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札幌医科大学総合診療医学講座 ジャーナルクラブ 第025回


目次
CQ:都市部の総合医に求められる能力とは? 論文の著者紹介

前提条件の解説

論文本体の解説
表紙・タイトルを大きく貼る 感想、質疑応答

開催日:2023年2月21日
発表者:佐藤 健太

1 2

2021年 鳥取大学 地域医療学講座 講師


2014年 マーストリヒト大学 大学院 医療者教育学修士課程
2013年 東京大学 医学教育国際研究センター 講師
2011年 聖路加国際大学 大学院 博士後期課程
2008年 東京ほくと医療生協 北足立生協診療所 医師
2004年 東京大学 大学院医学系研究科 博士課程
2004年 東京大学 医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 医員
2000年 東京大学 医学部附属病院 内科研修医
孫 大輔 (Son Daisuke) - マイポータル - researchmap

2018/2/24 ケアクリVol.4 開催します!


Good Neighbors Company (gnc.or.jp)
【ケアまち座談会 vol.4】
2017年 東京大学大学院医学系研究科 医学教育学
「日常の風景からみるケア~ランドスケープデザインを手がかりに~」 2011年 東京大学医学部附属病院
開催レポート|ケアとまちづくり未来会議|note クリニカルシミュレーションセンター/総合研修センター
2004年 東京大学大学院医学系研究科 老年医学
1999年 チューリッヒ大学病院 循環器学
1994年 東京大学大学院医学系研究科 老年医学

九州大学 大学院医学研究院 医学教育学講座 准教授


学位 医学博士(2014年3月 佐賀大学)
医学教育学修士(2011年11月 ダンディー大学)
第11回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 若手研究優秀賞 医学教育学博士(2019年12月 マーストリヒト大学)
都市部の家庭医・総合診療医に特に必要なコンピテンシーリスト
の検討 修正Delphi法

キャリアデザインラボ | m3.com

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目次
論文の著者紹介
地域 by goo辞書

前提条件の解説 • Distinct
Rural と Community 行政の区画(中央区・白石区)
論文本体の解説 • Region
感想、質疑応答 物理的・地理的な区切り(川向う地域)
• Zone
特別な用途のための地域(農業用地)

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医療における 都会 と 田舎 都市部医療=Urban medicine


• 都市部住民への通常医療
• 僻地から集まる患者への高度専門医療

札幌市 江差町
Urban, Suburban, or Rural Practice: Pros and Cons | HospitalRecruiting.com

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へき地医療=Rural medicine
• 少ない医療資源で効率的運用
地域 by goo辞書
• 医療ニーズが増えないように予防医療
• 急性期治療も違う(ACS/StrokeにtPA→ドクヘリ)
モデルはアメリカ・カナダ・オーストラリアがわかりやすい
Community
・文化的・歴史的遺産を共有する
緑の地域は カナダは 地域共同体・生活共同体(で暮らす人々)
人口ゼロの区域 米国沿いに集中
・一つの場所に住み、
共通の意識に支えられた集団(人の集まり)
人口の98%は ・共通の特性を持つ人達の社会
白い地域に在住

へき地の家庭医は都市部から生まれ
る:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)

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総合診療医:周囲の家族やコミュニティの理解・ケアを通して、
総合診療専門研修・家庭医療学における
担当患者への質高い診療を目指す

地域医療=Community care
地域
• 地理的特性(RuralかUrbanか)ではなく、
文化的特性を考慮し、 家庭
そこで暮らす人々のための医療
• 対義語は(文化的背景を無視して大学と同じやり方を押し付ける)疾病治療
臓器 個人
臓器
臓器
• 地域の特性に合わせた医療を展開する必要がある 臓器
• 当然、都市部にも地域医療は求められる 細胞 臓器
UrbanのCommunity care、RuralのCommunity care
分子
(総合)内科専門医:全臓器をカバーして、個人の全問題に対応

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目次 抄録の概要
背景
論文の著者紹介 近年、都市部特有の様々な健康問題が顕在化している。
都市部の総合医のコンピテンシーに関する知見は限られていた。

論文を読む前に、前提条件の解説 方法
修正デルファイ法を用いて、内容的に妥当性のあるコンピテンシーリストを作成した。
文献調査で抽出し、主題分析手法で統合し、34項目のリストを作成。
論文本体の解説 39名のパネリストを集め、リストへの同意度合いと修正コメントを収集。
Abstruct 回答を、定量的・定性的に分析した。

Background 結果
Methods 3ラウンド実施し、リストの統合・削除・追加と、文言の修正を重ねた。
Results 3回目までに残った18項目すべてがパネリストの合意を得た。
Discussion 結論
都市型GP/FPのコンピテンシー18項目が内容的に妥当であることが確認された。
感想、質疑応答 本知見は、都市型GP/FPの育成や都市型健康問題の解決に役立つと思われる。

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都市型総合診療医のコンピテンシーリスト
<患者の周囲・背景への配慮> <各論1-保健・公衆衛生>
1. 文化的コンピテンシー 10. 産業保健
2. 社会的に不利な人々のケア 11. 感染症
3. 家族志向のケア

<ケアの調整> <各論2-身体・心理合わせたケア>
4. ケアの範囲の調整 12. メンタルヘルス ケア
5. 専門医療機関との診療連携 13. 認知症ケア
6. 分断された医療を統合する 14. 行動変容
7. 多職種連携による調整 15. 緩和ケア

<地域性や住民性を考慮したプライマリケア> <組織としての継続性・発展性>
8. 地域志向の健康増進 16. 組織運営
9. 地域志向の救急医療 17. 生涯学習
18. 医学教育

※< >は佐藤による補足

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総合診療医や家庭医(GP/FP)のコンピテンシーは、
責任を負うべき人々の特性や社会的ニーズを反映している。

人口特性は常に変化しており、
近年は世界的な都市化と人口の都市への集中が起きている。

Background

都市の総合診療医/家庭医の役割ってなに?|yoyo|note

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都市部特有の様々な健康問題も指摘されている。 都市住民のプライマリーケアへのアクセスを改善するために
地域社会に対応し、
文化的にコンピテンシーが高いGP/FPを増やすことが必要。
Blumenthal SJ, Kagen J. MSJAMA. the effects of socioeconomic status on health in rural and urban America. JAMA. 2002;287:109.

都市住民の健康とQOLの向上に貢献できる
都市型GP/FPのコンピテンシーを明らかにすることは、
家庭医療学と医学教育の双方において重要な課題である。

都市の総合診療医/家庭医の役割ってなに?|yoyo|note

先進国では、「都市部」の「高齢化」も問題になっている
・2010年時点で、65歳以上の56%が都市部に居住(OECD諸国)

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コンピテンシー 米国家庭医学会(AAFP)の、都市型GP/FP教育プログラムの概要
専門家が、特定の社会的ニーズに対応することを可能にする、一連の実践的 Urban Training Program in Family Medicine | AAFP
能力のこと。

コンピテンシーに基づく医学教育(CBME)
カリキュラム終了時に学習者が、これらのコンピテンシーを
確実に身につけることに焦点を当てた教育設計の方法。 1.研修の少なくとも80%が都市部で行われるプログラム もしくは
2.都市環境における⾧期的な臨床実習の経験に加え、以下のすべての要素を含む
①都市部の恵まれない人々のケア。
GP/FPを含むプライマリケア医を育成する上でも、 ②都市部に位置し、都市部の患者を対象とした家庭医療センターである。
③文化的に効果的なケアを提供するトレーニング。
コンピテンシーは最も重要な教育学的概念の一つ。 ④都市部の地域医療センター、ホームレス・シェルター等で、1カ月以上の経験
⑤都市部の公衆衛生局における、 1 カ月間の経験
⑥都市部のレベルII以上の外傷センターの救急部において、少なくとも200時間の臨床実地経験があること。
⑦HIV/AIDS 診療所等における、 1 カ月の経験
これまでGP/FPのコンピテンシーに関する様々な知見が蓄積されてきたが、 ⑧産業保健における経験。
⑨思春期ケアにおける経験。
都市型プライマリケア医のコンピテンシーの先行研究は少ない ⑩精神疾患を持つ患者のケアの経験。
⑪薬物乱用治療施設またはプログラムにおける経験。
・臨床的側面について部分的に検討したものはある。 3.都市部の定義は、人口50万人以上
人口50万人未満でも、上記A.の要素を満たす家庭医専門医制度は多く存在する可能性がある
・都市型プライマリケア医のコンピテンシーを
教育学的な観点から、包括的に明らかにしようとした研究はあまりない。
Probst JC, Moore CG, Baxley EG, Lammie JJ. Rural-urban differences in visits to primary care physicians. Fam Med. 2002;34:609–15. 研修カリキュラムを設計するための推奨事項であり、
教育研究によって検討された包括的なコンピテンシーではない

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品質保証された都市型GP/FPを養成するためには、 日本の都市化とヘルスケアの特徴についての補足説明
一定レベルの内容妥当性を確保した 日本は世界で最も人口密度の高い都市を有し、
包括的なコンピテンシーリストを明確にする 世界で最も高齢化が進んでいる国である。

教育学的研究が必要である。
日本の医療制度の特徴の一つは、国民皆保険制度
ほとんどの国民が比較的安価で良質な医療を受けられる。
厳格なゲートキーパー制度がないため、
本研究では
患者が自由に医療機関を選択できることも特徴の一つ。
既存文献をレビューしてコンピテンシー案を作り Sakamoto H, Rahman M, Nomura S, Okamoto E, Koike S, et al. Japan health system review.

修正デルファイ法を用いて専門家の意見を集め、
In: Health Systems in Transition, vol. 8. Regional Office for South-East Asia: World health organization; 2018. p. 1.

これまでの日本のプライマリケアは、
包括的で内容的妥当性のある
内科や小児科など他分野を専門とする医師がセカンドキャリアとして
都市型GP/FPのためのコンピテンシーリストを作成した。 病院から診療所に移って行うことが主流であった。
Yoshida S, Matsumoto M, Kashima S, et al. Geographical distribution of family physicians in Japan: a nationwide cross-sectional study. BMC Fam Pract. 2019;20:147.[

2009年には、日本プライマリ・ケア連合学会が
質保証型認定・教育システムを構築するために家庭医療専門医の認証制度を創設した。

2018年には、政府の主導で開発された新専門医認定制度となり、
19番目の基本臨床分野として総合診療医が追加された。

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The modified Delphi method①


コンセンサス形成手法の一つである
修正デルファイ法を採用した。

デルファイ法
ある問題について専門家を集め、
質問票を用いてコンセンサスに基づく意見を

Methods
系統的に得る方法である。

・参加者(パネリスト)が、
数回繰り返すアンケート(ラウンド)に回答する
・パネリストは各ラウンドで
回答全体のフィードバックを受け、
回答を修正する機会がある

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The modified Delphi method② Initial list development through literature review①
修正デルファイ法
上記の基本原則を守りつつ、 「都市部の開業医・医師が特に必要とする能力」
研究目的に応じてデルファイ法を様々に変形したものの総称 について文献調査を行い、
テーマに対応する文献からコンピテンシーを抽出した。
本研究の修正デルファイ法
①このテーマに関する既存の知識が不十分であったため、 Hammick M, Dornan T, Steinert Y. Conducting a best evidence systematic review.

研究チームは事前に文献調査を行い、 Part 1: from idea to data coding. BEME guide no. 13. BEME guide no. 13. Med Teach. 2010;32:3–15.

能力リストの原案を作成した。
Jones J, Hunter D. Consensus methods for medical and health services research. BMJ. 1995;311:376–80.

②パネリストが提示した各コンピテンシーリストの一致度合いを、
リッカート尺度で定量的に分析するとともに、
パネリストの定性的な修正意見を分析して、
リストの記述を洗練させることに重点をおいた。

これらの研究計画の策定と実施は、専門家の助言を得ながら行った。
本研究は、2019 年 3 月 23 日から 9 月 6 日の間に実施された。

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Initial list development through literature review② Initial list development through literature review③

3つのカテゴリーを定義し、関連する用語もリストアップした。 Inclusion criteria


①都市 主要な研究目的が都市部の GP/FP コンピテンシーである
②能力 論文が英語である
③プライマリケアまたは一般医または家庭医
Exclusion criteria
予備調査で導き出した3つのコンピテンシー 研究設定が都市部でない、プライマリーケアでない
GP/FP/Nurse Practitionerでない
に関する文献も追加した。
研究テーマが医学教育でない
①Underserved(ケアが行き届いていない状態・人々へのケア)
全文が入手できない、英文論文でない
②Integration of care(高度専門文化によって分断かされたケアの統合)
③Cultural Competence(文化的背景・特性を診療に組み入れる能力)
Mitsuyama T, Son D, Eto M. Competencies required for general practitioners/family physicians in urban areas versus non-urban areas: a preliminary study. BMC Fam Pract. 2018;19:186.

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予備調査 Additional File 1 . 検索式


Mitsuyama, T., Son, D. & Eto, M.
Competencies required for general practitioners/family physicians in urban areas versus non-urban areas: a preliminary study.
BMC Fam Pract 19, 186 (2018). https://doi.org/10.1186/s12875-018-0869-4

都市部における
総合診療医のコンピテンシー

都市部における
総合診療医のコンテクスト

非都市部のコンピテンシー

非都市部のコンテクスト

都市部/非都市部における
文献検索は,PubMed を用いて,[Title/Abstract] と [MeSH Terms] に限定して行った。
共通コンピテンシー

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さらに、主題分析(Thematic analysis)を行った。 Participants


デルファイ法におけるパネリストのサンプリング
・質的データの分析手法の一つ
統計的手法による「量」的な同質性よりも、

・各文書のテキストから パネリ ストとしての「質」的な多様性を重視する必要がある。

都市型GP/FPの能力に相当する記述をコード化し
研究テーマに関連しつつ、多様な属性や異なる意見を持つ、異質な集団が望ましい
複数のコードを結びつけてテーマを定義した。 臨床研究では,臨床医,研究者,患者が「専門家パネリスト」とされることが多い
コード…テキストセグメントのラベルとして機能する単語または語句のこと ツイート → ハッシュタグ → まとめ Powell C. The Delphi technique: myths and realities. J Adv Nurs. 2003;41:376–82.
UX調査の定性データの分析方法:主題分析 – U-Site
テーマ…データから発見される信念、習慣、ニーズなどの事象のこと

目的別サンプリングで、4つのグループを選択した。
・抽出されたコンピテンシーに関するテーマを日本語に翻訳し、 1.都市部に勤務するGP/FP
分類・統合し、初期コンピテンシーリストを作成した。 2.看護師
3.医学教育専門家
・この初期リストは、複数の研究メンバーで議論して作成したものである 4.患者代表

Brady SR. Utilizing and adapting the Delphi method for use in qualitative research. Int J Qual Methods. 2015;14:1609406915621381.
参加者数は、これまでの医学教育研究にならい、全体で 30名以上を目標とした。
そのうちGP/FPは、都市部の様々な診療圏から20名以上の確保を目指した。

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Participants② Participants③

都市部の定義 プライマリケア専門医、GP/FPの定義
・日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医
総務省統計局が定義する最も厳しい定義を採用
1.大都市圏の中心都市 →2019年4月15日時点で学会HPに公開されている認定家庭医527名から、

2.人口密度4000人/km2以上の市町村の 都市部に勤務する家庭医療専門医129名を選出し、

人口密集地(合計5000人以上の地区) リストの地域比率、男女比率に応じて、家庭医療専門医28名を選出し、17名が同意した。

都市部のGP/FPの定義 ・プライマリ・ケア実践能力および教育能力があると認定された指導医
・プライマリケア専門医の認定を受けている 家庭医認定制度開始が2009年であり、認定家庭医だけだと若手に偏るため追加。
・定められた都市部で勤務している →2019年4月15日時点で学会HPに公開されている指導医2511名から、
・都市部での豊富な診療経験がある
都市部に勤務する指導医673名をリストから選出し、

勤務地と経験年数のバランスから10名を選出し、9名が同意した
上記を満たすものの中から、診療圏、経験年数、男女比のバランスで選定した。

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Participants④ Participants⑤ Table 1


看護師
・研究参加者のGP・FPからの紹介により
パネリスト39名
都市部での診療経験を有する者を選出し、3名の参加者を得た。
GP/FP26名、看護師5名、医学教育専門家5名、患者代表3名

・多様な現場経験を持つパネリストを確保するため、共同研究者を通じて
都市部の診療所や病院での勤務経験や学術的背景を持つ
看護系大学院生2名の参加者を得た。

患者代表
・共同研究者を通じて、
都市部の代表的な2つの患者団体に患者代表の募集をかけ、3名の参加者を得た。

医学教育専門家
・都市部に限らず、プライマリーケアの経験があり、教育に精通した方を選出した。
2019年4月時点で日本医学教育学会が認定する医学教育専門家135名
条件を満たす数名に対して順次連絡を取り、そのうち5名から参加を得て選考を終了した。

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Data collection① Data collection②


選出された参加者に、
Webベースのアンケートツール、SurveyMonkey® を使用して さらに、各コンピテンシーリストの定義や記述について、
コンピテンシーリストの評価を依頼した。 自由記述形式のコメントを求めた。

第1回目のみ、最初のリストに含まれていない
「重要だと思われるコンピテンシー」を、
SurveyMonkey: 世界で最も愛される無料のオンラインアンケートツール 新たに最大5つまで提案するよう依頼した。

コンピテンシーリストが 研究者だけが、調査参加者名と個別の回答を見ることがでた。
「都市部の開業医や家庭医に特に必要」と、 参加者は、他の参加者の名前や回答を知ることはできない。
どの程度同意するか5段階のリッカート尺度によって評価した。
他の参加者の個別回答内容や回答要約を見ることはできず、
「5」が完全に同意できる
「3」が同意も反対もしない 他参加者とは独立した状態で次のラウンドに回答した。
「1」が全く同意できない

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Data analysis Data analysis②


収集した回答から回答者名を分離して匿名化し、分析を行った
1.リッカート尺度による同意度の評価
量的データから平均値と標準偏差を求め、
リストの除外やランク付けを行った

平均値が3.5以下、または標準偏差が1以上のものを除外した。
Kikukawa M, Stalmeijer RE, Emura S, Roff S, Scherpbier AJ. An instrument for evaluating clinical teaching in Japan: content validity and
cultural sensitivity. BMC Med Educ. 2014;14:179.

研究者に許可を得て
研究過程の説明資料から抜粋 2.パネリストの修正意見と新規リストへの提案
質的データを、主題分析法を用いて定性的に分析し、
(アンケートの流れを示したフローチャート)

リストを修正・統合して、コンピテンシーリストの修正案を作成した。
各ラウンドの最初に、前回の集計結果の要約と、改訂版リスト案を送付。 Brady SR. Utilizing and adapting the Delphi method for use in qualitative research. Int J Qual Methods.
2015;14:1609406915621381.
再度アンケート記入をしてもらい、それをもとに再度集計・改定を繰り返す
作成されたリストに除外項目が現れなくなり、パネリストのコンセンサスが得られたと
みなされた時点で調査を終了した。

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文献調査による初期リスト

2019年3月23日から4月20日の間に
629論文の文献調査を行い
基準にしたがって53の文献を組み入れた。

テーマ分析によりコンピテンシー文を抽出し、

Results テーマごとに分類・統合し
34項目のコンピテンシーの「初期リスト」を作成した
(表2)

45 46

初期リスト(文献調査で抽出したもの)

R1-9.患者の状況に応じて適切な病院紹介の判断ができる。
R1-1.様々な文化的背景に配慮したケアを提供することができる。 R1-10.複数の専門科への受診により分断された患者に対して、
R1-2.都市部における多様な職業や生活様式を理解することができる。 責任を持って統合的な管理を行うことができる。
R1-3.都市部における多様な価値観を持つ患者と R1-11.複数の専門科を受診する高齢者のケア分断に対して、
適切な合意を形成することができる。 プライマリケアによる統合的なケアを行うことができる。
R1-4.都市部のサービスが行き届いていない地域の
社会的背景を理解することができる。 R1-12.精神保健における多職種や地域ケア資源と連携し、
患者中心のメディカルホームに基づく統合ケアチームを
R1-5.多職種連携により、Urban Underserved Communitiesに 構築することができる。
包括的・統合的なケアを提供することができる。 R1-13.小児科から若年障害者へのケア移行を適切に行うことができる。
R1-6.補完代替医療を統合し、都市部の恵まれない人々に R1-14.HIV患者にプライマリーケアとメンタルヘルスケアを提供できる
予防医療を提供することができる。
R1-15.患者のために地域の福祉サービスとその提供者を把握できる。
R1-7.非同居家族と効果的にコミュニケーションをとることができる。 R1-16.医療・介護・福祉のさまざまな担当者と連携できる。
R1-8.患者のニーズや周囲の医療機関の状況に応じて、 R1-17.街の特徴である地域課題を把握し、
柔軟に包括的な医療を提供することができる。 地域に根ざした取り組みを行うことができる。

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修正デルファイ法の結果(詳細は次ページ以降)
2019年4月26日から9月6日の間に3ラウンドが実施された。
R1-18.都市救急医療における地域連携の課題に取り組むことができる。
R1-19.産業保健上の問題を診断し、治療することができる。
R1-20.結核が疑われる患者に対して、適切な初期対応ができる。 第1ラウンド
R1-21.保健所と協力して、外来結核を適切に治療することができる。
R1-22.HIV感染に関連する危険因子をスクリーニングすることができる。
39名の回答が得られた。
R1-23.HIV患者の文化や価値観に配慮した相談ができる。 初期リストの34項目は14項目に集約された

R1-24.若者の自殺の危険性を適切に評価し、対処することができる。 新たに6項目が提案され、合計20項目のリストが完成した。
R1-25.小児のメンタルヘルスのスクリーニングを行うことができる。
R1-26.小児のメンタルヘルスについて、多職種と効果的に協働することができる。 第2ラウンド
R1-27.高齢者のメンタルヘルスについて、
適切なアセスメントと精神科への紹介を行うことができる。 38名の回答が得られた。
R1-28.文化的に多様な高齢者に心理療法的な介入を行うことができる。 リストを統合し、18項目になった(廃止・追加なし)
R1-29.人種的マイノリティグループに適切な精神医療を提供できる。

R1-30.難民PTSDを含む心の問題を系統的に評価できる。 第3ラウンド
R1-31.認知症の診断と管理を適切に行うことができる。
R1-32.認知症患者のQOLを向上させることができる。 36名の回答が得られた。
R1-33.行動変容理論を用いた肥満患者への指導ができる。 18項目のすべてが参加者の合意を得たとみなせたため、調査を終了した。
R1-34.交通外傷の診断と治療を適切に行うことができる。

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Round 1 of the Delphi method Round 2 of the Delphi method


パネリスト39名全員から回答を得た。
39名のパネラーのうち、38名(97.4%)から回答があった。
以下の項目は除外した(平均値<3.5、標準偏差>1 に該当) 平均値 4.0 以上の高い一致率を示した項目はなかった。
項目 30. 難民の精神的問題
項目 34. 交通外傷 各コンピテンシーに対する参加者の意見を定性的に分析・検討し、
以下の項目は統合した
各コンピテンシーの記述を修正した。
項目 1~ 3 は「文化的能力」
項目 4~ 6 は「都市部のUnderservedな集団へのケア」 項目12と17のメンタルヘルス
項目10~14 は「ケアの統合」 項目15と16の緩和ケアを統合した
項目15・16 は「多職種とのケア連携」
最終的に20項目から18項目のリストとなった。
コンピテンシー記述を3階層に分けて再編集した。
「コンピテンシー領域」
「コンピテンシーの定義」
「コンピテンシーの記述」

パネリストが提案した6つの新しいコンピテンシーを編成した。
最終的に、第1回目では34項目から20項目に整理された
51 52
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Round 3 of the Delphi method Additional file 2.


修正デルファイ法における各ラウンドの記述統計データおよびリスト編集過程
39 名のパネリストのうち 36 名(92.3%)から回答があった。

全 18 項目の平均値が 4.0 以上となり、


標準偏差が 1 を超える除外項目は見られなかった。
→参加者全員の合意が得られたと判断し、終了とした。

各コンピテンシーに対する参加者の意見を、
2名の研究者が主題分析法により定性的に分析し、
リストの文言を一部修正した。

リスト項目の、新たな統合や削除は行わなかった。

最終的に、都市のGP/FPに特に必要なコンピテンシーとして
18項目がリストアップされた(表3)。

53 54

Additional file 2. 表3. 都市型GP/FPに特に必要な能力として


修正デルファイ法における各ラウンドの記述統計データおよびリスト編集過程
妥当性の高い18項目のリスト
→次ページ以降に、著者による日本語版を引用
都市の総合診療医/家庭医の役割ってなに?|yoyo|note

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患者の周囲・背景への配慮 (←コンピテンシーの大分類は佐藤による補足)
ケアの調整(Coordination of care) (←コンピテンシーの大分類は佐藤による補足)

(Contextual care、SDH、Family-oriented primary care)


4.診療範囲の調整:
1.文化的能力: 患者の多様なニーズと抱える問題に対して、
多種多様な周辺医療機関の特徴も踏まえて、
患者の多様な社会経済的状況や文化的背景を理解し、 提供するケアの範囲を柔軟に調整することができる。
多様な医療ニーズに配慮したケアを提供することができる。
5.専門医療機関とのケアの調整:
2.社会的不利にある人々へのケア: 多種多様な医療機関の特徴を把握し、
健康の社会的決定要因と健康格差について理解し、 患者のニーズと置かれた状況に応じて専門医療機関への適切な紹介、
連携を行うことができる。
医療的ケアが十分に提供されていない多種多様な集団に対して
多職種と連携して適切なケアを提供できる。 6.分断された医療的ケアの統合:
ケアの分断の弊害が起きている患者に対して、
3.家族志向ケア: 責任を持って医療的ケアの統合を行うことができる。
家族に対する多様な価値観や関係性に配慮し、
必要な関係者と効果的なコミュニケーションを取り、 7.多職種とのケアの調整:
多種多様な介護福祉サービスや地域社会資源の特徴を把握し、
患者本人にとって適切なケアを提供することができる。 患者のニーズと置かれた状況に応じて多職種と協働しながら適切な紹介、
連携を行うことができる。

57 58

地域性や住民性を考慮したプライマリケア(←コンピテンシーの大分類は佐藤による補足) 各論 (←コンピテンシーの大分類は佐藤による補足)

(Community-oriented primary care)


10.産業保健:それぞれの診療地域に多い、あるいは特徴的な
8. 地域志向の健康増進: 産業衛生関連の健康問題について適切なケアを提供することができる。
地域・コミュニティに特徴的な健康課題を同定し、
多種多様な関係者と効果的に協働して取り組むことができる。 11.感染症:都市部に頻度の高い感染症を疑うべき患者を同定し、
適切な初期対応を行うことができる。
9. 地域志向の救急医療:
12.メンタルヘルス:あらゆる世代のメンタルヘルスの問題に対して
それぞれの地域に特徴的な救急医療の課題に対して
適切な対応と精神科や関係機関との連携を行うことができる。
プライマリ・ケアの現場レベルで連携し、
取り組むことができる。 13.認知症:認知症を疑う患者への適切な診断と治療、ケアマネジメント
を多職種と連携して行うことができる。

14.行動変容:生活習慣病の患者に対して
行動変容理論を用いた指導を行うことができる。

15.緩和ケア:がん、あるいは非がん疾患の患者に対して、
適切な意思決定支援と緩和ケアを提供できる。

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組織としての継続性・発展性 (←コンピテンシーの大分類は佐藤による補足)
都市型総合診療医のコンピテンシーリスト
<患者の周囲・背景への配慮> <各論1-保健・公衆衛生>
16.組織運営: 1. 文化的コンピテンシー 10. 産業保健
それぞれの地域のプライマリ・ケアの役割に基づいた 2. 社会的に不利な人々のケア 11. 感染症
診療所・病院の組織運営に取り組むことができる。 3. 家族志向のケア

<ケアの調整> <各論2-身体・心理合わせたケア>
17.生涯学習: 4. ケアの範囲の調整 12. メンタルヘルス ケア
一般的な疾患について、診療機会の頻度に関わらず 5. 専門医療機関との診療連携 13. 認知症ケア
診療能力を維持するための学習を行うことができる。 6. 分断された医療を統合する 14. 行動変容
7. 多職種連携による調整 15. 緩和ケア
18.教育:
<地域性や住民性を考慮したプライマリケア>
学生、研修医教育において、 <組織としての継続性・発展性>
8. 地域志向の健康増進 16. 組織運営
都市部プライマリ・ケアの特徴や意義を学ぶ機会を提供できる
9. 地域志向の救急医療 17. 生涯学習
18. 医学教育

※< >は佐藤による補足

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Summary 論文の主張のまとめ

都市部のGP/FPが特に必要とするコンピテンシーの
有効かつ包括的なリストを特定することを目的とした。

修正デルファイ法を用いて、

Discussion 予備的な文献調査により初期リストを作成し、
39名の専門家パネリストと
合計3ラウンドの対話的な改良を実施した。

その結果、
研究プロセスにおいて一定の内容の妥当性が保証された
18項目のコンピテンシーリストが完成した。

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Strength of this study Comparison with existing literature ①


GP/FPの都市部でのコンピテンシーとして既知のもの
強み1
都市型GP/FPのコンピテンシーについて、 「文化的コンピテンシー」(R3-1)
有効かつ包括的なリストを検証した新しい研究である。 ・文化的多様性を理解し、臨床の場で適切なケアを提供する能力
・文化的差異による不平等を減らし、すべての人に質の高いケアを
本研究では、文献レビューと3回にわたるデルファイ法による
提供するための医療提供戦略において重要なコンピテンシー
パネリストの多様な意見を反映し、 Takayama JI, Chandran C, Pearl DB. A one-month cultural competency rotation for pediatrics’ residents. Acad Med. 2001;76:514–5.

都市型GP/FPのコンピテンシーを幅広くかつ詳細にリストアップした。 Zweifler J, Gonzalez AM. Teaching residents to care for culturally diverse populations. Acad Med. 1998;73:1056–61
Siegel C, Haugland G, Reid-Rose L, Hopper K. Components of cultural competence in three mental health programs. Psychiatr Serv. 2011;62:626–31.
Yeung A, Shyu I, Fisher L, Wu S, Yang H, Fava M. Culturally sensitive collaborative treatment for depressed Chinese Americans in primary care. Am J Public Health. 2010;100:2397–402.
Winiarski MG, Beckett E, Salcedo J. Outcomes of an inner-city HIV mental health programme integrated with primary care and emphasizing cultural responsiveness. AIDS Care. 2005;17:747–56.

強み2
「社会的に不利な立場にある人へのケア」(R3-2.)
これまで認識されていなかった新たなコンピテンシーを明らかにした。
①都市部への過度な集中により分断された様々な医療資源を調整・統合する能力 ・都市の恵まれない人々、医療アクセスが困難な人々に
②都市型プライマリ・ケアの意義を後世に伝える教育能力 適切なケアを提供する能力である(例:ホームレス、無保険者、貧困層、移民、性的マイノリティなど)
・SDHに関する知見が蓄積されるにつれて、関心が高まっている。
これについては、代表的な既存文献と比較しながら、後述する。 Kai J, Drinkwater C, editors. Primary care in urban disadvantaged communities: Radcliffe Publishing; 2004.
Li LB, Williams SD, Scammon DL. Practicing with the urban underserved: a qualitative analysis of motivations, incentives, and disincentives. Arch Fam Med. 1995;4:124–33.
Rabinowitz HK, Diamond JJ, Veloski JJ, Gayle JA. The impact of multiple predictors on generalist physicians’ care of underserved populations. Am J Public Health. 2000;90:1225–8.

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Comparison with existing literature ②


GP/FPの都市部でのコンピテンシーとしては注目されてなかったもの

「専門医療機関とのケア連携」(R3-5.)
「多職種とのケア連携」(R3-7.)
「診療範囲の調整」(R3-4.)
「断片化した医療の統合」(R3-6.)

都市化に伴う専門化とケア資源の過集中による

副作用「ケアの断片化」に対して
GP/FPに求められる能力「統合ケアの提供」を示すもの
Schrag D, Xu F, Hanger M, Elkin E, Bickell NA, Bach PB. Fragmentation of care for frequently hospitalized urban residents. Med Care. 2006;44:560–7.
Clarfield AM, Bergman H, Kane R. Fragmentation of care for frail older people an international problem. Experience from three countries: Israel, Canada, and the
United States. J Am Geriatr Soc. 2001;49:1714–21.

特に、ミクロ(臨床的統合)とメゾ(専門的・組織的)レベルの統合を指す 。
Valentijn PP, Schepman SM, Opheij W, Bruijnzeels MA. Understanding integrated care: a comprehensive conceptual framework based on the integrative
functions of primary care. Int J Integr Care. 2013;13:e010.

第5回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 教育講演1プライマリ・ケアってエビデンスはあるの?第2弾「連携(ケアの調整)・協調性」

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SDHの階層構造

ミクロレベル:臨床現場レベルでの取り組み
メゾレベル :地域コミュニティレベルでの取り組み
Valentijn, Pim P., et al. "Understanding integrated care: a comprehensive conceptual framework based on the integrative functions of primary マクロレベル:市や都道府県,国など社会レベルでの取り組み
care."International Journal of Integrated Care 13.1 (2013): 655-679
Integrated Careと家庭医 - 藤沼康樹事務所(仮)for Health Care Professional Development (hatenablog.com) 日本プライマリ・ケア連合学会 SDH検討委員会 ワークショップスライドから引用

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Comparison with existing literature ③ Limitations and challenges for further study①
GP/FPの都市部でのコンピテンシーとして指摘されていなかったもの

パネリストの数が、比較的少ない人数である可能性がある。
パネリストの意見をもとに新たに追加されたコンピテンシー
・デルファイ法におけるパネリストの人数には厳密な基準はない
「緩和ケア」(R3-15)
・近年の医学教育研究[38, 39]を参考に設定した。
「組織マネジメント」(R2-16)
・最終的に 92.3%という高い回答率を得たことも一定程度評価でき る。
「生涯学習」(R2-17)
「教育」(R2-18) パネリストの質も限界の一つである。
・GP/FPのうち、「女性」を選択したのは26人中6人、
「教育」については、多くのGP/FPパネリストが以下の意見を強調した 「どちらでもない」は0人であり、「男性」に偏った意見となった。
将来のキャリアに関わらず、地方のみならず ・日本の医師男女比は21.9%と同様だが、OECD平均と比較すると低い。
都市部でのプライマリ・ケアの必要性と意義を学ぶ機会を提供する
・患者代表が3名しかおらず、看護師以外の専門職の意見が反映されていない。

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Limitations and challenges for further study② Prospects for further practice and research
日本の大都市圏のみで行われたこと 本研究結果を都市型GP/FPの臨床実践に役立てるために
・人口動態や医療制度が異なる他の国・都市に転用することには限界がある。 具体的な教育方略や評価方法を取り入れた
・本研究結果を比較対象として用いることで、 都市型プライマリケアの教育カリキュラムやコンテンツを
他の国や都市でのリストの有効性を再評価し、 開発することが必要である。
比較することが容易になると考えられる。

これらのカリキュラムに基づいた教育実践の有効性評価も必要
デルファイの方法論的限界 質の高い都市型GP/FPの育成につながるかどうかを評価するための
・特定の時期に特定のパネリストを選定するということによって、 アクションリサーチが望まれる。
調査時点におけるパネリストの状況や関心によって回答が左右されうる
都市部での災害や感染症発生などの状況が発生した場合、
これらがコンピテンシー候補として強調されうる(例:東日本大震災やCOVID-19流行など) 質の高い都市型GP/FPを育成することが、
・現場関係者の間で、定期的にリストを改訂していくことが必要である。 都市に住む人々の健康アウトカムの改善に貢献できるか
※本研究は、GP/FPの役割に大きな影響を与えたCOVID-19感染症の発生前に の評価も最終的には必要である。
McGaghie WC. Medical education research as translational science. Sci Transl Med. 2010;2:19cm8.
データを収集・分析したという点で、限定的であると同時に貴重な研究である。

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Conclusion 目次
本研究で得られたコンピテンシーリストは、 論文の著者紹介
GP/FP として求められる幅広い能力領域をカバーしている。
・都市型GP/FPの特性を反映したコンピテンシーの定義や記述を深められた。 論文を読む前に、前提条件の解説
・断片化したリソースを調整・統合する能力の重要性を新たに明らかにした。
論文本体の解説
世界的な都市化に伴い、都市型GP/FPの育成は重要な課題となる Abstruct
・本研究で提示した包括的なコンピテンシーリストは、 Background
政策立案者や教育プログラム管理者が、 Methods
どのような都市型GP/FPを育成すべきか検討する際の指標となり得るものである。 Results
Discussion
患者の背景を理解し、患者中心の医療を実践するGP/FPにとって、
本研究で提示したコンピテンシーリストは、有用な指針となるだろう
自分の役割を俯瞰し、臨床実践を振り返り、効果的なアを提供するための指針
感想、質疑応答
それが、都市に住むすべての人々の健康的な生活につながるのではないだろうか

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感想 自分自身の仕事への応用
専門医取得後、10年間の実践を通して身につけてきた 臨床面
・江差病院では、GP/FP的だが都市型ではない外来を担いながら
「都市部の小病院で働く家庭医」としての能力が
僻地型・小病院のGP/FPに必要な能力の言語化・構造化を意識する
言語化・構造化された!という気持ちよさがある。
・大学病院でも、限定的な機能のみを担う外来を担いながら
都市型・大学病院のGP/FPに求められる能力について
また、「孤軍奮闘の中で、独自に見出した感覚」が、 新たな発見と構造化を通して、やりがい創出を探究したい
全国の多くの都市型GP/FP(看護師・患者団体)とも
共通していたことから、安心感や自信につながった。
教育面
・学生実習・研修医ローテで「総合診療医にならない」若手に対して、
都市型・僻地型GPの魅力や役割の教え方を、より構造化・体系化したい
学生・研修医に対して、
自分自身の実践を見せ、説明し、実際にやってもらうときに、 研究面
・「北海道の僻地公立病院の総合医」のコンピテンシーについて、
今回得られたコンピテンシーのリストと、
類似の調査を行って言語化してみたい。
その表現・定義などを活用できると感じた 出身大学・所属医局、研修病院などの属性による違いを類型化してみたい

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目次 都市部のCommunity care
論文の著者紹介 都市部における総合診療医のコンピテンシーについて
Urban/Inner-City Training Program in Family Medicine http://www.aafp.org/about/policies/all/training-program.html

論文を読む前に、前提条件の解説 Urban Training Program in Family Medicine https://www.aafp.org/about/policies/all/urban-training.html

大都市におけるプライマリ・ケア担当医としての総合診療医の課題 https://cfmd.jp/education/problem/

論文本体の解説 日本における都市型プライマリ・ケアを担う総合診療医は、
Abstruct
世界的に標準とされるGP/家庭医のコンピテンシーに加えて、
Background
以下の領域を強化するべきであると考えている。
Methods
Results
Discussion ・高齢者医学(Geriatrics)の実践能力
・在宅医学(特にEnd of lifeケア)の能力
・都市部に多い疾患(特定の感染症など)への対応能力
感想、質疑応答
・地域の健康格差と健康問題に取り組む能力
・主治医として機能するための、コーディネーション能力
おまけ
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総合医のグラデーション
診療セッティングと基盤となるOSの重きの起き方による微妙な違い

Various perspectives of “General Medicine” in Japan—Respect for and cooperation with each other as the same “General
Medicine Physicians”. EDITORIAL. Journal of General and Family Medicine. Volume 22, Issue 6 p. 314-315
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jgf2.500

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