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CAN ・
学習 到 達 目標 ( DO リス ト)の 現状 と今後 の 展望


皿 ie PresentSituation
and Future Prospe (ts of CAN DO list

キ ーワ ード:CAN ・
DO リス ト、パ フ ォ ーマ ン ス 、授 業実践

水野 幸弘
MIZUNO Yukihiro
1.研究の 目的
各中 ・ 高等学校 で は 、生 徒 に 求 め られ る英語 力 を 達 成す るた め の 学習到 達 目標 を 「CAN ・ DO リス ト」の 形
で 具 体 的 に 設 定す る こ とが 求 め られ て い る 。し か し な が ら、 ・
こ の CAN DO リ トの 作 成は なか な か 進 ん で い

かな い また、 。
HP 上で 公 開され て るも を見 て も、単元 指 導 目標 と似 通 て お り 従 来 の 指 導 目標 との 差
い の っ 、

が 明確 に な て い ない もの も多 い 。文 部 科 学 省 か らも、作 成 の 手 引 が 公 開 され 、そ の 枠 組 み に つ い て は 示 さ


れ て い るが 、現 場 の 教 師 はど の ような CAN DO リス トを作成 お よび 運 用 す べ きか 模 索 して い る状 態 で ある 。

そ こ で 、本 稿 で は 、CAN ・
DO リス トが 現 場 で 効 果 的 に 作 成 ・
運 用 され るた め に 、CAN −DO リス トをどの ように
設 定し 、 指導 へ と反 映 させ る の か を 実 践 例 と共 に 示 、 すこ ととし た 。

2 .CAN −DO リス トの 現 状 と課 題
2. 1 国が示 した GAN −DO リス トの 枠組み

現在、文 部 科 学省 の HP 上 で も、CAN DO リス トの 作 成 の 手 引 きと例 が 示 され て い る。そして 、学校 や 生 徒
の状況、 実態 に 応 じて 到 達 目標 を 設 定 す る こ とを求 め て い る。文 部 科 学 省 が 示 す の は あ くまで も枠 組 み で あ
り 学 習 到 達 目標 が 抽 象 度 の 高 い もの に な るこ とも述 べ て い る しか し 、CAN ・
、 DO リス トを現 場 で 実際 に運 用 。

す る に は 、抽象 的 な 学 習 到 達 目標 だ けで は なく、「何 を 目的 として 、実 際 に 何 が で きれ ば 、到 達 で きた と見 な


すの か 」とい う具 体 的 な課 題 そ して 到 達 した と考え られ る生 徒 の 姿や 作 品
、 、 さらに は 、 評 価 の 基 準まで 連 動
させ る必 要 が あ ると考え る。
例 え ば 、文 部 科 学 省 が 示 す 第 3 学 年 の 「読 む こ と」の 能 力 記 述 文 長さの 物 語 を 読 ん で の 例は 、
「ある程 度 の 、

登 場 人 物の 行動や 話 の 流れ な ど あ らす じを 読み 取 るこ とが で きる」と示 され て い る しか し 「あ る程 度の 長
、 。 、

さ」とは ど の 程 度 の 長 さを 示 す の か 、また どの ような内 容 の もの に 対 応 で きる とよい か は 、各学校 に委 ね られ て


い る また 、
。 そ の 読 み 取 る 「目的 施 、実 際 の 授 業 に お い て は 、各 学 校 で 設 定 しな けれ ばな らない 。こ の 量 と質
に 関 わ る部 分 や コ ミ ケー シ ョ ン の 目的 に 関す る部 分 を、より具 体 的 に し、CAN −DO リス トと連 動 させ て い く
ュ ニ

こ とは 、大 きな 意 義 が あ る と捉 え て い る 。

2.
2 民 間レ ベ ル が 作成した CAN ・
DO リス ト
CAN −DO
国 ば か りで は な く、英 語 教 育に 関 わ る 民 間 レ ベ ル で も、 リス トは 作 成 され 、公 開 に 至 っ て い る。そ

の 中で 、公 益 財 団 法 人 日本 英 語 検 定 協 会 が 作成 したもの を考 察 して み ることとす る。中学 校 3年 生 で の 取 得


目標 に なっ て い る 3 級 を 参 照 す る と、「読 む 」で は 、大 きな 目標 として 、「簡単な 物 語 や 身 近 な こ とに 関 す る文
章 を理 解 す るこ とが で きる」と設 定 され て お り その 構 成 要 素 とし て 、 、「興 味 ・関心 の ある 話題 に 関す る簡 単な
文 章を 理 解す るこ とが で きる」な ど5 点 が 示 され て い る。
これ は 、より目標 を 具 体 的 に 設 定 し よ うとす る意 図 が 感 じ られ 、現 場 で も活 用 しや す い 形 とな て い る しか っ 。

し、どの ような学 習 課 題 や 目的を授 業 で 設 定 し、どこ まで の 質 、レ ベ ル の 英 文 に 、対 応 で きれ ば よい か は や 、

は り不 明確 で ある。「簡 単な物 語 」、「簡 単 な 文 章 」とい う表 記 が ある が 、そ の 難易度 を 決 め る要 因 として 、学 習

者 の ス キ ー マ が ある 自分 が コ ン ピ ータに堪 能 で あれ ば 、自然 とそれ に 関 す る 表 現 や 知 識 も豊 富 で あ り




英語で 書か れた コ ンピュ ータの 説 明 書 を読 み 解 くこ とは 容 易 で あろ う。しか し、そ の 逆 に 、 ン ピ ュコ ータ な ど見


るもの 嫌だ とい う学 習者 で あ っ た な らどうで あろ う また 、読 み 取 る 目的 に よっ
。 て は、理 解 す べ き 内容 や 読 み
方 そ の も の も変化 す る ま り、CAN ・
DO
。 つ リス トそ の もの を作 成 す れ ば 、効 果 的 に 授 業 に 反 映 で きる とい うわ

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け で は な く、そ れ に 連 動 した 具 体 的 な 目的 や 課 題 、生 徒作 品 例 、そ して 評 価基 準 等も設 定 して お く必 要 が あ
る とい うことがわ か る。

3CAN ・
2. DO リス トの 課題
こ れまで 述 べ て きた ように 、多 くの 現存する CAN ・
DO リス トに は 、コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン の 「目的 」が な く何 の た
め に 、英 語 を用 い て や りとりをす るの か が 不 明 瞭 で あっ た 、文 章 量 な どの 規 定 が あ っ た として も、それ は 「目
1

的 」に 応 じて 、 変化 す るもの で ある 量 や 形 式だ け
。 にこ だ わ るこ とは 、 相 手 との 談 話 の 中で 互 い に 解釈 し合 い

な が ら英 語 を 使 用 す る コ ミュ ニ ケ ション と は 異 な る 対 話 活 動 に な りが ち で あ る 。 した が っ て 、 現状の
CAN −DO リス トに は、 ミ ケ ーシ ョ ン の た め の 「目的 」を入 れ 込 む こ とは 必 須 で ある。そ れ と共 に 、誰 との コ
コ ュ ニ

ミ ュ ケ ーシ ョ ン な の か とい う「相 手 意 識 」も求 め た い つ まり 学 習課 題 の 設 定 に して も 、「目 的 」と「相 手 意 識 」



。 、

は 最低 限 必 要で あ り、こ の 点 に お い て パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 の 考え 方 を 導入 して 、CAN −DO リス トと連 動 させ る


こ とは 有効 だ と捉 え た 。

さらに CAN −DO リス トを 効果 的 に 運 用 す る に は 、「〜が 、〜とい うレ ベ ル で で きるように なる1とい う「結 果 」と


「質 」も重 視 し、到 達 させ た い 「質 」が わ か る ような 生 徒 の 作 品 例 を予 め 準 備 して お くこ とで ある。そ れ は 、「簡

単 な 英 文 で 、5 往 復 程 度 の や りとりが で きる」な どの ように 、難 易 度 や 程 度 (


量 や 回数 )は 多 々 明 示 され る こ と
は あっ て も、実 際 の 結果 として 、ど こまで の 表 現 の 質が 求 め られ て い るか は 不 明 で あり、実 際 の 授 業 改善 に ま
で は っ なが っ て い な い か らで あ る。

以上 の こ とか ら、 CAN −DO リス トを効 果 的 に 作 成 ・


運 用 す る際 の 課 題 は 、「コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン の 本 質か ら乖

離 して い る 」こ とと「量 や 正 確さ へ
の こ だ わ りが 依然 として 強 く、質 や適 切 さが まだ まだ 軽 視 され て い る」こ と、そ
し て 「具 体 的 な 生徒 の 作 品 例 等 が 不 明 確 で あり、授 業 で の 指 導 も曖 昧 なままで ある」こ とだ と理 解 して い る 。

の 課 題 点 を打 破 す る具 体 的 な改善策 に つ い ては、次項 にて述 べ


る こ ととす る 。

3.CAN ・
DO リス トの 改 善策
3.
1 コ ミ
ュ ニ ケーシ ョ ン の 本質
CAN −DO リス トの 作 成 ・ 1つ
ン の 本 質 か ら乖 離 して い る」と述 べ た が 、 ケーシ
運用 の 課題の として 、「 コ ミュ ニ ョ

コ ミ ニ ケ

ー シ ョ ン の 本 質 とは何 で あろうか 。「話 す 」行 為 を 挙 げな が ら論 じて い くこ ととす る。

日 本 語 で も、「 話 す 」は 、ささや く、伝 え る 、言 うな ど多 様 に 分 か れ る が 、英 語 に も 、say 、七eU 、speak 、talkな


ー シ ョ ン の 本 質 で あ る 「解 釈 す る
ど 多 様 に 分 類 され る こ れ らの 言 葉 を 使 て 、「話 す 」行 為 を 、コ ミ ニ ケ

っ ュ

(interpreting)力 」に 焦 点 を 当て 、 G.
簡 潔 に まとめ た の が H . Widdowson で ある。 H . G,Widdowson(1978)
に よ ると、「話 す こ とを 通 じて 行 わ れ る ミ ー
ケ シ ン 行 為 とは 通 常 相 手 と向 か い 合 う相 互 作用 の 中 で
コ ュ ニ ョ 、 、


行 われ 、対 話 や その 他 の 言 葉 の や り取 りの 部 として 起 こ る。した が っ て 、話 され た こ とは 、相 互 作 用 に お い
て そ の 前 後 に 話 され た こ とが 分 か っ て 初 め て 理 解 され る。っ まり、発 話 され た 内容 は 、そ の 時 ま で に言 われ て

い た こ とと関連 の な い 孤 立 した 事 で は 無 い 。 それ は 、 他 の 人が そ の 時 まで に行 っ た こ とを 理 解 した ヒで 出 て

きた こ とで あ るもの で あ る。した が っ て 、言語 使 用 として 話 う事 は 、言葉 を 受 容 す るこ とと産 出す る こ と両


す とい
一 あ る。」とま とめ て い る 。さらに 、「 ケ ーシ ン と
方 を含 む 相 互 の や り取 りの 部 で 解 釈 能 力 とは 、言 語 を ミ コ ュ ニ ョ

して 処 理 す る能 力 で あ り、す べ て の 言 語 使 用 の 根 底 にある。」と述 ぺ て い る こ れ らの こ とを 図 1 に ま とめ た 。 。

釈 す る interpretm

しゃ べ る speaking ←

幽 ゑ
言 うsaying 聞 き取 る hstening 聞 く hearing →

図 1H .
G.Widdowson の モ デル

話 し 合 うtalking 」は 、「や りとり


こ の 場 合 、「 interaction
」と言 い 換 え て もよい と考 え る。大 事 な の は 、talking
や interaction
す るだ けの 、内 容 と価 値 の あ る交 流か ど うか で あ り 、 CAN −DO リス トとパ フ ォ ーマ ン ス 課題を関

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連 付 けて い くこ とが 効 果 的だ と考 えた 。


現 在 授 業で は 相 手 に 方 的 に 自分 の 考 え を伝 え 、な ん とな く相 手 の 話 を聞 くとい た 、speaking
の 、 と っ

hearingで 終 わ るケー ス が 多 い 。授 業 で 生 徒 を観 察 して み て も 一回 の や りとりで 終 わるような場 合、本 当 の 、

言語 使 用 をして い るわ け で は な い ケ ース が 多い 印 象を 受 け る 互 い に 何 回 か の や りとりが 自然 に 生 まれ るよう 。

な 言 語 活 動 を 目指 して い くべ きで あ ろ う そ れ は 。 、
「書 く」「読 む 」とい う行 為 に お い て も同様 で ある。

2 パ フ ォ ーマ
3. ンス 課題 、 ル ーブ リッ クの 在 り方
次に 、
「量 や 正 確 さへ の こだ わ りが依然として 強く、質や適切 さが ま だ まだ 軽 視され て い る」とい う問 題 に対

する改善策だ が 、こ れ ま で にも述べ て きた ように パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 を取 り入 れ て い きた い 文 部科学省 が 示 。

して い る CAN ・ DO リス トの 枠組 み に は 、パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 やル ーブ リッ クま で の 設 定 は求 め られ て はい な
い が 、CAN −DO リス トを 、実際の 指導や 評 価 に 反 映 させ て い くに は 、パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 とル ーブ リッ クも結
び 付 けて い く必 要 が ある と捉 えて い る。パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 を 導入 す る際 に は 、 以 下 の 点 に 注 意 した 。

・4 技 能 の どの 能 力 に 関連 したもの な の か を 明 確 に して か ら設 定す る
・固 定 的な表 現 や 対 話 の 流 れ で は な く 生 徒 が 自分 で 思 考 し 、判 断 し、表 現 で きる余 地 をもたせ る

・ミ
コ ケ ー シ ョ ン の 目的 、相 手 、状 況 な どが 具 体 的 で あ り、生 徒 に とっ てもわか りや す い
ュ ニ

・日常 生活 で 起 こり得 る可 能性 が ある authentic な場 面や 生 徒の 生 活 や 経験と近 い 場 面を扱う


・あ らか じめ 準 備 を させ て 臨 ませ るの で は なく 初 見 で 即 興 的 に対 応 させ るこ とを基 本 とす る

最 後 に 、「具 体 的 に 生徒 の 作 品 例 等 が 不 明 確 で あ り、授 業 で の 指 導も曖昧 なままで ある」に 対 す る方途 とし


て は パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 とともに そ の 達成 を 判 断 す るル ーブ リッ クと生 徒 の 作 品例 を予 め鞴
、 、 して お くこ と

2015 )に よる と、ル ブ リッ クとは 、 フ ォ ー
を 提 言 した い 後藤 ( 。
「パ マ ン ス の 成 功 の 度 合 い を示 す 数値 的 な 尺

度 と、そ れ ぞ れ の 尺 度 に 見 られ る認 識 や 行 為 の 特 徴 を示 した 記 述 語 か らな る評 価基 準表 」と定 義 して お り、
ー 課 題 の 達 成 を 測 るた め に は 必 須 な も の で あ り 何 を教 え れ ば よい の か
パ フ ォ マ ンス 、ま た 何 が で きる ように 、

なれ ば よい の か が 明 らか となり 教 師 の 指 導 にも 生 徒の 学習 にも効 果 を もた らす と考 え る。また 、生 徒 の 達 成


の 姿を 作 品 例 として 事 前に 研 究 し、作 成 して お くこ とで 、複 数 の 教 師 で あっ て も指 導 に 一貫性 が 出 て くる 。

3 作成 す る CAN −DO リス トの 要 件
3.
これ まで 論 じて きた 観 点 か ら 以 下 の ようなCAN ・DO リス トの 要 件 を設 定 し 、実 践 した 。

interpreting
■ 学習 到 達 目標 の 設 定 の 際 に は 、「解 釈 す る ( )
力 」を基 軸 とした ミ ケ ーシ コ ュ ニ ョ ン 能 力 の 育成
を 考慮 す る 。
■ CAN ・
DO リス トの 能 力 記 述 文 を 、実 際の コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ン を 考慮 し、以 下 の ように 構 成 し、授 業 に も反 映 さ
せる 。

「CAN −DO リス トの 能 力 記 述 文 の 構 成 =
状況 ・
場面・
相手 + コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ン の 目的 + 内 容 + 求 め る能 力 」

3.
4 外国語 表現の 能力 と外 国語 理 解の 能力 の 違 い
紙面 都合 上 今 回 は 外 国 語 表 現 の 能 力 に 関す る実 践 の み を提 示 す る が 、外 国語 理 解 の 能 力 との 違 い に
の 、

つ て 簡 単で は あ るが 、述 べ て お き た い 。

外 国語 表 現 の 能 力 は 、1 、2 、3年 生 と段 階 を追 て 、到 達 目標 を 「OO が で きる 」とい う行 動 目標 で 設 定 し た 。


表 現 す る能 力 には 、段 階 性 があ り、語 彙 や 文 の 構 成 ・
文 法 事 項 とも 関連 が あ る。また 、自分 が 所 属 して い る生
活 空 間 の 広 が りも見 られ る 教 科 書 で も 自 己 紹 介か ら、家族 紹 介、そ し て
。 日本や文 化へ と広 が りを示 し て い る 。

そ の た め 、各 学 年 や 学 期 に お い て 、「○ ○す るこ とが で きる 」ことを 目指すこ とは 自然な流 れ と言 え る.


で は 、外 国 語 理 解 の 能 力 に っ い て は どうで あ ろうか 。 実 際の コ ミュ ニ ケ ーシ ョン にお い て 、英語 を用 い て何
が で きる とよい か を明 確 に する の が 学習 到 達 目標 の 使 命 で あ るとす る ならば 、た だ 文 章 の 意 味 を 文 字 通 りに

理 解 す る だ け で は なく、自分 な りに 解 釈 した 後 に 「 00 す るこ とが で きる 」こ とが 求 め られ る 表 出 する の に は 、 。

段 階 性が あ るが 、理 解 に は 、話 題 性 が あ り、多 少 難 し くて もで きる部 分 が あるか らこ そ 、 500 語 程 度の 英文 な


ど量 を示 す の で は なく、具 体 的 な英 文 も CAN ・
DO リス トに 関 連 させ て 記 載 す るこ とで 、どの 程度 の 内容 や レ
ベル の 英 文 に 対 応 で きれ ば よい の か を 明確 に 示 す こ とが で きると考え た 。

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4 .CAN −DO リス トを反 映 させ た 授 業実 践


1 作成した CAN −1)0
4. リス トの 特徴

CAN DO リス トを 自作 す る 際 に は 、以 下 の ような 手 順 を踏 ん で 行 た 。 っ


教 科 書の 分 析 を 学期 ごとに す る (場 面 題 材 文 の 構成・ 文 法 事 項 を視 点 に しなが ら)
、 、

・外 国語 表 現 ( 3,
理 解 )の 能 力 に 関 わ る 目標 を、記 述 文 の 形 で 設 定 す る ( 3 の 要 件 に 照 らし合 わ せ なが ら)
・目標 を 達 成 した こ とを 測 るた め の パ フ ォ ー ン ス 課 題 とル ー ブ リッ クを 具 体 的 に設 定 し 、CAN −DO リス トと連

動 させ た 。

次に 、1年 生 に お け る 1学 期 の CAN −DO リス トを 、表 1 に て 示 す。

表 11 年 生 の 1 学 期 に お ける CAN −DO リス トお よび パ フォ ーマ ン ス 課題
外 国語 表現 の 能 力 ーマ ンス 課題例
場面 パ フォ

特 有の 表 現 〈 自己 紹 介 〉 あなた は 、初 め て 会 うア メリカ か らの 留 学 生 John (


13 歳 )と
が よく使 われ 初 め て 会 う人 に 対 隣 の 席 に なりました。そ の 初 日、早 く彼 と友 人 になるた め に、
る場 面 し て 、自分 に 好 意 を 自分 の 名 前 、自分 の 好 み や そ れ に 関 わ る持 ち 物 、また は お
1
もっ て もらえ る よう す す め の 事 物 を含 め て 、自己 紹 介を しな さい ( 話 す) 。

学 ー
期 に 、趣 味や そ れ に 関 あなた は 、海 外 メの ル 友 達 を作 りた い と考 え て い ます 。

わ る 持 ち物 な ど を含 ある 日 、イン タ ーネ ッ トで 、メ ール 友 達 を 紹 介す る サ イトを 見

めた 自己 紹介をす る つ け まし た どん な 自己 紹 介 文 を サ イトに 掲 載 す るとた くさん


こ とが で き る 。
の 返 事 が も らえ る の か を考 え 、5 分 以 内 に 書きな さい 。(
書く)

自作 した CAN ・
DO リス トは 、学 期 ごとの スパ ン お よそ 3ヶ 月 )で 設 定 し 、具 体 的 に パ
( フォ ー マ ンス 課題例ま
で 関連 付 けて 示 す 点 に特 徴 が あ る。パ フ ォ
ーマ ン ス課 題 は 、目 常 生 活 で 起 こ り得 そ うな 場 面 を 想 定 しな が ら
設 定 し 、各 学 期 で 学 ん だ 力 を活 用 して 、 二・ ミュ ニ ー
ケ シ ョ ン が 即 興 的 に で きるよ うに した 。

さらに 、こ の パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 例 を達 成 し た 際 の 生 徒 の 作 品 も事 前 に 準備 して ある。つ ま り、自作 した


CAN −DO リス トは 、

能 力 記 述 文 」だ け で 完結 す るの で は な く 実 際 の 授 業 で 行 う「パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 」と達

ーブ リッ ク」ま で が 有機 的 に 関 わ り合 っ ー ブリッ クの 具 体につ て は 、表 2 を


成 度 を測 る 「ル て い るの で ある (
ル い

参照の こ と) 。

ル ー ブ リッ クに つ い ては、評 価 基 準 として 、原 理 ・一般 化 に 関 す る理 解 を視 点 とし 、達 成 し た か ど うか を判 断

するレ ベ ル を 設 定 す る ととも に 、そ の 具 体 的 なパ フ ォ ーマ ン ス 例 を 示 す ように 工 夫 した 。こ の こ とに よ て 、揚 っ

当 た り的 な指 導 で は なく、「英 語 で ここ ま で の ミ ケーシ ョ ン が で きる た め の 力 を 育成 す る 」とい う明 確 な 目


コ ュ ニ

的 をも て 、意 図 的 ・
っ 計 画 的 に 授 業 、学 習 を 進 め るこ とが で きる と考 え た 。
自作 の ル ー ブ リッ クで は A と B の 2 つ の 評 価 基 準 とし 、C は 設 定 して い な い 。指 導 す る上 で 、生 徒 が つ ま

ずく要 因 を 予 測しなが ら指 導を行 うことは 有 効だ と考 えるが 、で きな い 段 階 の 評 価 基 準 を設 定 す るこ とに 意 義


を 見 出 さな い か らで あ る また 、〈 パ フ ォ ーマ ン ス 例 〉 として あ るの は ど の ような知 識 ・

ス キ ル を発 揮 す る とよ 、

い の か を本 校 の 英 語 科 部 員 で 検 討 す るた めで あり、 他 校 で も工 夫 す る余 地 を残 す た め で もあ る 。

ーマ ーブ リッ ク
表2 前述したパ フォ ンス 課 題 例 に 対 応 させ 作 成 した ル
〈 評 価基 準 〉 〈 パ フ ォ ーマ ン ス 例 〉
一 知識 ・ ・
原 理 ・ 般 化 に 関す る理 解 技能 の ス キル プロ セス

「相手 へ の 関わ り・
相手 意識 を 大 ・
相 手 に 質問 で きる
切 に 会 話 を継 続 で きる力 」 ・
相 手 を誘 うこ とが で きる
相 手 に 質 問 した り、相 手 を誘 っ ・
周 りの 仲間 に つ い て も説 明 で きる
A
た りす るな ど 、相 手 意 識 を 持 ち
な が ら 、自 己 紹 介 を 5分 間 は 継
続して 行 うこ とがで きる.

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4.2 授業 展 開と指導
自作 の CAN ・DO リス トを、実 際 に は どの ように 活 用 した の か 実 践 ととも に述 べ る New HorizonEnglish
、 。

Course 2 (
東 京 書 籍 )を用 い て 、次 の ような実 践 を行 た ( 表 3参 照 ) 本 単元 で は 、下 表 の 2 年 生 1学 期 に
っ 。


お け る CAN DO リス トを 最 終 的 な 目標 とし そ こ か ら として 教 科 書 の 分析 を通 し て 、単 元 で つ けた い カ を設

定 した 単元 で の 指 導 を構 想 す る出発 点 を CAN ・
。 DO リス トの 学 習 到 達 目標 とす るこ とで 、本 単 元 の 役 割 が 明
確 に なっ た。

表 3New Ho 血 on Enghsh Course2 Unit2 単 元 構想 図 ※ 単位 時 間の 指 導に つ い て は 省略

また 、 では 、
「め ざす 本 単 元 出 口 で の パ フ ォ ーマ ン ス 」として 、2 年 生 1学 期 の 最 後 の 出 口 となる CAN −DO
リス トを 意識 し、本 単 元 で は どこ ま で 達 成 で きれ ば よい の か を考 慮 し 、こ の ようなパ ーマ
フォ ン ス 課題 を設 け、
生 徒 の 作 品 例 まで 記 載 す るこ ととし た 。
こ こで は 、 紙 面 の 都 合上 記 載で きな か っ た が 単 元 出 口 で
、 の パ フォ ー

ン ス の 達成 につ な げる た め に 単位 時 間で は ミニ パ フォ ーマ ン ス 課 題 を 設 定 して い る。さらに 、 で は、

、 本
ーマ
単元 の パ フォ ン ス の た め に活用で きる表 現 や 教 材 を位 置 付 け、授 業 で 活 用 した 。

単 元 全 体 の 構 想 として は 次 の 図 2 の ように なっ て い る。

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各 学 年 の 学 期 ご との CAN −DO リス ト
↓ ↓ ↓
の パ フォ ーマ ー 単元 の ーマ
単元 ン ス 単元の パ フ ォ マ ンス パ フ ォ ン

↓ ↓ ↓
ーマ ー ーマ ン
単位 時 間の ミニ パ フ ォ ン 単 位時間の ミニ パ フ ォ マ ン 単位 時間 の ミニ パ フ ォ
−DO リス トと単 元 、単位 時 間 との 関係
図2CAN

ーマ ン に お い て 以 下 の よう
この ように本 単 元 を構 想 し 、指 導 した 二 とに よっ て 、 生徒 は 単元 出 口の パ フ ォ ス

な作 品 を即 興 的 に 作 るこ とが で きた 。実 際 に は 、AIITに 話 した 内 容 を 、即 時書き留 め た も の で ある 。

rm going tO tellyou about my plan.Hokuriku is good fbryou to visit l)ecause you can watch
the new Hokuriku Shinkansen.Y{〕u can eat fセesh fishand you can enjoy Shibamasa World too.I ,

have been there before.


Do you know Mare ?Iam watching iton TV ,It’
‘ ”
s the story of Wajima . I hke Hokuriku very
.Why don t you go ?Have a nice trip.

much

5.ま とめ と今後の 取組
CAN ・ DO リス トを 自作 し 、そ れ を基 に 実 践 をす るこ とで 、各 学 年 の 学 期 ご とに 、生 徒が 何 を ど こま で で きれ
ば よ い の か が 明 確 に な り 単 元 単位 時 間の 指 導 に も生 か され た 。ま た 、CAN ・
、 、
DO リス トと、パ フ ォ ーマ ン ス
課 題 、ル ー ブ リッ ク、生 徒 作 品 例 を 関連 付 け て 作 成 した こ とに より、具 体 的 な指 導 改 善 とつ な が た 。 へ

さらに 、生 徒 は 、授 業 で 何 度 もパ フ ォ ーマ ン ス をす る 経験 を 積 む こ とで 、仲 間 との ミ ケーシ ョ ン に 興 味 コ ュ ニ

を 示 し、即 興 的 か つ 個 性 的 に 課 題 に 対 応 で きるように なりつ つ ある 教 科 書 の 扱 い 方 に も変化 が 起 こり 文 章


。 、

を 文 字 通 りに 理 解させ 、そ の 内容 に っ い て 質 問 をす る の で は なく、教 科 書の 本 文 の 続 きを 考え させ た り、作


者 の 意 図 を解 釈 させ た りす るなどの 発 問 へ
とシ フ トし て い っ た 。 そ れ に よ っ て 、生 徒 の 創 造 性も発 揮 され 、多
様 な表 現 で 課 題 に 取 り組 む 姿 が増 えて きた。
今 後 は 、パ フ ォ ーマ ン ス 課 題 が 教 科 書 の 内 容 か らや や 離 れ 、 難 し くな りが ち な 点 に つ い て 修 正 を 図 る ととも

に 、学 校 全 体 へ
の 組 織 的 な研 究 へ
と広 げる た め に 、まず は 英 語 科 部 員 との 連 携 体 制 を 強 化 し、他 教 科 に も
CAN −DO リス トの 理 念 を 浸透 させ て い きた い 。
岐 阜 県 池 田 中学 校 / 岐 阜 大 学 教 育 学 研 究 科 教職 実践 開 発 専 攻 )

引用文献
2015 ).『若 手 教 師 の た め の 英 語授 業 70
後藤 信 義 ( の ツ ボ』東 京 :三 省 堂 .
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〔東後勝

明 西出公之 ( 2000)『 ミ ケ
訳 )( ー シ ョ ン の た め のコ言 語 教 育』東 京 研 究 社出 版
ュ ニ : 〕

一 198 一

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