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品質管理の「基本的な考え方」について説明します。

「品質管理」を実践してゆくには、まず、「品質管理」の「基本的な考え方」を理解する必要
があります。

「品質管理」は、品質管理をおこなう部署、品質管理部や品質保証部だけでおこなうのではあ
りません。
企業の全部署でおこなってゆきます。

そのため、品質管理の基本的な考え方は、企業で働く全員が理解する必要があります。

「品質管理」には、次のような基本的な考え方があります。
非常に重要です。

1. 品質第一

顧客は、提供する製品やサービスが良くなければ購入しません。
顧客は、製品やサービスの「品質を第一」に考えています。

当然、企業でも、全員が「品質を第一」とした考え方で、品質管理を推進する必要があ
ります。

2. 顧客志向

製品やサービスがお客様に満足して頂けるかどうかが非常に重要です。
お客様のことを第一に考えることが大切です。
お客様を最重要視する考え方を「顧客志向」とか「マーケットイン」「お客様が第一」
などと呼んでいます。

3. 後工程もお客様
「顧客志向」を、自分の仕事に発展させたときはどうなるでしょうか。
自分の仕事の後を引きついで行く人が自分の「顧客」になります。
次の工程の人を「後工程」と呼び、「後工程」の人に喜んで頂ける仕事をすることが重
要になります。
つまり、「後工程もお客様」という考え方で、皆が仕事をすればよい結果に結びつきま
す。

4. プロセスを管理する

製品の品質だけではなく、その製品の品質が常に良いものが生み出せるように、その
「プロセス」(過程、仕組み)に着目することが重要です。

商品やサービスの結果が悪いということは、その結果を生み出している「プロセス」に、
問題があるということです。

「品質を工程で作りこむ」という考え方が重要です。

「プロセスを管理する」ということは、設計、部品や原材料、製造工程などの
プロセスや仕事のやり方に着目して管理し改善させていくことです。

5. 重点志向で問題・課題に取り組む

品質管理活動をおこなう場合、問題全部に対して改善の対策を打つのは効率的ではあり
ません。
経営資源は限られています。
「優先順位」を明確にして、大きいものから、改善活動などをおこなってゆきます。
「重点志向」と呼んでいます。
「QC 七つ道具」の「パレート図」などを使用して重点志向すべき内容を把握すること
ができます。

6. 事実に基づく管理

品質管理は、「事実」を重視します。
事実情報を入手し、判断して行動します。
必ずデータを収集し、統計的方法を使用します。
統計的方法の代表的なものが「QC 七つ道具」です。

7. 管理のサイクル
「管理のサイクル」は、「PDCA のサイクル」とも呼んでいます。
品質管理の「管理」は次の「PDCA」を回すことです。

o 計画(Plan)= P
o 実施(Do) = D
o 確認・評価(Check) = C
o 修正・処置・対策(Action) = A

であり、これを繰り返し回すことにより、改善してゆくことです。

別ページで詳細を説明しています。

8. ばらつきの管理

製品やサービスは「ばらつき」が発生します。
「ばらつき」が小さい場合には問題がありませんが、大きくなると重大問題が発生する
可能性があります。
「品質管理」は、統計的手法を使って、この「ばらつき」を最小限にしてゆきます。

9. 変化点管理

プロセス及びその相互関係を迅速にかつ敏感に察知して、問題の発生を予防することを
「変化点管理」と呼んでいます。
10. 見える化

プロセスの状態を誰が見ても理解できる状態にすることが重要です。
その為には活動状況や結果を一目でわかる状態にします。

11. 全員参加で取り組む

品質管理は、製造部など特定の部署や組織で実施するのでは、大きな効果は期待出来ま
せん。
製品やサービスの品質は、企業全体の組織の一人一人の仕事で、PDCA のサイクルを回
すことにより、効果は非常に大きくなります。

これらの品質管理の「基本的な考え方」を実践するために、いろいろな手法(ツール)や管理
のやり方が考えだされました。

その他にも次のようなものがあります。
「源流管理」「再発防止」「標準化」「人間性尊重」などです。

「継続的改善」について説明します。

問題が発生した場合、発生した異常に対して、原因を究明して抜本的な対策をおこなう必要が
あります。

その結果、「ばらつき」が小さくなり、安定した状態になります。

「管理」と「改善」は、技術の進歩のための重要なステップです。

「管理のサイクル」で説明したように、PDCA を回しながら、

標準化―>管理―>改善―>標準化―>管理―>改善

を段階的に進めてゆきます。

このことを「継続的改善」と呼んでいます。

品質管理は、「継続」することが重要です。

そして、改善した「再発防止」の対策をきちんと標準化しておくことが重要です。

製品の不良は何故、発生するのでしょうか?

製品には、設計品質として、決められた目標値や規格があります。

製造した全部の製品が、目標値や規格の許容範囲内であればよいのですが、全部の製品が許容
範囲内にあることは、ありません。

製造した、製品には、必ず「ばらつき」が発生します。

許容範囲内にないものは不合格、不良品になります。

「不良」が発生するのは、材料を購入し、加工、組立をおこなうときに「ばらつき」が生じる
ためです。
では、どういう「ばらつき」があるのでしょうか?

主に、次の5つの「ばらつき」があります。

 材料、部品の「ばらつき」

 設備、機械の「ばらつき」

 作業者の「ばらつき」

 加工や組立など作業方法の「ばらつき」

 検査、測定の「ばらつき」

などです。

なぜ、不良は発生するのでしょうか?

上の「5つの特性」に「ばらつき」が発生し、結果的に、製品の出来栄え(品質)に「ばらつ
き」が発生します。

「不良」は、製品の出来栄え(品質)が、設計品質で設定した目標値や規格からはずれること
です。

では、どうすれば、「不良」を無くせるでしょうか?

製品の出来栄え(品質)がばらつくのは、上の「5つの特性」に「ばらつき」が発生すること
です。

「不良」を無くすには、上の「5つの特性」に着目して、「ばらつき」に影響を与える要因を
発見し、排除することです。

この「ばらつき」の原因を発見したり、管理するために、いろいろな道具ややり方があります。

5M の管理について、説明します。

製品を製造する場合、いろいろな要因で不良が発生します。

「ばらつき」の管理でも説明しましたが、特に、次の「5つの特性」が重要だと言われていま
す。

英語に直すと、全部、頭文字に「M」が付きますので「5M」と呼んでいます。
 材料、部品(Material)

 設備、機械(Machine)

 作業者(Man)

 作業方法(Method)

 検査、測定(Measurement)

です。

これらの5つを管理することにより、安定した品質の製品を製造することができます。

最近では、これに、環境(Environment)を入れることもあります。

それぞれについて説明します。

■1.材料、部品(Material)

材料や部品に「はらつき」があったり、不良品があると、加工、組立に影響をします。

材料や部品の受入れ段階で、「ばらつき」が規格内であることを確認します。

材料、部品の品質に問題がある場合は、資材部、購買部、外注部門を通じて、品質を保証する
ように取引先に再発防止や品質改善を要求します。

■2.設備、機械(Machine)

次に、設備や機械があります。
設備や機械の精度や「ばらつき」が品質に影響します。

次のような対策をおこないます。

 作業前には、必ず、設備や機械の条件や精度をチェックします。

 設備、機械の条件設定を作業標準に入れます。

 点検、整備をきちんと定期的におこないます。

■3.作業者(Man)

作業者の技能の「ばらつき」が製品の加工、組立の品質に影響します。

技能のレベルによって、適切な教育、訓練をおこないます。
また、計画的に、能力向上をおこないます。
■4.作業方法(Method)

作業方法の「ばらつき」が、製品の加工、組立の品質に影響します。

加工、組立の作業順序や作業条件、作業方法が異なると、品質に「ばらつき」が発生します。

作業手順、方法を定め、「作業標準書」や「QC工程表」を作成します。
「作業標準書」通り、作業が行われるように教育、訓練をおこないます。

品質改善などで、作業方法が変更された場合は、必ず、「作業標準書」や「QC工程表」を改
訂します。

■5.検査、測定(Measurement)

測定機器の精度、測定条件、測定方法など、測定機器や、測定者の技能によって、測定データ
に「ばらつき」が発生します。
製品の品質に影響します。

次のような対策をおこないます。

 測定機器の精度の「ばらつき」を少なくします。

 測定機器の測定方法や製品の「合否」の識別方法の標準化をおこないます。

製品の「合否」の識別の判定制度を管理します。

追加ですが、「環境」についても説明します。

■6.環境(Environment)

工程の温度、湿度、大気圧などの環境が、材料、機械・設備、作業条件、検査・測定などに影
響し、仕上がり精度に影響を与えます。
「ばらつき」が発生します。

一定の環境条件の下で加工、組立をおこないます。

品質管理とは何でしょうか?

■1.品質管理とは

現在、国際的に品質管理について定義されているものは、「ISO9000s ファミリー」です。
「品質マネジメントシステム」について定義されています。

「ISO9000s ファミリー」は、「品質管理」の管理や仕組みについて定義しています。

ISO とは、International Organization for Standardization の略です。


ISO は、「アイエスオー」とか「イソ」などと呼びます。
日本語では、「国際標準化機構」と呼んでいます。

ISO9000s では、「品質マネジメントシステム」として次のように定義しています。

 (a)品質マネジメント(Quality Management)
「品質に関して組織を指揮し、管理するための調整された活動」です。
注記として
品質に関する指揮及び管理には、通常、品質方針及び品質目標の設定、
品質計画、品質管理、品質保証及び品質改善が含まれる。

 (b)品質管理
「品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部」

です。

難しくて、よくわかりませんね。

1956 年に制定され、1999 年に廃止されましたが、1981 年に改訂された JIS Z8101(品質管理用


語)は、「品質管理」を次のように定義しています。

「品質管理とは、買手の要求に合った品質の品物または サービスを経済的に作り出すための手
段の体系」
と定義しています。

つまり、

 顧客に提供する品物やサービスが顧客の要求する品質(Quality)、価格(Cost)、納期
(Delivery)になっていること。

 品物やサービスをなどを各職場や部署で他社より安く早く効率よく提供できること。

 それらをおこなうために、固有技術だけではなく統計を利用した管理技術を全社的にお
こなうことです。

です。

こちらの方がわかりやすいと思います。

現在は、JIS Z8101(品質管理用語)は ISO9000s に統合されたようですが、考え方は同じです。

この品質管理をおこなうために、いろいろな考え方や方法があります。

日本の製品の品質は、世界一です。
それは、品質管理技術が優れているからです。

戦後から、現在まで、企業では、いろいろな品質管理技術が生まれました。
■2.品質管理の範囲

品質管理という場合、2つの意味があります。
「狭義の品質管理」と「広義の品質管理」です。

 狭義の品質管理
製品のみの品質管理をおこなう顧客に提供する活動です。
主に、製品の製造に関係する、製造部や品質管理、生産技術、購買部などが、中心に品
質管理活動をおこなってきました。

 広義の品質管理
顧客や社会の要求する品質を満たし、ニーズにあった製品やサービスを作って提供する
ための品質管理活動です。

最近では、「広義の品質管理」が一般的になっています。

「ISO9000s」や「TQM」(総合的品質管理)/「TQC」(全社的品質管理)は広義の品質管理
活動です。

■3.品質管理の対象

品質を管理する対象は、品物またはサービスだけではなく、そのプロセスも含まれます。

つまり、企業の全部の仕事で品質管理をおこないます。

■4.品質管理を実施する部署

品質管理を効果的に実施するためには、製造だけではなく、企業全体でおこなう必要がありま
す。

市場調査、研究、製品の企画、開発、設計、生産準備、購買、外注、製造、検査、出荷、販売、
及びアフターサービス、財務・経理、人事、総務などの企業の全部門で品質管理活動を進めて
ゆく必要があります。

「品質」とは、何でしょうか?

「品質管理」は、「品質」を「管理」します。

その「品質」についてです。

■1.品質とは

「品質」とは、

ISO9000:2005(2005 年に制定した ISO9000 という意味です。)に「品質」は次のように定義


されています。

3.1.1 品質(quality)
品質とは、
「本来備わっている特性(3.5.1)の集まりが要求事項(3.1.2)を見たす程度。」
です

(最初に付いている番号、3.1.1 などは、1SO9000 に定義されている分類のナンバーです。)

3.5.1 特性(characteristic)
特性とは
「そのものを識別するための性質」
です。

3.1.2 要求事項(Requirement)
要求事項とは、
「明示されている通常暗黙のうちに了解されている、または義務として要求されているニーズ
又は期待。」
です。

これもよくわかりませんね。

JIS Z 8101:1981(品質管理用語)には、次のように定義しています。

「品質」とは、
「品物またはサービスが、使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象とな
る固有の性質・性能の全体」
と定義しています。

こちらの方がわかりやすいと思います。

つまり、品物やサービスの顧客からの要求事項や、ニーズに合っているかを決める特性です。

商品のカタログや仕様書などの項目です。

工程などの品質になると、「不良項目」、「製造条件」などになります。

■2.品質の種類

「品質」には、製品やサービスからみると次のような種類があります。

1. 企画の品質
顧客(消費者)のニーズを反映した製品であるかどうかです。

2. 設計における品質
企画の品質とよく似ていますが、どんな製品を市場に出したいかです。
その製品の設計するために、「製品規格」や「品質規格」を決めます。

3. 購買品・購入品の品質
製品を作るための、原材料や部品などの購買品の「品質」があります。

購買品の仕様や条件などです。

4. 製造工程における品質
製品は製造工程での品質を満足することによりより製品を作ることができます。
「製造条件」、「不良項目」、「不良率」などです。

5. 検査における品質
検査工程で使用する品質、「検査項目」、「管理基準」などです。

6. 使用品質
顧客がその商品を使用するときの品質です。

「機能」や「仕様」です。

7. サービスの品質
サービスの品質です。

「アフターサービス」などがあります。

「品質管理」は、企業のそれぞれの部署が、自分たちの部署の「品質」を「管理」します。
製造部だと、工程の「品質」ですね。
購買部だと、原材料や部品などの「購買品・購入品の品質」ですね。

「管理」とは、何でしょうか?

「品質管理」は、「品質」を「管理」します。

次は「管理」についてです。

「管理」とは、ある目的を効率よく継続的に達成するために必要な活動を意味しています。

実際には、次のステップで行います。

1. 計画(Plan)= P
2. 実施(Do) = D
3. 確認・評価(Check) = C
4. 修正・処置・対策(Action) = A

です。

これを繰り返し回すことにより、改善してゆきます。

「管理のサイクル」と呼んでいます。

アメリカのデミング博士(W.E. Deming,1900-1993)が 1950 年(昭和 25 年)、日本に来日しま


した。
「管理図法」や「抜き取り検査法」などの「統計的手法」と合わせて、品質管理の基本的な考
え方である「デミングのサイクル」の話をしました。

「デミングのサイクル」から「管理のサイクル」が生まれました。

「管理のサイクル」には、前述した4つのステップがあります。
それぞれの内容について説明します。

1. 計画(Plan)

目標を達成するために、「実行計画」を立てます。
誰が、何を、何時までに、どのようにおこなうのかを決めます。
目的、目標、作業標準、帳票などを明確にします。

2. 実施(Do)

計画通りに「実行」します。

3. 確認(Check)

計画通りに実行されているのかを結果を「確認」(チェック)します。
遅れている場合は、その問題点と原因を明確にします。

4. 処置(Action)

問題の原因を分析して「対策」をおこないます。

です。

そして、また「計画」に戻ります。
この4ステップを繰り返して、目標達成への活動をおこないます。

この「管理のサイクル」を継続してゆくことを「管理のサイクルを回す」と呼んでいます。
「PDCA を回す」などとも呼んでいます。

この改善を継続して、進める上で重要なのが、「標準化」です。
「マニュアル」、「要領」、「指図書」、「ガイドライン」、「標準書」などを作成します。

「対策」には、「応急対策」と「再発防止」(恒久)対策があります。
必ず、「再発防止」までおこない、それを「標準化」することがたいせつです。

「管理のサイクル」の PDCA が回ったあとには、必ず「標準化」する必要があります。

「品質管理」の全体像は、どうなっているのでしょうか。

日本の「品質管理」は、第二次世界大戦後、アメリカから日本に「品質管理」が導入されてか
ら、半世紀近くたっています。

第二次世界大戦後、アメリカからデミング博士が来日して、「統計的品質管理」(SQC)を説
明しました。

その後、「QC サークル活動」、「TQC」(全社的品質管理)、「TQM」(総合的品質管理)、
「ISO」など環境の変化に対応して品質管理が進化してきました。
現在の品質管理には、「その考え方」から、「活動」、「ツール」(道具)などいろいろなも
のがあります。

品質管理をはじめて勉強される方や、はじめて品質管理を導入される企業では、いろいろあり
すぎて何から勉強してよいのか、また何から導入すればよいのかわからないと思います。

まず、品質管理の全体像を把握する必要があります。

品質管理の全体像を表すのはとても難しいのですが、わかりやすいように次の4つのグループ
に分類しました。

1. 品質管理の考え方
品質管理をおこなう場合の考え方です。
品質管理を行う人はまず理解する必要があります。
非常に重要です。

2. 品質管理を維持する方法
一定の品質を維持するための手法です。

3. 品質を改善する方法
品質を改善するための手法です。

4. 組織を改善する方法
組織や品質管理の仕組みを改善する方法です。

です。

それぞれのグループ別に、次のような個別の仕組みや道具(ツール)があります。

■品質管理の全体像

大分類 ツールや手法 ツールや手法の詳細


品質管理の考え方
ISO9000s の導入
QC 工程表
品質管理を維持する方法 作業標準
管理項目一覧表
工程異常報告書
品質を改善する方法 QC 七つ道具 パレート図
特性要因図
グラフ
管理図
チェックシート
ヒストグラム
散布図
層別
親和図法
連関図法
系統図法
新 QC 七つ道具 マトリックス図法
アローダイアグラム
PDPC 法
マトリックス・データ解析法
改善提案
5S
検定・推定
相関分析・回帰分析
統計的方法 多変量解析
実験計画法
信頼性工学
QC サークル活動
プロジェクトチーム
方針管理
組織を改善する方法
日常管理
機能別管理
トップ診断

このホームページでも、上の分類で説明しています。

それぞれの詳細については、重要なものを別途説明しています。

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標準化」について説明します。

■1.標準化とは

「標準化」について、「JIS」には次のように定義しています。

「実在の問題または、おこる可能性のある問題に関して、与えられた状況において最適な秩序
を得ることを目的として、共通にかつ繰り返して使用するための記述事項を確率する活動」
です。

「標準化」とは、
製品・サービスの品質・質をばらつきがなく一定レベル以上にする方法です。
■2.標準化の目的

「標準化」は、製品やプロセスを統一または単純化し、製品やサービスの品質の改善、生産、
使用の合理化や取引の公正化を図っています。

「標準化」には次のような目的があります。

 互換性のある製品を作ることができます。

 個人の判断が入るのを少なくすることができます。
全体の効率も上がります。

 品質上、押さえるべき個所を明確にすることができます。
品質に影響する品質特性、管理水準を明確にしてバラツキを少なくすることができます。

 改善が容易になります。
人によってやり方が異なると原因追究が難しくなります。

■3.社内標準の種類

「標準化」するには、社内で「マニュアル」「QC 工程表」「作業標準書」を作成する必要が
あります。

「作業標準書」には次のようにいろいろな種類があります。

 規程
 規則
 規定
 規格
 要領
 指示書
 作業標準

などです。

企業によって異なりますが、一般的な繋がりの例です。

基本的大綱の
基本的大綱 具体的な作業
具体的な展開
一般規則 XX規則 XX細則 XX手続、要領
管理規定 XX規定 XX細則 XX手続
技術規格 XX規定 XX細則
技術標準 XX細則 XX手続、XX標準
それぞれの内容の概要です。

 規定
部署の機能についての取り決めを規定します。
主管部門、関連部門、体系、日常管理、会議体、職務分掌を規定します。

 規則
規定を受けて、内容の規則を定めます。
異常と異常処理を定義します。

 細則
実際の作業についての詳細を定義します。

 要領
治歳の作業のやり方について説明します。
作業標準書のようなものです。

「社内標準書」の体系の例です。

「マニュアル」や「作業標準書」の体系の例です。

企業によって異なっていますが、一般的な例について説明します。

■1.社内標準の体系例1

「機能や内容別」の社内標準の例です。

機能・内容 標準例
(1) 総括的な標準 社内標準管理規定、品質管理規定
(2)設計・製品関係の標準 製品規格、設計標準、図面管理規定
(3)製造関係の標準 製造技術標準、作業標準、作業指導票
(4)試験・検査関係の標準 検査規格、検査業務規定
(5)資材関係の標準 原材料規格、部品規格、購買管理規定、外注管理規定
(6)設備関係の標準 設備管理規定、計測器管理規定
(7)保管・運搬関係の標準 包装規格、倉庫管理規定、運搬管理規定
(8)苦情処理関係の標準 苦情処理規定
(9)安全・衛生関係の標準 安全管理規定、衛生管理規定、公害防止規定

■2.社内標準の体系例2

「業務」と「技術」に分けた時の社内標準の例です。
内容 区分 標準例
1.企業の一般的 - 定款、就業規則、組織協定、職務分掌規定、職務権
な規則 限規定、会議規定
(1)総括 品質管理規定、標準管理規定、苦情処理規定
(2)人事 教育訓練規定、資格認定規定
(3)経理 出張旅費規定
(4)営業 販売管理規定、顧客情報管理規定
(5)資材 購買業務規定、外注管理規定
2.業務標準
(6)技術 研究管理規定、製品開発規定、設計管理規定
(7)製造 生産管理規定、不良品処理規定
(8)設備 設備管理規定
(9)倉庫・運搬 倉庫管理規定
(10)検査 検査業務規定
(1)設計・製品 製品規格、図面、設計標準、製図方式、図面様式
(2)材料 材料規格
(3)部品 部品規格
(4)治工具・副 治工具規定、副資材規定
3.技術標準 資材
(5)設備 設備保全基準
(6)製造 製造技術標準、作業標準、QC 工程表、作業指導票
(7)試験・検査 検査規格、試験標準
(8)倉庫・運搬 包装規格、包装材料規格

参考にしてください。

「作業標準書」について説明します。

■1.作業標準書とは

「作業標準書」には、作業の手順と作業をおこなう上でにポイントとなる事柄、使うべき工具
などがわかりやすく記載されています。
手順書ですね。

主に、初心者への教育に使用します。

■2.作業標準書の目的

「作業標準書」には、次のような目的があります。
 作業者による作業法のバラツキを少なくします。

 改善の結果、最も良い方法として定めています。

 新入社員の教育訓練として使用します。

 ノウハウの蓄積として定めています。

などです。

■3.作業標準書の内容

「作業標準書」は、特に決まった帳票はありません。

一般的には、次のような内容を入れた方がよいと思います。

 適用範囲

 作業目的

 使用する材料、部品、情報、

 使用する設備、機器、システム

 作業者の職務、職位

 管理者の職務、職位

 作業を担当する人が持つべき資格・技能

 作業時期、作業場所

 作業の手順、やり方

 品質規格/品質特性、その計測方法

 品質、安全上で注意すべき事項

 異常時の処置

などです。

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「QC 工程表」とは何でしょうか?

製造の工程には、「QC 工程表」があります。
非常に重要です。

■1.QC 工程表とは

「QC 工程表」とは、1つの製品の原材料・部品の購入から完成品として出荷されるまでの工
程の各段階での、管理特性や管理方法を工程の流れに沿って記載した表です。

つまり、製造現場の品質を保証するために、各工程で、どのような「製造条件」をコントロー
ルしているか、どのような「品質特性」を誰が何時、確認しているかを表したものです。

「QC 工程図」とも呼んでいます。

■2.QC 工程表の目的

「QC 工程表」には次のような目的があります。

 現在の工程に内在している問題点を洗い出すことです。

 改善活動や工程の異常の検出・処置の成果を管理の仕組みに反映するためです。

 お客様に自社の品質状況を説明するためです。

 品質保証活動を確実に実施するためです。
不良の発生を防ぎます。

 品質改善した結果を確実に記録しておくことです。

 変更管理をおこなった結果を確実に記録しておくことです。

などです。

■3.「QC 工程表」の用途

「QC 工程表」は次のような用途に使用されます。

1. 作業標準書を作成するときの基準として使用します。

「QC 工程表」の管理項目や管理基準を満足するように、それぞれの工程の作業方法を
「作業標準書」にまとめます。
製造現場の人は、「作業標準書」を見て、工程の品質を確保するように作業をおこない
ます。

2. 作業者への教育のテキストとして使用します。

「QC 工程表」には、全部の工程と品質に関係する情報が網羅されています。

「QC 工程表」を使用することにより工程全体の中で、自分が受け持つ工程や仕事の位
置づけを理解することができます。
品質に対する意識づけや責任を持つことができます。

3. 品質管理の実施状況のチェックに使用します。

「QC 工程表」の管理項目を日常的にチェックすることは重要です。
実施状況をチェックシートなどに記入します。

管理者は、チェックシートなどで、工程の品質が管理されていることを確認します。

4. 不良発生時の原因追究に使用します。

製品の不良が発生したときに、原因を調べるときに、「QC 工程表」を使用します。

品質に影響を与える工程や品質特性などを調べます。
特性要因図なども併用します。

5. 変更管理に使用します。

設計変更、製造方法や製造条件が変更されるときに、「QC 工程表」を使用します。

変更管理によって、「QC 工程表」を改訂してゆきます。

6. お客様への品質管理の説明資料として使用します。

お客様は、購入する製品が、品質基準に合致しているのか、品質管理が正しく行われて
いるのか心配しています。

「QC 工程表」を使って、きちんと品質管理がおこなわれていることを説明します。

お客様に説明するときは、「QC 工程表」をそのまま説明することは、殆どありません。
社外に出せるもののみを抜粋します。

7. 外注業者から購入する材料・部品の工程監査に使用します。

外注業者から購入する材料や部品が工程の品質基準を満たしているか、定期的に工程監
査をおこないます。

その工程監査のときに外注業者が作成した「QC 工程表」を使用します。

■4.作業標準との違い
「QC 工程表」は、品質に関係する項目と品質特性や基準が表示されています。

「作業標準書」には、作業の手順と作業をおこなう上でにポイントとなる事柄、使うべき工具
などがわかりやすく記載されています。
初めての作業のときに使用します。

「QC 工程表」は、「品質に関係する項目」と「品質特性」がありますがやり方はありません。
やり方は「作業標準書」に書いています。

「QC 工程表」の作成の流れについて説明します。

「QC 工程表」(QC 工程図)は、次のステップで作成します。

1. 「QC 工程表」のフォーマット、書式を決めます。

2. 製品情報を収集します。

3. 製造工程情報を収集します。

4. 各工程の管理項目(管理ポイント)をリストアップします。

5. 各工程の管理項目(管理ポイント)の管理方法や管理基準を
明確にします。

6. 「QC 工程表」を作成します。

7. 作成した「QC 工程表」を確認し承認します。

8. 標準書など、正式な文書として発行します。

9. 適時に変更管理をおこないます。

です。

それぞれについて説明します。

■1.「QC 工程表」のフォーマット、書式を決めます。

「QC 工程表」は、企業によって異なっています。
製造する製品や製造方法によっても異なります。
品質を管理するために、自社製品に合った最適な「QC 工程表」のフォーマット、書式を決め
ます。

■2.製品情報を収集します。
製品情報とは、製品に関する情報です。
品質に関係するものを、いれます。

製品設計、製品規格書、仕様書、部品表などから収集します。

■3.製造工程情報を収集します。

製造工程の情報です。

工程設計などから収集します。

■4.各工程の管理項目(管理ポイント)をリストアップします。

品質に影響を与える、品質特性の管理項目をリストアップします。

■5.各工程の管理項目(管理ポイント)の管理方法や管理基準を明確にします。

管理項目の管理基準を明確にします。
管理基準を外れたときの「異常処置」なども明確にします。

■6.「QC 工程表」を作成します。

「QC 工程表」を完成させます。

■7.作成した「QC 工程表」を確認し承認します。

製造部門長は、「QC 工程表」が実施可能かチェックします。

「QC 工程表」は、品質管理部や品質保証部が承認します。

■8.標準書など、正式な文書として発行します。

「QC 工程表」は、標準書などとして、正式に発行します。
関係部署に配布します。

■9.適時に変更管理をおこないます。

「QC 工程表」は、作成し、製造工程で実施されれば、終わりではありません。
状況に合わせて、改訂することが重要です。

製造工程では、次のようなことが、発生します。

 不良が発生します。
 作り方の無駄を発見します。

 QC サークルなどで、品質改善活動をおこないます。

 その他の改善

などです。

これらによって、「QC 工程表」の内容が変わる場合が、あります。

このことを「変更管理」と呼んでいます。
作り方が変わることです。

この「変更管理」で、必ず「QC 工程表」を改訂する必要があります。
多くの場合「作業標準書」も変更されます。

品質管理のレベルを上げるためには、「変更管理」をおこない、「QC 工程表」や「作業標準
書」に反映することが重要です。

「QC 工程表」の項目について説明します。

「QC 工程表」には、決まったものはありません。
それぞれの企業に合わせて作成すればよいと思います。

一般的には、「QC 工程表」には、次のような項目があります。

大きく、3つのグループに分けられます。

1. 製品に関する情報

2. 工程に関する情報

3. 文書管理に関する情報

です。

それぞれについて説明します。

■1.製品に関する情報

製品に関する情報です。

例としては、次のようなものがあります。
 製品コード

 製品名称

 製品の形状、寸法

 製品の重量

 製品の物理的特性、化学的特性、電気的特性

 材質

 機能、性能\n

などです

■2.工程に関する情報

工程に関する情報です。
品質上は、ここが一番重要です。

項目 詳細項目 説明
・工程番号 加工順番です。
・工程記号 工程記号です。
・工程名 工程名です。
・工程
・設備、機械、治工具 工程で使用する設備、機械、治工具名で
名 す。
・部署 管理する責任の部署です。
・管理項目 工程で管理すべき品質の項目です。
・管理点
・品質特性 管理する品質の品質特性です。
・検査方法 検査する方法です。
・検査時期、頻度 検査の時期と頻度です。
・使用機器 検査する測定機器や計測機器です。
・担当者 検査して記録する担当者です。
・管理方法 ・責任者 品質管理項目の責任者です。
・帳票類 記録する帳票です。
・システム 使用するシステムなどです。
・異常処理 異常があった場合の処置を記入します。
・関連文書 関連文書です。

■3.文書管理に関する情報
文書管理に関する情報です。

項目 説明
文書番号 文書の番号です。
作成日 作成した日付です。
改訂日 改訂した日付です。
作成者 作成した人です。
承認者 承認した人です。

それぞの企業に合わせて、項目を作成すればよいと思います。
大切なことは、品質に関係する項目は、全部入れる必要があります。

QC 工程表とは、原材料の入荷から出荷までの工程で、誰がどのように品質を管理
するのかひと目で分かるように図示した、品質管理の工程表です。正式には
「Quality Control Chart」と表されます。

この記事では QC 工程表の概要から作成目的、記載内容、作成手順まで解説しま
す。ぜひ、自社の品質改善活動に役立ててください。

QC 工程表とは「Quality Control Chart」の略で、「品質管理チャート図」と


いう意味です。原材料の入荷から出荷までの工程ごとに管理特性や管理方法が記
載されます。つまり、QC 工程表はどの工程で誰がどのように品質を管理するのか、
ひと目で分かるよう図示したものといえます。
もともと、日本では作業標準書と呼ばれる書類で作業工程の品質管理を行ってい
ました。しかし、この書類の目次や体系を表す書類が求められるようになりまし
た。そこで登場したのが QC 工程表です。ある企業が導入したのを境にほかの企
業も模倣するようになり、今では一般的に用いられるようになりました。

QC 工程表と作業標準書の違い
作業標準書とは、作業の手順や注意点を具体的に記したものです。初めて作業を
行う際は、この書類を参照します。それに対し、QC 工程表はあくまで品質管理の
特性や方法を図示したものです。
QC 工程表は、作業標準書を作成するための基となります。作業標準書に記載され
る作業内容は、QC 工程表で定めた品質を満たせるものでなければなりません。
また、作業内容を把握するためにはどの作業標準書を見ればよいのか、QC 工程表
に記します。作業員は QC 工程表で自身の担当を把握し、参照すべき作業標準書
を知ることで作業に取り掛かれます。

QC 工程表を作成する目的
QC 工程表はどのような目的で作成されるのでしょうか。

品質の改善活動に活かすため

QC 工程表を作成すると、以下のような形で品質改善を図れます。

 ■作業標準書作成の基準になる
 ■一目で品質管理方法や品質を把握できるようになる
 ■監督者が現場を把握しやすくなる
 ■新人作業員が作業内容を理解しやすくなる
 ■各工程の無駄や問題点が浮き彫りになる
 ■問題点への対策が現場に反映される
 ■品質保証活動を作業員に徹底させられる
 ■品質管理の変更点やその結果を記録に残せる
品質改善に必要なのは、管理者や監督者が現状を理解するだけでなく、作業員に
もそれを認識させることです。QC 工程表はひと目で品質管理の方法や特性がわか
るため、そのような認識の浸透に適しています。

外部への説明資料として使うため

QC 工程表は、社内での業務改善だけでなく、対外的なメリットももたらします。

下請け企業には高度な品質管理が求められますが、その際に自社の品質管理体制
を外部に説明する資料として重宝するのが QC 工程表です。適切な品質管理が実
施されていることを QC 工程表で示せれば、取引先からの信頼を得られます。
ただし、社内で利用している QC 工程表をそのまま見せることはあまりありませ
ん。自社の品質管理体制を示すのに有効な部分を抜粋し、説明資料としての QC
工程表を用意します。

QC 工程表に記載する内容
QC 工程表の様式は基本的に自由です。製品や作業によって最適な形は異なります。
ただし、以下の3項目は必ず記載しましょう。

 ■工程(工程名、作業名など)
 ■管理点(管理特性・品質特性)
 ■管理方法(規格、設備、作業者など)
工程をフローチャートで示した図に、管理点と管理方法を記入します。

管理点

管理点とは、管理特性と品質特性のことです。

■管理特性=品質を左右する条件を指し、機械の回転数や電流などが該当

■品質特性=工程の結果生じる品質で、重量や外観の傷などが該当

管理方法
品質を測定し、問題を解決する方法のことです。どのような器具で何をどのように測
定し、どのような結果であれば良品と見なすかを定めます。そして、不良品に該当す
るものの対処方法も記載しましょう。

QC 工程表に以上の情報を記入する際、「JIS Z 8206」で定義された記号を使うと
分かりやすくなります。

QC 工程表の作り方
QC 工程表の作り方を見ていきましょう。

1.フローチャート作成

QC 工程表の様式を定め、各工程の流れを記入します。

2.作業内容の明確化
製品や工程の情報を収集し、各工程で具体的に行う作業を明らかにします。

3.管理項目の明確化
保証すべき品質特性(強度、重量など)と、その基準を明らかにします。
4.点検項目の明確化
手順3で定めた品質特性を確認する方法(利用機器、頻度など)を明らかにします。

5.異常時の対処方法の明確化
点検の結果異常が見られた場合、どのように対処すべきか明らかにします。

以上の手順で作成した QC 工程表を、品質管理部や品質保証部からの承認を得た
後、正式に文書として発行しましょう。ただし、一度作成して終わりではありま
せん。その後も継続的に品質改善を目指し、QC 工程表の内容を適宜変更しましょ
う。

QC 工程表を作成して、品質の改善活動を促進しましょ
う!
QC 工程表とは各工程の管理特性や管理方法をまとめたチャート図です。以下の目
的で作成されます。

 ■品質の改善活動に活かす
 ■外部への説明資料として使う
QC 工程表には以下の内容を記載します。

 ■工程
 ■管理点
 ■管理方法
工程の流れを図示し、管理点や管理方法を記入することで作成します。以上を踏
まえ、QC 工程表を品質改善に活用しましょう。また、工程管理システムを利用す
ると、QC 工程表と同様の管理を行うことができます。もし、興味のある方は製品
をご覧になってみてはいかがでしょうか。

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