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初等音楽科教育法

科目概要
小学校︎音楽科を運営していくため︎、基礎的な知識と技能を学ぶ科目
である。学習指導要領に沿って、歌唱・ 器楽・音楽づくりおよび
鑑賞︎4つ︎活動分野について、指導法を学ぶ。さらに、それらを総合
した授業︎立案、教 材選択︎視点、評価︎視点を学び、少なくとも1つ︎題
材(単元)について、自ら指導計画を立てる力を養う。

歌唱共通教材とはどのようなものですか。

1、定義

歌唱共通教材とは、学習指導要領において教材として
扱うべきと定められている特定の楽曲のことである。1、
2年生はそのうち3曲を、3年から6年はそのうち2曲を、
各年度の指導計画に教材として組み込むことが義務付け
られているのである。

「共通教材」といわれるものが最初に登場したのは昭
和33年版の学習指導要領である。「共通教材」には「歌
唱共通教材」と「鑑賞共通教材」とがあり、学年ごとに
指導計画へと組み込んで歌ったり鑑賞したりする教材曲
として、3∼4曲の具体的な楽曲名が挙げられた。その後、
平成10年版の学習指導要領では「歌唱共通教材」のみが
残り、小学校の鑑賞共通教材、中学校の唱歌・鑑賞共通
教材の指定はなくなった。
2、指導計画に組み込む時に注意点

この歌唱共通教材を授業に組み込む際、留意すべき点
がいくつかあげられる。歌唱共通教材の多くは、戦前か
らの文部省唱歌が中心となっている。そのため、これら
の歌唱共通教材は小学校の授業で教材として扱うには歌
詞が難しく、子どもたちの生活感覚からかけ離れたもの
が多いといえる。また、リズムや歌詞を音楽に載せるや
り方も、現代の子供達にとっては古めかしいものである。
このため、教材化するにおいても、時間数が限られる年
間指導計画の中に位置付けるにもかなりの工夫が必要で
あるといえる。学習指導要領における共通教材の指定は
曲名のみであるため、ある程度アレンジを加えることが
可能である。そのため二部合唱にしたり、伴奏の形や和
声を変えたりということがある程度は許される。例えば、
教材として指導計画に組み込む際にはこれらの工夫がと
ても大切である。

また、教員においては「歌唱共通教材」の弾き歌いを
練習する義務があると言える。教員は指導を行うときに
児童生徒と目を合わせ、これらの教材の伴奏を弾き歌い
しなければならない。そのため、自分の実力にあった伴
奏の付け方や調性を決め、時には弾きやすいように独自
に修正して余裕を持って弾くことができるように工夫す
ることが大切であると言える。

⃝歌唱共通教材

平成元年告示の学習指導要領まで、「わらべうた」や
「日本古謡」に重点を置いていたが、平成10年告示の学
習指導要領にはそれほど強調されていない。これには「ゆ
とり教育」の考えが大きく影響していると考えられ、歌
う曲数の指定も少なくなったとされている。平成20年告
示の学習指導要領には、歌唱共通教材の充実が音楽科改
訂の要点として明確に挙げられていることから、歌唱共
通教材の取り扱いが増えた。

配当学年 曲目

1年 「うみ」 「日のまる」 「かたつむり」 「ひらいたひらいた」

2年 「虫のこえ」 「春がきた」 「かくれんぼ」 「夕やけこやけ」

3年 「うさぎ」 「茶つみ」 「春の小川」 「ふじ山」

4年 「とんび」 「もみじ」 「まきばの朝」 「さくらさくら」

5年 「子もり歌」 「冬げしき」 「スキーの歌」 「こいのぼり」

6年 「ふるさと」 「おぼろ月夜」 「越天楽今様」 「われは海の子」

これらの他にも「村まつり」や「虫のこえ」等の現在
扱われていない唱歌等には、児童が興味を示すようなオ
ノマトペや擬音語が含まれている。また、軽快なリズム
に多く児童が関心を示し、児童に身近な存在であり多く
の児童に好まれていることから。現在扱われなくなった
唱歌を再考したり、指導の際に取り入れたりすることも
重要であると言える。現在示されてる指定の曲にとらわ
れず、幅広く唱歌を教材として扱う視点が重要である。

参考文献

『初等音楽科教育法 -ハートフルメッセージ』 阪井恵・有


本真紀著(明星大学出版部)

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