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水緒



6

三几叉
%弟
省令第 3 条第 2 項においては 水域施設の位置選定について ,同条第 3 項においては 静穏に保っための 設備
の設置について ,同条第 4 項において土砂等による 埋没を防止するための 措置について 規定したが,水域施
設に関しては ,係留施設,外郭施設及びその他の施設との 関係,築造後に付近の水域,施設,地形,
流況 ,
その他の環境等に 与える影響並びに 当該港湾の将来の 発展方向を十分考慮する。 また,専ら危険物を積載す
る 船舶に関する 水域施設については 特に配慮する 必要があ る。

(解説 )
㈲ 航路,港口,操船水面等操船上問題の 多い施設に関しては ,運航者,パイロット
等船舶関係者の 意見を聴
取 することが必要であ る。
(2) 専ら危険物を 積載する船舶の 用に供する泊地又は 船だまりについては ,二股船舶,特に
旅客船との出会い
が 少ない水域であ るとともに,生活環境を保全する必要があ る住宅,学校,病院等の 施設から分離されてお
り,かつ,危険物の
流出等による 事態に容易に 対処できるように 位置を選定することが 必要であ る。
(3) 旅客船,フェリⅠ漁船等のm に供する泊地, 船 だまりについては ,船舶航行上や荷役上の安全性,効率
性確保等の観点から ,他の船舶の泊地又は船だまりと 分離することが 望ましい。
(4) 木材の取扱い 施設は,原則として専用地区を設け ,一般施設と分離することが 望ましい。
(5) 静穏に保つための 設備には,防波堤等の外郭施設のほか ,消波上,沿い 波防止工 等 があ る。
(6) 土砂等による 埋没を防止するための 措置としては ,次に掲げるものがある。
(") 防砂堤, 導流堤等の外郭施設又はこれに 類する設備の 設置
(b) ポケット 唆深等 ,流下土砂を当該水域施設の 周辺で防止するための 措置
(。 ) 航路護岸その 他, 法崩れ等を防止するための 設備の設置
(d@ 金 塊

一 575 一
第 2 章 航 路

2.1 一 般

航路の設定に 関しては,安全な航行,操船の容易さ,地形,気象・
海象条件,関連施設との整合性等を
考慮する。

(解説 )
①航路とは,船舶の 航行に供するために 設定された所定の 水深と幅員を 有する水路であ り,航行機能上,次
のような条件が 満たされた場合,良好であ ると言える。
(、) 法線が直線に 近い。
(b) 航路の側壁と 海底面の形状の 影響,航走破影響等が 考慮され,幅広く ,水深が十分である。
(。 ) 風 ,潮流,その
他の気象・海象条件が 良い。
(d) 航路標識,信号設備等がよく整備されている。
(2) 航路の設定に 関しては,既往の類似した港湾の 実例を参考とし ,人出港船舶の航跡等に関して 検討を行 う
必要があ る。 また,地元海事関係者の意見を聴取することも 必要であ るが,同時に当該港湾における 航路標
識の整備状況,航行管制の施行の状況,航路分離の方法 (例えば,大型船・小型船 別 ,往復別 ) 隣接する泊
地からの離隔距離,港口への 進入角度,曳船の使用の有無等を 考慮する必要があ る。
(3) 専ら船舶の航行に 利用される水域は ,航路の指定がなくとも,この水域内での船舶の停泊,固頭が避ける
れるような措置がなされなければならない。

2.2 航路の法線 (告示第28 条第 ] 項関係)

航路において 屈曲部を有する 場合においては ,航路の中心線の交角はできる 限り小さくするものとする。

(解説 )
Ⅲ 屈曲角度は船舶の 旋回径 , 船速 ,喫水/ 水深比 ,航路標識等を考慮して設定する 必要があ る。
(2) 風及び潮流の 方向が航路と 直角に近い方向のときには ,操船に大きな影響を与えるので , 風 ,潮流の強い
所ではこれらの 影響を十分考慮する 必要があ る。
(3) 屈曲部における 航路の中心線の 交角は,おおむね30 。 を超えないことが 望ましい。 30 。 を超える場合には ,
航路の屈曲部の 中心線は曲率半径が 対象船舶の全長のおおむね 4 倍以上の円弧であ り,かっ,航路の 幅員が
所要の幅員以上であ ることとする。 ただし,スポーツ又はレクリエーションの 用に供するヨット ,モーター
ボートそのほかの 旋回性能の良好な 船舶を対象船舶とする 場合及び標識,信号等により 安全かつ円滑に 操船
が可能な場合は ,この限りでない。
(4) 屈曲部の法線の 交角が30。 以上で航路幅員が L の往復航路では ,図一筋2.2.]のようにすみ 切りをする 必
要があ る。

ⅩⅡ・ ㌔

Ⅱ・ ㌔
/
/ ・ ソ
/ 蒋

図一筋2.2.1 屈曲部におけるすみ 切り

一 576 一
(5) 航路を横断して 架橋する場合には ,高さ方向及び幅方向に十分なクリアランスを 確保する必要があ る。
クリアランスを 決定する場合は ,それぞれ次の事項について 注意する必要があ る。
(") 高さ方向のクリアランスに 関する事項。
① 船舶のマスト 高 ,船舶のトリム
② 潮汐,波高
③ 操船者の心理的影響
(b) 幅方向のクリアランスに 関する事項。
① 卓越風,潮流,橋脚形状による潮流変化
② 船舶の速力,操縦性能,停止性能
③ 操船者の心理的影響

︵︶
老雄 アに 等 画 く 心
)
るるとし推重
舶ド施 し 頭旋位
旋ンが 。て圏 前
のバ固 いし回宣
回ス 進ま原の方
に ︵みた 針 円に

旋な
回る
名の
祐太
,り


2



さこ

船で
きる

種き6




里、ノ


ヰⅠ




@




3
2

省令第 4 条第 1 項の規定に基づき ,航路の幅員の設定に当たっては ,対象船舶の諸元,航路の 通行状況


及び延長距離,気象・ 海象その他の 自然状況等を 十分考慮する。
同項のただし 書の「航行の 形態が特殊な 場合」とは,曳船の利用,待避水域の 設置などの配慮をする 場
合又は航路延長が 著しく短い場合等であ る。

一 577 一
(解説 )
㈲一般の航路における 航路の幅員は 次の値を標準とする。 ここで, L は対象船舶の 全長を示す。
(") 船舶の行き会 う 可能性のあ る航路においては , 12,以上の適切な 幅 とする。
ただし,
① 航路の距離が 比較的長い場合 1.5%
② 対象船舶同士が 航路航行中に 頻繁に行き会 う 場合 1.5L
③対象船舶同士が 航路航行中に 頻繁に行き会 う ,かつ航路の距離が比較的長い 場合 2L
(b) 船舶の行き会 う 可能性のな い航路においては , 0 . 5L 以上の適切な 幅 とする。
なお,幅員が ¥ ムを下回る場合には ,航行を支援する施設の整備等安全上の 対策を十分図ることが 望ま
しい。
(2) 特殊な航路 (通行量の著しく 多い航路,航路を横断する航行船舶が 予想される航路,超大型船を対象船舶
とする航路,気象・ 海象条件が厳しい 航路等 ) にあ っては,一般の航路において 標準とした値を 実態に応じ
て更に余裕を 含めた幅員とする。
(3) 一般の航路及び 特殊な航路において ,省令における「航行の形態が特殊な 場合」とは,曳船の利用,待避
水域の設置等の 配慮をする場合又は 航路延長が著しく 短 い場合等であ るが,ここで ,航路延長が著しく短 い
場合とは,航路の 全延長距離が 著しく短 い 場合及び航路全体の 中での対象となる 部分の延長が 著しく短 い場
合 であ る。
(4) 漁船又は 500総トン未満の 船舶を対象とする 航路においては ,利用実態に応じた適切な 幅員とする。

(参考 )
㈹ 航路幅員に関する 既往の研究事例
国内・海外において 示されている 航路幅員に関する 主な研究検討事例を 表一拳2.3 、 ] に示す。
概略のみを示すので 詳細については ,文献を参照されたい。

表 一 拳2.3.l 航路幅員に関する 研究・検討 例


研究提案者・ 著者等 往復航路 片側航路 文 献 等
本田啓之 輔 7.2 一8.25 4.6 一 5.1B 操船通論 け

湾 ・港内操船の 基礎3)
岩井 聴 8 一 105 5 一6戸
一 操縦性と泊地への 進入操船 一

Port Devoopment4'
TRADE@AND@DEVELOPMENT
UNITED@NATIONS@CONFERENCE@ON
75+30(m) 55 A handbook for pl nners
developing@ countries
i

The@ joint@Working@ Group@ PIANC@ and


4.2
14.2B
1.9
7.2B
APPROACH CHANE 」 S
皿PH , c0opera は on ㎡ 市 IMP 且皿 d Ⅸ
lA 一 一 A@ GUDE@ FOR@ DESGN5'

Gregory@ P , Tsinker 6.2 一 9.0B 3,6 一 6.0B


HANDBOOK of PORT AND
HARBOR@ ENGl EERNG6'

注 l) B ; 対象とする船舶の 型幅
注 2) 比較のための 試算値を示しており ,各文献で具体的にこの数値が示されているのではない。

なお,「L@oyd.s Ma Ⅱ ltime lnformation .95.6 」のデータに 基づく,貨物船の船舶諸元 L と B との関係は次


式 のようになっている。
・平均値 (50% 値 ) L 二 6,6R, (ただし, 25% 値 6.1B, 75% 値 7.2B)
しし
ノ Ⅰ @-
-J
; 全長 (m)
B ; 型幅 (m)

一 578 一
2,4 航路の水深

の水深を確保するとともに ,状況に応じ,底質,船舶の 動揺, トリム,船体沈下,海図誤差,測量誤差,


竣濠精度等に対する 余裕を考慮する。 なお,同項中 「船舶の特殊な 航行の用に供される 航路」とは船舶を
ドックに出入させるための 航路,二港掲げを常時行 う 場合の航路等,対象船舶の利用時の喫水が 常に満載
喫水より浅い 航路をい う 。

(解説 )
㈲ 船舶が水深の 著しく浅 い 水域を航行する 場合,次のような危険な状態になることが 想定される 2)。
(") 操縦が困難となり ,航行時の舵による保針 ,変針操作が 極めて低下する。 時には操舵の 効果が現れず 操
船不能に陥る。
(b) 係泊操船時の横移動等に 当たっては,非常に大きな抵抗を 受け , 大きな支援を 必要とするとともに 制御
が難しくなる。
(。 ) 航走 中の船体沈下の 増大のため,船底が海底に接触したりして 船体の損傷,機関や 推進器への障害を 招
く 。

(2) このため,航行の安全の確保めためには ,最大喫水時の船底と海底との 間隔,いわゆる余裕水深を確保す


ることが必要であ る。

(参考 )
積荷及び航行のために 生じる船の船首尾の 喫水差をトリムといい ,通常の積荷のとき ,低速では船首が沈
み ,高速となると船尾が沈む傾向があ る。
(2) 余裕水深を検討するには ,岩井2),本田 1 の文献等を参考にすることができる。 また,船舶の規模及び 船
速 による概略の 沈下量は, Hooft, J.P7@ 弍を参考にすることができる。

2.5 港口部の航路の 長さ (告示第28 条第 2 項関係 )

港口部の航路の 長さ及び連続する 泊地の広さは ,船舶の停止可能距離を勘案して,適切に 定めるものと


する。

(解説 )
船舶が自力で 入港する場合,防波堤等の遮へい外では , 風 ,潮流の影響を避けるため,あ る程度以上の 速度
を 保たなければならない。 このため,防波堤の開口部等から ,係船津までの航路の長さ及び 連続する泊地の 広
さとして,対象船舶の停止可能距離を 適切に確保することが 望ましい。

(参考 )
㈲ 入港・保治するに 当たっては,港口に達するまでに 減速しslow speed (5 一 7kt) 程度,あ るいは実状に
応じては 港外でいったん 機関を停止し 惰力で前進港内に 進入する。 以降適宜機関を 使用して泊地に 入るが,
泊地においてわずかの 後進力を使用してその 姿勢を偏向させないで 停止する程度の 惰力で接近することが 望
ましいとされている 2)。
(2) 減速に要する 距離は,船舶の 規模,初速等により 異なる。 その大きさを 検討するには ,岩井2),本田 1 の
文献等を参考にすることができる。 また,特に巨大船に関しては,日本海難防止協会の 研究 8)を参考にする
ことができる。 また,大型船はついては,曳船について配慮することが 望ましい。

2.6 航路の静穏 度 (告示第29条第 ] 項関係)

水域施設の利用船舶の 航行,パイロットの乗船,曳船の利用等を勘案して ,航路の適切な静穏度を確保


するものとする。
︵︶
説航

封メ





場合

場合
八口

影響

型ぬ

型ぬ

八口



八口




<




ときに大きい。 波の周期と船舶の 横揺れ固有周期が 一致しないように ,また全長と同じ程度の波長を 受けな
いようにしなければならない。 また,大型船が港口付近で低速航行する 場合,追波を受けると , 船と 波の柑
対速度が小さくなり , 舵 ききが悪く大きな 船首揺れが生じるおそれがあ る。 このため,港口付近で後方45 。
以内の追波を 受ける航路の 方向は避けることが 望ましい。
(2) 航路の静穏度の 確保には,優人波のほかに ,防波堤や岸壁からの沿 い波や反射波の 影響にも配慮すること
が必要であ る。
(3) 波浪条件の厳しいところにあ っては,対象船舶の入港速度及び 停止可能距離を 踏まえ,船舶の操縦性に対
応 した静穏度を 確保することが 必要であ る。
やむを得ず余裕水深が 小さいところでは ,船舶の動揺による沈下を防ぐよ う ,静穏度を高めることが必要
であ る。

(参考文献 )
1) 本田啓之輔 : 操船通論 (増補五訂版), 成 山童書店,1998
2) 岩井 聴 : 新訂操船論,梅友堂 , 1977
3) 岩井 聴 : 湾 ・港内操船の基礎,船長96 号,社団法人日本船長協会,1989
4) UNITED NATIONS CONFE ℡ NCE ON T ㎜ E 佃 D DEVELOPMENT : Po 「
t development
5) The JointWorking Group PIANC ㎝ d IAPH :Approach ChmneIs A Guide for Design, 1997
6@ Gregory Tsinker:H 皿 dbook ofPo 亡 and Harbor Engineering, 1996
7) H0oR, J.P:me Beha ㎡ our0faShip in HeadWWesatRes ㎡。 ㎏ dWater Dep 田s, lntShip BuiId ㎞ g Progress, VoI
21@ No , 244
8) 日本海難防止協会 : 巨大タン ヵ 一の安全対策に関する調査研究,1971

一 580 一
第 3 章 防波堤沖の航路

3.] 一 般

防波堤沖の航路の 設定に当たっては ,本編第 2 章航路によるほか , ぬ 6 白の安全かつ 経済的な速度の 航


行等を考慮する。

(解説 )
本章でい う 航路は,防波堤の沖合にあ って船舶が通常の 速度で航行する 航路であ る。

3.2 航路の幅員

防波堤沖の航路の 幅員は,本編 2.3 航路の幅員に 示す幅員以上とし ,波浪,


風 ,潮流,地形等の
自然
条件,航行速度等を考慮する。

(解説 )
船舶の並 航 , 追越しのあ る航路の幅員は 2 船 間の相互作用,船舶の船首揺 ,航路幅員の操船者に及ぼす 心理
的 影響等を考慮する 必要があ る。

(参考)
Ⅲ 2 船が互いに近接して 行き会 う 場合又は追い 越す場合,両船の周りの流れの 対象性が崩れることにより 生
じる吸引力,反発力が操船に及ぼす 影響を 2 船問 の相互作用という。
(2) 2 船間 の相互作用に 関しては,岩井1, 本田2)の文献を参考にすることができる。

3.3 航路の水深

防波堤沖の航路の 水深は,対象船舶に 対して本編 2.4 航路の水深に 示す水深を確保する。 なお, 防波


堤沖の航路は,一般に海象条件が厳しく ,船舶の航行速度が大きいこと等から ,特に,船舶の 動揺,船体
沈下, トリム,底質,海図誤差,測量誤差, 唆漂精度等に対する 余裕について 十分考慮する。

(解説 )
Ⅲ 波による船体の 動揺は全長,船幅,船速 ,波長,波高等により 決まるが,動揺による 余裕水深は,一般に
小型又は中型船の 場合は波高のおよそ 2 :3を,大型船に対しては 1/,2を見込めばよいとされている。 なお, 船

舶の航行条件が 類似する 他航路の実績を 参考にすることが 望ましい。


(2) 浅 い 水域又は航路断面積の 小さい水域では ,航行する船体周囲の水が加速され ,圧力が減少し船体付近の
水位が低下して 船体が沈下し , 多くの場合船首トリムに 変わる。 この場合,旋回性は悪くなるが保釣性能は
良くなる。
(3) サンドウェーブの 発生する航路及び 底質が泥状の航路については ,航路水深の設定に際して ,これらの 景多

響を考慮することが 必要であ る。

(参考文献 )
1) 岩井 聴 新訂操船論,海文覚,1977
2) 本田啓之輔 : 操船通論 (増補五訂版), 成山覚書店,1998

一 581 一
第4 章 泊 地

4.1 -@ 舟安

泊地の設定に 関しては,安全な停泊,操船の容易さ,荷役の効率性,気象・海象条件,港内反射 波 航 ・

走破等の影響,関連施設との 整合性等を考慮する。

(解説 )
泊地は,錨地,浮標泊地のほかに , 船 まわし場等の 操船水面を含んでおり ,その機能上,次の
条件が満され
ている場合,良好であ ると い える。
(1) 静穏かっ十分広い 面積を有する。
(2) 底質のいかりがかりが 良い。
(3) 浮標が整備されている。
(4) 風 ,潮流等の気象海象条件が良い。

4.2 泊地の位置と 面積
4.2.] 位 置

泊地の位置に 関しては,防波堤,ふ
頭,航路等の配置,静穏度の確保等に考慮して ,適切な場所に確保
する。

4.2.2 停泊又は係留の 用に供される 泊地の面積

㈲ 省令第 5 条第 1 項第 1 号の「停泊又は 係留の用に供される 泊地であ って。 岸壁,係船杭 ,桟橋及び浮


桟橋の前面の 泊地以覚のもの」とは , 錨泊及び浮標泊の 用に供する泊地であ り,その面積の設定には,
利用の目的,利用の 方式,海底地質,風速,水深等を 十分考慮する。
(2) 省令第 5 条第 1 項第 1 号 ただし書に該当する 停泊又は係留の 形態は,浮標 油 であ り,利用の方式及び
潮差が大きい 場合等浮標の 水平移動量を 考慮する。
(3) 省令第 5 条第 1 項第 2 号においては ,「停泊又は係留の用に供される 泊地であ って,岸壁,係船 杭,
桟橋及び浮桟橋の 前面のもの」の 広さについて 規定したが,そのうち 泊地の長さには ,対象船舶の全長
に対象船舶が横付け 係留する際に 必要な延長について ,泊地の幅については離着岸の安全性について 考
慮する。
(4) 突堤と突堤との 間の泊地の幅員は ,船型,バース 数,曳船の有無等に 十分考慮して ,適切に定める。
(5) 泊地の広さについては ,船舶の離着岸及び泊地への山人並びに 錨泊地にあ っては投錨誤差を ,危険物
を積載する船舶が 利用する泊地にあ っては,その保安距離を考慮する。

(解説 )
Ⅲ 船舶の錨泊の 方法には,利用度が 高い方法として 単錨泊 (図一解4.2.1(a)),双錨泊 (図一筋4.2. Ⅱ b)) が
あ り,それ以外の方法として, 2 錨泊 ,船首尾錨泊等 があ る。

(2) 伸ばすべき錨鎖の 長さは,船型, 錨泊の方法,気象・ 海象条件等により 異なる。 このため想定される 条件


下において,船舶に働く 力 に抵抗できる 係留アン ヵ 一の 把駐力 に加え海底に 横たわる鎖による 把駐力 を確保
できる長さとする 必要があ る。
なお、 一般的に錨鎖を 伸ばすほど,安定性は向上する。
(3) 錨泊地の規模は , 横たわる鎖の 部分について 考慮し,回転の 中心となる点から 船首までの水平距離に 自船
の長さを加えた 値を半径とする 円の大きさにより 求められる。
(4) 錨鎖の長さの 算定に必要な 諸元が不明な 場合の通常時の 錨泊地の規模は ,美一解4.2.1を参考にすること
ができる。
(5) 単浮標泊の状況を 図一筋4.2.1(。 )に,前後の浮標に係留する 双浮標泊の状況を 図一緒4.2. Ⅱ d)に示す。 この
双浮標泊 においては,浮標の配置が船首尾方向が 風,潮流と平行になるよ う に考慮しなければならない。
この浮標泊の 規模は,美一 解4 、 2.2 を参考にすることができる。

一 582 一
(6) 多数の突堤が 並列している 場合の突堤間の 泊地の幅は , 次に定める値を 参考にすることができる
は ; 対象船舶の全長 )
(a) 突堤の片側のバース 数がおおむね 3 バース以下の 場合 ;L
(b) 突堤の片側のバース 数がおおむね 4 バース以上の 場合Ⅱ.5L
なお,突堤の奥を船だまりに 使用する場合及び 給油船 ,はしけ等が泊地を利用する 場合は,その 利用状況
を考慮して幅員に 余裕を持たせることが 望ましい。

(b) 秋錦泊


(、) 単錨泊

(d) 双浮漂泊

(。 ) 単 浮漂泊

図一筋4.2.1 泊地の規模の 考え方 (1 隻当たり )

美一解4.2.1 錨泊地

利用の目的 利用の方式 l 海底地質又は 風速 @ 半 径


ナ自

いかりがかりが 良い L+6D
沖待



十 6D+30m

いかりがかりが 悪い


十 4.5D>
・Ⅴ

いかりがかりが 良い ん

いかりがかりが 悪い ん 十 4.5D+25m
注) L ; 対象船舶の全長 (m), D ; 水深 (m)

美一緒4.2,2 浮標泊の用に 供する泊地の 規模

利用の方式 l 広 さ

単浮標泊 半径㏄ 十 25m) の円

双浮標泊 ㏄ 十 50m) 及びⅣ 2 を 辺 とする長方形

注) L ; 対象船舶の全長 (m)

(参考 )
㈲ 錨沖方法,荒天時の 規模を検討するには ,岩井1, 本田f)の文献等を参考にすることができる。 また, 超
大型船に関して 検討するには ,日本海難防止協会田の 文献等を参考にすることができる。
(2) 特に,荒天時の錨治する場合の規模等の 検討には,鈴木4)により提案されているモデルを 参考にすること
ができる。

一 583 一
4.2.3 操船の用に供される 泊地の面積
( Ⅱ 船 まわし場

ぬ6 白の船首の回転 (以下「固頭」という ) の用に供される 泊地の規模に 関しては,固頭の形態,船舶の


固頭性能,係留施設・ 航路の配置,気象・ 海象条件等を 十分考慮する。


省令第 5 条第 1 項第 3 号のただし書の「船舶の 船首の回転の 形態によりその 広さを必要としない 場合」
とは,曳船を利 m した同項,十分な推力を有するスラスターを 利用した団頭及びいかりを 利用した団頭 等
の場合であ る。

(解説 )
Ⅲ 船 まわし場は , 他の水域施設等を 考慮し係留施設の 前面に適切に 確保することが 望ましい。
(2) 船 まわし場の規模は , 次の値を標準とする。
(、) 自力による固頭の 場合 3L を直径とする 円
(b) 曳船による固頭の 場合 2L を直径とする 円
なお,十分な推力を有するスラスタ 一においては ,曳船と同等に評価できる。
(3) 小型船等に関しては 地形等によりやむを 得ない場合には ,係留アンヵ Ⅰ 風又は潮流を利用することによ
り,次の値まで狭めることができる。
(a) 自力による固頭の 場合 2L を直径とする 円
(b) 曳船による固頭の 場合 l.hL を直径とする 円
(4) 地形上の制約等から 標準として示した 規模を確保できない 状況で,泊地に 隣接する航路等緊急時に 対応可
能な水域が確保される 場合等であ って,安全上支障がないと判断されるときには ,その規模を標準として示
した値 より小さくすることができる。

(参考 )
Ⅲ対象とする 船舶の具体的な 諸元や運動性能等の 特性が明らかであ り,安全上支障がないと判断される場合
はその規模を 標準として示した 値 より小さくすることができる。
(2) 係留施設と航路の 位置関係から ,対象とする船舶がおおむね 90 。 を超えない団頭の 場合には,安全上支障
がないことを 確認した上で ,その海域における最も適正な操船手法を 踏まえた形状とすることができる。

(2) 係留・解らん 泊地

係留・解らん 泊地に関しては ,曳船の有無,風 ,潮流の影響,操船の


容易さ等を考慮する。

(解説 )
一般には,港湾施設の効率的な配置及び 利用の面から ,係留解らん水面と航路とを 同一水面で計画するが ,
船舶の通行の 激しいところでは ,これを分離する場合もあ る。

(参考 )
係留・解らん 泊地の規模を 検討するには ,岩井1, 本田v)の文献等を参考にすることができる。 特に,曳船
による場合には ,中島5), 出癖6)の文献等を参考にすることができる。

4.3 泊地の水深

Ⅲ 省令第 5 条第 2 項の規定の泊地の 水深の,「適切な 深さ」とは,工事用基準面工より 満載喫水など 想


定される最大喫水に ,その最大喫水に対応した余裕水深を 確保した水深とする。
(2) 省令第 5 条第 2 項ただし書の「船舶の 特殊な停泊又は 係留の用に供される 泊地」とは, 蟻襲用の泊地,
二港揚げを常に行 う 船舶に対する 泊地等,対象船舶の利用時の喫水が 常に満載喫水より 小さい場合とす
る。
(3) 泊地の水深については ,対象船舶の満載喫水等が 明らかでな い 場合は,適切に 定める。

一 584 一
(解説 )
(1) フェリ一等を 対象とするⅤ白地で ,サイドスラスタ一の使用等一般と 異なる操船形態となる 場合には,この
影響を考慮する 必要があ る。
(2) 日本海沿岸等にみられるように ,天文潮 による潮位変動に 比べて平均水面の 季節変動が大きく 基本水準面
より低い潮位であ ることが頻繁に 生じる場合, 波又はうねりの 進入が著しい 場合等はその 影響を考慮する 必
要があ る。
(3) 公共の港湾の 施設のように 対象船舶の諸元を 事前に特定できない 場合の泊地の 水深は,第 8 編第2.1 バ一
スの 長さ及びバースの 水深に準じることができる。

4.4 泊地の静穏 度 (告示第29条第 2 項関係 )

水域施設の利用船舶の 停泊又は係留の 用に供される 泊地であ って,係留施設の前面のものにあ っては,


原則として,年間を通じて97.5% 以上の停泊 X は係留日数を 可能とする静穏度を 確保するものとする。
だし,係留施設又は係留施設の前面の 利用が特殊な 場合にあ っては,この限りでない。

(解説 )
Ⅲ係留施設前面泊地の 荷役限界波高は ,対象船舶の船積,船型,荷役特性等を 踏まえ適切に 定める必要があ
るが,美一緒4.4.]のとおりとすることができる。
なお,泊地の静穏度はついては泊地内の 波高をもって 評価することが 通例であ るが,必要に応じ,係留 中
の 船舶の動揺に 影響を及ぼす 波向 , 波周期等の影響もあ わせて考慮することが 望ましい。

表一解4.4.1 荷役限界波高

船 型 荷役限界波高 (ば、/,) 注) 小型船とは主に 船だまりを利用するおおむね 500G遜及


小 型 船 0 3m

未満の船,超大型船とは主に大型ドルフィン ,シーバー
ス を利用するおおむね 5 万 G ぶ級以上の船, 中 ・大型船
中 ・大型船 0 5m
・ とは小型船及び 超大型船以外の 船であ る。
超大型船 0 . 7 一 1.5m

(2) 港内避泊のための限界波高及び 風速は,対象港湾が外洋・内海のどちらに 面しているか ,対象とする船舶


の船種及び船型,さらに係岸 ,ブイ 泊及び錨泊等の係留方法等を 考慮して適切に 定めることが 望ましい。

(参考)
船体動揺と荷役に 関して,上田 5,), p 肌
JNC8)により提案されている 内容を参考までに ,義一拳4.4.1に示す。

表 一 拳4.4.1 荷役と船体動揺との 関係 絵

上 ︵

揺 ︶
左 ︵
右 m

下 m
胡 モ

横 揺 縦 揺 船首揺
ノ㌍Ⅰ

舟八

0 )

一般貨物船 士 1.0 士 0 75・ 土0 5 ・ 土 2.5 土 1.0 土 1.5


穀物運搬船 土 1.0 土0 5 ・ %0 ・ 5 土 1.0 % 1.0 土 1.0
鉱石運搬船 土 1,0 土 1.0 土0 5 ・ 土3.0 千 1.0 土 1.0
タンカー (外航 ) 土 1.5 土 0 75・ 土0 5 ・ 土 4.0 %2.0 土 2.0
タンカー (内航) 土 1.0 %0 ・ 75 % 0 5・ 土 3.0 土 1.5 土 1.5
コンテナ 舟合 (L07 エイり) 土 0.5 %0 ・ 3 士0 , 3 士 1.58) 土 0.58) % 0 58)

フェリⅠコンテナ 船 (RO/RO), %0.38) 土0 68)・ 土 0 38)


・ 土 1.08) 土0 58)
・ 士 0 , 58)
自動車運搬船

注 ) 文献 8) 以外は,文献 7) から

一 585 一
4,5 木材整理 場

省令第 5 条第 3 項に規定の木材整理 場の 「木材の流出を 防止するための 設備」には,木材係留用杭 , 木


材流出防止 柵等 があ り,周囲に外郭施設を設ける場合はこれに 代えることができる。 これらの構造,設備
等については ,第7 編2.10 木材取扱施設の 防波堤及び第 9 編2.5 木材の整理のための 荷さばき施設に
よる。

(参考文献 )
1) 岩井 聴 : 新訂操船論,海文覚,1977
2) 本田啓之輔 : 操船通論 (増補五訂版), 成 山童書店,1998
3) 日本海難防止協会編 : 超大型船操船の手引き,成山覚書店,1975
4) 鈴木康正 一点係留ブイの設計法 に関する研究,港湾技研資料 N0.829, 1996
5) 中島利雄 曳船操船 一 そのテクニック二 梅友堂 , 1979
6) 山懸侠一 曳船とその使用法,成虫壁書店,1992
7) 上田 茂,白石 悟 :Ⅲle Mow 下 e Ship Motions ぬ r C 肛g0 HandIing atWhawes, 港湾技術研究所報告第 27 巻第 4 号
1988 年 12 月,pp.3 一61
8)@ CRITERIA@FOR@ MOVEMENTS@ OF@ MOORED@ SHIPS@ IN@ HARBOURS@ A@Practical@ Guide@:@Report@ of@Working@ Group
No.24 Supplement ぬ BulleHn No.88, Pem]ment Intemad0nal Associaは on of N 輌 g 荻 on, 1995

一 586 一
第 5 章 船 だまり

船 だまりの設定に 関しては,安全な係留,操船の容易さ,気象海象条件,関連施設との
整合性などを 考
慮 する。

(解説 )
Ⅲ 船 だまりとは,小型船舶を係留するために 防波堤等で囲まれた 水面をい う 。
(2) 船 だまりの面積は ,船舶の占有面積,通航路及び船 まわし場を考慮して 定めるが,荒天時の避難実態を考
慮し,十分な広さとすることが 望ましい。
(3) 船 だまりの形状は , 波について所要の 静穏度を確保するのみならず ,船舶間の接触事故,係留索の切断等
が起こらぬよ う 配慮する必要があ る。
(4) 休憩施設の規模については ,利用実態を考慮した適切な 余裕福 (船舶相互の間隔 ) を加え必要延長を 算出
する。
(5) はしけ,通船の船だまりは,本船に近く陸上交通の 便利な所にすることが 望ましい。

(参考 )
漁船等の小型船が 利用する休憩施設で , 縦 着けによる係留の 場合の余裕福 はついて,利用者が支障を来たさ
ないとする余裕福 はついて参考として 以下に示す。

美一拳5.1.] 船幅と余裕幅の 関係

百日
市河 八ロ 市甲 余 裕 福
2m 未満 1,0 一 2.0m

2m 以上 4m 未満 1.5 一 2.5m

4m 以上 2.0 一 3.0m

船幅 (m)

図一拳5.].1 船幅と余裕幅の 関係

一 587 一
第 6 章 水域施設の維持管理

6.] 一 般 (告示第30 条関係)

水域施設は,船舶が安全かつ円滑に 利用できるよ う に,自然状況及び施設の利用状況に 応じて,適切な


基準に基づいて 維持管理を行 う ことを原則とする。

(解説 )
Ⅲ河口港又は 漂砂の大きいことが 予測される海浜部に 水域施設を計画するときは ,洪水時の流砂量又は波浪
及び潮流による 漂砂量を推定し ,将来にわたって必要とされる 維持俊喋の程度を予測する。
(2) 土砂等による 埋没のおそれのあ る水域施設は ,定期点検を適切に行 う とともに,必要に応じ,異常時点検
を行 う 。 点検により水深及び 幅員等が確保できないおそれのあ る場合には,所要の対策を講じる。
(3) 定期点検とは ,実施時期及び区域を定めて 行 う ものであ り,異常時点検とは,異常気象等により 埋没が想
定される場合の 点検であ る。
水域施設は,地形,底質,海象等その 置かれている 状況がそれぞれ 異なる。 したがって,点検の間隔, 評
価及び対策についてはそれらの 状況に応じ適切に 定めて行 う 。

一 588 一

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