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カメラ映像機器工業会規格

Standard of Camera & Imaging Products Association

CIPA AD-001-2020
精密機器用ねじ十字穴(0番)
Cross recess for machine screws for precision instruments (#0)

2020 年 6 月制定

作 成

標準化委員会
Standardization Committee

発 行

一般社団法人カメラ映像機器工業会
Camera & Imaging Products Association
免責規定

1. CIPA 又は CIPA の会員のいずれも、CIPA 規格類の利用に関する知的財産権の非侵害につ


いて、いかなる保証を与えるものではなく、いかなる責任も負わない。
2. CIPA 又は CIPA の会員のいずれも、CIPA 規格類に関する必須知的財産権の範囲、有効性
及び必須性について、いかなる保証を与えるものではなく、いかなる責任も負わない。
3. CIPA は、CIPA 規格類に関する知的財産権の権利者との許諾条件、その他許諾交渉及びそ
の結果について、いかなる責任も負わない。当該許諾に関与しない CIPA の会員も同様にい
かなる責任も負わない。
4. CIPA 又は CIPA の会員のいずれも、CIPA 規格類に関して、商品性及び特定の目的への適
合性の保証を含め、明示たると黙示たるとを問わず、いかなる保証も行わず、いかなる責
任も負わない。
5. CIPA 又は CIPA の会員のいずれも、CIPA 規格類の利用又は利用不能から生ずるいかなる
損害(逸失利益及びその他の派生的又は付随的な損害を含むがこれらに限定されない全て
)についても、一切の責任を負わない。たとえ、CIPA 又は CIPA の会員が
の損害をいう。
かかる損害の可能性について知らされていた場合でも同様とする。
6. CIPA 又は CIPA の会員のいずれも、CIPA 規格類、又は CIPA 規格類の利用に起因又は関
連して、CIPA 規格類を利用する者に生じたいかなる紛争について、一切責任を負わない。
7. CIPA 規格類の制定又は改訂において、必須規定の制定、追加、修正によっても CIPA 規格
類の利用により知的財産権侵害が生じないと考えられたことにより、分科会参加会員から
必須知的財産権を合理的(又は無償)かつ非差別的な条件で許諾する旨の声明書を取得し
ていない場合、CIPA 又は CIPA の会員のいずれも、当該 CIPA 規格類に必須知的財産権が
含まれないことを保証するものではなく、そのようなものが含まれていたことにより発生
するいかなる紛争についても一切責任を負わない。

Copyright © 2020 一般社団法人カメラ映像機器工業会


目 次

まえがき…………………………………………………………………………………………………………1
1 適用範囲………………………………………………………………………………………………………1
2 引用規格………………………………………………………………………………………………………1
3 十字穴の形状・寸法及び許容差………………………………………………………………………………1
4 測定方法………………………………………………………………………………………………………2
附属書 A(参考) 成形用パンチの形状・寸法…………………………………………………………………4
附属書 B(参考) ゲージ沈み深さ q の測定方法………………………………………………………………5
解説………………………………………………………………………………………………………………………7
まえがき
この規格は,従来,日本写真機工業会が規格化した日本写真機工業規格(以下,JCISという。)の
JCIS 8-70[精密機器用ねじ十字穴(0 番)
]を基に,新たに関係寸法などを見直して作成されたカメ
ラ映像機器工業会規格である。なお,本規格はJIS B 1012 S形の規格に準じている。

1 適用範囲
この規格は,CIPA AD-003-2020 に規定する精密機器用十字穴付き小ねじ(0 番小ねじ)の頭部に
成形される精密機器用十字穴(以下,十字穴という。
)の形状及び寸法並びに十字穴の測定方法につ
いて規定する。具体的には,ねじの呼び M2 以下のねじ部品及び M3 以下の小頭のねじ部品に適用
する。

2 引用規格
JIS B 1012 ねじ用十字穴
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS B 7507 ノギス
CIPA AD-003-2020 精密機器用十字穴付き小ねじ(0 番小ねじ)

3 十字穴の形状・寸法及び許容差
この規格で定める十字穴の形状・寸法及び許容差は図 1 による。

単位 mm

注記 十字穴成形用パンチの標準的なものの形状・寸法は附属書 A に示す。

図 1 ― 十字穴の形状・寸法及び許容差

1
4 測定方法
4.1 十字穴の翼長さ m
図 2 に示す十字穴の翼長さ m は,
JIS B 7507 によるノギス又はその他の測定具を用いて測定する。
ただし,ねじ部品の規格で m を参考としている場合には,検査の対象にしない。

図 2 ― 十字穴の翼長さ

4.2 ゲージ沈み深さ q
図 3 に示す十字穴のゲージ沈み深さ q は,先端の形状・寸法が図 5 に適合するゲージを用いて測
定する。なお,q の測定方法の一例を附属書 B に示す。

図 3 ― ゲージ沈み深さ q

4.3 十字穴とゲージの食い付き
十字穴とゲージの食い付きは,先端の形状・寸法が図 5 に適合するゲージをねじ部品の十字穴に
押し込み,図 4 のように,これを水平の位置から垂直方向に回転させ,ねじ部品が自重によって脱
落しないかどうかを調べる。ただし,測定するねじ部品のサイズ(ねじの呼び×ねじ長さ)の限度
は,ねじ部品の規格又は受渡当事者間の協定による。
なお,この食い付き試験は受渡当事者間の協定によって省略することができる。

図 4 ― ねじ部品の食い付き試験

2
単位 mm

図 5 ― 十字穴用ゲージ先端の形状・寸法

3
附属書 A
(参考)
成形用パンチの形状・寸法

A.1 一般
十字穴成形用パンチの標準的なものの形状及び寸法を図 A.1 に示す。

単位 mm

図 A.1 ― 標準的な十字穴成形用パンチ

4
附属書 B
(参考)
ゲージ沈み深さ q の測定方法

B.1 一般
4.2 に規定するゲージ沈み深さ q の標準的な測定方法を次に示す。

B.2 測定要領
q の測定は,図 B.2 の要領による。

図 B.2 ― ゲージ沈み深さ q の測定方法

B.3 測定器具
この測定に用いる主な器具は以下による。
a) ダイヤルゲージ ダイヤルゲージは JIS B 7503 による。
b) スリーブ スリーブの形状及び寸法は,図 B.3 による。

単位 mm

図 B.3 ― スリーブの形状・寸法

5
B.4 q 測定用ゲージ
q 測定用ゲージの形状・寸法は,図 B.4 による。

単位 mm

図 B.4 ― q 測定用ゲージの形状・寸法

6
CIPA AD-001-2020

精密機器用ねじ十字穴(0 番) 解説

1 改正の趣旨及び経緯
カメラ映像機器工業会(以下,CIPA という。
)の前身,日本写真機工業会(以下,JCIA という。

の業界規格である JCIS 8-70[精密機器用ねじ十字穴(0 番)
]は,JCIS 9-70[精密機器用十字ねじ
回しビット(0 番ビット)
],JCIS 10-70[精密機器用十字穴付き小ねじ(0 番小ねじ)
]とともに 1970
年 6 月 9 日に制定され,3 件の JCIS を合わせた合冊として販売された。JCIS 制定の詳細な経緯に
ついては, JCIS の解説を末尾に掲載するのでそれを参照されたい。
ねじ十字穴の形状・寸法は JIS B 1012 で規定されていたが,M2 未満の精密ねじの十字穴につい
て含まれていなかった。このため,写真機業界では主にすりわり付きねじ(マイナスねじ)が使用
されていたが,1963 年に,M1.4,M1.7,M2 の十字穴付きねじが某カメラメーカーと小ねじ専門メ
ーカーとの間で新たに開発され,その社内規格が他のカメラメーカーにも公開されたため,広く業
界で使われるようになった。
カメラ業界では,このねじ十字穴は 0 番と呼ばれた。これは当時の JIS B 1012 には,ねじの大き
さによって 1 番~4 番の規格があり,
それらのうち最小の 1 番よりもさらに小さかったためである。
そしてこの名称は一般にも通用する程度に普及し,現在でも国内では,0 番といえば通常は JCIS
で規定される精密機器用ねじを指すことが多い。
一方,世界各地で新たなねじ用十字穴が開発され,それまでのフィリップス系の十字穴に加えて
ポジドライブ系の十字穴が台頭し,
この二形式をそれぞれ H 形,
Z 形として規定した ISO 4757(Cross
recesses for screws)が 1983 年に制定された。これを受けて,JIS B 1012 も ISO に整合する形で改正
され,H 形,Z 形に加えて JCIS 8-70 の精密機器用ねじ十字穴も S 形として規定され,JIS B 1012
として発行された。S 形の S は Special の意である。
JIS への S 形の採用に当たり,寸法,許容差の見直しが行われたため,その一部は JCIS 8-70 のそ
れとは異なり,結果的に,JIS B 1012 の S 形十字穴と JCIS8-70 とは一部の寸法,許容差が整合しな
いことになった。
しかしながら,この非整合には,本質的な違いはなく,混乱することもなかったことから,JCIS
の見直しは行われず,そのまま維持されたが,時折,十字穴形状や十字ビットの寸法について質問
等が寄せられるため,2016 年頃から,JIS との整合化を目指して JCIS の見直しを開始し,2017 年
から本格的な改正作業に着手した。
一方,JCIA は 2002 年に発展的に解散,その業務が CIPA に引き継がれたため,JCIS 8-70 を改正
ではなく廃止とし,CIPA 事務局で原案を作成し,CIPA 標準化委員会規則の改定を待って,技術作
業部会内の機械要素分科会での審議,技術作業部会及び標準化委員会の審議/承認を経て,CIPA
AD-001-2020 として新たに発行されたのがこの規格である。
なお,JCIS 8~JCIS 10 は,CIPA 規格化に際して,原則としてウェブ公開形式となったのを機に,
従来の三規格合冊形式から,それぞれ独立されたものとした。

2 種類,番号及び適用範囲
この規格で規定する十字穴の形状及び寸法並びに十字穴の測定方法は JIS B 1012 に規定される S
形と同じである。H 形,Z 形と異なり,S 形に番号はないが,歴史的な経緯から慣れ親しまれてい
る 0 番の名称を JCIS から踏襲することとする。しかしながら,H 形,Z 形それぞれに 0 番があり

7
紛らわしいため,あえて区別する必要があるときには,H 形,Z 形に対して S 形の名称を使用する
のがよい。
この規格の適用範囲は,規格本体の箇条 1 にあるように,
“ねじの呼び M2 以下のねじ部品及び
M3 以下の小頭のねじ部品”
である。
これは JIS B 1012 にならったものであるが,
もともと JCIS 10-70
及びその改正版である CIPA AD-003-2020 には M3 が含まれないため,今回新たに 1 種 M3 のねじが
この規格における十字穴の対象となったことになる。

3 規格の内容について
3.1 十字穴の形状・寸法
解説の箇条 1 の経緯に述べたように,JCIS 8-70 の十字穴形状・寸法は,JIS B 1012 に採用される
際に,一部の寸法,許容差が変更されている。その理由は定かではないが,すでに JIS が広く周知
されていることに鑑み,今回の CIPA 規格の発行に当たっては JIS に記載の S 形のものを採用し,
JIS との整合を図ることとした。なお,JIS B 1012 の国際対応規格 ISO 4757 には S 形の規格のない
ことに留意する必要がある。

3.2 ゲージ沈み深さ q の測定方法


深さ測定前の目盛設定の方法を図 A に図示したが,とくに頭の上面が曲面の部品(丸さら小ねじ
など)についてのゼロ点はその頭部の頂点ではなく,十字穴の完全な有効部の始まる点,すなわち
規格本体 4.1 の図 2 によって測定する m の現れた点を基点とする。すなわち,規格本体 4.2 の図 3
に示したようになる。

3.3 測定器具
ゲージ沈み深さ q の測定には,JIS B 7503 によるダイヤルゲージ,図 B.1 に示したスリーブ,図
B.2 に示した q 測定用ゲージを使用する。
スリーブは JCIS 8-70 に記載のものと,全体の長さ,ダイヤルゲージを装着する穴の内径と深さ
が異なっていることに注意すること。

3.4 成形用パンチの形状・寸法
JIS B 1012 には記載のない成形用パンチについて,JCIS 8-70 にあった形状・寸法に関する記載を
そのまま載せることにした。これは,JIS B 1012 の解説(5.1)の中に,
“…S 形のパンチは国内需要
だけでなく輸出もされている”との記述があり,CIPA 規格の制定に当たっても存続することに充
分意義があると判断したためである。

3.5 その他
その他,JCIS 8-70 を廃止し,この規格を制定するに当たり,JIS Z 8301(規格票の様式及び作成
方法)を参考に,
“参考”をやめ“附属書(参考)
”にする,旧来の表現を一般的なものに改め,また,
記号などを JIS B 1012 に合わせることにした。例えば,Q→q,長さ M→翼長さ m などとした。

4 JCIS 8~JCIS 10 の解説


廃止された JCIS 8~JCIS 10 の解説には,この JCIS が制定された経緯や十字穴の翼長さ m(M)

沈み深さ q(Q)に関する関係式など有用な情報が記載されているため,以下にそのまま再掲載する。

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9
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審議委員
この規格制定のための審議は,カメラ要素分科会にて検討された原案を基に,標準化委員会,技
術作業部会が行った。以下にその委員を示す。

標準化委員会
委員長 鈴木 雅夫 キヤノン株式会社
副委員長 吉田 英明 オリンパス株式会社
ソニーイメージングプロダクツ&
副委員長 加藤 直哉
ソリューションズ株式会社
副委員長 今藤 和晴 株式会社ニコン
副委員長 福島 積 パナソニック株式会社
副委員長 佐藤 均 富士フイルム株式会社

技術作業部会
部会長 宇田川 善郎 キヤノン株式会社
副部会長 吉田 英明 オリンパス株式会社
副部会長 宝珠山 秀雄 株式会社ニコン

カメラ要素分科会
主査 斉藤 義久 株式会社ニコン
吉田 英明 オリンパス株式会社
塩崎 聡克 オリンパス株式会社
井上 信之 キヤノン株式会社
大内 秀寿 株式会社シグマ
ソニーイメージングプロダクツ&
金子 周平
ソリューションズ株式会社
ソニーイメージングプロダクツ&
藤井 謙太郎
ソリューションズ株式会社
ソニーイメージングプロダクツ&
寳子山 貴之
ソリューションズ株式会社
ソニーイメージングプロダクツ&
柴 伸治
ソリューションズ株式会社
青木 均 株式会社ニコン
村山 武久 日本電産コパル株式会社
藤田 健治 パナソニック株式会社
近藤 茂 富士フイルム株式会社
三澤 昌幸 株式会社リコー
細川 哲生 株式会社リコー

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一般社団法人カメラ映像機器工業会が発行している規格類は,知的財産権(特
許権,実用新案権,意匠権,著作権及びこれに類する権利又は法的利益)に
関する抵触の有無に関係なく制定されています。
一般社団法人カメラ映像機器工業会は,この規格類の内容に関する知的財
産権に関して,一切の責任を負いません。

CIPA AD-001-2020

2020 年 7 月 9 日発行

発行 一般社団法人 カメラ映像機器工業会
〒108-0023 東京都港区芝浦 3-8-10 MA 芝浦ビル 3F
TEL 03-5442-4800 FAX 03-5442-4801

禁無断転載

この規格類の全部又は一部を転載しようとする場合は,
発行者の許可を得てください。

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