Professional Documents
Culture Documents
・1950~1960 年代に一般的であった、外的な刺激とそれに対する反
応との関係によって「習慣」が形成され、それによって第2言語が習
得されるという考え方
1.学習者が周囲から刺激を ・“Give me a pencil”
与えられる
という正しい文を聞く
2.それを正確に覚えるべく、 ・“Give me a pencil”
模倣という形で練習する
を実際に自分で使用する
3.模倣することによって学習 ・学習者が鉛筆を欲した際
者の意思疎通に対する目標 にそれが得られる
が達成される
・しかし、この理論は明確になっている外的な部分のみを強調し、
内的な部分については無視されていて、十分な理論ではない
→つまり、学習とは単に外的な刺激への反応だけではない
※行為習得理論に変わる新たな理論
→心理的な側面からの理論
・nurture(外的な要因)から nature(内的な要因)へ
1.人間の脳には言語学習能力がある
3.この能力には言語習得の初期段階で確立させる
4.インプット(外的要因)は必要だが、あくまで引き金にすぎない
・この理論の概念は母国語の内的な視点である
14
☆What is ‘interlanguage’?
・第2言語習得者はある程度母国語に基づく言語の規則を作り出す。
しかし、母国語とは違い、また第2言語とも違う
・中間言語の概念
1.第2言語を理解する上での基礎となる抽象的な言語の体系を
作る。これは‘mental grammar’と言われる
2.中間言語は、外的要因と内的要因の両方から影響を受ける
3.学習者は、中間言語を付け加えたり、消したりしながら全体
4.中間言語は変化しやすい
これには反対する研究者もいる
5.学習者は、学習をより早く、より効果的にしようとする
(学習ス トラテジ ー /learning strategies)
6.中間言語は化石化しやすい(退化 /backsliding)
化石化は母国語には起こらない
・中間言語の概念によりどのように第2言語習得のおこるかについて
の一般的な理由がわかる一方、様々な問題も生じる。これら問題を詳
しく説明していくことが必要である
※Interlanguage の概念からわかること
→人間の脳はインプット・アウトプットを行い、コンピューターの
ように働く
15
※インプット・アウトプットの過程
1.短期間の記憶として取り入れる(内在化 /intake)
2.一部は第2言語の知識(L2 knowledge)となり、長期記憶として
蓄えられる
‘intake’(内在化 /取入)
学習者によって理解されたインプットが学習者の言語知識の一部とな
るプロセス。取り込まれた言語知識そのものを指す場合もある。
・
LAD
input intake L2 knowledge output
16
※文単位の視点から、談話 (discourse)の視点へ注目し、コミュニケーショ
ンが与える第2言語習得への影響を研究する
※ネイティブスピーカーが会話をするときにはきまりや規則がある
<例>アメリカでは普通ほめ言葉には謙遜した答えが必要とされ、答えら
れない場合、それは社会言語学的な誤りであると考えられる
A: I like your sweater.
B: It’s so old. My sister bought it for me in Italy last year.
しかし、このような質問に対し、第2言語学習者は時々答え損ねた
り、
「ありがとう」といったそのままの答え方をしてしまうことが あ
る
※様々な談話の研究から、談話の規則の習得は規則的であり、誤り(errors)
や発達順序(developmental sequences)に影響されている。
また、談話の多くが母国語のきまりに影響されていることは明らかであ
るが、どの部分が普遍的でありどれが母国語によって違うのかを証明す
るには、まだ多くの研究が必要である
※談話(discourse)研究の主な目的
”インプット(input)と相互交流(interaction)が第2言語習得にどのよう
に影響を与えるのか”
・行為理論(behaviourist)の見解
17
…言語学習は環境(インプット)によって決定される。つまり、外部
から左右される
・心理理論(mentalist)の見解
…学習者の言語学習装置(LAD/black box)の重要性を強調。つまり、
学習者の脳は言葉を学習するように備えられており、インプッ
トは引き金であって少し触れれば十分である
・相互交流理論(interactionist)の見解
…前の2つの理論の両方を重要視。心理理論の認識した上で、イ
ンプットに注目している
‘interaction’(相互交流 /相互作用 )
言葉を通じてメッセージを伝え合う双方向の言語活動。相互交流は言語習
得において大きな役割を果たすと考えられている
※学習者の談話には、ネイティブスピーカーとは違った特質がある
→ネイティブスピーカーは学習者とコミュニケーションをとるとき、
※フォリナートークには文法的に2つに分けられる
② 過去形のかわりに現在形の動詞の使用
18
③ no の後ろに動詞をもってくる
・これらの特徴はインプットからきている可能性もある
① ゆっくりと述べられる
② データが簡略化される(従属節の回避、複雑な文法の省略)
④ たまに文を長くして、言おうとすることをはっきりする
※このような修正は学習者に話し掛ける人に起き、学習者はそのようなこ
とをされても理解できない時、次のような行動をとる
・理解しているふりをする
・理解していないという合図を送る
うため、お互いに修正し合う
‘negotiation of meaning’ (意味交 渉/意味の やり取り )
対話者同士で理解できないような内容があったときは、その旨を相手に
伝え、互いに理解できるような正しい文を繰り返し作っていくこと
※どのようにそのような談話や相互交流が第2言語習得に役立つのか?
19
①Stephan Krashen のインップト仮説(input hypothesis)
→学習者は談話の際、理解可能なインプット(comprehendible input)
を受け、それを理解することで第2言語を習得していくという仮説
→談話というメッセージのやり取りの中で、意味交渉(negotiation of
meaning)を行い、それにより第2言語を習得するという仮説
また、意味交渉の過程で文章を正そうとする際に、どういう文にす
ればいいか考えることも第2言語習得に役立っている
・しかし、最近の研究から修正された相互作用と第2言語習得とは複
雑にからみ合うものであるとわかってきている
③Evelyn Hatch の説
→学習者と対話者が談話を一緒に組み立てることを強調
そしてその具体的な例として足場(scaffolding)がある
20
‘scaffolding’ (足場 )
Mark: Come here.
Homer: No come here.
上の Homer の発言は Mark の言葉を使っている。このように学習者が談
話の際、相手の発言を参考にすること
・学習者は自分よりよくできる人との相互交流により上達する
・社会的に構成された第2言語の知識は中間言語の発達に必要な条
件
※アウトプットの第2言語習得への役割
・アウトプットの役割→auto-input のみ
・言語は練習によって習得されるものではないと主張
‘auto-input’(自動イ ンプット )
学習者自身のアウトプットをインプットとして言語習得に役立てること
21
L A D
(auto-input)
・アウトプットの役割
① アウトプットによって学習者は自分の文法知識の欠如がわかる
② 学習者が、自分の作り出した言語規則が正しいかわかる
③ 学習者が、自らの知識を再認識する
☆Summary
※この章では談話が第2言語習得にどのように役立つかを考えた
・フォリナートークによる修正されたインプット
・学習者が意味交渉から得たインプット
・足場
※第2言語習得は人間と社会活動に独特なもので、これらのことは第2言
語学習での談話と働きと同時に、人間の脳はコンピューターのように働
くことも示している
22