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北十字星線には死神がいる

◎あらすじ
-ガタンゴトン、ガタンゴトン

きがつくとあなたはきしゃにすわったままねむっていた
みずからを【しゃしょう】となのったこどもは
むじゃきにあなたにわらいかける

「めいかいまでのひとときをごゆるりとおたのしみください」

◎注意事項

・RP 重視のシナリオとなっています。キャラクターや世界観に没入しながらプレイしてい
ただくとより楽しめるでしょう。HO の読み込みの時間にしっかり落とし込んでください。

・このシナリオでは誰でも自由に嘘をつくことができます。ですが、必要の無い嘘は推奨し
ません。隠したい情報がある場合、話を逸らしたり「答えられない」と伝えたりする方が良
いでしょう。

・HO や追加情報の内容には嘘の情報は記載されておりません。

・導入文も含めて物語の情報となっています。話をよく聞きましょう。

・この物語はフィクションです。実在する団体とは一切の関係がありません。
◎導入

-ガタンゴトン、ガタンゴトン

聞き馴染みのある音とともに心地よいリズムが身体に伝わってくる。いつの間にか電車に
座ったまま眠ってしまっていたのだとあなたは気がついた。
通勤中だっただろうか、あるいは通学中だっただろうか。頭に鈍い痛みが走る。

思い出せない。

ひどく重たい瞼をあけ、あたりを見回す。クロスシート式に並んだ木造りの椅子。きれいに
張られた臙脂色のモケット生地。等間隔で聞こえる「ガタンゴトン」という音。身体に伝わ
る微かな心地よい振動。ふと横を見やると古びた窓がある。あなたはどうやら汽車に乗って
いるようだった。状況が少し把握でき、安心するあなた。
外は真っ暗で何も見えない。夜なのだろう。
白熱灯のほのかな灯りで車内は暖かく照らされている。
だが、次の瞬間、違和感に気がつく。

「ワタシの姿が写っていない?」

車内風景は鏡と化したその窓に自身の姿を映し出しているのに、どういうわけか自分の姿
だけが見えない。はっと手のひらを見やるが手は見える。頭、顔、首、上から順に自分の形
を確認していく。
触れることができる、ワタシはワタシの形をしている、それなのに、自分の姿が確認できな
いというのはこうも不安なことなのか。そう思った刹那、鼓動が大きく、早くなっていく。

つ、と首筋を冷や汗が流れ落ちていくのを感じた。
ゴクリ、と固唾を飲む音が聞こえたや否や、
状況にあまりにも似つかわしくない声が耳をつんざく。

「やあやあ!憐れな人の子よ!キミはどうやってここに来たのかな?殺されちゃった?不
運な事故?それとも原因不明の突然死??おっと、驚かせてしまったね、そんなに怯えない
でおくれ。ボクの名前はシラトリ!この汽車の車掌をしている。冥界に着くまでの短い間だ
けどよろしく頼むよ!」
車掌、のような姿をした子どもがブカブカの帽子をとり、わざとらしく大袈裟にお辞儀をす
る。
この子ども、今なんと言っていた?

『どうやってここに来たのかな?』
『冥界までの短い間』

たしかにそう言った。最初からこの電車に乗っていた訳では無いのだろうか。冥界とはどう
いうことか。……ワタシは死んでしまったとでもいうのだろうか?

「おやぁ〜?鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているね?アッ、ボクはアナタの顔どこ
ろか実体を見ることはできないんだけどね?魂の形の変化からなんとなく表情を読み取る
ことはできるよ、なんてったって車掌だから!」
そう言って、えへん、とポーズをとる。
ワタシの知り得る車掌はそんな能力は無い。一体何が起きているのか全く分からない。…い
や、理解を拒んでいるのかもしれない。
ワタシが口を噤んでいると車掌と名乗る子どもは話を続ける。

「やっぱり思い出せないようだね、自分がどうやってここにたどり着いたのかを!多少の
察しはついていると思うけどキミは死にかけているよ。先に伝えたけどこの汽車は冥界行
きなんだ。ただ、ここに乗ってくるお客様は皆自分が死んだことを、死にかけていることを、
理解していない!キミもそのヒトリだ!キミは思い出さなければならない、自分のコト
を!何故、ココに乗車してしまったのかを!自分がどこへ向かうべきかを!」
演説でもするかのように車掌は語る。死にかけていると聞いてもイマイチ分からない、この
子どもの言うように、だからこそワタシはこの汽車に乗ってしまったというのだろうか。

「行先の可能性は 3 つだ!肉体が死んでいるのならキミが向かうべきは天国、もしくは地
獄。現世へは戻れない。いや、正確には戻れるんだけど、肉体は死んじゃってるからそのま
ま幽霊になっちゃうよ。そうなるとなかなか冥界へ行くことはできなくなるからオススメ
しないね!アッ、冥界っていうのは天国と地獄の総称のことだね!もしキミの肉体が生き
ていて、生死を彷徨ってここに来てしまったのなら肉体に戻って生き返ることも可能だよ。
とにかく自分の状況を思い出してもらう必要があるね!」

ワタシはシラトリに尋ねる。
「…思い出せば自分の向かうべきところが分かるのかな?」
シラトリは答える。
「そう!もしキミが記憶を取り戻したときに肉体が死んでいたらキミの手には切符が握ら
れるはずだ!天国行きか地獄行きか記された切符がね!肉体が生きていれば勿論現世へ戻
れるし、切符は発券されないよ!ただ、現世に戻りたくないと判断してそのまま汽車に乗車
し続ける人もいるけどね?」

ふむ。と少し考えてからもう 1 つシラトリに尋ねる。
「思い出す為の手立てはあるのかな…?今のところ何も思い出せないし、死んでいるかも
と言われても尚ピンとこないんだけど……?」

シラトリは待ってましたとばかりに答える。
「もちろんあるさ!ボクは車掌だからね!生前のキミの記録を少しだけ手元に持っている
んだ。それからこの写真機!これで生前のキミの記録を一部分だけプリントすることがで
きるよ!出てくるのは写真じゃなくて文字だけどね!」
レトロチックな写真機を見せびらかしながら、やはり少し威張るように説明をする。言い終
わって少し間があったかと思うと、ハッ!とした表情でワタシに告げる。

「そうそう、イマこの汽車に乗ってるのはキミだけじゃなくてもう 1 人居るんだ!ボクは
運転の業務もあって四六時中ここには居られないから、2 人でお話でもしてみたらどうだ
い??同時に送られてくる魂は生前関わりがあることが多いんだよね。話すことで思い出
すこともあるかもしれないしないかもしれない!話してみないと分からないけどねえ!蓋
を開けてみたら相手は自爆テロの犯人で自分を殺した相手だった、なんてことも過去には
あったからねえ!」
愉快そうに笑っているがその顔はどこか闇を秘めているようにも見えた。

「そういうわけで、もう 1 つの魂をここに連れてくるからね!同じ説明をそっちの魂にも
してあるから安心してくれていいよ!待っている間にこれを読んでるといいよ、ボクが分
かっているキミの生前の記録だ!」
ワタシに紙切れを押し付けると、そう告げて車掌は別の車両へと行ってしまった。

あなたがもらったのはどちらの紙切れでしょうか。
話し合いで自身の演じるプレイヤーを決めてください。

◎HO 選択
HO1-(名前、年齢、性別、死因不詳)
HO2-(名前、年齢、性別、死因不詳)

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