You are on page 1of 24

2022-2023 日本語教師育成プログラム オンラインコース

第9回 話すことを教える①

2023年6月29日(木)
ヤンゴン日本文化センター
The Japan Foundation, Yangon
目標

・話すこととはどのようなことか、「話す力」
とはどのような能力からなるのかを考える。

・話す力はどうすれば伸びるのか、話す力を育てる
ためにはどのような教室活動を行えばいいのか
考える。

2
授業の内容

1. 「話すこと」とは

2. 話す力を育てるには

3
1.「話すこと」とは

1-1.話すとは
(1) 話す行為のプロセス
こうい
(2) 話し手と聞き手のコミュニケーション
1-2.コミュニケーションに必要な能力
① 文法能力
ぶんぽう のうりょく
② 社会言語能力
しゃかい げんご のうりょく
③ 談話能力
だんわ
④ ストラテジー能力
4
1.話すこととは?
1-1.話すとは (1) 話す行為のプロセス

話す行為のプロセス
こうい

① 言いたい内容を考える。

② どのように言うかを考える。

③ 実際に言う。
じっさい

5
Q.学習者に、言う内容や表現を考えさせていない練習はどれですか。
練習1) T:リピートしてください。机の上に本があります。
S:机の上に本があります。
T:机の上にノートがあります。
S:机の上にノートがあります。
練習2) T:絵を見て言ってください。
S:ジュースをください。
S:バナナをください。
練習3) ・自分の家族の写真について説明する。
・友人を映画にさそうというような内容のロールプレイをする。 6
1.話すこととは?
1-1.話すとは (2) 話し手と聞き手のコミュニケーション

Q.Aさんの気持ちを考えながら、次の会話を読んでください。
Aさんが話を始めた目的は何ですか。

・パーティーに
さそいたい
・Bさんについて
知りたい

7
1.話すこととは?
1-1.話すとは (2) 話し手と聞き手のコミュニケーション

コミュニケーション行動が起こるきっかけは、
情報差
じょうほうさ ①聞きたいことがある場合 ②伝えたいことがある場合
➡ 情報差(Information gap)をうめようとする

選択権
せんたくけん

反応
はんのう

8
Q.情報差のある練習はどれですか。

練習1) T:この教室には何がありますか。
S:机やいす、テレビなどがあります。

練習2) T:Sさんの部屋には何がありますか。
S:わたしの部屋には机やいす、パソコンなどがあります。

練習3) 異なる情報がのっているシートを使ってペアワークをする。

9
練習3) 異なる情報がのっているシートの例

10
1.話すこととは?
1-1.話すとは (2) 話し手と聞き手のコミュニケーション
コミュニケーション行動が起こるきっかけは、
情報差 ①聞きたいことがある場合 ②伝えたいことがある場合
じょうほうさ
➡ 情報差(Information gap)をうめようとする
選択権 会話に参加する人には、
せんたくけん
①言いたいこと(内容)を決める自由がある
②言いたいことをどのように言うか(語彙、表現、機能など)を
決める自由がある
反応
はんのう

11
Q.話し手に選択権のある練習はどちらですか。
せんたくけん

練習1) T:夕食を食べる・宿題をする
S:夕食を食べてから宿題をします。
T:テレビを見る・宿題をする
S:テレビを見てから宿題をします。

練習2) T :今晩何をしますか。S1さん。
S1:晩ごはんを食べて宿題をします。
T :S2さんはどうですか。
S2:宿題をしてゲームをします。
12
1.話すこととは?
1-1.話すとは (2) 話し手と聞き手のコミュニケーション
コミュニケーション行動が起こるきっかけは、
情報差 ①聞きたいことがある場合 ②伝えたいことがある場合
じょうほうさ
➡ 情報差(Information gap)をうめようとする

選択権 会話に参加する人には、
せんたくけん
①言いたいこと(内容)を決める自由がある。
②言いたいことをどのように言うか(語彙、表現、機能など)を
決める自由がある。

反応 相手の反応を見ながら会話をすすめる。
はんのう
13
会話における「目的」と
3つのポイント「情報差」「選択権」「反応」の関係

会話例
A:今晩どう?
B:ああ、すみません。今日は
ちょっと…。
A:じゃあ、明日の夜は?
B:明日ならだいじょうぶです。
A:じゃあ、明日ね。
14
1.話すこととは?

🔹話す行為のプロセス
こうい

① 言いたい内容を考える。

② どのように言うかを考える。

③ 実際に言う。
じっさい

🔹話し手と聞き手のコミュニケーション
情報差 選択権 反応 →ワークシート1 問1
じょうほうさ せんたくけん はんのう
15
1.話すこととは?
1-2.コミュニケーションに必要な能力

長い間、言語能力 = 文法知識
↓ (いつ、誰に対して、どのように話すのかといった
コミュニケーション能力 言語使用の適切さに関する能力)

① 文法能力 … 文法規則、語彙の知識、発音、文字、表記などに
ぶんぽう のうりょく 関する能力
② 社会言語能力
しゃかい げんご のうりょく

③ 談話能力
だんわ

④ ストラテジー能力
16
1.話すこととは?
1-2.コミュニケーションに必要な能力

(2) 社会言語能力
しゃかい げんご のうりょく

Q.学生の発話に対して先生は変な顔をしました。
なぜでしょうか。
例) 〈場面:大学の研究室で〉
学生:先生の論文、見ました。 すばらしいですね。本当に先生は
すごいですね。
先生:・・・・・・

17
1.話すこととは?
1-2.コミュニケーションに必要な能力

①文法能力 文法規則、語彙の知識、発音、文字、表記などに関する能力
きそく ごい はつおん もじ ひょうき

その社会や文化で決まっている固有のルールを守って
②社会言語能力 しゃかい ぶんか き こゆう
ことばを使う能力

③談話能力
だんわ

④ストラテジー能力
1.話すこととは?
1-2.コミュニケーションに必要な能力

(3) 談話能力
だんわ

談話 … 複数の文が集まって一つの意味のまとまりを持つもの
だんわ ふくすう あつ いみ

19
Q.次の二つは、会社で早退の許可をとる場面の会話です。
そうたい きょか
どちらが自然な会話ですか。それはなぜでしょうか。

例1) A:子供が熱を出したので、帰らせていただきたいんですが。
B:あ、そうですか。いいですよ。

例2) A:あのう、すみません。 始まり


B:どうしたんですか。
A:実は、子供が熱を出したので、帰らせていただきたいんですが。
B:あ、そうですか。いいですよ。
A:忙しいときにすみません。 用 件
終わり
B:いいえ。 ようけん
1.話すこととは?
1-2.コミュニケーションに必要な能力

①文法能力 文法規則、語彙の知識、発音、文字、表記などに関する能力
きそく ごい はつおん もじ ひょうき

その社会や文化で決まっている固有のルールを守って
②社会言語能力 しゃかい ぶんか き こゆう
ことばを使う能力

③談話能力 話の展開の仕方を考え、意味のまとまりをもった談話を組み
だんわ てんかい しかた いみ だんわ く
立てることができる能力
④ストラテジー能力
コミュニケーションできないとき、いろいろな方法で工夫することができる能力
ほうほう くふう
1.話すこととは?
1-2.コミュニケーションに必要な能力
(4) ストラテジー能力

22
1.話すこととは?
1-2.コミュニケーションに必要な能力
(4) ストラテジー能力

Q.話している時に次のような状態になった場合、
どうしますか。
① どうしても、ある単語を思い出すことができない。
たんご
② 相手が言うことが分からない。
あいて

③ 自分が言ったことを相手がよく理解できていない。
ふりかえり
目標

・話すこととはどのようなことか、「話す力」
とはどのような能力からなるのかを考える。

・話す力はどうすれば伸びるのか、話す力を育てる
ためには教室活動がどうあるべきなのか考える。

24

You might also like