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局所止血材 の細胞 毒性 と組織親和性 の in vitroお よび in vivo評価

冨 澤 康 子 小 森 万 希 子＊ 高 田 勝 美＊
西 田 博 遠 藤 真 弘 黒 澤 博 身

外 科手 術 中 に使 用 す る局所 止血 材 が体 内 に留 置 され たの ちの, 吸収 お よび治癒 過 程 は材 料, 形態 お よび環 境

に よ り異 な る. 止血材 の 細胞 毒性 お よび組織 親和 性を評価 した. 止 血材 は Surgicel(R),Spongel(R), Avitene(R)
お よび Integran(R)の4種 類 を用 い た. 1) 培 地 のpH測 定, 2) 培 養 ヒ ト線 維 芽 細 胞 へ の 影 響, 3) 観 察 窓
(REC) モデ ル で評価 した. 1) 培 地 のpH: 72時 間後 に はSurgicel を含 む培 養 液 の み が7.2, ほ かの 止 血
材 および対 照 は7.7∼7.8で あ った. 2) 細胞 へ の影響: 培 養1日 後 には Surgicel 周 囲 の細 胞 が脱 落 し, 2日
後 にその範 囲 が拡大 し, 5日 後 に止血材 が 置 かれ て い た場所 の 細胞 密 度 が低 下 した. ほか の止血 材 お よび対
照 で は同様 の変 化 はみ られ なか った. 3) 組織 治癒: Surgicel の1週 間後 は炎 症 反 応 が強 く, 2週 間後 に は
侵 入血 管 を認 めた が, 溶 解後 の残渣 が あ り, 5週 間後 に もまだ残渣 が あ り, REC内 の血管 は完成 せ ず, 周 囲
の細 小血 管 は減 少 して いた. 5週 間 後 に Avitene で は浸 出液 を伴 った残 渣 はあ って も周 囲 の 血 管数 は減 ら
ず, Surgicel 以外 で は炎症 反応 は強 くなか った. 多用 してい る止血材 の なか に は細 胞 の増 殖 を抑 え, 治癒 を
遅 延 させ る可能 性 が ある製 品が存 在 す る. また, 細 胞親 和性 が良 好 だ と され て い る止血 材 で も留 置す る量 を
わ ずか に し治癒 を妨 げな い配慮 が肝要 で あ る. 日心 外会 誌33巻6号: 382-386 (2004)
Keywords: 局 所止 血材, 細 胞親 和性, 抗 感染性, 細 胞培 養, pH

In Vitro and In Vivo Evaluation of the Biocompatibility and Cytotoxicity of Local Hemo-
static Agents
Yasuko Tomizawa, Makiko Komori*, Katsumi Takada*, Hiroshi Nishida, Masahiro Endo and
Hiromi Kurosawa (Department of Cardiovascular Surgery and Department of Anesthesiology*,
Tokyo Women's Medical University, Tokyo, Japan)
When local hemostatic agents are used in surgery, rapid dissolution followed by prompt absorp-
tion without adverse effect after successful hemostasis are essential qualities. Residual hemo-
static materials greatly influence host cells during the wound healing process. Biocompatibility
of material is also essential. Furthermore, hemostatic agents also should be free of cytotoxicity
that may block mitosis and migration of host cells, so that wound healing can proceed smoothly.
For the evaluation of biocompatibility and cytotoxicity, 4 commercially available hemostatic
agents; oxidized regenerated cellulose (Surgicel(R)) , gelatin sponge (Spongel(R)), microfibrillar
collagen (Avitene(R)) and cotton type collagen (Integran(R)) were tested in vitro and in vivo. The
hydrogen ion concentration (pH) of culture medium containing hemostatic agents was mea-
sured. Fibroblasts were cultured with the hemostatic agents in petri dishes for 5 days. A rabbit
ear chamber (REC) model was used to evaluate tissue compatibility and the healing process.
Each hemostatic agent was placed in the REC and evaluated macroscopically once a week up to
5 weeks. At 72h, the pH of the culture medium containing Surgicel was low at 7.2, while they
stayed between 7.7-7.8 with the other agents. In the fibroblast culture containing Surgicel, cell
detachment occurred and the cell numbers decreased, while no particular changes occurred with
other hemostatic agents. In the REC model, after 5 weeks Surgicel was dissolved and remained
in the effusion, and the healing process was disturbed by inflammation. Spongel was dissolved
and absorbed, with normal vasculature. Avitene was dissolved and remained in the effusion, but
did not induce strong inflammation. With Integran, the healing process was prompt but the
material was still recognizable at 5 weeks. The 4 hemostatic materials tested showed differences
in biocompatibility and cytotoxicity. The ability of hemostasis is important; however, after
hemostasis is achieved, unused hemostatic material should be eliminated, leaving as little
hemostatic agent as possible to avoid postoperative complications. Jpn. J. Cardiovasc. Surg. 33:
382-386 (2004)

2004年1月28日 受 付, 2004年4月22日 採用 外 科 手 術 中 に使 用 す る局 所 止 血 材 は, 体 内 に留 置 され て
東 京 女 子 医 科 大 学 心 臓 血 管 外 科, ＊麻 酔 科 も速 や か に 吸収 され, 創 傷 治 癒 過 程 を速 や か に進 行 させ る
〒162-8666 東 京 都 新 宿 区 河 田 町8-1
こ とが 好 ま しい. 市 販 の コ ラー ゲ ン製 止 血 材 に は細 胞 親 和
本 論 文 の 要 旨 の 一 部 は, 第103回 日本 外 科 学 会 (2003年6
月, 札 幌) に お い て 発 表 し た. 性 あ る い は組 織 親 和 性 に優 劣 が あ り1), そ の親 和 性 の 善 し
 冨澤 康子 ほか: 止血 材 の細胞 毒性 と組 織親 和性 383

-■- 培 養 液 の み
-■- Integran

-▲- Spongel
-●- Avitene

-■- Surgicel

図1 止 血材 を加 えた培養 液 のpH測 定
図3 Surgicel 重 層 後 細 胞 培 養 終 了 時 (original magnifica-
tion, a, b: ×2, c, d: ×5, ギ ム ザ 染 色)

図2 Surgicel 重 層後 の細 胞培 養
1日 後 (a, b), 2日 後 (c, d), 5日 後 (e, f) (original magnification, a, c, e: ×3, b, d, f:
×7.5).

悪 し は治 癒 過 程 に 影 響 す る. 局 所 止 血 材 に抗 感 染 効 果 を期 2. 方 法

待 す る こ とが あ る2)が, 動 物 実 験 で は止 血 材 の 留 置 に よ り 1) 培 地 のpH: 各 種 止 血 材 を6mgず つ 培 養 液2mlの

感 染 率 が 増 加 し, しか も感 染性 は量 に比 例 した3)と 報 告 さ 入 っ た φ60mmの シ ャー レ に 入 れ, 炭 酸 ガ ス イ ン キ ュ
れ て い る. 市 販 の 止 血 材 を in vitro お よび in vivo に て評 ベ-タ 中 に 各 群3枚 ず つ 置 い た. 1, 24お よ び72時 間後

価 し, 興 味 あ る 結 果 が 得 られ た た め若 干 の考 察 を加 え報 告 に培 養 液 のpHを 測 定 した. な お, シ ャ ー レ3枚 か ら得 ら

す る. れ た 数 値 を 平 均 し た. ま た 培 養 液 の み2mlを 入れた
シ ャー レ を対 照 とした.
材 料 お よ び方 法
2) 細 胞 へ の 影 響: ヒ ト 由 来 線 維 芽 細 胞 を φ60mm

1. 材 料 シ ャ ー レ に コ ン フル エ ン トに な る まで 培 養 し た の ち, 各 止
止 血 材 は メ ッ シ ュ状 酸 化 セ ル ロ ー ス (Surgicel(R), ジ ョ 血 材6mgを お の お の シ ャー レ 中 央 に 置 き, 培 養 液2ml
ン ソ ン ・エ ン ド ・ジ ョ ン ソ ン), ス ポ ン ジ 状 ゼ ラ チ ン を入 れ た. 1, 2お よ び5日 後 に顕 微 鏡 下 に観 察 した. 5日
(Spongel(R), 山 之 内 製 薬), 微 細 線 維 状 コ ラー ゲ ン 間 の 観 察 の の ち, 洗 浄 し て 固 定 し, ギ ム ザ 染 色 した. な
(Avitene(R), ゼ リ ア 新 薬 工 業), 綿 状 コ ラ ー ゲ ン (Inte- お, 止 血 材 を入 れ な いで 細 胞 培 養 を行 った もの を対 照 と し

gran(R), 日本 臓 器 製 薬) の4種 類 を用 い た. た.
 384 日本 心 臓 血 管 外 科 学 会 雑 誌 33巻6号 (2004)

図4 止血 材 重層 後細 胞培 養終 了時
Spongel (a, b), Avitene (c, a), Integran (e, f), Control (g, h) (original magnification, a, c, e, g: ×2, b, d, f, h: ×5, ギ ム ザ 染 色).

図5 RECモ デ ル に よ る組 織 反 応 の観 察
Surgicel (a-e), Spongel (f-j), Avitene (k-o), Integran (p-t) (bar: 1mm).
 冨 澤康 子 ほか: 止血材 の細 胞毒 性 と組織 親和 性 385

3) 組 織 治 癒: ウ サ ギ 耳 介 に 観 察 窓 を 作 製 す る rabbit 示 した2)と 報 告 した が, 同 実 験 で は 同 時 に宿 主 細 胞 へ の 影
ear chamber (REC) モ デ ル4)を 用 い た. REC内 に, Sur- 響 は検 討 され なか っ た. 翌 年, 彼 ら は酸 化 セ ル ロ ー ス 使 用

gicel 5∼8mg (n=12), Spongel は厚 さ150∼200μm, 直 後 の感 染 抵 抗 性 は酸 性 のpHが 細 菌 に とっ て 致 死 的 で あ っ

径6mm 0.3∼0.4mg (n=6), Avitene 0.5mg (n=6), た こ と を明 らか に した7). 実 験 的 に Surgicel, Gelfoam お
Integran 0.5mg (n=12) を chamber 内 に入 れ 毎 週1回5 よ び bone wax を ヘパ リン加 血 液, 血 漿, 血 清 に加 え た と

週 間 後 まで 観 察 し, 撮 影 した5). な お 動 物 実 験 は 東 京 女 子 き, Surgicel の みが す べ て のpHを 著 明 に低 下 さ せ た8)と

医 科 大 学 倫 理 委 員 会 の 許 可 を受 け,「 動 物 実 験 に 関 す る指 報 告 さ れ て お り, 本 研 究 で も 同様 に Surgicel を加 え た 培
針 」6)に従 っ た. 養 液 のpHが 低 下 し, さ ら に Surgicel を入 れ た 培 地 で 線
維 芽 細 胞 数 の減 少 を観 察 し た. も ち ろ ん止 血 材 に よ り酸 性
結 果
に傾 い たpHは 組 織 液 を介 し て周 辺 組 織 に影 響 す る. 使 用
1. 培 地 のpH す る止 血 材 に創 傷 治 癒 に働 く宿 主 細 胞 が 生 存 で き な い ほ ど
イ ンキ ュベ ー ト前 の培 養 液 の み の シ ャー レ はpH7.5で の細 胞 毒 性 が あ って は な らな い と考 え て い る.
あ っ た. 1時 間 後 に は 各 試 料 差 は な く7.8∼8.0で あった 局 所 止 血 材 は 自重 よ り数倍 の 量 の水 分 を吸 収 す る. 綿状
が, 72時 間 後 に は Surgicel の 培 地 の み が7.2, ほか の止 コラ ー ゲ ン製 止 血 材 は 自重 の32倍, Avitene は12倍, 酸
血 材 お よび 対 照 は7.7∼7.8で あ っ た (図1). 化 セ ル ロー ス は7倍 の 生 理 食 塩 水 を 吸 収 し た9). Surgicel
2. 細 胞への影響 使 用 症 例 に お け る術 後48時 間 の 視 覚 障 害10), Blalock-
止 血 材 重 層 前 に 比 べ て, 培 養1日 後 に は Surgicel 本 体 Taussig シ ャ ン ト後 の対 麻 痺11), お よ び 開 胸 手 術 後 の 急 性
お よ び周 囲 の培 養 液 が 黄 色 く変 化 した. また 止 血 材 の周 囲 期 か ら亜 急 性 期 にか け て の対 麻 痺12,13)では止 血 に 関与 し て
の 細 胞 が 剥 離 ・脱 落 し (図2a, b), 2日 後 に は そ の 範 囲 い な い止 血 材 が 浸 出液 を吸 収 膨 潤 し, 圧 迫 し た り, 移 動 し
が 拡 大 した. さ ら に5日 後 に は止 血 材 が置 か れ て い た場 所 た 可 能 性 が示 唆 され て い る. 実 際, 摘 出標 本 に て赤 血 球 が
の細 胞 密 度 が 低 下 し て い た (図2e, f). Surgicel 以 外 で ほ とん ど含 ま れ な い 膨 潤 した Surgicel 繊 維 が 観 察 さ れ て
は培 養 開 始 時 か ら終 了 時 まで, 止 血 材 の形 状 の 変 化 お よ び い る11). 創 腔 また は組 織 間 隙 の止 血 後, 余 分 な 止 血 材 を除

細 胞 の 剥 離 ・脱 落 な ど の変 化 はな か っ た. 培 養 終 了 後 にギ 去 し, 膨 潤 に よ る合 併 症 を回 避 す る べ き と考 え る.
ム ザ 染 色 す る と, Surgicel で は 止 血 材 周 囲 の 細 胞 剥 離 お 術 後 にCTス キ ャ ン, angio-NMRお よび超音 波 エ コー
よ び 細 胞 密 度 の 低 下 が 観 察 さ れ た (図3). ほか の止血 材 検 査 で も留 置 され た局 所 止 血 材 は腫 瘍 や 膿 瘍 と鑑 別 診 断 を
で は止 血 材 周 囲 の乾 燥 時 の止 血 材 収 縮 に伴 う機 械 的 な 剥 離 つ け に くい14∼18).中 心 部 に ガ ス が 貯 留 し て い て 術 後 膿 瘍
が 観 察 され た もの の, 止 血 材 と直 接 接 触 し なか っ た部 位 で に類 似14∼16),胸 部 大 動 脈 の壁 内血 腫 と類 似17)し て い た 報
の変 化 は認 め られ な か っ た (図4a∼f). 対 照 で は細 胞 密 告 が あ る. また 周 囲 に貯 留 液 が あ り超 音 波 エ コー検 査 で も
度 の低 下 は み られ な か っ た. 膿 瘍 との 鑑 別 診 断 は 困 難 で あ っ た18). 動 物 実 験 に お い て
3. 組 織 治 癒 Gelfoam は完 全 に 吸収 さ れ, 完 全 な 治 癒 が 観 察 され た が,
Surgicel の1週 間 後 に は 周 囲 を 含 め 炎 症 反 応 が 強 く, bonewax は 骨 再 生 を妨 げ, Surgicel は 炎 症 の 原 因 に な
chamber 内 だ け で な く外 側 ま で 浸 出 液 が 広 が っ て い た り, 修 復 を著 明 に遅 延 させ た19). 良 好 な創 傷 治 癒 を得 る た
(図5a). 2週 間後 に はREC内 に 血 管 侵 入 を認 めた もの の め に止 血 に関 係 し て い な い 不 必 要 な 止 血 材 の留 置 を避 け,
止 血 材 が 溶 解 し た の ち に 残 渣 が 観 察 さ れ た (図5b). 余 分 の止 血 材 を注 意 深 く除 去 す る こ とが 勧 め られ る.
3∼5週 間 後 に もREC内 お よび 周 囲 組 織 に浸 出液 お よび 残 止 血 材 を異 物 と した術 後 の 肉芽 腫 形 成, な か で も酸 化 セ
渣 が 認 め られ た (図5c, d). 5週 間 後 に も浸 出 液 の 中 に ル ロー ス を留 置 した あ との 合 併 症 が 多 数 報 告 され て い る.
残 渣 が あ り, REC内 の 血 管 は 完 成 せ ず, 周 囲 の 結 合 組 織 心,臓 外 科 領 域 で は, 弁 置 換 術 後1年 目 に Surgicel が チ ー
内 の細 小 血 管 が 減 少 し て い た (図5e). Avitene で は5週 ズ 状 に残 存20), 大 動 脈 弁 置 換 術 後2年7カ 月 で 黄 褐 色 の異
間 後 に 残 渣 は あ っ て も 周 囲 の 血 管 数 は 減 少 せ ず (図 物 に起 因 した 肉芽 腫 形 成21)な ど の 報 告 が あ りい ず れ も病
5o), ほ か の2種 類 で は 浸 出 液 を伴 った 残 渣 は観 察 し な 理 学 的検 討 が な さ れ て い る. わ れ わ れ は術 後6カ 月 目 の造
か っ た (図5j, t). 影 で 冠 動 脈 バ イ パ ス グ ラ フ トに90%狭 窄 を きた し, く り
返 すPTCAで も 同 じ 部 位 に 高 度 の 狭 窄 を く り返 し た 症
考 案
例22)を 経 験 した. こ の 症 例 は6年 後 に再 手 術 とな り, 狭
局 所 止 血 材 に 「抗 感 染 性 」 を期 待 して も, 選 択 的 に細 菌 窄 した グ ラ フ ト周 囲 の 結 合 組 織 内 の異 形 巨細 胞 内 に酸 化 セ
の み に作 用 させ る こ と は難 し く, 抗 菌 剤 の代 用 に は な らな ル ロ ー ス の繊 維 を観 察 し, グ ラ フ ト自体 の病 変 で は な く周
い. Dineen は 試 料 が in vitro で10種 類 の菌 に 抗 菌 作 用 を 囲 か らの 肉芽 腫 の 圧 迫 に よ る狭 窄 と診 断 した. 使 用 した 止
 386 日本 心 臓 血 管 外 科 学 会 雑 誌 33巻6号 (2004)

血 材 は完 全 に吸 収 さ れ ず に残 留 した場 合 に弊 害 を起 こす可 Effects of hemostatic agents on the pH of body fluids.

J. Endod. 12: 289-292, 1986.
能 性 が あ る こ とを認 識 した.
9) 冨 澤 康 子, 野 一 色 泰 晴, 遠 藤 真 弘 ほ か: 綿 状 コ ラ ー ゲ ン製 止
酸 化 セ ル ロ ー ス は体 内 で 速 や か に 溶 解 す る と され て い 血 材 の 吸 血 性, 止 血 性 及 び 純 度 の 評 価. 胸 部 外 科49: 126-
る23)が, 溶 解 の速 度 は使 用 部 位 お よ び 使 用 量, 使 用 さ れ 129, 1996.
10) Dutton, J. J., Tse, D. T. and Anderson, R. L.: Compres-
た環 境, 周 囲 の血 流 量 な どの条 件 に よ っ て異 な る. 本 研 究
sive optic neuropathy following use of intracranial oxi-
に お い て Spongel は溶 解 後 も治 癒 は 阻 害 さ れ な か っ た が, dized cellulose hemostat. Ophthalmic Surg. 14: 487-490,
1983.
Surgicelで は5週 間後 で さ え浸 出 液 を 伴 っ た 残 渣 が あ り,
11) Brodbelt, A. R., Miles, J. B., Foy, P. M. et al.: Intra-
REC周 囲 の 結 合 組 織 内 の 血 管 が 減 少 し て い た こ とか ら, spinal oxidised cellulose (Surgicel) causing delayed para-
残 渣 に な っ て も組 織 傷 害 性 が 残 存 して い た 可 能 性 が 示 唆 plegia after thoracotomy-a report of three cases. Ann.
R. Coll. Surg. Engl. 84: 97-99, 2002.
さ れ た. また, 動 物 実 験 に て 植 え込 み後 の 変 化 を評 価 す 12) Iwabuchi, S., Koike, K., Okabe, T. et al.: Iatrogenic
る 場 合, 使 用 す る 量 は 臨 床 に比 べ て 少 な い傾 向 に あ り, paraplegia caused by surgicel used for hemostasis during
a thoracotomy: report of a case. Surg. Today 27: 969-
Alpaslan ら は1cm四 方 の Surgicel を ラ ッ ト皮 下 に植 え
970, 1997.
込 ん だ が36日 後 に残 留 し て お り24),本 研 究 で は Alpaslan 13) Lovstad, R. Z., Steen, P. A. and Forsman, M.: Para-
らの 約1/8と きわ め て 少 量 に もか か わ らず, 5週 間 後 に 残 plegia after thoracotomy-not caused by the epidural
catheter. Acta Anaesthesiol. Scand. 43: 230-232, 1999.
渣 が認 め られ た. す な わ ち, 速 や か に溶 解 す る可 吸 収 性 局 14) Young, S. T., Paulson, E. K., McCann, R. L. et al.:
所 止 血 材 が, 常 に 速 や か に 吸収 され る わ けで は な い こ とが Appearance of oxidized cellulose (Surgicel) on postoper-
ative CT scans: similarity to postoperative abscess.
示 唆 され た.
Am. J. Roentgenol. 160: 275-277, 1993.
15) Turley, B. R., Taupmann, R. E. and Johnson, P. L.:
結 語 Postoperative abscess mimicked by Surgicel. Abdom.
Imaging 19: 345-346, 1994.
多 用 し て い る市販 の 止 血 材 の なか に は 少 量 で も細 胞 の 増 16) O'Connor, A. R., Coakley, F. V., Meng, M. V. et al.:
殖 を抑 え, 創 傷 治 癒 を遅 延 させ る可 能 性 が あ る製 品 が あ る Imaging of retained surgical sponges in the abdomen and
こ とが 明 らか に な った. 止 血 効 果 以 外 に 止 血 後 の創 傷 治 癒 pelvis. Am. J. Roentgenol. 180: 481-489, 2003.
17) Patane, F., Zingarelli, E., Verzini, A. et al.: Complica-
に及 ぼ す 影 響 を も考 慮 し て 止 血 材 を 選 択 す るべ き と考 え tion due to excessive use of Surgicel(R). Eur. J. Cardio-
る. 通 常 は著 明 な 組 織 反 応 を起 こす こ とな く吸 収 さ れ る と thorac. Surg. 20: 1034, 2001.
18) Melamed, J. W., Paulson, E. K. and Kliewer, M. A.:
い わ れ て い る局 所 止 血 材 で も あ っ て も, な るべ く留 置 す る
Sonographic appearance of oxidized cellulose (Sur-
量 を減 らす こ とが 好 ま しい. gicel): pitfall in the diagnosis of postoperative abscess.
J. Ultrasound Med. 14: 27-30, 1995.
文 献 19) Ibarrola, J. L., Bjorenson, J. E., Austin, B. P. et al.:
Osseous reactions to three hemostatic agents. J. Endod.
1) 冨澤康 子, 小 森万 希子, 高 田勝 美 ほか: コラー ゲ ン製 止血 材
11: 75-83, 1985.
の生体 顕 微鏡 に よ る評 価: 組織 親 和性 及 び吸 収性. 日心 外
20) Ibrahim, M. F., Aps, C. and Young, C. P.: A foreign body
会 誌32: 17-22, 2003.
reaction to Surgicel mimicking an abscess following
2) Dineen, P.: Antibacterial activity of oxidized regenerat-
cardiac surgery. Eur. J. Cardio-thorac. Surg. 22: 489-
ed cellulose. Surg. Gynecol. Obstet. 142: 481-486, 1976.
490, 2002.
3) Scher, K. S. and Coil, J. A., Jr.: Effects of oxidized
21) 猪 狩 次 雄, 岩 谷 文 夫, 阿 部 俊 文 ほ か: 弁 置 換 術 時 に形 成 さ れ
cellulose and microfibrillar collagen on infection. Sur-
た と考 え られ る 異 物 性 肉 芽 腫 の1例. 胸 部 外 科43: 550-
gery 91: 301-304, 1982. 552, 1990.
4) 浅 野 牧 茂, 吉 田 敬 一, 田 多 井 吉 之 介: Rabbit ear chamber
22) 冨 澤 康 子, 遠 藤 真 弘, 北 村 昌也 ほ か: 局 所 止 血 材 料 に よ り冠
に よ る微 細 循 環 動 態 の 研 究 法 に つ い て. 生 体 の 科 学13:
動 脈 バ イ パ ス グ ラ フ トに 狭 窄 を 来 し た と思 わ れ る1症 例.
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胸 部 外 科44: 764-766, 1991.
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23) Frantz, V. K.: Absorbable cotton, paper and gauze.
察. 呼 と循51: 507-510, 2003.
Ann. Surg. 118: 116-126, 1943.
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24) Alpaslan, C., Alpaslan, G. H. and Oygur, T.: Tissue
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reaction to three subcutaneously implanted local hemo-
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1997.
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8) Bjorenson, J. E., Grove, H. F., List, M. G., Sr. et al.: