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20 教育カウンセリング研究−Vol. 3 No.

1 2010

【資料】

児童用自己開示尺度の構成

岡田 弘*

Developing a Measure of Children's Self-disclosure

Hiroshi Okada*

【要約】
本研究は小学校高学年を対象とした児童用自己開示尺度の開発である。予備調査および本調査によって
2因子10項目からなる尺度を開発した。主因子法による因子分析の結果,体験開示尺度(7項目)と感傷開示
尺度(3項目)を抽出した。尺度の信頼性を確認するために,因子間の相関係数,各因子の信頼性係数を求
めた。その結果信頼性を確認することができた。尺度の妥当性を確認するために,内容妥当性の検討を上
級教育カウンセラーとともに行った。因子妥当性の検討をするために,確認的因子分析(共分散構造分析)
を行った。併存的妥当性の検討をするために,自己開示尺度と学校生活満足度尺度・学校生活意欲尺度と
の相関を検討した。その結果,妥当性を確認することができた。
キーワード: Being for,対峙存在,自己開示

【Abstract】
This research is to develop scales of elementary school children's self-disclosure. Preliminary study
and this study developed scales comprised of two factors and 10 items. Results of factor analysis by
principal factor method extracted 7 items of the experience disclosure scale and 3 items of the emotion
disclosure scale. To verify the reliability of the scales, correlation coefficients between the factors and
the coefficient of reliability of each factor were calculated. In consequence, its reliability was verified.
To verify the validity of the scale, the examination of content validity was conducted with higher educa-
tional counselors. To study validity of the factor, the analysis of factor verification (analysis of covari-
ance structure) was performed. In order to study the validity of coexistence, the correlation of the scales
for self-disclosure, school life satisfaction and drive for school life was examined. The validity was con-
firmed as a consequence.
Key words: children’s self-disclosure, the experience disclosure, the emotion disclosure

【問題と目的】 となく,誠実に,相手にわかるように,人に強制され
自己開示(self-disclosure )の定義はさまざまになさ ることなく積極的・自発的に伝えること」とした。ま
れている。初期のものはジュラード(Jourerd, 1958 ) た,外傷体験を開示すると心身の健康に役立つこと
の「自分自身をあらわにする行為であり,他人たち を検証したペネベイカー(Pennebaker ,2000 )は,自
が知覚しうるように自身を示す行為」というもので 己開示の過程を,告白・抑制・直面によって説明し
ある。船津・安藤(2002 )は「他者に対して,言語を た。すなわち,外傷体験をあえて開示することが告白,
介して伝達される自分自身に関する情報,およびそ 外傷体験を開示しないでおくことが抑制,外傷体験
の伝達行為のこと」とした。遠藤(2000 )は「今の自 を積極的に考え話すことが直面であるとした。
分の感情・考え・価値観・望み・そして過去の経験 遠藤・堀(1991 )は,
「自分に心を開いてくれている
や生い立ちなどについて,ありのまま,相手に隠すこ と感じている相手には,自分も心を積極的に開こう
とする。自己の開示量と他者の被開示認知とが一致
*東京成徳大学大学院心理学研究科博士後期課程/東京聖栄大学
しているほど自己開示する」と報告している。
*Tokyo Seitoku University Graduate School / Tokyo Seiei College
児童用自己開示尺度の構成 21

本研究では,先行研究の知見を踏まえ自己開示の Table 1 予備調査実施校・人数・実施日


定義を「学級集団内で,過去の体験やありのままの 計 実施日
5年 6年
自己を開示すること」とする。具体的には「ふれ合い A校(山陰地区) 86名 78名 164名 9/25
ながら,自己を開示し,自己主張すること」である。 B校(関西地区) 87名 66名 153名 9/10
こうした自己開示の先行研究は,成人を対象とし C校(中部地区) 78名 82名 160名 9/10
D校(北陸地区) 74名 74名 9/ 4
たものである。横島・吉田・小熊(1997 )の高校生を
E校(北陸地区) 35名 40名 75名 9/ 5
対象にした自己開示研究や榎本・清水(1992 )の知見 計 360名 266名 626名
を活用して,小野寺・河村(2002a )は中学生用学級
内自己開示尺度の作成を試みている。しかし,小学
生を対象にした自己開示尺度は開発されていない。そ
こで,小学校の学級集団の特性を客観的に示す児童 【結果と考察】
用自己開示尺度を開発し,学校教育の抱える諸問題 (1)候補項目の決定
解決の一助としたい。 候補項目はこれまでの知見をもとに,教師が短時
本研究の目的は,小学校高学年の学級内の状況を 間で実施でき,日々の教育活動に活用しやすいこと
測定できる児童用自己開示尺度を開発することであ を目的に作成した。さらに,本研究での自己開示の
る。 定義を踏まえるとともに現場の教師が評価されてい
ると感じられるようなものは採用しなかった。その結
予備調査:自己開示尺度項目の選択 果21 項目となった(Appendix 1 )

1. 自己開示尺度項目の選択 (2)因子の抽出と命名
(1)項目の収集法 エキスパート(現職教員)に本研 主因子法による因子分析(Kaiser の正規化を伴うプ
究の自己開示の定義を示し,小学校5 ・6 年生を念頭 ロマックス法で3 回の反転で回転が収束した)の結果,
に項目の作成をアンケートするとともに研究者自身 Table 2に示すように,2 因子10 項目を抽出した。因
により項目を作成する。 子負荷量0.40 以下の10 項目は削除した。
(2)全体の項目数 20 〜30 個。 第1 因子7項目は「私はあまり自信のない考えでも
(3)逆転項目・ダミー項目の使用 使用しない。 クラスの人に話すことができます」に代表される自分
(4)評定尺度の作成 単極尺度とし,ポイント数は 4 の考えや体験を開示するものであるため「体験開示
とし,文による表現とする。 因子」と命名した。第2 因子3 項目は「私は落ち込ん
だときの自分のつらい気持ちをクラスの人に話すこ
【方 法】 とができます」に代表される自分の傷ついた気持ち
(1)実施時期 2007 年9 月(各校の実施しやすい日) を開示するものであるため「感傷開示因子」と命名
(2)調査対象・対象数 小学校 5 年生・6 年生対象 した。
数は項目数の5 倍以上とする。 因子間の相関,各因子の信頼性,因子内容の妥当
(3)調査実施校・人数・実施日 性,因子妥当性,併存的妥当性の検証は本調査で行
Table 1に示す実施日に5 校で実施した。欠損値等 うこととする。
のあるものを除外した分析対象数は626 名である。
(4)調査方法 本調査:自己開示尺度項目の信頼性・妥当性の検討
朝の会や帰りの会に担任が項目を読み上げながら, 予備調査で作成した尺度を用いて本調査を実施し
児童が回答。特別な支援を要する児童がいる可能性 た。
を配慮し,担任が読み上げながらの回答とした。フェ
イスシートには学年・クラス・番号・性別を記入。回 【方 法】
答後裏返して回収し,そのまま封入してもらった。こ (1 )実施時期 2008 年4 月
の調査はクラスの様子を知るためのものであり,個人 各校の実施しやすい日に実施することをお願いし
情報が公開されることがないので,正直な今の気持 た。
ちを回答するように説明して開始された。 (2)調査対象 小学校 5 年生・6 年生
(5)分析ソフト 調査協力校の5 ・6 年生全員を対象とした。
SPSS 16.0とAmos 16.0を用いた。以下分析はすべ (3)調査実施校・人数・実施日
てこのパッケージによる。分析は2008年1月9日実施。 Table 3に示す実施日に4 校で実施した。欠損値等
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Table 2 自己開示尺度予備調査因子分析結果
質問項目 因子1 因子2 共通性
17 私はあまり自信のない考えでもクラスの人に話すことができます .709 - .005 .482
18 私は自分の勉強の仕方をクラスの人に話すことができます .690 .009 .492
20 私は自分の進路についてクラスの人に話すことができます .674 - .002 .437
8 私は自分の考えをクラスの人に話すことができます .622 .066 .435
19 私は自分の嫌なところをクラスの人に話すことができます .619 .096 .437
6 私は自分の将来の夢をクラスの人に話すことができます .580 - .067 .482
21 私は自分の生まれてから今までのことをクラスの人に話すことができます .500 .125 .360
10 私は落ち込んだときの自分のつらい気持ちをクラスの人に話すことができます .042 .883 .658
3 私は自分が傷ついたできごとをクラスの人に話すことができます .052 .736 .514
16 私は悲しい気持ちになったとき素直にクラスの人に話すことができます .266 .549 .562
因子間相関 − .776
累積説明率 43.209 49.819

Table 3 調査実施校・人数・実施日
5年 6年 計 実施日 ロンバックのα係数)を求めたところ,第1 因子「体
F校(山陰地方) 83名 91名 174名 4/10・11 験開示」α=.746 ,第2 因子「感傷開示」α=.828 と
G校(関東地区) 59名 65名 124名 4/14・18・24 いう数値を得た(Table 4)

H校(関西地区) 90名 91名 181名 4/15・16 これらの結果から本尺度の信頼性は確認された。
I校(関東地区) 53名 56名 109名 4/22・23・30
(2)妥当性の検討
計 285名 303名 588名
内容妥当性を検証するために,現職の小学校教員4
名(東北地区・関東地区・中部地区・関西地区の上級
のあるものを除外した分析対象数は588 名である。F ・ 教育カウンセラー)と検討を行った。各調査校の中か
H 校の6 年生は予備調査のA ・B 校の5 年生である。 ら,自己開示尺度の高い得点域の児童,平均得点域
(4)調査方法 の児童,低い得点域の児童,特異な偏りの得点の児
朝の会や帰りの会に担任が項目を読み上げながら, 童を抽出し,日常の観察から見える抽出児童の日常
児童が回答。 の自己開示の様子と項目の得点域と項目内容につい
て,表面的妥当性ではなく,項目の内容がどれほど
【結果と考察】 検査目的の領域を反映しているかの検討を行った。上
(1)信頼性の検討 級教育カウンセラーのいない学校には,担任や養護
予備調査と同様に因子分析(主因子法)をKaiser の 教諭に聞き取り調査を行って検討した。
正規化を伴うプロマックス法により行い,予備調査 特異な偏りのある得点域の児童の中に,特別な支
と同様に2 因子を抽出した(Table 4)
。因子負荷量が 援を要する児童がいた。また,補助の教師がついて
.40 以下のものがあるが,この項目をクラス内で自己 尺度項目の内容を説明しながら調査を行っていたが,
開示できるか否かは学級内の状況を知る上で重要な 理解が十分になされていないため,偏った結果を示
項目であり,この項目を含めた信頼性係数が .746 あ していることが分かった。
るため,そのまま残すこととした。この項目のさらな こうした例も踏まえながら,項目内容が検査しよ
る検討は今後の課題としたい。 うとする能力や特性をどのくらい適切に抽出してい
F 校H 校は予備調査時の5 年生であるため,再検査 るかの検討を行った。その結果,4 人とも妥当性あり
法の意味合いを持つが,今回は再検査法を目的に実 と確認した。
施していないため,その相関は測らなかった。 次に因子の構成概念妥当性を検証するために確認
因子の命名は予備調査と同じとした。次に因子間 的因子分析(共分散構造分析)を行い,Figure 1およ
の相関を見るために相関係数を算出した。その結果 びTable 5に示す結果を得た。
r =.767 という高い相関が認められた。累積説明率は, Table 5に示すように χ 2 値(174.19)は有意確率
因子1 のみで45.520 %,因子2 を含むと52.033 %であ (p ≦.001 )を示し,この指標に関してはモデルが適合
る。各因子の信頼性を確認するために信頼性係数(ク しているとは言えなかった。
児童用自己開示尺度の構成 23

Table 4 自己開示尺度本調査因子分析結果
質問項目 因子1 因子2 共通性
8 私は自分の考えをクラスの人に話すことができます .646 -.054 .437
17 私はあまり自信のない考えでもクラスの人に話すことができます .599 -.023 .487
6 私は自分の将来の夢をクラスの人に話すことができます .588 .082 .509
18 私は自分の勉強の仕方をクラスの人に話すことができます .510 .025 .496
20 私は自分の進路についてクラスの人に話すことができます .429 .025 .432
21 私は自分の生まれてから今までのことをクラスの人に話ができます .427 .172 .476
19 私は自分の嫌なところをクラスの人に話すことができます .340 .246 .482
10 私は落ち込んだときの自分の気持ちをクラスの人に話すことができます -.022 .878 .665
16 私は悲しい気持ちになったとき素直にクラスの人に話すことができます -.021 .820 .553
3 私は自分が傷ついた出来事をクラスの人に話すことができます .041 .662 .521
因子間相関 − .767
累積説明率 45.520 52.033
α係数 .746 .828

開示17 e1

.58 開示18 e2

.56
開示20 e3
.55
体験開示
開示 8 e4
.57

.44 開示19 e5

.57
開示 6 e6
.55
.69 開示21 e7

開示10 e8
.86

.81
感傷開示 開示 3 e9
.70

開示16 e10

Figure 1 自己開示尺度確認的因子分析

Table 5 自己開示尺度モデル適合度指標
χ2 自由度 有意確率 GFI AGFI CFI RMSEA AIC
174.19 34 .000 .943 .907 .915 .085 216.19
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GFI(.943)とAGFI(.907)はともに.90 以上の値を これまでの知見を踏まえていることを念頭に作成した。


示し,説得力のあるモデル適合度となっている。CFI 因子の抽出のため,主因子法による因子分析を行っ
(.915)は.90 以上であり,RMSEA(.085)は.05 以下と た。予備調査と本調査には,同一校の同一学年を含
はならなかったが,CFI が.915 あり,データがある程 むようにした。2 回の因子分析の結果,2 回とも2 因子
度モデルに適合しているといえよう。AIC は対比する を抽出した。各因子は,体験開示因子(7 項目)と感傷
ものがないが,一応示しておく。これらの数値から構 開示因子(3 項目)と命名された。
成概念妥当性が確認された。 次に,この尺度の信頼性を検討するために因子間
次に尺度の併存的妥当性を検証するために,河村 の相関係数を算出した結果 r = .767 という高い相関が
(1997 )が開発した学級満足度尺度と学校生活意欲尺 認められた。累積説明率は,因子1 のみで45.520 %,
度との相関を求めた。調査校は中部地区のC 校155 名 因子2 を含むと52.033 %となった。各因子の信頼性係
である。2009 年1 月に実施した自己開示尺度の調査結 数を求めた結果,第1因子「体験開示」α= .746 ,
果と 2009 年 2 月に取った学級満足度尺度と学校生活 第 2 因 子 「感 傷 開 示 」α = .828 と い う 数 値 を 得 た
意欲尺度との相関を算出し,以下の結果を得た。 (Table 4)
。これらのことから自己開示尺度の信頼性
学校生活意欲尺度の下位尺度の「友人関係」と自 を確認することができた。
己開示尺度(n =129 )の下位尺度「体験開示」との相関 次にこの尺度の妥当性を検証するため,内容的妥
は(r =.410 ,p <.001 )であり,
「感傷開示」との相関 当性,構成概念妥当性,併存的妥当性の検証をした。
は(r =.386 ,p <.001 )であった。学校生活意欲尺度 内容妥当性の検討は,現職の小学校教員4 名(上級
の「学習意欲」と自己開示尺度の「体験開示」との 教育カウンセラー)と行った。各調査校の中から,自
相関は(r =.513 ,p <.001 )であり,「感傷開示」との 己開示尺度の高い得点域の児童,平均得点域の児童,
相関は(r =.255 ,p <.001 )であった。学校生活意欲 低い得点域の児童,特異な偏りの得点の児童を抽出
尺度の「学級雰囲気」と自己開示尺度の「体験開示」 し,日常の観察から見える抽出児童の日常の自己開
との相関は(r =.318 ,p <.001 )であり,「感傷開示」 示の様子と項目の得点域と項目内容について,項目
との相関は(r =.298 ,p <.001 )であった。 の内容がどれほど検査目的の領域を反映しているか
学級満足度尺度の「承認得点」に対する自己開示 の検討を行った。上級教育カウンセラーのいない学
尺度(n =129 )の「体験開示」との相関は(r =.548 , 校には,担任や養護教諭に聞き取り調査を行って検
p <.001 )であり,「感傷開示」との相関は(r =.540 , 討した。
p <.001 )であった。 特異な偏りのある得点域の児童の中に,特別な支
学級満足度尺度の「被侵害得点」に対する自己開示 援を要する児童がいた。また,補助の教師がついて
尺度の「体験開示」との相関は(r =−.163 ,ns )であり, 尺度項目の内容を説明しながら調査を行っていたが,
「感傷開示」との相関は( r =−.213 ,p <.05 )であった。 理解が十分になされていないため,偏った結果を示
学校生活意欲尺度と自己開示尺度は1 %水準での相 していることが分かった。
関が認められた。学級満足度尺度と自己開示尺度は こうした例も踏まえながら,項目内容が検査しよ
「被侵害得点」と「体験開示」の相関以外は1 %水準 うとする能力や特性をどのくらい適切に抽出してい
から5 %水準で相関が認められた。学級満足度尺度の るかの検討を行った結果,4 人とも妥当性ありと確認
「被侵害得点」に対する自己開示尺度の「感傷開示」 した。
の相関は認められなかった。これは,侵害を感じる児 構成概念妥当性の検討のために確認的因子分析(共
童が「感傷開示」尺度に示されている内容を開示し 分散構造分析)を行った。その結果,ある程度説得力
ないことは当然の帰結と考えられる。 のあるモデル適合度(Figure 1,Table 5)を示し,因
以上のことから併存的妥当性が確認された。 子の妥当性が確認できた。
併存的妥当性の検討のために,自己開示尺度と学
【まとめと考察】 校生活意欲尺度と学級満足度尺度との相関を検討し
小学校学級集団の状況を測定できる児童用自己開 た。その結果,学校生活意欲尺度と自己開示尺度は
示尺度を開発するため,予備調査および本調査を経 1 %水準での相関が認められた。学級満足度尺度と自
て,2 因子10 項目からなる尺度を開発した。 己開示尺度は「被侵害」と「体験開示」の相関以外
予備調査では本研究での自己開示の定義を踏まえ, は,1 %水準から5 %水準で相関が認められた。以上
21 項目を決定した。教師が学級で短時間で実施でき のことから併存的妥当性が確認された。
ること,教師が評価されていると感じられないこと, 本研究は,小学校高学年を対象にした学級集団内
児童用自己開示尺度の構成 25

での自己開示を測ろうとするものである。本研究で自 self-disclosure. Journal of Abnormal and Social


己開示尺度の信頼性と妥当性が確認された。本尺度 Psychology ,56,91-98.
が今後の小学校高学年での学級集団を対象にした研 Jourard, S. M. 1971 The transparent self . Rev.
究の一助となれば幸いである。しかし,本尺度がスタ (ed.) ,New York :Van Nostrand Reind . (岡堂哲
ンダード化するためには,広範なデータの収集と地域 雄(訳)1974 透明なる自己 誠信書房)
差,学校規模の大小による差等をさらに精査する必要 河村茂雄 1997 a 児童のスクール・モラルと担任教
がある。これらは今後の課題としたい。また,特別な 師の勢力資源認知との関係についての調査研究 カ
支援を要する児童への対応も今後の課題としたい。 ウンセリング研究,30,11-17.
付記 河村茂雄 1997 b いじめ・学級不適応児童発見尺
本研究の一部を日本教育カウンセリング学会第7 度の作成 カウンセリング研究,30,112-120.
回研究発表大会で発表を行った。 小野寺正己・河村茂雄 2002 b 中学生の学級内に
おける自己開示が学級への適応に及ぼす効果に関
する研究 カウンセリング研究,35,47-56.
【引用文献】 小野寺正己・河村茂雄 2002 a 中学生用学級内自
遠藤公久・堀洋道 1991 開示状況における開示意 己開示尺度の作成と信頼性・妥当性の検討 カウ
向とパーソナリティおよび対人適応との関連 教育 ンセリング研究,35,133-138.
相談研究,29,7-12. Pennebaker ,J. W ,1990 ,Opening up : The heal-
遠藤公久 2000 構成的グループエンカウンターに ing power of confiding in others . New York :
おける自己開示の意義と条件 國分康孝(編) 続 The Guilford Press .( 余 語 真 夫( 監 訳 ) 2000
構成的グループエンカウンター 誠信書房,21-29. オープニングアップ−秘密の告白と心身の健康−
榎本博明・清水弘司 1992 自己開示と孤独 心理 北大路書房)
学研究,63,114-117. 横島義昭・吉田昭久・小熊均 1997 高校生の親密
船津衛・安藤清志 2002 自我・自己の社会心理学 形成に影響を及ぼす自己開示Ⅱ 茨城大学教育学
北樹出版 部紀要(教育学科) ,46,255-274.
Jourard, S. M., Lasakow, P .1958 Some factor in (200 9 年12 月13 日 受稿,20 10 年2 月1 日 受理)
26 教育カウンセリング研究−Vol. 3 No. 1 2010

Appendix 1
自己開示尺度 4件法
1. そう思う 2. どちらかといえばそう思う
3. どちらかといえば違うと思う 4. 違うと思う
質問項目

1. 私は自分の良い所をクラスの人に話すことができます。 1 2 3 4
2. 私は自分の身体の特徴をクラスの人に話すことができます。 1 2 3 4
3. 私は自分が傷ついたできごとをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
4. 私は楽しかったときの気持ちをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
5. 私は自分の嫌いな食べ物のことをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
6. 私は自分の将来の夢をクラスの人に話すことができます。 1 2 3 4
7. 私は自分の苦手な科目についてクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
8. 私は自分の考えをクラスの人に話すことができます。 1 2 3 4
9. 私は自分にとって恥ずかしかったできごとをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
10. 私は落ち込んだときの自分のつらい気持ちをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
11. 私は自分の体に関する自信のないところをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
12. 私は怒りの感情をもったとき落ち着いてクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
13. 私は自分の失敗したできごとをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
14. 私はクラスの人の体に関する話を聞くとき笑ったりしたことはありません。
1 2 3 4
15. 私は自分の好きな食べ物のことをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
16. 私は悲しい気持ちになったとき素直にクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
17. 私はあまり自信のない考えでもクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4
18. 私は自分の勉強の仕方をクラスの人に話すことができます。 1 2 3 4
19. 私は自分の嫌な所をクラスの人に話すことができます。 1 2 3 4
20. 私は自分の進路についてクラスの人に話すことができます。 1 2 3 4
21. 私は自分の生まれてから今までのことをクラスの人に話すことができます。
1 2 3 4

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