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担当:松田 晴英
5 線形写像
5.1 線形写像
{
x + 2y = 3
線形代数第 1 で,連立方程式の解法を学びました。例えば,連立方程式 は
3x + 4y = 0
[ ][ ] [ ]
1 2 x 3
= のように,行列で表現できます。これを単に連立方程式の計算と捉えるので
3 4 y 0
[ ] [ ][ ] [ ]
x 1 2 x 3
なく,この行列表現によって,2 次元ベクトル が という操作によって, に
y 3 4 y 0
移ったとみなすことができます。
このように,連立方程式は 2 つのベクトルの対応付けとみなすことができるのです。また,こ
の対応付けは,特別な意味をもった『写像』と見なすことができます。
そこで,この章では,連立方程式を抽象化した概念を学びましょう。まずは写像の復習です。
集合 X の各要素に対して,集合 Y の要素がただひとつ定まるとき,その対応 f を X から
Y への写像といい,f : X → Y で表す。f によって,x ∈ X が y ∈ Y に対応しているとき,
y = f (x) と表し,y を f による x の像という。
ベクトル空間では,和とスカラー倍という演算が定義されているので,2 つのベクトル空間 U
と V での写像 U → V においても同じ構造をもつ写像に注目します。
U, V を R 上のベクトル空間とする。U から V への写像 T が (R 上の) 線形写像であるとは,
次の (1) と (2) をみたすときにいう。