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2022 年度(2022 年 2 月施行分)社会学研究科 博士課程前期課程

事前課題(専門科目)解答用紙



番 25259

タイトル 社会の分断:貧困と社会的排除に着目して

以下本文

最近は新聞やネットワークでよく「社会は分断されている」という説が見かけている。
分断とは「一つにつながっているものを分かれ分かれ二切り離すこと」である[1]。社会
学的見ると、その概念の中での「一つに繋がっているもの」は人類社会、「切り離す」の
標準は普通、所得・人種・性別・世代などがある。
第二次世界大戦後のグローバル化は世界経済の発展を大いに促進した。昔は経済のグロ
ーバル化はすべての人に福祉をもたらし、貿易は双方に利益をもたらすと考えられたが、
現実には、経済のグローバル化の下で貧富の格差の拡大を上回ったことになっている。ま
た、少子高齢化の発展による世代間の所得格差も拡大し、その結果、貧困層と富裕層の間
のひらきはますます広がり、社会階級も次第に固化されている。現代社会では、階層地位
は個人的生活と密接に関係しており、階層間の生活様式も大きく異なるのである。健康と
寿命の観点から見ると、富裕層の寿命は貧困層の寿命より長い。また、貧困層では栄養不
良と高血圧も他の階級より普遍的である(Geiger,1971)[2]。
経済的格差による社会的分断することは事実である。そのため、本文は貧困と社会的排
除の方面から、社会の分断を分析する。
まず、貧困とは何か?貧困の定義は、経済的、政治的に影響を受けるため、評価標準も
それぞれ違う。社会学者は、貧困を相対的貧困と絶対的貧困という二つの概念に分ってい
るのである。相対的貧困とは、その国の文化水準、生活水準に比して、適正な水準での生
活を営むことが困難な状態である。それに対して、絶対的貧困の定義は、最低限の暮らし
ー身体的に健康な生存状態を位置するために充足されなければならない(ギデンズ,2009)
[3]。すなわち、個人または世帯が最低の生活水準を維持できない程度の所得ラインを定
めることである。
1912 年 4 月 15 日早朝、世界最大の旅客船が氷山の多い北大西洋に処女航海中に沈没し
た。残念ながら救命ボートが足りないため、犠牲者数が多く、当時世界最大の海難事故と
もいわれた。この事故で、人々によくいわれたのは、タイタニック号の乗客は「女性と子
供を優先的に救助する」という社会規範に注意したことだ。しかし、この恐るべき事故を
社会学的な目で冷静に振り返ると、あるカテゴリーの乗客が、他の人びとに比べて生き残
る確率が高かったことに気づく。船のファーストクラスは主に金持ち、二等クラスの乗客
の大半は中産階級のビジネスマン、三等クラスは主に米国への貧しい移民が利用した。タ
イタニック号の生還率を性別や社会階級で比較すると、ファーストクラスの男性乗客の生
存率は、三等船室の子供の生存率よりもやや高かった。タイタニック号の沈没に関する社
会学研究から、貧困層と富裕層の間の分断化がわかる。
しかし、社会的分断は、格差が拡大するだけでなく、人々の多様な意見を少数の意見へ
集約していくような凝集力が加わることによって起こるということである。 格差が拡大
するだけでは、人々がバラバラになるだけで、バラバラにされた人々が相対立する二つの
グループに集約されたときに分断が起こる(正村俊之,2017)[4]。即ち、二つ対立する集
団で、独りの人数の少ない集団が社会で排除されやすいと考える。
社会的排除は、社会的排除のなかに貧困が内包されるとはいえ、貧困よりももっと広い
概念である(ギデンズ,2009)[5]。社会的排除とは人々がもっと広い社会への十分な関与
から遮断されている状態をさすのである(ギデンズ,2009)[6]。
1974 年、フランスの社会事業担当大臣ルノワールが『排除された人々』を出版した。
当時繁栄経済の裏面の状況を告訴したのである。貧しい人々、身体障害者、社会的逸脱者
など排除された人々として表象され、豊かな社会の「新しい貧困」を体現することになっ
た(Paugam,1996)[7]。1990 年代以降、ヨーロッパにおける社会科学の文脈では、新たな
不平等問題は社会的排除と表現されるようになり、所得格差に依拠した従来の貧困概念か
ら,生活における多面的なリスクに焦点を当てた社会的排除概念へと理論的枠組みが大き
く変わることになった(樋口明彦,2004)[8]。
社会的排除は多くの社会問題をもたらした。例えば、階級間の分断や貧困問題など。そ
れに対して、貧困問題はまた社会的排除という現象を絶えず発展させている。特に、科学
技術の発展に伴って、メディアの形式を増えている現在、社会的排除という現象は絶えず
起っている。例えば、メディアの取材対象は、ほとんどホワイトハウスやウォール街市役
所など上層階級の人で、貧困や貧しい人々ではあまり報道されない。「労働者階級と貧困
者の一般的な特徴は、犯罪を報道するジャーナリストによって知られている」
(David&William,1997)[9]。すなわち、貧困層に関する話は少ないそうだ。なぜなら、メ
ディア自身の利益と相応しくないだと考える。ピューリッツァー賞受賞コラムニストのシ
ドニー·シャンバーグの例を考えてみよう。彼は『ニューヨークタイムズ』の尊敬される
記者で、海外駐在記者、コラムニストとしてメディア界で活躍していた。しかし、このよ
うな優秀な記者が 1985 年に解雇された。原因は、彼は新聞のコラムで「Westway」という
不動産取引について疑問を提起した。項目開発者は新聞でこのプロジェクトが都市に便利
をもたらすと宣伝していたが、実際に開発された土地は多くの貧困者を移転する必要があ
った。彼がこのプロジェクトを批判した後、彼のコラムはキャンセルされた。そのような
社会下層にいる人々のためのコラムは、新聞の利益に合わないため、下層階級の人々の需
要は気づかれにくく、社会から排除されやすいと思う。
不平等現象の拡大を防ぐため、「機会の平等」と「結果の平等」という二つの概念を提
唱された。「機会の平等」とは、全ての人々が同様に扱われるべきだという観念で、特に
人為的な障壁や先入観などを「明らかに合理的とみなされているもの」以外全て取り除く
べきであるというものである。結果の平等とは、一部の政治のイデオロギーにとって中心
となる概念であり、人々がほぼ同じ物質的富と所得を持つ状態、またはそのもので生活全
般の経済状況が同等であることを指す。
現在、社会的分断に関する研究は主にネット社会と現実での分断の現状と原因を分析す
るのである。社会の分断を解決するため、まずは社会福祉を発展するのは大事だと考える。
ほとんどの先進工業社会で、福祉国家は、社会の底辺における貧困と社会的排除をある程
度まで緩和している(ギデンズ,2009)[10]。また、平等に関する政策に関して、「結果
の平等」よりも「機会の平等」を実現する可能性が高いと考える。現在、「機会の平等」
について最も直接的で効果的な措置は公共教育を強化することである。子供が義務教育を
完了することを保証することで、子供間の階層格差もできるだけ縮小できると考える。さ
らに、国家政策の他、下層階級へのメディアの関心も必要だと思う。人々に偏見を解消さ
せ、二つの対立面から抜け出したら、社会の分断現象を効果的に緩和することができると
考える。

参考文献
[1]『日本国語大辞典 第二版』小学館,2000~2002 年 https://japanknowledge.com/
[2]Geiger,Jack「Poor Hungry Babies」『New South』26,1971,p4.
[3]アンソニー・ギデンズ『社会学(第五版)』而立書房,2009,p365.
[4]正村俊之「社会的な分断と連帯の現代性ー階層·世代·民族·情報の視点からー」『学術
の動向』第 10 号,2017,p99.
[5]アンソニー・ギデンズ『社会学(第五版)』而立書房,2009,p380.
[6]アンソニー・ギデンズ『社会学(第五版)』而立書房,2009,p379.
[7]Paugam Serge, 「Poverty and Social Disqualification: a Comparative Analysis
of Cumulative Social Disadvantage in Europe」『Economics Journal of European
Social Policy』,1996,p288.
[8]樋口明彦,「現代社会における社会的排除のメカニズム」『社会学評論』第 55 号,
2005,p3.
[9]Croteau David and William Hoynes『media/society:industries,images,and
audiences』Pine Forge Press,1997,p158.
[10]アンソニー・ギデンズ『社会学(第五版)』而立書房,2009,p387.

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