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特集 てんかんと機能的脳神経外科の課題と展望

ニューロモデュレーションの現状と展望

鮎澤 聡1),松村 明2)
1)筑波技術大学保健科学部,2)筑波大学医学医療系脳神経外科

Neuromodulation:Present Features and Perspectives

Satoshi Ayuzawa, M.D., Ph.D1), and Akira Matsumura, M.D., Ph.D.2)


1)Department of Health, Faculty of Health Sciences, Tsukuba University of Technology, 2)Department of Neurosurgery,
Faculty of Medicine, University of Tsukuba

Neuromodulation is a therapy that uses alternating nerve activity through targeted delivery of stimu-
lus, such as electrical stimulation, magnetic stimulation, or chemical agents, with advanced medical devices.
It is highly reversible and adjustable, compared to functional ablation. The indication of neuromodulation
has recently expanded to various disorders;not only neurological disorders, but also internal and systemic
diseases such as chronic infection. The progress of neuromodulation is based on advances in medical engi-
neering. New and novel modalities of stimulus and modulating methods are being developed, such as optic
and ultrasound stimulation, and closed loop stimulation. We need a multi disciplinal understanding of neu-
ral and biological systems to clarify the therapeutic mechanism of these stimulations. Finally, the manage-
ment of ethical issues is also important.
(Received August 17, 2017;accepted September 5, 2017)

Key words:neuromodulation, electrical stimulation, magnetic stimulation, optogenetics, ultrasound stimula-


tion
Jpn J Neurosurg(Tokyo)26:864 872, 2017

ニューロモデュレーションは刺激のモダリティー,刺
はじめに
激部位,刺激方法など多岐にわたり,その作用機序も直
脳神経外科において,難治性の疼痛や異常運動などの 接神経活動に干渉して即時的な効果を得るものから,興
いわゆる機能的障害に対する,脊髄・末 神経の切除や, 奮性を調節する,神経の可塑性を誘導させるなどさまざ
定位的脳手術による脳深部の神経組織の破壊といった外 まである.対象疾患もいわゆる神経系の疾患のみなら
科的な方法による治療は,機能神経外科(functional neu- ず,内臓疾患や全身の炎症性疾患の治療にまでその適応
rosurgery)と呼ばれてきた.一方,近年,脳深部刺激 が広がりつつあり,その範囲は従来の機能神経外科をは
(deep brain stimulation:DBS)や脊髄硬膜外刺激(spinal るかに越えている.
cord stimulation:SCS)など,ディバイスを用いて神経組 本稿では,特に刺激方法とモデュレーションの機序に
織を刺激し活動に干渉する方法が発展し,これらは 重点をおいてニューロモデュレーションの現状を概括
ニューロモデュレーション(neuromodulation)と称され し,いくつかの新しい知見を紹介するとともに,今後の
ている. 展望について述べる.

連絡先:鮎澤 聡,〒 305 8521 つくば市春日 4 12 7 筑波技術大学保健科学部


Address reprint requests to:Satoshi Ayuzawa, M.D., Ph.D., Department of Health, Faculty of Health Sciences, Tsukuba Uni-
versity of Technology, 4 12 7 Kasuga, Tsukuba shi, Ibaraki 305 8521, Japan

864 脳外誌 26 巻 12 号 2017 年 12 月


1 パルス波による電気刺激
ニューロモデュレーション
TENS,DBS,SCS などで用いられる.DBS では,1∼
ニューロモデュレーションとは,埋め込み型あるいは 10 Hz の低頻度の刺激では活動電位を惹起する興奮性の
非埋め込み型のディバイスを用いて電気・磁気刺激や薬 作用が,一方 100 Hz 以上の高頻度刺激では抑制性の作用
物の投与を行い,神経活動を可逆的に調節する治療を指 が得られるとされるが,後者の作用機序は必ずしも十分
す.機能神経外科の 1 分野ということになるが,ここで に解明されていない7).また,末 神経の刺激において
は,ディバイスを用いること,刺激や薬物投与量がディ も,刺激の頻度や強さによって刺激される神経線維が異
バイスで調節可能であること,また刺激をすみやかに中 なる.したがって,目的に応じた刺激条件を用いること
止することができる,すなわち可逆的であることが,切 が必要である.
除や破壊を中心としてきた従来の機能神経外科との違い ジェネレータや電極はそれぞれ特徴をもつ複数の商品
として強調される点である. があり,目的に応じて選択する.埋設型のジェネレータ
類似した用語として,機能的電気刺激(functional elec- は,近年,充電型のものが使えるようになった.大きな
trical stimulation:FES)があるが,ニューロモデュレー バッテリーのない分,小型であり,また短期間での交換
ションが神経系の入力あるいは調節系に作用して有害・ が不要になったが,逆に定期的に充電が必要となる.皮
不快な症状を緩和することを目的としているのに対し, 膚の上から刺激条件を設定するプログラマーも,各社で
FES は直接に出力系を刺激することにより運動感覚機能 さまざまな工夫がなされている.
の再建を行う27).末 の神経・筋の刺激による歩行機能
の再建や,マイクを介した人工内耳,カメラを介した網 2 経頭蓋磁気刺激(TMS)
膜刺激などがこれに相当し,神経補綴(neuroprosthesis) TMS は磁気刺激ではあるが磁気パルスで誘導される
とも称されている. 渦電流により組織に刺激を与えるため,生体効果として
現在,ニューロモデュレーションという用語は包括的 は電気刺激である.8 の字型コイルの使用で,頭蓋骨の
に用いられており,上記の FES や,外科的手技を要しな 外から大脳皮質に局在性の高い刺激を与えることがで
い経皮的電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimu- き,さらにナビゲーション・システムを用いて大脳皮質
lation:TENS)や経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic の局所を正確に刺激できる.一方,H の字型コイルでよ
stimulation:TMS) ,経頭蓋直流刺激(transcranial direct
6)
り深い部位を刺激する試みもある30)43)58).
47)
current stimulation:tDCS) などもその範疇に含まれて TMS には,単発刺激と,連続して刺激を与える反復経
いる.また,ブレイン・マシン・インターフェースも広 頭蓋磁気刺激(rTMS)とがあり,後者が主に治療に用い
義のニューロモデュレーションとして扱われている. られる.rTMS において,1 Hz 以下の低頻度刺激では大
この分野の発展には,神経生理学,特に電気生理学の 脳皮質の興奮性が低下し15),一方,数 Hz∼数十 Hz の高
発展に加えて,埋め込み型の電極やジェネレータなどの 頻度刺激では興奮性が高まる53).これらの効果に一定の
ディバイス,さらに TMS や tDCS などの非侵襲的な脳刺 持続が認められるため可塑的変化の誘導が示唆されてい
激装置の開発といった医工学の急速な進歩があることは るが,その機序は明らかではない12).しかし,これらの
いうまでもない.また,機能的 MRI など脳の機能的画像 現象を利用して脳機能の再構築を図ることが試みられて
検査の登場がそれらの臨床応用に拍車をかけていると思 いる.たとえば,片側大脳の脳損傷において健常側の過
われる. 活動が脳梁を介して患側に抑制的に働き18)回復を妨げて
いるとされ46),これに基づいて,健側に抑制性の刺激を,
患側に促通性の刺激を与えて回復を促すことが試みられ
刺激のモダリティーとその作用
ている73).近年は,より効果的に促通や抑制を得る刺激
神経活動への刺激には,主に電気,磁気,薬物が用い 方法が提案されている28).
られている.一般に「刺激」というと興奮性の作用を考 TMS では非侵襲的に大脳皮質を刺激できるため,研究
えやすいが,ニューロモデュレーションにおいては必ず に加えて多くの治療的な試みがなされている.埋設型と
しもそうではなく,刺激条件により異なった作用,すな 異なり持続的に刺激ができないのが欠点であるが,反復
わち,興奮的な効果と抑制的な効果があることに注意す することによる治療効果が期待されている.また,家庭
る必要がある.また,抑制性のニューロンを抑制するこ でも使えるような小型の機器の開発研究もなされてい
とで,系全体としては興奮性の作用を得る場合もある. る63).

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3 経頭蓋直流刺激(tDCS) しも「悪い」部位ではないことに注意する必要がある.
tDCS では,頭皮上に陽極と陰極の比較的面積の広い また,特に損傷を伴う機能回復には,刺激により何らか
(5×7 cm 程度)の電極を設置し,1∼2 mA 程度の直流を の可塑性を誘導することが求められる.
数分∼十数分流す.一般に,陽極(anode)下では大脳皮 慢性疼痛については現状では回路としての理解が困難
質の興奮性が高まり,陰極(cathode)下で抑制的に働 であり,一次・二次感覚野,島,前部帯状回,前頭前野,
く.これは膜電位に作用して興奮の閾値が変化している 視床などの領域をペイン・マトリックスとして扱ってい
ものと考えられている .TMS と同様に可塑的変化の誘
48)
る4).今後,それらをつなぐネットワークの解明が進む
導が示唆されている44). ものと思われる.
TMS と比して機器が小型かつシンプルで簡便に刺激
できることもあり,さまざまな分野での応用が試みられ
現在行われている主な
ている.
ニューロモデュレーション
4 薬物髄腔内持続投与 国内外で行われている主なニューロモデュレーション
薬液ポンプを皮下に埋設し,カテーテルを通して持続 を概説する.日本ではほとんど知られていないものも一
的に薬物を髄腔内や脳室・脳槽に投与する .ポンプに 55)
部とりあげた.
は経皮的に薬剤を補充する.安全・確実に設定量が持続 ニューロモデュレーションはディバイスの認可と合わ
投与される必要があり,薬液の補充の際には残量を確認 せて治療が承認されることに特徴があるが,実際に日本
す る. 癌 性 疼 痛 な ど の 疼 痛 に 対 す る モ ル ヒ ネ と における埋設型ディバイスで保険収載されているもの
ziconotide(カルシウムチャンネルブロッカーで日本では は,振戦・パーキンソン病の運動障害・ジストニアに対
未発売),痙縮に対するバクロフェンの髄腔内持続投与 する DBS,体幹および四肢の慢性難治性疼痛に対する
(intrathecal baclofen therapy:ITB)が実用化されている. SCS,痙縮に対する ITB,てんかんに対する迷走神経刺
モルヒネの持続髄腔内投与は,経口投与が消化器症状や 激(vagus nerve stimulation:VNS),および便失禁に対す
眠気などの副作用で不適な場合によい適応であり,また る仙骨神経刺激(sacral nerve stimulation:SNS)のみで
少量の投与で鎮痛できることに特徴がある.ITB は痙縮 あり,他での使用は保険外使用ということになる.また,
に対する強い効果が得られる.急に投与が中止されると 残念なことに,埋設型のディバイスには国産品はまった
離脱症候群を生じる可能性があり,ポンプの厳重な管理 くなく,すべて輸入に頼っているのが現状である72).
が必要である.
1 脳深部刺激(DBS)
治療として確立しているのは,本態性振戦,パーキン
ニューロモデュレーションの考え方
ソン病,ジストニアに対する DBS であり,STN,Gpi,
ニューロモデュレーションの調節的な制御は,症状と 視床などが症状に応じてターゲットとして選択される.
関連する神経回路(サーキット)への干渉として理解さ その他,諸外国では他の運動障害,変性疾患,疼痛,て
れる.最も代表的なのは,皮質 大脳基底核 視床 皮質 んかん,精神疾患,摂食障害,肥満,薬物依存,認知障
サーキット(cortico basal ganglia thalamocortical cir- 害,耳鳴,高血圧,尿失禁,遷延性意識障害などの多く
cuits:CBTC circuit)であろう1)33).パーキンソン病にお の疾患に対して脳深部のさまざまな部位への刺激が試み
ける DBS では,過剰な興奮を呈している視床下核(sub- られている23).脳深部刺激は従来の破壊法に比して非侵
thalamic nucleus:STN)や淡蒼球内節(globus pallidus pars 襲的なことに加えて,二重盲検試験が実施しやすいこと
interna:Gpi)に高頻度刺激を与えることで,筋固縮や振 も,これらの試験的治療が進むひとつの理由であろう.
戦などの緩和を得る.精神疾患においてもこの回路で理 ただし,米国でも FDA で実際に認可されているのは,上
解されることがある .アルツハイマー病などの記憶障
33)
記の 3 疾患および強迫性神経障害とてんかんに対しての
害に対する DBS では,脳弓など Papez の回路およびその みであり,後の 2 つは人道機器適用免除(humanitarian
周辺がターゲットとなる8).また,脊髄においては,ITB device exemption:HDE)としての承認である.
は後角の GABA B レセプターに作用することで,過剰興
奮状態にある伸張反射の回路に抑制的効果を与える38). 2 大脳皮質刺激
調節系の回路に干渉する場合,刺激を行う部位が必ず 埋設型ディバイスを用いたものでは,難治性疼痛に対

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する運動野刺激(motor cortex stimulation:MCS)が行わ field stimulation:PNfS)として区別される.鎮痛のメカ
れてきた .一般的には運動野直上の硬膜外に電極を留
75)
ニズムとしてはゲートコントロール理論が持ち出される
置して刺激する.MCS の除痛の効果には複合的な機序が ことが多く,特に PNfS については,皮下に Aβ線維の終
推定されている . 31)
末が多く存在し,また水分の多いことから有効に刺激さ
近年では非侵襲的な TMS や tDCS を用いて,運動麻痺 れ,それにより Aδ,C 線維が抑制されることで鎮痛が得
や失語,高次脳機能障害,嚥下障害,疼痛,頭痛,パー られるとされる10).後根や後根神経節の刺激も行われて
キンソン病,認知障害,精神疾患などに対して治療が広 いる.
く試みられている.特に,rTMS でうつ病に対する左背
外側前頭前野(dorsolateral prefrontal cortex:DLPFC)の 5 後頭神経刺激
高頻度刺激と右 DLPFC の低頻度刺激が多く検討されて 近年,片頭痛や群発頭痛に対する後頭神経刺激(occipi-
おり ,欧米では治療として認可されている.パーキン
20)
・後頭神経野刺激(occipital
tal nerve stimulation:ONS)
ソン病では補足運動野の興奮性の低下を正常化させる目 nerve field stimulation:ONfS) の 効 果 が 示 さ れ て い
的で補足運動野刺激が試みられている22).疼痛に対して る16)37)57).これらの頭痛や慢性疼痛には,三叉神経脊髄
も外科的方法に代わって,TMS や tDCS を用いた MCS 路核の,特に中間部と尾側部の移行部における活性化の
や DLPFC 刺激が行われている 2)

66)
関与が示唆されており50),後頭神経を介した C2 レベル
での刺激が何らかの機序でそれを正常化し,さらにペイ
3 脊髄硬膜外刺激(SCS) ン・マトリックスに影響することが考えられる32)40).頭
脊髄の硬膜外に電極を留置して刺激を行う.以前は椎 痛に対しては,三叉神経(trigeminal nerve stimulation:
弓部分切除を行い電極を硬膜外に挿入したが,現在は透 TNS)刺激,VNS などでも有効性が指摘されており,共
視下で経皮的に電極を挿入し,刺激の効果を患者と確認 通の機序をもつ可能性もある.
しながら留置部位を決定することが多い.試験刺激で有
効性を確認した後にジェネレータを埋設できるという利 6 迷走神経刺激(VNS)
点もある. VNS は難治性てんかん発作に対して発作を緩和させ
主に難治性疼痛の治療に用いられ,脊椎術後疼痛,複 る方法として確立している.心臓への影響が少ない左側
合性局所疼痛症候群,末 性の神経障害性疼痛,末 血 の迷走神経を頚部で露出し,電極を神経に接触留置す
管障害に伴う四肢の虚血痛,難治性の狭心痛などに高い る.刺激は孤束核を経て複数の経路で大脳・視床・辺縁
有効性が示されている 34)
.疼痛に対する効果は,元々
67)
系に及び,発作の抑制には複合的な機序が推測されてい
はゲートコントロール理論に基づいて開発された方法で る26).
あるが41)64),現在は広域作動性ニューロンの関与などが てんかんの治療として開発された VNS だが,精神面へ
考えられている . 81)
の影響が見出され59),現在はうつ病に対する治療として
従来,SCS における鎮痛効果は,痛みのある部位に刺 も用いられている.
激感がスーパーインポーズされることにより痛みが緩和 近年,前頚部から,あるいは耳介に分布する分枝から
することが強調されてきたが,近年,刺激感の得られる 刺激する経皮的迷走神経刺激装置(transcutaneous VNS:
部位で 10 kHz の高頻度刺激を行うと刺激感なしに疼痛 tVNS)が開発されており,てんかん,うつ病,片頭痛に
の緩和が得られることが報告されており29)78),疼痛ある 対する一定の効果が報告されている65)68).
いは SCS の除痛のメカニズムを考えるうえで興味深い.
また,除痛のみならず,遷延性意識障害の治療や79),脊 7 三神経刺激(TNS)
髄損傷後の機能再建への応用42)が研究されている. 皮下に電極を埋設する外科的方法に加えて,眼窩上神
経を刺激する経皮的な方法が行われている.VNS と同様
4 末梢神経刺激 に孤束核を介した機序が考えられ,三叉神経痛のみなら
主に疼痛の治療として行われている.外科的に電極を ず,てんかんや頭痛,精神疾患に対する効果が検討され
埋設する方法には,末 神経そのものに電極を接触させ ている13)14)61).
て刺激する方法(peripheral nerve stimulation:PNS)と,
末 神経の支配領域の皮下に電極を留置して広く刺激す 8 翼口蓋神経節刺激
る方法があり,後者は末 神経野刺激(peripheral nerve 群発頭痛における自律神経症状の発現は翼口蓋神経節

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を介して頭蓋内の副交感神経系が過剰興奮すると考えら 14 髄腔内薬物持続投与
れており,治療として翼口蓋神経節ブロックなどが行わ 日本では ITB のみ認可されている.バクロフェンはγ
れている.この翼口蓋神経節の活動を高頻度電気刺激で アミノ酪酸(γ aminobutyric acid:GABA)の誘導体であ
抑制するディバイスを頬部前面に埋設し,必要に応じて り,脊髄後角の介在ニューロンの GABA B 受容体に選択
刺激を行うディバイスが開発されている .近年,片頭 62)
的に作用し,α運動神経の過剰な興奮を抑制することで
痛に対する適応も取得している. 強い抗痙縮効果が得られる38).脊髄損傷,痙性対麻痺,
脳卒中後などあらゆる痙縮の治療に用いることができ
9 舌下神経刺激 る.バクロフェンの投与で遷延性の意識障害が改善した
閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して行われてい 症例が報告されている39)52)60)71).
る 17)
.下顎にて舌下神経を刺激し,オトガイ舌筋を収
69)

縮させることで上気道を開かせる.収縮のタイミングは
いくつかのトピックス
呼吸センサーで制御される.
1 Closed⊖loop stimulation
10 仙骨神経刺激(SNS) ジェネレータから一定の刺激を与えるのではなく,神
排尿・排便機能の調節を行う 5)49)
.刺激条件を調節す 経活動や症状と関連した生体情報をフィードバックし,
ることで,無緊張性膀胱,過活動性膀胱,便失禁の治療 必要なときに,あるいは最適な刺激条件を自動的に作り
として用いられている.透視下に仙骨孔に電極を誘導・ 出して刺激を行う方法をいう.てんかんの治療におい
留置する.便失禁に対する適応が日本でも保険収載され て,発作波を検出したときに焦点に刺激を与えて発作を
たため,今後症例が増えてくると思われる.近年は sacral 抑制する装置が商品化された24)45).一方,パーキンソン
neuromodulation(SNM)とも称されている. 病における DBS で,STN に植え込んだ電極から local
過活動性膀胱に対しては,非侵襲的な陰部神経刺激と field potential を測定し,周波数解析の結果から刺激条件
しての磁気刺激装置が日本でも保険収載されている. を変化させて刺激することが試みられた36).さらに,他
のさまざまな生体情報をフィードバックし,最適な刺激
11 消化管刺激 を行う方法が研究されている21)35).
食道・胃・腸の蠕動運動をコントロールする目的で行
われる11).特に,糖尿病などで多くみられる重度の胃の 2 Optogenetic neuromodulation
蠕動運動障害(gastroparesis)に対する胃刺激が欧米で 電極による刺激では周囲のあらゆる神経組織に影響を
認可されている.腹腔鏡を用いて胃の筋層に電極を留置 与えることになり,選択性に乏しい.そこで,遺伝子工
する.胃の刺激には胃の蠕動と同期するような長い刺激 学的手法を用いてロドプシン系の光活性化タンパクを目
幅の矩形波を用いた刺激と,通常の神経刺激と同様のパ 的の神経細胞に発現させ,光で神経興奮を制御する方法
ルス波を用いたものがあり,現在は主に後者が用いられ が研究されている25).特定の神経細胞のみに発現させる
ており,迷走神経を刺激している効果と考えられている. ことで超選択的な刺激が可能となる.また,光活性化タ
ンパクは周波数(可視光の色)特異的に働くため,たと
12 横隔膜・横隔神経ペーシング えばナトリウム・チャンネルを駆動するタンパクと塩素
脊髄損傷などに伴う中枢性低換気に用いられる.横隔 チャンネルを駆動するタンパクを組み込むことで,照射
神経が正常なことが必要である.日本でも脊髄刺激装置 する色で神経の興奮と抑制を制御できるようになる.こ
をオフ・ラベルで用いた施行例が報告されている . 70)
こにおいては,刺激電極の代わりに光ファイバーなどを
用いて刺激することになる.
13 頚動脈洞刺激
難治性の高血圧に用いられる.頚動脈洞に専用の電極 3 Ultrasonic neuromodulation
を留置し,慢性的な刺激を行う .交感神経系の緊張を
80)
近年,本態性振戦に対して集束超音波による視床の破
持続的に低下させることによると考えられている.高血 壊術が行われている.これは,超音波の熱効果を用いた
圧に対しては現在,中心灰白質に対する DBS の効果も報 作用であるが,一方,超音波の「非熱効果」として,弱
告されている . 54)
い超音波が神経興奮を惹起させることが知られてい
る76)77).超音波が神経を興奮させる機序についてはさま

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ざまな研究がなされているが19),近年は超音波により生 刺激装置を以前のように生体の外部に置くことも検討さ
じる気泡の関与が推測されている .TMS・tDCS と比 56)
れるかもしれない.
べて有利と思われる点は,経頭蓋的に脳深部刺激が可能 歴史的には神経の電気刺激から始まったニューロモ
となることと考えられ,今後の展開が期待される分野で デュレーションであるが,現在は刺激のモダリティーは
ある. 多岐にわたり,活動電位の惹起による神経回路の調節だ
けではないさまざまな生体効果が推測されており,もは
4 新しい電気・磁気刺激,同期的刺激 やバイオモデュレーションといったほうが相応しい.実
電気・磁気の刺激において,脳活動のリズムに注目し 際,実用化されている方法であっても,その効果は十分
た経頭蓋交流刺激(transcranial alternating current stimu- にわかっていないものがほとんどである.今後,生体の,
lation:tACS)が研究されている3).脳波のα,β,γ帯域 電気・磁気・光・音・熱・機械的刺激などに対する統合
で刺激したり,患者の脳波と同期させるなどの試みがな 的な理解が必要となるであろう.
されている.活動のリズムという観点からは,調節系に また,ニューロモデュレーションが今後,より根治的
関与するニューロモデュレーションとして興味深い. な治療を目指すとすれば,病気の大本にアクセスしなく
また,近年,強い磁石を頭皮上に 10 分程度留置するこ てはならない.そのような観点からは全身的な作用が必
とで大脳皮質の興奮性を抑制する経頭蓋静磁場刺激 要になると思われるが,VNS にはそれが予感させられ
(transcranial static magnetic field stimulation:tSMS)が報 る.そうなると今後は,神経活動以外の治療,たとえば
告されており51),電流による刺激とは別の効果があると 腫瘍性疾患も視野に入るだろう.また,いわゆる治療だ
考えられている.磁気の生体効果に関する議論は古くか けではなく,予防や健康維持にも用いられると思われる
ら尽きず今後さらなる検討が必要であるが,実用化され が,
“brain enhancement”のような問題も生じるため,倫
れば簡便に刺激できる利点があろう. 理面の整備が求められてくると思われる.

5 VNS の抗炎症作用
おわりに
免疫系の調節における迷走神経を介した神経回路が報
告されている74).これに基づいて,VNS で迷走神経を下 国内外におけるニューロモデュレーションの現状を概
行性に刺激することで,脾臓へいく分枝を介して腫瘍壊 説した.生体のあらゆるところを刺激せんばかりに勢い
死因子(TNFα)の産生を減少させることが試みられて のあるニューロモデュレーションであるが,脳神経外科
いる.関節リウマチ,潰瘍性大腸炎,クローン病,過敏 にとっては,従来からの機能神経外科の 1 分野として,
性腸症候群などの炎症性腸疾患,乾癬などの皮膚疾患な 脳,神経,生体機能への洞察を与えてくれる領域でもあ
どに対する治療効果が期待され,複数の治験が進んでい る.われわれは,それらを脳神経科学に還元していく責
る .この場合,迷走神経の刺激条件をてんかんの治療
9)
務があると思われる.
に用いるもの(20∼30 Hz)よりも低頻度(1∼10 Hz)で
行うと下行性の刺激が得られるとされる.神経刺激で免 本論文の発表に関して開示する COI はありません.
疫系に干渉するという,新しい分野といえる.
文 献
1)Alexander GE, DeLong MR, Strick PL:Parallel organization
今後の展望 of functionally segregated circuits linking basal ganglia and
cortex. Annu Rev Neurosci 9:357 381, 1986.
先に述べたように,医工学の進歩がこの分野の進歩を 2)André Obadia N, Peyron R, Mertens P, Mauguière F, Lau-
支えている.ディバイスは今後も,基礎研究や治療をと rent B, Garcia Larrea L:Transcranial magnetic stimulation
for pain control. Double blind study of different frequencies
おして得られた神経学的・臨床的知見からのさまざまな against placebo, and correlation with motor cortex stimula-
ニーズに応えつつ開発が進むと思われる.今後 closed tion efficacy. Clin Neurophysiol 117:1536 1544, 2006.
3)Antal A, Boros K, Poreisz C, Chaieb L, Terney D, Paulus W:
loop stimulation が実用化するときには,単なる刺激装置
Comparatively weak after effects of transcranial alternating
ではなく自己学習する人工知能となり,いわば「身体の current stimulation(tACS)on cortical excitability in
一部」として機能することになろう.埋設型のディバイ humans. Brain Stimul 1:97 105, 2008.
4)Apkarian AV, Bushnell MC, Treede RD, Zubieta JK:Human
スにおいてはコンピューターがどこまで小型化できるか brain mechanisms of pain perception and regulation in
が問題となろうが,一方で無線通信が進んだ現在では, health and disease. Eur J Pain 9:463 484, 2005.

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要 旨

ニューロモデュレーションの現状と展望

鮎澤 聡 松村 明

ニューロモデュレーション(neuromodulation)とは,ディバイスを用いて電気・磁気刺激や薬物
の投与を行い神経活動を調節する治療を指す.刺激や薬物投与量が調節可能であること,また治療を
すみやかに中止することができる,すなわち可逆的であることが,切除や破壊を中心としてきた従来
の機能神経外科との違いとして強調される.現在,その適用範囲は神経疾患のみならず,内臓疾患や
全身の炎症性疾患にまで広がっている.この分野の発展の背景には医工学分野の進歩があり,光や超
音波など新たな刺激や有効な刺激のためのディバイスが開発されている.今後,それらの刺激に対す
る生体反応の統合的な理解が必要とされる.また倫理面の整備が必要である.

脳外誌 26:864⊖872,2017

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