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北九州市立

飛幡中学校吹奏楽部
心のしおり
〜みんなでひとつ〜
はじめに

飛幡中学校吹奏楽部は、皆さんが生まれる前から活動を続けているバンドです。そこにはたくさん
の人たちの夢と勇気、汗や涙、なかには挫折も存在し続けたであろうことを、まず想像してみてくだ
さい。団体に所属する、真の仲間がいるという本当の意味、歴史の上の先輩たちの想いや気持ちを
汲むということ・・・
たくさんの卒業生と、先生方や保護者の方々、地域の皆さんの存在があって、初めて現在の私たち
の存在があります。(例えば、楽器一本、楽譜一枚にしてもそうです。今というこの瞬間、私と皆さん
の出逢いにしてもそうなのです。)
顧問と部員が、あるいは部員と部員が、尊敬しあって活動をするには、この吹奏楽部の全部員が、
良き伝統は大事に育てうまく引き継ぎ、悪しき習慣や低い意識は自ら切り捨て、さらに伸びることを
追い求める雰囲気を作り続けていかないとならないのです。
また、音楽そのものについてゆっくり考えを深めてください。どうでしょう、音楽はなぜ存在するのか 、
なんのためにあるのか、考えてみたことがありますか?自分なりの答えを見つけ、持とうとしています
か?
この「心のしおり ~みんなでひとつ~ 」は、そんな願いを込めて作りました。人を考え、自分を創るこ
とが、活動の原点になって欲しいと私は考えます。
静かに落ち着いて、現在の自分を見つめながら、読んでください。この一冊のしおりは、いつでも皆
さんのそばから離さず、絶えず読み返し、本校吹奏楽部の活動の指針として欲しいと思います。また
保護者や顧問もこれを読むことで、生きていくうえでの初心を見つめ直していければ、と願っていま
す。

令和 4 年 5 月 12 日
北九州市立飛幡中学校吹奏楽部 池田祐介
1. まずは本物の中学生、プロの中学生に

立派な演奏ができる前に、何よりもまず「しっかりとした飛幡中学校の生徒」であってください。
この部は、ただ趣味が同じ人たちの集まりでもなければ、仲良しクラブや同好会でもありません。か
といって、専門家になるための養成所でもありません。もちろん、勉強の妨げになる単なる暇つぶし
集団でもありません。「より高い人格を作る」「より感動ある生き方を探す」という目的の、いわば「自
分を修行させてくれるための道場」といえる場所です。ここがとても大切です。
クラスにいるときも、登下校のときも、もしくは家庭でも「飛幡中学校の生徒であり、吹奏楽部のメン
バーなんだ。先生方の教え子なんだ」という自覚と誇りを持って生活してください。
今現在のところはいませんが、部活だけ頑張る、やる気のある時だけ頑張る、合奏だけ頑張る、先生
のいる時には頑張る、そんな部員が絶対に出てこないことを願います。

2. 礼儀と温かさ、そして気配りを

第一には、言葉づかいと表情です。言葉はその人の全人格を表現します。乱暴な言葉を使ってそれ
が親しさだと勘違いしたり、敬語を使えない、あるいは形だけの人がいたりしてはいけません。 個人
練習・パート練習の時でも、どの先生やどのお客さんにも、軽くにこやかに「会釈」をするか、「こんに
ちは!」と明るく元気にあいさつしましょう。
また、自分が知らない人もすべて関係者なわけですから、相手の立場に立って、気配りできて当然
の人であってください。音楽をする人は、人の心を解放するのが仕事です。
だらしのない乱れた空気や、無関心な冷めた空気、向上心を感じぬ後ろ向きな空気ではなく、礼儀
正しい温かい空気をみんなの力で築いてください。
そして、そのみんなの作ったレベルが落ちる前、自分たちで声かけしあうと絶対に雰囲気は落ちま
せん。
明るい返事とあいさつは、長い時間をかけて行うミーティングよりも効果的であることが多く、また、
心からの「理解」と「やる気」と「まごころ」がなければできないものです。今、この瞬間から、心を込
めて空気を動かす人を目指しましょう。
3. 勉強を後回しにせず、両立させる努力を

練習のために勉強ができない、宿題が間に合わない、成績が下がったから塾に行かないと、という
人は、もう一度考え直してみてください。どこかで無駄な時間を使っていませんか?何かのせいにす
る、言い訳が癖になっていませんか?
ご飯の後、テレビにかじりついたままとか、平日なのにマンガをダラダラ読みふけっていませんか?
友達と長電話やメールで愚痴のこぼしあいをしていませんか?パソコンばかりいじったり、鏡ばかり
見たり、自分の時間というものを勘違いしている人はいませんか?それなのに、家の手伝いもせず、
自分は忙しいからと、お家の人に家政婦感覚で頼り切っている人はいないでしょうか?
毎時間の授業に全力で臨み、一生懸命先生の話を聞き、その日のうちに復習をし、問題練習のめ
どをつけるくらいまではできるはずです。そう、自分なりに・・
要は「向上心と厳しさ」です。楽して勉強できる方法があると思い始めていませんか?
塾についても、授業を真剣に自分のものにしていれば特に必要とは思いません。逆に学校の授業を
マスターするための時間確保が難しくなり、与えられればそれだけはやるが、自分の問題に正面か
ら向かおうとする「本当の学習能力」は衰えていくのを覚悟で、学校の勉強の他にまだやる気が
あって、生活サイクルなど時間調整もうまくでき、他人には迷惑をかけない・・ という人は別ですが。
削れないものは何、削れるものは何、という判断力と実行力が必要です。家族の中でも別行動、別
意識が要求されているのです。それが、大人になるということだと、私は思います。
この学校で一番目標が高いのなら、一番このことを実践できていないとおかしいわけです。
さらに言わせてもらうと、みんな誰だって形や方向が違うけれども、何かしら頑張っているのです。見
えないだけなんです。努力は見せなくていいし、その見えない努力をそれぞれ想像するから尊いの
です。
家族に信頼され、応援してもらいたいのなら、また、本当に良い演奏をしたいのなら、真剣に勉強し
てください。九州大会や全国大会に行く中学生って、このことを本気で実践した子たちの集団なの
です。だから「夢」に相応しいのです。夢は実現するためにあるのです。
夢は夢にあらず・・ 楽器は接して吹いた分だけ正直に応えてくれます。

4. 何事も素直な態度で

病気の時、悩んでいる時、いくら良い音を出そうとしても出るものではありません。音はその時の健
康状態、心理状態をそのまま表現してしまう恐るべき部分を持っています。
逆に、自分の性格というのも、中学生の時期、変えることができます。「人格完成の時期」という言葉
もあるくらい、中学時代は豊かな感性と恵まれた人間関係さえあれば、自分のいやな部分は減らし 、
「こんな人になりたい」という理想に近づくことができるチャンスの時期なのです。
なによりもまず、顧問や役員の部員に素直についてきてください。それができたら、次は、共に学び
あっていきましょう。先生、上級生、同級生、もしくは卒業生や保護者、楽器屋さんと人を問わず、注
意されたら、素直に受け入れてください。それができる人は演奏の上達も早く、人から信頼され、逆
にわがままで、人を許すことができない、我慢ができない、現実から逃げようとする、集団に隠れよう
とする、そんな面の強い人は合奏にもとけ込めず、人からも信頼されません。ですから、合奏やアン
サンブルの楽しさをなかなか味わえません。
弱い部分、醜い部分というものは、みんな持っているのですが、それを出さないための、克服するた
めの努力をしていれば大丈夫です。周りには必ず伝わります。
学校でも家でも素直になれるよう、練習あるのみです。自分に少しでも悪いところがあると気づいた
ら、すぐに謝りましょう。その心がけや考え癖は演奏にすぐ出るし、パートや後輩に良くも悪くも伝染
します。若いうちに人に揉まれることが財産なのです。
『耳で聞く、目で聞く、心で聞く。』

5. 相手に合わせるのがアンサンブル

どんな時でも相手の立場や気持ちになって話し合ってください。たくさんたくさん話し合ってくださ
い。話し合った後には、納得して従いましょう。怒ることは易しいけれども、我慢することは本当に難
しいことです。また、その逆の場合もあって、言ってあげる勇気が必要な場合もたまにあります。自分
中心の考え方、あるいは傷つくことを恐れた人間関係、そんなみずくさい人間関係の下では本物の
音楽を楽しむ集団にはなれません。
また、話し合う時の場所や時間、スタイルも、相手に威圧感や不安感を与えてしまったり、一方的な
批判だけでは前進しません。いつも相手の身になって「もし、自分だったら」と考えながら「和」を
作っていきましょう。
お客さんは、演奏する人たちの音ばかりでなく、人間関係を楽しみに聞いてくれるのです。部員と部
員、部員と先生、お互いに作ろうとしないと一方通行や「待ち」だけの姿勢は駄目ということです。
「教わろう」という気持ち、「他の人の良い所を真似してみよう」という考え方のバランスです。『相手
に言われたことを素直に聞ける。』 『自分の言ったことを相手に素直に聞いてもらえる。』

6. 正しいグループと変なグループ

この部は、横のつながり(学年)と縦のつながり(パート)とがしっかり組み合わされたときに、初めて
集団としての機能性(力)を発揮します。上級生やパートリーダーを中心としたチームワークやパート
作り、しかし、その一方で 上下関係なくなんでも言い合える人間関係づくりの両方が必要とされて
います。また、学年が上がるにつれ、楽器の技術は当然のこと、人としての人間性や統率力、まとめ
る力や困難に向かっていく勇気、後輩を思いやる優しさ、そして何よりも人間としての誠意や情熱が
問われることになります。
チームワークにどこか一つでも乱れが生じると、音色や奏法が不揃いになり、同じレベルで練習で
きなくなり、同じことを何回も言わせてしまい、何より「心を一つにした一糸乱れぬ」演奏ができなく
なります。パートがまとまらないと、合奏はなおさらです。
小さなグループを作って、別行動を取ったり、気のあった人たちだけでグチをこぼしあったり、特定
の男子や女子と個人的に閉ざされたつきあいをすることは、その大事なチームワークを作る上で非
常に大きな妨げになります。
なぜ、このようなことが部内にあると困るのでしょうか?太陽の日射しの後ろの影のように、自分のこ
としか考えない行動の後ろには、必ずそのことで苦しむ人やねたむ人、悲しむ人を生むからなので
す。男子・女子の区別なく、仲間を公平に見ること、誰とでも話し合えること、外見ではわからない、
その人の本当にいい部分を見つけようとすることこそが、素晴らしいバンドづくりの秘訣なのです。
チームワークの取れないバンドは、一人一人の音色がどんなに良くても、または必死にそれぞれが
努力したとしても、良いものとはなりません。
皆さんで正しいグループを目指してほしいです。

7. 練習は頭を使って効率的に

ただ音を出しているだけの練習はかえってマイナスです。考えないで吹く、イメージせずに鳴らす、と
りあえず叩く・・ どんどん耳も心も悪い音を許してしまう人間が出来上がってしまうのです。
どんな人が(たとえば楽器をやっていない人でも)見ても、「あ、こんな練習をしたいんだな!」とわか
るような内容が理想です。
毎日の短い練習時間をどのように効率的に使うかによって、その人の進歩の度合いが決定されま
す。今日は何から始め、何分くらいしたら何に進み・・ 練習場へ来る前、楽器ケースを開ける時、考
えておくべきことを端折ると、自分のための練習はできません。ちなみに、このことはそっくりそのま
ま勉強法にも当てはまります。ひいては大げさでなく、生き方そのものに当てはまります。
そして、ある種の「野心」が必要です。「こうなるんだ、こうしていくんだ・・」という自分の中の望みの
ことです。

8. 楽器や楽譜を大切に

皆さんがもし、ケガをしたら、もちろん痛いでしょうし、大騒ぎで手当をするでしょう。人間は痛いとこ
ろや具合の悪さを誰かに伝えることができます。しかし、楽器はものが言えません。どんなに忙しくて
も、日頃から愛情を注いでおかないと、いざというときに楽器は期待に応えてくれません。 0.01 ミリ
でも狂うと、音が鳴らない、そんなデリケートなものなのです。どんな楽器だろうが、親身になって大
事にすることで、楽器に生命が吹き込まれるのです。何十万円、モノによっては 100 万、200 万円を
超える高価なモノを使わせてもらっているということを再認識してください。
もちろん、楽器だけではありません。楽譜も皆さんの身体の一部と考えて、書き込みもどんどんして、
自分のものにしていくのです。そう考えると、鉛筆 1 本、リード 1 枚すべて音楽をする人間にとっては、
素敵なパートナーであり、仲間なのです。
是非皆さんには大切にしてもらいたいです。

9. 身体のコンディション作りの持つ意味
どんなに頑張りたくても、身体が弱かったり、いつもどこかの調子が悪くては、踏ん張りのきかない
人でしょう。特にリズムの不安定な人ほど、情緒も不安定になりがちです。
中学生の時期は心も体も調子の変わる時期、成長に伴うアンバランスも見られる時期です。それは 、
決して自分だけではないのですが、心を開く相手が少ない人はついつい、ため込んでしまいます。そ
して落ち込む必要のない部分に勝手に落ち込んだり、心の病気になったりしてしまいます。少しで
も異常があったら、すぐに申し出ること。堂々と休んで、一日も早く元気になり、また練習に復帰すれ
ばいいのです。普段、熱心に練習に取り組む人、休み癖や怠け癖がない人であれば、なんの心配も
いりません。
しかし我々、合奏で表現する人間というのは、悪気がなくても「いない」というだけで迷惑をかけるこ
ともあります。できるだけ、健康に留意して元気を維持するというのも、集団に属する上において、大
きなテーマと言えます。

10. 行き詰まったら勇気を持って初心に戻れ

苦しい時、つらい時、悲しい時、いやになってやめてしまおうと思った時、想像してみてください。初め
て楽器を手にした時のこと、初めて拍手をもらった時のこと、初めて先生や仲間から褒められた時
のこと、そして初めて「先輩」と呼ばれた時のこと・・
そして、これからさらに大きなステージ、栄光のステージに向かっていくのです。
他人の生活がうらやましいと思った時は、いろんな角度から自分の気持ちを思いだしてみてくださ
い。きっと成長した自分に気づくはずです。そして何よりも、困った時こそ「仲間」の存在が見えてく
るはずです。
ホントにいい音、いいハーモニーを出す時間を持った子は、音楽を、練習を絶対にやめません。そん
な、ちっちゃいものじゃないし、こだわってもっとやります。全国大会に行く先生や子どもたちは、なま
じっかな、ただの努力ではやっていないです。これだけギスギスした世の中で、学校も社会も大変な
時、そういう時代に何人かが集まって、一つ心に響くものを作ろうというのは、やはり素晴らしい世
界だと思います。
一回でいいから、若いうちに「これだ!」って努力をして欲しいのです。人の中で大いに揉まれて欲し
いのです。
「やればできる」「自分は今の自分が好きだ」、こういう、お金では絶対に手に入れられないものを
追い求めるのが「若さ」だと思います。本当に今しかできない貴重な体験なのです。それをコンサー
トとコンクールという、いろんなステージで表現し続ける、それが吹奏楽部の醍醐味だと思うのです。

11. 飛幡中学校吹奏楽部の宝物

うちの部の宝物はズバリ「人」です。楽器でもなく、過去の成績でもなく、華やかなステージでもなく 、
ずばり、「人の存在」が私どもの宝物です。ですから、上級生は下級生を、下級生は上級生を、部員
は先生を、先生は部員を、もちろん同級生同士、同じパートのメンバー同士、「人の生き方」「人間関
係の結び方」を大切に見つめ合いましょう。

そして、最後に

以上は、特別の規則でもなければ、非常に実行不可能なことでもありません。誰にでも出来ること
かと思います。
飛幡中学校吹奏楽部の一員ならば、これらのことは守ってもらいたいですし、また全員が本当にで
きなければ意味を持ちません。
部活では良い部員であり、クラスでは良きクラスの一員であり、家庭ではどんな疲れていても良き
家族の一員・・ 茶碗を運ぶとか、洗濯物をたたむとか、なによりも思いやりある一言が自然に言え
る・・ 部活で学んだことを再現し、ぜひ、本物にしていってください。
「厳しさと優しさのバランス、素直さと負けん気のバランス」すべて人間の人格は調和が取れない
と不安定なものなのです。
本物の練習を通じ、一生の宝物となるような活動をしましょう。結果や人の評価は後から正直につ
いてきます。音楽を通じ、世の中を考え、そして自分の周りを明るくするのが私たちの任務であり、や
りがいです。
私も頑張ります。保護者会も頑張っています。透き通って明るい、涙が出そう、そんな最高の飛幡サ
ウンド、飛幡中ワールドを、ここにいるみんなで作り上げましょう!生徒と先生の手作りのみで、どこま
でできるか試して証明していきましょう。
そして、そのことを通じ、「人を愛するということ」、「所属する仲間を愛し続けるということ」、結果、
「自分を好きであるということ」を肌で感じていって欲しいと強く願っています。
吹奏楽抱負
磨こう 音を 自分を 音楽を

吹奏楽三ヶ条
一、 礼節を重んじる
一、 時間厳守
一、 基本練習の徹底

努力目標
一、 勉学に励む
一、 規律を守る

ほうれんそう
報告・連絡・相談

舞台の四ヶ条
一、 走らない
一、 観客席におしりを向けない
一、 笑顔
一、 姿勢

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