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クトゥルフ神話 TRPG シナリオ

黄身と蜂蜜

「きみのいない世界は、にがくてさみしいんだ」

~ シナリオ目次 ~
1.概要
2.背景
3.シナリオの流れ
4.本文
5.あとがき

- 用語
「KPC」…KP 側が出す探索者
「PC」…PL 側が出す探索者

- シナリオ内表記
〈〉…技能
【】…正気度喪失(SAN 値チェック)
…場面転換
情報…実線の枠
KP 向け情報…点線の枠
1.概要
▼シナリオ
シナリオ形式:クトゥルフ神話 TRPG、6 版対応
プレイ人数 :1 人(KPC とのタイマン)
推奨 PC :新規/継続可、PC が KPC を助けにいけるような関係推奨
プレイ時間 :ボイセ 4 時間、テキセ 6 時間 程度
※RP により変動
推奨技能 :〈目星〉
あると楽しい:〈料理系技能〉

▼難易度
KP 難易度:低~中
PL 難易度:中
ロスト率:低~中

▼あらすじ
探索者が目を覚ますと、見覚えのない白い天井。
隣では KPC がベッドに上半身だけを乗せ、すやすやと眠っている。
暖かい空気の流れる見知らぬロッジで、探索者と KPC は 1 日を過ごすことになる。
「きみのいない世界は、にがくてさみしいんだ」

▼こんな人におすすめ
・仲の良い(良くなりたい)2 人で RP したりお話したい
・しあわせな時間を過ごしたい
・でもしんどくなったりヒヤヒヤしたい

以下からは KP 向け情報のため、PL として通過したい場合は読まないようにしてください。

2.背景
広大な地下帝国に住んでいる、クン=ヤンの民というものがいた。一部のクン=ヤンの民はシュブ=ニグラス
を信仰し、その生贄としてたびたび人間をおびき寄せていた。都合の良い人間を見繕って、彼らが眠っている
間に魂を引き寄せ、覚醒世界とドリームランドの間にある空間(シナリオ内のロッジ)に閉じ込めた。そこへ
定期的に黒い子山羊が訪れ、ロッジにいる人間をシュブ=ニグラスの生贄として回収していた。
不運にも眠っている間に生贄としてロッジに連れてこられてしまった PC。KPC はいなくなった PC を探してい
るうちに、同じくクン=ヤンの民に見つかってロッジに連れてこられてしまう。そこで KPC はクン=ヤンの民
と取引をする。それは PC を元の世界に帰す代わりに、KPC をそのままロッジに置いてシュブ=ニグラスの生贄
にするというもの。KPC はロッジで最後の時を PC と過ごす。
本シナリオは、そうして目覚めた PC と KPC がロッジで 1 日を過ごす場面から始まる。

※自己犠牲をしないタイプの KPC、まだ仲良くない関係性など、改変が必要な場合※
KPC は PC が行方不明になったことを知りつつ、気に留めていた程度かもしれない。しかし、PC がロッジに
閉じ込められてから、その知り合いである KPC もクン=ヤンの民に目を付けられてしまう。ロッジで 1 人だけ
先に目を覚ました KPC はクン=ヤンの民と取引をする。それは PC を元の世界に帰す代わりに、自分が実験に付
き合うというもの。
この場合の KPC は、クン=ヤンの民に口止めされているため真相については何も話さないものの、PC が元の世
界に戻ってから自分を助けに来てくれることに賭けているかもしれない。2 人とも生贄になるくらいなら PC に
賭けてみよう、という考えである。

他にも、KP が思いつくような KPC に合う改変があれば採用して構いません。


悪意のある改変でなければ OK ですが、大幅に改変する場合は、改変した旨をプレイ後 PL に伝えることをお勧
めします。
描写は KPC を「彼」と表記していますが、適宜いろいろ改変しちゃってください。
他、細かなシナリオ背景については本文の KP 向け情報(点線で囲まれた部分)に記載してあるので、参考にし
てください。

◇参考
クン=ヤンの民(『マレウス・モンストロルム』p.44)
シュブ=ニグラス(『基本ルールブック』p.216、『マレウス・モンストロルム』p.178)
黒い子山羊(『基本ルールブック』p.177、『マレウス・モンストロルム』p.43)

3.シナリオの流れ

① 小屋での 1 日
この時点で KPC は、今夜 PC を元の世界に戻す事を目指している。それまで 1 日を小屋で楽しく過ごすことが
目的。ただし、自分は犠牲になること前提のため、PC に対して事情を隠すかもしれない。一方 PC の方は、突
然攫われて連れてこられているので、特に記憶などは無い。気付いたら小屋にいた状態。本当は 3 日前にすで
に行方不明になっているのだが、それからずっと小屋で眠っていた。KPC はそんな PC を探していて、ここまで
連れてこられたのである。
(改変した場合、KPC は PC の知り合いということで後から連れ去られている。PC より早く目が覚めて、クン
=ヤンの民と取引をした。どちらにしろ、今夜 PC をもとの世界に戻すという約束をしているので、それまでの
時間つぶしになる)

②PC の探索
小屋で眠りにつき、目を覚ますと PC は現実世界に戻っている。しかし KPC はいない。PC は KPC を探すべく、
探索を始めるだろう。KPC の家を探索した後、洞窟に向かい、KPC が取引したのとは別のクンヤン人に協力を
仰ぐことになる。

③ 二人で現実へ
クンヤン人の協力で再び小屋へ戻った PC は、息も絶え絶えになっている KPC を発見するだろう。クンヤン人
の道具の助けを借りて KPC を治療し、2 人で現実に戻るか、ここに残るかを選ぶことになる。

※注意事項
・「目覚め」からのシーンでは、PC が行方不明になった KPC を探しに行く必要があります。PC が KPC を探さ
ないと、KPC はロストしてしまうので気を付けてください。
・「再び小屋へ」のシーンでは、KPC がクンヤン人に拷問された後ということになっています。よりグロテス
クに描写する、もしくは軽度の拷問にするなど改変は自由ですが、KPC が酷い目に合うので苦手な方は注意し
てください。

4.本文
導入
ぼんやりとした意識の中、口に苦みが広がった。にがい、くらい、さむい。誰かに助けを求めたくなるよう
な、そんな気分。あなたは一人で暗闇を歩いている。月の明かりひとつ無い真夜中。隣には誰もいない。足を
進めても地面の感覚はなくて、心細くてたまらなくなる。
ふと、口に甘みが広がった。それと共に、片手に暖かさを感じる。あまくて、あたたかい。冷えていた体が、
何かに包まれているような感覚。ふしぎな安心感と共に、あなたの意識はゆっくりと浮上する。

クン=ヤンの民に魂を引き寄せられている時、暗くて寒い地下通路を通っています。眠っているので無意識で
すが…。暖かさは、横にいる KPC のものです。

小屋
はっと目を覚ます。視界に広がるのは木材の天井。体にかけられた布団をめくり、体を起こせば、見たこと
のないベッドにあなたは寝かされていた。右手に暖かさを覚え、ふとそちらを見れば、自分の横に突っ伏すよ
うにして誰かが眠っている。顔は見えないけれど、それが KPC であるとあなたは理解することが出来る。彼は
地面に座り、上半身だけをベッドに乗せて、すやすやと寝息を立てている。その手は、今の今まで眠っていた
自分の右手を握りしめていた。
見たことのない部屋で目覚めた探索者は【正気度喪失 0/1】

探索する場合は後述「部屋を見回す」へ
!もしも格好について言及された場合は、〈アイデア〉でいつも身に付けている物がひとつなくなっているこ
とに気付く。後述の「落とし物イベント」参照。

▼KPC を起こす
KPC を起こすなら、彼は軽いうめき声をあげてゆっくりと身を起こすだろう。顔を上げれば、寝ぼけ眼があな
たの姿を捉える。
「PC…?」
次の瞬間、KPC はがばっとあなたに抱き着いて、声をふるわせて言葉をつづけた。
「良かった、本当に、良かった…」
「えっと、その…夢を見て。夢の中で PC がいなくなっちゃうような気がして、怖くなっちゃったんだ」
一通り話せば、彼は体を離して再びあなたの顔を見つめ、安堵のため息を漏らすだろう。
「えっと…それで、ここはどこ…?」

▼部屋を見回す
部屋は全体的に木で出来た、可愛らしいイメージで統一されている。窓から差し込む日光で、部屋全体が暖
かい。キッチンやテーブル、ベッドなどが一部屋に詰め込まれているようで、玄関扉とトイレらしき扉以外に
他の場所へ続く扉は見受けられない。香ばしいような不思議な匂いがあたりに漂っている。

[探索可能箇所]
ベッド、テーブル、キッチン、棚、本棚、トイレ、窓、扉

探索の途中に、後述の「料理イベント」「おやつイベント」「落とし物イベント」を挟んでください。好きな
タイミングでどうぞ。
全部の探索が終わったら、後述の「おやすみイベント」に移行してください。

逃げたくなくなるように、連れてきた人間の好きそうなものを置いたり、心地良いように作ってある部屋です。
クン=ヤンの民、意外と優しいのか…?(のちに拷問します)
後述の「クンヤン人の家」にあるように、精神に作用する麻薬などを作ることも出来るので、そういうのを置
いても良いです。

〇ベッド
木でできたベッドに、白いシーツが敷かれている。その上に毛布が何枚も敷かれているようで、ふかふか。
柔軟剤のような良い匂いがする。

〇テーブル
木でできたテーブル。長細く、二人分の椅子が向かい合って置かれている。上には小さな花瓶がセットされ
ている。

・花瓶
黄色い華やかな花が活けられている。
〈生物学〉or〈知識/2〉:黄色いヒヤシンスであると分かる。
(クリティカルの場合、花言葉が「あなたとなら幸せ」と分かる)

〇キッチン
木と石で出来た可愛らしいキッチン。冷蔵庫やシンク、コンロなど、一般家庭に必要とされる物は一通り揃
っている。戸棚を開けるならば、包丁やまな板、カトラリーや調味料なども欠けることなく収納されている。
冷蔵庫には、牛乳や卵、その他の食材が所狭ましと並べられている。このキッチンでは、料理に必要なものを
探せば大抵は揃えられるだろう、と感じる。

〈目星〉:調味料が並べられた棚の奥に、黄金色に輝く半透明の液体が入った瓶があるのに気付く。ラベルな
どは貼られていない。
→〈聞き耳〉:蜂蜜のような甘い香りがする。

〇棚
トランプやカードゲームなどが入っている事が分かる。
(KPC の趣味に合わせたものが入っている)

〇本棚
絵本や専門書など幅広い分野の本が収納されている。
〈目星〉一冊飛び出た本が見つかる。色々なレシピが乗っている。
〈図書館〉KPC の趣味と PC の趣味に合わせた本がそれぞれ 1 冊ずつ見つかる。数時間かけて読むならば、それ
ぞれに見合った技能に 1D6 の成長をしていい。

〇トイレ
トイレとバスタブが一緒になったユニットバスの部屋。着替えや生活用品が 2 人分置かれている。少し狭い
がぴかぴかに磨かれ、鏡には自分の姿が映っている。
〈目星〉or〈アイデア〉自分のいつも身に付けているものが無くなっていることに気付く
「落とし物イベント」参照。

〇窓
カーテンが端にくくられて、外が見えるようになっている。光が差し込む窓の向こうには、森のような景色
が広がっていた。木々がそこらじゅうに生えているが、上からは太陽光が差し込んでいる。ここからでも見え
るほど木の実がなっていたり、草花が咲いていたりと、森とは言えど華やかな景色である。

〇扉
木でできた扉。玄関らしく、自分の靴と KPC のものらしき靴が二足並べられている。扉には内鍵が無く、ド
アノブをひねれば外に出られそうだ。

▼外に出る
外に出ると、(窓から見た景色と同じように、)そこには森が広がっていた。上空からは太陽光が差してお
り、温かな空気を感じることが出来る。目の前に広がる木々には木の実が溢れんばかりになっていて、足元に
は草花が生い茂っている。多種多様な植物が、そこに集っていた。まるでおとぎ話の森の中に迷い込んでしま
ったかのようだ。
下記の行動やかくれんぼなど遊ぶことも出来るが、小屋から離れていこうと歩くならば KPC が止める。実際に
歩いても、景色は変わらないままである。

・木の実を取る
〈跳躍〉や〈DEX*5〉で取る事が出来る。他にも、KPC と肩車をする、おんぶをするなどして高い所になって
いる木の実を取ることが出来る。

・草花などを採集する
〈目星〉などで探すことが出来る。

(例:栗、柿、ベリー、苺、キノコ、筍)

- イベント一覧
▼料理イベント
KPC がおなかがすいた、などと言う。同じく PC もおなかが空いていることに気付く。キッチンにあるものを使
って料理をしよう!
芸術/製作〈料理〉、もしくは〈DEX*5〉などで判定。本棚でレシピ本を見つけている場合、+20 の補正がかか
る。
(例:おにぎり、たけのこごはん、サラダ、オムライスなど。)

▼おやつイベント
KPC がおやつを食べよう、などと言う。本棚で見つかるレシピ本を見て、パンケーキを作りたいと言う。
パンケーキは例なので、改変も可能。その場合描写を用意するといいかも。牛乳は後述の茶番ダイス、蜂蜜は
伏線として使うと良いと思います。

〈料理〉or〈DEX*5〉
材料を一通りそろえ、キッチンに並べる。コンコン、カシャリと音を立てて鮮やかな黄身と透明な白身がボウ
ルに落ちる。カシャカシャと銀色の泡だて器が黄色と透明を混ぜ合わせ、そこに真っ白な牛乳とヨーグルトが
注がれる。薄黄色のホットケーキミックスも混ぜ合わせられ、泡だて器を動かす速度が次第に遅くなってくる。
コンロでは、カチリと音を立てて火がつけられる。真っ黒いフライパンに、バターがじゅわりと溶けていく。
とろとろと流れ込む生地の形を整え、少し言葉を交わしながら時間を待つ。しばらくして、生地をひっくり返
せば、こんがりとした焼け目のついた面が見える。またしばらく、言葉を交わして時間を待つ。
そうしてただパンケーキを作っているだけの時間を、あなたは退屈だと思うかもしれないし、幸せだと思うか
もしれない。
「できた!」
KPC の声と共にお皿に乗せられたパンケーキは、(失敗したなら少し出来は悪いが)こんがりとした焼け目が
ついていて、先ほどご飯を食べたにもかかわらずあなたの食欲をそそるだろう。

食卓にパンケーキを並べると、KPC が手に黄金色の半透明な液体が入った瓶を持ってくる。
「棚の奥にあったんだ、蜂蜜!PC もかける?」
彼はそう言うと、スプーンで金色に輝く蜂蜜をパンケーキに垂らす。とろりと光を反射して輝く蜂蜜が、パ
ンケーキをより一層美味しそうに見せるだろう。
「じゃ、食べよっか!いただきます」

食べた探索者は、1d100 をふる。
1~20→力が湧いてくるような気がする。CON+1
21~50→心の底から安心するような美味しい味。SAN+1d6
51~80→安心する味。SAN+1d3
81~95→とてもおいしい。SAN+1
ファンブルは何もなし。喉に詰まらせてせき込んでしまうかもしれない。

牛乳はシュブニグラスの乳、蜂蜜には黄金酒の元になるものが含まれているからです。
ここは黒い子山羊が来たり、クンヤン人が来たりする場所なので、神話に関する材料が置いてあります。こん
なとこに置いておくなんてちょっとうっかりさんですね。

▼落とし物イベント
「あ、そういえば…」といって、KPC がポケットから(PC のいつも身に付けているもの)を取り出す。
「さっき、部屋調べてる時に落ちてたんだ。PC のだよね?」

この落とし物は、PC が落としたものを、先に目覚めた KPC が拾って持っていたものです。嘘がうまい KPC なら


「なんか落ちたぞ」とか言って拾ってあげても良いです。
「クンヤン人の家」で重要なアイテムになってくるので、このイベントは挟むようにしてください。

▼おやすみイベント
あなたがお風呂から上がり部屋に戻ると、窓にぽつぽつと雨粒のあたる音が響いていた。
「あ、PC。雨降ってきたみたいだね」
「これ、ココア!冷えるかもしれないし、作ったから飲んで」
ココアを飲むと、暖かさが喉を通って体をめぐり、全身に広がっていくのを感じる。程よい甘さが口の中に広
がり、思わず口元が綻ぶかもしれない。
温まったからか、少しずつ瞼が重くなってくるのを感じる。その様子を見てからか、KPC があなたに声をかけ
る。
「眠くなってきた?少し早いけど、先に寝たらいいよ」
椅子から立ち上がるならば、思いのほか自分の身体が重く感じる。今すぐにでもベッドに倒れ込んでしまい
たいくらいだ。ふらついた足取りを見て、KPC が心配そうに手を貸す。
ベッドに寝転ぶと、KPC がそっと布団をかける。あなたは、全身をめぐる暖かさと眠気に、すぐさま目を閉
じるだろう。
「おやすみ、PC」
おでこに乗せられた暖かい手の感触を覚えながら、あなたの意識は沈んでいった。

KPC が睡眠薬的なものを入れていたのか、帰るタイミングが来たから PC が眠くなっただけなのか、KP さんの


解釈にお任せします。

目覚め
暖かい体温が、自分の手から離れてどこかへ行ってしまうような気がした。そんな夢を見て、あなたは目を
覚ます。そこは、見慣れた自分の部屋だった。どこからか入り込んだ風が、頬を撫でる。無意識に手をやった
その頬に、一粒の涙が流れた。そうして初めて気づいた。どうして自分は泣いているのだろうか?胸に広がる
喪失感が、本能的に一つの可能性を思わせた。もしかしたら、KPC はもうこの世界にいないのかもしれない、
と。
ここから行動が出来る。尚、PC はこの時点で 3 日行方不明になっている。実家暮らしであれば、両親が泣いて
安心するだろうし、警察を呼んでいれば事情聴取で拘束されるかもしれない。
いくら時間がかかれど、KPC の家に行く場合は探索が出来る。

KPC の家
(KPC の家に合わせて描写は適宜改変してください)
何度か訪れたことのある、幾分古びたアパート。カンカン、と足音を響かせ鉄さびた階段を上れば、KPC の家
の扉が見える。
ドアノブに手をかけると、キィ、と音を立てて扉が開いた。鍵はかかっていないようだ。
扉を開き、足を中に踏み入れる。ばさ、と奥のカーテンが翻り、窓から部屋に風が入り込んだ。こたつの上
に置いてあった紙が、風で宙に舞い、そのまま床に落ちる。物が散乱した室内は外からの光だけで照らされ、
主人の居ないもの悲しさを感じさせる。その様子を見て、あなたはここに、いや、この世界にもう KPC がいな
いのだということを確信してしまう。
【正気度喪失 0/1】

[探索可能箇所]
テーブル(こたつ)、ベッド(布団)

改変した場合、KPC は PC が行方不明の時に、そこまで熱心には探していなかったかもしれません。その場合置
手紙などは無くてもいいですが、パソコンの掲示板の情報は出してください。
ちなみにこのパートは、KPC の家の様子を深めるのにも使えます。楽しい。

〇テーブル
狭い部屋の真ん中に置かれたこたつ。上には載っていた紙が散乱し、床にも何枚か落ちている。開かれたまま
のノートパソコンが乗っているが、画面は消えているようだ。

・紙
見てみるならば、手書きのメモのようだ。多くの場所が書き連ねられ、それに上から悉く線が引かれている。
〈アイデア〉行方不明であった自分を探していたのかもしれない、と分かる。
〈目星〉床に落ちた紙の中から、小さめのメモを見つける。

「PC へ
もしどこかから帰って来て、もし僕の家に来てこれを見たら、僕に電話してね!今からちょっと、出かけてく
るよ
とりあえず、おかえりなさい!帰ってきてくれてよかった!
KPC」

・パソコン
マウスを動かせば、スリープモードになっていたのか、画面がぱっと薄暗い部屋を照らす。どこかの掲示板
を開いていたようで、表示されたままになっている。
「『探し人を見つけてくれる洞窟』ってのが怪しすぎる件について
1.オカルト好きのななし
奥多摩の山の麓のどこかに、地下に続く扉があるらしいんだよ。そこから洞窟に続いてて、トンネルがある
らしいんだけど、そこを通ってると地底人の住処にいけるらしい

2.オカルト好きのななし
胡散くさ ソースは?

3.オカルト好きのななし
>2 俺の知り合いの話だから確かに確証はない。でも本当に、行方不明になってたその人の奥さんが帰って来た
んだって

4.オカルト好きのななし
俺の知り合いは逆にそこに行って行方不明になったんだが…何か住んでるのか?マジで

5.オカルト好きのななし
地底人がいたとして何で人間に協力してんだよ 優しいかよ

6.オカルト好きのななし
とりあえず件の山の場所だけ貼っとく(以下に住所が記載されている。)
誰か行ったら報告してくれ

7.オカルト好きのななし
いやお前が行けよ

〇ベッド(布団)
布団を捲ってみるが、何も無い。仄かに、太陽のような、柔軟剤のような、KPC と居る時の香りがする。あ
なたは KPC と一緒に小屋の中にいた時の事を思い出すかもしれない。

▼洞窟へ向かう
奥多摩に行くのに、都内からだと 2 時間はかかる。
この場面で出来ることは洞窟に向かうことくらいである。
向かわなかった場合、「エンディング」の「END5」へ。KPC はロストとなる。

洞窟
あなたは電車を乗り継ぎ奥多摩のとある山へ向かう。山の麓へ着けば、人通りの無い道に冷たい風が吹き、
肌寒さを感じるだろう。

〈目星〉地面にマンホールがある。気になるものはこれくらいだ。
この情報が無いと進まないので、どうにか出しましょう。時間をかければ見つけられるが、焦っている PC なら
SAN 値を減らしても良い。

▼マンホールを開ける
マンホールの蓋は重い。〈STR*5〉に成功すると開けることが出来る。
失敗した場合も時間をかければ開けられるが、焦っている PC なら SAN 値を減らしても良い。

マンホールの蓋をゆっくりと持ち上げれば、下に空洞がある事が分かる。側面に突起が付いていて、慎重に
進めば下に降りることが出来そうだ。じめじめとした空気が下からせり上がってくるのが分かる。
ゆっくりと足を突起にかけて下に進んでいく。降りれば降りるほど、冷たい風が身に染みる。そうして数分
が経った時、足が固い地面を蹴った。ようやく底についたようだ。
突起から手を離し、後ろを振り返れば、そこには暗いトンネルが続いている。明かり一つ無く、一寸先は闇
だ。

あなたがその道を進もうと足を動かすと、ふいに声が聞こえた。いや、聞こえたというよりは、脳内に響いた
と言った方が適切かもしれない。
「誰かを探してるの…?こっちへおいで…」
子どものようなたどたどしい声だ。その声に導かれるように、あなたはトンネルの中をひたすら進んでいく。

どのくらい歩いていたのだろうか。ふと目の前に、明かりがひとつ浮かんだ。ぼんやりとした明かりは、家
の窓から漏れているようだ。無機質な灰色の小さな家がひとつ見える。
「おいで、こっちへおいで」
その声と共に、窓から漏れる明かりが弱く点滅しているのが分かる。

クンヤン人の家

ここで出てくるクンヤン人は、KPC が取引をしたのとは別の個体です。人間に興味があり、基本的に友好的で
す。しかし腐ってもクンヤン人なので、拷問などに抵抗はありません。ここではしません。

灰色の無機質な壁の前に立つが、入り口らしきものが見当たらない。あなたの戸惑う様子を見てか、再び声が
脳内に響く。
「あっごめんね!通れないよね、ちょっと待ってね」
その声と共に、壁に薄く切り込みが入り、バタンと壁の一部が向こうに倒れ込んだ。室内の明かりが一気に
外に漏れ、あなたの顔を照らす。

そこは、壁一面に絵画が飾られた部屋だった。絵画だけでなく、彫像や、あなたの見たことが無いアーティス
ティックな置物まで、様々なモノが所狭しと部屋に並べられている。床一面に本が散乱し、歩く場所を見つけ
るのがやっとなほどである。そのような奇抜な一部屋でこの建物は構成されているようだった。
あなたが部屋の中に入ると同時に声が響いた。
「ようこそ、私の部屋へ」

ここから、クンヤン人との会話や部屋の探索ができる。

◇特殊ルール
会話、もしくは探索を2つするごとに〈CON*5〉ロール。回数ごとに〈CON*4.3…〉と」数字を減らしていく。
失敗した場合、1d4 で症状を決める。
1→なんだかふわふわと幸せな気分になる。SAN を1回復
2→とてつもない不安が押し寄せて来る。SAN を1減少
3→体が痺れるような感覚に襲われる。行動する技能に-10 の補正
4→一瞬、人が拷問されている冒涜的な映像が頭に浮かぶ。SAN を1減少

これらはクンヤン人が研究している「精神に作用する麻薬」を、部屋にいる間に吸ってしまっているからであ
る。茶番ロールなので後遺症などは無い。

▽探索
ありとあらゆる芸術品が部屋の中に押し込められている。しかし全体的に不思議と統一感があり、あなたは
魅力的に感じるかもしれない。生きてきて見たことも無いような絵画や彫刻が、多く並べられている。床には
本が散乱していて、歩くのもやっとである。

[探索可能箇所]
芸術品、棚、本棚
「棚」の〈目星〉情報、「本棚」の〈目星 or 図書館〉情報は、ここで回収しないと両生還できません!難易度
を上げたくない場合は、こじつけて情報を出しましょう。

〇芸術品
到底一般人には思いつかないような奇抜な物が多く飾られている。
参考にするなら、〈芸術〉の好きな項目に+1d6 の技能成長をしても良い。

〈目星〉壁に飾られた絵画に目が行く。しっかりとした筆使いで、人間がひたすらに痛めつけられている様が
描かれている。手足を縛り上げられ、刃物で切り刻まれている者。火に投げ込まれ、肌が焼け爛れている者。
顔面をひたすらに殴打されている者。地獄のような様相を、まるでそこに存在するかのような精緻な筆で描い
ている。しかしそれはどこか抽象的であり、恐怖と悍ましさ、そしてそこから滲み出る人間の感情が色濃く感
じられた。
このような冒涜的な絵画を見たあなたは【正気度喪失 0/1D3】

〇棚
陶器の置物や小さな彫像が多く乗せられている。中でも、一際綺麗な装飾のされた壺が目立つ場所に置かれて
いる。

〈目星〉白い正方形の置物がなんとなく目につく。
手に取ると、一つの面に左と右の矢印が浮かび上がる。タッチして使うものらしい。
その様子を見てか、脳内の声がペラペラとしゃべりだす。
「あ、それはね、私達の民が生み出した素晴らしきテクノロジーだよ!イスの種族みたいに完全に時間を操っ
たりは出来ないけど、それくらいのものなら出来るようになったんだ。その時間操作装置をあてて矢印をタッ
チすると、あてた物の状態を変えることが出来るんだ。例えば、腐っちゃった食べ物にあてて左を押せば、新
鮮な状態に戻すことが出来るし。あとは、私の民は医学に精通してるから、その技術との組み合わせにも使わ
れてるよ。怪我をした人にあてて左を押せば、ある程度の傷を治せるんだ。もちろん、一回死んじゃった人は
もう元に戻せないけどね」
「試供品だけど、持って行ってもいいよ。役に立つかわからないし、地上に持って帰ったらただの箱になっち
ゃうと思うけど」

・壺
近づくなら強制で、特殊ルールの CON ロールを行う。

〇本棚
自分の見たことのない分野の本が多く並べられている。

〈図書館〉or〈目星〉金色の背表紙の本が目に入る。
見た事のない言語で書かれている。その様子を見てからか、「あ、そこの本棚の本ね。ちょっと待ってね」と
声が聞こえる。再び本に目線を戻せば、あなたの読める言語に変わっている。

▷「黄金の蜂蜜酒」
中を開くと、見た事の無い言語で書いてあるが、付箋の貼ってある部分だけがあなたの読める言語に変わって
いる。付箋は二枚貼ってある。

・一枚目
黄金の蜂蜜 125g
水 375g
ドライイースト 2g

1.蜂蜜に水を加えて、マドラーでかき混ぜながら少しずつ希釈する。
2.ドライイーストを加え、軽くかき混ぜる。
3.一週間ほど放置する。
4.泡がたって、なくなったら完成!

〈芸術:料理〉or〈製作:料理〉蜂蜜と水を混ぜた液体(蜂蜜水)の糖分が発酵するとアルコールに変化する
ため、このようになる。

・二枚目
黄金の蜂蜜酒(Space Mead)。飲んだ者に星間宇宙を旅する力を与える。星間種族ビヤーキーを使役する
際に使われる事が多い。
我々クンヤンの民はこのスペースミードの効力を活かし、トンネル間の移動(特にドリームランドとクンヤ
ンの帝国、人類の住む地上を繋ぐトンネル)の手段として取り入れている。すなわち、スペースミードを体内
に含んだ状態であれば、あの長い長い地下通路を移動し続ける事なく、何倍も短い時間で目的地へと辿り付く
事が出来るのである。スペースミードを飲み、トンネルを移動する際に自分の辿り着きたい場所を思い浮かべ
る事で、道案内が無くともそこへたどり着く事が出来る。

▽会話
以下の内容を会話で進める。
「私は人間の人探しを手伝ってるんだ。あなたは誰かを探してそうだったからこうやって部屋に呼んだんだけ
ど…誰か探してるの?」

→KPC を探している
「そっか、ちょっと待ってね。その人が居る場所の手がかりはある?」

→小屋での出来事を話す
「調べるために、その場所で、その人が長い間持ってたものとかがあると助かるんだけど…」

→PC の落とし物(落とし物イベントで KPC から渡されたもの)の話をする


忘れていた場合は〈アイデア〉で思い出してもらうと良い。
「それをそこの台においてくれる?調べてみるね」

→部屋の中の台に置く
「うんうん、えっとね、今その人が居るのはドリームランドっていうところだね。私たちの掘っているトンネ
ルも、そこに繋がってるよ。連れてってあげようか?」

→連れて行くように頼む、詳細を聞くなど
「連れて行くことはできるよ。でも、その人は多分私の仲間が実験に使おうとしているんだ。だから、これは
ヒミツね。君を手伝ったってバレたら怒られちゃうから」
「それに、帰り道を保障することはできない。私が出来るのは、君をその人のところに送り出してあげること
だけだよ。そこからは自分で帰り方を探してもらわなきゃいけない。」
「帰って来れる保証はないよ。それでも行く?」

→行く、行き方について
「行きは私が導いてあげられるから、この家を出てさらに真っすぐ歩けば連れていけるよ。」
◇その他の質問
→お前は誰だ
「私は人間じゃないんだ。地上で何て呼ばれてるか知らないけど…えっと、クンヤンって帝国に住んでるんだ
よ。地下にあるんだ。」
「地上には全然出ることないし、本当は人間と関わったりしないんだけど…私、感情とか芸術にすごく興味が
あるんだ!だから、やっぱり人間についての調査はかかせないな、と思って、人の手伝いをしてるの」

→この部屋について
「ここは私の仮の住まいだよ。本当の家の方は、クンヤンの国があるから、人を近づけるといけないんだよね。
前人間が来たときは綺麗に脳をスパって…この話はやめようか…」
「大したものがあるかわからないけど、調べてもいいよ。あんまり荒らさないでね」

→感情の変化や喜怒哀楽(特殊ルールの CON ロール)について


「ああ、それは私たちの民が生み出した麻薬の効果かもしれない…ごめん、あそこに置いてあるんだ。きつか
ったら瓶を壊していいよ。」
瓶を壊せば効果はなくなるため、特殊ルールもなくして良い。

▼行く準備が出来たら
「本当に行くんだね?じゃあ、こっちを通って。行きは私がドリームランドに続くトンネルを開いて導いてあ
げる。でも、そこに付いてからの事、それから戻り方については何も保障できないよ。いい?」
了承した場合、入ってきたのとは反対の壁の一部がズズ、と音をたてて向こう側に倒れる。そこから向こうは
真っ暗闇である。

再び小屋へ
あなたは再び、真っ暗なトンネルを進んでいく。何も見えない、足を進めても進んでいるのか分からない。
どれくらい歩いただろうか。感覚すらも曖昧になってきた。
途端、突然視界がホワイトアウトする。思わず目を瞑り、そして開くと、そこは穏やかな空気の流れる森の中
だった。
あなたは分かるだろう。ここは、KPC と共に 1 日を過ごした、あの小屋の近くであると。
後ろを振り返れば、小さな洞窟の入り口がぽかんと口を開けている。中は真っ暗闇だ。自分はここから出て
きたのだろう。

〈目星〉遠く、木々の合間に木で出来た小屋が見える。

小屋に向かって歩いていく。穏やかな森の空気があなたを包み込む。相変わらず、上空からは太陽の光が差
し込んでいる。
小屋の窓には内側からカーテンが引かれ、中の様子を垣間見ることが出来ない。

扉を開け中に入る。
香って来たのは、あの香ばしいような不思議な香りではなく、血なまぐさい鉄の匂いだった。
反射的に部屋の中、ベッドに目を向ける。目に入るのは、KPC の後ろ姿。彼は地面に座り、上半身だけをベッ
ドに乗せ突っ伏していた。白いシーツに広がる血液の赤が、鮮明にあなたの視界にこびり付く。

KPC はクンヤン人に拷問され、瀕死状態。KPC の HP を2にする。


なんとか意識を保っていて、浅く呼吸を繰り返している。話しかければ、朦朧とした意識の中で応答するだろ
う。
ちなみにここに書いてある「上半身だけ」は下半身がなくなっているという意味ではありませんが、この場面
なら本当に下半身が無くても問題ないかも。

KPC は、浅く呼吸を繰り返しつつ、声を漏らす。
「え、……PC、なん、で……」

〈医学〉or〈応急手当〉なんとか応急手当をすることが出来る。HP を1回復。しかし、ここに放置していれば
すぐさま事切れてしまうだろう。

▼時間操作装置を使って、傷を治す
PLPC が思いつかない場合は〈アイデア〉を振らせても良い。
白い装置を KPC に当て、左の矢印を触る。しばらくの静寂。
「あ、れ…?PC…?」
KPC がゆっくりと身を起こす。涙で濡れた小さな瞳が、あなたを見つめる。彼は数秒きょとんとした顔をして、
その後にふわりと微笑んだ。
その様子を見て、あなたは KPC の傷が治ったことを理解し、安堵するだろう。

KPC の HP を全体の 3 分の 2 まで回復。


RP をたくさんして良いです。

▼黄金の蜂蜜酒を作る
帰るためにはこの工程も必須です。〈アイデア〉で思いついても良いです。

とろとろと金色に輝く蜂蜜を瓶に入れ、水を加える。かき混ぜ、薄い色になった液体に、ドライイーストを加
え、さらにかき混ぜる。

→時間操作装置で蜂蜜酒の時間を進ませる
泡がぷつり、ぷつりと立ち、消えていった。白い装置を離せば、それが完成したことがあなたには分かるだ
ろう。

▽黄金の蜂蜜酒を飲む
甘くて暖かい味が、口に広がる。遅れてやってくる少しの苦みも、その味の優しさを際立たせているように
感じる。
KPC も PC(ケガしていれば)も HP を3回復。これを飲んで洞窟に戻れば、END 1に行くことが出来る。

▼外に出る
あなたが扉を開くと、外の空気が入り込んできた。ひんやりとした空気と、遠くでフクロウの鳴く声が聞こ
える。そこは、先ほどまでの暖かな日差しに照らされた森では無かった。薄暗い夜の闇。鬱蒼とした木々が、
静かに小屋を取り囲んでいる。どこからかじっと見られているような不気味な夜に、あなたたちは立っていた。

▼元来た道を戻り、洞窟に向かう
あなたたちは、真夜中を二人で歩いていく。
鬱蒼とした森の中、何かがこちらを狙っているような、そんな予感がする。底知れぬ不安と恐怖感が押し寄せ
て来る。【正気度喪失 0/1】

片手に体温を感じる。それはさっき握った KPC の手だ。きっと不安を感じているのは相手も同じなのだろう。


あたたかな体温がじんわりと、あなたの手を包み込んでいた。
あなたたちは、そうして洞窟にたどり着く。真っ暗な闇が、ぽかんと口を開けている。

▼洞窟に入る
洞窟に入るその瞬間、後ろから気配を感じた。それはそこに立っている。あなたたちの後ろに、立っている
のだ。

後ろを振り返るか PL に尋ねる。振り返らないと答えた場合、〈POW*5〉ロールに成功すればそのまま進むこと
が出来るため「帰り道」へ。失敗した場合は「振り返る」へ。

▽振り返る
そこに、樹木が立っていた。闇の中目を凝らせば、しかしそれが樹木では無い事が分かる。それはロープの
ような触手をうねらせ、表面にある皺の寄ったいくつもの口から緑色の涎を滴らせていた。そこに目は無くと
も、確実にこちらを狙っているということが分かる。
シュブ=ニグラスの仔、黒い仔山羊を見たあなたは【正気度喪失 1D3/1D10】

あなたの手がぐい、と引っ張られる。それと同時に、怪物もろともあなたの視界は黒く塗りつぶされた。

戦闘したら割と普通に死ぬので、KPC に引っ張ってもらってください。
もしすごく戦闘したい場合は、MM のステータスを参考に戦っても良いですがおすすめしません、本当に。

帰り道

▽PC が狂気に陥っていた場合
KPC が〈精神分析〉を持っていたら振ると良い。
無い場合は失敗の描写か、好きな方を選ぶなどで良いです。

成功:
暗闇の中、あなたの身体が KPC によって抱き締められる。
「大丈夫、大丈夫だよ」
その声を耳にすると、少しずつ自分の気持ちが落ち着き、地面にふわりと足が着いたような感覚を覚える。
KPC がゆっくりと体を離す。暗闇でその顔を伺うことは出来ないけれど、きっと微笑んでいるのだろう。
「落ち着いた?じゃあ、行こうか」

失敗:
暗闇の中、あなたの身体が KPC によって抱き締められる。
「大丈夫、大丈夫だよ」
あなたは暫くの間、KPC の腕の中で震えているかもしれない。途方もない不安の中、「大丈夫」と繰り返す
KPC の声が耳に届く。どれくらい経っただろうか。少しずつ自分の気持ちが落ち着き、地面にふわりと足が着
いたような感覚を覚える。KPC がゆっくりと体を離す。暗闇でその顔を伺うことは出来ないけれど、きっと微
笑んでいるのだろう。
「落ち着いた?じゃあ、行こうか」

▼道を進む
蜂蜜酒を飲んでいる場合と飲んでいない場合で分岐が生じる。

- 蜂蜜酒を飲んでいる場合
一寸先も見えない暗闇。しかし、あなたたちはお互いの手を繋ぎ、元の世界へ帰るために足を踏み出すだろ
う。真っ暗闇の中、足を進める。それは月明かりの無い真夜中のようで、恐ろしいけれど、切ないような不思
議な時間だった。
どれくらい歩いただろう。手に伝わる体温を感じながら、あなたは微睡むように意識を手放した。

→END 1へ

- 蜂蜜酒を飲んでいない場合
一寸先も見えない暗闇。あなたたちはお互いの手を繋ぎ、足を踏み出すだろう。真っ暗闇の中、足を進める。
それは月明かりの無い真夜中のようで、恐ろしいけれど、切ないような不思議な時間だった。どれくらい歩い
ただろう。手に伝わる体温を感じながら、あなたは微睡むように意識を手放した。

→END 2へ

エンディング

エンド分岐:
END1 黄金の蜂蜜酒を飲んだ状態で洞窟から帰る(両者生還)
END2 黄金の蜂蜜酒を飲まずに洞窟から帰る(両者ロスト)
END3 「再び小屋へ」のシーンで、KPC を治療できなかった(両者ロスト)
END4 二人でドリームランドのロッジに残る(両者ロスト)
END5 KPC を助けに行かない(PC 生還、KPC ロスト)

- END 1「君と蜂蜜」
〈条件:黄金の蜂蜜酒を飲んだ状態で洞窟から帰る〉
ひんやりとした空気の中、あなたはゆっくりと目を開ける。視界には倒れた KPC と、山の麓の涼やかな風景
が映り込む。二人の繋がれた手が、先程まで闇の中を歩いていたことが夢では無かったと感じさせるだろう。
木々の間から差し込む木漏れ日が、未だ眠っている KPC の顔に優しく降り注いでいる。

起こされれば KPC も目を覚ます。RP が可能です。


「PC のいない世界は寂しかった」というタイトルのリード文?回収をここでしても良いと思います。

そうして、あなたたちは共に自分の居場所へと帰る事だろう。口に残った蜂蜜の味が、甘く優しく溶けてい
く。隣に KPC のいる世界は、この蜂蜜のようにあまくてやさしいと、あなたは思う、かもしれない。

エンディング1「君と蜂蜜」 シナリオクリアです。

生還報酬 1D6
KPC と生還した 1D3
クンヤン人と話した 〈クトゥルフ神話〉+1
黒い仔山羊を見た 〈クトゥルフ神話〉+1D3

- END 2「真夜中」
〈条件:黄金の蜂蜜酒を飲まずに洞窟から帰る〉
あなたたちは歩いた。二人並んで、たまに話をしながら、ずっと、ずっと。
何もわからなくなって、意識が蜂蜜のようにとろとろと、溶けていくのを感じた。そこに恐怖は無い。KPC と
繋いだ手から、あたたかさが伝わって来て、それすらもあまく溶けていくようだった。そうしてあなたたちは、
永遠にその意識を手放した。
エンディング2「真夜中」 PC、KPC 共にロストでシナリオクリアです。

2 人は行方不明という扱いになる。
長い長い寒い地下通路のどこかで息を引き取っているでしょう。

- END 3「白身だけのたまご」
〈条件:KPC を治療できないまま殺す〉
あなたは、今日も目を覚ます。おはよう、という自分の声。今日の朝ごはんは何にしようか。あたたかいト
ーストに蜂蜜をかけて食べよう。そんな言葉を零しながら、キッチンに向かう。フライパンに落とした卵に黄
身がいないことに、あなたは気付かないままだった。

エンディング3「白身だけのたまご」 PC、KPC 共にロストでシナリオクリアです。

2 人は行方不明という扱いになる。
PC は KPC がいるという幻覚を見たまま、ドリームランドで過ごす。
そのうちシュブ=ニグラスの生贄になるでしょう 。

- END 4「きみだけがいる世界」
〈条件:二人でドリームランドに残る〉
あなたは、今日も目を覚ます。
おはよう、という KPC の声。今日の朝ごはんは何にしようか。あたたかいトーストに蜂蜜をかけて食べよう。

しあわせな RP をしても良い。メリバ感が増すでしょう。

そんな相談をしながら、笑い合う。
あなたたちは今日も、あまくてやさしい世界に生きてくのだろう。

エンディング4「きみだけがいる世界」 PC、KPC 共にロストでシナリオクリアです。

2 人はドリームランドで暮らすことになる。現実では行方不明という扱いになる。
そのうちシュブ=ニグラスの生贄にされるかもしれません。

-
- END 5「きみのいない世界」
〈条件:KPC を助けに行かない〉
そうして、あなたは日常に戻って行った。隣にいたはずの KPC は、ずっと戻ってこないままだったけれど。
口に、ほんのりとにがみが広がった気がした。

エンディング5「きみのいない世界」 KPC ロストで、シナリオクリアです。

生還報酬 1D6
クンヤン人と話した 〈クトゥルフ神話〉+1

あとがき
「継続シナリオ祭」のシナリオを読んでいたら何か出したくなったので、2 年前くらいに書いていたものを勢い
あまって出してしまいました。いろいろつたないと思いますが、誰かの楽しい時間の助けになっていたらと思
います。

溶けるほど幸せな時間をすごしたあと、目を覚ましたら KPC がいなかった、ってすごく絶望ですよね!こうい


うあげて落とされるかんじというか、切ない喪失感みたいなものが大好きです。でも基本的にはしあわせなシ
ナリオになったと思ってます!

このシナリオはもともと特定のコンビに回したくて書いたものなので、すきに改変などしていただけたらと思
います。このシナリオを気に入ってくださる方が一人でもいればうれしいです。ふせったーなどで感想なんか
つぶやくことが万が一あれば、作者にも見れるようにしてくれるともっと嬉しいです。でも楽しんでいただけ
れば何もいりません。

Special Thanks シナリオを生んだきっかけのもたべろさん、いつも遊んでくれているみなさまがた、そし


てシナリオに目を通してくださったあなた、あそんでくれた PL さんたち!ありがとうございました!

うき

小ネタ
・タイトル
「黄身と蜂蜜」
黄身と君をかけてる(かけられてない)。蜂蜜はなんか可愛いから入れたけど黄金の蜂蜜酒と合ってたので
OK、かな…。あまいかんじにしたかったです。私は「きみみつ」と略して呼んでます。

・イメソン
ずっと真夜中でいいのに。「雲丹と栗」
アルバム「正しい偽りからの起床」に入ってるやつで、これを聞きながら作ってました。

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