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学 号:S11121085
密 级:公开
大学硕士学位论文
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習
得考察
学位申请人姓名: 张雅缇
导师姓名及职称: 张佩霞教授
培 养 单 位: 外国语与国际教育学院
专 业 名 称: 日语语言文学
论文提交日期: 2014 年 4 月 20 日
论文答辩日期: 2014 年 5 月 25 日
答辩委员会主席: 陈月吾教授
A Study on the Japanese Learners'Aquicision of tekuru in China
By
Zhang Yati
Master of Literature
in
in the
Graduate School
of
Hunan University
Supervisor
May, 2014
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
摘 要
迄今为止,关于日语补助动词「テクル」用法的研究很多,但是关于「テク
ル」习得的研究并不多见,目前关于「テクル」的习得研究几乎都是以在日本的
中国留学生或者台湾的中国人日语学习者为研究对象,以中国大陆的中国人日语
学习者为研究对象的「テクル」的习得研究很少。因此,对于中国大陆的中国人
日语学习者的「テクル」的习得情况还不甚了解。
因此本文基于湖南大学学习者中介语语料库,从横向和纵向两个方面对学习
者的「テクル」的习得情况进行了考察。全文由以下几个部分组成:
第一章是序论,交代了本文的先行研究和问题点以及研究课题。第二章是研
究概要,首先介绍了本文所使用的语料库,接受语料调查的人,以及本文所使用
的作文数据,研究方法和目的,本文使用的「テクル」用法的分类。第三章全面
考察了「テクル」整体的习得情况和「テクル」的各用法的分布情况,分析了「テ
クル」的总词数和区别词数以及正用误用的比例,误用的种类及其所占比例,并
考查了「テクル」的正用和各种类的误用的分布。第四章考察了各学期、各用法
的「テクル」的正用状况,分析了不同学期「テクル」的正用率以及各学期「テ
クル」的用法分布。第五章首先介绍了误用的调查对象以及误用的种类和判定方
法,进而从横向和纵向两个方面考察了「テクル」的误用情况,分别分析了每种
误用类型的误用情况。第六章是结论,对「テクル」的整体的使用和习得情况,
正用和误用的情况进行了总结。
通过分析发现,造成「テクル」误用的原因:有学习者母语的干扰,目标言
语未完全习得,学习者的不注意,以及学习者词汇量不足等因素。
关键词:「テクル」;正用;误用;中国人日语学习者
II
硕士学位论文
要 旨
いままで日本語補助動詞「テクル」の用法に関しての研究がたくさんあるが、
でも、「テクル」の習得に関する研究があまり見られない。いままで「テクル」
に関する習得研究は大体日本に滞在する中国人留学生、もしくは台湾の中国人
日本語学習者を研究対象にして、中国大陸の中国人日本語学習者を研究対象に
する習得研究はきわめて少ない。そのため、中国大陸の中国人日本語学習者の
「テクル」についての習得状況はあまり知られていない。
本稿では、『湖南大学学習者中間言語コーパス』に基づいて、横断的・縦断的
にという二つの角度から「テクル」の習得状況を考察する。本稿は以下のよう
になっている。
第一章は序論であり、本稿の先行研究と問題点および研究課題を紹介した。
第二章は研究概要であり、まず本稿で使われているコーパスと作文データ、被
験者、研究方法、目的、そして本稿で使われている用法の分類を紹介した。第
三章は「テクル」の全体的な習得状況と「テクル」の各用法の分布を考察して、
「テクル」の前の動詞の延べ語数と異なり語数、そして「テクル」に関する正
用と各種類における誤用の分布を考察する。第四章は用法別と学期別による「テ
クル」の正用状況を考察して、学期別による「テクル」の正用率と学期別によ
る「テクル」の用法別の分布を分析した。第五章はまず誤用の調査対象と誤用
の種類と誤用の判定方法を紹介した。それから、横断と縦断という二つの角度
から「テクル」の誤用の使用状況を考察した。そして、各種類の誤用の状況を
それぞれ
に分析する。第六章は結論であり、「テクル」の全体的な使用状況と習得状況、
正用と誤用の状況をまとめていた。
分析を通して、誤用の原因は以下のようなことだとわかった。学習者の母語
からの干渉;目標言語が十分に習得されていない;学習者の不注意と学習者の
語彙がたりないなど。
キーワード:「テクル」;正用;誤用;中国人日本語学習者
III
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
目 次
湖南大学学位论文原创性声明与学位论文版权使用授权书.......................................... I
摘 要.......................................................................................................................................II
要 旨..................................................................................................................................... III
第1章 序章...........................................................................................................................1
1.1 はじめに........................................................................................................................ 1
1.2 先行研究と問題点.......................................................................................................2
1.2.1 「テクル」の用法に関する先行研究..............................................................2
1.2.2 「テクル」の習得に関する先行研究..............................................................4
1.3 問題点と研究課題.......................................................................................................6
1.3.1 問題点..................................................................................................................... 6
1.3.2 研究課題.................................................................................................................. 6
1.4 本稿の目的と研究方法.............................................................................................. 7
1.4.1 研究方法................................................................................................................. 7
1.4.2 研究目的................................................................................................................. 7
第 2 章 研究概要について................................................................................................... 8
2.1 コーパスの紹介........................................................................................................... 8
2.2 被験者............................................................................................................................ 8
2.3 本稿で使用される作文データの紹介.....................................................................8
2.4 本稿における「テクル」の用法の分類.............................................................. 10
2.5 本稿における「テクル」の誤用の分類.............................................................. 10
第 3 章 「テクル」の全体的使用と習得状況...............................................................12
3.1 全体的な「テクル」の使用傾向........................................................................... 12
3.1.1 全体における「テクル」の使用状況............................................................12
3.1.2 「テクル」のタイプ別における出現状況................................................... 13
3.2 「テクル」の総合的な習得状況........................................................................... 14
3.2.1 「テクル」の正用と誤用の割合.................................................................... 14
3.2.2 「テクル」の正用と各種類の誤用の分布................................................... 15
3.3 まとめ.......................................................................................................................... 16
第 4 章 「テクル」の正用状況について....................................................................... 18
4.1 学期別による「テクル」の正用例の使用状況................................................. 18
4.2 用法別による「テクル」の正用例の使用状況................................................. 20
4.3 学期別の「テクル」による用法別の正用状況................................................. 22
4.4 まとめ.......................................................................................................................... 25
IV
硕士学位论文
第 5 章 誤用分析.................................................................................................................. 27
5.1 調査対象...................................................................................................................... 27
5.2 誤用判定...................................................................................................................... 27
5.3 調査結果...................................................................................................................... 28
5.3.1 「テクル」の全体的な誤用の使用状況....................................................... 28
5.3.2 「脱落」に関する誤用分析.............................................................................30
5.3.3 「混同」に関する誤用分析.............................................................................32
5.3.4 「誤形成」に関する誤用分析........................................................................ 34
5.3.5 「付加」に関する誤用分析.............................................................................34
5.3.6 「そのほか」に関する誤用分析.................................................................... 34
5.4 まとめ.......................................................................................................................... 35
第 6 章 結論と展望.............................................................................................................. 36
6.1 結論.............................................................................................................................. 36
6.2 日本語教育への展望.................................................................................................38
参考文献................................................................................................................................. 39
附录 A 攻读学位期间所发表的学术论文目录............................................................... 41
附录B 详细中文摘要..........................................................................................................42
謝 辞................................................................................................................................... 44
V
硕士学位论文
第 1 章 序章
1.1 はじめに
日本と中国は一衣帯水の隣国であり、古代から現在にいたるまで歴史的、文
化的、経済的な交流が絶えなく、各領域は共通点を持っていることが多い。そ
の中で、一番無視できないのは言語領域の共通点である。中日両国はともに漢
字が使われていて、書き言葉だけではなく、言語の表現においてもたくさんの
共通点がある。もし話し手である自分の視点を原点として、自分のほうに向か
ってくる時は「クル」、自分のほうから去っていく時は「イク」を使う。これは
日本語だけではなく、中国語の「来」、「去」も同じである。だから、日本語の
補助動詞「テクル」、「テイク」と中国語の趨向動詞「来」、「去」は、両者がと
もに移動の方向性を表す動詞を補助動詞として、ある対応関係があると思われ
ている。Lado(1957)は、第二言語を習得するときに、学習者は母語の特徴を
目的言語にもたらしがちであると書いてある。第二言語を習得する過程に、学
習者の母語はプラスの影響をもたらすだけではなく、マイナスな影響ももたら
してくる。だから、中国人日本語学習者は「テクル」を習得する時に、この対
応関係のゆえ、
「テクル」は容易に習得するのか、それとも、逆にその習得が難
しいのか、これはまだあきらかにされていない。
「テクル」については、いろいろな研究がなされてきた。今まで「テクル」に
関する研究は、主に「視点」、「アスペクト」、「空間的移動」、「中日対照」その
四つの方面から行われてきた。それらの研究の中に、
「テクル」の習得に関する
研究はあまり見られない、わずかの「テクル」に関する習得研究はほとんど台
湾の日本語学習者をめぐって、台湾の日本人学習者の「テクル」の習得状況を
考察したものである。中国人日本語学習者の「テクル」の習得状況を考察した
研究がほとんどない、ゆえに、中国人日本語学習者の「テクル」の使用実態、
全体的な使用状況はまだ明らかにされていない。
本稿は、『湖南大学学習者中間言語コーパス』(科研費課題番号 22320093、研
究代表者:杉村泰) ①e に基づき、中国人日本語学習者に関する「てくる」の習
得状況、使用傾向と誤用のパターンを明らかにしたい。その結果が日本語の教
師と中国人日本語学習者に多少役が立つことを願っている。
①
「湖南大学学習者中間言語コーパス」の一部分のデータは現在ネットで公開している。詳しい情報は
www.lang.nagoya-u.ac.jp/~sugimura/class/corpus/hunan.html に参照してください。
1
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
1.2 先行研究と問題点
1.2.1 「テクル」の用法に関する先行研究
「テクル」は移動動詞「クル」の補助動詞として、大きく分けて空間的用法と
アスペクト用法という二つの用法がある。
補助動詞は、話し手を中心に、対象との関係性を動詞に与え、それゆえその
動詞の表す概念に具体性を付与する。
「テクル、テイク」は本来話し手を中心に、
話し手側への接近と離反との意をそえる。
森田(1968)は「テクル」の用法を大きく分けて①移動を表すもの;②変化
を表すものという二つになる。移動を表す「テクル」は、a 動作・行為の順次性
を表す;b平行して行うことを表す; c 移動するときの状態を表す;d 複合し
て一つの動作・作用を表すという四つの用法に分けている。変化を表す「テク
ル」は「腐ってくる」、「汚れてくる」のようなある状態からほかの状態へと変
化する過程を具体的にとらえた表現である。話し手の立つ時点から見て、その
変化が時間的に近づいてくる意味を帯びている。「~テクル」は「~し始める」
という変化の始まりという意味を表すことになる。
吉川(1976)はまず「テクル」、「テイク」の補助動詞性について用例を以て
詳しく検討したことがある。次の表 1.1 の示すように、「テクル」、「テイク」
とその前に来る動詞との緊密さに A,B,C,D,E の五段階を分けている。 A が一番
ゆるやかで、 E の方へ行けば行くほど緊密さが高くなる。
表 1.1 吉川(1976)によるテクル文における前項動詞の分類
前の動詞の種類 意味の重点 語の挿入 前の動詞と「来
る」、「行く」と
の関係
A 一般の動詞 両方 可 互いに独立
B 移動を表す動詞 来る・行く 可 前の動詞が「来
(方向の概念な る・行く」を修
し) 飾する
C 「もつ」の種の動 どちらとも言 可 前の動詞の結
詞 えない 果で「来る・行
く」
D 移動を表す動詞 前の動詞 不可 「くる・いく」
(方向の概念あ によって前の
り) 動詞が規定さ
れる
E 一般の動詞 前の動詞 不可 前の動詞にま
つわる陰影を
表す
2
硕士学位论文
例:a 女中のおいて行った夕かんを読んでいる。
b ヨットが走って行く。
c 早くでばを持って来い。
d 大きなももが流れて来ました。
e 一休みしているうちにねむくなって来た。
上の例文 a,b,c,d,e は 表 1.1 の A,B,C,D,E の分類をそれぞれに対応したもの
である。吉川(1976)は A,B,C では本動詞として働き、D、E では補助動詞として働
いている。補助動詞として働く D、E のうち E がアスペクトを示しているのであ
る。吉川(1976)は、「してくる」の意味の全体を調べることが課題として、だ
から空間的移動を意味するものとアスペクトを表すものという二つの方面に考
察した。
まず、空間的移動を意味するものは次の四つの用法に分けている:
(1)
「くる」
まえにする動作;例えば:絵本を買ってきました。(2)「くる」方法;例えば:
泳いできました。(3)「くる」ときの状態;例えば:プレゼントを持ってきまし
た。(4)発言者のいる所へちかよる動作・作用。例えば:その声を聞いて、く
まが、あなから出てきました。
次に、アスペクトをあらわすものは次の四つの用法がある:
(1)出現の過程;
例えば:ことばは生活の中から生まれてきます。(2)変化の過程;例えば:だんだん
おなかがすいてきました。(3)過程(動作・作用)のはじまり;例えば:そのうちに、
雨がふってきました。(4)ある時点までの継続。例えば:おたがいにはげまし
合ってきた、この年月。
寺村(1984)はアスペクト形式としての~テクルは、動詞のテ形と移動の動
詞クルとの結びつきが強まって、クルが文化形式化したものであることを指摘
し、どのようなテクルを本動詞+アスペクトの補助動詞とし、他をそうとしな
いかという問題を分析する。そして、寺村(1984)は、本動詞とテクルとの関
係を V-V 型、v-V型、V-v 型というその三つのタイプに分類して、その中で、
V-v 型がアスペクト形式としての~テクルにふさわしいと指摘する。
そして、「~テクル」のうち、次の二つの条件を満たすのは、アスペクト形式
とみなすことができる。(1)「Xが……~テクル」はいえるが、「Xがクル」と
はいえないもの(つまりXがVと共起関係をもち、vとはもっていない);
(2)~
テクルが、Xの物理的移動でなく、
「XがVスル」という現象の話し手への接近
を表すもの。
張(1992)は中国人に対する日本語教育を改善するために中日対照研究を行
うという前提を持って「テクル」の用法を以下の九つの型を分けている。
3
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
表 1.2 張(1992)「テクル」の用法に関する分類
型
抽象的移動 [1]働きかけ型
[2]現象指向型
具体的移動 継起的 順向的 [3]共存型
[4]分離型
逆向的 [5]逆向型
[7]状態型
[8]同時型
対象移動的 [9]対象移動型
表 1.2 からわかるように、まず、張(1992)は「テクル」の用法を大雑把に「抽
象的移動」と「具体的移動」という二つの部分を分けた。「主体(ないし対象)
が……クル」が成立するかどうかということを分類の基準となる。
「行為の主体
(ないし対象)が具体的にクル」のは「具体的移動」、「行為の主体(ないし対
象)が具体的に来ない」のは「抽象的移動」という範囲に入れた。そして、「抽
象的移動」はもっと詳しく「働きかけ型」と「現象指向型」という二つの種類
を分けた。前者の「働きかけ型」は、人間行為の働きかけだという意味、~テク
ルの前の前項動詞に方向性を与えるだけで、その行為の主体がクルの主体では
ない。後者の「現象移動型」は物理的現象の移動を示すということである。
また「具体的移動」を「継起的」と「非継起的」という二つの範囲を分けた。
「継起的」用法とは前項動詞と後項動詞「クル」のあいだに時間差があること、
つまり、「テ」と「クル」のあいだに副詞「それから」が挿入できるということ
である。
「継起的」の下位分類として、話し手のホームベースの基準に合うか合
わないかを基準に、「順向的」と「逆向的」をたてた。「順向的」の下に、成田
(1981)に基づいて、負うところが大きく、要するに移動が完了した段階にお
いて、主体と対象が共存しているか、分離しているかによって、
「共存型」と「分
離型」という二つの種類を分けた。
「逆向的」の下には「逆向型」をたてた。
「非
継起的」用法の下位分類としては実際に移動するのが主体か対象かによって、
「主体移動的」と「対象移動的」という二種類をたてた。「主体移動的」の下に
はさらに方法型、状態型、同時型という三つのタイプを分けた。
1.2.2 「テクル」の習得に関する先行研究
第二言語習得研究の発展につれて、第二言語習得の視点から「テクル」につ
いての研究がだんだん熱くなってきた。ここでは水谷・張・菅谷・市川の研究
4
硕士学位论文
を紹介していく。
水谷(1994)は「~テクル」を補助動詞として、事実を客観的に叙述するよ
りは、話者の立場からものを言うときに用いられる場合が多い。そのため、外
国人日本語学習者には習得しにくいものであり、誤用より非用が多いという結
論が出た。
市川(1997)は外国人日本語学習者の「テクル」を習得する過程に、よく見
られる誤用を分類し、「脱落(omission)」、「混同(alternating form)」、「誤形成
(misformating)」、「付加(addition)」、「位置(misordering)」、「そのほか」とい
う 6 種類とした。市川によると、脱落とは、当該項目を使用しなければならな
いのに使用していない誤用のことである。混同は、助詞「は」と「が」、ムード
「ている」と「てある」、自動詞と他動詞などのように、他の項目との混乱によ
る誤りである。誤形成は、活用・接続の仕方などの形態的な誤りである。付加
は、脱落とは逆に、使用してはいけないところに使用している誤用である。位
置は、その項目の文中での位置がおかしい誤りである。そして、その分類に基
づいて、「テクル」に関する誤用の傾向を分析し、最後に、外国人日本語学習者
に向けての習得しやすい指導のポイントを提出した。
張(2001)はまず「テクル」、
「テイク」を大きく分け、
(1)
「コア運動を表す」
「テクル」・「テイク」、(2)「二次的運動を表す」「テクル」・「テイク」、(3)「往
復型移動を表す」「テクル」・「テイク」、(4)「動作・行為の話し手への指向を表
す」「テクル」・「テイク」、(5)「現象・状態の出現や消滅の指向性を表す」「テ
クル」・「テイク」、(6)「動作・変化の持続を表す」「テクル」・「テイク」の6種
類とした。さらに、この 6 種類の用法に基づいて、それぞれの用法は中国語の
「~来」「~去」と比較して、その中に両者が対応できるかどうか、それにどの
ように対応しているかを分析した。続いて、中国人学習者に見られる「てくる」
「ていく」の誤用のパターンをまとめていた。この誤用のパターンは次のとお
りである:①二次的運動を表す「テクル」
「テイク」の不使用(中国語の「~来」
「~去」にこの種の用法がないことから);②循環型運動を表す「テクル」「テ
イク」の代わりに、「Vに+来る/行く」型の使用;③日本語にない「テイク」
の使用(中国語の「~去」に他動詞の対象物移動を表す用法があることから)。
菅谷(2002)はイク・クル、テイク・テクルの習得について、プロトタイプ
理論を用い、
「イクとクル、テイクとテクルでは、どちらを先に習得されるか」、
そして、
「レベルアップにつれて、イクとクル、テイクとテクルの用法はどのよ
うに広がっていくか」この二つのポイントを考察した。資料は OPI コーパスを
用い、英語、中国語、韓国語を母語とする日本語学習者計 90 名の発話データか
ら、日本語の能力と習得の関連を考察した。以下の結論を出した:①本動詞イ
5
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
クとクルでは、話者の視点と移動の方向が一致するイクのほうが使用されやす
い。②補助動詞テイクとテクルでは、テクルのほうが使用されやすい。③日本
語能力が上がるに従い、イク・クルのプロトタイプである人の空間移動からよ
り抽象的な移動へと使用が広がって行く。④日本語能力が上がるに従い、補助
動詞のテイク・テクルにおいても、プロトタイプの物理的空間移動から非プロ
トタイプである認知的用法、時間的用法へと使用が広がっていく。水谷(1994)、
市川(1997)と張(2001)は理論の面に「テクル」を分析した、菅谷(2002)
はコーパスに基づいて会話データから結論を出すものである。本稿も菅谷
(2002)と同じ方法で、
『湖南大学学習者中間言語コーパス』の作文データに基
づいて、「テクル」の習得状況を考察したものである。
1.3 問題点と研究課題
1.3.1 問題点
本稿の研究内容に対して、先の先行研究はまだ不備なところがある。ここで
は、これらの先行研究の不備なところを取り上げ、以下の四つをまとめる:
①今まで「テクル」に関する習得の研究はまだ少ない、その研究対象はほと
んど台湾の日本人学習者、韓国人日本語学習者と日本に留学している中国人学
習者であり、中国大陸の大学で日本語を学んでいる中国人日本語学習者を研究
対象として扱われる研究があまりない。
②多くの研究は菅谷(2002)のように会話コーパスを用いて、会話データを
利用してイク・クル、テイク・テクルの習得を考察しただけで、作文コーパス
の方に考察しない。
③これまでの「テクル」に関する習得研究は、「テクル」の誤用分析を焦点に
絞っただけで、正用も含めて、
「テクル」に関する全体的な使用実態を反映され
ない。
④「テクル」の習得に関する多くの研究はある範囲で横断的な調査をするだ
けで、長時間にわたって縦断的な調査をしていない。
1.3.2 研究課題
本稿はこれらの先行研究を踏まえて、
『湖南大学学習者中間言語コーパス』
(科
研費課題番号 22320093、研究代表者:杉村泰)の作文コーパスを用いて、2009
年湖南大学に入学した 1 組の 22 名の中国人学習者の第六回から第二十三回の作
文データを使い、この十八回の「テクル」の使用された延べ語数と異なり語数
から横断的・縦断的に把握しようとする。
「テクル」の段階的な使用状況は学習
者の学期別、
「テクル」の正用と誤用のタイプ別による正用と誤用の割合と正用・
6
硕士学位论文
誤用の推移状態などを分析する。また、作文コーパスから「テクル」に関する
使用例に基づいて、誤用のパターンを整理し、誤用の原因を掘り出してみたい。
具体的な研究課題は以下の三つを明らかにしたい。
①「テクル」の全体的な使用実態;
②「テクル」の段階別と「テクル」の正用と誤用のタイプ別による使用傾向
および変化趨勢;
③「テクル」に関する誤用パターン。
1.4 本稿の目的と研究方法
1.4.1 研究方法
本稿は『湖南大学中間言語コーパス』を利用し、学習者が教科書から「テク
ル」を習得した後に行った作文調査(第六回から第二十三回まで)から、「テク
ル」を含む文と「テクル」が必要であるが使用されなかった文を抽出する。そ
して、それらの例文は日本人母語話者に正しさを判断してもらう。その後、
「正
用例」と「誤用例」に分類する。
「誤用例」をさらに、市川(1997)により、
「脱
落(omission)」、「混同(alternating form)」、「誤形成(misformating)」、「付 加
(addition)」、「そのほか」の 5 種類に分類する。その上で、横断的・縦断的に
学習者が「テクル」の使用状況を考察し、正用と誤用の分布と頻度、そして、
レベルアップにつれて、
「テクル」の使用傾向を見る。誤用のパターンも探して
みる。
1.4.2 研究目的
本稿の目的は以下のような二つのこととなる:
1)学習者の「テクル」の全体的な使用状況を横断的・縦断的という二つの
角度から考察し、それを通して、
「テクル」の習得状況を一層明らかにする;
2)
「テクル」の使用例を用法別に分類し、どんな用法の「テクル」が習得し
やすいか、どんな用法の「テクル」が習得しにくいかを整理し、そして、誤
用のパターンと原因も探りたい。この結果が日本語教育に力になればよかっ
たと思う。
7
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
第 2 章 研究概要について
2.1 コーパスの紹介
本稿が使用しているコーパスは『湖南大学学習者中間言語コーパス』(科研
費課題番号 22320093、研究代表者:杉村泰)である。当コーパスは学習者の誤
用分析、中日対照研究と日本語教育への応用などを目的として、2009 年 9 月か
ら入学した湖南大学日本語科の中国人日本語学習者の作文データと日本人との
会話データを収集し、それを電子化したものである。このコーパスは作文コー
パスと会話コーパスその二つの部分からなっている、本稿で扱っているのは作
文コーパスである。
2.2 被験者
2.3 本稿で使用される作文データの紹介
8
硕士学位论文
八回(第六回から第二十三回)の作文データである。この作文データの収集時
間は 2010 年 4 月から 2012 年 12 月にいたるまで 2 年 8 月を渡っていて、毎学期
は三回もしくは四回の作文調査を行ったため、毎回の調査は一定の時間間隔を
空けて行った。第六回から使ったのは以下のような理由による。「テクル」が
初めて教科書に出てくるのは『総合日語(改訂版)』第二冊の第十七課であり、
第六回の作文調査が実施された時はちょうどう第十七課の授業が終わったころ
である。それで、その時点で「テクル」という文法形式がさらに導入され、使
われるだろうと判断したのである。本稿では、この第六回から最終回の第二十
三回までの作文データーを使い、横断的・縦断的考察を通して、学習者の「テ
クル」に対する自然な習得過程を明らかにしようと考える。
表 2.1 本稿で使用される作文データ一覧
調査回数 作文テーマ 調査を行った時 作文枚 学年・学期
間 数
第六回 理想的な環境 2010.4.14 22 枚 第一学年・第二学
第七回 もし百万元に当たったら 2010.5.19 22 枚 期
第八回 大事な経験 2010.6.22 22 枚
第九回 湖南大学のサークル活動 2010.9.13 22 枚 第二学年・第三学
第十回 好きなところをみんなに紹 2010.10.11 22 枚 期
介する
第十一回 日本語勉強の体験観 2010.11.8 22 枚
第十二回 …から見る日本文化 2010.12.6 22 枚
第十三回 もったいないについて 2011.3.16 22 枚 第二学年・第四学
第十四回 今の生活に満足しています 2011.4.20 22 枚 期
か
第十五回 理想の家庭像 2011.6.6 22 枚
第十六回 親に話したいこと 2011.9.27 22 枚 第三学年・第五学
第十七回 青春とは 2011.10.24 22 枚 期
第十八回 2025 年 の 中 国 / 40 歳 の わ た 2011.11.09 22 枚
し
第十九回 人間と自然 2011.12.01 22 枚
第二十回 就職難の原因 2012.03.01 22 枚 第三学年・第六学
第二十一 幼稚園からの英語教育が必 2012.04.12 22 枚 期
回 要か
第二十二 手 2012.06.01 22 枚
回
第二十三 卒業とか 2012.09.14 22 枚 第四学年・第七学
回 期
9
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
2.4 本稿における「テクル」の用法の分類
以上の「テクル」の用法に関する先行研究で述べたように、「テクル」の用
法に関する分類がたくさんあり、研究者によって用法の分類も違っているから、
いまだに定論づけていない。でも、本稿は「テクル」の用法の分類を焦点に絞
った考察ではなく、学習者の「テクル」の使用実態を中心として扱う考察であ
る。それで、学習者の使用実例に基づいて考察しなければならない。本稿は学
習者の使用例に基づき、張(1992)の「テクル」に関する用法の分類が一番ふ
さわしいと判断した。従って、本稿における「てくる」の用法の分類は以下の
九つのタイプにした:[1]働きかけ型;[2]現象指向型;[3]共存型;[4]分離型;
[5]逆向型;[6]方法型;[7]状態型;[8]同時型;[9]対象移動型。ここでは、そ
の九つのタイプをそれぞれに使用例を出した(本稿ですべての使用例は『湖南
大学学習者中間言語コーパス』から抽出したものである)。
「[1]働きかけ型」:よく彼と交流できることにするように、私は努力に英語を
勉強しました.(しました→してきた);
「[2]現象指向型」:瞬間、誕生日の歌が出ました、ルームメートがその歌を歌
いながら、ギターを引いました、そのときの私は本当に幸せでした。(出まし
た→聞こえてきました);
「[3]共存型」:まず、いろいろなおいしい食べ物を買って来ます。
「[4]分離型」:結局は、人間の生存環境は劣悪になって、それを代価にして自
然灾难も大勢起こて、人の命を奪って人間を報っている。(起こて→起こって
きて);
「[5]逆向型」:私は頭が痛くて、目が開けられなくて、「ねー、起きて、今、
润ちゃんの学校で家長会が行われるよ、出てもらう」「オーケー、朝ご飯、何
がたべたい、私は買ってくる」私はもう寝てしまいました。
「[6]方法型」:黄砂が飛んで来ると空が黄色くなり、太陽がよく見れませんで
した.
「[7]状態型」:個人にとって、節約は幸福を持ってくることができます。
「[8]同時型」:時間は 1 か月.毎日.私は 6 時に起なければならない、そして、
大変な一日、10 時に家に帰りました。(帰りました→帰ってきました);
「[9]対象移動型」:そうでないと、自然も怒って私たち人間に被害をもたらす。
(もたらす→もたらしてくる)。
2.5 本稿における「テクル」の誤用の分類
いままで「テクル」の用法に関する研究は山ほどあるが、日本語学習者に対
10
硕士学位论文
する「テクル」の誤用研究はあまり多くない。ここでは、市川(1997)による
「テクル」について誤用の分類を採用した。
「脱落(omission)」とは当該項目を使用しなければならないのに使用してい
ない誤用のことである。たとえば:もちろん、以前よりたくさんの学生が大学
に入ることができていいと思われるが、その一方、大学生の間の競争も激しく
なっている。(なっている→なってきている)
「混同(alternating form)」とは、助詞「は」と「が」、ムード「ている」
「て
ある」、自動詞・他動詞などのように、他の項目との混乱による誤りである。た
とえば:現代の多い国には、環境保育が重視され、近年、自然災害がなかなか
少ない、その一方、自然の改善なので、景色はきれになって、各地には観光客
が増えっている。(増えっている→増えてきます)
「誤形成(misformating)」とは、活用、接続の仕方などの形態的な誤りであ
る。たとえば:それのほかに、しばらく金融危機が過ぎてきましたから、求人
の会社会危機の前に少なくて、景気に回復しつつありまして、求人の会社の数
も次第に増えてきますと思います。(増えてきます→増えてくる)
「付加(addition)」とは、脱落とは逆に、使用してはいけないところにしよ
うしている誤用である。たとえば:今、大学に来てもう 2 年間、私はたくさん
な海南岛からの美しいものを感じがある、例えば、夏のとき、海南岛の周には
海が広くて多いで、温度があげったら、海からの水が涼し感じをもらってきる、
それで夏に海南岛より長沙のはが暑いです。(をもらってきる→がする)
「そのほか」とは、書き誤ることのようなミスである。たとえば:次に、ケ
ンカするとき、みんなは正しい方法利用して、雰囲気に緩やかにしてきる家族
も理想なのであると思います。(してきる→してくる)
11
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
第 3 章 「テクル」の全体的使用と習得状況
3.1 全体的な「テクル」の使用傾向
3.1.1 全体における「テクル」の使用状況
まず、本稿の第六回から第二十三回までの「テクル」の全体的な使用傾向を
考察してみる。第六回から第二十三回までの各回の「テクル」の延べ語数と異
なり語数は図 3.1 に示してみる。
図 3.1 第六回から第二十三回までの「テクル」全体の使用状況
図 3.1 によると、全体的に見れば、この全部で十八回の作文における「テク
ル」の延べ語数と異なり語数は変化が不規則的なことであり、延べ語数はまず
下がったり、しばらくしてまた上昇したり、さらに下がったり、何度も繰り返
しているということが見られた。異なり語数の変化趨向は延べ語数の変化趨向
とは逆に、まず上昇したり、そして早速に下がったり、しばらくしてまた上昇
したり、これも何度も繰り返した。
具体的に見れば、第六回の延べ語数は第七回の二倍であり、異なり語数は第
七回より一個少ない。また第八回の延べ語数は第七回の三倍の多さであり、異
なり語数はちょうど第七回の三倍であるということがわかった。第九回、第十
回、第十二回、第十七回のこの四回の延べ語数と異なり語数は全部同じである
ということが明らかに見られる。図 3.1 からわかるように、第七回、第九回、
第十回、第十一回、第十二回、第十七回、この六回の延べ語数と異なり語数は
ともに極めて少なく、その原因はたぶん作文のテーマとは多少関係があるので
12
硕士学位论文
はないかと思われる。第十四回から第十七回までのこの三回で、その延べ語数
と異なり語数はだんだん減っていくという傾向が見られる。それにひきかえ、
第十八回から第二十回まで、その延べ語数はだんだん増えていて、第二十回に
頂点に達して、43 個になった。第二十一回から第二十二回まで、その延べ語数
と異なり語数は増加していると見られて、第二十三回になると、延べ語数と異
なり語数はまた下がっていった。その何度も繰り返している傾向の原因は作文
のテーマの文体とは密接な関係があるという可能性が極めて高いのではないか
と思われている。
3.1.2 「テクル」のタイプ別における出現状況
図 3.2 は第六回から第二十三回までに見られる「テクル」のタイプ別の使用
状況を示したものである。前に述べたように、本稿では張(1992)の「テクル」
に関する用法の分類を採用した。図 3.2 からわかるように、この九つのタイプ
の中で、もっとも多く使用されているのは[1]働きかけ型と[2]現象指向型であ
り、約全部の使用例の五分の四を占めている。この二つのタイプを除いて、残
りの七つのタイプの使用数は極めて少ない、その七つのタイプの使用例を合わ
せても約全部使用例の五分の一より少ない。その数字からわかることは、学習
者は「テクル」が「抽象的移動」を表す場合は「具体的移動」を表す場合より
はずっと多い。
図 3.2 全体における「テクル」のタイプ別の使用状況
13
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
3.2 「テクル」の総合的な習得状況
3.2.1 「テクル」の正用と誤用の割合
図 3.3 は「テクル」の正用と誤用の割合を反映したものである。図 3.3 から
わかるように、全体的に見れば、「テクル」の使用例の正用率はそれほど高く
ない。「テクル」の使用例の誤用率ははるかに正用率を超えており、約正用率
の 2 倍である。ここからわかることは、「テクル」の習得は想像以上に難しい
ことである。「テクル」のその九つの用法( [1]働きかけ型;[2]現象指向型;
[3]共存型;[4]分離型;[5]逆向型;[6]方法型;[7]状態型;[8]同時型;[9]対
象移動型)を全部把握するのは学習者にとってはそんなに容易なものではない
と思われる。特に日本語初心者に対してはもっと困難だと思われる。
図 3.3 「テクル」に関する正用と誤用の割合
図 3.4 は第六回から第二十三回までに見られる「テクル」の正用例の割合と
誤用例の割合を示したものである。正用例と誤用例を合わせて合計 263 例であ
る。その中で、正用例は 88 個であり、「テクル」における「正用」に関する使
用例全体の 33.46%を占めている。誤用例の中で、一番多いのは「脱落」に関す
る誤用であり、「脱落」に関する誤用例が総じて 128 個であり、「テクル」にお
ける使用例全体の 48.67%を占めていて、使用例の一番多い部分を占めている。
誤用例の中で二番目に多いのは「混同」であり、総じて 26 個であり、
「テクル」
における使用例全体の 9.89%を占めている。誤用例の中で三番目に多いのは「誤
形成」である。総じて 17 個であり、「テクル」における使用例全体の 6.46%を
占めている。「付加」に関する誤用例は1個あって、「テクル」における使用例
全体の 0.38%を占めている。「そのほか」は誤用例が 2 個しかない、「テクル」
14
硕士学位论文
における使用例全体の 0.76%を占めている。
図 3.4 「テクル」における正用例と誤用例の割合
3.2.2 「テクル」の正用と各種類の誤用の分布
図 3.5 は、第六回の作文から第二十三回までに見られる「テクル」に関する
正用と各種類の誤用の分布を反映したものである。図 3.1 からわかることは、
この十八回の作文の中で、一番変化が激しいのは「脱落」の部分であり、次は
「正用」と「混同」であり、それと対応するのは「脱落」と「正用」の使用例
も多い。
ほとんど変化しないのは「付加」と「そのほか」という二つの部分であり、
それと対応するのは「付加」と「そのほか」の使用例もきわめて少ない。
「正用」
に関する使用例は時間の経つにつれて、第六回から第十四回までこの前九回の
「正用」の使用例は第十四回から第二十三回までの後の九回に比べてきわめて
少ない。この原因はたぶん時間が経つにつれて、学習者が「テクル」の用法の
把握がより上手になるのではないかと思われる。
「脱落」はこの中に一番数が多
い項目である、第十回、第十二回、第十七回には「脱落」に関する使用例がな
いということを除いて、この変化の傾向はまず下がったり、しばらくして上が
ったり、何度も繰り返すことがわかる。これは前節の「テクル」の全体的な使
用状況の傾向がほとんど同じである。
そして、図 3.5 からみれば、第十回、第十一回、第十二回この三回の正用例
と誤用例はほかの回数の正用例と誤用例と比べてあまり多くないということが
わかる。これはたぶん作文のテーマには多少関係があるのではないかと思われ
る。第十回、第十一回、第十二回この三回の作文テーマと比べて、ほかの回数
15
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
の作文テーマは全部被験者たちの身近な話題になりやすいことだとわかる。第
十回、第十一回、第十二回この三回のテーマは「勉強観」とか、「日本文化」と
か被験者にとっては少々書きにくいではないかと思われる。
図 3.5 第六回から第二十三回まで各種類における「テクル」の分布
3.3 まとめ
本章は「テクル」の全体的な使用状況と習得状況を総合的に考察を行った。
その結果としては、以下の二つのポイントから説明する:
(1)全体における「テクル」の使用状況
「テクル」の全体的な使用状況は、この十八回の作文データから見れば、
「テ
クル」に関する延べ語数と異なり語数は全部不規則的な変化の趨向を呈すると
いうことが見られる。
また、
「テクル」のタイプ別から見れば、もっとも多く使用されているのは抽
象的な移動を表す[1]働きかけ型と[2]現象指向型であり、この二つのタイプの
使用例は約全部の使用例の五分の四を占めている。これを通して、学習者の「テ
クル」に関する使用例のほとんどは抽象的な移動を表すということがわかる。
(2)「テクル」の総合的な習得状況
学習者の「テクル」に関する総合的な習得状況は、正用例より誤用例のほう
がずっと多いという傾向が見られる。誤用の中で、一番多いのは「脱落」とい
うタイプである。
また、毎回による各種類における「テクル」の分布は、前の九回より後の九
回の使用例の数が多いということはともかく、各種類の誤用のタイプも多くな
った。これは時間につれて、学習者は「テクル」の用法をより上手に把握して
16
硕士学位论文
いるということが思われている。
17
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
第 4 章 「テクル」の正用状況について
図 4.1 は、第六回から第二十三回までの十八回の作文の毎回の「テクル」に
おける正用例の数を示したものである。図 4,1 からわかるように、第六回から
第十七回までこの十二回の中で、第六回と第十回には正用例がない、第十六回
には正用例が七個があるということを除いて、残りの九回では正用例の数はほ
とんど同じである。第十八回以降、正用例の数はぐっと大幅に増えている。
日本語学習者の「テクル」の正用における使用状況をより細かく把握するた
めに、本章では以下の三つのところから考察をしていく:
(1)学期別によって、
「テクル」の正用例の使用状況はどんなものであろうか;
(2)用法別によって、
「テクル」の正用例の使用状況はどんなものであろうか;
(3)学期別における「テクル」の用法別の正用状況はどんなものであろうか。
これからは、その三つの問題に従って、学習者の「テクル」に関しての正用
例の使用状況を考察していく。
図 4.1 第六回から第二十三回まで各回のにおける「テクル」の正用例の数
4.1 学期別による「テクル」の正用例の使用状況
本節では、学習者の学習時間を第二学期、第三学期、第四学期、第五学期、
第六学期、第七学期という六学期にわけて、各学期の正用状況を分析していく。
表 4.1 は学習者の第二学期から第七学期までの学期の正用例数と正用率を示し
たものである。図 4.1 の中の各学期の正用率は以下のような公式によって算出
したものである:
18
硕士学位论文
当学期の正用率=(当学期の正用例数/当学期の「テクル」の総計使用例)
×100%(小数点第3位を四捨五入にする)
第二学期の学習者の「テクル」に関する使用状況を見れば、当学期「テクル」
に関する総使用例数は 31 個であり、その中で正用例はただ 2 個しか現れていな
いということがわかる。そのため、第二学期において、学習者の「テクル」に
関して使用例の正用率はわずか 9.68%ということがわかる。これはこの六学期
の間で正用率の一番低い学期である。
学習者の第三学期の「テクル」の正用状況を見ると、第三学期の総使用例は
12 個しかない、そのなかで正用例は 7 個あり、総使用例の半分を超えている。
だから、第三学期の正用率は 58.33%となって、この六学期の間で一番高いとい
うことがわかる。
学習者の第四学期における「テクル」の総使用例は急に 74 個に激増し、それ
と相対して、当学期における「テクル」の正用例はただ 9 個しかなくて、その
ため、第四学期の正用率は 12.16%となって、第二学期と比べてちょっと高いが、
ほかの四学期と比べては低い。
第五学期における学習者の「テクル」に関する総使用例は 57 個に減少し、そ
れに対して、第五学期における「テクル」の正用例は 28 個に激増した。そのた
め、第五学期の正用率は 49.12%となる、約第四学期の 4 倍となる。
学習者の第六学期における「テクル」の正用状況を見ると、学習者の「テク
ル」の総使用例は 79 個となって、そのなかで正用例は 36 個が現れている。そ
のため、第六学期における「テクル」の正用率は 45.57%となる。
第七学期になると、第七学期はただ一回の作文調査しか行ってなく、だから、
その総使用例は第二十三回の延べ語数であり、10 個となる。その中で、正用例
は 5 個あり、総使用例のちょうど二分の一を占めている。そして、第七学期の
正用率はちょうど 50%となる。
表 4.1 学期別による「テクル」の正用状況
学期 正用例数 正用率
第二学期(第六回、第七回、第八回) 3 9.68%
第三学期(第九回、第十回、第十一回、第十二回) 7 58.33%
第四学期(第十三回、第十四回、第十五回) 9 12.16%
第五学期(第十六回、第十七回、第十八回、第十九回) 28 49.12%
第六学期(第二十回、第二十一回、第二十二回) 36 45.57%
第七学期(第二十三回) 5 50%
19
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
平穏な変化趨向を保つということが見られる。第二学期と第四学期を除いて、
学習者の各学期による「テクル」の正用率は 45%以上ということがわかる。第
二学期ははじめて「テクル」という文法が導入された時期であるから、正用率
はその六学期の中で一番低いのは理解できることだと思われる。それから、第
三学期に正用率がトップになる原因は当学期の総使用例の数が少ないことと関
係していると思われる。第四学期になって、時間の経つにつれて、学習者が「テ
クル」という文型の把握が上手になり、よって、総使用例が急に 74 個に激増し、
だが、正用例は 9 個しかなく、だから正用率もただ 12.16%しかない。第五学期
以降は、学習者は「テクル」という文型の把握がますます上手になって、「テク
ル」に関しての総使用例と正用例ともに増加しているため、この後の三学期の
正用率は平穏な趨向を保っているということが明らかに見られる。
図 4.2 学期別による「テクル」の正用率
4.2 用法別による「テクル」の正用例の使用状況
前節では、学期別の角度から、
「テクル」の正用例の使用状況を明らかにした。
一方、学習者の「テクル」の使用例の用法上の正用状況はどのように分布して
いるのか、どのような変化をしているのかという疑問を持ちながら、以下では、
表 4.2 のデーターに基づいて、学習者の「テクル」の正用例の使用状況を用法
別の角度から、考察を行ってみる。
表 4.2 は学習者の「テクル」に関する各用法の正用における総使用例数と正
用率を示すものである。
「テクル」に関する各用法の正用率は以下のような公式
によって算出したのである:
用法別の正用率=(当用法の正用の総使用例/全体における正用例数)×
20
硕士学位论文
100%(小数点第三位を四捨五入にする)
その結果としては、「[1]働きかけ型」という用法の正用における使用例は 39
個あり、正用率が 44.32%となって、この九つの用法の中で正用率が一番高いと
いうことが見られる。正用率が二番目に高いのは「[2]現象指向型」という用法
で、総使用例数は 25 個となり、正用率が 28.41%となる。全部の九つの用法の
中で、この二つの用法をあわせると、約 72.32%を占めている。正用率の第三位
と な る の は 「 [7] 状 態 型 」 と い う 用 法 で あ り 、 正 用 率 は 急 に 減 少 し て 、 た だ
10.23%しかなく、それに対しての総使用例数は 9 個であるということがわかる。
それから、正用率の第四位となるのは「[8]同時型」という用法であり、総使用
例数は 5 個あり、正用率は 5.68%である。正用率の第五位となるのは「[9]対象
移動型」という用法であり、正用率は 4.55%となり、総使用例数は 4 個である。
「[3]共存型」という用法の正用率は 3.41%しかなく、正用の総使用例数は 3
個であり、正用率の第六位を取った。正用率の第七位、第八位を取るのは「[5]
逆 向 型 」 と 「 [4] 分 離 型 」 と い う 用 法 で あ り 、 そ れ ぞ れ の 正 用 率 は 2.27 % と
1.14%であり、正用の総使用例数は 2 個と 1 個となる。正用率の第九位は「[6]
方法型」という用法であり、正用率は 0.00%であり、それに対しての正用の総
使用例数はないということである。
表 4.2 「テクル」の用法別における正用状況
用法別 [1] 働 き [2] 現 [3] 共 [4] 分 [5] 逆 [6] [7] 状 [8] [9] 対
かけ型 象指向 存型 離型 向型 方法 態型 同時 象 移
型 型 型 動型
各用法にお 39 25 3 1 2 0 9 5 4
ける正用の
総使用例数
各用法の正 44.32% 28.41 3.41 1.14 2.27 0.00 10.23 5.68 4.55
用率 % % % % % % % %
図 4.2 は各用法における「テクル」の正用率を示したものである。図 4.2 の
示すように、この「テクル」に関して九つの用法の正用率の順序は以下のよう
なものである:
「[1]働きかけ型」
(44.32%)>「[2]現象指向型」
(28.41%)>「[7]状態型」
(10.23%)>「[8]同時型」(5.68%)>「[9]対象移動型」(4.55%)>「[3]
共存型」
(3.41%)>「[5]逆向型」
(2.27%)>「[4]分離型」
(1.14%)>「[6]
方法型」(0.00%)。
21
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
図 4.3 用法別による「テクル」の正用率
こうして、学習者の用法別による「テクル」の正用例の使用状況と正用率の
配列の順序を明らかにした。しかし、ただ横断的な視点から学習者の用法別の
正用状況を考察するのはいささかもの足りなく、それと同時に、縦断的な視点
から「テクル」の正用例の使用状況を考察する必要があるのではないかと思わ
れる。そのため、これからは、縦断的な視点から学期別の「テクル」の用法別
における正用状況を考察していく。それと同時に、学習者の学期別の「テクル」
の用法別における正用例の分布とそれに対応しての正用率も明らかにするつも
りである。
4.3 学期別の「テクル」による用法別の正用状況
22
硕士学位论文
表 4.3 学習者の学期別による「テクル」の用法別の正用例の分布
学期 第 二 学 第 三 学 第 四 学 第 五 学 第 六 学 第 七 学 合
期 期 期 期 期 期 計
[1]働きかけ型 2 2 5 14 15 1 39
[2]現象指向型 1 3 2 7 11 1 25
[3]共存型 0 0 0 2 0 1 3
[4]分離型 0 0 0 0 1 0 1
[5]逆向型 0 0 0 1 1 0 2
[6]方法型 0 0 0 0 0 0 0
[7]状態型 0 0 2 1 4 2 9
[8]同時型 0 1 0 2 2 0 5
[9]対象移動型 0 1 0 1 2 0 4
「テクル」の総使用例 3 7 9 28 36 5 88
表 4.4 で現れている用法別の正用率と学期別の正用率は以下のような公式に
よって算出しているのである:
(1)当学期の正用率=(当学期の正用例数/当学期の「テクル」の総計使用
例)×100%(小数点第3位を四捨五入にする);
(2)当用法の正用率=(当用法における正用例数/全体における正用の総使用
例)×100%(小数点第三位を四捨五入にする)
この学期別の正用率と用法別の正用率の変化趨向は同じなことであろうか、
それとも、違う趨向を示すのであろうか。 これからは、その疑問を持ちなが
ら、
「テクル」に関して学期別の正用率と用法別の正用率の変化趨向を比較して
いく。
表 4.4 学期別による「テクル」の用法別の使用状況
用法別 第二学期 第三学期 第四学期 第五学期 第六学期 第七学期
用法 学期 用法 学期 用法 学期 用法 学期 用 法 学 期 用 法 学 期
別の 別の 別の 別の 別の 別の 別の 別の 別 の 別 の 別 の 別 の
正用 正用 正用 正用 正用 正用 正用 正用 正 用 正 用 正 用 正 用
率 率 率 率 率 率 率 率 率 率 率 率
働きかけ 5.13 66.6 5.13 28.5 12.8 55.5 35.9 38.46 41.67 2.56 20%
型 % 7% % 7% 2% 6% 0% 50% % % %
現象指向 4% 33.3 12% 42.8 8% 22.2 28% 25% 44% 30.56 4% 20%
型 3% 6% 2% %
共存型 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 66.6 7.14 0.00 0.00 33.33 20%
% % % % % % 7% % % % %
分離型 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 100% 2.78 0.00 0.00
% % % % % % % % % % %
逆向型 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 50% 3.57 50% 2.78 0.00 0.00
% % % % % % % % % %
方法型 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00
% % % % % % % % % % % %
23
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
状態型 0.00 0.00 0.00 0.00 22.2 22.2 11.1 3.57 44.44 11.11 22.22 40%
% % % % 2% 2% 1% % % % %
同時型 0.00 0.00 20% 14.2 0.00 0.00 40% 7.14 40% 5.56 0.00 0.00
% % 9% % % % % % %
対象移動 0.00 0.00 25% 14.2 0.00 0.00 25% 3.57 50% 5.56 0.00 0.00
型 % % 9% % % % % % %
まず、第二学期から第七学期まで「テクル」の学期毎の各用法の学期別の正
用率を以下のように数値の高い順から並べた(0.00%の用法を除く)。
第二学期:「働きかけ型」、「現象指向型」;
第三学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「同時型」・ ②「対象移動型」(「同時
型」、
「 対象移動型」の学期別の正用率は二つとも 14.29%であり、第三位となる);
第四学期:「働きかけ型」、「現象指向型」・「状態型」;
第五学期:
「働きかけ型」、
「現象指向型」、
「共存型」・
「同時型」、
「逆向型」・
「状
態型」・「対象移動型」;
第六学期:
「働きかけ型」、
「現象指向型」、
「状態型」、
「同時型」・
「対象移動型」、
「分離型」・「逆向型」;
第七学期:「状態型」、「働きかけ型」・「現象指向型」・「共存型」。
この配列からわかることは、
「働きかけ型」、
「現象指向型」という二つの用法
はどの学期でも、正用例数はいつも前列し、正用率も高いと見られる。学習順
序と作文の題名との関係を否定できないにもかかわらず、そういう趨向が見ら
れる。それに、第七学期を除いて、時間の経つにつれて、用法の種類も多くな
っているという傾向が見られる。第七学期にはただ一回の作文調査しか行って
なく、そのため、「テクル」に関する使用例はほかの学期よりずっと少なく、自
然に、
「テクル」に関する正用例も少なく、用法の種類も少ないのは当然なこと
であるとわかる。
次には、表 4.4 のデータに基づいて、
「テクル」に関する学期別の正用率と用
法別の正用率の変化趨向の結果をまとめる:
①「同時型」、「対象移動型」という二つの用法は学期に従って、用法別の正
用率が上がったにもかかわらず、学期別の正用率が下がったという傾向が見ら
れた;
②「共存型」という用法の変化趨向は学期に従って、用法別の正用率が下が
っても、学期別の正用率が上がるということである;
③「現象指向型」という用法の学期別の正用率と用法別の正用率の変化趨向
はほぼ同じである;
④「働きかけ型」という用法の学期別の正用率と用法別の正用率の変化趨向
②
本稿で並列するところが「・」で表す。以下も同じである。
24
硕士学位论文
は逆であり、学期別の正用率が上がる時、用法別の正用率が下がる;学期別の
正用率が下がる時、用法別の正用率が逆に上がる;
⑤「分離型」、「逆向型」、「方法型」という三つの用法は、各用法に関しての
正用例が極めて少ないため、変化の趨向は判断しがたい。
4.4 まとめ
本章で主に日本語学習者の「テクル」に関するの正用の使用状況を学期別(縦
断的)と用法別(横断的)の角度から考察を行った。上記は、以下のような三
つの結論がまとめられる:
(1)学期別による「テクル」の正用例の使用状況
「テクル」の学期別の正用率の順序は以下のようなものである:
第三学期(58.33%)>第七学期(50%)>第五学期(49.12%)>第六学期
(45.57%)>第四学期(12.16%)>第二学期(9.68%)
(2)用法別による「テクル」の正用例の使用状況
「テクル」に関する九つの用法の正用率の順序は以下のようなものである:
「[1]働きかけ型」
(44.32%)>「[2]現象指向型」
(28.41%)>「[7]状態型」
(10.23%)>「[8]同時型」(5.68%)>「[9]対象移動型」(4.55%)>「[3]
共存型」
(3.41%)>「[5]逆向型」
(2.27%)>「[4]分離型」
(1.14%)>「[6]
方法型」(0.00%)。
(3)学期別の「テクル」による用法別の正用状況
この六学期で「テクル」の学期毎の各用法の学期別の正用率の配列順序は以
下のようなものである(0.00%の用法を除く。それに、アンダーラインの上の
用法の順序は同じで、並列である)。
第二学期:「働きかけ型」、「現象指向型」;
第三学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「同時型」・「対象移動型」;
第四学期:「働きかけ型」、「現象指向型」・「状態型」;
第五学期:
「働きかけ型」、
「現象指向型」、
「共存型」・
「同時型」、
「逆向型」・
「状
態型」・「対象移動型」;
第六学期:
「働きかけ型」、
「現象指向型」、
「状態型」、
「同時型」・
「対象移動型」、
「分離型」・「逆向型」;
第七学期:「状態型」、「働きかけ型」・「現象指向型」・「共存型」。
この配列からわかることは、時間の経つにつれて、第五学期、第六学期には
用法の種類も多くなり、第七学期はただ一回の作文調査を行ったため、正用例
の数が少なく、自然に正用例の用法の種類もそれほど多くない。それから、
「テ
クル」に関する学期別の正用率と用法別の正用率の変化の趨向を比較した結果
25
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
は以下のようなことが言える:
①「同時型」、「対象移動型」という二つの用法は学期に従って、用法別の正
用率が上がったにもかかわらず、学期別の正用率が下がったという傾向が見ら
れた;
②「共存型」という用法の変化趨向は「同時型」、「対象移動型」の変化趨向
とは逆で、学期に従って、用法別の正用率が下がっても、学期別の正用率が上
がるということである;
③「現象指向型」という用法の学期別の正用率と用法別の正用率の変化趨向
はほぼ同じである;
④「働きかけ型」という用法の学期別の正用率と用法別の正用率の変化趨向
は逆である、学期別の正用率が上がる時、用法別の正用率が下がる;学期別の
正用率が下がる時、用法別の正用率が逆に上がる;
⑤「分離型」、「逆向型」、「方法型」という三つの用法は、各用法に関しての
正用例が極めて少ないため、変化の趨向は判断しがたいのである。
26
硕士学位论文
第 5 章 誤用分析
前章は学習者による「テクル」の使用状況を横断的・縦断的という二つの方向
から考察した。本章では、より一層深く学習者の「テクル」の習得状況を把握
するために、学習者の使用実例に基づいて総合的な考察を行うつもりである。
本章では、まず、「テクル」の正用と誤用の割合と分布、学期別における「テク
ル」の習得状況などを分析したうえで、
「テクル」の総合的な習得状況を把握す
る。その結果に基づいて、どのようなタイプの「テクル」が誤用しやすいか、
各段階の「テクル」の習得状況はどのようなものであるか、そして、誤用のパ
ターンなどを分析してみる。
5.1 調査対象
5.2 誤用判定
言語はさまざまな様相があり、それに、絶えずにめまぐるしく変化している
と思われる。長友・迫田(1988)において、「談話文法上の『語彙』の誤用」に
ついて、
「これらの誤用は、それが使われている文という単位だけでは誤用かど
うかと判断できない。ほかの文との関係、つまり、談話というコンテキストの
中ではじめて誤用と判断できるものである」と指摘しているように、誤用の判
断がけっして容易なものではない。よって、日本語学習者の作文の誤用の判断
も難しいことであろうと思われる。それゆえ、本稿では誤用の判断は同じく日
本語学習者の筆者ではなく、複数の日本語母語話者に判断してもらうことにし
た。
まず選定した一組の 22 名の学習者の十八回の作文データから[テクル」を含
む使用例と「テクル」を使用すべきだが使用されていない使用例を抽出して、
文脈が理解しやすいために前後 2 文程度(例文によって異なる)を抜き出した。
念のため、抽出した時は「今日は暑いです」のような絶対「テクル」を使用す
27
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
る必要がない使用例を排除した以外、ほかのすべての使用例を日本人母語話者
に正用と誤用を判断してもらう。協力してくれた日本語母語話者は 3 人である。
誤用の判定はおもに文法の正しさ、表現の適当さ、そして、学習者のレベルの
ふさわしさという三つのところを注目することにした。そして、すべてのデー
タを同時に二人の日本語母語話者に渡して、二人はそれぞれ正用と誤用を判断
してもらう。それから、二人の判断結果を集めて比較して、正用と誤用の結果
が一致した部分を採用し、違った部分を抽出して、第三人の日本語母語話者に
判断してもらう。最後に、三人の判断結果を集めて、正用例と誤用例を整理し
た。誤用例の下位分類も、「脱落」、「混同」、「誤形成」、「付加」、「そのほか」と
いう五種類を分けた。
5.3 調査結果
5.3.1 「テクル」の全体的な誤用の使用状況
表 5.1 は、学期別による「テクル」の各種類の誤用の使用状況を示したもの
である。本節では、学習者の学期毎の各種類の誤用の使用状況をはっきり究明
したい。
表 5.1 学期別による「テクル」の各種類の誤用の使用状況
学期 第二学期 第三学期 第四学期 第五学期 第六学期 第七学期 合計
「脱落」 20 3 51 20 32 3 129
「混同」 5 0 10 5 6 0 26
「誤形成」 3 1 3 4 4 2 17
「付加」 0 1 0 0 0 0 1
「そのほか」 0 0 1 0 1 0 2
表 5.1 で示したように、第二学期には、「脱落」、「混同」、「誤形成」という三
種類の誤用が現れ、それぞれ 20 個、5 個、3 個出現した。
第三学期には、
「脱落」、
「誤形成」、
「付加」という三種類の誤用が出てくると
いうことがわかる。それらの種類別はそれぞれ 3 個、1 個、1個である。
第四学期には、「脱落」が 51 個出現して、前の第三学期と第二学期と比べて
ずっと激増していることがわかる。「混同」が 10 個あり、第二学期の 2 倍とな
る。「誤形成」が 3 個、「そのほか」が 1 個である。
第五学期には、第四学期と比べて、「脱落」の数が急に減少し、20 個となる。
「混同」と「誤形成」はそれぞれ 5 個と 4 個である。
第六学期には、「脱落」、「混同」、「誤形成」、「そのほか」という四種類の誤用
が現れた。その中で、「脱落」が 32 個となり、「混同」が 6 個、「誤形成」が 4
個、「そのほか」が 1 個である。
28
硕士学位论文
第七学期には、ただ「脱落」と「誤形成」という二つのタイプしか現れなか
った。そして、「脱落」は 3 個あり、「誤形成」は 2 個あるということが見られ
る。
ここで結果として考えられるのは、どんな学期であっても、
「脱落」、
「混同」、
「誤形成」の用例がほかの誤用の種類と比べて多いということがわかる。その
中で一番誤用例が多いのは「脱落」であり、
「脱落」による誤用例を合計して 129
個となり、全部の誤用例(175 個)の 73.14%を占めている。誤用例の一番少な
いのは「付加」と「そのほか」であり、この二種類の誤用例は 2 個と 1 個しか
ない、全部誤用例(175 個)の 1.56%と 0.57%を占めている。また、全体的に
見れば、第四学期と第六学期の誤用例が多く、これは時間の経つにつれて、学
習者は「テクル」の把握も上手になり、第四学期と第六学期の使用例が多くな
ったからではなかろうかと思われる。
次は、図 5.1 により、学期別における各種類の誤用率を分析してみる。
図 5.1 学期別による各種類の誤用率
図 5.1 で示したように、全体的に見れば、第三学期を除いて、各学期におけ
る「誤形成」の誤用率はほぼ同じである。第二学期、第五学期、第六学期の「混
同」の誤用率もほぼ同じであるということがわかる。
「そのほか」は第四学期と
第六学期しか現れていない、それに、
「そのほか」はこの二学期での誤用率は同
じである。「脱落」の誤用率は第四学期で一番高いと見られる。「付加」は第三
学期にしか現われていないということがわかる。
次は、この五つの誤用のタイプを詳しく分析をしてみる。
29
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
5.3.2 「脱落」に関する誤用分析
前節の表 5.1 で示したように、
「脱落」に関する使用例は 128 個となり、約全
部の誤用例数の 73.14%を占めていて、「テクル」に関する誤用の中でもっとも
多いタイプである。そのため、これからはまず、用法別と学期別という二つの
角度から「脱落」に関する誤用を考察していく。
5.3.2.1 学期別に見られる用法別「脱落」の使用状況
市川(1997)によると、
「脱落」とは当該項目を使用しなければならないのに
使用していない誤用のことである。そのため、「脱落」に関する「テクル」の使
用例はもちろん「テクル」を使用すべきなのに使用されていない。しかし、用
法別に「テクル」に関する使用例を分析すると、例文に「脱落」された「テク
ル」の用法を付けて分析しなければならない。
表 5.2 学期別による各用法の「脱落」に関する使用例の分布
用法別 第二学期 第三学期 第四学期 第五学期 第六学期 第七学期
[1]働きかけ型 7 1 26 12 5 0
[2]現象指向型 11 0 19 7 24 2
[3]共存型 0 0 0 0 1 0
[4]分離型 0 0 0 0 0 0
[5]逆向型 0 0 1 0 0 0
[6]方法型 0 0 1 0 0 0
[7]状態型 1 0 3 1 2 0
[8]同時型 1 1 0 0 0 0
[9]対象移動型 0 0 0 0 0 1
表 5.2 は学期別による各用法の「脱落」に関する使用例の分布を示したもの
である。表 5.2 を見れば、学期毎における「脱落」の使用例のなかで、一番出
たのはどの用法であるかということがわかりやすい。これからは、学期毎で使
われている用法の回数(多少順)によって排列して、一番多く出た用法を抽出
した。そして、学期毎の「脱落」に関する用法の出た回数によって以下のよう
に改めてまとめた(アンダーラインの上の用法の使用回数は同じである。以下
も使用回数の同じ用法の下にアンダーラインをつける):
第二学期:「現象指向型」;
第三学期:「働きかけ型」・「同時型」;
第四学期:「働きかけ型」;
第五学期:「働きかけ型」;
第六学期:「現象指向型」;
第七学期:「現象指向型」。
30
硕士学位论文
こうしてわかるのは、第二学期、第六学期、第七学期この三学期で「現象指
向型」という用法の「脱落」に関する使用例が一番多く表れている。それに、
第三学期、第四学期、第五学期では、「働きかけ型」という用法の「脱落」に関
する使用例が一番多く出ている。
図 5.3 は、
「テクル」の全体的な各用法の「脱落」を占める比率を示したこと
である。図 5.3 の示す全体的な各用法における「脱落」の比率は以下のような
公式で算出したものである:
全体的で当用法の「脱落」を占める比率=(当用法における「脱落」の総使
用例数/全体における「脱落」の総使用例)×100%(結果は小数点第三位を四
捨五入にする)
図 5.3 「テクル」の全体的な各用法の「脱落」を占める比率
ここでは、全体的な「脱落」の総使用例の比率によって、用法別の「脱落」
に関する使用例を頻度の高低順に排列した:
「現象指向型」
(49.22%)、
「働きか
け 型 」 (39.84 % ) 、「 状 態 型 」( 5.47 % )、 同 時 型 ( 1.56 % ) 、「 対 象 移 動 型 」
(1.56%)、「共存型」(0.78%)、「逆向型」(0.78%)、「方法型」(0.78%)、「分
離型」(0.00%)。
その九つの用法のなかで、
「現象指向型」
(49.22%)、
「働きかけ型」(39.84%)
という二つの用法がもっとも多く現れ、この二つの用法を合わせて、全体にお
ける「脱落」の使用例の 90%以上を超えた。
5.3.2.2 学期別における「脱落」の使用状況
表 5.3 は学期別による「テクル」の「脱落」の各用法の使用率である。前節
のように、学期別による「テクル」の各用法の使用率を高低順に並べて排列す
31
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
る。
(アンダーラインの上の用法の使用回数は同じである。以下も使用回数の同
じ用法の下にアンダーラインをつける)
表 5.3 学期別による「テクル」の各用法の使用率
用法別 第二学期 第三学期 第四学期 第五学期 第六学期 第七学期
[1]働きかけ型 35% 50% 50.98% 60% 15.62% 0.00%
[2]現象指向型 55% 0.00% 37.25% 35% 75% 66.67%
[3]共存型 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 3.13% 0.00%
[4]分離型 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00%
[5]逆向型 0.00% 0.00% 1.96% 0.00% 0.00% 0.00%
[6]方法型 0.00% 0.00% 1.96% 0.00% 0.00% 0.00%
[7]状態型 5% 0.00% 5.88% 5% 6.25% 0.00%
[8]同時型 5% 50% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00%
[9]対象移動型 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 33.33%
そして、以下のような結果が出てくる:
第二学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「状態型」・「同時型」;
第三学期:「働きかけ型」・「同時型」;
第四学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」、「方法型」・「逆向型」;
第五学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」;
第六学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「状態型」、「共存型」;
第七学期:「現象指向型」、「対象移動型」。
学期別による「脱落」の各用法の使用率の順位と全体としての「脱落」の各
用法の使用率の順位を比較してみると、
「現象指向型」と「働きかけ型」という
二つの用法の使用率が一番高いという結論が同じである以外には、ほかの用法
の排列の順位はいささか違った。
5.3.3 「混同」に関する誤用分析
本稿における「混同」に関しての誤用例は 26 個あるということがわかる。表
5.4 は本稿における「混同」の下位分類と誤用例数を示したものである。
「混同」
に関する使用例は少々多いから、一つ一つを分析することは難しい。これから
は、「混同」における各タイプの使用例を一つずつ選んで分析してみる。
表 5.4 本稿における「混同」の下位分類と誤用例数
「混同」のタイプ 誤用例数
ていく→てくる 2
てくる→ていく 1
ている→てくる 16
てくる→ている 3
できる→*てくる 2
出る→*てくる 1
32
硕士学位论文
(1)「ていく→てくる」に関する誤用(2 個);
使用例:卒業生が増える一方で、職域が有限だから、就職形勢は深刻になっ
ていきます。(ていき→てき)
例(1)の「てくる」は「現象・状態の出現を表す」という用法に属する、
この用法の「ていく」は将来のことを表し、「てくる」は「これまで」のことを
表すので、間違いやすい。ここでは今までのことを表すので、
「てくる」を使う
べきである。
(2)「てくる→ていく」に関する誤用(1 個);
使用例:理想な家族は一日すぎなくして回復してきますと思います。
(てきま
す→ていくか)
例(2)と例(1)は同じで、ここの「てくる」はこれまでのことをあらわす
だけで、「ていく」はこれからのことを表す。よって、この場合は「ていく」を
使うべきである。
(3)「ている→てくる」に関する誤用(16 個);
使用例:成長すればするほど、自分の家庭を作りたいと思って、理想の家庭
像もいつも私の頭の中に浮んでいます。(でいます→できました)
例(3)は存在しない理想の家庭像を「頭の中で」という非具体的な空間に出
現するという変化を表す。それは抽象的な移動を表す「てくる」の用法である。
(4)「てくる→ている」に関する誤用(3個);
使用例:友達たちはその活動を好きでした、みんなは勉強ってきました。
(っ
てき→してい)
例(4)は「ている」を使用すべきだが、時間の継続をあらわす「てくる」を
使用した誤用である。
「ている」と時間の継続を表す「てくる」の混同について、
金田一(1976)が「継続態は、動作・作用の継続を表す点で、状態相アスペク
トのうちの進行態とよく似ている」と言った。
(5)「できる→*てくる」に関する誤用(2個)
使用例:今ごろ、生活はよくなると、まわりにいろいろな新しい消費品が出
来ます。(出来ます→出てきます)
例(5)の「新しい消費品が出来ます」とは少し意味が通じなく、「新しい消
費品が出てきます」と言うべきである。これは表現の誤りである。
(6)「出る→*てくる」に関する誤用(1個)
使用例:瞬間、誕生日の歌が出ました、ルムメールがその歌を歌いながら、
キターを引いました、そのときの私は本当に幸せでした。
(出ました→聞こえて
きました)
例(6)は中国語の母語干渉を引いた誤用であると思われる。たぶん中国語
33
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
の「歌声传出来」の干渉には関係があると思われて、そのため、「てくる」とい
う方向を表す補助動詞を脱落してしまったと思われる。
(7)「てくる→できる」に関する誤用(1個)
使用例:しかし、今大人になった私は、あまりわがまましなく、もっと親の
ことを理解してきた。(してきた→することができた)
例(7)の「親のことをしてきた」は表現の誤りであると思われる。この例文
には「親のことを理解することができた」という意味である。
5.3.4 「誤形成」に関する誤用分析
本稿における「誤形成」に関する誤用例は 17 個あるということがわかる。こ
れからは、「誤形成」に関する例文を二つ抽出して分析をしてみる。
(1)それのほかに、しばらく金融危機が過ぎてきましたから、求人の会社会危
機の前に少なくて、景気に回復しつつありまして、求人の会社の数も次第に増
えてきますと思います。(てきます→てくる)
例(1)の「と思います」前に動詞の原型に接するべきだが、動詞のます形
を接するのは正しくない。これは動詞の活用の間違いであるから、自然に「誤
形成」の範囲に入った。
(2)もう一つは、就職を探す人々が年年増えてきます。(てきます→てきてい
ます)
例(2)は動詞のアスペクトの間違いである。「誤形成」の範囲に入れる。
5.3.5 「付加」に関する誤用分析
本稿における「テクル」に関しての誤用例は1個しかない。ここでこの使用
例を分析していく。
(1)今、大学に来てもう 2 年間、私はたくさんな海南岛からの美しいものを感
じがある、例えば、夏のとき、海南岛の周には海が広くて多いで、温度があげ
ったら、海からの水が涼しい感じをもらってきる、それで夏に海南岛より長沙
のはが暑いです。(をもらってきる→がする)
例(1)の「もらってきる」は書き誤りと思われる、本来は「もらってくる」
を使おうとしたが、何かの原因で書き誤って「もらってきる」をつかってしま
った。ここでは「私は海からの水が涼しい感じがする」という意味を表すはず
であるから、「付加」による誤用だと判断した。
5.3.6 「そのほか」に関する誤用分析
本稿における「そのほか」についての用例は 2 個しかない。この 2 個は全部
書き誤りである。これからは、学習者の実の使用例を見ていく:
34
硕士学位论文
(1)しかし、幼稚園時唐詩を覚えった、今は全部思い出してきる。(思い出し
てきる→思い出してくる)
(2)次に、ケンカするとき、みんなは正しい方法利用して、雰囲気に緩やかに
してきる家族も理想なのであると思います。(してきる→してくる)
この二つの使用例はともに書き誤りであると思われる。二つの使用例はとも
に「てくる」を使おうとして、
「てきる」を書き誤って使ってしまったというこ
とである。
5.4 まとめ
本章は「テクル」の誤用例に基づいて、「テクル」の誤用状況分析していた。
以下のような結果を得た:
(1)本稿には、「テクル」に関する誤用例を「脱落」、「混同」、「誤形成」、「付
加」、「そのほか」という五つのタイプを分けた。その五つのタイプと総誤用例
の比率は:脱落(73.14%)>混同(20.31%)>誤形成(13.28%)>付加(1.56)
とそのほか(1.56%)
(2)全体的な「脱落」の総使用例の比率によって、用法別の「脱落」に関する
使用例を順番(高低順)に排列した:「現象指向型」(49.22%)、「働きかけ型」
(39.84%)、
「状態型」
(5.47%)、同時型(1.56%)、
「対象移動型」
(1.56%)、
「共
存型」(0.78%)、
「逆向型」(0.78%)、
「方法型」(0.78%)、
「分離型」
(0.00%)。
(3)学期別による「脱落」の出現率の順位は以下のようなものである:
第二学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「状態型」・「同時型」;
第三学期:「働きかけ型」・「同時型」;
第四学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」、「方法型」・「逆向型」;
第五学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」;
第六学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「状態型」、「共存型」;
第七学期:「現象指向型」、「対象移動型」。
(4)「混同」に関する誤用例の中で、一番混同しやすいタイプは「ている→て
くる」である。
35
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
第 6 章 結論と展望
6.1 結論
本稿では湖南大学学習者中間言語コーパスを利用して、
「テクル」の全体的な
使用状況と習得状況、そして、
「テクル」の正用状況と誤用状況を横断的・縦断
的に考察して、以下のような結果がまとめられた:
(1)「テクル」の全体的な使用状況と習得状況;
「テクル」の全体的な使用状況とは第六回から第二十三回までの十八回の作文
データから見れば、
「テクル」に関する延べ語数と異なり語数は全部不規則的な
変化の趨向を呈するということが見られる。これはたぶん作文の題名には多少
関係があるのではないかと推測される。また、
「テクル」のタイプ別から見れば、
もっとも多く使用されているのは抽象的な移動を表す[1]働きかけ型と[2]現象
指向型であり、この二つのタイプの使用例は約全部の使用例の五分の四を占め
ている。
(2)「テクル」の正用状況について
「テクル」の学期別の正用率の順序:第三学期(58.33%)>第七学期(50%)
>第五学期(49.12%)>第六学期(45.57%)>第四学期(12.16%)>第二学
期(9.68%);
「テクル」に関する九つの用法の正用率の順序:「[1]働きかけ型」(44.32%)
> 「 [2] 現 象 指 向 型 」( 28.41 % ) > 「 [7] 状 態 型 」( 10.23 % ) > 「 [8] 同 時 型 」
(5.68%)>「[9]対象移動型」(4.55%)>「[3]共存型」(3.41%)>「[5]逆
向型」(2.27%)>「[4]分離型」(1.14%)>「[6]方法型」(0.00%)。
この六学期における「テクル」の学期毎の各用法の学期別の正用率の配列順
序:
第二学期:「働きかけ型」、「現象指向型」;
第三学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「同時型」・「対象移動型」;
第四学期:「働きかけ型」、「現象指向型」・「状態型」;
第五学期:
「働きかけ型」、
「現象指向型」、
「共存型」・
「同時型」、
「逆向型」・
「状
態型」・「対象移動型」;
第六学期:
「働きかけ型」、
「現象指向型」、
「状態型」、
「同時型」・
「対象移動型」、
「分離型」・「逆向型」;
第七学期:「状態型」、「働きかけ型」・「現象指向型」・「共存型」。
それから、
「テクル」に関する学期別の正用率と用法別の正用率の変化の趨向
を比較した結果は以下のようなことがわかった:
36
硕士学位论文
①「同時型」、「対象移動型」という二つの用法は学期に従って、用法別の正
用率が上がったにもかかわらず、学期別の正用率が下がったという傾向が見ら
れた;
②「共存型」という用法の変化趨向は学期に従って、用法別の正用率が下が
っても、学期別の正用率が上がるということである;
③「現象指向型」という用法の学期別の正用率と用法別の正用率の変化趨向
はほぼ同じである;
④「働きかけ型」という用法の学期別の正用率と用法別の正用率の変化趨向
は逆である、学期別の正用率が上がる時、用法別の正用率が下がる;学期別の
正用率が下がる時、用法別の正用率が逆に上がる;
⑤「分離型」、「逆向型」、「方法型」という三つの用法は、各用法に関しての
正用例が極めて少ないため、変化の趨向は判断しがたいのである。
(3)「テクル」の誤用状況について
本稿では、「テクル」の誤用率の順番(高低順)は:脱落(73.14%)>混
同(20.31%)>誤形成(13.28%)>付加(1.56)とそのほか(1.56%)。誤用
の中で、一番多く使用されたのは「脱落」であるということがわかった。
「脱落」
と「混同」という二つのタイプの誤用率を合わせて全部誤用率の 90%を超えて
いる。
「 脱 落 」 の 中 で 、 各 用 法 の 出 現 率 の 順 番 ( 高 低 順 ) は :「 現 象 指 向 型 」
(49.22%)、「働きかけ型」(39.84%)、「状態型」(5.47%)、同時型(1.56%)、
「対象移動型」(1.56%)・「共存型」(0.78%)、「逆向型」(0.78%)・「方法型」
(0.78%)、
「分離型」
(0.00%)。
「脱落」の中で、
「現象指向型」と「働きかけ型」
という二つの用法の出現率は全部用法の出現率の 90%を超えている。次の学期
別による「脱落」の出現率には、各学期で「働きかけ型」と「現象指向型」の
出現率も多いと見える。
学期別による「脱落」の出現率の順番は以下のようなものである:
第二学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「状態型」・「同時型」;
第三学期:「働きかけ型」・「同時型」;
第四学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」、「方法型」・「逆向型」;
第五学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」;
第六学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「状態型」、「共存型」;
第七学期:「現象指向型」、「対象移動型」。
また、「混同」に関する誤用例の中で、一番混同しやすいタイプは「ている→
てくる」である。
37
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
6.2 日本語教育への展望
学習者が「テクル」を習得する過程に、母語からの干渉、目標言語が十分
把握していないこと、学習者の練習不足、コロケーションにかかわる問題、
教科書の記述不足などの原因で、誤用が生じやすい。学習者がより全面的に
「テクル」の用法を把握するために、ここから日本語教育への提言がしたい:
(1)教科書には「テクル」に関するの用法の内容が不十分だということ
を学習者に指摘する必要がある;
(2)学習者がよく犯す誤用を整理し、授業の時に間違いやすいところに
対して強化する;
(3)学習者により容易に「テクル」の用法を把握するために、マルチメ
ディアという多様な教育方法を使って、学習者の興味を生かす。
38
硕士学位论文
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40
硕士学位论文
附录 A 攻读学位期间所发表的学术论文目录
41
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
附录B 详细中文摘要
迄今为止,关于日语补助动词「テクル」习得的研究并不多见,目前关于「テク
ル」的习得研究多是以在日本的中国留学生或者台湾的日语学习者为研究对象,
以中国大陆的日语学习者为研究对象的「テクル」的习得研究很少。因此,对于
中国大陆的日语学习者的「テクル」的习得情况还不甚了解。
本文拟从二语习得的角度,采用湖南大学学习者中介语语料库中 2009 年 9 月
入学的日语 1 班的 22 人(去除去日本留学的,之前学过日语的,和中途转入或转
出的)2010 年 4 月到 2012 年 12 月为止一共 6 学期的作文语料,来考察「テクル」
的整体习得情况。首先,抽取语料库中含有「テクル」的用例和本该使用「テク
ル」但是却没有使用的用例,将其交由日语母语者进行正误判断。并将所有用例
分为正用例和误用例两部分,再进一步按照市川(2001)的分类标准,将误用例
分为“脱落”,“混同”,“误形成”,“附加”和“そのほか”这五类。在此基础上,
对「テクル」整体的习得情况以及正用和误用的习得情况进行横向和纵向的考察,
考察其正用和误用的使用频率及其分布,以及不同学期使用倾向的变化,并探讨
误用的模式。本文的结构如下:
第一章是序章,介绍了本文的先行研究和问题点以及研究课题和本文的研究
目的和研究方法。其中先行研究分为以下两部分:与「テクル」用法相关的先行
研究和与「テクル」习得相关的先行研究。本文的研究课题为以下三个方面:(1)
弄清楚「テクル」整体的使用状况;(2)不同阶段的「テクル」的不同类型的正
用例和误用例的使用倾向和变化趋势;(3)关于「テクル」的误用模式。本文的
研究方法是采用《湖南大学学习者中介语语料库》的作文语料, 从学习者习得「テ
クル」之后的作文调查(第六回到第二十三回)中,抽出包含「テクル」的使用
例和应该使用「テクル」但没使用的例句,将其交由日语母语者进行判断,然后
分为正用例和误用例两部分,然后按照市川(2001)的分类标准,将误用例进一
步分为“脱落”,“混同”,“误形成”,“附加”和“そのほか”这五类。本文的研
究目的为以下两个方面:(1)从横向和纵向两个方面来对「テクル」的整体使用
情况进行全面的考察,并由此更加清楚明白的掌握「テクル」的习得情况;(2)
将「テクル」的使用例按照用法类型来进行分类,哪种用法比较容易习得,哪种
用法比较难于习得进行整理,然后整理出「テクル」误用的模板,希望这个结果
能对日语教育有所帮助。
第二章是研究概要,首先介绍了本文所使用的语料库,接受语料调查的人,
以及本文所使用的作文数据的介绍和本文使用的「テクル」用法和误用的分类,
42
硕士学位论文
按照张(1992)的分类方法将「テクル」分为以下九种类型:[1]働きかけ型;[2]
現象指向型;[3]共存型;[4]分離型;[5]逆向型;[6]方法型;[7]状態型;[8]
同時型;[9]対象移動型。本文中误用的分类采用按照市川(2001)的分类标准,
将误用例进一步分为“脱落”,“混同”,“误形成”,“附加”和“そのほか”这五
类。
第三章全面考察了「テクル」整体的习得情况和「テクル」的各用法的使用
状况,发现在第六回到第二十三回这十八回的作文调查中,关于「テクル」的总
使用数和区别使用数呈不规则变化趋势。从「テクル」的使用类别来看,其中[1]
働きかけ型和[2]現象指向型这两种类型的「テクル」用得最多,占了所有用法比
例的百分之九十以上。并分析了「テクル」的总词数和区别词数和正用误用的比
例,发现误用率是正用率的近两倍。接下来考察了误用的种类及其所占比例,发
现误用类型中“脱落”所占比重最大。最后考察了「テクル」的正用和各种类的
误用的分布。
第四章分别考察了不同学期,不同用法之间的「テクル」的正用状况以及不
同学期之间不同类型的「テクル」的正用例的使用情况,分析了不同学期「テク
ル」的正用率以及「テクル」的用法分布。不同学期「テクル」的正用情况如下:
第 三 学 期 ( 58.33 % ) > 第 七 学 期 ( 50 % ) > 第 五 学 期 ( 49.12 % ) > 第 六 学 期
(45.57%)>第四学期(12.16%)>第二学期(9.68%)。不同类型之间「テク
ル 」 的 正 用 情 况 如 下 :「 [1] 働 き か け 型 」( 44.32 % ) > 「 [2] 現 象 指 向 型 」
(28.41%)>「[7]状態型」(10.23%)>「[8]同時型」(5.68%)>「[9]対象
移動型」
(4.55%)>「[3]共存型」
(3.41%)>「[5]逆向型」
(2.27%)>「[4]
分離型」(1.14%)>「[6]方法型」(0.00%)。
第五章首先介绍了「テクル」的误用的调查对象以及误用的判定方法和调查结
果,进而从横向和纵向两个方面考察了「テクル」的误用的使用情况,以及分别
分析了每种误用类型的误用情况。本文将误用例分为“脱落”,
“混同”,
“误形成”,
“附加”和“そのほか”这五种类型,这五种误用例的误用例和总使用例之间的
比 率 为 ( 按 高 低 顺 序 排 列 ): 脱 落 ( 73.14 % ) > 混 同 ( 20.31 % ) > 誤 形 成
(13.28%)>付加(1.56)とそのほか(1.56%)。“脱落”中各种类型的使用率
按高低顺序排列如下:「現象指向型」(49.22%)、「働きかけ型」(39.84%)、「状
態 型 」( 5.47 % )、 同 時 型 ( 1.56 % ) 、「 対 象 移 動 型 」( 1.56 % ) 、「 共 存 型 」
(0.78%)、
「逆向型」(0.78%)、
「方法型」(0.78%)、
「分離型」
(0.00%)。并且,
关于“混同”的误用例中,最容易混淆的是关于「ている→てくる」的误用例。
第六章是结论,对「テクル」的整体的使用和习得情况,正用和误用的情况进行
了总结以及对未来日语教育进行了展望。
通过考察得出以下结论:
43
中国人日本語学習者の「テクル」に関する習得考察
(1)「テクル」不同学期的正确率从高到低依次排列是:第三学期>第七学期
>第五学期>第六学期>第四学期>第二学期;
(2)「テクル」九种用法的正确率由高到低依次为:「[1]働きかけ型」>「[2]
現象指向型」>「[7]状態型」>「[8]同時型」>「[9]対象移動型」>「[3]共
存型」>「[5]逆向型」>「[4]分離型」>「[6]方法型」;
(3)各学期不同用法的正用率由高到低依次为:
第二学期:「働きかけ型」、「現象指向型」;
第三学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「同時型」、「対象移動型」;
第四学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」;
第五学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「共存型」、「同時型」、「逆向型」、「状
態型」、「対象移動型」;
第六学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」、「同時型」、「対象移 動
型」、「分離型」、「逆向型」;
第七学期:「状態型」、「働きかけ型」、「現象指向型」、「共存型」。
(4)各类型的误用所占误用总数的比率由高到低依次为:“脱落”>“混同”
>“误形成”>“付加”,“そのほか”
(5)“脱落”类型的「テクル」的各用法之间的使用率由高到低依次为:「現
象指向型」、
「働きかけ型」、
「状態型」、
「同時型」、
「対象移動型」、
「共存型」、
「逆
向型」、「方法型」、「分離型」。
(6)每学期 “脱落”类型的「テクル」的不同用法的使用率由高到低分别为:
第二学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「状態型」、「同時型」;
第三学期:「働きかけ型」、「同時型」;
第四学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」、「方法型」、「逆向型」;
第五学期:「働きかけ型」、「現象指向型」、「状態型」;
第六学期:「現象指向型」、「働きかけ型」、「状態型」、「共存型」;
第七学期:「現象指向型」、「対象移動型」。
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硕士学位论文
謝 辞
本稿の作成において、最初から最後まで細かいアドバイスと暖かい励ましの
ことばをくださいました指導教官である張佩霞教授に心から感謝の意を述べさ
せていただきたいです。
大学に在学中の三年間、大学日本語学部の諸先生にいろいろとお世話になり
ました。ここに、諸先生には心より御礼申し上げます。
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