水 工 学 論 文 集,第45巻,2001年2月

階 段 状 水 路 に お け るSkimming flow の
エ ネル ギー 減 勢
ENERGY DISSIPATION OF SKIMMING FLOWS ON STEPPED CHANNELS.

高橋 正 行1・ 安 田 陽 一2・大 津 岩 夫3

Masayuki TAKAHASHI, Youichi YASUDA, Iwao OHTSU

1
正会員 工修 日本 大学助 手 理工学部土木工学科(〒101-8308東 京都千代 田区神 田駿河台1-8)
2
正会員 工博 日本 大学助 教授 理 工学部土木工学科(〒101-8308東 京都千代 田区神 田駿河1-8)
3
正会員 工博 日本 大学教 授 理工学部土木工学科(〒101-8308東 京 都千代 田区神 田駿河1-8)

Manyresearchersstudiedthe energyloss for skimmingflows,inwhichthe main flowskimson the steppedchannelchuteand a

cornereddy is formedat each step. But a generalagreementon the experimentalresultshas notbeen obtained.In this paper,the
energyloss for skimmingflowshas been investigatedsystematically underwiderangesof discharges,channelslopes,stepheights,
and damheights.The effectsof the channelslopeand the stepheighton the energylossfor skimmingflowshave beenclarified.The
energylossfor variouschangesof dam heighthas alsobeenmade clear.Further,the energyloss for thejump formationimmediately
below the steppedchannel end has been shown,and the resultsreveal that the utilizationof the steppedchannelis effectivein
dissipatingthe energyof a supercriticalflowon a spillwayor a channelchute.

Key Words: energydissipatot;steppedchannelflow,skimming,

flow,steppedchannelchute,steppedspillway.

1.まえ が き

堰 やダムを流下す る高 速流のエ ネル ギーを傾斜面上で

効果 的に減勢 させ る方法 と して階段状 水路の利用 が有効 a)
である1),2)。
また、階段状水 路にお ける流れ は、水理条件
によって様 々な流況 を呈す るため、景観 、親 水性 の面か
らも注 目され ている1)。
階段状水路 を流下す る射 流のエネルギー損失 につ いて b)
は、従来、多 くの研究者1)∼8)に
よって検討 されてい るが、
空気混入 を伴 った 白濁 した流れ の水深評価 に問題 があ り、
また系統的な実験 がな され ていないため、不明な点が多
い。
水 工設計上、種々の落差 を伴 う構 造物 に階段状水路 を
c)
設置す る場 合、階段状水 路を有効 に機能 させ るためには、
階段状水路 の流れの特 性、お よび階段状水路 上の射流の
エネルギー損失を解 明す ることが重要であ る。
著者 らは、最近、擬似 等流状態9),10)で
の階段状水路にお
け る流 れ の 空気 混入 率[空 気 量/(空 気 量+水 の量)×
a)Skimming flow,b) Transition flow,c) Nappe flow
100(%)]の 測定を行 い、射流水深 を評価 し、流れの流 水
図-1階 段状水路流れ の流況
抵抗 を実験的 に明 らか に した9)∼11)。

― 415―
表-1実 験条件

図-2実 験装置

a)跳 水形成か らの水深 の間接評価

図-3定 義図

b)空 気混入測定 による水深 の直接評価

図-4流 況形成領域図 図-5階 段状水路流れの水深評価

― 416―
 ここでは、各ステ ップでエアー ポケ ッ トが生 じること
(2)
な く、常にステ ップ隅 角部 近 くで渦 が形成 され る流況、
す なわちSkimming Flow(図-1(a))を対 象 とし、階段状水
0.100≦tanθ ≦1.43
路を流下す る射流のエネルギー損失について、広範囲 な
実験条件 のも とで検討 を加 えた。
す なわち、
階段状水路 を 図-4に 示 され る よ う に 、Skimming flow と NapPe flow

流下す る射流 水深 を的確 に評価 して10),11)階

段状水路 上 と の 間 で 遷 移 領 域 が 存 在 す る7),12),16)。

の射流 のエネル ギー損失 の算 定を行 った。この こ とに よ 本 研 究 で はSkimming flow の 流 況 を対象 とす る。

って、Skimming Flow のエネル ギー損 失に対す るダム高

さ、
水 路勾配 、
お よび ステ ップ高 さの影響 を明 らか に し、
4.エネルギー損失
エネル ギー損 失の特性 を系統的に解 明す るこ とがで きた.
さらに、階段状水 路直下流部で形成 され る跳水のエネル
ギー損 失が示 され、階段状水路を流下す る射流 区間のエ
4-1.Skimming flow の 相 対 エ ネル ギ ー 損 失
ネルギー損失 と跳 水部 によるエネルギー損失 との割合が
明 らかになった。 階段状水路 による射流 のエネル ギー損失 ΔH1を求める
ため、階段状水路上流側 の断面 と階段状水路上の任意 な
断面(図-3、5)との間でベルヌーイの定理 を適用す る と、
2.実 験 方法
次式が得 られ る。

実験 は図-2に 示 され る装置 を用 い、
表-1に 示 され る条 (3)
件 の もとで行 なわれ鳥 階段状水 路における空気混入 し
た射 流 水 深 を 測 定 す る た め、 点 電 極 型 ボイ ド率 計
(Kanomax社 製)を用いて空気混入率 を測定 した。また、 ここに、Hsは階段状水 路天端か ら任意断面 までの鉛直長
階段状水路直下流部 に形成 された跳水の終端水深 を測定 さ、dcは限界水深 、H1は階段状水路の任意 な断面での全
す るために、ポイン トゲー ジ(0.1mm判 読 可能)お よびサ 水頭 、V1およびd1は任 意な断面での仮想 底面上の断面平
ーボ式波高計を用 いた(採取間隔40ms,採 取時間60s)。さ 均流 速お よび射流 水深であ る(図-3、5)。なお、空気 混入
らに、階段状水 路直下流 部の底面圧力 を測定す るため、 した流 れ の水 深 につ いて は水 の み の水深 に換 算 した
10),11)も
ので ある
ピ トー管(静圧 管)を用 いた。 。
(3)式は次 の仮定 を含む。
1)圧力 は静水圧分布す る。
3.流 況 2)エネル ギー補正係 数 を1と す る。
3)任意 な断面は仮想底 面に垂直 な断面 とし、仮想底面 は
階 段 状 水 路 にお け る流 れ の 流 況 は 相 対 ステ ップ 高 さ 各 ステ ップのエ ッジを結んで得 られ る面 とす る。
S/dc(dc:限 界水 深[(dc=(q2/g)1/3;q:単 位 幅 流量)、 水 路 (3)式よ り、相対エネル ギー損 失 ΔH1/Hmaxは
次の よ うに
勾配tanθ 、相 対 落差 高 さHs/dc(Hs:階 段状水路天端か 示 され る。
らの鉛 直 高 さ)(図-3)に よ って 変 化 す る12)。 特 に 、 空 気
(4)
混 入 した流 れ が形 成 され る領 域13)∼15)で
は 、流 況 の変 化 は
相 対 落 差 高 さに よ らず 、 流 況 は2つ に 大 別 され る。 す な
わ ち、 各 ス テ ップ でエ アー ポケ ッ トが 生 じる こ とな く、 階段状水路における射流水深d1に ついて、著者 らは次
常 に ス テ ッ プ 隅 角 部 近 くで 渦 が 形 成 され るSkimming の2つ の評価 方法 を提案 してい る9)∼11)(図-5参
照)。
flowと 、各 ステ ップ で エ ア ー ポ ケ ッ トお よび ナ ップ が形 (1)階段状水 路の直下流 部に跳水を形成 させ、
跳 水始端で
成 され るNappe flowと に分 類 され る。 の全 水頭 が階段状水路流れの全 水頭 と,等
しい もの として

図-4は 各 流 況 の 形 成 領 域 を示 す 。 図 中 、 実線 は 射流水深 を間接 的に評価 した9),10)。

Skimming flow が形 成 され る と きの相 対 ス テ ッフ塙 さの (2)階段状水路上の射流水深 を直接測定す るため、
仮想底
上限 を示 し、 次 式 で 示 され る9)。 面上 の空気 混入率を測定 し、水のみの水深 に換算 して射
流 水深 を評価 した10),11)。
(1) これ らの方法で評価 され た射流水深は様 々な水路勾配
に対 して10%以 内 の差で整 合性 が認 め られてい る10),11)
0.100≦tanθ ≦1.43 水に換算 した射流水深を限界水深 で無次元化 した場 合
ま た 、一点 鎖 線 はNappe flow が 形 成 され る とき の相 対 ス 無次元量(d1/dc)は次元解析的考察か ら水 路勾配tanθ
テ ップ高 さの 下 限 を示 し、 次 式 で 示 され る16)。 ステ ップ高 さS/dc、
お よび相対落差高 さHs/dcによって変

― 417―
化 す る こ とが 推 定 され る。 この 結 果 、 相 対 エ ネル ギー 損
失 ΔH1/Hmaxは次 の 関 係 で 示 され る。
(5)
a)相 対 ス テ ップ 高 さの影 響
相 対 ス テ ップ高 さS/dcに よ る階段 状 水 路 上 の相 対 エ ネ
ル ギー 損 失 ΔH1/Hmax,の
変 化 を図-6に 示 す 。
与 え られ た水 路 勾配tanθ お よび 相 対 落 差 高 さHs/dcに
対 して 、S/dcの 値 が0.4∼0.5以 下 の場合 、滑面水 路
(S/dc=0)の 状 態 か ら相 対 ス テ ップ高 さS/dcが 大 き くな る
に つ れ て 階 段 状 水 路 に よ る射 流 の 相 対 エ ネ ル ギ ー 損 失
ΔH1/Hmaxの値 は大 き くな る。 こ の場 合、 限 界 水深dcを 一
定 に して 考 え る とステ ップ 高 さSが 大 き くな るに した が
い 、 各 ス テ ップ の水 平 面 上 に形 成 され る渦 の領 域 が 広 が
り、 それ に伴 い 階段 状 水 路 仮 想 底 面上(図-3)の 射 流 水深
が 大 き くな る。
与 え られ たtanθ お よび}軽/dcに対 して 、相 対 ス テ ップ
高 さS/dcの 値 が0.4∼0.5以 上 にな る とS/dcに よ る相対
エ ネル ギ ー損 失 ΔH1/Hmaxの変 化 は小 さ い。 特 に、Hs/dcが
大 き くな る と、S/dcに よ る ΔH1/Hmaxの変 化 は 無 視 で き る
ほ ど小 さ く、 階段 状 水 路 上 の流 れ は空 気 混 入 した 流 れ と
な る こ とが 実験 的 に確 か め られ る(図-6に 、S/dc≧0.4∼
0.5の デ ー タで 空気 混 入して い る場 合 と しない 場 合 とを
区分 して示 す)。 な お 、階段 状 水路 を通 過 す る流 れ が 空気
混 入 し始 め る 条 件 に つ い て はBose(2000)14)、 高橋 ら
(2000)15)の研 究 に よっ て 示 され て い る。
これ らの こ とか ら、 同一 の水 路 勾 配tanθ 、 相 対 落差
高 さHs/dcに 対 して 、0.4∼0.5≦S/dc≦(S/d,)sと な る よ う
に 階段 状 水 路 を設 計 す る と、 階段 状 水 路 に よ る射流 のエ
ネ ル ギ ー 損 失 が 最 大 とな る。
な お 、 流 量 が 幅 広 い範 囲 で 変化 す る場 合 、上 記 の 条 件 を
満 足 す る よ うに設 計す る た め の1つ の方 法 と して 、 限界
水 深 が 同 程 度 に な る よ うに 、通 水幅 を変 え る な どの 工夫
も考 え られ る。
b)水 路 勾 配 お よ び相 対 落差 高 さの影 響
相 対 落 差 高 さお よび 水 路 勾配 に よ る相 対 エ ネ ル ギ ー損
失 の 変化 を 図-7に 示す 。 た だ し、相 対 ス テ ップ高 さS/dc
の 値 が0.4∼0.5以 上 のSkimming Flow の場 合 を示 す。図
に示 され る よ うに 、与 え られ た相 対 落 差 高 さHs/dcに 対 し
て 、水 路 勾 配tanθ が大 き くな る につ れ て、 相 対 エネ ル
ギー 損 失 ΔH1/Hmaxの値 が 小 さ くな る。 これ は 、水 路 勾 配
tanθ が大 き くな る につ れ て 、同一 の相 対 落 差 高 さに対 し
て 階 段 状水 路 の 相 対長 さが短 くな り、 さ らに、 各 ス テ ッ
プ の水 平 面 に流 れ が衝 突 しに く く渦 の形 成 領 域 が 小 さ く
な る た め と考 え られ る。 な お 、 水 路 勾 配 が 小 さい 場 合
(θ＜19°)、 水 路 勾 配 に よ る相 対 エ ネ ル ギー 損 失 の違 い
は ほ とん ど見 られ な い。これ は、水 路 勾配 が小 さい とき、
― 418―
与 え られ たdcに 対 して 各 ス テ ップ に形 成 され る渦 の形 成
領 域 は水 路 勾 配 の 変化 に よっ て ほ とん ど変 わ らず 、 射 流
水 深 の変 化 が 小 さか っ た た め と考 え られ る。 また 、 与 え
られ た水 路 勾 配 に対 して 、相 対 落 差 高 さHs/dcが 大 き くな
る と、 階 段 状 水 路 の相 対 長 さが 長 くな り、 段 数 の 増加 に
伴 い 渦 が 形成 され て い る箇 所 が 増 加 し、図-7に 示 され る
よ うに、相 対 エネ ル ギー 損 失 ΔH1/Hmaxの値 が 大 き くな る。
なお 、 擬 似 等 流 状 態 の 領 域10)で は 、 著 者 らに よ っ て
Skimming flow の 抵 抗係 数fが 明 らか に され 、 次 の 関係
が 得 られ て い る9),10)。
(6)
(4)式お よび(6)式 の関係 か ら、相 対 エネ ル ギー 損失
ΔH1/Hmax=F(Hs/dc,S/dc,tanθ)の
関係 が得 られ、擬似 等流
状態 となる領域(図-6、7の 斜線 で示 した領 切 では、図
-6 、7の 実線 の よ うにな り、実験値 と一致 して いる。
4-2.跳 水 の 形 成 を含 ん だ エ ネル ギー 損 失
階段状水路直下流側に跳水が形成 され る場合 を対象 と
して、階段状水路上の射流 区間のエネル ギー損失 と階段
状 水路直下流側での跳 水部のエネル ギー損 失を合 わせた
損 失水頭 ΔH2を求 めるた め、階段状 水路上流側 の断面 と
跳水終端断 面 との間でベルヌーイの定理 を適用す る と、
次式が得 られ る。
(7-1)
(7-2)
こ こに 、H2は 跳 水終 端 断面 で の全 水頭 、h2お よびV2は 跳
水 終 端 断 面 での 常 流 水 深 お よび断 面 平均 流 速 で あ る。 ま
た 、(7)式 に お い て 、跳 水 終 端 断面 にお け る圧 力 は 静 水 圧
と し、エ ネ ル ギ ー補 正 係 数 を1と 仮 定 して い る。さ らに、
Hs=Hdamとして い る。
な お 、跳 水 始 端 は階 段 状 水 路 か らの流 線 の 曲が りに よ り
底 面圧 力 が最 大 とな る断 面 と した(図-5参 照)。
相 対 ス テ ッ プ 高 さS/dcの 値 が0.4∼0.5以 上の
Skimming Flow を対 象 と した場 合 、一 般 に跳 水 終 端 で の
相 対 水 深h2/dcは 水 路 勾 配tanθ お よび 相 対 落 差 高 さ
Hs/dcに よ って 変 化 す る9),10)。なお 、擬 似 等 流 状 態 で は
h2/dcはtanθ のみ に よ って 変 化 す る。
跳 水 の形 成 を含 ん だ相 対 エ ネ ル ギー 損 失 ΔH2/Hmaxは次
の 関係 で示 され る。
(8)
 図-7 Skimming flow の 相 対 エ ネ ル ギ ー 損 失 に 対 す る
a)θ=5.73°
相 対落 差 高 さ、水 路 勾 配 の影 響

b)θ=19°
図-8 射 流 区 間 と跳 水 部 とを合 わせ た
相 対 エ ネル ギ ー損 失

c)θ=55°

図-6 Skimming flow の 相 対 エ ネ ル ギ ー 損 失 に 対 す る 図-9 跳 水 を含 ん だ エ ネ ル ギー 損 失 に 対す る

階段 状 水 路 上 のエ ネ ル ギ ー損 失 の割 合
相 対 ス テ ップ 高 さの影 響

― 419―
 (8)式の関係 に基づ き実験値 を整理する と、図-8に 示 Weirsand Spillways,Pegramon,Oxford, U.K., 1995.
され るよ うに、水 路勾配 に よる相対エネル ギー損失の変 2) Essery, L.T.S. and Homer, MW: The Hydraulicof Stepped
化は小 さく、相対落差高 さによって ΔH2/Hmaxの
値 が大き Spillways,MIA Report No.33, 2nd edition, Jan, London,
く変化す る。 U.K.,1978.
相 対 ス テ ップ 高 さS/dcの 値 が0.4∼0.5以 上の 3) Chanson,H.: Hydraulicsof SkimmingFlows over Stepped
Skimming Flow を対象に して、階段状水路上 の射流区間 Channelsand Spillways,J. Hydr.Research,TAHR,Vol.32,No.3,
と階段状水路直下流側 での跳 水部 とを合 わせたエネルギ pp.445-460,1994.
ー損失 に対す る階段状水 路上の射流 のエネル ギー損失の 4) Peyas, L, Royet, P. and Degoutte, G.: Flow and Energy
割 合 ΔH1/ΔH2を示 した もの を 図-9に 示 す 。 なお. Dissipationover SteppedGabionWeirs,J Hydr Engrg.,ASCE,
ΔH1/ΔH2の
算 定にあたっては、階段状水路上流側の全水 118(5),pp.707-717,1992.
頭Hmaxを 同一 に してい る。 図に示 され る ように、与 えら 5) Chamani, M. R. and Raratonam, N.: Characteristicsof
れ た相対落差高 さに対 して、水路勾配 が小 さくなると、 SkimmingFlowover SteppedSpillways, J.Hydr Engrg, ASCE,
ΔH1/ΔH2の
値 は大 きくな る。 これ は、同一 の相対落差高 Vol.125,No.4, pp.361-368,1999.
さに対 して、水路勾配が小 さくな ると、階段状水路の相 6) Matos, J. and Quintela, A: Flow Resistance and Energy
対長 さが長 くな り、階段状水路上の射流 区間のエネル ギ Dissipationin SkimmingFlow over SteppedSpillways,1st Int.
ー損失が大 き くなるた めで ある。また、階段状水路上の Conf. on WaterResourcesEngineering,ASCE, San Antonio,
射流区間のエネル ギー損失が常 に射流 区間 と跳 水部 を含 Texas,USA,Aug.,pp.583-588,1997
んだエネル ギー損失の7∼8割 以 上 となってい る。この こ 7) Fratino,U. and A Piccinni,F.:DissipationEfficiencyof Stepped
とか ら、階段状水路 の利用 は傾斜面上 を流下す る射流の Spillways,Hydraulics of Stepped Spillways,A.A.Balkema,
エネルギーを減勢 する効果が大 きい ことが理解 され る。 Rotterdam,pp. 103-110,2000.
8) Peruginelli,A and Pagliara,S.: EnergyDissipationComparison
among Stepped Channel, Drop and Ramp Structures,
5.ま とめ
Hydraulicsof SteppedSpillways.,A.A.Balkema,Rotterdam,pp.
111-118,2000.
階段状水 路におけるSkimming flow のエネル ギー損 失 9) Yasuda,Y and Ohtsu,L:FlowResistanceof Slcimming
Flowsin
について広範囲な実験 条件で系統的 な検討 を加 え、階段 SteppedChannels,Proc. of XXVIIIBiennialCong, Spillways
状水路上の射 流のエネル ギー損失 は水路勾配、相対 ステ and ChuteStructures,B14,IAHR,Aug.,1999.
ップ高 さ、
お よび 相対落差高 さに よって特徴づ け られた。 10) 安 田 陽 一, 高 橋 正 行, 大津 岩 夫: 階段 状 水 路 の流 水
・階段状水路上の射 流のエネル ギー損 失に対す るステ ッ 抵 抗, 水 工 学 論 文 集 土 木 学 会, 第44巻, pp.527-532, 2000.

プ高 さの影響 を明 らかに した(図-6)。また、同一の水路 11) Ohtsu, I., Yasuda, Y, and Takahashi, M.: Discussion of
勾配tanθ お よび相対落差高 さHs/dcに対 して、相対ステ Characteristicsof SkimmingFlow Over SteppedSpillways, J
ップ高さS/dcの 値 が0.4∼0.5以 上のSkimming Flow が Hydr.Engrg.,ASCE, 126(11),2000,(to be published).
形成 され るよ うに階段状水路を設 計す る と、階段状水 路 12) Ohtsu,I. and Yasuda,Y: Characteristicsof flow conditionon
に よる射流のエネルギー損失が最大 となるこ とを示す こ stepped channels,The 27th Cong of LAHRWaterResources
とができた。 EngineeringDiv./ASCE,Aug.,San Francisco,USA,pp.538-588,
・階段状水路上の射流区間 と階段状水 路直下流 部に形成 1997.
され る跳水部 を合わせた相対エネルギー損失 を算出 した 13) Chamani,M R: Air Inceptionin SkimmingFlow Regimeover
結果、水路勾配 による相対エネル ギー損 失の変化は小 さ Stepped Spillways, Hydraulics of Stepped Spillways,
く、相対落差高 さによって大 きく変化す るこ とが示 され A.A.Balkema,Rotterdam,pp. 61-67,2000.
た(図-8)。 14) Bose, R. M. and Minor,H. E.: Guidelinesfor The Hydraulic
・与え られ た階段状水路上流側の全水頭 に対 して、階段 Design of SteppedSpillways,Hydraulicsof SteppedSpillways,
状水路直下流 部での跳水 を含 めたエネル ギー損 失に対す A.A.Balkema,Rotterdam,pp. 163-170,2000.
る階段状水路上 の射流 区間 のエネルギー損失 の割合が常 15) 高 橋 正 行, 安 田 陽 一, 大 津 岩 夫: 階 段 状 水 路 に お け る

に7∼8割 以上 とな り(図-9)、
階段状水路に よる射流 のエ Skimming flow の 空 気 混 入特 性, 第55回 土 木学 会 年 次 学 術

ネル ギー減 勢効果が大 きい ことが明 らかに され た。 講 演 会, II-176, 2000.

16) Ohtsu,I., Yasuda,Y, andTakahashi,M.: Discussionof Onsetof
参考文献 SkimmingFlow on SteppedSpillways, J.Hydr.Engrg, ASCE,
1) Chanson, H.: Hydraulic Design of Stepped Cascades, Channels, 127,2001,(tobe published).
(2000.10.2.受 付)

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