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在香港 フ ィリピン人家事労働者 の
余暇活動 につ い ての一 考察
―一 アイデ ンテ ィテ ィとの 関係 を中心 に一一

合 田 美 穂

Reinforcing National ldentity among Philippine Maids


Through]Lcisure Activities in Hong Kong

GODA Miho

Abstract: Philippine maids have been working in Hong Kong sincc the 1970s。

Hong Kong offers one of the highest wages for domestic helpers in the Asia― Pacific region,and thus many

Filipinas come to work in Hong Kong。

Nowadays,there are 142,500 Filipinas working in Hong Kong as domestic helpers.On Sundays and pub―
lic holidays, they do not have to work, and can participate in various social and religious activities. This

study exanlines how Philippine maids in Hong Kong build their social network and reinforce their national

and cultural identities through their leisure activities。

要 旨 :香 港 にお け る フ ィリ ピン人家 事労働 者 の歴 史 は 1970年 後半 に まで遡 る こ とが で きる。 1980年


代 以 降 ,フ イリ ピン経 済 の悪化 に よ り,フ イリ ピン国内 にお け る就業率 は減少 し,フ イリ ピンは 国 を
挙 げ て ,国 民 を海外 へ 送 り出す こ とによって,外 貨 を稼 ぐこ とを余儀 な くされた。香港 にお ける家事
労働 の賃金 は,他 の 国家や地域 と比較す る と高額 で あ るため ,香 港 を 「 出稼 ぎの 地」 と して選択 す る
フ イリ ピン女性 は非常 に多 い。現在 ,約 14万 2千 5百 人 の フ イリ ピン人が香 港 で 家事 労働 に従事 し
て い る。香港 の 労働 法令 で は,海 外家事労働 者 は 日曜お よび祝 日には休 暇 を とる権利 が あ る と定 め ら
れてお り,フ イリ ピン人家事労働 者 は,こ れ らの体 暇 をで きる限 り利用 し,娯 楽活動 ,宗 教活動 とい
った様 々 な活動 に参加 して い る。本研究 は ,こ うい った余 暇時 の活動 を通 して ,家 事労働 に従事 す る
フ イリ ピン女性 の故郷 との ネ ッ トワー クの 築 き方 につい て理 解 をふかめ ,そ こか ら見 えて くるフ イリ
ピン人女性 の 国家 ,地 域 ,民 族 ア イデ ンテ ィテ ィについ て考察 した もので あ る。

な り,家 族 か ら頼 られ ,ま た ,重 宝 される こ とになっ


1。 は じ め に た。香港 にお け る家事労働 にお け る賃金 は ,他 の 国家
や地域 と比 較す る と高額 であ るため ,香 港 を「出稼 ぎ
香 港 に お け る フ ィ リ ピ ン人 家 事 労 働 者 の 歴 史 は の 地」 として選択 す るフ ィリ ピン女性 は非常 に多 い 。
1970年 後 半 に まで 遡 る こ とが で きる。 1980年 代 以 小 ヶ谷 に よる と,ア ジアの受入 国 の 中 で も,外 国人家
降 ,フ イリ ピン経 済 の悪化 によ り,フ イリ ピン国内 に 事労働 者 の標準雇用契約 と最低賃 金制度が存在 す る こ
お ける就業率 は減少 し,フ イリ ピンは 国 を挙 げ て ,国 と,外 国人家事労働 者 も労働 法 に よる保護 を受 け られ
民 を海外 へ 送 り出す こ とに よって ,外 貨 を稼 ぐことを る こ と,そ の ため に,労 働組合 を含 めた結社活動 が 認
余儀 な くされ た。海外 に出た労働 者 は一 家 の大黒柱 と め られて い るこ とな どか ら,香 港 は,海 外 か らの移 住
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係 を保 っていることが,ア ンケー ト調査 の結果 か ら確


認 で きた。ア ンケー ト調査の結果 ,回 答者 65人 中,74
%が 故郷 を「故郷 を非常 に懐か しく思 う」 と答えてい
る。滞在期間が 6年 ヽ10年 ,お よび lo年 以上の労働
者 の場 合,「 故郷 を非常 に懐 か しく思 う」 とい う割合
は 8割 と高 く,5年 以下の場合 は,66%で ある。香港
での滞在年数が長 いほど,郷 愁の気持 ちが強 くなる傾
向 にある。その一方 で,回 答者 65人 の うち,約 45%
が,故 郷 の家族 や友 人と 1ケ 月の うち「3∼ 5回 (1週
間 に 1回 程度 )連 絡 を取 っている」 と答えてお り,約
25%が 「9回 以上 (1週 間 に 2回 以上)連 絡 を取 って
学生 グループのアンケー ト調査実施状況
い る」 としてい る。 アンケー トでは,香 港 での滞在年
労働者 に とって ,相 対 的 に労働 条件 が整 ってい る地域 数が短 いほど,故 郷 と連絡 を取 る頻度が高 くなってい
であ る と述 べ て い る
│。
こ うい った 諸事 情 が ,香 港 が る。故 郷 との 連 絡 の 取 り方 は,国 際 電 話 (8割 以
外 国 人家事労働 者 をひ きつ ける大 きな要因 となって い 上 ),手 紙や Eメ ールな ど (約 2割 )と なってお り ,

る。 2001年 にお け る香 港 の 国勢 調 査 に よる と,約 14 費用が多少かか って も,直 接 「生」 の声 を聞 くことを


こ 重視 してい るようだ。 また,回 答者 うち,大 半 を占め
万 2千 5百 人 の フ イリ ピン人が香港 に居住 して い る 。
香港 で は ,海 外家事労働 者 の lヶ 月あ た りの法定最 る 95%は ,フ イリピンにおける情報や ニ ュース に常
低賃金 が 3,270香 港 ドル (約 47,415円 )と 定 め られて に関心 を持 ってお り, 日常的に関連情報 を入手 しよう
い る5。 また ,家 事 労 働 者 は ,毎 週 最 低 1日 は 休 暇 を と努力 してい る。 フ イリピン人家事労働者 は,電 話や
とる権利 が 与 え られて い る。 (実 際 には ,そ の 休 暇 は 手紙 ,情 報 の収集 とい った方法 に よつて,故 郷 との
完全 な 1日 で は な く,24時 間 を下 回 つて い る。)1週 「間接的な」接触 を頻繁 に行 なっているのである。
間 に 1度 の 体暇 ,祝 祭 日,年 休 以 外 に も,家 事労働 者 「直接的 な」故郷 との接触 につい て述べ る と,回 答
は労働年数 に よつて ,一 時帰 国 の ため に 1週 間 か ら 2 者 うち,62%が 「2年 に 1度 帰国」 し,36%が 「1年
週 間 にかけて ,体 暇 を とる こ とがで きる よ うにな って に 1度 帰国す る」 と回答 してい る。 また,滞 在年数が
いる 6。
長 いほど,一 時帰国の頻度が高 くなる傾向があ るが ,

彼女 たちは ,故 郷 との つ なが りを保 つ ため ,こ れ ら これは彼女 たちの経済的背景 と大 きく関連 してい ると


の休暇 をで きる限 り利用 し,一 時帰 国 を含めて ,様 々 い える。帰国 には航空機 を使用す るため,費 用 はある
な活動 に参加 して い る。本研究 で は,家 事労働 に従事 程度必 要 となる。 また,帰 国時 には 「故郷 に錦 を飾
す る フ イリ ピ ン女性 を対 象 と し,余 暇 にお け る 諸 活 る」 ために,多 少無理 をしてで も,家 族や知人な どへ
動 ,例 えば ,彼 女 た ちの ,故 郷 との ネ ッ トワー クの 築 の大量 の土産を準備する。聞 き取 りの 中で,故 郷へ の
き方 ,余 暇 における娯 楽活動 ,宗 教活動 お よび飲 食傾 贈 り物や土産 につい て,以 下 の よ うな事例 がみ られ
向 につい て ,調 査 を行 い ,そ の結果 を分析 し,彼 女 た る。
ちの ア イデ ンテ ィテ イを考察 した。
本研 究 で用 いた調査 方法 は以下 の ものであ る : メ イ ドは ,一 時帰 国時 の 前 に な る と,普 段 は 本

①アンケー ト形式の調査 。(ア ンケー ト用紙の配布 人で も使 わ ない よ うな高価 な 日本 製 の化粧 品 を大
部数は 80部 ,有 効回答数は 65部 である。 ) 量 に買 った り,携 帯電話 や ラジオな どの電気製 品
¨ を買 った りして い ます。 (雇 用主 S氏
②聞き取 り 。 )

③論文,書 籍,雑 誌などの参照 一 時帰 国時 に,ス ー ツケ ース に入 りきらない お

④政府などの調査報告書の参照 土 産 は,事 前 に船 便 で送 つてい る よ うで すが ,非


常 に多量 で ,段 ボ ール箱 が 数箱 に及んだ こ ともあ
2。 フ イリ ピン人家事労働者 の故郷 と関 わ り方 りま した。 (雇 用主 M氏 )

家事労働 者 と して香港 で働 くフ イリ ピン人女性 は ,


この よ うな出費 は,滞 在年数 が短 く,貯 蓄 が 少 な い
フ イリ ピンにい る家族 や友 人な どと,な お も密接 に関 労働 者 に とっては ,一 時帰 国へ の大 きな負担 となって
合田 美穂 :在 香港 フイリピン人家事労働者 の余暇活動 についての一考察 65

い る。回答者 うち,大 半 を占める 97%は ,定 期 的 に


金銭や物資 を故郷へ送 っているため, と りわけ,滞 在
年数が短 い労働者 は,な かなかまとまった金額 を貯蓄
で きず,頻 繁 に一時帰国で きない とい う事情 もあるの
である。 (ア ンケー ト設間 4-9を 参照。)

ア ンケー ト調査 の結果 か ら,「 間接 的」或 い は「直


接的」 な方法 によって,フ ィリピン人家事労働者は ,

異郷 の地 で働 きなが ら,な お も積極的に故郷 とのかか


わ りを保 つ努力 をしてい ることい うことが確認 で きた
が,そ ういった関わ り方 は,ハ ー ド面 (金 銭 の送金 ,

物資 の輸送 など),ソ フ ト面 (電 話や手紙 な どを通 し


国際電話 の勧誘 をお こな う電話 会社 の営業 員
て近況 を知 らせた り,相 手 の状況 をたずねた りす るこ
となど)の 双方 ともに,香 港 にい るフイリピン人家事 な のか ,こ ち らが不安 にな るほ どです 。 (雇 用 主
労働者 の側か ら主導的 に行 なわれてお り,フ イリピン N氏 )

の故郷 にい る家族や知人の側 か らの積極的 なかかわ り 故郷 へ の電話 は週 に 1回 程度 して い る よ うだ け


は極 めて稀 である。その理由としては,通 信費な どの ど,SMS(携 帯電話 の メ ッセ ー ジ機能 )な ら,毎
金銭的な負担 を,故 郷 にい る家族 にかけた くないこ と 日の よ うに利用 して い る。 ひ どい 時 は,仕 事 中 も
や,多 くの家事労働者が住 み込み として働 いてい るた 携帯 を離 さず ,カ チ カチ とメ ッセ ー ジを打 ち続 け
めに,雇 用主が家事労働者 の家族や知人か らの電話 に て い る こと もあ る。 一 度 ,度 が過 ぎる と叱 った こ
対 して,不 快感 を示す ことなどが考 えられるが,最 大 とがあ るが ,自 分 か ら電話 を取 った ら,夢 や希望
の理由は,故 郷 の家族へ の「思 い」 であ るとい えるだ や楽 しみが な くな る と返 され た。 (M氏 )
ろ う。大半 のフィリピン人家事労働者 は, ビジネスや
専門的な分野 において成功 を収 めるとい うような,い 香 港 の 雇 用 契 約 の 規 定 で は,同 一 の 雇 用 主 の も と
わゆる海外発展型 の労働者 ではない。 また,「 海外 生 で ,12ケ 月継 続 して労働 した場 合 ,有 給 休 暇 を使 う
活 にあこがれて」や 「海外 を体験 してみたい」 といっ 権利 が 与 え られ る。 よって,1年 ,或 い は 2年 毎 に ,

た興味 によるもので もな く,「 異郷 で収入 を得 て,故 多 くの フ イリ ピン人家事労働 者 は,そ の有給休 暇 を利


郷 にい る家族 のための経済的 な支柱 になること」 なの 用 して ,家 族 へ の思 い を胸 に,一 時帰 国す るケ ースが
で あ る。そ うい った背景 か ら,「 家族 のため に働 く」 多 い 。彼 女 た ち に とって,こ の一 時 帰 国 は,「 直 接」
彼女 たちにとって,故 郷 の家族 は′ 亡ヽ
の支え となってお 故郷 と接 す る こ とので きる貴 重 な機 会 で もあ り,「 故
り,ま た,家 族 との間 には,一 種 の相互依頼 の関係 が 郷 に錦 を飾 る」 ための非常 に重 要 な事項 で もあ る。筆
構築 されてい るのである。 この相互依頼 の関係 を確認 者 の 聞 き取 りに よる と,一 時帰 国 は ク リスマス を含 め
す るために,そ して,よ り強固なものにするために ,
た年末年始 な どに実施 され る こ とが 多 いが ,雇 用主 の
フイリピン家事労働者 たちは,積 極的 に故郷 との関わ 事情 に よつて帰 国時期 の 変更 を余儀 な くされ るケ ース
りを保 とうとしてい るのである。彼女 たちは,多 少金 もあ り,い つ で も自分 の都合 で好 きな時 に帰 国 で きる
銭的負担 がかかったとして も,手 紙 ではな く,国 際電 わ け で はな い。聞 き取 りか らも,フ イリ ピン人家事労
話 を利用 して家族 と連絡 を取 ることを厭 わないの は , 働 者 が ,一 時帰 国 をい か に重 要視 して い るかが うかが
こ ういった「思 い」 か らであろ う と容易 に推測 で き える例 を紹介す る :

る。国際電話 に関す る聞 き取 り内容 を以下 に紹介す


る三 メイ ドは カソ リックの信者 なので ,ク リスマス
は家族 と過 ご した い気持 ちが強 く,い つ も,そ の
毎晩 ,メ イ ドは,自 由な時 間がで きる と,す ぐ 時期 の一 時帰 国 を要求 して くる。 こち らも年末年
にや る ことは電話。最初 は,香 港 にい る同郷 人 を 始 は仕事 が 休 み なので ,そ の 時期 の帰 国 は基 本 的
相手 に,話 して い るのか と思 っていたが ,故 郷 の に許可 して い る。 (雇 用主 M氏 )

家族へ もよく電話 をか けてい るようです。電話代 メイ ドが 「9月 に一 時帰 国 した い」 と申 し出て


も安 くはない し,こ んなに電話代 を使 って大文夫 きた ので 断 った。共働 きなので ,そ の 時期 に体 ま
れ る と,子 供 の幼稚 園 の送迎 はだれがす るのか ,

食事 の準備 は ど うな るのか な どとい つた問題 が浮


上 して きて,そ の 時期 に帰 国 の 許可 を与 える こ と
はで きなか った。 それ を伝 える と不満 だった よう
で ,泣 き出 して しまい ,困 った。 (雇 用主 s氏 )

一 家 で長期 の 旅行 をす るこ とになったので ,同
じ期 間 ,特 別 の プ レゼ ン トとい う名 目で ,航 空券
と休暇 を与 えた ら,何 度 も,「 ク リ スマ ス休 暇 も
取 れ るの か」 と確 認 して きた。「 もちろん ,ク リ
スマスにも帰っていい」 と言うと,非 常に喜んで
い た。 (雇 用主 s氏
日曜 日のセ ン トラ ル地 │ズ の エ ンプ レス広場
)

ア ンケ ー ト調査 の結果 か らも,滞 在期 間 の長 さに関 事 労働 者 で組織 す る労働組 合 の 活動 に参加 して い る」


わ らず ,フ ィリ ピン人家事労働者 は ,異 郷 の 地 で あ る と答 えて い る。労働組 合が主催す る活動 につい て言 え
香港 に い て ,故 郷 に対 して非常 に強 い 感情 を持 って い ば , と りわけ ,滞 在期 間が 5年 以下の家事労働 者 は ,

るこ とが 確認 で きたが ,香 港 で居住す る フ イリピン家 労働組 合 につ い てあ ま り関心 を持 ってお らず ,彼 女 た


事労働者 に とって ,香 港 は,強 い帰 属意識 を有す る場 ちに とっての労働組 合 とは,仕 事 に関係 す る機 関 で し
所 で はな く,仕 事 と収 入 を得 るための場所 に過 ぎず , か な く,彼 女 た ちの 文化的 な ア イデ ンテ ィテ ィに大 き
彼女 た ち に とって ,最 も重 要 で ,か つ ,「 家」 で あ る な影響 を与 えて い る ものでは な い と考 え られ る8。
の はや は り故 郷 ,フ イリ ピン な の で あ る。 彼 女 た ち 休 暇 にお け る活動 の 主 な 目的 は ,「 友 人 ・知 人 との
は ,故 郷 を思 うだけ で は な く,積 極 的 に故郷 とのかか 交流 を深 め る こ と」 と「宗教 的活動 へ の参与」 であ る
わ りを保 つ 努 力 を して い る 7。
以 下 の 章 で は,フ イリ が ,回 答者 うち,約 2割 は「娯楽 を目的」 と して ,体
ピン人家事労働 者 の余暇活動 (娯 楽 ,宗 教 ,飲 食活動 暇 を過 ご して い る。 回答者 の年齢 と,香 港 での 滞在期
な ど)を 通 して ,彼 女 た ちが異郷 の 地 にお い て ,ど の 間 は様 々であ るが ,年 齢層 ご とに結果 をまとめてみ た
ように フ イリピン人 と して の ア イデ ンテ ィテ ィを保持 場 合 で も,結 果 は 各年齢層 と もに類 似 して い た。 (ア
して い るの か とい う こ とに つ い て ,理 解 を深 め て い ンケ ー ト設間 1-3を 参照。 )

く。 多 くの フ イリピン人家事労働者 は,休 暇時 には友 人


や知 人 とともに行動 を共 にす る傾 向が あ るが ,友 人や
3。 フ イ リ ピ ン人 家 事 労 働 者 の 余 暇 活 動 知 人は,同 国出身者 ,厳 密 にい えば 同 じ方言 を話す 同
郷 人であ る場 合が ほ とん どであ る。仕事 の性 質 ,使 用
香港 で 家事労働者 と して就 労す る場 合 ,週 1回 の 休 言語 お よび文化的背景 に よ り,彼 女 たちは香港 人 の 友
日 (主 に 日曜 日)お よび祝 祭 日が基本 的 な休暇 日とな 人を作 る機会 は極 めて 少 な く,そ の社交範 囲 も,同 郷
る。大部分 の 家事労働 者 は ,休 暇 日になる と,就 労 し 人,あ るい は 同一 地 区 で 労働 す るフ ィリ ピン人 に限 ら
て い る雇用主 の 家 で はな く,屋 外 で過 ごす。 よって ,
れて い る。 この よ うな環境 に身 を置 く彼女 たちに とっ
香港 各地 区 の 公 園 ,広 場 ,シ ョ ッ ピ ン グモ ー ル な ど て ,郷 愁 や孤 独 感 が沸 き起 こる こ とは 不 思 議 で は な
は,休 日になる と,フ ィリ ピン人 をは じめ とす る 各国 い。 よって ,彼 女 た ちは休暇時 に,友 人や知 人 と集 ま
の 家事労働 者 であふ れか える。特 に,セ ン トラ ル地 区 って交流す るこ と以 外 に,互 い に故郷 に関す る情報 を
の エ ンプ レス広場 一 帯 は ,フ イリ ピン出身者が集 中す 交換 した りす る こ とに よって ,故 郷 や祖 国へ の帰属意
る場所 と して知 られて い る。 識 を維 持 し,郷 愁や孤独感 に よるホ ーム シ ックを回避
ア ンケー ト調査 の結果 で は,フ イリピン人家事労働 して い るのであ る。
者 は,体 暇 を 1人 で 過 ごす こ とはな く,友 人や知 人 と また ,大 部分 の フ ィリ ピン人家事労働者 はキ リス ト
ともに過 ごす傾 向 が あ る とい う こ とが わか った。 回答 教系宗教 (カ ソ リックお よびその 宗派 ,プ ロテ ス タ ン
者 うち,約 55%は ,「 友 人 ・知 人 と集 まる」 と答 えて トお よびその宗派 )の 信者 であ るため ,教 会 での礼拝
い る。 また ,4割 近 くが 「教 会主催 の 活動 に参加 して や 関連 す る活動 へ の 参加 も,彼 女 たちの休 日にお け る
い る」 と回答 し,残 りの 1割 弱 が ,「 フ イリ ピ ン 人家 重要 な活 動 の一つ となって い る。午前 中 に個 人で礼拝
合田 美穂 :在 香港 フイリピン人家事労働者 の余暇活動 につい ての一考察

に参加 し,午 後 ,知 人や友 人 と他 の場所 でお ちあ う と


す る もの もい れば,午 後 も継続 して ,フ イリピ ン人が
メイ ンとなって い る教 会活動 に参加す る もの もい る。
フ イリ ピン人家事労働 者 は,友 人や知 人 とともに休
暇 を過 ごす ため ,活 動 の 性 質 も,友 人 や 知 人 との 交
流 ,そ して ,娯 楽 が メ イ ンとな ってい る。 セ ン トラル
地 区 での参与観察や ,聞 き取 りか らも,フ ィリ ピン人
家事労働 者 の 多 くが ,出 費 につ なが るシ ョッピングな
どを控 え, ピ クニ ックさなが ら,地 面 にシー トを広 げ
て ,場 所 を陣取 り,飲 食 や雑談 を した り, トラ ンプな
どの遊戯 に興 じた り,フ イリ ピンの書籍 や新 聞 を読 ん
シー トを広げて集うフイリピン人家事労働者
だ りして い るケ ースが 多 い。 また,特 別 な行事 があ る
日や記念 には,郊 外 に出 向 き,バ ーベ キ ュー を行 った た ら,教 えてあげ るのですが ,既 に知 ってい る こ
り,歌 や民族 舞踊 に興 じた りして い る。 ア ンケ ー ト調 とが 多 い で す。休 日に友達 か ら聞 い た りした情 報
査 で ,教 会 での活動 を選 択 した もの は ,布 教 や ,香 港 だ と思 い ます。 (雇 用主 N氏 )

に着 たばか りの家 事労働 者 へ の指導 な ど,教 会 に よる


グル ー プ活動 や ボ ラ ンテ ィア活動 を行 ってい る。 聞 き また ,上 述 した諸活動 の他 に,少 数 では あ るが ,副
取 りの 中か ら,休 暇 の活動 に関す る もの を紹介す る 三 業 で販売活動 を して い る家事労働 者 も存 在 す る。販売
活動 の 中 で最 も多 い商 品 は,廉 価 に よる 日用 品や食品
うち の メイ ドに,「 この 前 の 休 み ,ど こか へ 行 で あ り,更 には ,ネ イルアー トな どの美容 サ ー ビス を
った ?」と質問す る こ とが あ りますが , どこか特 行 な っている もの もい る。利 用者 は香港人 ではな く ,


別 な場所 行 ったわ け で もな く,同 郷 の友達 と情 フ イリ ピン人 に限 られ ,と りわ け顔見知 りの フ イリピ
報交換 を した り雑談 な どを した りす るこ とが 多 い ン人家事労働 者 の利用 が 多 い 。
よ うで す。宗教 活動 は,何 か特 別 な儀式 や行 事 が また ,フ ィリ ピン人家事労働 者 は,故 郷 に家族 を残
あ る時 のみ ,1日 中参加 して い る よ うで すが ,大 し,単 身 で労働 して い るため ,ホ ーム シ ックにかか り
抵 は,友 達 との 集 ま りに時 間 を費 や して い る よ う や す い。 また ,住 み 込 み で 働 い て い る場 合 が 多 い た
で す。 (雇 用主 M氏 ) め ,実 際 には,労 働 は 8時 間以上 にお よぶ こ ともあ る
家 の用事 で , ど う して も日曜 日に人手 が必 要 に 上 に,雇 用主 の 要求 に よって ,過 剰 な労働 を強 い られ
な り,余 分 に賃金 を支払 う とい う条件 で ,休 日返 る こ ともあ る。 また ,プ ライベ ー トが保 障 されて い な
上 を依 頼 す る こ と もた まにあ ります。快諾 して く い とい う状況 か ら,ス トレス もたまりやす い。他 に
れ る こ とは あ ま りな い ですね。断 られ る こ ともあ も,「 使用人」 とい う立場か ら,し ば しば,「 二等公
る し,了 承 す る 時 は ,し ぶ しぶ とい った 感 じで 民」のように扱 われた りして,自 尊心 を傷つけられる
す。お金 よ りも,友 達 に会 える休 日の ほ うが いい こ ともあ る。 こ うい った具体例 を,聞 き取 りの 中か ら
ので しょう。 (雇 用主 M氏 ) 紹 介す る :

毎 日家 事 や子育 て な どに追 われて い るので ,休


みの 時 を非常 に心 待 ちに して い る よ うで す。前 日 聞 い た こ とが あ るんです け ど,メ イ ドに極力 お
なんか は,フ ァッシ ョンシ ョー の よ うに,翌 日に 金 をか けない よ うに して い る 日本 人 の雇用 主が い
来 て行 く服 を鏡 の前 で試着 した りしてた し,夜 遅 て ,そ この メイ ドは子供 の残飯 しか食 べ させ て も
くまで 起 きて ,翌 日持参す るための料理 の 下準備 らえなか った り,部 屋 もあてが われず ,風 呂場 で
な ど,い ろい ろ とや ってい ますね。(雇 用主 s氏 ) 寝 起 きをさせ られた りして い るそ うで す。雇用主
休 日に物 品 の販売 を して い るか ど うか は ,わ か の家族全 員が入浴 を終 えてか ら,そ こで寝 る こ と
らない けれ ど,い らない もの を友達 とお互 い に譲 になるので ,ひ どい時 には夜 中 を過 ぎる こ ともあ
り合 った り,読 み 終 えた 自国 の雑誌 や新 聞 を,交 るみた い で す。 (雇 用主 L氏 )

換 し合 った りしてい る よ うで す。 (雇 用主 L氏 ) 他 の 家 の話 で す け ど,家 族全員 とメイ ドで外 出


フ イリピンの ことが 新 聞や ニ ュース で報道 され した時 に,高 級 な レス トラ ンで食事す る場合 は ,
´ 人間科学編 (2006年 3月
甲南女 予大学研究紀要第 42号 )

メイ ドに一 緒 に食事 を取 らせ ず ,外 で待 たせ てお い なが らも,自 己 の ア イデ ンテ ィテ ィを確 立 して い る


い て ,後 で 簡単 に フ アー ス トフー ド店 で 食事 させ ので あ る9。
て 節 約 す る,と い っ た 話 を聞 き ま した。 な る ほ
ど, と思 い ま したね。 (雇 用主 L氏 ) 4。 フ イリ ピ ン人家 事 労働 者 の 宗教 活 動
以 前 ,雇 用主が経営す る レス トラ ンで 皿洗 い を
させ られた り (法 律 で は家事労働 以外 の 仕事 をす フ イリ ピンはスペ イ ン植民地時代 の影響 を受 け ,現
る こ とは禁止 されて い る。),雇 用主 の 知 り合 いの 在 で もなお ,国 民 の 約 85%が カ ソ リ ックお よびそ の
家 に派遣 されて ,そ この 家事 とか を手伝 わ され た 宗派 の信者 で あ る。 そ の他 はプ ロ テ ス タ ン トや イス ラ
りして い るメ イ ドの話 も聞 い た こ とがあ ります。 ム教 な どの宗教 ,ア ニ ミズムな どの諸宗教 ,お よび無

(法 律 で は雇 用主以外 の 人 の ための 労働 は 禁止 さ 宗教 な どに分類 され る。本研 究 で は ,フ イリ ピン家事


れ て い る。)う ち も,人 の 家 に招 待 され た 時 に , 労働者 を対 象 として ,彼 女 た ちの 宗教活動 を通 して ,

メ イ ドを連 れて行 って ,そ この 家 の手伝 い を させ 宗教 に対す る価値観 や故郷 へ の 関 わ り方 を考察 した。


る こ ともあ るんですが ,そ うい う時 は,法 律違 反 ア ンケー トの 回答者 の うち,大 半 を 占 め る 95%が
っぽい こ とをや って るわけなので ,メ イ ドの気持 キ リ ス ト教 系 の 信 者 で あ っ た が ,そ の 中 の 77%が
ち を考慮 し,そ の 分 の お小遣 い を渡 して ,不 満 が 「香 港 に来 る以 前 か ら,日 曜 の 礼 拝 に参 加 して い た」
た ま らな い よ うに気 を遣 ってい ます。 (雇 用主 M と答 え,同 様 の 比率 で「香港 に来 てか らも同様 に 日曜
氏) の礼拝 を欠か して い ない」 と回答 して い る。 また,回
答 者 うち,83%は 「香 港 に 来 る以 前 か ら,日 曜 の 教
以上 の よ うな状 況 にお い て も,フ イリ ピン人家事労 会諸活動 に参加 して い た」 と答 えて い る。 そ して ,71
働 者 は,「 使 用 人」 とい う立場 か ら,異 議 を唱 え に く %が ,香 港 での教 会 との 関 わ り方 (例 えばネL拝 の 回数
い 。異議 を唱 える こ とに よる解雇 を恐 れて ,不 満 を表 や ,感 情輸 入 の 度合 い )も 「香港 に来 る以 前 と変 わ ら
明 せ ず ,雇 用 主 の 命令 に従 う ケ ー ス が ほ とん どで あ な い」 と答 えて い る。 これ らの数 字 か ら,フ イリ ピン
る。 上述 の 聞 き取 りの 中に もあ る よ うに,雇 用主が , 人家事労働者 は ,香 港 に来 てか らも,な お も礼拝 ,信
気持 ちを考慮 して くれ る状況 にあ る場 合 は まだ しも , 仰活動 を継続 し,参 加 の度合 い に も変化 は見 られ ない
そ うで な い場 合 は,か な りの ス トレスが 発生す るだろ とい う ことが 確認 で きた。
う。そ うい った状況 の 下 で ,唯 一 ,自 由 を得 られ る時 筆者 の指導 の 下 で 本 ア ンケ ー ト調査 を実施 した香港
が 休 日であ り,同 様 の思 い を抱 く同郷 人 と悩 み を相談 中文大学 の学 生 グループの メ ンバ ー は ,英 国植民地統
しあ った り,バ ーベ キ ュー や ダ ンス な どの イベ ン トで 治 の影響 に よってキ リス ト教系宗教 が 普及 して い る香
ス トレス を発 散 した り,教 会 での礼拝 で心 をお ちつ か 港 に居住 して い る とい う こ ともあ って ,ア ンケ ー ト実
せ た りで きるのが ,休 日の時 だけなのであ る。 そ こで 施 前 か ら,既 に この 結 果 を予 期 して い た。学 生 た ち
は ,「 二 等 公 民」 と してで は な く,同 郷 人た ち と対 等 は,「 宗教 は世 界 の 多 くの 人 々に とって ,非 常 に重 要
な立場 で付 き合 う こ とがで きる。 そ して ,こ れ らの諸 な精 神 的糧 で あ り,人 々の よ りどころで もあ り,基 礎
活動 を通 して ,フ イリ ピン人家事労働 者 は異 郷 の 地 に をな して い る もので あ る」 といい ,フ イリ ピン人家事
労働 者 たちの信仰 に対す る望 みや 要求 は,香 港 にお け
る宗教 の諸活動 へ の 参加 を維持 させ るだけの原 動力 に
繋 が ってい る と考 えて い た。宗教 の信仰 は,フ イリ ピ
ン人家 事労働者 に とって,心 の安 らぎや 自己 ア イデ ン
テ イテ イの確 立 に も大 き く作用 して い る とい え よ う。
彼女 た ちが ,異 郷 の 地 で受 けた ス トレスや不 安 は,宗
教 へ の 依頼 に よって緩和 され る部分 が大 きい。 キ リス
ト教が提 唱す る「キ リス ト教精神」 は,奉 仕 ,忍 耐 ,

懺悔 が基 本 で あ るため ,長 期 の労働 にお い てス トレス


を感 じて い る フ ィリ ピン人家事労働者 に とつて ,共 感
で きる部分が あ る。 そ して ,同 時 に,彼 女 たちは,キ

ネイルアー トで副収入 を得 るフイリピン人家事労働者 リス ト教 の教 えに従 い ,自 らが キ リス ト教 の模範 とな


合田 美穂 :在 香港 フイリピン人家事労働者 の余暇活動 につい ての一考察 69


人たち と記念撮 影 を した り して ,教 会 で の 礼 拝 や
活動 をか な り楽 しんで い る よ うな こ とを言 って い


ま した。 (N氏 )



小 ケ谷 に よる と,移 住 家事 労働 支援 NGOは ,そ の
多 くが教 会 を活動拠点 と して ,カ ウ ンセ リ ング,雇 用
主 との トラブ ル に関す る法律 的 ア ドバ イス ,裁 判時 の
通訳 ,シ ェル ター の提供 ,さ らには広 東語 クラス やそ
の他 の レク リエ ー シ ョン活動 な どの様 々 なサ ー ビス を
行 な ってい る。 そ して ,い ず れ も,家 事労働 者 と同 じ
国籍 のス タ ッフや ,家 事労働 者 に よるボ ラ ンテ イア を
擁 し,サ ー ビスの提供 に当た ってい る。例 えば ,1985
年 か ら,コ ミュニ テ イ開発 プ ロ グラムの一 環 と して ,

フ イリ ピン人向 けにサ ー ビス を行 なって きた カ リタス


多 くのフィリピン人家事労働者が礼拝 香 港 (Caritas_Hong Kong Asian Migrant Workers and the
を行 なうカソリック教会
Filipino Social Searvices prttect)で は ,香 港 の 移 民 法
や 労働 法 な どの トレーニ ングを受 けた フ イリ ピン人家
るように努力す るの と同時に,キ リス ト教へ の帰属意 日
事 労働 者 が ,ボ ラ ンテ ィアの相談 員 となって い る
)。

識 を強めてい ると考 えられる。 以上 の NGOの 活動 を含 んだ宗教 活動 が実施 され る


上述の結果 とは別 に,以 下に非常 に興味深 い調査結 教 会 に集 うメ ンバ ー の ほ とん どが ,フ ィリ ピン人 で あ
果 を紹介 したい。実際には,キ リス ト教系宗教信者 の る。 フ イリ ピン人家 事労働者 は,宗 教活動 を通 して ,

うち,72%が 「香港お よび フイリピンにお け る宗教 同国人や 同郷 人 とのかか わ り,故 郷 との ネ ッ トワ ー ク


活動 へ の参加 目的お よびその活動内容 は 同様 で はな を構築 しよ う として い るのであ る。異郷 に暮 らす フ イ
い」 と回答 してお り,そ の うちの約 80%が 「その差 リ ピン人家事労働 者が ,上 章 で述 べ た よ うな 「友 人 た
異 は大 きい」 と考 えてい るЮ 宗教活動へ の参加 の 目
)。
ち との交流 や ,各 種活動 を通 して ,故 郷 へ の つ なが り
的につい ては,キ リス ト教系宗教信者 の 68%が 「香 を保 つ」 ことと同様 に,宗 教活動 に対 して も,そ うい
港 の活動 に宗教性 を求 めて」,18%が 「集団的性質 を つた 目的 で参加 す る よ うにな り,香 港 に来 る前 と後 と
求 めて」,8%が 「娯楽的性 質 を求 めて」,6%が 「 コ で ,宗 教 活動 に対 す る参加意義 に変容 が見 られ る よ う
ミュニケー シ ョン的性質 を求めて」 と答 えてい るので になって い るのであ る。
あ る。 (ア ンケ ー ト設 問 10-17を 参 照。
)つ ま り,実
際 には,フ イリピン人家事労働者 の宗教へ の関わ り方 5.フ イ リ ピ ン人 家 事 労 働 者 の
(例 えばネL拝 の 回数や,宗 教活動 )に は変化が な くて 余 暇 にお け る飲 食 状 況
も,そ の 目的には変化が現れてい ると考 えることがで
きる。つ ま り,宗 教活動 に対 して,「 宗教的性 質」 を これまで,フ ィリピン人家事労働者 の余暇 における
求 めて い る 68%以 外 は,「 集 団的性 質」,「 娯 楽 的性 諸活動 を通 して,彼 女 たちの故郷 との関わ り方や,ア
質」,「 コ ミュニケー シ ョン的性質」 といった他 の要素 イデ ンティティについての考察 をお こなって きた。本
を求めてい るのである。 これは,異 郷 に暮 らす フィリ 章 では,余 暇 とかかわ りの深 い分野 である「飲 食」 に
ピン人家事労働者が,宗 教活動 に対 して純粋 の宗教 だ 着 目し,フ イリピン人家事労働者が,休 暇時に行 う飲
けではない,他 の もの (人 とのかかわ り)を 求 める心 食活動 についての考察 をお こなう。飲食は文化 の一種
理 を反映 してい る。聞 き取 りで も,純 粋 な宗教性 以外 であ るとい うことがで きる。世界 の多 くの地域で は ,

の ものを求 める家事労働者 のケースがあった : チ ャイナ タウ ンには必ず中華料理店 が存在す る よ う


に,移 民 たちによる コ ミュニテイには必ず ,移 民 の出
メイ ドは,香 港 では,礼 拝時 に,同 国出身者 と 身地 の料理 を提供す る レス トラ ンが ある。移民 たち
知 り合 うことを楽 しみに した り,お しゃれをして は,故 郷 の料理 を食べ ることによつて,故 郷 とのつ な
教会の活動 に参加 してい るようです。教会 で,友 が りを保 ち,異 郷 にい ることによって起 こる強 い郷愁
70

の 念 や ホ ー ム シ ックを和 らげ よ う と して い る。 よっ り,情 報 を交換 した り,友 情 を確認 しあ った りして い


て ,故 郷 の 料理 は,移 民 の地域 ア イデ ンテ ィテ イとも るの で あ る。 フ イリ ピ ン人 た ちが休 暇 時 に集 う場 所
大 き く関係 して い る とい えるだろ う。 に,フ ィリ ピン料理 の レス トラ ンが ない わけで はない
香港 で就労す るフ イリ ピン人家事労働 者 の 多 くは , が ,フ イリ ピン料理店 は数 が 少 な く,地 元 の 中華料理
香港 人 (或 い は香港 に居住ず る外 国 人 )の 住宅 に住 み 店や フ ァー ス トフー ドな どと比 較す る と,値 段 もか な
込 んで い る場 合 が 多 い ため ,同 郷 人 とともに コ ミュニ り割高 になるため ,こ の ような家事労働者 には さほ ど
テ ィを形成 して い るわけで はない。 よって ,彼 女 た ち 利 用 されて い な い。 また ,フ ィリ ピン料理 の レス トラ
が居住す る地域 に,フ イリ ピン料理 レス トラ ンが あ る ンで は ,長 居 もで きず ,ま してや ,大 きな声 で雑談 し

場 合 は極 めて少 な く,い つ で も近所 の レス トラ ンで 故 た り,新 聞 を広 げて情報交換 を した りす るには,適 切


郷 の料理 を口にす るこ とはで きな い。雇用主 の 家 で , な場所 とは い えな い こ とも敬遠 され る理 由 だろ う。聞
主 に調理 す る料理 は,雇 用主 に よつて決 め られた中華 き取 りの 中 か ら,「 会 食」 に まつ わ る も の を 紹 介 す
料 理 を主 とす る メ ニ ューで あ る場 合 が ほ とん どで あ る :

り,自 らの ため に,故 郷 の 料理 を調理す る機 会 は少 な


く,家 事 に追 われてそ うい った時 間 も取 りに くい。 フ メイ ドは ,い つ も,休 みの 時 に,フ イリ ピンの
イリ ピン料理好 きの 雇用 主や ,フ ィリ ピン料理 を調理 食材専 門店 で ,調 味料 とか 食材 を買 い込 んで持 っ
す る機会 を与 えて くれ る雇用 主 の もとで労働 で きるケ て帰 って きます。平 日の昼 間 ,時 間があ る時 に ,

ー スは稀 で あろ う。 この よ うな状 況下 にお い て ,彼 女 それ らを使 って 自分 で調理 した りして る こ ともあ


た ちは休 暇 時 に,特 別 に故 郷 の 味 を 求 め る 傾 向 が あ りますが ,体 暇時 に も朝早 くか ら起 きて ,そ れ ら
る。 を使 って何 か作 ってい ます 。 (雇 用主 M氏 )

ア ン ケ ー ト調 査 の 結 果 で は ,回 答 者 の う ち,85% メイ ドが ,一 時帰 国 した時 に,ス ナ ック類 や調


が 休 暇 時 に 「フ イ リ ピ ン料 理 を食 べ る」 と答 えて い 味 料 を大量 に買 い込 んで ,「 休 み に友 達 と一 緒 に
る。そ れ らの大 部分 は 自 らが 調理 し,持 参 した もので 食べ る」 と嬉 しそ うに言 っていた こ とが あ りま し
あ る。 (ア ンケ ー ト設問 18,19,20を 参照。)ま た ,フ た。香港 の フ イリ ピ ン食材 店 で 売 って い る もの
イリ ピン人家事労働者 は 同国出身 の 家事労働者 (香 港 と,若 干味 が違 うそ うで ,本 場 の物 を友達 に も食
に来 る以 前或 い は香港 に来 てか らで きた友 人や知 人) べ させ た い とい う ことで した。 (雇 用主 S氏 )

とともに,適 当 な場所 を見 つ けて ,そ れぞれが持参 し


た 自家製 の フ ィリ ピン料理 を共有 す る。 (ア ンケ ー ト 彼女 た ちは,自 家製 の フ イリ ピン料理 を食 べ る こと
設 問 21,22を 参 照。)日 曜 日 を主 とす る休 暇 に な る に よって ,強 い郷愁 の念や ホ ーム シ ックを回避 す るこ
と,フ イリピン人家事労働 者 の グルー プが ,公 園 な ど とがで きるだけで はな く,こ の「会食」 を通 して ,'同
で場所 を陣 取 り,そ れぞれが持参 した フ イリ ピン料理 郷 の友 人や知 人 との ネ ッ トワー クを再構築 し,お 互 い
を囲み なが ら,雑 談 に花 を咲かせ る風景 を見 る こ とが の 信 頼 関係 を築 い て い るの で あ る。 こ う い った 行 為
で きる。 この ような 「会食」 を通 して ,フ イリピ ン人 は ,同 時 に,出 身地 へ の地域 ア イデ ンテ ィテ ィや ,フ
家事労働 者 は,同 郷 人 と コ ミュニ ケ ー シ ョンを とった イリピン人 と して の ア イデ ンテ ィテ ィを強 め る要 因 に
なって い る。
また ,フ ィリピ ン人家事労働者 に とって ,香 港 は ,

仕事 を して収 入 を得 る場所 で しか な く,一 時的 な「仮


の 宿」 に過 ぎな い 。「海外 に移 民 して ,そ の 地 に根 を
下 ろ して財 をなす」 とい った考 え を持 ってい る もの は
多 くな く,一 時的 な収 入 を得 れば ,或 い は一 時的 に家
計 を助 ける こ とがで きれば ,そ の後 は帰 国 し,自 分 の
家族 とともに 自分 の 家 に住 む とい うのが ,フ イリ ピン
人家事労働者 の一般 的 な考 え方 で あ る。海外 で発展 す
るため に,異 国 の地 に移 民 をす る こ とに違和感 を持 た
ない香港 人 と異 な り,フ イリ ピン人 は,つ ね に故郷 が
自家製 の フ ィリ ピン菓 子 (材 料 は砂糖 や ナ ッツ類 な ど
)
自分 の居場所 で あ り,基 本 的 な生 活 がで きる収 入が あ
合田 美穂 :在 香港 フィリピン人家事労働者 の余暇活動 についての一考察

れば,そ の他 の 要求 は さほ ど高 くな い 2)。 フ イリ ピン 族 裔 人士 』,政 府統計虎 ,2002年 ,16頁 。

人 に とって ,つ まる ところ,自 分 の本 来 い るべ き場 は 3)本 研 究 で 用 い た ア ンケ ー ト調 査 は,2004年 度 ,香 港


中文 大 学 歴 史学 科 にて ,筆 者 が担 当す る 「文 化 史専 題
フ イリ ピンなのであ り,こ うい った価値観 が ,非 常 に
研 究 :近 代 東 南亜 的族群典 身分 (Topic in cultural His―
強 い 地域 お よび民族 アイデ ンテ ィテ ィの維持 に繋 が っ tory: Ethnicity and ldentity in Modern Southcast Asia)」
て い るので あ るい フ ィリピン人 は,こ の よ うに,異
│。

を履 修 して い た 5名 の 学 生 グ ル ー プ (代 表 者 :陳 文 )
郷 の地 にい なが らも,体 暇 になる と,故 郷 の料理 を食 に よって ,2000年 10月 に,筆 者 の 指 導 の 下で 実施 され
た もの で あ る。調 査 対 象者 で あ る フ イリ ピ ン人 家事 労
べて懐か しむだけではな く,そ の「会食」 を通 して ,

働 者 へ の 調 査 地 は,セ ン トラル地 区 の 教 会 ,エ ンプ レ
同郷人 との交流 を深 め,故 郷へ のアイデ ンティテ ィ
ス広場 一帯 であ る。
,

フイリピン人としてのアイデ ンテ ィテ ィを再確立 して
4)2005年 4月 ∼8月 の 間 に,フ イ リ ピ ン人 家 事 労 働 者
い るのである。 この「会食」 には,上 述 のフイリピン を雇 用 して い る 4人 (N氏 ,M氏 ,S氏 ,L氏 )へ の
人の価値観が多少な りとも反映 されてい るといって も 聞 き取 りを実施 した。

いいだろ う‖ '。
5)「 香 港 非傭 的喜 怒 哀 楽」,『 亜 洲 週 間』,亜 洲 週 間 有 限
公司 ,2003年 第 12期 ,55-56頁 。
6)康 柴 居偏傭 中心 有 限公 司 編 『百 分 百 醒 目偏主 :外 傭
6.お わ り に 管理賞務指 南』,経 済 日報 出版社 ,1997年 ,40頁 。
7)90年 代 以 降 ,多 くの 日本 人独 身女 性 が ,香 港 や シ ン
本研 究 で は,フ イリ ピン人家事 労働 者 の「故郷 との ガポ ー ル を中心 とす る ア ジア 各地 域 で 就 労 す る現 象 が
見 られ るが ,彼 女 た ち の 中 に は,日 本 に対 す る よ り も
繋 が り方」,「 余暇活動」,「 宗教活動」,「 余 暇 にお け る
「香港 の 活気 に魅 力 を感 じる」 や 「 シ ンガポー ルの 多民
飲食状 況」 につい て考察 をお こ なって きた。異郷 の 地
族 性 が 面 白 い」 とい った居 住 国 に対 す るあ こが れ の 気
で働 くフ イリ ピン人家事労働 者 は,常 に,で きるだけ
持 ちが 強 い ものが 多 く,就 労 後 ,日 本 に戻 らず に,ず
故郷 の 家族 ,友 人 ,知 人 と連絡 を取 り,情 報 を交換 す っ とそ の ま ま異 郷 の 地 に居 住 して い た い とい う希 望 を
るこ とに努 めてお り,故 郷 との 関係 を確 実 に保 つ ため 持 って い る もの もや ,現 地 の 男 性 と結 婚 す る ケ ー ス も
日立 つ 。 中 には,1年 以上 ,日 本 の 家族 や友 人 と一 度 も
に,「 手紙 よ りも電話」 とい う よ うに,多 少 金銭 が か
連 絡 を とって い な い もの さえ もい る ほ どで あ る。両 者
か る こ と も厭 わ な い 。彼 女 た ちの こ うい った 行 動 に
の 対 比 は,そ れ ぞ れ の 持 つ 背 景 ,海 外 就 労 へ の 動 機 の
は,自 国や故郷 へ の 強 い アイデ ンテ ィテ ィが 反映 され 違 い に よる もので あ ろ う。
て い る。 また,フ ィリ ピン人家事労働 者 は,休 暇時 を 8)小 ヶ谷 に よる と,労 働 組 合 を含 め た外 国 人家 事 労 働
利用 して ,同 郷 の友 人や知 人 との 集 い ,バ ーベ キ ュー 者 が 80年 代 半 ば過 ぎか ら結 成 され る よ うにな った。 中
で も 1981年 か らフ ィ リ ピ ン人向 け に法律相談 や シェル
や ダ ンス な どの娯楽性 イベ ン ト,教 会活動 を通 して娯
ター提供 な どを行 な ってい た MFMW(Mission br Fili―
楽 や集 会 ,自 家製 の フイリピン料 理 を持参 して の「会
pino Migrant Workers)と 連携 して ,1984年 に結 成 され
食」 な どとい った各種活動 に積極 的 に参加 して い る こ た Uni― Fil HK(United Fihpino in Hong Kong),お よび移
とが確認 で きたが ,こ れ らの諸 活動 へ の参加 目的 は , 住 労 働 者 の 組 織 化 と ア ドボ カ シ ー を推 進 す る AMC

決 して娯 楽 の ため だ け で は な い 。 こ うい った 諸 活 動 (Asian Migrant Centre)の コー デ イネー トに よる移 住 家


事 労 働 者 の 労働 組 合 や エ ス ニ ック別 グル ー プ は,香 港
は,フ イリ ピン人家事労働 者が ,自 国へ の つ なが りを
にお け る 自由家事 労 働 者組 織 の 中 で も最 もア クテ ィブ
深 め ,香 港 で労働 す る 同郷 人 との つ なが りを強 い もの
にキ ヤ ンペ ー ン活 動 な どを行 な って い る 団体 で あ る。
に し,自 国や地域 の アイデ ンテ ィテ ィ,フ イリ ピン と (小 ケ谷 千穂 「国際労働 移動 とジ ェ ンダー ー ア ジア にお
して の アイデ ンテ ィテ ィを更 に確 立 させ て い くため の け る移 住 家事 労働 者 の 組織 活動 をめ ぐって 一」,梶 田孝

手段 で あ る とい えるのであ る。香港 で労働 す る フ ィリ 道 編 著 『講 座 。社 会 変 動 第 7巻 国 際 化 とア イ デ ン

ピン人家 事労働者 に とって ,休 暇時 にお ける各種活動


テ イテ イ』, ミネル ヴ ァ書房 ,2001年 ,132-133頁 。 )

9)筆 者 は,2000年 に,シ ンガポ ー ルで 労働 す る単 身 日


は,不 可欠 な事項 で あ り,自 らの アイデ ンテ ィテ ィの
本 人女 性 を対 象 に,ア ンケ ー トお よび 聞 き取 りを中心
存続 に もかかわる非常 に重 要 な存在 なので あ る。 と した調 査 を行 ったが ,ア ンケ ー ト回答 者 の 半 数 以 上
が ,休 日は「 日本 人以外 と過 ごす」,或 い は「 日本 人 と
)王 過 ご した りす る こ と もあれ ば,外 国 人 や現 地 人 と過 ご
1)小ヶ谷千穂 「国際労働移動 とジェ ン ダーーアジアに した りす る こ と もあ る」 と答 えてお り,「 日本 人 の み と
おける移住家事労働者 の組織活動 をめ ぐって一」,梶 田 過 ごす」 とい うの は ご く少 数 で あ った。そ の 主 な理 由
孝道編著 『講座 ・社会変動 第 7巻 国際化 とア イデ は「 日本 人 だ け と交 流 を持 つ の は,海 外 に出 て きた意
ンテ ィテ ィ』, ミネルヴァ書房,2001年 ,130頁 。 味 が な い」,「 海 外 に い る か ら に は,異 文 化 に 接 した
2)香 港政府統計虎 『人口普査 2001 主題性 報告 少数 い」,「 シ ンガポ ー ルが 好 きな の で ,で きる だ け シ ンガ
72 ^大 学研究紀要第 42写
甲南女 ∫ 人間科学編 (2006年 3月 )

ポ ールの 中 に身 を置 きた い」,「 [1本 が好 きじゃな いの 参考 資料


で,日 本 人 と関 わる必要が な い」 な どであ ったが,こ 第 1部 :総 合的 な調査結果 (回 答数 :65部 )
れ らの理 由 も,彼 女たちの海外就労 の動機 や就 労状 況
の相違 と大きく関係 してい ると考えられる。
余 1限 活動
10)「 5」 が最大 の差 異 を示 してお り,「 1」 が最小 の 差 異
であるc回 答者 の 41人 中,31人 が 「4」 以 Lを 選択 し Q.1
てい るc How do they spare thelr holiday?
Along
ll)小 ケ7i千 穂 「国際労働移動 とジ ェ ンダーーアジアに ()()│)

おける移住家事労働者 の組織活動 をめ ぐって一」,梶 III


孝道編著 『講座 。社 会変動 第 7巻 国際化 とア イデ
ンテ イテ イ』, ミネルヴア書房,2001イ 11,132頁 。
12)小 ケ谷 は「移 住労働 によって得 られた貯蓄 を帰 国後 With othcrs

に個 人或 いは集団 ビジ ネスに投資 し,移 住労働 の オ ル


i()()(I)

タナテ イブを形成す る,と い う出身社会へ の 再統 合 を


Q.2
視野 に入れた移動形態 もある」 と指摘 してい る。 (小 ケ Who organize their hollday gatherings?
谷千穂 「移住女性労働 の展開 と課題」,『 Sociology Today
ll号 』,お 茶 の水社会学研究会,2000年 ,104-105頁 。 )

13)「 請不要叫我賓妹」,周 淑瞬 ,蘇 婉芥,Madeた ine等 著


『地縁典情縁』,突 破出版社 ,2000年 。
14)筆 者が実施 した,シ ンガポールで労働す る 単身 日本
人女性 へ の 聞 き取 りで は,休 暇 時 の 食事 に つ い て は
「いろいろ な地元 の料理 を食べ る」 とい う意見が多か っ
3
た。そ して,そ の 次 に「 日本 料 理 を食 べ る」 が 続 い Q。

The nature of the actlvlties


たc日 本 人女性 たちが 休暇時 に友 人や知 人 と過 ごす場
othcrs
合 の 食事 は,ほ とん どが レス トラ ンの 料理 で あ り,自 For rcligion
5% For entertainmcnt

分 で調理す ることは稀 であった。 ま してや,ピ クニ ッ □ For cntertainmcnt


圏 Communicate with iicnds
クな どの特別 な機会 を除 い て,公 園な どに場所 を陣取 □ For religion
って,「 会食」す ることは皆無 であった。 こ うい った諸 E]others

結 果 の 相 違 も,両 者 の 背 景 ,両 者 を取 り巻 く労 働 状 Communicatc with friends


38%
況,両 者が海外 に居住す ることになった動機 な どの差
異に よるものであろう。

故 郷 との 関 わ り方
参考文献
Q。 4
小 ケ谷 千穂 「国際労働移動 とジェ ンダーーアジア にお け
How do they rniss their homeland?
る移住家事労働者 の組織活動 をめ ぐって一」,梶 田孝道
編著 『講座 。社 会変動 第 7巻 国際化 とア イデ ンテ
′﹁馬 E ′bE Q

ィテ イ』, ミネルヴァ書房 ,2001年 。


小 ケ谷千穂 「移住女性労働 の展開 と課題」,『 Sociology To―

day H号 』,お 茶 の水社会学研究会,2000年 。


〓〓に 一

香港政府統計虎 『人口普査 2001 主題性報告 少数族裔



o ﹂00E コZ

人士』,政 府統計虎 , 2002年 。


「香 港 非傭 的喜 怒 哀 楽」,『 亜 洲 週 間』,亜 洲 週 間有 限 公
司 ,2003年 第 12期 。
康架居偏傭 中心有限公 司編 『百分百醒 目偏主 :外 傭 管理 1 2 3 4 5 6
賞務指南』,経 済 日報出版社 ,1997年 。 Levclthcy miss thcir homclaand(6 is thc highest lcvcl)

「請不要叫我賓妹」,周 淑屏 ,蘇 婉芥 ,MadeLine等 著 『地
縁典情縁』,突 破出版社 ,2000年 。 Q.5
How do they contact their relatlves
in homeland during holidays?

By long distance caH


84%
合田 美穂 :在 香港 フイリピン人家事労働者 の余暇活動 についての一考察 73

Q.6 Q。 12

Frequency they contact their realtives per rnonth Do they rnaintlan go to eccleslolatry on every Sunday in HK
2or below No
9 or abovc 15%


25%

3-5 Ycs
45% 77%

Q.7 Q。 13

Awarness ofthe news and informatlon ln HK Did they participate in church activities in the Ph‖ lppines?
canit gct thc nc、 vs
No


and information
5% □awarcncss ofthc news
and inforIIlation
田can't gctthc ncws
and inbrmation

awarcncss ofthc ncws Ycs


and information 83%
95%
Q。 14

2
Do they participate in church activities as frequently
Q.8
and devotedly as you were ln the Philipplnes?
Do they send rlloney or otherthings to their homeiand?
No No


3%

Ycs
Ycs 71%
97%

Q.9 Q。 15

How often would they 9o back to their homeland? Did the aims,nature or meaning of Sunday religious

2
activities alter as compared with the re‖ gious activities
ln the Philippines?

No


2 years
62%

l ycar or below
36%
Ycs
72%

休 日にお ける宗教活動 Q。 16

10 lf yes,whatis the possible difference?


Q。

4orc Unified
Are they Christian? Morc communicat市 c 18%
No
5%

ヽ4ore entcrtaining
Ⅳlorc rcligious
8% 68%
Yes

95%


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Q.11
F oc QQ

Did they regularly 9o to eccleslolatry on every Sunday □数列


18
一 蝙 〓Q﹂08 0日 ●Z

in the Philippines?

No
2 ] :::)

12345
The degrcc of diffcrencc(5 is the highest lcvel)
Yes
77%
74 人間科 学編 (2006年 3月 )

lff日 にお ける飲 食 │
第 2部 :「 香港 での労働経験 が 5年 以下」 の調査結果

Q。 18 (回 答数 :29部 )
1s the food they eatln holiday dlfferent from thatthey
eatin worklng day?
余日
限,舌 動
No


Q.1
How do they spare their ho‖ day?
Along
O%
Yc、
83%

Q。 19
With othcrs
What cuislne do they usua‖ y eatin ho‖ day? 100%)
Westcrn food Fast food Othcrs
3% 6% 5% Q。 2

Chincsc food Who organize their holiday gatherings?


l% Church

Filipino food
85%

Q.20 Labour Union


What kind of F‖ ipino food do they eatln holiday? 13%
Fili口 nO f00d OtTrs Homctown Л
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Q.3
12%
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Carry― out Filipino

n °
° `For en=財 nmen

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18%
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□ For cntcrtainment
Common Filipino bod Sclf― madc Philippine bod
囲 Communicate with fricnds
14% 40° 0
□ For rcligion
□Homctown iavor%od 囲 others
■Sclf― madc Philippine bod
□Common Filipino food Communicate with fricnds
□Carry― out Filipino food from rcstaurants 38%
■Filipino food in rcstaurants
□others

Q。 21 故 郷 との 関 わ り方
Do they eatlndividua‖ y or accompany 4
Q。
with others ln holiday?
Individual How do they rniss their homeland?
2%
′0■ E ´oE二 Q〓〓 ﹄ 袂︶﹄o£E 3Z

Accompany with others


98%

Q.22
Whorn do they eat vvith?
Others
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1

Q。 5

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How do they contacttheir relatives
Filipino friends
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29% 49%
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□HK friends
□Othcrs

By long distancc call


87%
合田 美穂 :在 香港 フイリピン人家事労働者の余暇活動 についての一考察 75

Q。 6 Q。 12
Frequency they contact their realtives per month Do they rnaintian go to ecclesiolatry on every Sunday in HK
2or bclow No
9 or abovc 8 96 10%
42

1
Q.7 Q.13
Awarness ofthe news and inforrnation in HK Did they partlcipate in church activities in the Ph‖ ippines?
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No


and information
7% □awarcness ofthc ncws
and information
田can't getthe news
and inforrllation

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and information 83%
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Q。 8 Q。 14
Do they send lη oney or other things to their homeland? Do they partlcipate ln church activities as frequently
No and devotedly as you were in the Philippines?
3%
No


79%

Q.9 Q.15
How often would they go back to their homeland? Did the alms,nature or meaning of Sunday rengious
l year or below activitles alter as compared with the religious activities
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No
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79%
休 日に お ける宗教活動

Q。 10 Q。 16
Are they Christian? lf yes,whatis the possible difference?
No
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Q.11
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Did they regularly 9o to ecclesiolatry on every Sunday Degree of the difference


ln the Philippines?
No
10%
〓 Q﹂oお 0日 ●Z

90% 12345
The degrcc of diffcrencc(5 is the highest lcvel)
76 甲南女子大学研究紀 要 第 42号 ^
人間科学編 (2006年 3月 )

休 日にお ける飲食 第 3部 :香 港 での労働経 験 が 6∼ 10年 (回 答数 :16)

Q。 18

ls the food they eatin holiday dlfferentfrom thatthey 余 1眼 ,舌 動


eatin working day?
Q.1
No
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72%

Q.19 With othcrs


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Chincsc food
Who organlze thelr holiday gatherlngs?
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42° t)
58%
Filipino lbod
85%

Q.20 Labour Union y


What klnd of FIlipino food do they eatin holiday? o9。

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The nature of the activitles

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bod from rcstaurants
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Q.21 故郷 との関 わ り方
Do they eatindividua‖ y or accompany 4
Q。
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Individual
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How do they rniss their homeland?
3%
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Q.22
Whorn do they eat vvith?
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How do they contacttheir relatives


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□ HK fricnds
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By long distance caH


84° tl
合田 美 穂 三在 香 港 フ ィ リ ピン人家事労働 者 の余 暇活動 につい ての一 考察 77

Q.6 Q。 12
Frequency they contacttheir realtives per month Do they rTlaintian go to ecclesiolatry on every Sunday in HK
2or bclo、v No
9 or above 149る 33%

67%

Q.7 Q。 13

Awarness ofthe news and inforrnation in HK Did they participate in church activities in the Phillppines?
canit gct thc ncws No
13%


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6% □ awarencss ofthe news
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and information

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and information
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Q.8 Q。 14
Do they send rnoney or otherthings to their homeland? Do they partlcipate ln church activities as frequently
and devotedly as you were in the Philippines?

No


62%

Q。 9 Q.15
How often would they 9o back to their homeland? Dld the aims,nature or meaning of Sunday religious
l ycar or bclow actlvities alter as compared with the re‖ gious activlties
44% ln the Ph‖ ippines?

No


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休 日にお ける宗教活動

Q.10 Q. 16
Are they Christian? 1f yes,whatis the possible difference?
No Ⅳlore
13% Morc Unificd 8
17%

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87% 75%


Q.11
Did they regularly go to ecclesiolatry on every Sunday
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Degree of the difference


in the Philippines?
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一一〓Q 嘔O b O日 うZ

2 3 4
The degrec of diffcrencc(5 is the highest levcl)
78 甲南 女子大学研 究紀 要 第 42号 人間科学編 (2006年 3月 )

休 日に お ける飲食 第 4部 :香 港 での労働経 験 が 10年 以上 (回 答数 :20部 )

Q.18
1s the food they eatin hollday differentfrom thatthey 余暇活動
eatin working day?
No Q.1
13%


How do they spare their ho‖ day?
Along
O%

87%

Q.19 With others


What culsine do they usua‖ y eatln holiday? 100(る

14% Q。 2
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76%

Q。 20
What kind of Fillplno food do they eatin ho‖ day?
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Q.3
16%
丁he nature of the activities
5%
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Common Filipino food Self― nladc Philippinc food □ For entertainment
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□ For rcligion
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□Common Filipino food
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Q。 21 故郷 との関 わ り方
Do they eatlndivldua‖ y or accompany
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Lcvclthcy miss thcir homclaand(6 is thc highcst lcvel)
mctin HK
58%
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2496 How do they contacttheir relatlves
ln homeland during holldays?
□Filipino l‐ ricnds mctin HK
目Old friends iom hc Philippinc
□HK fricnds
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By long distancc call


77%
合田 美穂 :在 香港 フイリピン人家事労働者 の余暇活動 についての一考察

Q.6 Q。 12
Frequency they contact their realtives per month Do they rnalntlan go to ecclesiolatry on every Sunday ln HK
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Q.7 Q。 13

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田 canit gct thc ncws
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Do they participate ln church activities as frequently
Q.8
and devotedly as you were in the Philippines?
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No No
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9 Did the alms,nature or meaning of Sunday re‖ gious
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activities alter as compared with the religious activities
How often would they go back to their homeland? in the Philippines?
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Q。 16

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80 甲南 女千 大学研究紀 要 第 42号 (2006年 3月 )

休 日にお ける飲食 Q。 21

Do they eatindlvidua‖ y or accompany


Q.18 wlth others ln ho‖ day?
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□Common Filipino food
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