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JP 2021-107403 A 2021.7.

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(57)【要約】
【課題】オキシントモジュリン誘導体を有効成分とする
高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の予防または治
療のための組成物を提供する
【解決手段】配列番号2∼34からなる群から選択され
るアミノ酸配列を有する、オキシントモジュリン誘導体
を有効成分として含む高脂血症、脂肪肝疾患または動脈
硬化症の予防または治療のための組成物に関する。本発
明のオキシントモジュリン誘導体は、天然型のオキシン
トモジュリンに比べてGLP-1受容体とグルカゴン受
容体に対して高い活性を持ち、高脂肪の食餌により増加
した血中総コレステロール、低密度コレステロールおよ
び中性脂肪を減少させ、高密度コレステロール値および
高密度コレステロール/低密度コレステロールの割合を
増加させる効果を持つ。
【選択図】図5
(2) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシントモジュリン誘導体を有効成分として含む高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬
化症の予防または治療のための組成物。
【請求項2】
前記オキシントモジュリン誘導体が、配列番号2∼34からなる群から選択されるアミ
ノ酸配列を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オキシントモジュリン誘導体が、免疫グロブリン断片、抗体、エラスチン、アルブ
ミン、フィブロネクチンからなる群から選択されたものに連結した結合体の形態である、 10
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記結合体は、配列番号2∼34からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するオキ
シントモジュリン誘導体が非ペプチド性重合体を介して免疫グロブリンFc領域に連結さ
れたものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エ
チレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、
ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、
ポリ乳酸(PLA)、 ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、脂質重合体、キ 20
チン類、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4
に記載の組成物。
【請求項6】
前記非ペプチド性重合体の両末端が、それぞれ免疫グロブリンFc領域およびオキシン
トモジュリンのアミン基またはチオール基に連結する、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、高脂血症、脂肪肝疾患、もしくは動脈硬化症の予防または治療効果を示
す薬学的製剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂肪肝疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、栄養性脂肪 30
肝疾患、飢餓性脂肪肝疾患、肥満性脂肪肝疾患、糖尿病性脂肪肝疾患または脂肪性肝炎で
ある、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記非アルコール性脂肪肝疾患が、高脂血症、糖尿病または肥満から発生する、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記非アルコール性脂肪肝疾患が、単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、肝繊維症
および肝硬変症からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
オキシントモジュリン誘導体を個体に投与するステップを含む、高脂血症、脂肪肝疾患 40
または動脈硬化症を予防または治療する方法。
【請求項12】
高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の予防または治療のための医薬の製造における
オキシントモジュリン誘導体の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシントモジュリン誘導体を有効成分として含む高脂血症、脂肪肝疾患ま
たは動脈硬化症の予防または治療のための組成物、およびこれを用いた高脂血症、脂肪肝
疾患または動脈硬化症の治療方法に関する。 50
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【背景技術】
【0002】
近年、韓国では経済成長と食生活の西欧化により、食物から得られる脂肪分の摂取量が
増加し、運動不足などによる高脂血症、糖尿病、高血圧、動脈硬化症、および脂肪肝疾患
などの代謝性疾患が増加する傾向にある。
【0003】
高脂血症とは、血液内の遊離コレステロール、コレステロールエステル、リン脂質、中
性脂肪などの脂肪が異常に増加した状態をいう。高脂血症は、(1)高コレステロール血
症(2)高中性脂肪血症(3)混合型高脂血症(高コレステロール血症および高中性脂肪
血症)の3種類の形で発生しうる 。高脂血症は通常、一次性または二次性高脂血症に分 10
類される。一次性高脂血症が一般的に遺伝的欠損によるものであるのに対し、ニ次性高脂
血症は様々な疾患の状態、薬物および食習慣によって誘発される。また、高脂血症は一次
性および二次性の原因の組み合わせにより誘発されることもある。高脂血症の診断基準は
、一般的に総コレステロールの基準値220mg/dl以上、中性脂肪の基準値150m
g/dl以上が用いられている。
【0004】
哺乳類において自然発生するコレステロールには、様々な形態がある。低密度( LD
L )コレステロールは健康に有害なコレステロールとして知られているが、低密度コレ
ステロールの増加は心臓病のリスクを増加させることで知られている(非特許文献1)。
また、高密度(HDL)コレステロールは善玉コレステロールと見なされており、動脈硬 20
化を予防するなど健康に不可欠である。
【0005】
高脂血症は、それ自体が特定の症状を示すものではないが、血液内の過剰な脂質は血管
壁に付着して血管のサイズを狭め、炎症反応によるアテローム性動脈硬化(athero
sclerosis)を引き起こす。これにより、冠状動脈性心臓病や脳血管疾患、末梢
血管の閉鎖などが発症しうる(非特許文献2)。また、過剰な血液中の脂質は肝臓の組織
に蓄積され、これにより脂肪肝疾患が誘発される。前記脂肪肝疾患とは肝臓の重量におい
て脂肪が占める割合が5%を超えた状態をいう。肝脂肪は過剰な脂肪の摂取量だけでなく
、アルコール摂取によっても誘発される。
【0006】 30
血中の脂質濃度を減少させるこれまでの方法としては、コレステロールや脂肪が多く含
まれる食物の摂取量を減らす食餌療法、運動療法、および薬物療法などが用いられている
。しかし、食餌療法や運動療法は厳密な管理と実施が困難であり、その治療効果にも限界
がある。
【0007】
現在まで開発されてきた脂質濃度を減少させる薬物としては、胆汁酸結合樹脂、コレス
テロール生合成における重要なHMG-CoA還元酵素阻害剤(HMG-CoA redu
ctase inhibitors)などのコレステロール降下剤、フィブリン酸誘導体
およびニコチン酸などの中性脂肪降下剤が挙げられる。しかし、これらの薬剤は、肝毒性
、胃腸障害、および発がん性などの副作用が報告されている。したがって、血中脂質濃度 40
を効果的に下げ、高脂血症およびこれに関連する疾患(例えば、動脈硬化症および脂肪肝
疾患)の治療に使用できるもので、尚且つ副作用の少ない薬剤の開発が急がれているのが
実情である。
【0008】
そのような薬物の候補物質の一つとして、オキシントモジュリンが近年注目されている
。オキシントモジュリンはプレグルカゴン(pre-glucagon)から作製され、
主な特徴としてはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)とグルカゴン受容体のいずれに
も結合して二重機能を果たすことのできるペプチドである。そのような特徴により、オキ
シントモジュリンは肥満、高脂血症および脂肪肝疾患の治療など様々な目的のために研究
が成されてきた。しかし、オキシントモジュリンは生体内での半減期が短く、その活性が 50
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前記肥満、高脂血症、脂肪肝疾患の治療などに使用できる程度のものでないため、高容量
を投与しなければならないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明者らは天然型オキシントモジュリンよりも活性が増大したオキシントモ
ジュリン誘導体を開発し、前記誘導体が高脂血症の誘導されたハムスターモデルで血中内
脂質含量および割合を向上させることによって、高脂血症疾患の治療に効果的に使用でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】 10
【特許文献1】国際特許公開第97/34631号
【特許文献2】国際特許公開第96/32478号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Assman et al., Am. J. Card, 1996
【非特許文献2】E. Falk et al., Circulation, 1995
【非特許文献3】H. Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1
979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】 20
【0012】
本発明の目的は、オキシントモジュリン誘導体を有効成分とする高脂血症、脂肪肝疾患
または動脈硬化症の予防または治療のための組成物を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、オキシントモジュリン誘導体を個体に投与するステップを含む、
高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症を治療する方法を提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、高脂血症、脂肪肝疾患、もしくは動脈硬化症の予防または
治療のための医薬の製造における、前記オキシントモジュリン誘導体の用途を提供するこ
とである。 30
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、一態様において、本発明はオキシントモジュリン誘導体を
有効成分として含む高脂血症、脂肪肝疾患、もしくは動脈硬化症の予防または治療のため
の組成物を提供する。
【0016】
本発明における用語「オキシントモジュリン」とは、グルカゴンの前駆体であるプレグ
ルカゴンから作製されるペプチドを意味する。本発明において、オキシントモジュリンは
天然型オキシントモジュリンとその前駆物質、アナログ(誘導体)、断片および変異体を
含む。好ましくは、オキシントモジュリンは配列番号1(HSQGTFTSDYSKYL 40
DSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIA)のアミノ酸配列を有する。
【0017】
本発明における用語「オキシントモジュリン変異体」とは、天然型オキシントモジュリ
ンとアミノ酸配列が1つ以上の異なるアミノ酸残基を有するペプチドであり、GLP-1
とグルカゴン受容体の活性化機能を有するペプチドを意味する。前記オキシントモジュリ
ン変異体は、天然型オキシントモジュリンの一部のアミノ酸の置換、付加、欠失および修
飾のうちいずれかの方法またはそれらの方法の組み合わせにより製造できる。
【0018】
本発明における用語「オキシントモジュリン誘導体」とは、天然型オキシントモジュリ
ンの一部のアミノ酸を付加、欠失または置換によって製造し、天然型オキシントモジュリ 50
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ンによって活性化されたレベルに比べ、GLP-1受容体とグルカゴン受容体をいずれも
高レベルに活性化させることのできるペプチド、ペプチド誘導体またはペプチド模倣体を
意味する。
【0019】
本発明における用語「オキシントモジュリン断片」とは、オキシントモジュリンのアミ
ノ末端またはカルボキシ末端に1つまたはそれ以上のアミノ酸が付加または欠失した断片
を意味し、付加されたアミノ酸は天然に存在しないアミノ酸(例えば、D型アミノ酸)で
あってもよい。このようなアミノ酸は体内で血糖調節機能を持つ。
【0020】
オキシントモジュリン変異体、誘導体、および断片を製造するための方法は、独立して 10
用いられるか、または組み合わせて用いられる。例えば、本発明には、天然型ペプチドと
アミノ酸配列が1つ以上異なり、N末端アミノ酸残基に脱アミノ化されたGLP-1受容
体とグルカゴン受容体のいずれに対しても活性化機能を持つペプチドが含まれる。
【0021】
本明細書におけるアミノ酸は、IUPAC-IUB命名法にしたがって次のように略語
で記載した。
アラニン A;アルギニン R;
アスパラギン N;アスパラギン酸 D;
システイン C;グルタミン酸 E;
グルタミン Q;グリシン G; 20
ヒスチジン H;イソロイシン I;
ロイシン L;リシン K;
メチオニン M;フェニルアラニン F;
プロリン P;セリン S;
トレオニン T;トリプトファン W;
チロシン Y;バリン V
【0022】
本発明において、オキシントモジュリン誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列でアミノ
酸の置換、付加、欠失または翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化、
分子内共有結合)され、グルカゴンとGLP-1受容体をいずれも活性化させることので 30
きる任意のペプチドを含む。前記アミノ酸の置換または付加時には、通常ヒトタンパク質
において観察される20個のアミノ酸だけでなく、非定型的または非自然発生アミノ酸を
用いることができる。非定型的アミノ酸の商業的出所には、Sigma-Aldrich
、ChemPepおよびGenzyme Pharmaceuticalsが含まれる。
これらのアミノ酸が含まれるペプチドと非定型的なペプチド配列は商業化されたペプチド
合成会社、例えば、米国のAmerican Peptide CompanyまたはBa
chemまたは韓国のAnygenにおいて合成および購入することができる。
【0023】
具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、下記式(1)
のアミノ酸配列を含む新規なペプチドである。 40
R1-X1-X2-GTFTSD-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-
X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-
X21-X22-X23- X24-R2 (式1)
【0024】
前記式で、
R1はヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、
ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、β-ヒドロキシイミダ
ゾプロピオニル(beta-hydroxyimidazopropionyl)、4-イ
ミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、β-カルボキシイミダゾプロピオニ
ル(beta-carboxyimidazopropionyl)またはチロシンであ 50
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り、
X1はAib(アミノイソ酪酸)、d-アラニン、グリシン、Sar(N-メチルグリシ
ン)、セリンまたはd-セリンであり、
X2はグルタミン酸またはグルタミンであり、
X3はロイシンまたはチロシンであり、
X4はセリンまたはアラニンであり、
X5はリジンまたはアルギニンであり、
X6はグルタミンまたはチロシンであり
X7はロイシンまたはメチオニンであり、
X8はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、 10
X9はグルタミン酸、セリン、α-メチルグルタミン酸、または欠失した配列であり、
X10はグルタミン、グルタミン酸、リジン、アルギニンまたはセリン、または欠失し
た配列であり、
X11はアラニン、アルギニンまたはバリンまたは欠失した配列であり、
X12はアラニン、アルギニン、セリンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X13はリジン、グルタミン、アルギニンまたはα-メチルグルタミン酸、または欠失
した配列であり、
X14はアスパラギン酸、グルタミン酸またはロイシン、または欠失した配列であり、
X15はフェニルアラニンまたは欠失した配列であり、
X16はイソロイシンまたはバリン、または欠失した配列であり、 20
X17はアラニン、システイン、グルタミン酸、リジン、グルタミンまたはα-メチル
グルタミン酸、または欠失した配列であり、
X18はトリプトファンまたは欠失した配列であり、
X19はアラニン、イソロイシン、ロイシン、セリンまたはバリン、または欠失した配
列であり、
X20はアラニン、リジン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニン、または欠失し
た配列であり、
X21はアスパラギンまたは欠失した配列であり、
X22はアラニン、グリシンまたはトレオニン、または欠失した配列であり、
X23はシステインまたはリジン、または欠失した配列であり、 30
X24はアラニン、グリシンおよびセリンの組み合わせからなる2∼10個のアミノ酸
を有するペプチドまたは欠失した配列であり
R2は、KRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)
、GPSSGAPPPSK(配列番号37)、
HSQGTFTSDYSKYLD(配列番号38)、
HSQGTFTSDYSRYLDK(配列番号39)、
HGEGTFTSDLSKQMEEEAVK(配列番号40)または欠失した配列であ
る(ただし、式(1)のアミノ酸配列が配列番号1と同じである場合は除く)。
【0025】
野生型のオキシントモジュリンのグルカゴン受容体およびGLP-1受容体に対する活 40
性を高めるために、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、配列番号1で表されるアミ
ノ酸配列において1番目のアミノ酸であるヒスチジンのαカーボンを欠失させた4-イミ
ダゾアセチル、N末端アミノ基を欠失させたデスアミノ-ヒスチジル、N末端アミノ基を
2つのメチル基で修飾したジメチル-ヒスチジル(N-ジメチル-ヒスチジル) 、N末端アミ
ノ基をヒドロキシル基に置換したβ-ヒドロキシイミダゾプロピオニルまたはN末端アミ
ノ基をカルボキシル基に置換したβ-カルボキシイミダゾプロピオニルに置換することが
できる。また、GLP-1受容体と結合する部位を疎水性結合とイオン結合を強化させる
アミノ酸に置換したりまたはこれらを組み合わせることができる。また、オキシントモジ
ュリン配列の一部配列をGLP-1のアミノ酸配列またはエキセンデイン-4のアミノ酸配
列に置換してGLP-1受容体の活性を高めることができる。 50
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【0026】
さらに、オキシントモジュリン配列の一部配列をαへリックスを強化する配列に置換す
ることができる。好ましくは、式(1)のアミノ酸配列の10番目、14番目、16番目
、20番目、24 番目、および28番目のアミノ酸がαへリックスを安定させることで
知られているTyr(4-Me)、Phe、Phe(4-Me)、Phe(4-Cl)、P
he(4-CN)、Phe(4-NO2)、Phe(4-NH2)、Phg、Pal、Nal、
Ala(2-チエニル)またはAla(ベンゾチエニル)からなるアミノ酸もしくはアミ
ノ酸誘導体に置換されてもよく、挿入されうるαへリックスを安定させるアミノ酸もしく
はアミノ酸誘導体の種類および数は限定されない。
【0027】 10
好ましくは、アミノ酸配列が10番と14番、12番と16番、16番と20番、20
番と24番および24番と28番の位置のアミノ酸は、それぞれグルタミン酸またはリジ
ンに置換することによって環を形成することができ、挿入される環の数も限定されるもの
ではない。最も好ましくは、前記オキシントモジュリン誘導体は、下記式(1)∼(6)
から選択されるアミノ酸配列を有することができる。
【0028】
具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、オキシントモ
ジュリンのアミノ酸配列にエクセンディンもしくはGLP-1の配列に置換した下記式(
2)のアミノ酸配列を含む新規なペプチドである。
R1-A-R3 (式2) 20
【0029】
他の具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、オキシン
トモジュリンのアミノ酸配列の一部とエクセンディンまたはGLP-1の配列の一部を適
当なアミノ酸リンカーを介して連結した下記式(3)のアミノ酸配列を含む新規なペプチ
ドである。
R1-B-C-R4 (式3)
【0030】
さらに、他の具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、
オキシントモジュリンのアミノ酸配列の一部をGLP-1受容体との結合力を高めるアミ
ノ酸に置換、例えば26番目のLeuをGLP-1受容体と疎水性結合をするため、疎水 30
性を増加させるアミノ酸であるIleもしくはValに置換された下記式(4)のアミノ
酸配列を含む新規なペプチドである。
R1-SQGTFTSDYSKYLD-D1-D2-D3-D4-D5-LFVQW-
D6-D7-N-D8-R3 (式4)
【0031】
さらに、他の具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、
天然のオキシントモジュリンのGLP-1受容体とグルカゴン受容体の活性を高めるため
にアミノ酸配列の一部を欠失させたり、挿入したり、他のアミノ酸に置換した下記式(5
)のアミノ酸配列を含む新規なペプチドである。
R1-E1-QGTFTSDYSKYLD-E2-E3-RA-E4-E5-FV-E6- 40
WLMNT-E7-R5 (式5)
【0032】
式(2)∼(5)において、R1は、式(1)で前述したとおりである。
Aは、
SQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号41)、
SQGTFTSDYSKYLDEEAVRLFIEWLMNT(配列番号42)、
SQGTFTSDYSKYLDERRAQDFVAWLKNT(配列番号43)、
GQGTFTSDYSRYLEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号44)、
GQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号45)、
GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEWAA(配列番号46)、および 50
(8) JP 2021-107403 A 2021.7.29

SQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLMNG(配列番号47)からなる
群から選択され、
Bは、
SQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号41)、
SQGTFTSDYSKYLDEEAVRLFIEWLMNT(配列番号42)、
SQGTFTSDYSKYLDERRAQDFVAWLKNT(配列番号43)、
GQGTFTSDYSRYLEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号44)、
GQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号45)、
GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEWAA(配列番号46)、
SQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLMNG(配列番号47) 、 10
GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEW(配列番号48)、および
SQGTFTSDYSRYLD(配列番号49)
からなる群から選択され、
Cは、アラニン、グリシンおよびセリンの組み合わせからなる2∼10個のアミノ酸を
有するペプチドであり、
D1はセリン、グルタミン酸またはアルギニンであり、
D2はアルギニン、グルタミン酸またはセリンであり、
D3はアルギニン、アラニンまたはバリンであり、
D4はアルギニン、バリンまたはセリンであり、
D5はグルタミン、アルギニンまたはリジンであり、 20
D6はイソロイシン、バリンまたはセリンであり、
D7はメチオニン、アルギニンまたはグルタミンであり、
D8はトレオニン、グリシンまたはアラニンであり、
E1はセリン、Aib、Sar、d-アラニンまたはd-セリンであり、
E2は、セリンまたはグルタミン酸であり、
E3は、アルギニンまたはリジンであり、
E4は、グルタミンまたはリジンであり、
E5は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
E6はグルタミン、システインまたはリジンであり、
E7はシステインまたはリジン、または欠失した配列であり、 30
R3は、KRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)
またはGPSSGAPPPSK(配列番号37)であり、
R4は、HSQGTFTSDYSKYLD(配列番号38)、HSQGTFTSDYS
RYLDK(配列番号39)またはHGEGTFTSDLSKQMEEEAVK(配列番
号40)であり、および
R5は、KRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)
、GPSSGAPPPSK(配列番号37)または欠失した配列である(ただし、式(2
)∼(5)のアミノ酸配列が、配列番号1と同じである場合は除く)。
【0033】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、下記式(6)の新規なペプチドであることが 40
好ましい。
R1-X1-X2-GTFTSD-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-
X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-
X21-X22-X23- X24-R2 (式6)
【0034】
R1はヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジル、4-イミダゾアセチルまたはチロシンであ
り、
X1はAib(aminosiobutyric acid)、グリシン、セリンまた
はd-セリンであり、
X2はグルタミン酸またはグルタミンであり、 50
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X3はロイシンまたはチロシンであり、
X4はセリンまたはアラニンであり、
X5はリジンまたはアルギニンであり、
X6はグルタミンまたはチロシンであり、
X7はロイシンまたはメチオニンであり、
X8はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
X9はグルタミン酸またはα-メチルグルタミン酸、または欠失した配列であり、
X10はグルタミン、グルタミン酸、リジンまたはアルギニン、または欠失した配列で
あり、
X11はアラニンまたはアルギニン、または欠失した配列であり、 10
X12はアラニンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X13はリジン、グルタミン、アルギニンまたはα-メチルグルタミン酸、または欠失
した配列であり、
X14はアスパラギン酸、グルタミン酸またはロイシン、または欠失した配列であり、
X15は、フェニルアラニンまたは欠失した配列であり、
X16はイソロイシンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X17はアラニン、システイン、グルタミン酸、グルタミンまたはα-メチルグルタミ
ン酸、または欠失した配列であり、
X18は、トリプトファンまたは欠失した配列であり、
X19はアラニン、イソロイシン、ロイシンまたはバリン、または欠失した配列であり 20

X20はアラニン、リジン、メチオニンまたはアルギニン、または欠失した配列であり

X21は、アスパラギンまたは欠失した配列であり、
X22は、トレオニンまたは欠失した配列であり、
X23は、システイン、リジンまたは欠失した配列であり、
X24は、グリシンからなる2∼10個のアミノ酸を有するペプチドまたは欠失した配
列であり、
R2は、KRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)
、GPSSGAPPPSK(配列番号37)、HSQGTFTSDYSKYLD(配列番 30
号38)、HSQGTFTSDYSRYLDK(配列番号39)、HGEGTFTSDL
SKQMEEEAVK(配列番号40)または欠失した配列である(ただし、前記式(6
)のアミノ酸配列が、配列番号1と同じである場合は除く)。
【0035】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、配列番号2∼34のペプチドからなる群から
選択されたものであることがより好ましく、実施例2-1の表1に記載されたオキシント
モジュリン誘導体であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明の一実施例では、それぞれ配列番号2∼34のアミノ酸配列を有するオキシント
モジュリン誘導体を製造し、前記オキシントモジュリン誘導体が天然型オキシントモジュ 40
リンに比べて優れたGLP-1受容体と、グルカゴン受容体活性を示すことを確認した(
実施例2)。すなわち、前記の結果から本発明のオキシントモジュリン誘導体は、GLP
-1受容体およびグルカゴン受容体を活性化させることによって、高脂血症、脂肪肝疾患
または動脈硬化症の治療効果を示すことが分かる。
【0037】
前記本発明のオキシントモジュリン誘導体は、治療学的効能と生体内半減期を向上させ
るために、様々な重合体を含む結合体の形態で存在する。
【0038】
本発明の前記結合体は、天然型オキシントモジュリンに比べて効果の持続性が増加して
おり、前記持続型結合体は天然型オキシントモジュリンのアミノ酸が修飾、置換、付加ま 50
(10) JP 2021-107403 A 2021.7.29

たは欠失することによって製造されたオキシントモジュリンを含み、ポリエチレングリコ
ール(PEG)のような生分解性重合体が結合したオキシントモジュリン、もしくはアル
ブミン、抗体 、エラスチン、フィブロネクチンまたはキチンなどのポリサッカライド、
免疫グロブリン断片のような持続性に優れたタンパク質が結合したオキシントモジュリン
、生体内アルブミンとの結合力を有する脂肪酸が結合したオキシントモジュリン、または
生分解性ナノ粒子に封入された形態のオキシントモジュリンを含むことができ、本発明で
用いられる持続型結合体の種類は限定されない。
【0039】
好ましくは、前記結合体は、配列番号2∼34からなる群から選択されたアミノ酸配列
を有するオキシントモジュリン誘導体と免疫グロブリンFc領域が、非ペプチド性重合体 10
を介して連結されたものである。
【0040】
免疫グロブリンFc領域は、生体内で代謝される生分解性ポリペプチドであるため、薬
物のキャリアとしての使用において安全である。免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブ
リン全体分子に比べて相対的に分子量が少ないため、結合体の製造、精製、および収率の
面において有利である。また、抗体間のアミノ酸配列が異なるのでFab部分が高い非均
質性を示し、それにより物質の同質性が大幅に増加し、血中抗原性の誘発可能性を低くす
ることができる。
【0041】
本発明における用語「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可 20
変領域、免疫グロブリンの重鎖不変領域1(CH1)と軽鎖不変領域(CL1)を除く免
疫グロブリンの重鎖不変領域2(CH2)および重鎖不変領域3 (CH3)を意味し、
重鎖不変領域にヒンジ部分を含んでもよい。また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、
天然型と実質的に同等あるいは向上した効果を持つ限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可
変領域を除き、重鎖不変領域1(CH1)および/または軽鎖不変領域1(CL1)の一
部または全体を含む拡張されたFc領域であってもよい。また、免疫グロブリンFc領域
は、CH2および/またはCH3に該当する相対的に長い一部のアミノ酸配列が除去され
た領域であってもよい。特に、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン
、CH2ドメイン、CH3ドメインおよびCH4ドメイン、2)CH1ドメインおよびC
H2ドメイン、3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、4)CH2ドメインおよびC 30
H3ドメイン、5)1つ以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(またはヒンジ領域
の一部)との組み合わせ、6)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体であっ
てもよい。
【0042】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型アミノ酸配列、およびその配列誘導体(変
異体)を含む。本発明における用語「アミノ酸配列誘導体」とは、天然アミノ酸配列のう
ち1つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的または保全的置換、もしくはこれらの
組み合わせによって異なる配列を有するものを意味する。例えば、IgG Fcの場合、
結合に重要であると知られている214∼238、297∼299、318∼322また
は327∼331番のアミノ酸残基を修飾するための適当な部位として使用することがで 40
きる。
【0043】
また、ジスルフィド結合の形成可能な部位が除去されたり、または天然型FcからN末
端のいくつかのアミノ酸残基が除去されたり、あるいは天然型FcのN末端にメチオニン
残基が付加されるなど、様々な種類の誘導体が可能である。さらに、エフェクター機能を
無くすために、補体結合部位、例えばC1q結合部位およびADCC(抗体依存性細胞障
害)部位が除去されることもある。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製
造する技術は、特許文献1、特許文献2などに開示されている。
【0044】
活性を全体的に変更させないタンパク質およびペプチドにおけるアミノ酸交換は、当該 50
(11) JP 2021-107403 A 2021.7.29

分野に公知となっている(非特許文献3)。最も一般的に起こる交換は、アミノ酸残基A
la/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/
Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pr
o、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/ Val、Ala/Gluお
よびAsp/ Gly間の交換である。また、場合によっては、Fc領域はリン酸化、硫化
、アクリル化、糖化、メチル化 、ファルネシル化 、アセチル化およびアミド化などによ
り修飾されうる。
【0045】
前述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同一の生物学的活性を示し、Fc領域の熱
、pHなどの構造的安定性を増大させた誘導体である。 10
【0046】
また、このようなFc領域は、ヒトおよびウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムス
ター、ラットまたはモルモットなどを含む動物から分離した天然型から得てもよく、形質
転換された動物細胞または微生物から得た組み換え型またはその誘導体であってもよい。
ここで、Fe領域は、免疫グロブリン全体をヒトまたは動物の生体から分離した後、タン
パク質分解酵素を処理することによって天然型免疫グロブリンから得ることができる。免
疫グロブリン全体にパパインを処理する場合はFabおよびFc領域に切断され、ペプシ
ンを処理する場合には、pF’c、およびF(ab)2断片に切断される。これをサイズ
排除クロマトグラフィーなどを用いて、FcまたはpF’cを分離することができる。好
ましくは、ヒト由来のFc領域は微生物から得た組み換え型免疫グロブリンFc領域であ 20
る。
【0047】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖
、天然型に比べて減少した糖鎖、または脱グリコシル化した形態であってもよい。このよ
うな免疫グロブリンFc糖鎖の増減または除去は、化学的方法、酵素学的方法および微生
物を用いた遺伝工学的方法などの通常の方法が用いられる。ここで、Fcから糖鎖が除去
されたることによって得られたFc領域は、最初の補体(C1q)との結合親和性が著し
く低下し、抗体依存性細胞障害または補体依存性細胞障害が減少または除去されるので、
生体内での不要な免疫反応を誘発しない。このような点において、薬物のキャリアとして
の本発明の目的により適した形態は、脱グリコシル化された免疫グロブリンFc領域 、 30
または非グリコシル化された形態の免疫グロブリンFc領域である。
【0048】
本発明における用語「脱グリコシル化 」とは、酵素で糖部を除去したFc領域を意味
し、用語「非グリコシル化」とは、原核生物、好ましくは大腸菌において生産されたグリ
コシル化されていないFc領域を意味する。
【0049】
一方、免疫グロブリンFc領域は、ヒトまたはウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハ
ムスター、ラットおよびモルモットなどの動物由来てあってもよいが、ヒト由来であるこ
とが好ましい。
【0050】 40
また、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来また
はこれらの組み合わせ、もしくはこれらの混成によるFc領域であってもよい。好ましく
は、ヒト血液に最も豊富に存在するタンパク質であるIgGまたはIgM由来であり、最
も好ましくは、リガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知となっているI
gG由来である。
【0051】
本発明における用語「組み合わせ」とは、同一起源の単鎖免疫グロブリンFc領域をコ
ード化するポリペプチドが異なる起源の単鎖ポリペプチドと連結して、二量体または多量
体を形成することを意味する。具体的には、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、
IgD FcおよびIgEのFc断片からなる群れから選択される2つ以上の断片から二 50
(12) JP 2021-107403 A 2021.7.29

量体または多量体を形成することができる。
【0052】
本発明における用語「ハイブリッド」とは、単鎖の免疫グロブリンFc領域内に2つ以
上の異なる起源の免疫グロブリンFc断片に該当する配列が存在することを意味する。本
発明では、様々な形態のハイブリッドが可能である。すなわち、IgG Fc、IgM F
c、IgA Fc、IgE FcおよびIgD FcのCH1、CH2、CH3、およびC
H4からなる群から選択される1つ∼4つのドメインからなるハイブリッドが可能であり
、ヒンジを含むことができる。
【0053】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4のサブクラスに分けら 10
れるが、本発明ではこれらのサブクラスの組み合わせまたはハイブリッドも可能である。
好ましくは、IgGはIgG2およびIgG4サブクラスであり、最も好ましくは、補体
依存性細胞障害(CDC)などのエフェクター機能がほとんど無いIgG4のFc領域で
ある。
【0054】
すなわち、本発明で薬物キャリアとして使用される最も好ましい免疫グロブリンFc領
域は、ヒトIgG4由来のFc領域である。ヒト由来のFc領域は、人体で抗原として作
用し、その抗原に対する新しい抗体を生成するなどの好ましくない免疫反応を引き起こし
うる非ヒト由来のFc領域より好ましい。
【0055】 20
本発明における用語「非ペプチド性重合体」とは、2つ以上の反復単位がペプチド結合
の代わりに任意の共有結合によって互いに連結した生体適合性重合体を意味する。本発明
では、前記非ペプチド性重合体は非ペプチド性リンカーとほとんど同じ意味で使用される

【0056】
本発明に使用可能な非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル
化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエ
チルエーテル、ポリ乳酸(PLA)およびポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)
などの生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わ 30
せからなる群から選択することができ、好ましくは、ポリエチレングリコールである。ま
た、当該分野で既に公知となっている誘導体および当該技術分野で公知の方法により容易
に製造できる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0057】
従来のインフレームフュージョン法(inframe fusion method)に
よって得られる融合タンパク質において使用されるペプチド性リンカーの欠点は、生体内
でタンパク質分解酵素によって容易に切断され、キャリアによる活性薬物の血中半減期の
増加効果を期待した程十分に得られないことである。しかし、本発明では、タンパク質分
解酵素に抵抗性を持つ重合体を用いて、キャリアと類似したペプチドの血中半減期を維持
することができる。したがって、本発明で使用できる非ペプチド性重合体は前述の機能、 40
すなわち生体内タンパク質分解酵素に抵抗性を持つ重合体であれば制限なく使用できる。
非ペプチド性重合体の分子量の範囲 は1∼100kDaであり、好ましくは1∼20 kD
aである。また、前記免疫グロブリンFc領域に連結される本発明の非ペプチド性重合体
は、一種類の重合体、もしくは異なる種類の重合体の組み合わせであってもよい。
【0058】
本発明に使用される非ペプチド性重合体は、免疫グロブリンFc領域およびタンパク質
薬物と結合できる反応基を有することができる。前記非ペプチド性重合体の両末端の反応
基は、反応アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基
およびスクシンイミド誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0059】 50
(13) JP 2021-107403 A 2021.7.29

前記スクシンイミド誘導体は、スクシンイミジルプロピオン酸塩、ヒドロキシスクシン
イミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル、またはスクシンイミジル炭酸塩であって
もよい。特に、前記非ペプチド性重合体が両末端にアルデヒド反応基を有する場合、非特
異的反応を最小化することができ、生理活性ポリペプチドと免疫グロブリンが非ペプチド
性重合体の両末端にそれぞれ効果的に結合することができる。アルデヒド結合による還元
性アルキル化によって生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものよりもはるか
に安定している。アルデヒド反応基は、低pHでN末端に選択的に結合し、pH9.0の
ような高pHにおいてリジン残基と共有結合を形成されうる。
【0060】
前記非ペプチド性重合体の両末端の反応基は互いに同一、または異なってもよい。例え 10
ば、前記非ペプチド性重合体は、一方の末端にマレイミド基を、もう一方の末端にはアル
デヒド基、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基を有してもよい。両末端に
ヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として用いる場
合には、公知の化学反応によって前記ヒドロキシ基を前記の様々な反応基で活性化したり
、商業的に入手可能な改変した反応基を有するポリエチレングリコールを用いて、本発明
の持続型結合体を製造することができる。
【0061】
本発明の結合体は、非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域お
よびオキシントモジュリン誘導体のアミン基またはチオール基に結合するものであっても
よい。 20
【0062】
本発明の前記非ペプチド性重合体は、両末端に免疫グロブリンFc領域またはタンパク
質薬物のいずれかに連結できる反応基を有する。前記反応基は、特にこれらに限定されな
いが、アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基、ス
クシンイミド誘導体(スクシンイミジルプロピオネート、ヒドロキシスクシンイミジル、
スクシンイミジルカルボキシまたはスクシンイミジル炭酸塩)などであってもよい。
【0063】
前記非ペプチド性重合体の両末端の反応基は、互いに同一または異なってもよい。例え
ば、前記非ペプチド性重合体は、一方の末端にマレイミド基を有し、もう一方の末端には
アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基などを有してもよい。 30
例えば、前記の非ペプチド性重合体が一方の末端にアルデヒド基の反応基を有し、他方の
末端にマレイミド基の反応基を有する場合、非特異的反応を最小化することができ、非ペ
プチド性重合体の両末端に生理活性ポリペプチドと免疫グロブリンが効果的に結合される
。本発明の一実施態様によれば、プロピオンアルデヒドを単独で含むかまたはマレイミド
基とアルデヒド基を共に含む非ペプチド性重合体のPEGを用いて、オキシントモジュリ
ンまたはその誘導体を免疫グロブリンFc領域に共有結合によって連結することによって
、結合体を合成した。
【0064】
本発明の医薬組成物は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の予防または治療に使
用することができる。 40
【0065】
本発明の用語「予防」とは、標的疾患の発症を抑制したり、遅延させる全ての行為を意
味する。本発明における「予防」とは、本発明のオキシントモジュリン誘導体を投与する
ことによって、血中総コレステロールおよび低密度コレステロール値が増加し、高密度コ
レステロール値が減少する高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の発症を抑制したり、
遅延することを意味する。
【0066】
本発明の用語「治療」とは、発生した病気の症状を軽減、改善または緩和させる全ての
行為を意味する。本発明における用語「治療」とは、本発明のオキシントモジュリン誘導
体を投与することによって、血中総コレステロール値および低密度コレステロールが増加 50
(14) JP 2021-107403 A 2021.7.29

し、高密度コレステロール値が減少して高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の軽減、
改善または緩和されることを意味する。
【0067】
本発明の用語「高脂血症」とは、血液内の遊離コレステロール、コレステロールエステ
ル、リン脂質、中性脂肪などの脂肪が異常に増加した状態を意味する。高脂血症は、一般
的に、それ自体が特定の症状を示すものではないが、血液内の過剰な脂質が血管壁に付着
して血管のサイズを狭め、炎症反応によるアテローム性動脈硬化を引き起こす。これによ
り、冠状動脈性心臓病、脳血管疾患、末梢血管の閉鎖などが発症することがある。
【0068】
したがって、本発明の医薬組成物は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症だけでは 10
なく、冠状動脈性心臓病、脳血管疾患または末梢血管の閉塞などの治療にも使用できる。
【0069】
前記「脂肪肝疾患」とは、肝重量における脂肪の占める割合が5%以上である状態を意
味する。本発明において、脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、ア
ルコール性脂肪肝疾患、栄養性脂肪肝疾患、飢餓性脂肪肝疾患、肥満性脂肪肝疾患、糖尿
病性脂肪肝疾患または脂肪肝炎をすべて含む。前記非アルコール性脂肪肝疾患は、原発性
と続発性による非アルコール性脂肪肝疾患の両方を含むが、原発性高脂血症、糖尿病また
は肥満から引き起こされる非アルコール性脂肪肝疾患であることが好ましい。
【0070】
また、本発明における非アルコール性脂肪肝疾患は、単純性脂肪肝、非アルコール性脂 20
肪肝炎、およびこれらの疾患の進行によって生じる肝繊維症と肝硬変を含む。
【0071】
前記動脈硬化症は、主に血管の最も内側を覆っている内膜にコレステロールが沈着して
内皮細胞の増殖が起こることから、アテローム(atheroma)が形成される血管疾
患をいう。
【0072】
本発明の一実施例では、ポリエチレングリコールを用いて本発明によるオキシントモジ
ュリン誘導体と免疫グロブリンFc領域が共有結合的に連結した持続型オキシントモジュ
リン誘導体の結合体を製造した後、これを高脂肪の飼料の摂取よって高脂血症が誘導され
たハムスター動物モデルに投与した。その結果、本発明による持続型オキシントモジュリ 30
ン誘導体の結合体を投与した群において、高脂血症が誘導された動物モデルに比べて血中
中性脂肪値が大幅に減少し(図1)、血中総コレステロール値が大幅に減少し(図2)、
血中低密度コレステロール値(LDLコレステロール)が顕著に減少することを確認した
。さらに、本発明による持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体を投与した群では、
高脂血症が誘導された動物モデルに比べて血中の高密度コレステロール値(HDLコレス
テロール)が大幅に増加し(図4)、血中HDLコレステロール/LDLコレステロール
の割合が有意に増加することが確認できた(図5)。
【0073】
さらに、本発明による持続型オキシントモジュリン誘導体結合体は、市販の持続型GL
P-1アナログであるVICTOZA(登録商標)に比べて血中総コレステロール値がさら 40
に減少し(図6)、血中LDLコレステロール値と中性脂肪の値が減少することが確認で
きた(図7)。さらに、本発明の持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体の投与時の
血中HDLコレステロール値およびHDL/LDLコレステロールの割合がVICTOZ
A(登録商標)より増加することが確認できた(図8および図9)。特に、配列番号25と
Fcとの持続型結合体は、VICTOZA(登録商標)に比べ血中HDL値およびHDL/
LDLコレステロールの割合が顕著に増加した。
【0074】
すなわち、本発明によるオキシントモジュリン誘導体は血中脂質の値を減少させるので
、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の治療薬として使用することができる 。また
、本発明の結合体は、天然型オキシントモジュリンに比べてGLP-1受容体とグルカゴ 50
(15) JP 2021-107403 A 2021.7.29

ン受容体を活性する優れた能力を持ち、体内で血中半減期を増加させて長時間生体内で活
性を維持することができる。
【0075】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、脂肪分解に関与する酵素の活性を調節する因
子(プロテインキナーゼC-ζ、PKC-ζ)の活性を増加させることができ、脂肪分解に
関与する因子(Glut2)の発現を増加させて、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化
症を予防または治療することができるが、本発明の範囲が前記作用機序に限定されるわけ
ではない。
【0076】
本発明の医薬組成物は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症に対して予防または治 10
療効果を示す薬剤をさらに含んでもよい。特に、本発明の医薬組成物は、本発明の誘導体
と組み合わせて投与するために、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の治療薬として
公知となっている薬剤をさらに含むことができる。
【0077】
したがって、本発明の組成物は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症を予防または
治療するために単独投与、あるいは他の薬剤と併用して投与してもよい。
【0078】
本発明における用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入するこ
とを意味する。本発明の誘導体は、薬物が標的組織に到達できるものであれば、いなかる
一般的経路を通じて投与されてもよい。具体的には、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投 20
与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与または直腸内投与
などが挙げられるが、これに限定されるものではない。しかし、経口投与時にペプチドが
消化されるため、経口用組成物は活性成分をコーティングしたり、胃の中での分解から保
護されるように製剤化することが好ましい。本発明の医薬組成物は注射剤の形で投与する
ことが好ましく、さらに、活性成分を標的細胞に移動させ得る任意の装置によって投与で
きる。
【0079】
本発明のオキシントモジュリン誘導体を含む医薬組成物は、薬剤学的に許容可能な担体
をさらに含んでもよい。薬剤学的に許容される担体は、経口投与には、結合剤、潤滑剤、
崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁剤、着色剤、香味剤などを用いるこ 30
とができる。注射剤の場合は、薬剤学的に許容される担体は、緩衝剤、保存剤、鎮痛剤、
可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合には
、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを用いることができる。
【0080】
本発明の医薬組成物は、前述したような薬剤学的に許容される担体を用いて様々な剤形
に製造することができる。例えば、経口投与には、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシ
ル、懸濁剤、シロップ、ウエハなどの形態に製造することができる。注射剤の場合、単位
投与量アンプルあるいは多回投与容器の形態に製造することができる。また、溶液、懸濁
液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性製剤などに剤形化することができる。
【0081】 40
一方、製剤化に適した担体、賦形剤および希釈剤の例としては、ラクトース、デキスト
ロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マ
ルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸
カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン
、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸
マグネシウムおよび鉱物油などが挙げられる。また、本発明の医薬組成物は、充填剤、抗
凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0082】
本発明の医薬組成物の投与量は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別および体
重、疾患の重症度などの様々な要因と共に、活性成分の種類によって決定される。 50
(16) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【0083】
本発明の医薬組成物は、生体内持続性および力価に優れるので、その投与回数および頻
度を著しく減らすことができる。
【0084】
他の実施態様では、本発明はオキシントモジュリン誘導体を個体に投与するステップを
含む、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症を予防または治療する方法を提供する。
【0085】
前記オキシントモジュリン誘導体、高脂血症、脂肪肝疾患および動脈硬化症は、前述し
た通りである。
【0086】 10
本発明における用語「個体」とは、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の疑いのあ
る個体である。具体的には、前記疾患が発症しているか、あるいは発症リスクのあるヒト
、ラットおよび家畜を含む哺乳動物を意味する。また、本発明のオキシントモジュリン誘
導体で治療可能ないかなる個体であってもよい。
【0087】
本発明の治療方法は、結合体を含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含む
ことができる。前記組成物の1日総投与量は医師による適切な医学的判断によって決定さ
れ、1回または数回投与できる。しかし、本発明の目的に鑑みて、特定の患者に対する具
体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、他の製剤と共に使用されて
いるか否かによる具体的な組成物、患者の年齢、体重、健康状態、性別および食餌、投与 20
時間および経路、組成物の分泌率、治療期間、他の薬剤と組み合わせたり、または他の薬
剤と同時に使用されているかなど、医薬分野によく知られている様々な要素によって異な
ってもよい。
【0088】
さらに、他の態様において、本発明はオキシントモジュリン誘導体の結合体の製造方法
を提供する。
【0089】
前記製造方法は、
(1) アルデヒド、マレイミドまたはスクシンイミド反応基を有する非ペプチド性重
合体をオキシントモジュリン誘導体ペプチドのアミン基またはチオール基に共有結合で連 30
結するステップ、
(2)ステップ(1)の反応混合物からアミノ末端以外の位置に非ペプチド性重合体が
共有結合されたオキシントモジュリン誘導体ペプチドを分離するステップ、および
(3) 連結された非ペプチド性重合体のもう一方の末端に免疫グロブリンFc領域を
共有結合で連結して、非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域お
よびオキシントモジュリン誘導体ペプチドと結合したペプチド結合体を生成するステップ
を含むことができる。
【0090】
より具体的には、前記製造方法は、
(1)各末端にアルデヒド反応基とマレイミド反応基を有する非ペプチド性重合体をそ 40
れぞれオキシントモジュリン誘導体のシステイン残基に共有結合で連結するステップ、
(2)ステップ(1)の反応混合物からシステイン残基に非ペプチド性重合体が共有結
合されたオキシントモジュリン誘導体を含む結合体を分離するステップ、および
(3) 非ペプチド性重合体のもう一方の末端に免疫グロブリンFc領域を共有結合で
連結して、非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域およびオキシ
ントモジュリン誘導体ペプチドと連結されたペプチド結合体を生成するステップを含むこ
とができる。
【0091】
さらに、他の態様では、本発明は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の予防また
は治療のための薬物の製造におけるオキシントモジュリン誘導体の用途を提供する。 50
(17) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【発明の効果】
【0092】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、天然型のオキシントモジュリンに比べてGL
P-1受容体およびグルカゴン受容体に対して高い活性能力を有しており、高脂肪の飼料
により増加された血中総コレステロール、低密度コレステロールおよび中性脂肪を減少さ
せ、高密度コレステロール値ならびに、高密度コレステロール/低密度コレステロールの
割合を増加させる効果を持つ。したがって、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、高
脂血症およびこれに関連する疾患の治療において有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】 10
【図1】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中中性脂肪の値の変化を示すグラフである(#;一般飼料群に
比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な増加を示す(p<0.001)、*;高脂肪の
飼料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(p<0.001))。
【図2】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中総コレステロール値の変化を示すグラフである(#;一般飼
料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な増加を示す(p<0.001)、*;高
脂肪の飼料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(P<0.001
))。
【図3】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ 20
ュリン誘導体投与による血中LDLコレステロール値の変化を示すグラフである(#;一
般飼料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な増加を示す(p<0.001)、*
;高脂肪の飼料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(p<0.00
1)。
【図4】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中HDLコレステロール値の変化を示すグラフである(*;高
脂肪の飼料群に比べて99%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(p<0.01))。
【図5】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中HDL/LDLコレステロール値の変化を示すグラフである
(*;高脂肪の飼料群に比べて95%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(p<0.05 30
))。
【図6】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登録
商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体投与による血中総コレステロール値の変
化を示すグラフである(***;高脂肪の飼料群に比べて99.9%信頼性の範囲内で有意
な減少を示す(p<0.001))。
【図7】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登録
商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体投与による血中LDLコレステロール値
を示すグラフである(***;高脂肪の飼料群に比べて99.9%信頼性の範囲内で有意な減
少を示す(p<0.001))。
【図8】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登録 40
商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体投与による血中HDLコレステロール値
の変化を示すグラフである(*;高脂肪の飼料群に比べて95%の信頼性の範囲内で有意
な減少を示す(p<0.05))。
【図9】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登録
商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体の投与による血中HDL/LDLコレステ
ロール値の変化を示すグラフである(**;高脂肪の飼料群に比べて99%の信頼性の範囲
内で有意な減少を示す(p<0.01))。
【図10】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登
録商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体投与による血中中性脂肪の値の変化を
、高脂肪の飼料ハムスターを基準として示すグラフである(***;高脂肪の飼料群に比べて 50
(18) JP 2021-107403 A 2021.7.29

99.9%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(p<0.001))。
【発明を実施するための形態】
【0094】
以下、下記の実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に
本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらに限定されるものではないと
理解されるべきである。
【実施例】
【0095】
実施例1: in vitro活性のための細胞株の生産
実施例1-1:GLP-1に対してcAMP反応を示す細胞株の生産 10
ヒトGLP-1受容体遺伝子のcDNA(OriGene Technologies、
Inc. USA)のORF(open reading frame)に該当する部分を鋳
型として、HindIII切断部位とEcoRI切断部位をそれぞれ含む正方向プライマ
ーおよび逆方向プライマーを用いてPCRを行って、PCR産物を得た。
【0096】
正方向プライマー:5’-CCCGGCCCCCGCGGCCGCTATTCGAAAT
AC-3 ‘(配列番号50)
逆方向プライマー:5’-GAACGGTCCGGAGGACGTCGACTCTTAA
GATAG-3 ‘(配列番号51)
【0097】 20
前記PCR産物を公知の動物細胞発現ベクターであるx0GC/dhfrにクローニン
グして、組み換えベクターx0GC/GLP-1Rを製造した。
【0098】
前記製造した組み換えベクターx0GC/GLP-1RをDMEM/F12(10%FB
S)培地で培養したCHO DG44細胞株にリポフェクタミン(Lipofectam
ine、invitrogene、USA)を用いて導入し、形質転換体を得た。前記形
質転換体を1mg/mL G418および10nMメトトレキサート(methotrax
ate)を含む選択培地で選択培養した後、そこからモノクローナル細胞株を選別した。
それから、GLP-1に対して優れた濃度依存的cAMP反応を示す細胞株をモノクロー
ナル細胞株から最終的に選別した。 30
【0099】
実施例1-2:グルカゴンに対してcAMP反応を示す細胞株の生産
ヒトグルカゴン受容体遺伝子のcDNA(OriGene Technologies
、Inc. USA)からORFに(open reading frame)対応する部分
を鋳型として、EcoRI切断部位とXhoI切断部位をそれぞれ含む正方向プライマー
および逆方向プライマーを用いてPCRを行い、PCR産物を得た。
【0100】
正方向プライマー:5’-CAGCGACACCGACCGTCCCCCCGTACTT
AAGGCC-3 ‘(配列番号52)
逆方向プライマー:5’-CTAACCGACTCTCGGGGAAGACTGAGCT 40
CGCC-3 ‘(配列番号53)
【0101】
前記PCR産物を公知の動物細胞発現ベクターであるx0GC/dhfrにクローニン
グして、組み換えベクターx0GC/GCGRを製造した。
【0102】
前記製造した組み換えベクターx0GC/GCGRをDMEM/F12(10%FBS)
培地で培養したCHO DG44細胞株にリポフェクタミンを用いて導入することによっ
て形質転換体を得た。前記形質転換体を1mg/mL G418および10nMメトトレキ
サートを含む選択培地で選択培養した後、それからモノクローナル細胞株を選別した。そ
れから、グルカゴンに対して優れた濃度依存的cAMP反応を示す細胞株をモノクローナ 50
(19) JP 2021-107403 A 2021.7.29

ル細胞株から最終的に選別した。
【0103】
実施例2:オキシントモジュリン誘導体のin vitro活性
実施例2-1:オキシントモジュリン誘導体の合成
オキシントモジュリン誘導体のin vitro活性を測定するために、下記アミノ酸
配列を有するオキシントモジュリン誘導体を合成した(表1)。
【0104】
オキシントモジュリンおよびオキシントモジュリン誘導体
【表1】
10

20

30

40
(20) JP 2021-107403 A 2021.7.29

10

20

【0105】
前記表1において太字で示されたアミノ酸は、環の形成を意味し、Xと表記されたアミ
ノ酸は、非天然型アミノ酸であるα-メチルグルタミン酸を意味する。また、CAは4-イ
ミダゾアセチル、DAはデスアミノ-ヒスチジル、Aibはアミノイソブチル酸、(d)
Sはd-Serineを意味する。
【0106】 30
実施例2-2:オキシントモジュリン誘導体のin vitro活性の測定
抗肥満ペプチドの効果を測定するために、前記実施例1-1と1-2で製造した形質転換
体を用いてin vitroにおける細胞活性を測定した。
【0107】
前記各形質転換体は、CHO(chinese hamster ovary)にヒトG
LP-1受容体とグルカゴン受容体遺伝子をそれぞれ発現するように形質転換されたもの
であり、GLP-1とグルカゴンの活性を測定するのに適しているため、各オキシントモ
ジュリン誘導体の活性をそれぞれの形質転換体を用いて測定した。
【0108】
具体的には、前記各形質転換体を、1週間に2回もしくは3回継代培養し、96ウェル 40
5
プレートに、各ウェル当り1×10 個の前記細胞を分注し、24時間培養した。
【0109】
前記培養された細胞をKRB緩衝液で洗浄し、1mM IBMXを含むKRB緩衝液4
0mlに懸濁し、その後5分間室温に静置した。オキシントモジュリン(配列番号1)ま
たはオキシントモジュリン誘導体(配列番号2-6、8、10-13、17、18、23-
25、27、28、および32∼34)をそれぞれ1000nMから5倍ずつ0.02n
Mまで連続的に希釈し、これを40mlずつ前記細胞に添加した後、CO2培養器にて3
7℃で1時間培養した。次に、細胞溶解緩衝液を20mlずつ加えて細胞を溶解させ、前
記細胞溶解物をcAMP assay kit(Molecular Device、US
A)を使用してcAMP濃度を測定した。測定の結果からEC50値を算出した後、相互比 50
(21) JP 2021-107403 A 2021.7.29

較した(表2)。
【0110】
【表2】

10

20

30
【0111】
前記表2に示されるように、オキシントモジュリン誘導体は配列番号1のオキシントモ
ジュリンに比べて、GLP-1受容体とグルカゴン受容体活性において優れたin vit
ro活性を示している。
【0112】
オキシントモジュリンはGLP-1受容体とグルカゴン受容体の活性化により、高脂血
症、脂肪肝疾患、動脈硬化症などの治療に効果があることが知られている。本発明による
オキシントモジュリン誘導体は、天然型オキシントモジュリンに比べてGLP-1受容体
およびグルカゴン受容体を活性化する優れた活性を有するので、天然のオキシントモジュ
リンの代わりに、高脂血症、高脂血症に関連する脂肪肝疾患または動脈硬化症の治療に用 40
いることができる。
【0113】
実施例3:オキシントモジュリン誘導体(配列番号23)と免疫グロブリンFcを含む結
合体の製造(免疫グロブリンFc領域結合オキシントモジュリン誘導体23)
MAL-10K-ALD PEG(NOF., Japan)をオキシントモジュリン誘導体
(配列番号24)のアミノ酸配列24番のシステイン残基にペグ化するために、オキシン
トモジュリン誘導体(配列番号23)とMAL-10K-ALD PEGのモル比を1:3
、タンパク質の濃度を3mg/mlとし、室温で3時間反応させた。この際、反応はグア
ニジン1Mを含んだ50mMTris緩衝液(pH8.0)において行われた。反応終了
後、前記反応液はSOURCE Sを使用してシステインにモノペグ化されたオキシント 50
(22) JP 2021-107403 A 2021.7.29

モジュリン誘導体を精製した(column:SOURCE S、流速:2.0m/分、勾
配:A0屋ずるし→100% 50分 B(A:20mM クエン酸ナトリウム、pH3.
0+45%エタノール、B:A +1M KCl))。
【0114】
次に、前記精製されたモノペギル化オキシントモジュリン誘導体(配列番号23)と免
疫グロブリンFcを、モル比1:5、タンパク質濃度を20mg/mlとし、4℃で16
時間反応させた。反応液は、還元剤として20mM SCBを含む100mMのリン酸カ
リウム緩衝液(pH6.0)において行われた。反応終了後、前記反応液をSOURCE
15Q精製カラム(column:SOURCE 15Q、流速:2.0ml/分、勾配
:A0→4% 1分 B→20% 80分 B(A:20mM Tris-HCl、pH7 10
.5、B:A +1M NaCl))とSOURCE ISO精製カラム(column:S
OURCE ISO、流速:2.0ml/分、勾配:B0→100%100分 A、(A:
20mM Tris-HCl、pH7.5、B:A +1.1M AS))を使用して、オキシ
ントモジュリン誘導体(配列番号23)と免疫グロブリンFcを含む結合体を精製した。
【0115】
実施例4:オキシントモジュリン誘導体(配列番号25)と免疫グロブリンFcを含む結
合体の製造(免疫グロブリンFc領域の結合オキシントモジュリン誘導体25)
MAL-10K-ALD PEGをオキシントモジュリン誘導体(配列番号25)のアミ
ノ酸配列30番のシステイン残基にペグ化するために、オキシントモジュリン誘導体(配
列番号25)とMAL-10K-ALD PEGのモル比を1:3、タンパク質の濃度を3 20
mg/mlとし、室温で3時間反応させた。この際、反応は1Mグアニジンを含む50m
のMTris緩衝液(pH8.0)において行われた。反応終了後、前記反応液をSOU
RCE Sを使用して、システインにモノペギル化オキシントモジュリン誘導体を精製し
た(column:SOURCE S、流速:2.0ml/分、勾配:A0→100% 50
分 B(A:20mM クエン酸ナトリウム、pH3.0+45%エタノール、B:A +
1M KCl))。
【0116】
次に、前記精製されたモノペギル化オキシントモジュリン誘導体(配列番号25)と免
疫グロブリンFcをモル比1:5、タンパク質の濃度を20mg/mlとし、4℃で16
時間反応させた。反応液は、 還元剤として20mM SCBが添加された100mMのリ 30
ン酸カリウム緩衝液(pH6.0)において行われた。反応終了後、前記反応液をSOU
RCE 15Q精製カラム(column:SOURCE 15Q、流速:2.0ml/分
、勾配:A0→4% 1分 B→20% 80分 B(A:20mM Tris-HCl、
pH7.5、B:A +1M NaCl))とSOURCE ISO精製カラム(colum
n:SOURCE ISO、流速:2.0ml/分、勾配:B0→100% 100分 A
、(A:20mM Tris-HCl、pH 7.5、B:A +1.1M AS))を使用し
て、オキシントモジュリン誘導体(配列番号25)と免疫グロブリンFcを含む結合体を
精製した。
【0117】
実施例5:持続型オキシントモジュリンが高脂血症モデルハムスターの脂質減少に及ぼす 40
影響
実施例5-1:実験動物の分類
8週齢の雄ハムスター(Golden Syrian hamster、120-130
g)は、中国のVital River Chinaから購入した。ハムスターは血中脂質
プロファイルが、他のげっ歯類とは異なりヒトと類似しており、高脂肪の食餌に敏感な動
物として知られている。
【0118】
前記動物は、滅菌された高脂肪の飼料 (トウモロコシ油11.5%、ココナッツオイ
ル11.5%、コレステロール0.5%、およびデオキシコーツ酸塩0.25%を含むP
urina 5001; Dyets 、Bethlehem、PA)または標準的なげっ 50
(23) JP 2021-107403 A 2021.7.29

歯類食餌(low fat、2018; Harlan Teklad、Madison、W


I)の供給を受け、自由給餌させた。通常の食餌群には、ろ過した後に紫外線殺菌された
水道水を自由摂取させ、高脂肪の飼料群は10%フルクトースを給水ボトルで自由摂取さ
せた。GLP施設基準に適合した飼育室で、明12時間/暗12時間のサイクル(午前6
時点灯-午後6時消灯)を維持し、動物の飼育標準ガイドラインに沿って管理した。以後
、3週間の高脂血症誘導期間をおいて薬物投与を開始し、動物は下記のように4つの群(
n=6)に分けられた(表3)。
【0119】
【表3】
10

20

【0120】
具体的には、1群(正常群)、通常の飼料を摂取させた群であり、薬物投与はタルベッ
コリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Sigma)5ml/kgを週1回以上皮下投与した

【0121】
2群(高脂血症誘導群)は高脂肪の飼料を摂取させて高脂血症を誘導した後、タルベッ
コリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Sigma)5ml/kgを週1回以上皮下投与し
た。 30
【0122】
3群(高脂血症誘導群+配列番号25-Fc結合体3.25nmol/kg投与群)は高
脂肪の飼料を摂取させ、高脂血症を誘導した後、実施例4で製造した配列番号25-Fc
結合体を、3.25nmol/kgで、週1回5ml/kgを注射により皮下投与した。
【0123】
4群(高脂血症誘導群+配列番号23-Fc結合体8.96nmol/kg投与群)は高
脂肪の飼料を摂取させ、高脂血症を誘導した後、実施例3で製造した配列番号23-Fc
結合体を8.96nmol/kgで、週1回5ml/kgを注射により皮下投与した。
【0124】
各群(n=6)いずれも生理食塩水または薬物を2週間 投与した後、脂質減少に及ぼ 40
す影響について分析した。
【0125】
実施例5-2:持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体が脂質減少に及ぼす影響につ
いての分析
本発明による持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体がハムスターの脂質減少に及
ぼす影響を調べるために、次のような実験を行った。前記実施例5-1で分類した持続型
オキシントモジュリン誘導体の投与または非投与ハムスターの血液を採取して血液内の脂
質含有量を分析した(HITACHI7020を使用)。分析結果は図1∼5に示した。
【0126】
図1∼5は、血中中性脂肪濃度の変化(図1)、血中総コレステロール濃度の変化(図 50
(24) JP 2021-107403 A 2021.7.29

2)、血中LDLコレステロール濃度の変化(図3)、血中HDLコレステロール濃度の
変化(図4)、血中HDL/LDLコレステロールの割合の変化(図5)を示す。前記で
得られた結果は、統計処理して平均値と平均値の標準誤差を計算した。各実験群間(n=
6)の有意性検定は、一元配置分散分析(one-way ANOVA)のダネット検定(
Dunnett‘s test)を用いて統計処理した後、p の値が0.05よりも小さ
い場合(p<0.05)、統計的に有意であると判断される。
【0127】
具体的には、血中の中性脂肪濃度を測定した結果、高脂肪の飼料を摂取したハムスター
の場合、中性脂肪の量が有意に増加したが、持続型オキシントモジュリン誘導体(配列番
号25-Fc結合体または配列番号23-Fc結合体)の投与時には、中性脂肪が有意に減 10
少することが確認された(図1)。
【0128】
血中総コレステロールの量を測定した結果、高脂肪の飼料を摂取したハムスターの場合
、血中総コレステロールの量が有意に増加したが、持続型オキシントモジュリン誘導体(
配列番号25-Fc結合体または配列番号23-Fc結合体)の投与時には、血中総コレス
テロール値が有意に減少することが確認された(図2)。
【0129】
血中LDLコレステロール値を測定した結果、高脂肪の飼料を摂取したハムスターでは
血中LDLコレステロール値は有意に増加したが、持続型オキシントモジュリン誘導体(
配列番号25-Fc結合体または配列番号23-Fc結合体)の投与時には、血中LDLコ 20
レステロール値が有意に減少することが確認された(図3)。
【0130】
血中HDLコレステロールの量を測定した結果、持続型配列番号25-Fc結合体、お
よび配列番号23-Fc結合体の投与群で高脂肪の飼料を摂取したハムスター群に比べ、
血中HDLコレステロール値が有意に増加することが確認された(図4)。
【0131】
血中HDL/LDLコレステロールの割合を測定した結果、持続型配列番号25-Fc結
合体、および配列番号23-Fc結合体の投与群で高脂肪の飼料を摂取したハムスター群
に比べ、血中HDL/LDLコレステロールの割合が有意に増加することが確認された(
図5)。 30
【0132】
前記の結果から、PEGによって免疫グロブリンFc領域のオキシントモジュリン誘導
体が共有結合された本発明の持続型オキシントモジュリン誘導体結合体は、血中の中性脂
肪、低密度(LDL)コレステロールの蓄積を防止することによって、高脂血症またはこ
れに関連する脂肪肝疾患、もしくは動脈硬化症の治療に有効に使用できることを見出した

【0133】
実施例6:公知の持続型GLP-1アナログおよび持続型オキシントモジュリン誘導体の
結合体の効果についての分析
VICTOZA(登録商標)は、持続型グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)であり、 40
現在糖尿病治療薬として市販されており、肥満治療効果とHDLコレステロール値の増加
効果が知られている。
【0134】
オキシントモジュリン誘導体の結合体と公知となっている前記VICTOZA(登録商
標)との脂質減少効果を比較した。
【0135】
前記実施例5で分類されたとおり、ハムスターは正常なハムスター群と高脂肪の飼料を
摂取させた群に分けた。正常なハムスター群には、DPBS5ml/kgを週1回以上皮下
投与した。高脂肪の飼料を摂取させたハムスター群は、DPBS5ml/kgを週1回以上
皮下投与した群、VICTOZA(登録商標)を35.5nmol/kgで週1回皮下投与 50
(25) JP 2021-107403 A 2021.7.29

した群、配列番号25-Fc結合体を3.25nmol/kgで投与した群および配列番号
23-Fc結合体を8.96nmol/kgで投与した群に分け、血液内の脂質含量を分析
した。
【0136】
その結果、本発明の持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体(配列番号25-Fc
結合体または配列番号23-Fc結合体)投与時、市販のVICTOZA(登録商標)より
も、血中総コレステロールが減少しており(図6)、血中LDLコレステロールの量がさ
らに減少したことを確認した(図7)。
【0137】
また、本発明の持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体(配列番号25-Fc結合 10
体または配列番号23-Fc結合体)投与時の血中HDLコレステロール値とHDL/LD
Lコレステロールの割合がVICTOZA(登録商標)よりも、さらに増加することを確認
した(図8および図9)。特に、持続型配列番号25-Fc結合体はVICTOZA(登録
商標)よりも、血中HDLとHDL/LDLコレステロールの割合が有意に増加した。
【0138】
また、本発明の持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体(配列番号25-Fc結合
体または配列番号23-Fc結合体)の投与時には、血中中性脂肪の値がVICTOZA(
登録商標)より、さらに減少していることが分かる。
【0139】
前記結果から、本発明の持続型オキシントモジュリン誘導体結合体は、脂質減少効果が 20
公知となっているVICTOZA(登録商標)と同等か、またはそれ以上の優れた脂質減少
効果を示すことから、前記結合体が高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の治療薬とし
て有効に使用し得ることが分かる。

【図1】 【図3】

【図4】

【図2】
(26) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【図5】 【図7】

【図6】 【図8】

【図9】

【図10】
(27) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【配列表】
2021107403000001.app
【手続補正書】
【提出日】令和3年4月30日(2021.4.30)
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシントモジュリン誘導体結合体を有効成分として含む高脂血症、脂肪肝疾患または
動脈硬化症の予防または治療のための組成物であって、
オキシントモジュリン誘導体結合体が、
配列番号4、5、23、27、28、及び32∼34のいずれかのアミノ酸配列を含む
オキシントモジュリン誘導体;
免疫グロブリンFc領域;及び
非ペプチド性重合体
を含み、
非ペプチド性重合体が、オキシントモジュリン誘導体と免疫グロブリンFc領域とを共
有結合によって連結した、組成物。
【請求項2】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エ
チレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、
ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルエチルエーテル、ポリ乳酸(PL
A)、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、脂質重合体、ヒアルロン酸、又は
、これらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコールである、請求項2に記載の組成物

【請求項4】
前記ポリサッカライドが、デキストラン、キチン、又は、これらの組み合わせである、
請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記非ペプチド性重合体の一末端が、免疫グロブリンFc領域のアミン基またはチオー
ル基に連結し、前記非ペプチド性重合体のもう一方の末端が、オキシントモジュリン誘導
体のアミン基またはチオール基と連結する、請求項1∼4のいずれか1項に記載の組成物

【請求項6】
高脂血症、脂肪肝疾患、もしくは動脈硬化症の予防または治療効果を示す薬学的薬剤を
さらに含む、請求項1∼5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記脂肪肝疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、栄養性脂肪
肝疾患、飢餓性脂肪肝疾患または脂肪性肝炎である、請求項1∼6のいずれか1項に記載
の組成物。
【請求項8】
前記非アルコール性脂肪肝疾患が、高脂血症から発生する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記非アルコール性脂肪肝疾患が、単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、肝繊維症
または肝硬変症である、請求項7に記載の組成物。
(28) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【請求項10】
高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の予防または治療のための医薬の製造における
オキシントモジュリン誘導体結合体の使用であって、
オキシントモジュリン誘導体結合体が、
配列番号4、5、23、27、28、及び32∼34のいずれかのアミノ酸配列を含む
オキシントモジュリン誘導体;
免疫グロブリンFc領域;及び
非ペプチド性重合体
を含み、
非ペプチド性重合体が、オキシントモジュリン誘導体と免疫グロブリンFc領域とを共
有結合によって連結した、使用。
【請求項11】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エ
チレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、
ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルエチルエーテル、ポリ乳酸(PL
A)、 ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、脂質重合体、ヒアルロン酸、又
は、これらの組み合わせである、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコールである、請求項11に記載の使用

【請求項13】
前記ポリサッカライドが、デキストラン、キチン、又は、これらの組み合わせである、
請求項11に記載の使用。
【請求項14】
前記非ペプチド性重合体の一末端が、免疫グロブリンFc領域のアミン基またはチオー
ル基に連結し、前記非ペプチド性重合体のもう一方の末端が、オキシントモジュリン誘導
体のアミン基またはチオール基と連結する、請求項10∼13のいずれか1項に記載の使
用。
【請求項15】
前記医薬が、高脂血症、脂肪肝疾患、もしくは動脈硬化症の予防または治療効果を示す
薬学的薬剤をさらに含む、請求項10∼14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記脂肪肝疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、栄養性脂肪
肝疾患、飢餓性脂肪肝疾患または脂肪性肝炎である、請求項10∼15のいずれか1項に
記載の使用。
【請求項17】
前記非アルコール性脂肪肝疾患が、高脂血症から発生する、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記非アルコール性脂肪肝疾患が、単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、肝繊維症
または肝硬変症である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
中性脂肪濃度を減少するため、血中総コレステロール濃度を減少するため、血中LDL
コレステロール濃度を減少するため、血中HDLコレステロール濃度を増加するため、ま
たは、血中HDL/LDLコレステロールの割合を増加するための組成物であって、
活性成分としてオキシントモジュリン誘導体結合体を含み、
オキシントモジュリン誘導体結合体が、
配列番号4、5、23、27、28、及び32∼34のいずれかのアミノ酸配列を含む
オキシントモジュリン誘導体;
免疫グロブリンFc領域;及び
非ペプチド性重合体
(29) JP 2021-107403 A 2021.7.29

を含み、
非ペプチド性重合体が、オキシントモジュリン誘導体と免疫グロブリンFc領域とを共
有結合によって連結した、組成物。
【請求項20】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エ
チレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、
ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルエチルエーテル、ポリ乳酸(PL
A)、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、脂質重合体、ヒアルロン酸、又は
、これらの組み合わせである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコールである、請求項20に記載の組成
物。
【請求項22】
前記ポリサッカライドが、デキストラン、キチン、又は、これらの組み合わせである、
請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記非ペプチド性重合体の一末端が、免疫グロブリンFc領域のアミン基またはチオー
ル基に連結し、前記非ペプチド性重合体の別の末端が、オキシントモジュリン誘導体のア
ミン基またはチオール基と連結する、請求項19∼22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
中性脂肪濃度を減少するため、血中総コレステロール濃度を減少するため、血中LDL
コレステロール濃度を減少するため、血中HDLコレステロール濃度を増加するため、ま
たは、血中HDL/LDLコレステロールの割合を増加するための医薬の製造におけるオ
キシントモジュリン誘導体結合体を含む組成物の使用であって、
オキシントモジュリン誘導体結合体が、
配列番号4、5、23、27、28、及び32∼34のいずれかのアミノ酸配列を含む
オキシントモジュリン誘導体;
免疫グロブリンFc領域;及び
非ペプチド性重合体
を含み、
非ペプチド性重合体が、オキシントモジュリン誘導体と免疫グロブリンFc領域とを共
有結合によって連結した、使用。
【請求項25】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エ
チレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、
ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルエチルエーテル、ポリ乳酸(PL
A)、 ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、脂質重合体、ヒアルロン酸、又
は、これらの組み合わせである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコールである、請求項25に記載の使用

【請求項27】
前記ポリサッカライドが、デキストラン、キチン、又は、これらの組み合わせである、
請求項25に記載の使用。
【請求項28】
前記非ペプチド性重合体の一末端が、免疫グロブリンFc領域のアミン基またはチオー
ル基に連結し、前記非ペプチド性重合体のもう一方の末端が、オキシントモジュリン誘導
体のアミン基またはチオール基と連結する、請求項24∼27のいずれか1項に記載の使
用。
【請求項29】
(30) JP 2021-107403 A 2021.7.29

前記オキシントモジュリン誘導体の位置16及び20のアミノ酸が環を形成する、請求
項1∼9及び19∼23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記オキシントモジュリン誘導体の位置16及び20のアミノ酸が環を形成する、請求
項10∼18及び24∼28のいずれか1項に記載の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
【図1】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中中性脂肪の値の変化を示すグラフである(#;一般飼料群に
比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な増加を示す(p<0.001)、*;高脂肪の
飼料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(p<0.001))。
【図2】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中総コレステロール値の変化を示すグラフである(#;一般飼
料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な増加を示す(p<0.001)、*;高
脂肪の飼料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(P<0.001
))。
【図3】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中LDLコレステロール値の変化を示すグラフである(#;一
般飼料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な増加を示す(p<0.001)、*
;高脂肪の飼料群に比べて99.9%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(p<0.00
1)。
【図4】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中HDLコレステロール値の変化を示すグラフである(*;高
脂肪の飼料群に比べて99%の信頼性の範囲内で有意な増加を示す(p<0.01))。
【図5】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへの持続型オキシントモジ
ュリン誘導体投与による血中HDL/LDLコレステロール値の変化を示すグラフである
(*;高脂肪の飼料群に比べて95%の信頼性の範囲内で有意な増加を示す(p<0.05
))。
【図6】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登録
商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体投与による血中総コレステロール値の変
化を示すグラフである(***;高脂肪の飼料群に比べて99.9%信頼性の範囲内で有意
な減少を示す(p<0.001))。
【図7】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登録
商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体投与による血中LDLコレステロール値
を示すグラフである(***;高脂肪の飼料群に比べて99.9%信頼性の範囲内で有意な減
少を示す(p<0.001))。
【図8】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登録
商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体投与による血中HDLコレステロール値
の変化を示すグラフである(*;高脂肪の飼料群に比べて95%の信頼性の範囲内で有意
な減少を示す(p<0.05))。
【図9】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登録
商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体の投与による血中HDL/LDLコレステ
ロール値の変化を示すグラフである(**;高脂肪の飼料群に比べて99%の信頼性の範囲
内で有意な減少を示す(p<0.01))。
【図10】高脂肪の飼料によって誘導された高脂血症ハムスターへのVICTOZA(登
録商標)または持続型オキシントモジュリン誘導体投与による血中中性脂肪の値の変化を
(31) JP 2021-107403 A 2021.7.29

、高脂肪の飼料ハムスターを基準として示すグラフである(***;高脂肪の飼料群に比べて
99.9%の信頼性の範囲内で有意な減少を示す(p<0.001))。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
オキシントモジュリンおよびオキシントモジュリン誘導体
(32) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【表1】
(33) JP 2021-107403 A 2021.7.29
(34) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
前記表1中、配列番号19,20,22,25,26,27,32,33及び34のそ
れぞれにおいて太字で示されたアミノ酸は、一緒に環を形成し、Xと表記されたアミノ酸
は、非天然型アミノ酸であるα-メチルグルタミン酸を意味する。また、CAは4-イミダ
ゾアセチル、DAはデスアミノ-ヒスチジル、Aibはアミノイソブチル酸、(d)Sはd
-Serineを意味する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
実施例3:オキシントモジュリン誘導体(配列番号23)と免疫グロブリンFcを含む結
合体の製造(免疫グロブリンFc領域結合オキシントモジュリン誘導体23)
MAL-10K-ALD PEG(NOF., Japan)をオキシントモジュリン誘導体
(配列番号23)のアミノ酸配列24番のシステイン残基にペグ化するために、オキシン
トモジュリン誘導体(配列番号23)とMAL-10K-ALD PEGのモル比を1:3
、タンパク質の濃度を3mg/mlとし、室温で3時間反応させた。この際、反応はグア
ニジン1Mを含んだ50mMTris緩衝液(pH8.0)において行われた。反応終了
後、前記反応液はSOURCE Sを使用してシステインにモノペグ化されたオキシント
モジュリン誘導体を精製した(column:SOURCE S、流速:2.0m/分、勾
配:A0→100% 50分 B(A:20mM クエン酸ナトリウム、pH3.0+45
%エタノール、B:A +1M KCl))。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0139
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0139】
前記結果から、本発明の持続型オキシントモジュリン誘導体結合体は、脂質減少効果が
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公知となっているVICTOZA(登録商標)と同等か、またはそれ以上の優れた脂質減少
効果を示すことから、前記結合体が高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の治療薬とし
て有効に使用し得ることが分かる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕オキシントモジュリン誘導体を有効成分として含む高脂血症、脂肪肝疾患または動
脈硬化症の予防または治療のための組成物。
〔2〕前記オキシントモジュリン誘導体が、配列番号2∼34からなる群から選択される
アミノ酸配列を有する、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記オキシントモジュリン誘導体が、免疫グロブリン断片、抗体、エラスチン、ア
ルブミン、フィブロネクチンからなる群から選択されたものに連結した結合体の形態であ
る、前記〔1〕に記載の組成物。
〔4〕前記結合体は、配列番号2∼34からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する
オキシントモジュリン誘導体が非ペプチド性重合体を介して免疫グロブリンFc領域に連
結されたものである、前記〔3〕に記載の組成物。
〔5〕前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール
、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオー
ル、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテ
ル、ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、脂質重合体、
キチン類、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記〔
4〕に記載の組成物。
〔6〕前記非ペプチド性重合体の両末端が、それぞれ免疫グロブリンFc領域およびオキ
シントモジュリンのアミン基またはチオール基に連結する、前記〔4〕に記載の組成物。
〔7〕前記組成物が、高脂血症、脂肪肝疾患、もしくは動脈硬化症の予防または治療効果
を示す薬学的製剤をさらに含む、前記〔1〕に記載の組成物。
〔8〕前記脂肪肝疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、栄養性
脂肪肝疾患、飢餓性脂肪肝疾患、肥満性脂肪肝疾患、糖尿病性脂肪肝疾患または脂肪性肝
炎である、前記〔1〕に記載の組成物。
〔9〕前記非アルコール性脂肪肝疾患が、高脂血症、糖尿病または肥満から発生する、前
記〔8〕に記載の組成物。
〔10〕前記非アルコール性脂肪肝疾患が、単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、肝
繊維症および肝硬変症からなる群から選択される、前記〔8〕に記載の組成物。
〔11〕オキシントモジュリン誘導体を個体に投与するステップを含む、高脂血症、脂肪
肝疾患または動脈硬化症を予防または治療する方法。
〔12〕高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の予防または治療のための医薬の製造に
おけるオキシントモジュリン誘導体の用途。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
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A61K 47/60 (2017.01) A61K 47/60
A61K 47/61 (2017.01) A61K 47/61
A61K 47/68 (2017.01) A61K 47/68
A61K 39/395 (2006.01) A61K 39/395 Y
A61K 47/59 (2017.01) A61K 47/59
A61P 43/00 (2006.01) A61P 43/00 121
A61K 45/00 (2006.01) A61K 45/00 10
C07K 16/46 (2006.01) C07K 16/46 ZNA
C12N 15/12 (2006.01) C12N 15/12
C07K 14/575 (2006.01) C07K 14/575

(74)代理人 100123777
弁理士 市川 さつき
(74)代理人 100111796
弁理士 服部 博信
(74)代理人 100154988
弁理士 小林 真知 20
(72)発明者 ジュン サン ヨプ
大韓民国 442−190 キョンギ−ド スウォン−シ パルダル−グ ウマン−ドン ワール
ド メリディアン 109−105
(72)発明者 キム ジン スン
大韓民国 446−954 キョンギ−ド ヨンジン−シ キフン−グ ボラ−ドン 553 ミ
ンソクマウル サンヨン アパートメント 103−1501
(72)発明者 チャン ミュン ヒュン
大韓民国 134−716 ソウル カンドン−グ アムサ 3−ドン カンドン ロッテ キャ
ッスル ファースト アパートメント 137−2403
(72)発明者 リー サン ヒュン 30
大韓民国 133−100 ソウル セオンドン−グ オクス−ドン ヒュンダイ アパートメン
ト 107−306
(72)発明者 チェ イン ヨン
大韓民国 448−755 キョンギ−ド ヨンイン−シ スジ−グ チュクチョン 2−ドン
ピョクサン 1−チャ アパートメント 105−1801
(72)発明者 クォン セ チャン
大韓民国 135−506 ソウル カンナム−グ トゴク 2−ドン トゴク レクスル アパ
ートメント 408−1804
Fターム(参考) 4C076 BB01 BB11 CC11 CC16 CC21 CC41 EE06 EE23 EE24 EE30
EE37 EE41 EE59 FF02 FF31 FF68 40
4C084 AA01 AA02 AA03 AA19 BA01 BA08 BA19 BA23 BA42 DA39
MA02 MA05 MA17 MA23 MA35 MA37 MA52 MA66 NA05 NA13
NA14 ZA451 ZA452 ZA751 ZA752 ZC331 ZC332 ZC751
4C085 AA34 AA35 BB11 BB42 CC21 CC22 EE01 EE05 GG01 GG08
4H045 AA10 AA30 BA40 BA57 CA40 DA30 DA75 EA20 FA74
(37) JP 2021-107403 A 2021.7.29

【外国語明細書】
2021107403000001.pdf

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