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1. 言語学とそ の主要な分 野
1.1 .言語学と は
言語学は人間の話す言葉にはあらゆるレベルにおいて規則性が存在す
るという仮定のもとに、その規則性を探求し、客観的に記述する学問で
ある。そしてできるならば、記述された規則性を説明していこうとする
ものである。また、科学である以上、記述したり説明したりする理論を
立て、その理論を事 実にあてはめ て検 討するという手続き がとられる。
形態素がどのような規則に従って文に配列されるかを研究する分野
である。
意 味論
単語や文の意味の 問題を取り扱 う分 野である。
語 用論
場面や文脈に依存 する文の意味 を問 題にする分野である 。
共 時言語学
通時言語学に対して、同時代のいくつかの言語の状態を各レベルに
おいて研究する分野 である。
2
語の構造と品詞
言 語地理学
地域による言語の 変異を研究す る分 野である。
社 会言語学
性や年齢などの社会的な要因による言語の変異を研究する分野であ
る。
類 型論
言語の特定な特 徴に基づいて 世界 の言語を分類する分 野である。
問題
3
語の構造と品詞
語 彙リ スト 1
探求する た ん き ゅう T ì m t òi
客観的 き ゃ っ かん て き C ó t í n h k h á c h q u an , m ột c á c h k há c h
quan
仮定 かてい G i ả đị n h , gi ả th i ế t
記述 きじゅつ Ghi lại
あ て は める Phù hợp
分野 ぶんや N g à n h , p h â n n g hà n h
音声学 お ん せ がく N g ữ â m h ọc
音韻論 お ん い んろ ん Â m v ị h ọc
統語論 と う ご ろん N g ữ p há p h ọc
意味論 いみろん N g ữ n g hĩ a h ọc
語用論 ご よ う ろん N g ữ d ụ ng h ọc
単語 たんご Từ
厳密 げんみつ N g h i ê m n g ặ t , c hặ t c h ẽ
形態素 け い た いそ H ì n h t há i h ọc
配列 はいれつ Sắp xếp
場面 ばめん T ì n h h u ốn g , b ối cả n h
文脈 ぶ ん み ゃく V ă n cả n h
通 時 言 語学 つ う じ げん ご がく N g ôn n g ữ h ọc l ị c h đ ạ i
共 時 言 語学 き ょ う じげ ん ごが く N g ôn n g ữ h ọc đ ồn g đ ạ i
言 語 地 理学 げ ん ご ちり が く N g ôn n g ữ h ọc đ ị a l í
社 会 言 語学 し ゃ か いげ ん ごが く N g ôn n g ữ h ọc x ã h ội
直観 ち ょ っ かん T r ự c g iá c
文献 ぶんけん Văn kiện, tài liệu, sách
具体的 ぐ た い てき Có tính cụ thể
均 質 ( な) き ん し つな G i ốn g n h a u , c ùn g l oạ i
類似点 る い じ てん Đ i ể m g i ốn g n h a u
基準 きじゅん Tiêu chuẩn
系統 けいとう N g u ồn g ốc
語族 ごぞく N g ữ t ộc , n gữ h ệ
分岐 ぶんき P h â n nh á n h, p h â n tá c h
類型論 る い け いろ ん L o ạ i hì n h h ọc
4
語の構造と品詞
2. 言語の分類 と日本語
日本語はど んな類型 に属するか
ある言語の特性を考えるためには、まずその言語がどんなタイプなの
かを明かにする必要がある。すなわち、言語を分類することをしなけれ
ばならない。
言語を分類する方法 としては、次の 2 種類がある。
こ れ は 言語 起 源に 基 づ いて 言 語を 分 類 する 方 法 であ る 。こ の よう な
分類に基づくと、世界の言語はゲルマン語、ロマンス語、アルタイ語な
どのいくつかの語族に分けられる。しかし、日本語の場合はあまり明確
な結論が出てこない。人類学では日本民族は雑種であると証明される
が、日本語も雑種で あるというこ とは 必ずしも言えない。
類型論的な分類は言語の音韻や文法、語彙などの形式上の類似性に
基づいた分類方法である。このような分類方法によって世界の様々な言
Có hai loại từ trong một ngôn ngữ riêng lẻ: từ độc lập và
語は次ぎのような 4 種類に 分けられる 。 từ chức năng (từ kèm theo). Từ độc lập là những từ có
ý nghĩa thực chất, chẳng hạn như danh từ và gốc động
2.2 .1.膠着 語(こうち ゃくご) Ng ôn ng ữ Các
từ. chtừắpchức năng (hoặc các tính từ) là những từ chỉ
d ính
ý nghĩa ngữ pháp, chẳng hạn như các tiểu từ và bộ phận
vô hướng (bộ phận có thể thay đổi) của động từ.
個別言語には自立語 と機能語(付 属語 )という 2 種類の語がある 。自
立語は名詞や動詞の語幹などの実質的な意味を示す語である。機能語
(あるいは、付属語)は助詞や動詞の活用部分(変化する部分)などの
文法上の意味を示す 単語である。
膠着語では機能語(付属語)は自立語に膠で付けられたように付着し
て、文の中でその語の文法的な機能(果たした役割)を表わす。簡単に
述べると、膠着語は文法的な意味が自立語に付けられた機能語で表わさ
れる言語である。日 本語はこの類 型に 属する。 Ngôn ngữ kết hợp là ngôn ngữ mà ý nghĩa ngữ
pháp được biểu thị bằng các từ chức năng gắn
với các từ độc lập. Tiếng Nhật thuộc loại này.
例: わたく し が 本 を よん だ。
自立語 機能語 自立語 機能語 自立語 機能語
孤立語は各単語がそれぞれ実質的な意味を持ち、文法的な機能(文法
的な意味)は語順によって表わされる言語である。中国語、ベトナム語
などが孤立語に属す る。 Từ ngữ biệt lập là ngôn ngữ mà mỗi từ ngữ đều có nội hàm riêng và chức
năng ngữ pháp (ý nghĩa ngữ pháp) được thể hiện bằng trật tự từ. Tiếng
Trung, tiếng Việt, v.v. thuộc các ngôn ngữ biệt lập.
例: (ベトナ ム語)
a. Tôi yêu a nh ấy . ( 私 は 彼 を 愛し て い る)
わたし 愛する 彼
主語 動詞 目的語
b. Anh ấy yêu t ôi . ( 彼 は 私を 愛し て い る)
彼 愛する 私
主語 動詞 目的語
上 例 に 見 られ る よう に 、 「 anh ấy 」 と い う 語 は 目 的 語 に も 主 語 に も 同 じ 形 で 使
われる。孤立語では日本語の助詞のような文法的な機能を示す機能語(付属語)がついた
り 、 語 形が 変 化し た りす る こと は ない 。
屈折語だと呼ばれる言語は語形変化によって、各単語の文法的な機能が表わされる言語
である。ラテン語、アラビア語、ギリシャ語などが屈折語の代表的な例である。英語も屈折
語 に 属 する 言 語と さ れて い る。
例: (英 語 )
a. happy happily h a p p i n e s s ( 「 し あわ せ 」)
形容詞 副詞 名詞
b. drink drank d r u n k ( 「 飲む 」 動 詞)
現在形 過去形 過去分詞
ほうごうご
抱合 語
2.2 .4. (Ng ôn ng ữ b ão h ợp (dung h ợp))
Đây là một ngôn ngữ trong đó tất cả các yếu tố tạo nên một câu
được gắn kết như một từ. Nói cách khác, trong những ngôn ngữ
như
こ れは 文 を構 成 する 全 ての 要 素が 1 語の よう vậy,にmột từ cóたchức
密 着し 言語năng
で ある của。một
つま câu.
りEskimo
、こ の(ngôn
よう ngữ của
các dân tộc ở Tây Greenland) là một ví dụ về từ ghép
な 言 語 では 1 語が 一 つの 文 の働 き を持 っ てい る。 エ ス キモ ー 語( 西 グリ ー ンラ ン ドに す む人
々 の 言 語)こはん抱合
ごうご
語 の一 つ の例 で ある 。
混合 語
2.2 .5. (N g ôn ng ữ h ỗn h ợp)
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語の構造と品詞
語に属するが、フランス語やイタリア語などからの借用語(外来語)も
多く、その用法にも影響を受けているので、ロマンス語との類似も認め
られる。そのため、英語は「混合語」であるといえる。すなわち、「混
合語」で呼ばれる言語は二つ以上の言語類型の特徴を持っている言語で
ある。
日本語は膠着語に属するが、動詞や形容詞などの活用を観察すると、
屈折語の特徴も見られるので、日本語は混合語であるとも言えるだろ
う。
例:日本 語の動詞の活 用
書か (ない)[末 然 形]
書き (ます)[連 用 形]
書く [終止形]
書け [命令形 ]
問題
問題 1 次の質問に答えてください。
1.言語の分類する方法は何種類がありますか?
2.発生的分類はどのような分類の方法ですか?
3.語族というのは何ですか?日本語とベトナム語は何の語族に属するか ?
4.類型論的な分類では世界の各言語は何種類に分けられますか?
5.膠着語はどのような言語ですか?
6.孤立語の特徴は何ですか?例を挙げてください。
7.屈折語の特徴は何ですか?日本語は屈折語的な特徴を持っていますか?
8.抱合語はどのような言語ですか?抱合語の例を挙げてください。
9.どのような言語が「混合語」だと呼ばれますか?例を挙てください。
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語の構造と品詞
語 彙リ スト2
起源 きげん N g u ồn g ốc
雑種 ざっしゅ T ạ p c hủ n g
膠着語 こ う ち ゃく ご N g ôn n g ữ c hắ p dí n h
機能語 きのうご T ừ c hứ c nă n g
付属語 ふぞくご T ừ p h ụ t h u ộc
名詞 めいし Danh từ
語幹 ごかん T h â n từ
膠 にかわ H ồ, k e o
果たす はたす Đ ạ t đ ư ợ c, c ó đ ư ợ c
自立語 じりつご T ừ đ ộc l ậ p
孤立語 こりつご N g ôn n g ữ đ ơ n lậ p
語順 ごじゅん T r ậ t tự từ
属する ぞくする P h ụ t h u ộc
助詞 じょし Trợ từ
屈折語 く っ せ つご N g ôn n g ữ b i ế n hì n h
語形変化 ご け い へん か S ự b i ế n đ ổi h ì nh t há i từ
抱合語 ほ う ご うご N g ôn n g ữ b ã o h ợ p , d u n g
hợp
密着 み っ ち ゃく G ắ n c hặ t
混合語 こ ん ご うご N g ôn n g ữ h ỗn h ợ p
未然形 み ぜ ん けい D ạ n g ph ủ đ ị n h
連用形 れ ん よ うけ い D ạ n g li ê n d ụ n g
命令形 め い れ いけ い Dạng mệnh lệnh
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語の構造と品詞
✎ 語彙 テスト 1
1 .次ぎの言 葉の読み方 を書いて くださ い 。
規則性 普遍的な特
徴
客観的 変異
個別言語 類似
場面 共時言語学
文脈 類型論
文献 通時言語学
語彙 語形変化
系統 自立語
仮定 機能語
仮説 付属語
2 . 次 ぎ の 言 葉は 日 本 語 では 何 と 言 いま す か ? 漢 字 と 読み 方 を 書 いて く だ
さい 。
順 ベト ナム語 読み 方 漢字
1 Ngữ âm học
2 Âm vị học
3 Hình thái học
4 Ngữ pháp học
5 Từ vựng học
6 Ngữ dụng học
7 Ngữ âm
8 Từ vựng
9 Ngữ pháp
10 Ngôn ngữ học xã hội
11 Loại hình học
12 Ngữ hệ
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語の構造と品詞
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語の構造と品詞
概論 2 日本語の文法
1. 文法とは
コミュニケーションなどの言語活動を行うためには私たちは単語をつないで文
を作る。そのことばのならべ方の規則が文法である。文法は、普通、一つの文の構
造を説明するものであるが、広義の文法は、いくつかの文法にまたがる文法現象を
扱うこともある。 Để thực hiện các hoạt động ngôn ngữ như giao tiếp, chúng ta kết nối các từ để tạo thành câu. Ngữ
pháp là các quy tắc về cách các từ được sắp xếp. Ngữ pháp thường là cấu trúc của một câu
đơn.ngữ pháp, nhưng những ngữ pháp rộng hơn cũng có thể giải quyết các hiện tượng ngữ pháp kéo
2. 文、語、句 と節 dài một số ngữ pháp.
2.1 .文
文は言語表現の最も基本的な単位であり、あるまとまった内容を持
ち、形の上で完結した単位である。また、文は表現において「句点」が
与えられる。Câu là đơn vị biểu đạt ngôn ngữ cơ bản nhất, là đơn vị có nội dung nhất định và hoàn chỉnh về hình thức. Ngoài
ra, các câu được đưa ra "thời kỳ" trong biểu thức của chúng.
例 私は教師です。
田中さんが本を読ん でいます。
東京の建物は高い。
2.2 .語
文 を 構 成 す る 要 素 の 中 で 最 も 基 本的 なも の が 「 語 」 で あ る 。 「 語 」 は
文を作るための最も重要な材料である。個別言語には文の数は無限であ
ると言われるが、そ の材料である 語の 数は有限である。Yếu tố cơ bản nhất cấu thành câu là một
"từ". "Từ" là nguyên liệu quan trọng
nhất để tạo thành câu. Các ngôn ngữ
例 私/は/教師/です。 riêng lẻ được cho là có vô số câu, nhưng
chỉ có một số từ hữu hạn
田中/さん/が/本/を/ 読んでいます 。
2.3 .品詞
語 は 文 法 的 な 働 き 方 、 形 、 意 味 に基 づい て い く つ か の グ ル ー プ に 分 け
ることができる。このそれぞれのグループを品詞という。重要な品詞は
名詞(本、ペン、話)、動詞(行く、食べる、話す)、形容詞などであ
る。次に大事なのは 副詞、助詞な どで あ る。
2.4 .句と節
語のまとまりが全体としてある単一の品詞と同じ働きをする事がある。これ
らは「句」や「節」という。述語が含まれていれば節、含まれなければ句である。
3. 日本語の文 法的な特 徴 Trong tiếng Nhật, vị ngữ của câu (động từ, tính từ, danh từ + copula) luôn được đặt ở
cuối câu. Là một trật tự từ cơ bản, nó thuộc về các từ SOV (chủ ngữ-vị ngữ). Ngoài ra,
3.1 日本語の語 順 trong tiếng Nhật, từ boo nghia luôn đi trước từ s
日本語では文の述語(動詞、形容詞、名詞+コピュラ)が、常に文末
に置く。基本的な語 順としては SOV ( 主語ー目的語ー述語 )語に属する 。
また、日本語では常 に修飾する語 句が 修飾される語句の直 前に来る。
例 新しい 本
今朝買った 本
3.2 .1.述語
述語は文末の位置で文を与え、中心的な要素である。述語の内容によって文の
大枠が決定される。それは家屋を与える柱が家屋全体の形を決めるのに似ている。
例 田中さんが本を読ん でいる。 Vị ngữ cho phụ đứng cuối câu và là thành phần trung tâm. Khai
quat ND của câu được xác định bởi nội dung của vị ngữ.
上の文では文末の「読んでいる」が述語であり、「読んでいる(読む)という
述語は文の骨格を決める働きを持つ。述語は
(1) 名詞-だ/です
(3 ) 形容詞
(2 ) 形容詞- だ/です
(4 ) 動詞
などのうちのどれか からなってい る。
例 田中さんは先生です/ だ。 あ の人は親切だ。
田中さんの本は面白 い。 田 中さんがご飯を 食べ た。
3.2 .2.補語 (補足語) Các yếu tố bổ sung cho ý nghĩa được biểu thị bởi vị ngữ được gọi là phần bổ sung hoặc
phần bổ sung.
述語が表す意味を補 う要素を補語 、あ るいは補足語と呼ぶ 。
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語の構造と品詞
(補(足)語) (補(足)語)
(補(足)語) ( 補(足)語)
多 く の 場 合 は 補 足 語 の 成 文 が 他 の要 素が 含 ま れ る 。 そ の 要 素 は 補 足 に
付加てきな情報を加 える機能を持 つ。
例 太郎が重い荷物を運 んだ。
上の例では「重い」が補足語の「重い荷物」の成分に入り、「修飾語」だと
呼ばれる。
補 足 語 に は 基 本 的 に 主 語 と 目 的 語が 含ま れ る が 、 状 況 語 や 述 語 の 修 飾
語が含まれる場合も ある。
例 太郎が 駅で 重い 荷物 を 軽々と 運んだ。
主語 状況語 目的の修飾語 (述語の)修飾語 述語
Bổ ngữ là các thành phần câu bổ sung thông tin bổ sung cho
một biểu thức nhất định và phục vụ cho việc mô tả chính xác
3.2 .3.修飾 語 hơn.
修飾 語 とは 与 えら れ た表 現 に付 加 的 な情 報 を加 え 、 より 精 密な 記
述を与える働きをす る文の要素で ある 。
修飾語は「大きな」、「大きく」、「だんだん」などの連体詞や形容詞、
副詞からなっている。
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語の構造と品詞
例 おいしいご飯 面白 い本
私が買ったペン 早く 走る
若い 女性が 速く
ご飯を 食べてい る。
3.2 .6.状況 語
状況語は時、所を 表わす表現で あ る。 Tình huống là những từ biểu thị thời gian và địa điểm.
例 今日、秋に、学校で
子供の時 アメリカ に住んでいま した 。
3.2 .7.目的 語
目的語は動詞の表 す動作・作用 の対 象である
例 本を読む。 ご飯を食べ る。
3.2 .8.主語
主語は動詞が表す動作をする者や形容詞が表す状態、属性などの主体
を表す語である。主語は普通格助詞「が」で表されるが、「は」で表さ
れる場合もある。 Chủ ngữ là một từ biểu thị một chủ thể, chẳng hạn như một người thực
hiện một hành động được chỉ ra bởi một động từ, một trạng thái được chỉ
định bởi một tính từ hoặc một thuộc tính. Chủ ngữ được biểu thị bằng
例: tiểu từ trường hợp bình thường "ga", nhưng đôi khi nó được biểu thị
bằng "ha".
あ、バスが 来た。
主語 述語
居間は 広い。
主語 述語
3.2 .9.主題
その文が何について述べるかを示す部分が主題と呼ばれる。主題は基
本的に名詞と「は」 や「も」など のよ うな取立て助詞表さ れる。
例 雨はまだ降っている かい。 Bộ phận chỉ ra nội dung của câu được gọi là chủ ngữ. Về cơ bản, chủ
ngữ được đại diện bởi một danh từ và một đại từ như "wa" hoặc "
mo".
明日も行きます。
3.3 .単文と複 文
つなぎ合わされた文を複文と呼び、つなぎ合わされない文は単文という。
Những câu được nối với nhau được gọi là câu ghép,
例 太郎が重い荷物を軽 々と運んだ。 những câu không nối với nhau được gọi là câu đơn.
次郎は仕事で忙しい 。
Câu được cấu tạo chủ yếu
bởi một vị ngữ duy nhất
3.3 .1.単文 được gọi là "câu đơn giản"
3.3 .2.複文
複数の述語からな る文を「複文 」 という。
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語の構造と品詞
主節
複文の各節の中で、文末の述語を中心した節が「主節」と呼ばれる。
この節は文全体をま とめる働きを する 。
接続 節
「主節」以外の節は「接続節」と呼ばれる。接続節は、主節に対す
る関係の違いによっ て、「従 属 節 」、「並 列節 」に分けられる。
「従属節」とは、主節に対して従属的な関係で結び つくものをいう。
例 太郎が重い荷物を軽 々と運んだの で、 花子は驚いた。
「並列節」とは主節に対して対等に並ぶ関係で結びつくものをいう。
例 花子が詩を書き、太 郎が曲をつけ た。
この文では主題は述 語の補語を兼 ねな い。
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語の構造と品詞
問題
問題 2 次の文の成文を分析してください。(5~15 の文は「中・上級者のための速読の日本語」の引用
文)
1.京都の新しい建物 はとても有名 で す。
2.桜がきれいに咲い ています。
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語の構造と品詞
かいが
絵画
7.美術館のジャンルでは が一番人気があるようだ。
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語の構造と品詞
13.春は桜、秋は紅葉がきれいで気候もよいので、どこへ行っても人でいっぱいです。
14 . こ の ご ろ は 拝 観 制 限 ( お 寺 の 中 に 入 れ る 人 の 人 数 を 制 限 す る こ と )
をするお寺も出てき たそうです。
語 彙リ スト 3
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語の構造と品詞
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語の構造と品詞
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語の構造と品詞
語の構造と品詞
活用語 派生語 複合語
品詞:名詞 動詞 形容詞 助動詞 副詞 助詞
連体詞 接続詞 数詞 感動詞
1.語の構造
語の構成要素に基づくと、語は 1 つの要素だけからなるものと複数の要素から
なるものという 2 つの種類に分けられる。1 つの要素からなるものについては、1
つ語の中でどのような要素がどのような関係で結合しているか、ということが問題
となる。語の構造面から見て特に問題になるのは、活用語、派生語、複合語の 3 つ
である。
1.1.活用語
語には、固定した形を持つもの(例えば、「豆」)と、働きの違いに忚じて
形を変えるものがある。文中の働きの違いに対忚して語形が変化する語は「活用
語」と呼ばれる。すなわち、活用語とは、文中での働きの違いに忚じて形を変える
語である。活用語は語形変化をする語とも呼ばれる。
例 食べる 食べた 食べている 食べよう
(以上の例では「食べる」という語は様々な形で用いられる)。
諸品詞の中で活用語に該当するのは述語に関係する品詞であり、動詞、形容詞、
助動詞の 3 つである。
活用語は原則として、変化しない部分と変化する部分からなる。変化しない部
分を「活用語幹」、変化する部分は「活用語尾」という。活用語幹の部分は語の
個別的意味を表わし、活用語尾の部分は文中での働きのあり方を表わす。
例 食べれば (語幹:食べ 語尾:れば)
語幹である「食べ」の部分が「食べる」という語の意味を表わし、語尾である
「れば」の部分が文中での働きを示す。
「活用語幹+活用語尾」の種々の形を「活用形」という。例えば、「食べれ
ば」は活用形の 1 つであり、「基本条件形」と呼ぶ。
22
語の構造と品詞
1.2.派生語
ある語に付加的要素が付いてできる語を派生語という。
他の言葉で言えば、派生語とは、特定の語に別の要素が付加してできる語のこ
とである。例えば、「寒い」に「さ」という要素が付くと、「寒さ」という語が
Phái sinh là những từ được hình thành bằng cách thêm các yếu tố bổ sung vào một từ khác. Nói
派生する。 cách khác, phái sinh là một từ được hình thành bằng cách thêm một yếu tố khác vào một từ cụ thể.
派生語には付加的要素を「接辞」という。接辞の付加を受け、派生語の中心で
ある要素を「派生語幹」と呼ぶ。例えば、「寒さ」という派生語には、「寒」の
部分が派生語幹であり、「さ」が接辞である。 派生語の種々の例:
帰る 帰り 旅行 旅行する
高い 高さ 案内 案内する
苦しい 苦しさ 勉強 勉強する
甘い 甘み
接辞は、現れる位置の違いによって、「接頭辞」と「接尾辞」という2つ種類
に分けられる。
語幹の前に付加する接辞が「接頭辞」、語幹の後ろに付加する接辞が「接尾
辞」と呼ばれる。
接頭辞の例:不、無、非、未、真、御(ご)、お
例えば、不自然 (ふしぜん)、無利益(むりえき)、非常識(ひじょうし
き)、未開発 (みかいはつ)、真夏(まなつ)、真冬(まふゆ)、ご飯、御家族、
お金 、お水、お名前などである。
接尾辞の例:さ、もの、方(かた)、手(て)、用、式
例えば、難しさ、美しさ、食べ物、飲み物、若者、怠け者(なまけもの)、
結婚式、卒業式、子供用、女性用、電話機、洗濯機、教え方、食べ方、聞き手、
話し手などである。
注:「もの」、「方」などの接尾辞は単独で使われることができるので、「食べ物」、「若者」、
「教え方」などの語が「結合語」であるという考えもある。
接辞がどの程度の数の語に付加できるかを、その接辞の「生産性」という。
多数の語に付加できる接辞は「生産性が高い接辞」(例えば、「さ」)、少数の
語に付加できる接辞は「生産性が低い接辞」と呼ばれる(例えば、「ま」)
23
語の構造と品詞
派生語の文中での働きを決めるのは、原則として語の末尾の要素である。す
なわち、派生語がどの品詞に属するかは、末尾の要素で決まる。従って、接頭辞
は一般に派生語の品詞のあり方に影響しないが、接尾辞は派生語の品詞を決める
働きをする。例えば、接頭辞「ま」は品詞のあり方に影響しないが、接尾辞
「さ」は派生語の品詞を名詞にする。
1.3.複合語
複合語とは、複数の語が結合して一語となったものをいう。
すなわち、複合語の中で、2 つ語からなるものと 2 つ以上の語からなるものが
ある。
例:雨風(あめかぜ) Có hai loại kết nối: kết nối song song và
kết nối không song song. Trong từ ghép
親子(おやこ) sau, thành tố sau (hậu ngữ) thường là
trung tâm, và thành tố đứng trước
親子孫(おやこまご) (thuật ngữ đứng trước) phụ thuộc vào
nó.
外国為替銀行(がいこくかわせぎんこう)
結合には、並列的な性格のものとそうでないものとがある。後者の複合語にお
いては一般に、後続する要素(後項)が中心になり、先行する要素(前項)がそ
れに従属する。
1.3.1. 並列的結合語Đối với các bộ phận ghép của lời nói, các hợp chất có tính chất song song về
nguyên tắc là danh từ
結合語の品詞については、並列的な性格の複合は原則として名詞である。
例: 雨風 (あめかぜ) 親子孫(おやこまご)
天地 (てんち) 内外(うちそと)
草木(くさき) あちこち
親子(おやこ) 男女(男女)
1.3.2. 従属的結合語(後項が中心になる結合語)
後項が中心要素になる結合語に主として、名詞、動詞、形容詞である。
Danh từ, động từ và tính từ là những kết nối chính trong đó kết nối sau là yếu
例 tố trung tâm.
名詞: 山道(やまみち) 国内旅行(こくないりょこう)
泣き声(なきごえ) 自由市場(じゆうしじょう)
秋空(あきぞら) 商売ルール(しょうばいルール)
灰皿(はいざら) 石油ストーブ(せきゆストーブ)
24
語の構造と品詞
2.品詞
語は文の材料であり、文を組み立てる上で一定の働きをする。この働きの違い
によって語を種類分けしたものが品詞である。
例えば、補語や主題の中心になる役割を担う「荷物」や「仕事」のような語を
「名詞」と呼び、単独で述語の働きをする「運ぶ」のような語を「動詞」と呼び、
単独で述語になる、及び名詞を修飾するという役割を担う「重い」や「忙しい」
のような語を「形容詞」と呼ぶ。
日本語の品詞の名称と規定は次ぎの通りである。
1.動詞 単独で述語になる
例:食べる、行く、ある
2.形容詞 (イ形容詞とナ形容詞が含まれる)
単独で述語になり、かつ、連体修飾として働く
例:新しい、きれい(な)、
3.助動詞 述語に接続して、複雑な述語を作る
4.名詞 主題や補語の中心要素になる
5.副詞 連用修飾として働く
6.助詞 名詞に接続して主題や補語を作ったり、
名詞と名詞、節と節を接続する。
7.連体詞 連体修飾語 として働く
8.接続詞 文と文を接続する
9.感動詞 単独で文になることができる
10.数詞 数量や度量を表わす
その他には「擬声語・擬態語」という特別の語のグループがある。文法的な働
きからすると、擬声語・擬態語は副詞や名詞などいろいろな品詞にまたがる。
注意
25
語の構造と品詞
① 判定詞か、助動詞か?
どのような品詞名を使用するかは、実は教科書によって違う。例えば、いくつかの教科
書では「だ」、「です」を判定詞(またはコピュラ)と見なす(『初めての日本語教育1.
日本語教育の基礎知識』、『基礎日本語文法』などがその例である)。すなわち、教科書に
よって日本語の品詞数と品詞の名称は異なる。例えば、『基礎日本語文法』によると、日本
語の品詞は11種類ある(動詞、名詞、形容詞、助詞、副詞、判定詞、連体詞、接続詞、指
示詞、助動詞、感動詞)。しかし、多くの教科書における日本語の品詞分類では「だ」、
「です」は助動詞の各グループの一つであるので、ここでは、「だ」、「です」を助動詞と
して述べる。
② 数詞か、名詞か?
「一」、「二」、「三冊」、「一つ」などについても様々な扱いかたがある。例えば、
『日本語文法整理読本』によってこれらは「数詞」という一つの品詞になるが、いくつかの
教科書では文中の働きに基づいて、これらは名詞の一つのグループとみなさる。ここでは
『日本語文法整理読本』に基づいて、これらを数詞として述べる。
③ 指示詞か、名詞か?
「これ」、「それ」、「この」などが「指示詞」という別の独立の品詞として述べられ
る教科書もあるが、ここでは『日本語文法整理読本』の観点によって、指示詞を名詞の一つ
のグループであると見なす。
④ 国語教育と日本語教育における品詞の名称の違い
さらに、国語教育と日本語教育における品詞の名称と各品詞のグループの名称に関しては、いく
つかの違いがある。 例:
国語教育 日本語教育
形容詞 イ形容詞
形容動詞 ナ形容詞
五段(活用)動詞 1グループ動詞/U-verb/子音動詞
一段(活用)動詞 2グループ動詞/Ru-verb/母音動詞
サ変・カ変動詞 不規則活用動詞/3グループ動詞
文の構成成分は、意味を表わす部分(自立語)と、それだけでは単独で用いる
ことができず、自立語について文法関係を表わす部分(付属語)とに分けられる。
例 太郎 -が ケーキ -を 食べ-られ -た
自立語 付属語 自立語 付属語 自立語 付属語 付属語
日本語の品詞分類をまとめると、次のような表になる。
26
語の構造と品詞
表‐日本語品詞分類
特徴 例 名称
ウ段音で終わる ある、食べる、書く 動詞
単独で述語になる
イ段音で終わる 高い、難しい イ形容詞
「…く」形もある
活用 単独で述語になり、連体修飾と
する して働く
「…だ。」で終わる 形容詞
「…な」形もある きれい(だ)
単独で述語になり、連体修飾と 元気(な人) ナ形容詞
して働く
自 「~がどうした」
立 「~は…」 大学、母、これ
語 「~を」など 名詞
主題や補語の中心要素になる
・動詞やイ/ナ形容詞の前にくる いつも、とても
活用 副詞
・連用修飾として働く
し
いつも名詞の前にくる あらゆる、いわゆる 連体詞
ない
文と文をつなぐ が、しかし、けれど 接続詞
・それ自分で感情、忚答などを
表わす。 はい、あら、ほら 感動詞
・単独で文になることができる
数を表わす 一つ、一冊、2 回 数詞
付 活用 述語に接続して、述語を作る。 れる、られる、だ、らし
属 する い… 助動詞
語 活用 名詞に接続して主題や補語を作っ
し たり、名詞と名詞、節と節を接続した が、は、を、に、で、し 助詞
ない りする か
27
語の構造と品詞
第
1
節 動詞
1.基本的性格
動詞の基本的な性格は、単独で述語の働きをし、文中での働きの違いに忚じて
活用することである。
2.動詞の分類
動詞は様々な観点から分類することができる。
2.1.活用による分類
活用による分類では日本語の動詞は次のような3つのグループに分けられる。
2.1.1.グループの動詞(U-verb、五段動詞)
特徴:語尾が-U で終わる
例:書く、きる、走る、行く
2.1.2.2 グループの動詞(RU-verb、一段動詞
特徴:語尾が i-RU か e-RU で終わる
例:起きる、見る、食べる、寝る
2.1.3.3 グループの動詞(不規則活用の動詞)
例:来る、する、勉強する
注意
「…る」で終わっても Uverb(1 グループ)である場合がある。「走る」、「切る」な
どはその例である。U-verb と Ru-verb の見分け方は動詞の活用の型に基づく。
U-verb の主な活用の型 Ru-verb の主な活用の型
kak-U tabe-RU
-ANAI -NAI
-IMASU -MASU
2.2.表わす意味による分類 (動態動詞と状態動詞)
述語が表現する事態は動きと状態に分けられる。
動きを表わす動詞は「動態動詞」と呼ぶ。例えば、「歩く」、「書く」、
「話す」などである。
28
語の構造と品詞
これに対して、少数であるが、状態を表わす動詞もある。状態の動詞には、存
在・所有の意味を表わす動詞(例えば「ある」、「いる」)、可能の意味を表わ
す動詞(例えば「できる」)、必要の意味を表わす動詞「要る」などの様々な種
類がある。
2.3.人間の意志による分類(意志動詞と無意志動詞)
このような分類によると、日本語の動態動詞は意志動詞と無意志動詞という2
つのグループに分けることができる。
2.3.1.意志動詞
特徴:人間の意志による動作を表わす動詞
例 読む、食べる、歩く、考える
2.3.2.無意志の動詞
特徴:意志によるコントロールのさかない動作を表わす動詞。
例 咲く、困る、降る
人間の意志が関わる、命令・禁止・依頼・勧誘の表現には意志動詞だけが現れる。
例 ゆっくり歩いてください。
一緒に行きましょう。
* 主語の関係で、1 つの動詞が二通りに用いられる場合もある。
例 化粧を落とす 財布を落とす
喫茶店に入る 荷物が鞄に入る
テンニスをする 頭痛がする・病気をする
2.4.他動詞と自動詞
動態動詞には、「自動詞」と「他動詞」が区別される。
他動詞:「名詞を」という形式の補足語を取る動詞を「他動詞」という。
例 新聞を読む、車を止める
自動詞:「名詞を」という補足語をとらない動詞を「自動詞」という。
例 人が働く、車が止まる
動態動詞の中には、[止まる」と「止める」のように、意味的に対忚する
(「車が止まる」と「車を止める」のような関係にある)自動詞と他動詞の対が
数多く存在する。このような対は、たいていの場合、形の上で共通部分を持つ。
例 人が集まる 人を集める
29
語の構造と品詞
エレベータのドアが開く トイレのドアを開ける
アパートが見つかった アパートを見つけた
注意
開く(ひらく)(「戸が開く」と「戸を開く」)のように、同じ形で自動詞と他動詞の対
を表わすものが、まれである。
自動詞と他動詞の対忚が複雑な例がある。
例 授業が終わる 授業を終える 授業を終わる
形の上で共通部分も持たないが自動詞-他動詞の対と見なされる場合がある。
する - なる 殺す - 死ぬ
「名詞を」を取る自動詞があるが、その場合の「を」は他動詞の取る「名詞を」における
「を」と違って、場所を表わす。
例 廊下(ろうか)を走る
東京を出発する。
2.5.複合動詞
動詞の構造を分析すると、多くの動詞が一つの動詞からなると見られる。この
ような動詞は訓読みを持つ。例えば、「行く、来る、休む、習う」。これら動詞
が「単動詞」と呼ばれる。
これに対して、ある動詞(前項)に別の動詞(後項)を付けて複合的な動詞を
作ることができる。これを「複合動詞」と呼ぶ。
複合動詞には、連用形が現れるもの(例えば、「持ち上げる」)とテ形(例え
ば、「持ってくる」)がある。前者を「連用形複合動詞」、後者を「テ形複合動
詞」と呼ぶ。
複合動詞は、前項が動詞として性質を保持しているものと、動詞としての性質
を一部または全部失っているものに分けることができる。前者は前項に様々な動
詞をとることができ、また、前項が受動形、使役形、等様々な形式を取ることが
できる。
例 最近、この種の小説が読まれ始めた。
これに対して、後者は前項に現れる動詞が限られ、また、前項が受動形等をと
ることもない。
30
語の構造と品詞
これら 2 つの型の複合動詞を、それぞれ「統語的複合動詞」と「語彙的複合動
詞」と呼ぶ。テ形複合動詞は主として統合的複合動詞である。一方、連用形複合
動詞には統語的なものと語彙的なものの両方がある。
また、同じ動詞が統語的複合動詞、語彙的複合動詞の両方に使われる場合がある。
例 最近、また、この種の小説が読まれだした。
(統語的複合動詞、「出す」は開始を表わす)
鈴木さんは鞄から書類を取り出した。
(語彙的複合動詞、「だす」は「外に出る」の意味を表わす)
2.5.1.テ形複合動詞
テ形複合動詞には、次のようなものがある
(1) アスペクトに関係するもの(アスペクトの意味を表わすも の)
(~ている、~てある、~てしまう、~ていく、~てくる)
~ている
太郎は音楽を聴いている(動きの継続の状態)
家の前に大型トラックが止まっている(動きの結果の状態)
~てある
入り口に花が飾っている。(動作の結果としての対象の状態)
~てしまう
早く食べてしまいなさい。(動きの完了性)
うっかり余計なことを言ってしまった。
~ていく、~てくる
これからも、この人たちを見守っていくつもりだ。(動きの継続)
経済が少し落ち着いてきた。(状態の変化)
「~ていく」と「~てくる」は、テ形が意志動詞の場合は動作の継続を、無意志
動詞の場合は出来事の継続、または状態の変化を、それぞれ表わす。
(2)授受に関係するもの(授受の意味を表わすもの)
~てもらう、~いただく、~てくれる、~てくださる、~てあげる、~てやる、
~てさしあげる
(3) その他 (~ておく、~てみる、~てみせる)
注意: テ形 複合 動 詞の 構 成す る 2 つ の 動詞 の中 で 、 後項 が 「補 助 動詞 」 と呼 ば れる。
31
語の構造と品詞
2.5.2.連用形複合動詞
連用形複合動詞には、統語的なものと語彙的なものがある。このうち、統語的
な連用形複合動詞に次ぎのようなものがある。
(1) アスペクトに関係するもの(アスペクトの意味を表わすもの)
「~はじめる、~だす、~かける、~つづける、~おわる、~おえる、~やむ、
~あがる、~あげる」
(2) 完遂の意味を表わすもの
「 ~つくす、~ぬく、~とおす、~きる」
例 この問題はもう研究しつくされている。
(3) 不遂行の意味を表わすもの
「~忘れる、~そこなう、~損じる、~そびれる、~しぶる、~かねる、~おとす」
例 書類に日付を記入忘れた。
(4) その他
「~あう、~なおす、~かえす、~つける」
連用複合動詞には、語彙的なものも多数存在する。この種の語彙的複合動詞は、
前項が動作の様態や手段を表わし、後項が動作の結果や動作の向かう方向を表わ
す場合が多い。そのような構成をしている語彙的複合語動詞の例として、「殴り
倒す(なぐりたおす)、持ち上げる、叩き落とす(たたきおとす)、こじ開ける、
よじ登る、連れ戻す」のようなものがあげられる。
例 家出した妹を連れ戻す。
注意
複合動詞の中には、後項が動詞としての性質を全く失い、接尾辞的になってしまったものも
ある。
~込む 例:考え込む、押し込む
~かかる 例:飛びかかる、つかみかかる、通りかかる
~かける 例:呼びかける、話しかける、押しかける
~つく 例:飛びつく、すがりつく
~つける 例:呼び付ける(よびつける)
撥ね付ける(はねつける)
痛めつける (いためつける)
~かえる 例:しょげ返る(しょげかえる)
32
語の構造と品詞
静まり返る (しずまりかえる)
複合動詞の扱い方は教科書によって異なる。連用複合動詞だけを「複合動詞」と見なす教
科書もある。
2.6.借用動詞
日本語には漢語や洋語(外来語)は数多く存在する。これらは原則として名詞
として日本語に入って来る。従って、漢語や洋語を動詞として使うためには「す
る」という動詞を付ける必要がある。
例:研究する、勉強する、案内する、約束する、スタートする、サインする
これらの動詞は「借用動詞」と呼ばれる。借用動詞の「する」は「形式動詞」という。
形式動詞「する」の他に、「る」を付ける場合もある。
「サボる」、「ダブる」などはその例である。この場合、”-r”を語幹とす
る子音動詞となる。しかし、このような動詞はそれほど生産的ではない。
和語の動詞では、対忚する自動詞と他動詞は、原則とした異なった形で表わされ
る。しかし、借用動詞はこのような形の区別を持たず、個々の語(または語の用
法に)よって、自動詞になるか、他動詞になるかが決まっている。
例:会社側の態度が軟化した。(「軟化する」は自動詞)
この小説を映画化するのには、30 憶円はかかる。(「映画化する」は他動詞)
店が/をオープンする (「オープンする」は自動詞、他動詞)
借用動詞の中の名詞の部分は、「研究をする」、「勉強をする」、「旅行をす
る」のように、「を」を伴って動詞から独立ことができる。
2.7. 動詞の活用形
日本語教育で用いられる動詞の活用形の名称は次の通りである。
動詞の活用形の名称 例 動詞の活用形の名称 例
1 辞書形(基本形) u/ru 書く 7 タ形 書いた
2 ナイ形 書かない 8 タラ形 書いたら
3 マス形 書きます 9 タリ形 書いたり
4 バ形 書けば 10 受身形 書かれる
5 オウ形 書こう 11 使役形 書かせる
6 テ形 書いて 12 可能形 書ける
33
語の構造と品詞
これらの名称は様々な活用形の形式的な特徴によって用いられる。国語教育で
は活用形の表わす意味によって名称が使われる場合が多い。例えば、
動詞の活用形の名称 例
1 否定形(ナイ形)
2 過去形(タ形
3 命令形 e/ro 行け、食べろ、しろ、来い
4 意志形 ou/you 行こう、食べよう、来よう、しょう
動詞の活用の語幹には、子音で終わるもの(五段動詞の場合)と母音で終わる
もの(一段動詞の場合)がある。子音動詞の語幹は結合する活用語尾の違いに忚
じて、2 種類の形を持つ。これらを「基本系語幹」と「タ系語幹」と呼ぶ。
子音動詞の基本系語幹は、語幹の末尾に現れる子音の違いで分けると、次ぎの
9 種類になる。
表‐基本系語幹
基本系語幹 例
1 「s」で終わるもの 貸す
2 「k」で終わるもの 咲く
3 「g」------ 研ぐ
4 「m」------ 飲む
5 「n」------ 死ぬ
6 「b」------ 飛ぶ
7 「t」------ 待つ
8 「r」------ 取る
9 「w」------ 買う
基本系語幹が「s」で終わるもののタ系語幹は、「si」で終わる。例:貸
した、返した(タ系語幹:kasi、kaesi)
34
語の構造と品詞
基本系語幹が「k」,「g」で終わるもののタ系語幹は、「k」,「g」が現れな
いで、「i」で終わる。例:咲いた、研いだ (タ系語幹:sai, toi )
基本系語幹が「m」、「n」、「b」で終わるもののタ系語幹は「n」で終
わる。例:読んだ、死んだ、飛んだ(タ系語幹:non,sin,ton )
基本系語幹が「t」「r」「w」で終わるもののタ系語幹は「t」で終わ
る。例:待った、取った、買った(タ系語:mat,tot,kat )
表‐日本語の動詞の主な活用形
基本系語尾 タ系語尾
1 基本形 u/ru
2 命令形 e/ro
3 意思形 ou/you
4 基本条件形 eba/ reba タ系条件形 tara/ dara
タ系連用形(テ形、タリ形、ダリ形 te/de;
5 基本連用形 i/ zero
tari/dari
問題
問題 1 次の動詞の活用形は何と言いますか?
1. 起きろ ----------------------------------------------------------------------------------
2. たべろ ---------------------------------------------------------------------------------
3. 来い ---------------------------------------------------------------------------------
4. 行こう ---------------------------------------------------------------------------------
5. 食べよう ----------------------------------------------------------------------------------
6. 大学に入ろう ---------------------------------------------------------------------------------
7. この本を買おう ---------------------------------------------------------------------------------
8. 速く行け ---------------------------------------------------------------------------------
9. ケーキを切れ ---------------------------------------------------------------------------------
10. 速く起きよう ---------------------------------------------------------------------------------
11. そうしよう ---------------------------------------------------------------------------------
12. こうしろ ----------------------------------------------------------------------------------
35
語の構造と品詞
36
語の構造と品詞
第
2
節 形容詞
1.基本的性格
事物や人の状態を表わし、述語の働きと修飾語の働きをする。また、文中での
働きの違いに忚じて活用する。
例 この鞄は新しい。
新しい鞄
2.形容詞の分類
2.1.ナ形容詞とイ形容詞(形容詞の形態による分類)
形容詞を形態の面から分類すると、「イ形容詞」と「ナ形容詞」に分けられる。
名詞を修飾する場合に「…い」という形で表わされるものが「イ形容詞」と
呼び、名詞を修飾する場合に「…な」という形で表わされるものが「ナ形容
詞」と呼ぶ。
イ形容詞: 小さい、大きい、珍しい、美しい、欲しい、楽しい
ナ形容詞: 静か(な)、便利(な)、丈夫(な)
借用動詞と同様に、借用のナ形容詞が多数存在する。特に、漢語形容詞のナ形
容詞における比重は高い。
例: 危険(だ)、優秀(だ)、ハンサム(だ)、クール(だ)
2.2.属性形容詞と感情形容詞(形容詞の表わす意味による分類)
形容詞が表わす状態には、人や物の属性(性質や特徴)の場合と、人の感情、
感覚の場合がある。 例:
属性を表わす形容詞:強い、低い、長い、価値(だ)、勤勉(だ)、赤い。
感情・感覚を表わす形容詞:欲しい、懐かしい、かゆい、いや(だ)。
これらの形容詞を、それぞれ「属性形容詞」、「感情形容詞」という。
3.形容詞の活用
形容詞の語幹はイ形容詞とナ形容詞について、それぞれ1つしかない。すな
わち、イ形容詞は基本的な形から「い」を除いたものが語幹である。例えば、
37
語の構造と品詞
「寒い」の語幹が「寒」である。ナ形容詞は、基本的な形から「だ」を除いたも
のが語幹である。例えば、「勤勉だ」の語幹は「勤勉」である。 活用語尾の体系
は、次の通りである。
イ形容詞
基本系語尾 タ系語尾
基本形「i」 タ形「katta」
基本条件形「kereba」 タ系条件形「kattara」
基本連用形(連用形)「ku」 タ系連用形「テ形、タリ形」 「kute」,「kattari」
ナ形容詞
ナ形容詞には、文体の違いに忚じて、「だ」(普通の文体)、「である」(硬
い文章体)、「です」(丁寧な文体)、という 3 つの系列がある。
「だ」の系列
基本系語尾 タ系語尾
基本形 「da」 タ形「datta」
基本連用形(連用形)「ni」 タ系条件系「dattara」
連体形「na」 タ系連用形(テ形、タリ形) 「de,dattari」
「である」の系列
基本系語尾 タ系語尾
基本形 「dearu」 タ形 「deatta」
基本条件形「deareba」 タ系条件形「deattara」
基本連用形「deari」 タ系連用形(テ形、タリ形)「deatte」「deattari」
「です」の系列
基本系語尾 タ系語尾
タ形「deshita」
基本形「desu」 タ系条件形「deshitara」
タ系連用形(テ形、タリ形)「deshite」「deshitara」
注意
以上述べたナ形容詞の活用では、「da」,「desu」などは形容詞の活用語尾であるが、ナ形
容詞が文中に変わらず、これら(「da」,「desu」など)が活用語尾でなく、別の品詞(助
動詞など)であるという扱い方もある。
38
語の構造と品詞
紛らわしい品詞の区別(名詞/ナ形容詞)
名詞とナ形容詞は両方とも「…だ」「…です」など、形が似ているので間違いやすい。し
かし、実は「学生だ。」は「名詞+コピュラ(だ/です)」の 2 語、「元気だ」は 1 語のナ
形容詞である。後ろに名詞が来る時、「…の」になるのが名詞、「…な」になるのがナ形
容詞。この他にも、「…ですか?」に対して「はい、そうです」で答えられるのは名詞だ
けである。
例:学生ですか? はい、そうです。(○ できる)
元気ですか? はい、そうです。(× できない)
同じ形であるが、具体的な場合(文中の働き)によって異なる品詞に属する語がある。
例:健康
健康な子供(形容詞)
健康になる(形容詞)
健康が一番だ(名詞)
他の例:不便、元気、平和、危険。
名詞や動詞からなっている形容詞がある。このような形容詞が派「生形容詞」と呼ぶ。
例:子供 子供っぽい
男 男っぽい/男らしい
女 女らしい
封建 封建的
忘れる 忘れっぽい
述語の働きをする時に、感情形容詞は 1 人称代名詞と 2 人称代名詞だけと使われる場合が
多い(3 人称代名詞の場合には、形容詞との対忚する意味を表わす動詞を使わなければな
らない)。
例:私はうれしい。/(あなた)はうれしいですか?
彼は嬉しがっている。
私は本が欲しい。
私の友達は本が欲しがっている。
しかし、時どき主体が 3 人称の場合でも、同じの形で使われることができる場合もある。
例:私は本がすき/ (あなた)は本が好きですか?
太郎は本が好きだ。
39
語の構造と品詞
第
3
節 名詞
1.名詞の一般的な特性
名詞は典型には物や人間の名前を表わし、助詞を付けて主題や文の補語(補足
語)となったり、コピュラを付けて文の述語となったりする。
2.名詞の分類
名詞は次のようなグループに分けられる。
2.1.普通名詞
同類のものを全てに通じる一般的名称を表わす名詞である。普通名詞には具体
名詞と抽象名詞という 2 つの種類がある。
例:具体名詞: 山、雪、人、車、ミルク
抽象名詞: 夢、契約、責任、幸せ
2.2.固有名詞
人名、地名などの固有の名前を表わす。
例:枇杷湖、富士山、太郎
2.3.代名詞
代名詞は3グループに分けられる。
2.3.1.人称代名詞
人称代名詞は人名の代わりに指し示す名詞である。人称代名詞には、一人称代
名詞(例:私、僕、私た ち、二人称代名詞(例:あなた、君、おまえ)と三人
称 代名 詞(例:彼、彼女、彼ら、彼女たち)という3グループに分けられる。
2.3.2.指示代名詞
指示代名詞は事物・場所・方角を指し示す名詞である。
例:これ、そこ、あちら、どれ
2.3.3.再帰代名詞
再帰代名詞は主語を指すものである。
例:自分
40
語の構造と品詞
2.4.形式名詞
名詞の性質を持ちながら意味的に希薄で、修飾要素なしでは使えない名詞は
「形式名詞」と呼ばれる。 Một danh từ có các thuộc tính của danh từ nhưng yếu về ngữ nghĩa và
không thể sử dụng nếu không có bổ ngữ được gọi là danh từ chính thức.
例:こと、もの、の、ところ、とき、わけ
彼女が結婚したことを知っています。
昔よく酒を飲んだものだ。
教室で煙草を吸わないことだ。
2.5.時の名詞
時の名詞は時を表わす名詞である。時の名詞の中に副詞用 法を持つ(「に」
などの格助詞を付けない)ものがある。
例:6 時、火曜日(「に」が付く)
昨日、今朝、今晩(「に」が付かない)
夕方、朝(どちらでよい)
3.日本語の名詞の特徴
3.1.性・数・格
日本語の名詞にはドイツ語やロシア語のなどにある男性名詞、女性名詞といった
文法上の性の区別はない。そして、英語の"s"に相当するもの(数)もない。さら
に、格は名詞自分が表わすのではなく、助詞の「が、を、に」が表わす。
3.2.生物・無生物
日本語の名詞には生物・無生物の区別があります。この区別に関する問題は次
のようにいろいろある。
生物(有情物)には「いる」を使う。
例:犬が一匹ある
私は妹と弟がいる。
他動詞・使役・間接受け身構文などに無生物主語はあまり使われない。特に、
人が目的語にある時は嫌われる。
例:? 薬が私をなおしました。
助詞の使い分けに関係する場合がある。
例:私は友達に/から本をもらった。
41
語の構造と品詞
私は国から奨学金をもらっている。(「に」が使われ ない)
歌笑はジープにぶつかって死んだ。(「と」が使われない)
3.3.トコロ性
トコロ性というのは場所を表わすことである。日本語の名詞にはトコロ性があ
る名詞(例:大学、部屋、駅)とトコロ性がない名詞(例:私、木)という 2 種
類がある。トコロ性がない名詞が場所を表わす時は「…のところ」などをおぎな
う。
例:私のところにきてください。
あの大きな木のところで遊びましょう。
3.4.総称・特定・不特定
日本語の名詞には"a,the"などの冠詞がない。従って、形の上から区別できない。
しかし、「は」、「が」の使い分けに関連してくる。
総称:警官は警察手帳を持っている。(その種類全体を指す)
非総称:
** 特定:
すると、(その)警官は警察手帳を取り出した。
(特定の個体をさす。複数でもよい)
** 不特定:
警官に道を聞きなさい。
3.5.人称
英語では私(一人称)、あなた(二人称)、彼(三人称)といった、人称が be
動詞の使い分け(am, are, is)などに影響する。日本語では人称の区別というより、
自分と他人の区別を付けることがある。
例:私はさびしい
あなたはさびしいですか?
彼はさびしがっている。
私は英国に行きたい。
あなたは英国に行きたいですか?
彼女は英国に行きたがっている。
私は読書が楽しい。
42
語の構造と品詞
彼女は読書を楽しむ。
私はこうだと思う。
彼はこうだと思っている。
問題
1.日本語の文の主要な構成成分はなんですか?述語はどのような成分(要素)で
すか?
2.修飾語は何種類に分けられますか?各種類の名称は何ですか。例を挙げてくだ
さい。
3.単文の定義をしてください。
4.複文における主節はどのような成分(要素)ですか?
43
語の構造と品詞
第
4節 数詞・助数詞
1.基本的性格
日本語では数量や度数を表す時、数詞(数量詞とも)で表現する。この時、数
を表す部分を本数詞と呼ぶ。和語系(ひ・ふ・み…)のものと漢語系(いち・
に・さん…)のものとがある。単位を表す部分(以下の例では「冊」)を助数詞
と呼ぶ。助数詞は接辞の1種である。
例: 本を 2 冊 買った。
本数詞 助数詞
2.本数詞と助数詞の音変化
「1 本、2 本、…」と数えてみると、数の部分の発音は 1(いち)→「いっ」、
6(ろく)→「ろっ」というように、また助数詞の部分も「ほん・ぽん・ぼん」と
音が変わる。このように助数詞の中には漢語系の本数詞と組み合わさって音変化
が起こるものがある。
助数詞の種類 例
音変化のないもの 有声音で始まる 円・枚・台・年
本数詞が音変化するもの 無声音(ハ行以外)で始まる 回・冊
本数詞・助数詞とも音変化するもの ハ行音で始まる(稀にワ行) 杯・匹・本・羽
表- 本数詞と助数詞の音変化
注 意 : 「 階・ 軒 ・ 升・ 寸 ・ 足・ 尺 」な ど 、 「 3 」の 時 だ け語頭 が 濁 音化 す るも の があ る 。
3.数量の種類
特徴 例
基数詞(数量詞) 個数・数量・度数を表す 一人・ふたつ・3 本・5 キロ・2 回
序数詞 順序を表す 1 番・第 1・2 つ目・4 等
4.数詞と文型
数詞のうち、基数詞は①名詞のようにも、②副詞のようにも使える。①と②で
意味が異なる時は、①は名詞の属性(どんな…か)、②は名詞の数量(どのくら
い)について述べている。
44
語の構造と品詞
例:
① 3 本のビールを飲む。 72 円の切符を買う。
属性 属性
② ビールを 3 本 飲む。 切手を 72 円 買う。
数量 数量
問題
問題 1 音変化の表に関して、以下 の 問に答えてください 。
1 次の助数詞を分類して表 に 書き込んでください 。
分(ふん) ・度(ど)・ 隻( せき)・名(めい) ・体(たい)
2 表の中で、「ハ行音で始 ま る助数詞」は、どの 数の時に「パ 行
(P)・バ行(B )」になるかに よってさら に分 けられる。以下 の表を 完成してくださ
い。「発・杯・泊」 はどの類に 入るか、書い てください。
ガ行音で始まる助数 詞 1~ 3~ 6~ 8~ 10~
分・拍・版・
本・匹・票・
羽
問題 2 以下の文について( )に当てはまる語を答えてください。
① 「3 本のビールを飲む」 ②「ビールを 3 本飲む」
①の文では数詞「3 本」は( )に係っているが、②の「3 本」は( )に係
っている。従って、「3 本」は①では連体修飾、②では連用修飾の働きをしている。
②の「3 本」は( )と同じ働きをしていると言える。
a.「ビール」 b.「飲む」 c.「名詞」 d.副詞 e.動詞
45
語の構造と品詞
第
5 節 副詞
1.基本的性格
動詞やイ/ナ形容詞を修飾する語のことです。他の副詞を修飾ある。副詞は本
の文から取り去ってしまってもその文は大体成立する。
例: 太郎は かなり ゆっくり 歩いた。
修飾 修飾
「早く」や「きれい に」なども同 じ働 きを するが、これら はイ形容詞
「早い」、ナ形容詞「きれいな」ぼ連用形なので、副詞には分類しない。
副詞は活用しない。
2.副 詞の分類
主な種類として、様 態 の副詞 、程度の副詞 、量の副詞 、テンス・ アス
ペク トの副詞 、などがある。
また、文全体に対し て修飾語とし て働 く語も、副詞の一種 とみなし、
「文 修飾副詞 」と呼ぶ。文修飾副詞に は主として、 陳 述 の副詞 、評 価の
副詞 、発言の副 詞 、などがある。
特徴 例
動詞にかかってその動作の状態 ゆっくり 話す( 様態 )
情態 (どう…する)を意味的に限定す すぐに 戻る (様態 )
属
副詞 る・「○○と」の形が多い。この せっかく 来てもらう (態度 )
性
「と」は省略可能のことがある。 しばらく 待つ( 時)
副
状態性の用言や副詞にかかって動 ずいぶん 大きくなった・も
詞 程度
作や状態の程度を表す。 っと 小さい・とても 忙し い
副詞
(どれぐらい…だ)
述語の陳述の仕方を修飾する。文 おそらく 雨だろう・きっ と
陳述副詞
の終わり方と呼忚する。 来る・
表‐ 副詞の分類
この中で、陳述副詞 の「文の終わ り方 と呼忚す」という働 きは、 [決
して]なら文末は否定 形、「もし」 な ら「~なら」、「お そらく」なら
「だろう」の形に必 ず続く、とい った ことを指す。
46
語の構造と品詞
48
語の構造と品詞
注意①: 状 態の 表 現の 中 でも 、 存在 を 表す 表現 に つ いて は 、量 の 副詞 を 用い る こと
が で き る。
例: 店に は 人 が い っぱ い い る 。
注 意 ② : 「 た くさ ん 、 い っぱ い 、相 当 、か なり 、 少し 、ち ょ っと 、少 々 、多 少 、じ ゅ うぶ ん 」な ど
は 、 接続 助 詞「 の 」を 介 し て 名詞 を 修飾 す るこ と がで き る 。
例 : か な り の数 、 少 し の こと 、 多 少 の こと 、 た く さ ん の 難民
49
語の構造と品詞
51
語の構造と品詞
問題
52
語の構造と品詞
8 その子は___泣き出しそう だ。
9 ___火災が起きたら、今扉が自動的に閉まるようになっている。
10 熱はないが、 朝から ___気分 が優れない。
11 やっていけな いと言われる と ___やりたくなるも のだ
12 見たことのな い 花だが、花 好き の山田さんなら、 ___名前を知 っ
ているかもしれない 。
13 こんな寂しい田舎で都会育ちの彼女が___生活できるのだろうか。
14 あの人は先輩 という より___兄のような存在だ。
53
語の構造と品詞
6 擬声語・擬態語
1.基本的性格
擬声語(擬音語とも)・擬態語は、物音や物事の様子を表したものである。
「ざあざあと降る雨の日になってしまいました。」の「ざあざあ」のようなもの
は音を描写した擬声語の典型であるが、「のそのそ、ごわごわ、ぐずぐず」など
は動きの有様や人・ものの状態を描写した擬態語である。その他に、「くよく
よ」「わくわく」などの人の心理状態を描写したものもある。全部まとめてオノ
マトペとも言う。
例: 大きな犬がの そのそ (と)歩く。
ぐ ずぐず していて時間に遅れる 。
いつまでもく よ くよ (と)心配する。
わくわく (と)しながら、登場 を待つ。
文法的な働きからす ると、擬声語 や擬 態語は副詞(たいて いは情態副
詞)や名詞などいろ いろな品詞に また がっているが、ここ では意味的に
一括してまとめる。 なお、同じ語 でも 品詞によって意味や ア クセントが
変わることがある。
副詞 は っきり (と)言う、の そのそ (と)歩く
名詞 のりでご わ ごわ の浴衣、ひらひら のスカート、
ち ゃき ちゃき の江戸っ子
動詞 ふ わふわ する、がっ しり する
2. 擬声語・擬 態語の形態
擬声語・擬態語が典 型的には次の よう な形をとる。
パタ ーン 語例
1 「AB AB 」 くさくさ、じゃぶじ ゃぶ
2 「A っ B り 」 しっとり、どっきり
3 「A ん B り 」 ぼんやり、ほんのり 、すんなり
4 その 他 ときっ、ぎゅっ、ば たん、うっす ら
54
語の構造と品詞
問題
56
語の構造と品詞
第 節
7 指示詞(コソアド詞)
57
語の構造と品詞
あ
あ
そ
こ そ
話 こ
聞
し 話 聞
き
手 し き
手
手 手
(図 1) (図 2)
2.2 .文脈指示
「あ」 聞き手と話し手の両 方が、よくわ かっ ていることや
体験したことを言う 時、使う。
「そ」 一度言ったことや聞 いたことをも う一 度言う時、使う。
例:
A:待ち合わせの場所 、どこにする 。
B:そうね。デリーは どう。
A:そ れ 、どこにあるの。
B:平和ビールの一階 。
A:ああ、あ そこ ね。
58
語の構造と品詞
問題
59
語の構造と品詞
第
8節 助動詞
1.基 本的性格
助 動 詞 は 動 詞 の 後 ろ に つ い て 、 様々 な意 味 を 加 え る も の で あ る 。 そ れ
自身で独立して使われることはない。必ず動詞に付いているので「助動
詞」と呼ばれる。これは「助詞」という名称にも当てはまることである。
「 助 動 詞 」 と い う 言 葉 は 日 本 語 教育 では あ ま り 使 わ れ な い 。 品 詞 分 類
の観点からはこれらは一つのグループを成すが、これらを一括して教え
ることはない。「受け身の表現」、「使役の表現」などと言っている。
以下に助動詞の主な ものを挙げる 。
だ・です 断定(コピュラとも 言う)
た 過去・完了
たい 願望
れる・られる 受け身・可能・自発 ・尊敬
せる・させる 使役
ようだ・そうだ・ら しい 伝聞・推量・比況
だろう・でしょう 推量
注 意 : 「~ て いる 」 「~ て しま う 」な ど も助 動詞 と 同 じ働 き をす る が、 こ れら は 元来
独 立 し た動 詞 とし て 用い ら れる の で、 品 詞分 類の 観 点 から は 補 助 動 詞 と呼 び、 助 動詞
と は 区 別す る 。
助 動 詞 は 活 用 す る こ と に な っ て いる 「~ れ る 、 ~ ら れ る 」 は 動 詞 型 の
活 用 ( R U ‐ verb ) を す る 。 「 ~ た い 」 は イ 形 容 詞 の 活 用 を す る 。 し か し 、
「~た、~だろう、 ~でしょう」 は活 用しない。
な お 、 否 定 形 の 「 ~ な い 」 も 国 語学 では 助 動 詞 と さ れ る 。 そ の 際 、 動
詞以外の否定は区別して補助形容詞と呼ばれる。これは、動詞否定の
「~ない」とその他の「~ない」の独立性が違うためである。補助形容
詞はもともと自立した形容詞の特例と考えられているので、普通、助動
詞には分類されない 。
「行かない」:否定 の助動詞 「時間がない」 :イ形容詞
高く(は)ない・高 価で(も)ない・学 生で( は)ない:補助 形容詞
なお、補助形容詞に は、この他に も以 下のようなものがあ る。
~てほしい、~やす い、~にくい 、~ 難い
60
語の構造と品詞
2.コ ピュラ
コ ピ ュ ラ は 国 語 学 で は 「 断 定 の 助動 詞」 と 呼 ば れ る も の で あ る 。 助 動
詞 の 1 つ で あ る 。 コ ピ ュ ラ は 名 詞につ い て 、 文 の 述 語 にな る 。 ナ 形 容 詞
の活用語尾「~だ」と混乱しやすい。以下はコピュラの活用形である。
連体形の「の」は「である」「だった」「であった」と交替できる。
「ので・のに・こと ・の」の前で は「 な」になる。
例:私の兄は薬剤師だ 。(終止形 )
あの人は大学生で 、小説家で もあ る。(連用形)
川崎さんは大学 生 の 時に仏文専攻 だった。(連体形)
あの人が嘘つき な ことはよく わかって いるでしょう。(連 体形)
私の妻は大学院 生 な ので、学割が 使える。(連体形)
問題
61
語の構造と品詞
第
9節 助詞
1.基 本的性格
名 詞 に 接 続 し て 、 補 足 語 や 主 題 を作 る働 き を す る も の 、 語 と 語 、 節 と
説を接続する働きをするもの、等を一括して「助詞」という。助詞は、
文の組み立てにおける働きの違いによって主として、「格助詞」、「提
題助詞」、「取り立て助詞」、「接続助詞」、「終助詞」 等に分かれる。
たいていはひらがな 1,2 文 字である。
表‐助詞の分類
典型的な接続と働き 名称 例
名詞に付く 格助詞 が ・ を ・ に ・ で ・ から ・ へ ・ と・ ま で ・ よ り
取 り立 て 助 は・も・こそ・でも・しか・だけ・ばかり・ま
名 詞 な どに 付 く
詞 で・ぐらい
名詞の代わり 準体助詞 の ( 例 : 歩 くの を や め る)
語と語を 並列助詞 と・ か・ とか・ や
つなぐ ガ ・ から ・ け れ ど ・ の で ・ の に ・ と・ た ら ・ な が
文と文を 接続助詞
ら・つつ
最後に付く 文節の最後 間投助詞 ね・さ・よ
文の最後 終助詞 か・ な ・ わ ・ ぞ ・ ぜ
注 意 : 上 の 表 は 助詞 の 働 き に よる 分 類 で あ るが 、 こ の 他に 形 態的 な 分類 と して
「 ~ に 対し て 」、 「 ~に 関 する 」 等と い った 表現 を 複 合助 詞 と呼 ぶ こと が ある 。
2.格 助詞
補足語が述語に対し てどのような 関係 にあるかを表す助詞 を、「格助
詞」という。補足語 は一般に、名 詞と 格助詞で構成される 。以下の例に
おける「が」、「を 」、「で」は 、い ずれも格助詞である 。
例: 太郎は家の壁 を白いペンキ で塗 った。
格助詞には、「が ・を・に・で・ から・へ・ と・ ま で・より」がある。補足語を、そ
れを取る格助詞 の違い に応じて、「ガ格」 、「ヲ格」、等と呼び分 けることにする。
注 意 : 「と 」 は、 引 用の 表 現で も 用い ら れる 。引 用 を 表す 助 詞を 格 助詞 と 区別 し て、
「 引 用 の助 詞 」と 呼 ぶ。 例: 地 元の 人 はそ の家 を 幽 霊屋 敷 と呼 ん でい る 。
3.提 題助詞
主 題 を 提 示 す る 働 き を す る助 詞 を 「 提題 助 詞 」 と 呼 ぶ 。 主 題 は 一般 に 、
名詞と提題助詞で構 成される。例 えば 、以下の例では、「 太郎は」が主
題である。
62
語の構造と品詞
例:太郎は急いでか ばんに書類を 詰め た。
提題助詞には、「は 、なら、って 、っ たら」などがある。
格助詞と提題助詞が いっしょに用 いら れる場合には、格助 詞が提題助
詞に先行する。以下 の例の「この まま では」においては、 格助「で」が
提題助詞「は」に先 行している。
例:このままでは不 安定なので、 隙間 を紙で詰めましょう 。
4.取 り立て助 詞
同類のほかの項目を 背景にして、 ある 事項を特に取り上げ る働きをす
る助詞を「取り立て 助詞」と呼ぶ 。
例:太郎さんからも 返事がなかっ た。
上の例では、助詞の 「も」が、「 返事 がなかった」人に太 郎以外の人
がいることを表して いる。
取り立て助詞には、 「は、も、さ え、 でも、すら、だって 、まで、だ
け、ばかり、のみ、 しか、こそ、 など 、なんか、なんて、 くらい」があ
る。
例:こんな問題は 子供にもわか りま す。
今日の約束は本 人でさえ忘れ てい た。
日曜日でも一日 中練習がある 。
これさえあれば 大丈夫だ。
今年こそ合格す るよう頑張ろ う。
あいつの顔なん か二度と見た くな い!
自分の身の回り ことくらい自 分で しなさい。
取り立て助詞は、主 として、補足 語と 述語の位置に現れる 。補足語に
おいては、格助詞の 前に現れる場 合と 後ろに現 れる場合が ある。
例:私な ど にはとても代表はできない 。
難しい問題にこ そ 積極的に解決の 努力をしなければな らない。
述語の位置では、連 用形・テ形、 基本 形・タ形に接続する 。
例:いつも遊んでば かりいる。(テ形+ ばかり)
お湯を入れるだ けで、簡単に スー プができま すよ。(基本形+ だけ)
この薬は少しも効かず に、ただ苦 いばかりだ。(基本 形+ばかり)
先生に話しただ けだ。( タ形+だ け )
5.接 続助詞
語と語、節と節を接 続する助詞を 「接 続助詞」と呼ぶ。
例:ひらがなとカタ カナ
用事はすぐ終わ りますから、 ちょ っと待ってください 。
63
語の構造と品詞
接 続 助 詞 に は 、 並 列 的 な 関 係 で 接続 する 働 き を 持 つ 「 並 列 接 続 助 詞 」
と、従属的関係で接 続する働きを 持つ 「従属接続助詞」が ある。
5.1 .並列接続 助詞
名詞と名詞を接続す るもの:「と 、や 、も、に、か」
例:スポーツの中で は、テニスや 水泳 が好きだ。
並列節と主節を接続 するもの(述語 の基 本形・タ形に 接続する):「し、 が」
等。
例:日本は、車も多 いし、道路も 狭い 。
この街は道路は 広いが、車も 多い 。
接 続 助 詞 は 助 詞 の 下 位 分 類 で あ るが 、接 続 詞 と 働 き が 同 じ な の で 、 こ
の 2 つを「接続の表現」と して一括し て扱うことがある。
「が」の類別:
「私が行き ます」・・・ ・・ ・・・・【格助詞】
「夏は涼し いが、冬は暖 かい 」・・・【接続助詞 】
「夏は涼し い。が、冬は 暖か い。」・【接続 詞】
ま た 、 「 た り 」 は 節 と 節 を つ な ぐの で、 接 続 助 詞 と な る が 、 「 行 っ た
り来たりする」のよ うに並列につ なぐ ので、並列助詞と言 える。
5.2 .従属接続 助詞
名詞と名詞を接続す るもの:「の 、と いう」
例:日本語の辞書
「の」の類別:
「それは私 の本です。」 ・・ ・・・・【格助詞】
「それは私 のです。」・ ・・ ・・・・【準体助詞 】
「もっと大きいの はありま せんか。」 ・・・・・【形式名詞】
「行くの行 かないのと大 騒ぎ する」・【並列助詞 】
注 意 : 準 体 助 詞 の「 の 」 は 形 式名 詞 と 分 類 され る こ と の あ る 。
注 意 : 「 の 」 や 「と い う 」 は 、連 体 節 と 名詞 を 接 続 す る こ とが あ る 。
例: ど ち ら を とる か の 問 題
ど ち ら も とる べ き だ と いう 意 見
従属節と主節を接続 するもの
述語の基本形に接続 するもの:「 と、 まで、なり」等
例:トンネルを抜け ると、そこは 一面 の菜の花畑だった。
述語のタ形に接続す るもの「きり 」等
例:子供は遊びに行 ったきり暗く なっ ても帰ってこない。
述語の基本形・ タ形に接 続するもの:「 か ら、けれども、なら」 等
64
語の構造と品詞
例:ベルを押した けれども、返事がなか っ た。
述語の基本形・ タ形、連体形 に接続する もの:「ので、の に」等
例:この国の人はみ んな親切なの で、 とても暮らしやすい 。
述語の連用形に接続 するもの:「 なが ら、つつ」等
例:花子はいつも、 音楽を聞きな がら 勉強する。
述語のテ形に接続す るもの:「か ら」 等
例:よく考えてから 、ご返事しま す。
6.終 助詞
「 終 助 詞 」 は 、 文 末 に 現 れ る 助 詞で 、述 語 の 基 本 形 、 タ 形 、 等 の 接 続
する。下の例の「か 」は終助詞で ある 。
例:お土産に何を買 いましたか。
終助詞の使い方には 、顕著な男女 差が 見られる。
終 助 詞 に は 、 断 定 を 表 す 「 さ 」 、疑 問を 表 す 「 か 、 か い 、 か な 、 か し
ら」、確認・同意を表す「ね、な」、知らせを表す「よ、ぞ、ぜ」、感
嘆を表す「なあ、わ」、記憶を表す「っけ」、禁止を表す「な」、等が
ある。
例:僕はどうせ馬鹿 な男さ。
大きな家だなあ 。
明日の会議は何 時からだった っけ 。
特に注意すべき終助 詞として「ね 」と 「よ」がある。
「 ね 」 は 、 基 本 的 に は 、 相 手 も 当該 の知 識 を 持 っ て い る と 想 定 さ れ る
場合に用いられる。自分の知識と相手の知識が一致していると想定し、
これを相手に確認するときは同意要求になり、自分の知識が不確かなと
きは確認になる。
例:今日はよい天気 ですね。(同 意要 求)
彼は、確か岡山 の出身だった ね。 (確認)
「 よ 」 は 、 基 本 的 に は 、 相 手 が 知ら ない こ と に 注 意 を 向 け さ せ る 働 き
をする。従って、場合によって、単なる知らせ、注意、警告、等の様々
な意味を表す。
例:財布が落ちまし たよ。(知ら せ)
もっと勉強しな いと、試験に 落ち るよ。(注意、警告 )
終 助 詞 の う ち 、 「 ね 」 と 「 さ 」 は、 文中 の 切 れ 目 に 挿 入 し て 、 聞 き 手
の注意を促す働きを する。これを 、終 助詞の「間投用法」 と呼ぶ。
例:最近ね、こんな 表現がね、は やっ ているらしいよ。
65
語の構造と品詞
注意:丁寧な文体では、「さ」は使えない。また、丁寧体では、「ね」の代わ
り に 、 「 で す ね 」も 用 い ら れ る。
例 : 最 近 で すね 、 こ ん な 表現 が で す ね 、は や っ て い る ら しい で す よ 。
問題
「ええ。あの人( )昼間はラーメン屋で働き、夜は大学に通っていますから。」
12)「北川さん( )市長選に出るっていう話、聞いたかい。」
「うん。あいつ( )目立つことがしたいっていつも言ったけど、まさか
市長選に出るなんて。」
13)「この事件の犯人( )絶対あの三浦という男だと思うけどなあ。」
「そしたら、三浦( )あの日の 12 時に羽田空港にいたという事実が説明
できないよ。やっぱり、あの人( )無実だと思うよ。」
14)水野さん( )ふるさとに帰って就職したいのだと思います。」
15)「英語の時間に、先生( )『ミスタナカ』といったら、私は女子の田中
さん( )起立、クラス全員( )爆笑した。以来、わかる問題は積極
的に答え、難しいときは黙ってる。」
16)量の食費( )百円、値上げになった。量( )多くなるのか、質( )
よくなるのかと期待していたら、食器( )よくなった。
問題 5 下線を引いた述語の主語が何であるか(例えば「いない」のは誰である
か)を( )の中に書いてください。
1)私は妻がいないときはいつも自分で食事を作ります。
( ) ( )
2)「太田さんは今井さんが大嫌いなんですね。」
「本当にそうですね。この前も今井さんが来たら、すぐ帰りました。」
( ) ( )
3)木谷さんは俳優になりたいのだと思います。
( ) ( )
4)山田さんは研究者になりたいと言っていました。
( ) ( )
68
語の構造と品詞
第 節 連体詞
10
1.基 本的性格
連体詞はもっぱら名詞修飾(連体修飾)の機能を果たす。
2.由来と分類
2.1. 連体詞はいくつかの形式に由来する
「ある、あらゆる、いわゆる、かかる、あくる、来る、去る」のように、、動
詞の名詞修飾形式に由来するもの、「大した、だいそれた、とんだ、困った、ふ
とした、おもだった、ちょっとした、堂々とした、確固とした」のように、動詞
のタ形に由来するもの、「大きな、小さな、おかしな、こまかな、いろんな、ろ
くな、めったな、はるかなる、堂々たる、確固たる、微々たる」のように、形容
詞の名詞修飾形式に 由来するもの 、「 例の、一種の」のよ うに、「名詞+
「の」」という形式で表されるもの、等がある。これらの語は、名詞修飾のみに
用いられ、述語として用いることはできない。
また、「ほんの、せいぜい、たかだか、たった、およそ、約」のように、他の
品詞とは関係ないもので、名詞修飾のみに用いられるものもある。
2.2.連体詞の由来と用法はほぼ対忚している
動詞の名詞修飾形式に由来する連体詞と、「名詞+「の」」という形の連体詞
は、名詞を限定する役目を果たすものが多い。
動詞のタ形に由来する連体詞と形容詞の名詞修飾形式に由来する連体詞は、修
飾される対象の属性を表すものが多い。
また、「ほんの」などは、数量の程度を限定する。
例:ある人は、こんなことを言っている。
例の話、その後どうなりましたか。
とんだことになりましたね。
校則は、あまり細かな規則を立てないほうがよい。
あまり高い品物じゃないな。せいぜい 5000 円だ。
SDI 計画、いわゆるスターウォーズ計画には世界中の人々が関心を寄せている。
69
語の構造と品詞
問題
1 ) こ の 研究 所 に は 労働 問 題 に 関する ( )資 料 が そ ろっ て い る。
2)( )小 さな故障も大 き な事故を招くことが ある。
3)払った授業料 は( )理由 があっても返還しないことにな っている。
4 ) 新 し い 仕事 だ が け い けん の あ る人 ば か り な の で 、( )困難
はないだろう。
5)これは( )書き間違 い で、重大なミスでは ない。
6)専門書には( )よう な 語がたくさん出てく る。
7)自分が病気かど うか( )本人にもわからな い。
8)( )1 2 月 1 0 日午 前 9 時 より大学の講堂にて 式が行われま す。
9)正しいかどうか ( ) 文 献にも当たってみよ う。
10 ) 表 の 見 方 が よ く わ か ら な い が 、 そ れ は ( )問題ではない。
11)新型インフルエンザの国内発生 に ( )対応について の事務連
絡は厚生労働省 から送 られた。
12)家から駅までは 歩いても( )5 分ぐらいだ。
13)ゴールまで( )800 メー トルです。
14)彼女は大仕事を ( ) 一人 でやり遂げた。
70
語の構造と品詞
第
11 節 接続詞
1.基 本的性格
接続詞は文頭におい て、先行する 文と つながりを示す役割 を果たす。
例えば、「しかし」 、「なぜなら 」、 「すなわち」、「ま た」、「な
お」「あるいは」等 である。接続 詞は 文より大きな単位同 士のつながり
を示すこともできる 。
本節では、「いずれ にしても」の よう な接続詞と同じ働き をする「接
続詞相当句」も扱う 。
2.接 続詞の由 来
接続詞は、他の品詞 から転用した もの が多い。「が、けれ ど(も)、
ところが、ところで、だから、なのに、すると、一方、反面」のように、
接続助詞やそれに相 当する表現に 由 来 するもの、「それで 、(それ)で
は、それに、それか ら、それとも 、そ こで、そのため、そ して」のよう
に、指示詞を含む表 現に由来する もの 、「従って、つまり 」のように、
動詞に由来するもの 、「おまけに 、ゆ えに、ちなみに」の ように、「名
詞+助詞」の形のも の、等がある 。
接続助詞に由来する ものの場合は 、前 の文の省略形と考え られる。ま
た、指示詞を含むも のは、「そ~ 」の 部分で前の文を受け ている(代用
している)と考えら れる。つまり 、、 これらの文は、前の 文を省略、代
用という形で含んだ 複文と見るこ とも できる。
例:細かく切った。 すると、食べ られ るようになった。
(細かく切ったら 、食べられる よう になった。)
お金をおろした 。それから、 買い 物に行きました。
(お金をおろして から、買い物 に行 きました。)
3.接 続詞相当 句
文接続の機能は、接 続詞に相当す る語 句でも表すことがで きる。例え
ば、「これに対して 」、「それに 反し て」のように、指示 詞を含む動詞
テ形の句、「なぜか というと」、 「と いっても」、「とい うのは」、
「とはいえ」、「と すると」のよ うに 、引用の形を含む句 、等は、前の
71
語の構造と品詞
問題
72
語の構造と品詞
8 ) た だ 今 から 説 明 会 を 行い ま す ので お 集 ま り く だ さい 。 終了は
4 時の予定です。
1 なお 2 では 3 だが 4 さて
9)彼は独身じ ゃありま せん。 もう 中学生の娘さんが いるんです よ。
1 かつ 2 それとも 3 それどころか 4 ならびに
10)彼は金持ちだ 。 まだ 若い 。
1 しかも 2 あるいは 3 それとも 4 もしくは
11 ) 人 間 は 存 在 や 時 間 等 に つ い て 哲 学 的 思 考 を す る 。 他の動物
と区別される。
1 それでも 2 ゆえに 3 すなわち 4 なぜなら
12 ) 等 事 務 所 は 日 曜 日 祭日は休業となっております。予めご了
承ください。
1 なお 2 および 3 おまけに 4 ただし
13)野球を見 ようと思 い、テレビをつ け た。 雨で試合は中 止だった。
1 でも 2 ところ が 3 それでも 4 ただし
14)「ダイエットをしている んだ。」「 ちっともやせないね。」
1 それで 2 とい うの は 3 それにしては 4 そこで
73
語の構造と品詞
第 節
12 感動詞
1.基 本的性格
感 動 詞 は 、 文 の 他 の 要 素 と 結 び つい て事 態 を 表 す と い う よ り も 、 事 態
に対する感情や相手 の発言に対す る受 け答えなどを、 1 語 で非分析的に表
す形式である。
2.感 動詞の分 類
感 動 詞 に は 、 「 あ 、 あ あ 、お や 、 ま あ、 あ ら 、 あ れ 、 あ れ ー 、 あれ れ 、
ありゃ、わ、うわ、ぎょ、ひャー」のように、眼前の事態に対する驚き
を表すもの、「なんと、へー」のように、眼前の事態や相手の言ったこ
とに対する意外感を表すもの、「はい、ええ、ああ、うん、はあ、いい
え、いや」のように、相手の発言に対する同意、不同意を表すもの、
「なるほど、ふうん、ふん、はあ」のように、相手の発言に対する理解
を表すもの、「さあ、ええと、あの、その、そねえ、そうですね」のよ
うに、解答を検索中であることを表すもの、「もしもし、あの、おい、
こら、ねえ、ほら、そら、さあ」のように、相手に呼びかけたり、注意
を喚起したりするときに用いられるもの、「はて、はてな」のような自
分に対する疑問の表現、「さてと、やれやれ、よいしょ、どっこいしょ、
よし」のように、動作や行動の開始時に自分に言い聞かせるために用い
られるもの、等があ る。
挨 拶 に 使 う 礼 儀 的 な 表 現 も 、 場 面に よっ て 使 う も の が 決 ま っ て お り 、
非分析的であるという点から、感動詞およびそれに相当する語句として
扱うことができる。
礼 儀 的 な 感 動 詞 、 感 動 詞 相当 句 に は 、「 さ よ う な ら 、 じ ゃ 、 じ ゃま た 、
じゃこれで、じゃまた後で、失礼します、お休みなさい」のような別れ
の挨拶の表現、「やあ、おはよう、こんにちは、こんばんは、元気、お
す」等の出会いの挨拶の表現、「行って来ます、行ってらっしゃい、た
だ今、お帰り(なさい)」等の出発・出迎えの表現、「いえ、いいえ、
いえいえ、どういたしまして、とんでもない、とんでもございません」
等の、感謝に対する答えの表現、「いただきます、ごちそうさま」等の
食事時の挨拶、等が ある。
74
語の構造と品詞
第
13 節 接辞
1.基 本的性格
接辞は、語(派生 語)を構成する 要素であり、語幹(派生語 幹)に付 加して独
立の語を派生する。語幹の前に付くものを「接頭辞」、後ろに付くものを「接尾
辞」という。
活用語と接尾辞の結合において、派生語幹は形容詞については活用語幹
と同じであり、動詞について は活用語幹 か連用形の いずれかである。
派生語の文中での働きを決めるのは、原則として語の末尾の要素である。
従って、接 頭辞 は一般 に、 派 生語 の品詞 のあり方に 影響しな い が、接 尾辞 は派
生語 がど の 品詞 に 属す るか を決 定 する。 接尾 辞 は、そ れ が 付加 してで きる 派生
語の品詞の違いによって、主として「名詞性接尾辞」、「形容詞性接尾辞」に分
けることができる。
接辞は、由来の違いにより、「和語系接辞」と「漢語系接辞」に分かれる。ま
た、外来語の接辞もある。
2 .接頭辞
頭辞には、次 のよ うな例がある。
名詞 に付くも の
「お(「お名 前」)、ご (「ご迷惑 」)、み( 「御 仏」)、ま (「ま 冬」) 、す(「 す足」)、
おお(「大雪」)、こ(「小鳥」)、大 (「大都 市」)、本(「本大学」)」
動詞 に付くも の
「うち(「うち込む」)、とり(「とり壊す」)、 ぶ ち(「ぶち壊す」)」
イ形 容詞に付く もの
「ま (「ま 新しい」)、こ(「こうるさい」)、か( 「か細い」)」
接頭辞の中で注意を要するものに、否定の意味を表すものがある。この種
の接頭辞の例 には、名 詞・ナ形容詞に付 く「無、不、非、未」がある。
接頭辞は派生語の品詞のあり方に影響しないのが原則であるが、この種の
接頭辞は、「無計画」、「非常識」のように、名詞からナ形容詞を派生させること
がある。
3 .名詞性 接尾辞
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語の構造と品詞
名 詞 性 接 尾 辞 に は、 名 詞 に 付く も の、 名詞 ・ ナ 形容 詞 に 付く も の 、イ 形 容 詞
に付くも の、動詞 に付くも の、等 がある。こ のうち、名 詞に 付くもの には、 次の よう
な例がある。
丁寧さを表すもの: 「さん(「鈴 木さ ん」)、君(「太郎 君」)」
数と一緒に用いられ るもの(「助 数詞 」と呼ぶ)
対 象 の 種 類 を 表す も の (「 類 別 時 」と呼 ぶ ) : 「 つ( 「 2 つ 」 ) 、
羽、個、人、本、冊 、台、匹、頭 」等 がある。
度量衡の単位を表す もの:「メー トル 、グラム、円、時、 歳」
回数、倍数を表すも の:「度、回 、遍 、倍」
順序を表すもの:「 番、等、位」
注 意 : この 種 の名 詞 性接 尾 辞に 接 続す る 接尾 辞的 な 語 がが る 。「 ほ ど」 ( 「 3 万人 ほ
ど 」 ) 、「 頃 」( 「 7 時 ごろ 」 )、 「 ずつ 」 (「 3 つ ずつ 」 )、 「 あた り 」( 「 一人
当 た り 」) 、 「以 上 」( 「 50 人 以上 」 )、 な どが あ る 。
その他
「おき(「2 日おき」)、ごと(「 15 分ごと」)、 など(「食べ物など」)、たち(「子供
たち」)、がた(「先生方」)、 だら け(「泥だ らけ」)、中(「 電話中」)、用(「学 習
用」)、製(「日本製」)、家(「 専門家」)、 者(「学習者」)、代(「電 話代」)。
名 詞 ・ ナ 形 容 詞 に 付 く も のに は 、 「 性」 ( 「 安 全 性 」 、 「 重 要 性」 ) 、
「化」(「近代化」 、「活性化」 )、 等がある。
イ 形 容 詞 に 付 く も の に は 、「 さ 」 ( 「寒 さ 」 ) 、 「 み 」 ( 「 痛 み」 ) 、
などがある。
注 意 : 「さ 」 は、 「 静か さ 」の よ うに 、 ナ形 容詞 に 付 くこ と もあ る 。
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語の構造と品詞
こ のも の は壊 れ やす い 。
昨 日は 寝 つき に くか っ た。
名詞、形容詞、動詞 (連用形に接 続) に付くもの
「くさい(「教師くさい」、「照れくさい」)、ぽい(「安っぽい」、
「飽きっぽい」)
ナ形容詞性接尾辞に は、次のよう な例 がる。
名詞に付くもの
「的だ(「経済的だ 」)
動詞(連用形に接続 )、名詞に付 くも の
「がちだ(「忘れが ちだ」、「病 気が ちだ」)
動詞(連用形に接続 )、形容詞に 付く もの
「そうだ(「落ちそ うだ」、「う れし そうだ」、「元気そ うだ 」)」
注 意 : イ 形 容詞 の 中で 、「 よ い 」と 「な い 」は 、 接尾 辞 「そ う だ」 が 付 く場 合に 、 「 よさ そ う だ」 、
「 な さ そ うだ 」 と い う 形を と る。
5.動 詞性接尾 辞
動詞性接尾辞には、 動詞に付くも の、 イ形容詞に付くもの 、名詞に付
くもの、等がある。 このうち、動 詞に 付くものには、活用 語幹に接続す
る 「 ( r ) arer u,(s)aseru,(r ar)eru 」 や 、 連 用 形 に 接 続 す る 「 ま す 」 、
「得る」、等がある 。
イ形容詞に付くもの には、「がる 」( 「悲しがる」)、「 む」(「悲
しむ」)、「まる」 (「高まる」 )、 「める」(「高める 」)、等があ
る。
名詞に付くものには 、「ばむ」( 「汗 ばむ」)、「ぐむ」 (「涙ぐ
む」)、「びる」( 「大人びる」 )、 「めく」(「春めく 」)、等があ
る。これらは、いず れも生産性の 低い ものばかりである。
6.特 殊な接辞
否定を表す接尾辞と して、「ない 」が 用いられる。「ない 」は、総て
の述語に付くことが できる。
イ形容詞については 、「連用形+ (「 は」)「ない」」の 形で表され
る。例えば、「寒い 」の否定形は 「寒 く(は)ない」にな る。
また、ナ形容詞と判 定詞について は、 「テ形+(「は」) 「ない」」
の形で表される。例 えば、「勤勉 だ」 、「外 国人だ」の否 定形は、それ
ぞれ「勤勉で(は) ない」、「外 国人 で(は)ない」にな る。
「ない」の活用は、 イ形容詞の活 用に 準じる。
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語の構造と品詞
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