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NCプログラム
もくじ
1. NC プログラミングの方法 …2
2. マニュアルプログラミング …3
3. CAD/CAM …12
株式会社イプロス
Tech Note 編集部
NC 工作機械は、加工に必要な情報を盛り込んだ NC プログラムを作成
し、そのプログラムを実行することにより自動加工を行います。プログ
ラムの作成方法は、マニュアルプログラミングや CAD/CAM システムな
どのソフトウェアを利用したものがあります。NC プログラムについて解
説します。
1. NCプログラミングの方法
機械図面に描かれた製品・部品を NC 工作機械で加工するためには、
NC にわかる言葉(NC 言語)で、機械動作の情報を細かく正確に NC
プログラムの中に入れておくことが必要です。NC プログラムを作成する
ことを NC プログラミングといいます。図 1 に示すように、NC 加工のプ
ログラミング方法は大きく2 つに分けることができます。
一つはマニュアルプログラミング方式で、機械図面から加工内容を読み
とり、加工工程や使用工具、加工条件、取り付け具などを決定します。
そして、電卓などにより、工具の回転数や送り速度などの加工条件をは
じめ、工具経路の指示に必要となる座標値などを計算して NC プログラ
ムを作成します。
もう一つは自動プログラミング方式で、ソフトウェアにより自動的に NC
プログラムを作成する方式です。3 次元加工のように形状が複雑なとき
や、高度な計算が必要な場合は必要不可欠です。対話型入力機能や
CAD/CAM が多く利用されています。
自動プログラミング方式 ◆自動プログラミング装置
◆対話型入力機能
◆CAD/CAM
2. マニュアルプログラミング
図 2 は、機械図面から製品が出来上がるまでの流れを示しています。
マニュアルで NC プログラムを作成するためには、NC 工作機械の仕様
をはじめ、加工方法や工具、加工条件に関する知識、加工工程の検討
能力などが必要です。また、プログラミング関連では、各種 NC コード
の意味や指令方法とあわせ、座標系やプログラム構成、最小設定単位
などの理解も必要となります。
品加工までの流れ
【NC 工作機械の仕様】 ・加工工程の検討・決定 【工程検討に必要な情報】
・加工範囲 ・工具選定 ・加工方法
・能力(主軸・送り速度等) ・加工条件の設定 ・工作物の材質
・NC 装置 ・取り付け方法の検討 ・加工精度、表面粗さ
・その他 ・加工個数
・プログラムの入力・編集
(転送)
補正値の入力
プログラムチェック
テストカット
(加工条件の確認)
連続・自動運転
製品
1)NC プログラム作成時の検討事項
NC プログラムの作成にあたり、加工に必要な情報を機械図面から読み
取ります。その情報をもとに、加工方法や加工工程、工具、加工条件
などを検討・決定します。決定した事項は図 3 に示す加工工程表や、
図 4 に示すツールリストなどにまとめ、それをもとにプログラムを作成
します。
・図面情報の読み取り
材質、形状、基準、寸法、精度、表面粗さ、個数など。
・加工方法の検討
どの工作機械(加工方法)を使用するか?
N T H D S F
径: 軸: mm mm mm m/min mm/ 刃
N T H D S F
径: 軸: mm mm mm m/min mm/ 刃
N T H D S F
径: 軸: mm mm mm m/min mm/ 刃
N T H D S F
径: 軸: mm mm mm m/min mm/ 刃
N T H D S F
径: 軸: mm mm mm m/min mm/ 刃
N T H D S F
径: 軸: mm mm mm m/min mm/ 刃
例 各穴 H1 D ドリルチャックホルダ Φ2 センタドリル
T1
芯もみ
M8 タップ
M8 H5 D コレットホルダ 回り止め付き
(食付 3P)
T5
めねじ
図 5:NC 工 作 機 械 の +Y
座標軸
+B
+C
+A
+Z +X
図6:右手直交座標系 Y(+)
Z
(+)
X
(+)
この規格は、工作物に対する工具の運動をもとにプログラミングができ
ることを目的としており、指先の方向に工具が動けば正方向となります。
すなわち、実際には工具が一定の位置で固定され、工作物側が動くよ
うな工作機械であっても、プログラムを作成するときは、工作物に対し
て工具がどちらに動いているかを考えればよいのです。
立形マシニングセンタを例に解説します。図7は主軸頭が上下移動、
テー
ブルが左右・前後移動するタイプの機械です。主軸頭が上に移動、す
なわち工具が工作物から遠ざかるため、Z 軸は正方向となります。テー
ブル(工作物)が左に移動した場合は、工作物を固定して考えると工
具は右に移動したことになるため、X 軸は正方向となります。Y 軸も同
様で、テーブル(工作物)が手前に移動すると正方向です。
主軸
工作物
X 軸(+)
Y 軸(+)
図 8:各 軸 の 正 方 向
(NC旋盤) 刃物台(工具)
主軸
(工作物)
X 軸(+)
Z 軸(+)
・機械座標系
NC 工作機械は機械固有の基準点が設定されており、これを機械座標系
原点(機械原点ともいう)といいます。機械座標系原点の位置はメー
カや機種により異なりますが、多くは各軸のプラスストロークエンドに
設定されています。また、この原点を基準とした座標系のことを機械座
標系と呼びます。工具や工作物の移動指令を機械座標系で与えること
は少なく、ワーク座標系の原点設定や工具交換位置の設定などで利用
されます。
・ワーク座標系
NC プログラム作成時の基準点をワーク座標系原点(ワーク原点、プロ
グラム原点ともいう)といいます。また、この原点を基準とした座標系
をワーク座標系と呼び、工具や工作物の移動指令はワーク座標系で与
えます。通常、プログラム作成者が、段取り作業やプログラミングのし
やすさ、機械図面上の基準などを考慮して原点を決定します。
4)プログラムの構成
・キャラクタ
キャラクタとは、NC プログラムに使用する数字や文字、記号のことで、
次の 3 種類に分類できます。全角や小文字は受け付けません。メーカ
や機種により、使用しない文字もあります。
数 字 :1234567890
英文字 :ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
記 号 :−
(マイナス)
、/(スラッシュ)
、.(小数点)
、;(セミコロン)
(
、)
(括弧)
・ブロック
図 9 に示すように、ワードがいくつか組み合わされて一つのブロックを
構成します。ブロック内のワードは順不同でかまいません。通常はプロ
グラムを確認しやすくするため、最初に G コード、次に XYZ などのディ
メンションワード、最後に M コード、などのように、一定の順序で指令
するようにします。各ブロックの最後には、ブロックの終了を表す EOB
(End of Block)の記号を入れます。EOB の表示では「;」や「*」等
が使用されます。NC プログラムは、このブロックがいくつか集まること
により構成されます。
例 T01 ;
M05 ;
M09 ;
G91 G28 Z0 M19 ;
G28 X0 Y0 ;
M06 ;
N10(D20-MILL-R);
T02 ;
G90 G54 G00 X0 Y0 ;
G43 Z100.0 H01 ;
S1000 M03 ;
G00 X20.0 Y30.0 M08 ;
Z5.0;
G01 Z-10.0 F500 ;
X30.0 F120 ;
・
・
・
M30 ;
マニュアルでプログラミングするときは、一般にプログラミングのしやす
さや、プログラムの互換性を考慮して「小数点入力」します。このとき
の注意点は、小数点を付け忘れないことです。小数点を忘れて X50 と
指令すると、0.05mmしか移動せず、干渉事故などの原因にもなります。
X50.0 のように、小数点下一桁目に 0 を付けるのは、小数点の付け忘
れをチェックしやすくするためです。ちなみに、負方向へ移動させる場
合は X-50.0 と指令します。
CAD/CAM システムを用いると、設計から生産に必要なデータの自動作
成までできることから、作業の効率化が一段と高くなります。また、シ
ステム上で動画シミュレーションを行うことにより、加工予測時間の算出
や干渉チェックが可能となります。
いかがでしたか? 今回は NC プログラムについて解説しました。次回
は、
具体的なNCコードと指令方法などについて解説します。お楽しみに!
著者: 中国職業能力開発大学校 生産機械システム技術科
能開教授 古城 良祐