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A07 24時間飛行可能な小型固定翼Solar UAVの開発

ー 制御ゲイン調整 ー

2021.11.27
福島綾音

加藤宏基
大山尚悟
Aircraft Laboratory 橋本武憲
目次

1.ソーラープレーン開発
1.1 背景・目的
1.2 PID制御とは
1.3 ゲイン調整手順紹介
1.4 ゲイン調整試験(試験概要・試験結果・試験評価)
1.5 まとめ

2.PX4制御則調査・分析
2.1 目的
2.2 PX4姿勢制御則紹介
2.3 PX4姿勢制御則分析(角度に対するPD制御・角速度に対するI制御)
2.4 PID一般出力式との比較
2.5 まとめ

2
1.1 背景
背景
飛行試験で機体が墜落

飛行制御時の応答遅れが墜落原因の1つであると推測

pitch角

グラフから目標値への応答に著しい遅延があることが分かる
1.1 背景
自動操縦手法
市販の制御ツール「pixhawk」を使用

PX4と呼ばれるソフトウェアを導入し
標準の制御ゲインでも、ある程度安定した飛行が実現可能

墜落当時、制御ゲインはPX4標準の値を使用していた
1.1 目的

目的:機体特性に適した飛行制御の実現

PX4で用意されているゲイン調整手順に従い
練習機を用いたゲイン調整試験を実施

調整手順の妥当性を確認し、応答の改善に有効かを判断する

調査したPX4制御ゲイン調整手順・それらを用いた制御調整試験結果
および試験評価について紹介する。
1.2 PID制御とは

PX4はPID制御をベースに設計されている
ここでは一般的なPID制御について紹介する

制御出力:U t = 𝑘𝑝 𝑒 𝑡 + 𝑘𝑖 ‫ 𝑡𝑑 𝑡 𝑒 ׬‬+ 𝑘𝑑 𝑒ሶ 𝑡

𝑘𝑝 𝑒 𝑡 𝒌𝒊 න 𝒆 𝒕 𝒅𝒕 𝑘𝑑 𝑒ሶ 𝑡
1.3 PX4ゲイン調整手順
1.FF-gainの調整 2.P-gainの調整

目標値に応じた制御量を出力 立ち上がり時間の改善

① P-gain ・ I-gainを0に設定する。
①出力に振動が見られるまでP-gainを初期
②目標値に十分達するまでFF-gainを 値から2倍ずつ増加させる。
初期値から2倍ずつ増加させる。
②最後にP-gainを50%下げる。
③最後にFF-gainを20%下げる。

3.I-gainの調整
オフセットの改善

① 目標値と現状値間にオフセットがなく
なるまでI-gainを増加させる。

※時定数(TC)は0.5がデフォルト値である
1.4 ゲイン調整試験 -試験概要-

試験概要

• スパン2mの練習機「Ranger」を使用
• roll角の制御ゲインを調整した

ゲイン調整後、各ゲイン調整時の制御状態でステップ入力を行い
目標値に対する追従性を確認する
1.4 ゲイン調整試験 -試験結果-

1. FF-gainの調整
調整前 調整後

目標値への追従性は改善したが
応答はまだ鈍い状態である
1.4 ゲイン調整試験 -試験結果-

2. P-gainの調整

調整前 調整後

この調整で立ち上がり後
目標値に追従することが確認できた
1.4 ゲイン調整試験 -試験結果-

3. I-gainの調整

調整前 調整後

調整前のグラフと比較し立ち上がり後の振動が見られるが
目標値への追従性はより高くなった
1.4 ゲイン調整試験 -試験評価-

ゲイン調整前に見られたや立ち上がりの遅延などが改善され
目標値に速やかに追従する挙動が確認できる
1.5 まとめ

・PX4で用意されたゲイン調整手順を調査した
・上記の調整手順に従いゲイン調整試験を実施、ステップ入力によって
試験結果を評価した

目的:機体特性に適した飛行制御の実現

PX4で用意されたゲイン調整手法は追従性の改善に有効であると判断

同様の手順を踏むことでソーラープレーンでも追従性が改善され
機体特性に適した制御状態の構築が期待できる
2.1目的

目的:PX4姿勢制御則の分析

PX4ゲイン調整手順に従い概ね期待通りの結果が得られた
ブロック線図とソースコードからPX4姿勢制御則を調査する

PX4の姿勢制御則について、roll角を例に分析する
2.2 PX4姿勢制御則 –加え合わせ点の説明-

PX4姿勢制御則について、ブロック線図を用いて紹介する

姿勢角速度目標値
姿勢角エラー / 時定数(=TC)

姿勢角エラー 姿勢角速度エラー
目標値 – 現状値(姿勢角) 目標値 – 現状値(姿勢角速度)
2.2 PX4姿勢制御則 -制御処理の説明-

PX4姿勢制御則について、ブロック線図を用いて紹介する

出力

角速度目標値×FF-gain + 角速度エラー×P-gain + integrator

角速度目標値 ×FF-gain

・ 角速度エラー×P-gain →roll角を例に
・ integrator = integrator+ 角速度エラー×dt ×I-gain 各制御を分析する
2.3 PX4姿勢制御則分析 -姿勢角に対するP制御-

roll角速度目標値をroll角エラー / TCと置き換える
→roll角エラーに定数をかけた形になる

角速度に対してのFF制御ではなく角度に対してのP制御であると考える

FF-gain

roll角目標値

roll角 1 / TC P-gain I -gain

roll角速度
2.3 PX4姿勢制御則分析 -姿勢角速度に対するPI制御-
roll角速度に対するI制御
roll角速度エラーにI-gainをかけたものを積算
integrator = integrator+ roll角速度エラー × dt × I-gain

FF-gain

roll角度セットポイント

roll角 1 / TC P-gain I -gain

roll角速度に対するP制御
roll角速度
roll角速度 エラー × P-gain

roll角に対するD制御と見なすことができる
2.4 PX4制御則分析 -PID一般出力式との比較-
PX4の制御則は
角度に対するPD制御と角速度に対するI制御であると考える

一般的な
角度に対する制御 角速度に対する制御
PID制御

𝑘𝑝 = FF-gain/tc 𝑘𝑝 = P-gain
𝑘𝑝 e 𝑡
𝑒 𝑡 = roll角エラー e(t) = roll角速度エラー

𝑘𝑑 = P-gain
𝑘𝑑 𝑒ሶ 𝑡 ―
𝑒ሶ 𝑡 = roll角速度エラー
𝑘𝑖 = I-gain
𝑘𝑖 න 𝑒 𝑡 𝑑𝑡 ― ‫= 𝑡 𝑒 ׬‬rollrate_error
dt=dt

PX4はVTOL機の姿勢制御を目的とし開発された

→角速度に対するPID制御が組み込まれており
固定翼についても同様の思想で設計されたと推測
2.5 まとめ

• PX4の姿勢制御則について、一例としてroll角について調査した
• PX4姿勢制御則は、姿勢角に対するPD制御と姿勢角速度に対するI制
御で構成されている

目的:PX4姿勢制御則の分析

PX4の姿勢制御則は
姿勢角に対するPD制御と姿勢角速度に対するI制御であると考える

今後、角度に対するPID制御となるよう
ソースコードの書き換えを実施する予定である

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