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近畿大学短大論集

第41巻 第1号(2008年12月)

p.47∼57

英語教 育 にお ける効果的な英単語記 憶方法の開発への試 み


英単語の記 憶保持 に肯定的感情 が及ぼす効果か ら

生 田 好 重

抄録

従 来 か ら英 語 教 育 に お け る問題 点 と して、 英 単 語 の 暗記 の難 しさ とそ の記 憶 保 持 が

指摘 され て い る。 そ こで本 論 文 で は、 効 果 的 で よ り発 展 的 な英 語 教 育 を行 うに あ た り

障害 とな って い る英 単 語 の記 憶 再 生 及 び保 持 に 関 して、 学 習 者 の精 神 的状 態 、 特 に肯

定 的感 情 に着 目 し、 肯 定 的感 情 が及 ぼ す英 単 語 学 習 効 果 へ の影 響 を検 討 した。

キ ー ワー ド

英 語 教 育 、 英 単 語 の記 憶 保 持 、 肯 定 的感 情 、 動 機 づ け

The Attempt to Develop the Way of Memorizing Words More Easily and Attaining
Longer Remembrance from the Point of View of English Teaching:
by the Influence of Positive Affect on Words Learning

Ikuta, Yoshie
Abstract
The difficulty of memorizing the meanings of English words and attaining
longer remembrance of them is considered one of the important issues in
English teaching. In this paper, focusing on the mental states of students, an
attempt to find an innovative way of memorizing the meanings of English
words more easily and attaining longer remembrance of them by using the
influence of positive effect on words learning.

Key Words
English language teaching, words remembrance, positive affect, motivation

目 次

1.は じめ に 3.分 析 方 法 と結 果

2.実 験 の 目 的 と方 法 3-1.単 語 の 印 象 に 関 す る結 果

2-1.目 的 3-2.単 語 の 再 生 率 に 関 す る結 果

2-2.予 備 調 査 4.考 察

2-3.予 備 調 査 の結 果 5.ま とめ

2-4.本 実 験

近畿大学短期大学部専任講 師
2008年10月14日 受理
近 畿 大 学 短 大 論 集Vol.41,No.1,2008

1.は じ め に 醒 の 快 感 情 が 生 じ る。Apterは この 仮 説 を 反 転

多 くの 英 語 学 習 者 の 中 で 、 特 に 英 語 が 苦 手 な 学 理 論(ReversalTheory)と 呼 ん で お り、 現 在 に

生 や 嫌 い な 学 生 は 、 特 に 英 語 学 習 の 礎 と な る英 単 至 るま で数 多 い追 試 が な され て い る。 反 転 理 論 に

語 の 暗 記 に 困 難 さ を 感 じ る頻 度 が 高 い と い う実 情 お け る不 安 が英 語 学 習 の 障害 に な る と考 え られ て

が あ る。 そ こ で 、 本 研 究 で は 、 記 憶 促 進 の メ カ ニ い る学 習 不 安 と完 全 に一 致 す るか ど うか の 点 に つ

ズ ム と して 、 肯 定 的 感 情 が 英 単 語 の 記 憶 に 及 ぼ す い て は、 これ か らの研 究 課題 とな る と思 われ るが、

促 進 的 影 響 に 着 目 し、 英 語 の 不 得 意 な 学 生 が 多 い い ず れ に せ よ、 日々 の会 話 や観 察 か ら編 入 試 験 を

本 短 期 大 学部 の学 生 た ちが英 語 学 習 に お い て最 も 目前 に控 え る本 短 期 大 学 生 は、 お しな べ て非 常 に

基 礎 と な る英 単 語 を 効 果 的 に 暗 記 で き 、 結 果 と し 高 不 安 で あ る こ とが見 て とれ た。 反 転 理 論 に従 え

て 英 語 力 が 向 上 す る方 法 の 開 発 を 目 指 し た 。 ば、 この よ うな 高不 安 状 態 の短 期 大 学 生 に笑 い の

Aliceら の 先 行 研 究 に お い て 、 見 慣 れ な い30語 ビデ オ を見 せ る こ とに よ って、 高覚 醒 で高 不 安 の

か ら な る ワ ー ド リス ト中 、 緩 や か な 関 連 が あ る10 状 態 は 高覚 醒 の快 状 態 に な り、 そ の た め不 安 の持

語 の 再 生 が 肯 定 的 感 情 に よ り促 進 さ れ た と い う報 つ学 習 疎 外 の影 響 が減 少 す る可 能 性 が考 え られ る。

告 が な さ れ て い る。 ま た 、 ワ ー キ ン グ メ モ リー そ こで本 研 究 で は 第1段 階 と して 「
笑 い」 に よ っ

の 構 造 化 を 促 進 し た と い う結 果 も 報 告 さ れ て い て肯 定 的感 情 が覚 醒 され、 英 単 語 の記 憶 と再 生 が

る(1)一(2)。
加 え て 、 「ユ ー モ ア 」 を 教 育 に 持 ち 込 む こ 促 進 され る とい う仮 説 を統 計 的手 法 に よ り検 証 し、

と に よ り集 中 力 が 高 ま り、 認 知 的 効 果 が 向 上 す る 英 語 の 苦手 な学 生 の た め の効 果 的 な英 単 語 暗記 方

こ と は 常 に 示 唆 さ れ て い る(3)一(5)。 法 を 開発 す る こ とを め ざす こ とを 目的 と した。

Martin(5)に よ れ ば 、Apter(1980)ら がおこ

な っ た 実 験 に お い て は 、8歳 か ら11歳 ま で の 子 供 2.実 験 の 目的 と方 法

を ラ ン ダ ム に2群 に 振 り分 け、20分 間 の 教 育 ビ デ 2-1.目 的

オ を み せ た。 ビデ オ の テ ー マ は言 語 、 科 学 、 歴 史 本 論 文 の 目的 は 「
笑 い」 に よ る肯 定 的感 情 の高

と地 理 で あ っ た が 、 ま っ た く同 じ情 報 量 で あ りな 揚 が英 単 語 の記 憶 力 とそ の再 生 率 を促 進 す る こ と

が ら、 ユ ー モ ラ ス 版 と ユ ー モ ラ ス で な い 版 が 作 ら を検 証 し、 効 果 的 な英 単 語 暗記 方 法 を提 案 し開発

れ、 そ れ ぞ れ の グル ー プに 見 せ られ た。 結 果 は、 す る こ とに あ る。

ユ ー モ ラス な ビデ オ を見 た子 供 た ち は は るか に多

くの 内 容 を 覚 え て お り、 思 い 出す こ とが で き、 2-2.予 備調査

Apterの 仮 説 を 証 明 さ れ る結 果 が 示 さ れ た(6》
。ま 「笑 い 」 に よ る 肯 定 的 感 情 と 英 単 語 の 記 憶 力 と

た 、Opplinger(6)やTeslowの 実 験(7)に よ れ ば 、 の 関 連 性 を 調 べ る 前 に 、 「笑 い 」 の 刺 激 を 選 定 す

教 師 が ユ ー モ ア な 発 言 を した だ け で も学 習 効 果 、 る 必 要 が あ る 。 そ こ で 今 回 は 、Alice(1897)や

記 憶 の保 持効 果 が あ る こ とが示 され て い るが、 授 広 崎(2008)が 肯 定 的感 情 の 喚起 の た め に、 漫才

業 の どの タ イ ミン グで使 うか に よ って、 効 果 の程 の ビ デ オ を 見 せ て い る こ と か ら、 「横 山 や す しvs

度 に は 差 が で て しま う と い う こ と で あ る。 西 川 き よ し:モ ー レツ 漫才 ワー クス」 を選 ん だ。
一・

、 古 くか ら学 習 の 阻 害 要 因 に な る こ と が 知 他 の 漫 才 ビ デ オ に しな か っ た 理 由 は 、 最 近 の 人 気

ら れ て い る感 情 状 態 の ひ と つ に 不 安 が あ る。 の あ る 漫 才 の 場 合 、 被 験 者 が 既 に 見 て い る可 能 性

Apterに よ れ ば 高 覚 醒 、 高 不 安 の状 態 は、 笑 い が あ り、 実 験 の 結 果 に 影 響 を 及 ぼ す か も し れ な い

や ユ ー モ ア に よ って 高覚 醒 で快 の状 態 に変 え る こ こ と と 長 さ の 問 題 で あ る 。Alice(2》 に お い て は 、

と が で き る。 こ の 時 点 で 高 不 安 は な くな り、 高 覚 ビ デ オ の 上 映 時 間 が5分 間 で あ っ た こ と よ り、 こ

一48一
生 田:英 語 教育 にお ける効 果 的 な英 単 語 記 憶 方 法 の 開 発 への試 み 英 単 語 の記 憶 保 持 に肯 定 的感 情 が及 ぼす 効 果 か ら

次 の ビデ オ を 見 た 第1印 象 を正 直 に答 え て くだ さ い。
な お 、 こ の評 定 は 成 績 評 価 な ど に一 切 関 係 い た しま せ ん 。

〈今 見 た ビ デ オ は 〉
とて も面 白い かな り面 白い 普通 あ ま り お も し ろ くな い 全 然 面 白 くな い

図1 質問紙例

の5分 に最 も近 い8分 間 の長 さに編 集 した もの を コ ン ト ロ ー ル 群:グ ル ー プBに は 、Alice(数

1本 選 定 した。 学 の ビデ オ)(1)、広 崎(古 城 ビ デ オ)(8>の 先 行 研 究

予 備 実 験 の 目的 は、 「笑 い の刺 激 」 と して 「
横 に な ら い、 環 境 問 題 の ビデ オ 「不 都 合 な 真 実 」

山 や す しvs西 川 き よ し」 の漫 才 が 適 切 か ど うか、 (lnconvenienttruth)の 冒頭 を 見 せ た 。 ビデ オ

つ ま り、 現 代 の大 学 生 に と って本 当 に この ビデ オ を 見 る 時 間 は 、 グ ル ー プAと 同 じ く8分 に した 。

で 「
笑 い」 が 引 き起 こせ るか ど うか を確 認 す る こ この グル ー プ に お い て、 広 崎 の使 用 した古 城 ビデ

とで あ った。 オ の よ う な 、 美 し い 映 像 を 使 用 せ ず 「不 都 合 な 真

予備 実 験 の被 験 者 は、 本 短 期 大 学 生 以 外 の近 畿 実 」 を 選 定 した 理 由 は 以 下 の4つ で あ る。 第1に

大 学 経 営 学部3回 生10名 に ボ ラ ンテ ィア で協 力 を 古 城 ビ デ オ の よ う な 美 しい 映 像 は 、 特 定 の 被 験 者

お願 い した。 結 果 は、 次 表 に示 す集 計 用 紙 に面 白 に は リ ラ ッ ク ス 効 果 と な り、 肯 定 的 感 情 と の 差 異

さ5段 階 で評 価 して も ら った。 が 不 明 瞭 に な る可 能 性 が あ る と考 え ら れ る こ と。

第2に 授 業 を 受 け た 緊 張 や ス トレ ス 状 態 を 解 除 し

2-3.予 備 調 査 の結 果 な い よ うな、 よ りネ ガ テ ィブ な 内容 の もの で あ る

被 験 者 全員 が評 定5の 「とて も面 白 い」 と評 価 必 要 が あ る こ と。 第3に 本 研 究 で は、 英 語 の授 業

し、 ビデ オ鑑 賞 中 も全 員 の学 生 が声 を始 終 あ げ て 運 営 に お け る英 単 語 の 効 果 的 な 学 習 法 と そ の 記 憶

笑 って い た。 筆 者 に よ って観 察 され た鑑 賞 中 の学 に 及 ぼ す 影 響 を 調 べ る こ と を 目 的 と して い る の で 、

生 の 態度 と被 験 者 の ビデ オ の面 白 さに対 す る評 価 通 常 の 授 業 運 営 環 境 の 中 で お こ な う必 要 が あ っ た

は一 致 した。 た め 、 何 が しか の 形 で 英 語 そ の も の や 欧 米 文 化 に

関 連 す る種 類 の ビ デ オ を 用 い な くて は な ら な か っ

2-4.本 実験 た こ と。 第4に 「笑 い 」 以 外 の 要 素 か ら の 影 響 を

実 験 条 件 と手 順 避 け る た め 被 験 者 に 対 し実 験 目 的 を 告 知 し な い た

被 験 者 で あ る短 大 生20名 を 、 ラ ン ダ ム に 肯 定 的 め に も、 英 語 関 連 の ビ デ オ で な くて は な ら な か っ

感 情 の 喚 起 群10名 と コ ン トロ ー ル 群10名 の2群 に た こ と。

分 け た 。 男 女 比 は5人 ず つ の1対1と し、 グ ル ー 実 験 で 使 用 す る た め30語 か ら な る英 単 語 リス ト

プ 間 で 条 件 が そ ろ う よ う に した 。 を 作 成 した 。 英 単 語 の 選 定 基 準 は 、 編 入 試 験 に 役

肯 定 的 感 情 の 喚 起 群:グ ル ー プAに は、 笑 い の 立 つ 頻 出 語 句 で あ る こ と、 そ れ に も か か わ らず 被

ビ デ オ と し て 「横 山 や す しvs西 川 き よ し」 の 漫 験 者 と な る短 期 大 学 生 の 多 くが 未 修 で あ る と予 測

才 を 見 せ 、 肯 定 的 感 情 の 喚 起 を 起 こ す よ う に した 。 さ れ る こ と 、 さ ら にAliceの 実 験(1)に な ら っ て
近 畿 大 学 短 大 論 集Vol.41,No.1,2008

「緩 や か な 意 味 上 の 関 連 が あ る語 句 グ ル ー プ 」 を 単 語 リス トに は、 社 会 、 文 化 論 で 頻 出 の 単 語 グ ル ー

2つ 用 意 す る こ と の3点 と した 。 プ と環 境 問 題 で 頻 出 の 単 語 グ ル ー プ の2グ ループ

実 験 は以 下 の よ うな手 順 で お こな った。 ま ず、 選 ん だ 。 単 語 の 好 ま し さ(印 象 度)を 測 定 した の

普 段 と 同 様 な 英 文 を 読 む 授 業 を90分 行 っ た 後 、 肯 はAliceの 実 験 に お い て 、 「笑 い 」 に よ っ て 肯 定

定 的 感 情 の 喚 起 群 で あ る グ ル ー プAに 「横 山 や す 的 な感 情 が 覚醒 され た群 の ほ うが、 そ うで な い群

しvs西 川 き よ し」 の 漫 才 の ビ デ オ を 「笑 い の 刺 よ り、 あ ま り よ く知 ら な い 単 語 の 好 ま し さ に 高 得

激 」 と して8分 間見 て も ら った。 一 方 、 同 時 に コ 点 を つ け る 傾 向 が 見 ら れ た か らで あ る(1)。こ れ は

ン トロ ー ル 群 で あ る グ ル ー プBに は 「不 都 合 な 真 今 ま で の 先 行 研 究 の 結 果 と一 致 し た た め 、Alice

実 」 の 冒 頭8分 を見 て も ら った。 どち らの グル ー は 次 の 実 験(1987)で 「あ ま り よ く知 ら な い 単 語

プ に も上 映 後2分 間 の トイ レ休 憩 を 告 知 した 。 そ を よ り好 意 的 に 評 価 す る」 こ と を 「覚 醒 し て い る」

の 後 、30語 か ら な る単 語 リス トを 渡 し、 意 味 が 解 こ との裏 づ け と して用 い、 感 情 の操 作 が成 功 した

ら な い 単 語(以 後 、 未 知 単 語 と す る)を チ ェ ック か 否 か の 確 認 的 指 標 と し て 採 用 した 。 本 実 験 に お

して も ら い 、 こ れ ら の 単 語 の 好 ま し さ を 評 定 して い て は 使 用 す る未 知 単 語 が 母 国 語 で は な く外 国 語

も ら っ た(使 用 プ リ ン ト例1)。 単 語 リ ス トに 上 で あ る英 語 で あ る た め 「あ ま り よ く知 ら な い 単 語

げ た単 語 の選 定 基 準 は、 編 入 試 験 に役 立 つ頻 出語 を よ り好 意 的 に 評 価 す る」 状 態 が 生 じ る か ど う か

旬 で は あ る こ と、 そ れ に も か か わ ら ず 被 験 者 と な の み に 注 目 し、 「感 情 の 覚 醒 」 の 指 標 と して は 特

る短 期 大 学 生 の 多 くが 未 修 で あ る と 予 測 さ れ る こ に 用 い な か っ た 。 続 い て 、30分 か け て 各 グル ー

と、Aliceの 実 験 に な ら って 、 緩 や か な意 味 上 の プ 毎 に 単 語 の 背 景 知 識 を 解 説 した。 解 説 時 間 は

関 連 が あ る語 句 グ ル ー プ で あ る こ との3つ で あ る。 Apterら の 実 験 を 参 考 に して 決 め た が 、 彼 らの

実 験 の手 順

1.長 文 問題 を30分 で解 答 。 長 文 問題 は編 入 試 験 に 関係 す る経 済 の 内容 の英 文 。

難 易度 は普 通 。 語 数 は約700語 程 度 。 設 問数 は8題 。

2.解 説60分 。

3.休 憩10分 ビデ オ時 間8分 、 トイ レ休 憩 は2分

グ ル ー プA笑 い の ビデ オ:や す し、 き よ し 約8分

グ ル ー プB不 安 を あ お る もの:ゴ ア のInconvenienttruth抜 粋部分 約8分

4.未 知 単 語(被 験 者 が知 らな い単 語)を とそ の 印象 度 を チ ェ ック させ る。

5.全 単 語 の 意 味 と背 景 知 識 を 授 業 で30分 か け て解 説 、 説 明 す る。 テ ス トす る こ と は

こ の 時点 で は話 して い な い。

6.未 知 単 語(被 験 者 が知 らな い単 語 の 暗記)15分

7.単 語 の再 生 テ ス ト17番 ま で10分

図2実 験 の手 順 フ ロー チ ャー ト
生田 英 語 教育 にお ける効 果 的 な英 単 語 記 憶 方 法 の 開 発 への試 み 英 単 語 の記 憶 保 持 に肯 定 的感 情 が及 ぼす 効 果 か ら

名前

意 味 が 解 ら な い 単 語 に 口 の な か に チ ェ ッ ク を 入 れ て 、 好 ま し さ を5段 階 で 評 定 し て くだ さ い 。

5非 常 に 好 ま し い 一4か な り好 ま し い 一3普 通 一2あ ま り好 ま し くな い 一1好 ま し くな い

values

society

religion

civilization

generation

diplomacy

privilege

inhabitant

scapegoat

statistics

exclusive

insularity

uniformity

starvation

juvenile delinquency

prejudice

discrimination

underdeveloped

exploit

resources

extinguish

nourish

refuse A

alternative

acid rain

carbon dioxide

radioactive contamination

deforestation

annihilation

chaos

図3未 知 単 語 の 印象 度 チ ェ ック テ ス ト
近 畿 大 学 短 大 論 集Vol.41,No.1,2008

※ 時 間 の 都 合 で テ ス トで17番 ま で 解 答 を 書 くよ う に 指 示 。

次 の英 単 語 の意 味 を思 い 出 して書 い て み ま しょ う。

名前

values

society

religion

civilization

generation

diplomacy

privilege

inhabitant

scapegoat

statistics

exclusive

insularity

uniformity

starvation

juvenile delinquency

prejudice

discrimination

underdeveloped

exploit

resources

extinguish

nourish

refuse A

alternative

acid rain

carbon dioxide

radioactive contamination

deforestation

annihilation

chaos

図4未 知 単 語 の意 味 の再 生 テ ス ト
生 田:英 語 教育 にお ける効 果 的 な英 単 語 記 憶 方 法 の 開 発 への試 み:英 単 語 の記 憶 保 持 に肯 定 的感 情 が及 ぼす 効 果 か ら

実 験 に お け る被 験 者 が8歳 か ら11歳 で あ っ た の に の 未 知 単 語 数 を η、とす る と、 個 人 ゼが 未 知 単 語

対 し、 短 期 大 学 部 の 学 生 は18歳 か ら20歳 が 中 心 と 個 々 に対 して独 立 に η,回好 ま しさの評 定 を行 な っ

な っ て い た た め 、 や や 長 い 目 の 設 定 と し30分 と し た とみ な す こ とが で き る。 これ は、 評 価 の対 象 が

た 。 テ ス ト不 安 が 働 い て 英 単 語 の 記 憶 を 阻 害 す る 未 知 単 語 で あ る こ とか ら、 個 々 の未 知 単 語 に対 す

可 能 性 を 排 除 す る た め 、 こ の 時 点 で は 「後 に テ ス る印象 度 の判 断 が他 の未 知 単 語 に対 す る印 象度 の

トを す る」 と い う告 知 は しな か っ た 。 そ れ は 、 テ 判 断 の影 響 を受 け に くい と考 え られ るた め で あ る。

ス ト不 安 が 働 い て 英 単 語 の 記 憶 を 阻 害 す る可 能 性 従 っ て 印 象 度 の 判 断 は の べ 、T一 Σ 距1η 、回 行 わ

を 排 除 す る た め で あ る。 単 語 の 解 説 後 「テ ス トを れ た と み な す こ と が で き る。 印 象 度 の 両 グ ル ー プ

す る」 こ と を 告 げ て 、 学 生 に1グ ル ー プ(1か ら の 平 均 値 と標 準 偏 差 は 表1の 通 りで あ る。

17ま で)の 単 語 を15分 で 暗 記 す る よ う に指 示 した 。 印 象 度 の 両 グ ル ー プ の平 均 値 の 差 の 検 定 を 行 な っ

2グ ル ー プ の 提 示 に も か か わ ら ず 、1グ ループだ た と こ ろ 、'=2.372p=0.018≦0.05で あ った た

け の 暗 記 を 指 示 した 理 由 は 、 単 語 リス トを 与 え ら め 、 有 意 水 準5%で 両 グ ル ー プ の 間 の平 均 値 に有

れ た 時 に あ ま り に 単 語 リス トが 短 い こ と に よ る課 意 差 が 認 め ら れ た 。 す な わ ち 、 グ ル ー プAの 方が

題 の 見 か け の 容 易 さ か ら肯 定 的 感 情 が 作 用 す る の 未 知 単 語 に 対 し て グ ル ー プBよ り好 ま し い 印 象 を

を 防 ぐた め 、 加 え て15分 で2グ ル ー プ の 暗記 は 困 持 つ こ と が 示 さ れ 、Aliceの 実 験 結 果 と一 致 し た 。

難 で あ る た め の2つ か ら で あ る。 引 き 続 き 単 語 テ

ス トを15分 で 施 行 し、 結 果 を 回 収 し た 。 以 上 の 実 3-2.単 語 の再 生 率 に 関 す る結 果

験 の 手 続 き の 流 れ を 示 す と 図2の 通 り と な る。 先 述 の よ うに個 人 に よ って未 知 単 語 と未 知 単 語

数 が異 な るた め、 個 人 ご とに未 知 単 語 の再 生 率 を

3.分 析 方 法 と結 果 出 し、 この個 人 の再 生 率 を変 数 と して両 グル ー プ

3-1.単 語 の 印象 に 関 す る結 果 の再 成 立 の平 均 値 を求 め差 の検 定 を行 な った。

分 析 に はSPSS16.OforWindowsを 使 用 した 。 な お、 グル ー プA(笑 いの ビデオ 群)に お いて、

両 グ ル ー プ の 被 験 者 に 未 知 単 語 の 印 象 度(好 まし 被 験 者1名 の成 績 が極 端 に悪 く、 日常 の授 業 に お

さ)を5段 階 で評 価 す るよ うに求 め て い るた め、 い て もか け離 れ て学 力 が低 い こ とが確 認 され て い

被 験 者 に よ っ て ① 未 知 単 語 が 異 な る こ と、 ま た ② た た め、 デ ー タ ー数 が少 な い本 研 究 に お い て は影

未 知 単 語 数 が こ と な る こ と か ら、 各 グ ル ー プ全 体 響 が 出 や す い と考 え て はず し、 合 計9人 の被 験 者
の 印 象 殿 平 均 値 の 比 較 を お こ な った。 い ま個 人 ゼ の デ ー タ で統 計 処 理 を お こな った。

グル ー プ 平均値 標準偏差
A 3.00 1。106

B 2.77 0.826

表1未 知 単 語 の好 ま しさ平 均 値

等分散性 のたあの
2つ の母 平 均 の差 の検 定
Leveneの 検定

F値 確率 '値 自 由度 確率

等分散 を仮定す る 4.266 0.040 2。394 415 0.017

等 分 散 を仮 定 しな い 2.372 370.956 0.018

表2未 知 単 語 の好 ま しさ の グ ル ー プ 間 の検 定 表
近 畿 大 学 短 大 論 集Vol.41,No.1,2008

未 知 単 語 数 の 平 均 は 、 グ ル ー プAで11.78語 で み な ら ず 学 習 対 象 で あ る英 語 で あ っ て も覚 醒 の 確

約12語 、 グ ル ー プBに お い て も11.80語 で 同 じ く 認 指 標 と し て 使 用 で き る可 能 性 が 示 さ れ た 。 今 回

約12語 と な っ た 。 再 生 率 の 平 均 値 は グ ル ー プAで の実 験 に お い て被 験 者 が覚 醒 して い た か ど うか は

は0.935、 グ ル ー プBで は0.782と な り、0.203の 差 観 察 に よ り確 認 さ れ て い た 。 と い う の も、 予 備 調

が 生 じた 。 両 グ ル ー プ の 未 知 単 語 再 生 率 の 平 均 値 査 に お い て 全 員 一 致 で 「ビ デ オ は と て も面 白 い 」

の 差 の 検 定 を 行 な っ た と こ ろ 、'=2.055(ρ= と い う評 定 を し た 学 生 同 様 に 、 グ ル ー プAの 学生

0.059>0.05)で あ っ た(表4)。 有 意 水 準5%で 全 員 も ビ デ オ を 見 て い る 間 中 「複 数 回 声 を 上 げ て

は 両 グル ー プ 間 に有 意 差 が あ る とは い え な い もの 笑 っ て 」 お り、 「笑 い 」 に よ っ て 十 分 に 覚 醒 し て

の 、 グ ル ー プAの 再 成 立 が グ ル ー プBの 再成立 よ い る様 子 が 確 認 で き て い た か ら で あ る。 一 方 、 グ

り有 位 に 高 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 ル ー プBに お い て 笑 っ て い る被 験 者 は 一 人 も い な

標 準 偏 差 は、 未 知 単 語 数 の標 準 偏 差 は グル ー プ か っ た 。 な お 、 今 回 は 被 験 者 の 顔 と名 前 が 一 致 し

A3.562、 グ ル ー プB3.675で ほ ぼ 差 が な く、 ま た 、 て お り容 易 に 記 録 が 残 せ た た め 特 に ビ デ オ を 使 っ

再 生 語 数 の 標 準 偏 差 に お い て も そ れ ぞ れ3.708と て の記 録 は お こな わ な か った。

2.923で ほ ぼ 差 が な か っ た が 、 再 生 率 の 標 準 偏 差 グ ル ー プAの 「好 ま し さ」 の 評 定 の平 均 は グ ル ー

は 、 グ ル ー プAで は0.111な の に 対 して 、 一 方 グ プBよ り有 意 に 高 か っ た 。 しか し、 質 問 紙 上 で は

ル ー プBで は0.201と 約2倍 近 い 値 を 示 した 。 評 定 値3の 「普 通 」 を 示 し、 評 定 値4や5の 「か

な り好 ま し い 」 「非 常 に 好 ま し い 」 と い う 判 断 を

4.考 察 した わ け で は な か った。 この点 に 関 して は以 下 の

「笑 い 」 の ビ デ オ を 見 た グ ル ー プAに お い て、 3つ の 理 由 が 考 え ら れ る。 ま ず 、 被 験 者 人 数 が 少

未 知 単 語 の 好 ま し さ に 関 す る評 価 の 平 均 値 が 有 意 な す ぎ た こ と で あ る。 次 に 「好 ま し さ の 評 定 」 に

に 高 か っ た こ と よ り、 「笑 い 」 が 認 知 過 程 に 何 ら 笑 い の ビ デ オ に よ る感 情 的 「覚 醒 」 の 影 響 よ り、

か の 影 響 を 及 ぼ し、 評 価 の 平 均 値 を 上 げ た と考 え 中 心 化 傾 向 の ほ う が 強 く出 た の で は な い か と い う

ら れ る 。Alice(1985)は 刺 激 と して 母 国 語 を 使 っ こ と で あ る。 中 心 化 傾 向 が 前 面 に 出 て し ま っ た 理

た 実 験 に お い て 、 『笑 い に よ っ て 覚 醒 度 が 高 め ら 由 は 、 日本 人 に と っ て 英 語 は 母 語 で は な く、 外 国

れ た 群 で は そ う で な い 群 よ り単 語 の 「好 ま し さ」 語 な の で、 意 味 の わ か らな い外 国語 は言 葉 と して

を 高 く評 定 す る』 と い う事 実 を 覚 醒 の 確 認 指 標 と の 認 知 よ り何 か 記 号 の よ うな 存 在 に な っ て し ま い 、

して 使 用 し た が 、 今 回 の 実 験 結 果 か ら、 母 国 語 の 先 行 実 験 で 刺 激 と し て 使 わ れ た 「意 味 の よ く知 ら

グル ー プ N 平均値 標準偏差
A 9 0.935 0.110

B 10 0.782 0.207

夷2来 知 蛍 言喜の 颪 壮=痙 の ゲ ル_7。 男ll=巨


」白値 キボ
亜i隻福 善

等分散性 のたあの
2つ の母 平 均 の差 の検 定
Leveneの 検定

F値 確率 '値 自 由度 確率

等分散 を仮定す る 7.576 0.014 1。992 17 0.063

等 分 散 を仮 定 しな い 2.055 13.964 0.059

表4再 生 率 の差 の検 定
生 田:英 語 教育 にお ける効 果 的 な英 単 語 記 憶 方 法 の 開 発 への試 み:英 単 語 の記 憶 保 持 に肯 定 的感 情 が及 ぼす 効 果 か ら

な い 母 国 語 に 対 す る評 定 」 と の 間 に 差 が 出 た の で 上 昇 す る と い う傾 向(p=0.083)」 に お い て は母

は な か ろ う か 。3つ 目 は 不 安 に よ る抑 制 作 用 で あ 語 で あ る 日本 語 が刺 激 と して用 い られ た。 日本 語

る。 英 語 の 語 源 は 日本 語 と比 較 した 場 合 比 較 に な の再 生 率 を測 定 した広 崎 の結 果 よ り も、 英 語 を用

ら な い 程 多 岐 に 渡 る。 例 え ば 一 例 を 挙 げ て も サ ン い た本 研 究 に よ って 「
肯 定 的感 情 が単 語 再 生 を促

ス ク リ ッ ト、 ラ テ ン語 か ら始 ま り ギ リ シ ア 語 、 ゲ 進 す る影 響 」 が よ り強 く確 認 で き た こ とに よ り、

ル マ ン語 、 ゴ ー ト語 、 ア ン グ ロ ノ ル マ ン語 、 中 央 英 単 語 の効 果 的学 習 に肯 定 的感 情 が介 入 し う る可

フ ラ ン ス 語 、 デ ン マ ー ク語 、 オ ラ ン ダ 語 、 ス ウ ェー 能 性 が 強 力 に示 唆 され た と言 え るで あ ろ う。 ただ、

デ ン語 、 ドイ ツ語 と枚 挙 に い と ま が な い ほ ど 沢 山 「笑 い」 に よ る肯 定 的 感 情 の 覚 醒 が英 単 語 の学 習

の 外 国 語 の 影 響 が み ら れ る言 語 で あ る。 そ の た め に効 果 的 に作 用 した要 因 の一 つ に、 お そ ら く、 今

「母 国 語 で 意 味 を よ く知 ら な い 単 語 」 は 意 外 と多 回 の被 験 者 が高 い学 習 不 安 を抱 え る編 入 を控 え た

く、 そ れ ゆ え に 「意 味 を よ く知 ら な い 単 語 」 に 対 学 生 で あ った こ とが含 ま れ る と思 わ れ る。 つ ま り

す る感 情 的 負 荷 は 生 じな い 可 能 性 が あ る。 一 方 、 彼 らの抱 え る高 い不 安 が、 笑 い に よ って 引 き起 こ

今 回 の 実 験 で 使 用 し た 「編 入 試 験 に 必 要 で 頻 出 英 され た 「
肯 定 的感 情 」 に よ って低 減 した た め に英

単 語 」 にお い て は、 これ らの単 語 を知 らな い こ と 単 語 の記 憶 、 再 生 が よ り効 果 的 に な され る とい う

は 編 入 試 験 に 失 敗 す る可 能 性 に 直 結 して しま う。 傾 向 が示 され た可 能 性 が あ る。 今 後 は 「
学習不安

「重 要 頻 出 英 単 語 の 意 味 を 知 ら な い 」 と い う認 知 が な くて も肯 定 的感 情 は英 単 語 記 憶 と再 生 を促 進

そ の も の が ネ ガ テ ィ ブ な 心 理 的 影 響 で あ る不 安 を しえ るの か ど うか」 とい う点 に 関 して、 不 安 の程

ひ き お こ し、 覚 醒 の 影 響 を ダ イ レ ク トに 抑 制 して 度 を測 定 項 目に加 え た上 で パ ラ メ トリッ ク検 定 に

意 味 の 好 ま し さ の 判 定 が 「好 意 的 」 な 評 定 に 向 か よ り地 道 に検 討 して ゆ き た い と思 う。

い き れ ず に 、 中 心 に お さ ま っ て しま っ た 可 能 性 が 標 準 偏 差 に 関 して は グル ー プAの0.111は 、再

考 え ら れ る。 つ ま り 「頻 出 英 単 語 の 意 味 を 知 ら な 生 率 の平 均 値 が0.953で あ る こ と か ら被 験 者 全 員

い こ と」 が 不 安 を 生 み 出 し、 阻 害 要 因 と して 作 用 が 「ほ ぼ全 単 語 正 解 」 に 向 か った結 果 で あ る と思

した の で は な い だ ろ う か 。 今 後 は 覚 醒 度 の 指 標 と わ れ る。 つ ま り、 「
笑 い」 とい う肯 定 的感 情 に よ っ

して 母 国 語 で あ る 日本 語 を そ の ま ま 使 う こ と も検 て認 知 過 程 が何 らか の影 響 を受 け、 英 単 語 の記 憶

討 し て ゆ き た い と思 う。 こ の 点 に 関 して は 、2∼ が苦 手 な学 生 の記 憶 率 を上 げ た可 能 性 が示 唆 され

3の 予 備 実 験 を 経 て 最 も信 頼 性 、 妥 当 性 が 高 い 覚 た 。 一 方 、 グル ー プBの0.201は 再 生率 の平均値

醒 度 の 指 標 を 見 つ け て ゆ く必 要 が あ る と思 わ れ る。 が0.78で か る こ とか ら、 暗記 が 不 得 意 な人 は不 得

再 生 率 の 平 均 の 差 の 検 定 結 果 で は5%水 準 での 意 な ま ま にな った可能 性 が 示 唆 され る。 これ よ り、

有 意 差 は確 認 で き な か った もの の、 再 生 率 の平 均 英 語 に と って基 本 た る英 単 語 の学 習 に 「
笑 い」 と

値 に 関 して は グ ル ー プAで は93%、 グ ル ー プBで い う肯 定 的感 情 を用 い た学 習 方 法 の効 果 が証 明 さ

は78%と な り、 グ ル ー プAが15%も グ ル ー プBの れ た可 能 性 が高 い とい え よ う。 た だ こ こで も、 不

再 生 率 の 平 均 値 を 上 回 っ て い た 。'検 定 で は ρ= 安 の介 入 度 が未 知 な た め、 更 な る実 験 が必 要 と考

0.059よ り、 『「笑 い 」 が 単 語 再 生 に 肯 定 的 影 響 を え られ る。

与 え る 』 と い う仮 説 に 沿 っ た 傾 向 が 見 ら れ 、 「笑 「笑 い」 が 単 語 再 生 に肯 定 的 影 響 を与 え る メ カ

い 」 を 経 験 した グ ル ー プAの 再 生 率 の平 均 は笑 い ニ ズ ム は ま だ、 解 明 され て い な い が、 英 語 学 習 の

を 経 験 し な い グ ル ー プBの 再 生 率 の平 均 よ り高 い 阻害 要 因 と長 ら く考 え られ て い た 「
不 安 」 が学 習

と い え る傾 向 が 示 さ れ た 。 広 崎 の 実 験 「漫 才 の 視 者 の 間 に存 在 す る場 合 に は、Apterの リバ ー サ

聴 で は 古 城 に 比 べ て 再 生 テ ス トの 正 答 率 が5.2% ル セ オ リー に よ って説 明可 能 とな る。

一55一
近 畿 大 学 短 大 論 集Vol.41,No.1,2008

リバ ー サ ル セ オ リー は 動 機 づ け の 状 態 を ダ イ ナ ド)か らParatelic(楽 しみ 優 先 の モ ー ド)に リ

ミ ッ ク な 心 理 的 過 程 の 変 化 の う ち に 捉 え 、4つ 対 バ ー ス し、 学 習 効 果 が 上 が る可 能 性 が 生 じ る は ず

比 す る 動 機 づ け ス タ イ ル を 軸 に考 え て い くの だ が 、 で あ る。

そ の う ち の 学 習 に 関 し て 重 要 と な る の は 、Telic 今 回 の 実 験 で は 「簡 単 だ 」 と告 知 し て お い た 英

(目 的 追 求 の 真 面 目 一 モ ー ド)とParatelic(楽 語 の 長 文 問 題 の 正 答 率 が 予 想 よ り お しな べ て 低 く、

しみ 優 先 の モ ー ド)で あ る 。 「不 安 」 と い う感 情 誰 一 人 と し て60%以 上 正 解 で き な か った。 この た

が 認 知 さ れ る の は 、Telic(目 的 追 求 の 真 面 目一 め 、 問 題 採 点 終 了 時 点 で 、 学 生 か ら編 入 試 験 の 合

モ ー ド)状 態 で 、 な お か つ 覚 醒 状 態 が 高 い 場 合 で 否 を 心 配 す る会 話 が あ ふ れ た ば か り に 聞 こ え て き

あ る。 な お 、 こ こ で の 不 安 は 特 性 不 安 で は な く、 た こ と か ら も、 彼 ら は 高 覚 醒 状 態 で 高 不 安 で あ っ

む し ろ 生 理 的 な 症 状 を 伴 う あ る種 の 状 態 不 安 で あ た と思 わ れ る。

る と言 え よ う。 リバ ー サ ル セ オ リー が 他 の 理 論 と 今 回 の 実 験 に お い て は 不 安 の 状 態 やTelic、

決 定 的 に 異 な る 点 は 、 「同 一 の 人 物 に お い て 必 ず Paratelicの 測 定 が で き て い なか った が 、 次 の実

不 安 を 呼 び起 こす よ うな状 態 」 を想 定 せ ず、 メ タ 験 で は 、 さ ら に 測 定 項 目 を 増 や し、 被 験 者 も増 や

認 知 の 変 化 に よ っ て 不 安 の 感 じ方 さ え 変 わ る と考 し た 上 で 編 入 試 験 を 目前 に し た 短 大 生 と ま だ 少 し

え 、 そ の メ カ ニ ズ ム を 説 明 し よ う と した 点 で あ る。 の ん き な4年 生 大 学 の2回 生 の 両方 に 関 して、 未

例 え ば 、 い つ も は 運 転 に 慎 重 な 者 で も、 カ ー レ ー 知 単 語 の好 ま し さの評 定 、 単 語 の再 生 率 、 不 安 と

ス を 見 た 帰 りに は 突 然 「事 故 の 不 安 を 感 じず に 」 Telic-Paratelicstatesの デ ー タ ー を採 取 す る 予

最 高 時 速 で 家 に 帰 っ て し ま う、 と い う よ う な 状 況 定 で あ る。

で あ る。 リバ ー サ ル セ オ リー で は こ の よ う な 状 況 本 研 究 の 結 果 か ら 「笑 い に よ っ て 単 語 の 記 憶 保

を 説 明 す る の に 、 リバ ー サ ル(反 転)と い う概 持 と再 生 率 が 上 が る傾 向」 は ほ ぼ確 認 で き た 。

念 を 用 い る 。 つ ま り、 カ ー レ ー ス が き っ か け と 「笑 い 」 を 用 い て 肯 定 的 感 情 を 覚 醒 さ せ る よ う な

な っ て 、 生 真 面 目 なTelic(目 的 達 成 状 態)か ら 授 業 運 営 を と る こ とが、 効 果 的 な英 単 語 の記 憶 方

Paratelic(楽 し み 優 先 の 状 態)に メ タ認 知 が リ 法 と し て 提 案 可 能 に な っ た と思 わ れ る。

バ ー ス し た た めTelic(目 的 達 成 状 態)で は本 来

不 安 を ひ き お こ す は ず の 、 「ハ イ ス ピ ー ド走 行 」 5.ま と め

が 快 に 感 じ ら れ た と い う わ け で あ る 。Paratelic 本 研 究 で は、 効 果 的 で よ り発 展 的 な英 語 教 育 を

(楽 し み 優 先 の モ ー ド)で は、 高 覚 醒 状 態 は不 安 行 うに あ た り障害 とな って い る英 単 語 の記 憶 再 生

で は な く、 快 感 情 を 引 き 起 こ す の で あ る。 つ ま り、 及 び保 持 に 関 して、 学 習 者 の精 神 的状 態 、 特 に肯

リバ ー サ ル セ オ リー に よ れ ば 学 習 の 阻 害 要 因 と な 定 的感 情 に着 目 し、 肯 定 的感 情 が及 ぼ す英 単 語 学

りえ る状 態 不 安 が 生 起 し て い る状 態 さ え も、 固 定 習 効 果 へ の影 響 を検 討 した。 未 知 単 語 の好 ま し さ

的状 態 と して扱 わ ず、 動 的 な変 化 の過 程 の 中 の一 の検 定 か らは、 未 知 単 語 が外 国語 で あ って も 「

状 態 と み な せ る と い う こ と だ 。 こ の 観 点 か ら考 え い の ビデ オ」 に よ って被 験 者 の感 情 が有 意 に覚 醒

て み る と、 編 入 試 験 を 控 え た 本 短 期 大 学 部 の 学 生 して い る可 能 性 が 指摘 され た。 再 生 率 の平 均 値 の

や 就 職 試 験 を 控 え た4年 制 大 学 の 学 生 、 も し くは 検 定 で は5%の 有 意 水 準 で の有 意 差 こそ み られ な

昇 進 試 験 を控 え た会 社 員 の よ うな不 安 が潜 在 的 に か っ た もの の 、 「笑 い」 が認 知 過 程 に 何 らか の影

存 在 す る で あ ろ う者 が 英 語 を 学 習 す る 際 に 高 覚 醒 響 を及 ぼ して英 単 語 の記 憶 とそ の再 生 率 を高 め る

状 態 で 不 安 を 感 じ て い る な ら ば 、 「笑 い 」 に よ っ 傾 向 が確 認 され た。 これ に よ って、 ま た、 肯 定 的

て メ タ認 知 状 態 はTelic(目 的 追 求 の 真 面 目一 モ ー 感 情 が英 単 語 の 暗記 を促 進 す る可 能 性 が強 く示 唆

一56一
生田 英 語 教育 にお ける効 果 的 な英 単 語 記 憶 方 法 の 開 発 への試 み 英 単 語 の記 憶 保 持 に肯 定 的感 情 が及 ぼす 効 果 か ら

さ れ た と い え る で あ ろ う。 参 考文 献
(1) Alice M. Isen. The Influence of Positive Affect
今 後 は 、 ま ず 、 被 験 者 の 数 を 増 や し、 ビ デ オ を
on the Unusualness of Word Associations.
見 せ な い群 を加 え、 肯 定 的感 情 の覚 醒 が英 単 語 暗 Journal of Personality and Social Psychology, Vol 48,
記 を 促 進 す る傾 向 を 明 確 に 検 証 し、 ま た 同 時 に 不 No 6, 1413-1426. 1985
(2) Alice M. Isen. Positive Affect Facilitates Creative
安 の 強 度 とTelic-Paratelicstateの 測定 を お こ
Problem Solving. 1987
な い 、 そ の メ カ ニ ズ ム を 解 明 す る予 定 で あ る。 次 (3) Apter, M. J. Reversal Theory. The Dynamics of

に 、Aliceが お こ な っ た 実 験1)の 追 試 と し て 、 肯 Motivation, Emotion and Personality. London:


Routledge. 1989, 2007,
定 的 感 情 の 喚 起 に 「笑 い 」 と 同 じ効 果 が あ っ た と
(4) Apter, M. J. Personlity Dynamics: Key Concepts
さ れ る キ ャ ン デ ィ の よ う な ち ょ っ と した 贈 り も の in Reversal Theory. Apter International Ltd.

が英 単 語 暗記 を促 進 させ う る こ とが で き るか ど う 2005 p. 5—p. 26
(5) Martin, Rod A. The Psychology of Humor
か の 追 試 を 行 い 、 「笑 い 」 以 外 に 、 英 単 語 暗 記 法
ACADEMIC PRESS. 2007 p. 355
に 応 用 で き る刺 激 を 見 つ け る こ と に よ っ て 、 効 果 (6) Opplinger, P. A.. Humor and learning. In J
Bryant, D. Roskos-Ewoldsen & J. R. Canter
的 な 英 単 語 暗 記 法 の 条 件 を 明 確 に し た い と考 え て
(Eds.), Communication and Emotion: Essays in
い る。
honor of Dolf Zillmann (255-273). Mahwah, NJ:
これ らの手 順 に よ って、 英 単 語 の 暗記 に効 果 的 Lawrence Erlbaum Associates. 1995
(7) Teslow, J. L. Humor me: A call for research. Ed-
な 授 業 の 条 件 の 一 部 は 明 白 に な る で あ ろ う。 本 実
ucational Technology Research & Development, 43(3),
験 の 結 果 か ら は 、1.肯 定 的 感 情 を 覚 醒 させ る よ 6-28. 1995
うな 「笑 い 」 を 授 業 に 持 ち 込 み 、2.不 安をかき (8)広 崎 真 弓.笑 い が 認 知 機 能 に 及 ぼ す 短 期 的 効 果,笑
い の 科 学,vol.1,2008,54-57
た て る よ う な 要 素 を な る べ く排 除 す る こ と が 、 英

単 語 の 暗記 に効 果 的 な学 習 環 境 に と って重 要 で あ

る こ と が 示 唆 で き た と思 わ れ る。

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