Professional Documents
Culture Documents
1 2
せん妄を起こすためには 3つの因子が必要
患者を悪者にする前に
という話と、Difficult clinical encounterの話は似たようなもの。
我が振りを直せないか 一つにとらわれず幅広く見よう)
環境を整理できないか
メタ認知しよう
3 4
1
2021/11/10
軽いストレスなどがあるだけで
「はい、これ心因だから~!」と
即断するのはちょっとまって
DPEやせん妄と同じで「原因が一つ」
なんてことは、普通はないです。
もともとの性格に見合わない言動が
過剰とは言えない程度の心因で
誘発されている場合は
1.精神疾患の新規発症
2.外因疾患の脆弱性誘発を考える
https://www.iryojin.com/iryoujin/backnumber/160201iryojin.html
5 6
もともとの脆弱性と
本人と環境とのズレ・ギャップ
から生まれる大変なこと 不安/恐怖
安心できず、回避したり身がすくんだりする。
不安症と強迫症、PTSD
↓
その表現型は様々
だが、一定のパターン・種類がある
行動化 解離
感情が抱えきれず、言葉でなく行動へ 自分からログオフ、“記憶の抜け
パーソナリティ障害、摂食障害、物質使用障害。 落ち”や“自分が自分でない感じ”
として体験される。
解離性障害
関係づけ
周囲の些細な振る舞いを自分にとって
関係のあることとしてとらえる。
気分(抑うつ/イライラ/躁) 統合失調症やシゾイドパーソナリティ 身体化
感情エネルギーの流れの異常。 様々な苦痛を身体症状とし
うつ病、双極性障害 て表現する
転換性障害・身体症状症
7 8
2
2021/11/10
心因や外因・環境因が体に影響を及ぼす病態生理① 心因や外因・環境因が体に影響を及ぼす病態生理①
視床 は パペツ回路を介して大脳辺縁系とリンクし 視床下部 を介して自律神経、内分泌、免疫系に出力を与える
記憶、感情、感覚刺激の入力を受ける 精神疾患の身体症状や、不定愁訴・自律神経失調症・身体症状症の
症状のほとんどを説明できる
大脳辺縁系のおはなし Akira Magazine (akira3132.info) おもしろ学問 神経心理学I — 京都大学広報誌『紅萠』 (kyoto-u.ac.jp) ストレスについて ー 体との関係 ー | 生活習慣病を予防する 特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 (japa.org)
9 10
1.急変「前」徴候の特徴 急変“前”徴候
• 進行した症状が出るまで数日~数週かかる
「痛み」による、自律神経反応 →闘争か逃走
• ホメオスタシスの乱れは最小限 嘔気、腹部違和感、便秘・軟便(消化器症状)
→今対応すればノーダメージで回復できる
「感染」による、炎症性反応 →冬眠様行動
• あまりに早期すぎて言葉にならない 気力・関心の低下、臥床がち・リハ拒否
(とくに高齢者や小児、精神疾患患者)
→「症状」を自覚できない、聴取できない 「ストレス」による、脳機能変化 →せん妄
→直接バイタル変化で発症する(ように見える) 高活動型(興奮)、低活動型(傾眠・無欲)、日内変動がポイント
※わずかな変化=急変前徴候
の理解がカギ!!
11 12
3
2021/11/10
まとめ
患者要因で、いかにも人格・性格や精神疾患の問題と感じたら
心理的加重=器質+内因+心因の等式を思い出し、内因を検討しよう
Ⅰ軸 精神疾患
もともと普通の人(器質的要素が少ない)が、
ちょっとしたきっかけ(心因的要素が小さい)で不定愁訴・問題患者化していたら、
まず間違いなく内因(もしくは医師・環境要因)がある
※普通の身体化医師は、心因や問題行動を過大評価しがちなので割引いて考えよう
Ⅱ軸 精神遅滞・知的水準・発達の偏り
(苦手なもの、わからないものは、大きな問題にみえてしまうものです)
人格障害・性格の偏り
多彩な症状を整理して捉え、患者にもわかりやすく説明するためには
視床と大脳辺縁系をつなぐパペツ回路と Ⅲ軸 身体疾患
視床下部と自律神経・内分泌・免疫系をつなぐHPA-axisを思い出そう
とくに、新規・急性経過の
自律神経・内分泌・免疫系反応や辺縁系症状(感覚・感情や行動の変化)
Ⅳ軸 心理社会的および環境的問題
が見られたら、「なにか」は起こっています。
不定愁訴に押し込んだり、精神疾患と身体疾患を分けるのは、もうやめよう Ⅴ軸 社会的・職業的機能の全体評価
漠然とした「なにか」を捉えるための、伝統的フレームを活用しよう
13 14
真の「総合診療×リハビリテーション」
リハビリのICF 総合診療学
リハビリテー
ション医学
上段:生物心理社会 精神障害の
モデル(BPS) 患者中心の 緩和ケアの
診断と統計
高齢者総合 国際生活機能
下段:Somato-Pshyco- 医療の方法 全人的苦痛
マニュアル
機能評価 分類
Socio-Semiotic (PCCM) (Total pain) (CGA) (ICF)
モデル(SPSS)
(DSM)
上:生物医学的問題
(Bio-Medical) 疾病 一般身体疾患 身体疾患 健康状態
器質的問題 身体的苦痛
下:肉体的状況 (Disease) (第Ⅲ軸) 薬剤 (年齢・疾患)
身体的状況 (Somato)
ADL 心身機能
機能的問題 栄養状態 ・構造
排泄機能 活動
精神疾患
精神疾患 認知症
(第Ⅰ軸)
精神心理的
状況 上:心理的問題 人格障害と
心理状態 やまい 抑うつ状態
下:心理的状況 心理的苦痛 精神遅滞 個人因子
・認知特性 (Illness/Narrative) 感覚器機能
(Psycho) (第Ⅱ軸)
上:社会的問題 心理社会環境的 家族の状況
文脈
社会的状況 周囲の状況 下:社会的状況 社会的苦痛 要因 地域資源の 環境因子
(Context)
(Socio) (第Ⅳ軸) 利用
生命や存在の 上:
健康 霊的苦痛 全体的機能評価 参加/参加制
実存的状況 価値への 下:実存的状況
(Health) (Spiritual) (第Ⅴ軸) 約(QOL)
考え方や苦悩 (Semiotic)
※BPSは家庭医療学の最も基本的 ※実際の患者診療場面でど ※癌や非癌終末期に ※5軸診断を採用してい ※高齢者全般で有用 ※心身の機能等を最
な考え方。内科学等の古典的医学 うすればよいかを考えやす かぎらず、心身等の るDSM4の方が、総合医 で、最もブロードス も詳しく表現できる
のBio-medicalモデルでうまくい い。同じ症状・苦悩でも 苦痛がありそうで分 が使う他のツールと類似 ペクトラム(ただし、点が他と大きく異な
かない状況に限らず、臨床全般で DiseaseとIllnessに分けた分 析したいときに有用 点が多く、総合診療の場 身体機能や心理特性 り、一方でその他の
利用可能 析・対応が可能で実用的 での全体像評価では使い の分析は甘くなりが 広い領域も評価対象
※SPSSはBPSモデルの拡張版で、 やすい(診断基準や精神 ち) となっている
実存についても検討でき、全体の 科医とのやり取りには
バランスに目を向けやすい DSM5を用いている)
15 16
4
2021/11/10
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/53/12/53_KJ00008989551/_pdf
17 18
機能性疾患・器質性疾患とBPSモデルの重ね合わせ
いずれにしても、いろいろなものが重なりあい、混ざり合っていることが多い
19 20
5
2021/11/10
大学に紹介され入院する人はごく一部
幅広い設定での研修と、他院・他科との連携が大切
何らかの体調異常を訴える人は多いが、医師の診断・治療を受けない人も多い
(その一部は勝手に治るか、⾧く患ってこじれるか→そのさらに一部は機能性疾患)
内科検査の対象となる疾患・症候は少ない
21 22
総合病棟のコモンディジーズ 寝たきり・要介護の原因疾患
• 感染症 特に誤嚥性肺炎のトータルケア
• 悪性腫瘍 スクリーニングと術前評価、術後管理
• 心血管救急疾患 初期診療、救急診療、生存者のフォロー
• 急性臓器別疾患 地域により紹介・併診・独立
• 慢性臓器障害 CHF・COPD・LC・CKD・神経変性疾患
• 代謝内分泌疾患 糖尿病、電解質異常、甲状腺疾患
• 併存症 うつ・アルコール、認知症・難聴・関節症、
糖尿病、慢性臓器障害
併存する精神疾患や老年症候群もある程度はみれたほうが良い 原因疾患の同定できない「衰弱」が多い
23 24
6
2021/11/10
高齢者のコモンコンディション
≒老年症候群 社会のコモンヘルスプロブレム
• 社会格差 →社会・経済など
• 社会的排除 →ひきこもり、周囲からの隔離
• 社会的支援 →コミュニティ内の資源、連携
• 交通 →運動不足、アクセス悪化
• 労働 →劣悪な労働条件
• 失業 →ホームレスの不衛生、経済格差
• 幼少期 →周産期、妊娠前・小児検診の問題
• ストレス →うつ・自殺、心身症
• 食品 →低栄養
• 薬物依存 →アルコール、タバコ、ドラッグ
専門外来であったとしても、かかりつけ患者の高齢化に伴い、 生命予後やQOLの悪化と関連のある社会的要因は、
老年症候群のほうがメインになってきている患者であふれつつある もはや全科の医師にとって無視できない問題
25 26
世代別コモンヘルスプロブレム 家庭のコモンヘルスプロブレム
乳幼児期 ○母親の育児支援 ○小児予防を忘れない • 結婚前の成人期 ―家からの巣立ちと家族の基盤つくり―
学童期 ○友人関係 ○学習・行動の問題 • 新婚夫婦の時期 ―二つの異なる家族システムの結合―
思春期 ○性の問題 ○物質乱用の問題
青年期 ○妊娠予定 ○独立 • 乳児を育てる時期 ―幸せとストレスの狭間―
• 学童期の子どもを育てる時期
中年期 ○閉経・更年期障害 ○仕事・壮年期うつ
―生活の広がりと境界の維持―
○家族ライフサイクルの課題
• 思春期・青年期の子どもを育てる時期
○生活習慣病健診と癌検診してるか ―健康な家族でも揺れる段階―
退職期 ○健診継続できる? ○生活の変化への適応
老年期 ○元気な高齢者 ○虚弱高齢者 • 子どもの巣立ちとそれに続く時期 ―岐路に立つ家族―
終末期 ○事前指示 ○緩和 • 老年期の家族 ―さまざまな別れと人生の統合―
悲嘆期 ○夫の死・妻の死
ライフイベントの影響が、「不思議な症状」として表現されて受診することも多い 家族構成の変化も重要。家族図・家族歴は「家族の病名リスト」だけでは物足りない
27 28