日本とアメリカにおける笑いの比較文化

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日本とアメリカにおける

笑いの比較文化
獨協大学国際教養学部3年 福永 啓佑
研究動機
・日本とアメリカでの比較文化学をやりたい。
・日本はアメリカから受容した文化が多く存在する。
ex.衣食住、ジャズ、ロックなどの音楽文化など
・文化が混ざる現在でも混ざらないものがあると思う
→「笑い」という文化。国によって笑いの価値観や感性などが
異なるはず。
この比較を通して国民性の違いや共通項が見えるかもしれない
そもそも笑いとは
・笑いの起源について

アリストテレス…ヒトのみが笑うことができる「ヒトは笑う動物」
ダーウイン…ヒトだけが笑うのではない。
類人猿の「安全のサイン」の笑い↓
ヒトや類人猿の笑いの根源には、危険や危機が去ったとき緊張から
解放された筋肉と精神のゆるみがある。

危険や危機に直面したときの経験が笑いと深く関係する
そもそも笑いとは
• 笑いの原因への知識人の見解
〇笑いの本質は他人を軽蔑し見下すことから生ずる快感、
優越感にある
↑アリストテレス、ホッブズ

〇緊張したものが突然無に変わるときに、過度の緊張から
解放されて笑いが生ずる
↑カント、ショーペンハウエル
日本における笑いの文化
・笑いを神に捧げている日本
↳落語、狂言、笑い神事、笑い祭りなど

・生真面目でユーモアのセンスがない民族というイメージ
西欧社会とは異なる笑いの文化を築いてきた

・日本で初めて笑いについて研究した柳田国男
おこ
→「烏滸なる者」に注目
おこ

烏滸なる者
• 辞書での意味→「愚かなこと、ばか、たわけ」
• 柳田の捉える意味は「進んで人を笑わせ、楽しませるものであり、
さらには神を笑わせるもの」
• 古い日本の笑いは人を笑わすためではなく、笑いを神に捧げる。
⇒平安をもたらすためこの役割を担うのが「烏滸なる者」。

• 烏滸なる者の特徴
①神とのコミュニケーションの媒介者のため、見えないものを感じ
取れ、神の音が聴ける
②非攻撃的、非好戦的、非暴力的
③「犠牲」の上に成り立つ「道化」の力をもつ人間
神事としての笑いから芸能としての笑いへ
・経済、金の影響
共同体で行われていた神事の笑いは経済、金が絡み世俗化。
芸能としての笑いへ変化する。
・富のある者が開く宴会
⇒「座敷に上がれる客」と「上がれぬ客」の区別
・烏滸なる者は消え、笑いの職業化へ
「抵抗」する「おどけ」と「忍従」する「もどき(ものまね)」が
末裔として残る→ 狂言師や落語家へ
「おどけ」…支配に抵抗し、やたらにしゃべって抵抗する
「もどき」…支配に忍従し、相手の言葉を繰り返す
現在の漫才だとおどけがツッコミ、もどきがボケにあたる。
日本の笑いの形式、特徴
• 「おどけ」と「もどき」(ツッコミとボケの漫才)
• もどき(モノマネ、狂言)など
• チームプレーで完成させる笑い

特徴
・滑稽さでの笑い
・人の死を笑いのネタにする(アメリカではない)
・政治ネタ、性的なネタ、田舎者のネタなどは規制されがち
・非暴力的
アメリカにおける笑いの文化
〇形式
・シットコム(シチュエーションコメディ)
コメディドラマ、一話完結型
主要な登場人物はほぼ一定。メンバーがたまに変化したり、ゲスト
が登場したりすることがある。主要な舞台が固定されている
設定のもとで、毎回事件が起きるなどして生じるコミカルな
状況が描かれる。
実際のスタジオに観客を入れ、観客の笑い声や拍手を収録し、
編集する「ラフトラック」という音響効果技法が多く採用されて
いる。
アメリカにおける笑いの文化
〇形式
・スタンダップ・コメディ
日本で言うならば漫談。通常1人で立って、客を笑わせる話をする。
戦後のテレビが盛んになったころからスタンダップ・コメディが
主流となってきた。
活動の場は昔はミュージック・ホール。戦後のテレビ、ラジオに
同調するようにうまれたコメディ・クラブがミュージックホールの
減少を促す。
アメリカの笑いの特徴
ジョークのタイプ分析
①人種ジョーク
すべての民族に関するジョークがある。他人のことを笑い、自分の
ことも笑う。黒人でありながら黒人侮辱のジョークをすることもある。
②セックス・ジョーク
性的なネタ
③政治ジョーク
政府の無能ぶりや共産圏をからかったりするのが主流。
④宗教ジョーク
キリストとローマ法王に関するジョークが圧倒的に多い。
⑤言葉遊び(ダジャレ)ジョーク
⑥残酷ジョーク
アメリカでは尊敬されている度合いと、その人についてのジョークの
数は比例するという。老人をネタにしたり。
アメリカの笑いの特徴
・笑いの攻撃性
政治、人種、田舎者のネタなど人を傷つける可能性のある
ネタを笑いにする。

・政治家が面白い
アメリカでは政治家自身が面白い。アメリカでは、冗談を言う
ことができなければ、活動していけない。
(パトリック・ハーラン氏)
2つの笑いを比べて
・日本では笑いの場をまじめな場と分けている。
笑いにおいてもアメリカの自由さ、日本の周りを気に掛ける
意識が伺える

・アメリカは攻撃的な笑い、日本は非攻撃的な笑い

・大衆の前で自分を滑稽に見せる犠牲の笑いは日本だけのもの
ではなく、アメリカのジョークでも見受けられる
参考文献
笑いの発生メカニズム 柴原直樹 近畿福祉大学紀要
笑いの日本文化 樋口和憲
スタンダップ・コメディの勉強 高平哲郎
Logmi「まず名刺を配って」マルチタレント・パックンのキャリ
アを支えた日本の慣習 http://logmi.jp/126289

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