書199
9 付 追補2002』コーケン出版
〔13〕古畑和孝、岡隆(編)
(200
2)「社会心理学小辞典〔増
補版〕」有斐閣
〔14〕尾木直樹(2004)『子育てとテレビ新事情』新日本出
版社
〔15〕小倉紀藏(2004)『韓国ドラマ、愛の方程式』ポプラ

〔16〕角川書店(2004)『週刊ザテレビジョン別冊 連ドラ
10年史∼ドラマアカデミー賞1
0年プレーバック∼』角
川書店
〔17〕青柳昌行(編)(2001)『決定!テレビドラマ ベス
ト100』エンターブレイン
〔18〕青柳昌行(編)
(2002)
『TV ドラマを10
0倍楽しもう!
ドラマ DVD スーパーガイドブック』エンターブレ
イン
〔19〕伊豫田康弘、上滝徹也、田村穣生、野田慶人、煤孫
勇夫(1996)『テレビ史ハンドブック』自由国民社
〔20〕小 松 克 彦、オ フ ィ ス2
1(編 著)(19
99)『That's テ
レビドラマ90's』ダイヤモンド社
〔21〕御園まこと(監修)(199
9)『図説テレビアニメ全書』
原書房
〔22〕総務省(2004)『平成1
6年版 情報通信白書』ぎょう
せい
〔23〕田崎篤郎、児島和人(編著)
(199
6)『マス・コミュ
ニケーション効果研究の展開〔新版〕
』北樹出版
〔24〕阿部孝太郎(1997)「テレビドラマの構造分析・序説
―その方法と意義を中心に」
『マス・コミュニケーショ
ン研究』No.
50
〔25〕三矢惠子(2004)「世論調査からみた「冬ソナ」現象
−「冬のソナタ」に関する世論調査から−」
『放送研
究と調査』12月号 NHK 放送文化研究所(編)日本
放送出版協会
〔26〕斉藤慎一(200
2)「テレビと現実認識 −培養理論の
新たな展開を目指して」
『マス・コミュニケーション
研究』No.
60
〔27〕Gerbner,G., Gross,L.
(1976)Living With Television :
The Violence Profile, Journal of Communication, 26

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