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TRPG 神々の黄昏

シナリオブック

ソードワールド 2.0 オリジナルシナリオ


マクファラ遺跡の怪

シナリオアウトライン
冒険者たちのすむ街に、一人の学者が訪れる。タビットの考古学者ククリ。彼女はタビット
のルーツを求めて神紀文明時代の遺跡を転々としていた。そうした遺跡の中に、かつて冒険
者たちのひとりが発見したマクファラ遺跡があった。街から南に進んだ先にある街道沿いの
大きな森の中にあるマクファラ遺跡は、神紀文明時代のものと推測される、石造りの遺跡で
あり、冒険者によって発見されて以降、ククリをはじめとする学者たちによる調査が進めら
れていた。
その調査が進むにつれて、マクファラ遺跡には深部へと続く謎の入り口が発見され、そこに
強力な魔力の存在が確認されるにいたった。ここにおいて、ククリは遺跡調査に冒険者の助
力が必要と判断。最近隣の都市に、遺跡の発見者でもある冒険者を求めて足を運ぶのだった。

【概要】
テイスト:ホラーダンジョン
構成:ダンジョン探索+戦闘メイン
推奨レベル:2〜4
プレイヤー人数:2〜3人
プレイ時間目安:2〜3時間
ルート分岐:なし
ゲーム内制限時間:なし

【補足】
l 今回は極めてシンプルなダンジョン探索ミッションです。政治抗争やヒューマンドラマ
も少ないので、そこまで頭を捻らなくても大丈夫(多分)。
l ライトなどの魔法照明がない場合には必ず松明を購入すること。
l 今回の遺跡は神紀文明時代のものなので、ありとあらゆることが謎に満ちています。ひ
ょっとしたら、何か大きな発見に至ることができるかもしれませんが、逆に手ひどいト
ラップにかかってしまうかもしれません。気をつけて探索しましょう!

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登場キャラクター
名前 ククリ 種族 タビット 性別 女 年齢 25歳 生まれ 学者
器用 12 筋力 10 知力 27 生抵 6 HP 25
敏捷 8 生命 13 精神 16 精抵 6 MP 22
技能 セージ4 レンジャー2 ソーサラー2
言語 交易共通語 神紀文明語 魔法文明語 魔動機文明語 エルフ語 ザルツ語
戦闘技能 魔法誘導
装備 発動体 ソフトレザー(防護3)
6歳で神紀文明に関するはじめての論文を書き、その後、各地の調査団に同行して、神
紀文明時代の知的生物の生活について探求している。とりわけ神と「小さき人々」との統治
上の関係に深い興味を抱いており、それがタビットの出自に関わる極めて重要な問題である
と考えている。
ククリの最新の論文は、
「マクファラ遺跡石壁の切削技法からの推論」で、建築に用いら
れている石材の加工方法をもとに、神紀文明時代における文化圏について考察を行っている。
ククリの専門とする地域はフェンディル王国首都周辺の遺跡であり、フェンディル王国大学
在籍時には、代表的な魔法文明遺跡である「花の丘遺跡」に見られる神紀文明の痕跡を整理
した学位論文を発表している。
調査に際して魔物に遭遇することも多く、研究のために身につけた魔法文明語と魔動機
文明語を利用して、魔法の勉強も始めている。しかし、あくまで本業は研究であると考えて
おり、その魔法能力を頼りにすることはできない。

今回の遺跡探索では、冒険者たちに頼まれなくとも深部への調査に同行しようとする。
冒険者に問われると、「遺跡調査には危険は付き物です。私だって、難所をくぐり抜けてき
ましたから!」と胸を張るが、具体的な戦闘技能を聞かれると、「ええ、魔法を少しだけ使
えます。」と、いくらか言葉の勢いが落ちる。冒険者たちが止めない限り、勝手についてき
ている好奇心の塊のような女である。

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名前 シュウ 種族 エルフ 性別 女 年齢 32 生まれ 薬師


器用 15 筋力 11 知力 20 生抵 6 HP 28
敏捷 18 生命 16 精神 21 精抵 7 MP 21
技能 セージ2 レンジャー4
言語 交易共通語 エルフ語 神紀文明語 魔法文明語
戦闘技能 かばう
装備 ソフトレザー(防護3)
消耗品 ヒーリングポーション2 救命草3 魔香草7
どう見ても少女に見えるエルフ。ククリの論文に感動し、村の近くの遺跡に調査に来て
いたククリの元を訪ね、助手として採用された。それ以前にはエルフの村で薬草を使った治
療を専門に教えられていたため、草木類に関する知識が豊富だ。ククリに師事するようにな
ってから、本格的に神紀文明に関する勉強を開始した。
寿命が長いエルフが寿命の短いタビットの知識を吸収することで、歴史調査の発展に寄
与するはずとククリに度々言い聞かされており、自由気ままなエルフには慣れない勉強作業
を日々こなしている。
前回の現場で遺跡に巣食う魔物から辛くも生き延びる経験をしたことで、魔物に対する
恐怖心を覚えており、魔物を見るとすぐに逃げ出そうとする。それもそのはず、彼女には全
く戦闘技能がなく、ただひたすら逃げる事しかできないのである。しかし、先生であるクク
リを心から尊敬しているために、なけなしの勇気でククリをかばうことがある。
幼少期から教えられていた救命術が身に染み付いているため、怪我人を放っておけない。
彼女の持っている限りの回復役で、ククリはもちろん、冒険者たちを回復してくれるはずだ。
ただし、魔香草はククリに対してのみ使用する。

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神紀文明遺跡の設定資料類
(1)遺跡に関連する神と“神器”、そして遺跡の過去
シナリオ内ではまだ解き明かされていませんが、設定上、この遺跡は賢神キルヒアと
深い関わりを持っています。内部の装飾が未完成のままになっていることからも推測で
きますが、この遺跡は戦争中にもかかわらず急速に建設されていました。その建築を可
能にしたのが、賢神キルヒアによって作られた“神器”である、“知恵の実”です。そ
れは強力な魔力を宿した一種の記録媒体兼出力装置で、賢神キルヒアが収集してきた知
識を人間にも伝わる形式で記録するための場所を作り出そうとしていました。
“知恵の実”が指示する通りに建築を進めていた人々でしたが、ついに戦争の手がこ
の地にまで及び、のちに蛮族となる第二の剣の加護を受けた人々に攻撃されてしまいま
す。両陣営が神殿の内部で激しく争った末、蛮族たちは最初に完成していた最深部に到
達します。そこで一人の勇士が奮戦しますが、勇士は殺されてしまいます。しかしその
遺志は強く、腐敗しないシンとなって、再び立ち上がり、敵を全滅に追い込み、その後
もこの門を守り続けます。
以降、魔法文明時代に及んで、度々盗掘の被害にあいますが、このシンが防衛を続け
ます。しかし、殺された盗賊の中に、強い思念を持った者がいたのか、デスソードが生
まれてしまいました。デスソードはこれまでに積み重なった死体を依り代にしてシンに
連戦を挑み、ついにこれを撃破することに成功しますが、そこで新しい依り代としてこ
のシンを選びます。二つのアンデッドが融合したことで、ひとところにとどまり、腐敗
しないデスソードという奇妙な存在が誕生したのです。しかし、その体はすでに多数の
傷を負っており、デスソードとしては幾らか弱体化しています。
一方のヘルハウンドは、この遺跡の建造時に、〈剣の紋章〉に封じられていた幻獣で
す。その体を構成する魔力は最深部の部屋に分散しており、〈剣の紋章〉が一種の引き
金になって、幻獣が構成されるという仕組みになっています。この分散エネルギーの中
に〈剣のかけら〉が囚われており、ヘルハウンドはわずかに強力な力を持って立ちふさ
がることになります。

(2)遺跡に関する調査報告
遺跡は、その外壁の一部が冒険者によって発見されたことで、調査が開始されていま
す。大部分が森の中に飲み込まれたうえ、遺跡の大部分が地下に建造されていたために、
当初はこれほどの大型遺跡とは考えられておらず、調査は緩慢なものでした。しかし、
ククリが石材加工技術の側面から、この遺跡が神紀文明末期のものと推定したことで、
状況は変化し始めます。
ククリが直接に調査を継続したほか、3 名ほどの研究者がフェンディル王国から派遣
され、大規模な調査が行われました。その調査中に、地下へとつながる入り口が発見さ
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れたことで、冒険者を伴った本格的調査の必要が認められるに至っています。
この間に執筆された論文はククリのものだけですが、現在調査に携わる3名の研究者
がそれぞれの観点から論文執筆を開始しています。それぞれ、「魔力分布推定法のマク
ファラ遺跡に対する応用事例」、「魔法文明終焉とマクファラ遺跡の“遺跡化”」、「神紀
文明から魔法文明過渡期の文化圏移動」という表題で執筆が進められています。

(3)ククリの論文「マクファラ遺跡石壁の切削技法からの推論」
【論文構成】
序論
第1章 神紀文明における石材切削技法の推移
第2章 マクファラ遺跡石壁資料群
第3章 研磨痕の魔術的測定
第4章 同時代史跡との比較
結論

【アブストラクト】
まだ魔法がそう高度に発展していなかった神紀文明初期には、道具を使った物理切削
が主流だった。中期以降、魔術切削が行われ始めるが、繊細な魔法操作技術が一般的に
流通していなかった魔法文明以前の人間にとって、極めて豊かな装飾を魔力切削のみに
よって実現することは困難だった。それゆえ、これらの魔力切削は物理切削と併用して
用いられることが多い。今回の調査では、マクファラ遺跡石壁資料群を対象として、近
年注目されている、魔動機を用いた研磨痕測定法を利用して、切削技術の併用状況を調
査した。これによって、当該の資料群がすでに魔法文明期の魔法操作水準に近い、高度
に繊細な魔法切削を行っていた可能性が明らかとなった。このことは、マクファラ遺跡
が神紀文明終焉期に建設された遺跡である可能性を示唆している。より端的に言えば、
マクファラ遺跡は神紀文明から魔法文明への移行期、ひいては第三の剣にまつわる神話
の探求に極めて重要な史跡であると考えられる。遺跡の重要度は極めて高いと考えられ、
早急な追調査の実現が必要であると主張する。

(4)“知恵の実”と魔法文明
“知恵の実”は持ち去られませんでしたが、この“神器”が魔法文明期の開始を司る
象徴的な“神器”であることは明らかです。現段階ではその使用法がわからず、どのよ
うな情報が封じられた“神器”なのか明らかではありませんが、この“知恵の実”には、
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魔法文明期に開花した種々の魔法の術式と、現段階でも人類が到達していない、最高度
の魔法術式に関する知識が封じられています。神紀文明末期において、これらの知識は
神の業として秘匿されていましたが、別の遺跡から発見された同種の“神器”を通じて、
人類は魔法文明を開花させます。魔法文明は神の業を人々が使えるようになるという、
魔法の世俗化によって引き起こされた文明開化だったのです。
その後の魔法研究は、神の業とは異なる系列の魔法を生み出します。それがマギテッ
ク、魔動機です。魔動機文明の開始も極めて謎が多く、さらなる調査が求められていま
す。

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シナリオラインの解説
本シナリオのエンディング分岐条件は、以下の三点のみ。
① ククリが生存している
② シュウが生存している
③ 〈剣のかけら〉を発見している

今回のシナリオでは、
〈剣のかけら〉という極めて重要なアイテムの性質について、プレ
イヤーたちにストーリーの中で学習してもらうことを目標としています。その語り部がクク
リであり、遺跡はアクティブラーニングの舞台です。
遺跡には三つの剣にまつわる神話を示した壁画が残されているほか、二つの人類が生ま
れてしまったこと、そしてその戦いについて語られています。壁画は奥に行くほど簡素なも
のになっていき、次第に武装したアンデッドが現れるようになります。この遺跡も戦争の舞
台になったことに冒険者たちが気づくまで、そう時間はかからないでしょう。
この遺跡の最深部には、神紀文明時代の“神器”があります。その“神器”は使い方も
全くわからない、魔晶石の真球です。それがなんなのかこの時点ではわかりませんが、この
土地に“神器”を封じた大規模な遺跡が存在するということ自体が、学術上極めて重要な発
見となります。それはつまり、少なくとも大神程度の存在がこの地域でかつて活動し、この
地域の文明を支えていたことを意味するからです。
その後、この遺跡は魔法文明の後期まで盗掘に晒されていました。そのことは、遺跡内
に存在するアンデッドの一部が魔法文明時代の装備をしていることから推測することがで
きます。その後、魔動機文明時代へ移行するにあたって、遺跡は放置され、森の中に沈んで
いくことになりました。以降実に2000年もの間、遺跡は眠り続けてきたのです。魔法文
明から魔動機文明への移行はあまりに突然発生したものであり、学者たちも頭を悩ませてい
ます。その点では、この遺跡が突然森の中に沈んでいった理由も、全くわからずじまいとな
ってしまいます。
ククリとシュウが二人とも生きていれば、ククリが重ねての調査を約束し、高額の報酬
を研究費から支払ってくれます。「私はここで活動していた神が一体誰なのか、きっと特定
してみせるよ。」そう言って早速記録を始めることでしょう。いつの日にか、この遺跡の謎
を解明した彼女たちに出会うことができるかもしれません。
しかし、ククリが死んでしまっていると、この遺跡を調査することができなくなってし
まいます。シュウがそのことを残念そうに伝え、「きっとまた新しい研究者が現れてくれる
ことでしょう。しかし、先生ほどの人は、もう。」と、暗い表情で言う姿を見ることになり
ます。この遺跡での謎は、すべてわからずじまいになってしまいます。
一方、シュウが死んでしまうと、ククリが彼女の死を深く嘆きます。ククリは自分に神
の声が聞こえたら、きっとシュウを救ってあげられたのに、と悔しがり、冒険者に報酬を支
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払うと、荷物をまとめて何処かに行ってしまいます。このエンドを迎えた場合、完全に精神
に異常をきたしたククリと、どこか別のシナリオで再会することになるでしょう。
いずれの場合でも、遺跡の最深部で、ショロトルの体内から〈剣のかけら〉を見つける
ことができます。ショロトルに遭遇するためには、遺跡に隠されている〈剣の紋章〉を発見
しておく必要があります。剣の紋章を最深部の扉に押し込むと、〈剣のかけら〉の力を得た
幻獣、ショロトルが待ち構えており、ボス戦が始まります。
なお、最深部の扉の前の部屋でも、ボス戦が行われます。最後の扉の前で戦い続けた戦
士の遺志を宿した剣、デスソードとの戦闘です。デスソードはかつてシンだったアンデッド
の手に握られており、未だに肉体を保ち続けています。その肉体を持った姿は、これまでに
出会ってきたスケルトンやゴーストとはあまりに異なっているために、冒険者たちはすぐに
その異様さに気づくことでしょう。
この二つのボス戦に勝利し、二人の研究者が生き残っていれば、シナリオはベストエン
ドを迎えます。以下でシナリオの詳細な解説を行っていきます。

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シナリオ詳細
シナリオの開始
シナリオの利用タイミングは GM の自由です。パーティの一人が、経歴表のうち「大き
な遺跡を発見したことがある」を持っていれば、以下のように導入を行ってください。
街を歩く冒険者の元に、冒険者の酒場から使いがやってきます。
「◯◯さん。いかづち亭に、あなたをご指名の客がいらっしゃいました。」
このシナリオの冒険者レベルでは、まだそんなに名声がないはずです。初めての個人指
名の依頼に、冒険者は気分を良くすることでしょう。
すでにパーティを組んでいるなら、ここで他のメンバーにも伝えてくれるよう、この伝
令に依頼するよう勧めてください。今回初めて参加する PC がいるなら、冒険者の酒場で合
流させてください。

酒場に先に着くのは発見者の冒険者です。冒険者が酒場に入ると、タビットとエルフの
少女がカウンターに座っています。この組み合わせは非常に珍しいので、すぐに冒険者の目
を引くことになります。マスターも冒険者に呼びかけて、カウンター席に招きます。
冒険者がカウンターに着くと、タビットの方が随分と嬉しそうに挨拶をしてくる。
「あなたがあの◯◯さんですか!いやあ光栄です。ああ、申し遅れました。私、ククリ
と申します。いちおう考古学者でして、今はマクファラ遺跡の調査をさせていただいており
ます。」
冒険者はマクファラ遺跡が自分の発見した小さな遺跡の名前だと知っています。
このような雑談をしているところで、他の冒険者たちを合流させてください。
冒険者たちが仕事の詳細を尋ねると、タビットは以下のように話し始める。
「あの遺跡、当初は小さな遺跡だと考えられていたのですが、先日、本格的な調査がよ
うやく行われまして、その規模が極めて大きいということが明らかになったのです。しかも、
私の推測では、神紀文明時代末期の遺跡、つまり三千数百年も前のものだと考えられるので
す。

「それで、規模が大きな遺跡ということは、二つほど問題が生じます。第一には、中に
何がいるのかしれたものではない、ということ。第二には、中に何があるのか知る権利が重
要になるということです。つきましては、あの遺跡の発見者でもあり、冒険者でもあるあな
たに、初めての内部調査をお願いしたいと考えているんです。それならば、何が飛び出して
も心配ありませんし、何を見つけても文句は出にくいでしょうし、盗掘などと言われる心配
もありません。」
報酬について尋ねると、研究費がでているから、ずいぶんと報酬を弾むことができると
応じられ、さしあたっては前金として一人500ガメルを渡す用意がある、と応じられる。
構成員については発見者である冒険者に一任するとのことだ。
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「他の調査団も冒険者をみつくろおうと本国フェンディル王国に向かっています。善は
急げと言います。早速遺跡に向かおうではありませんか!」

(この時点で、前金として500ガメルを渡す。そして今回のミッションでは回復アイテム
を中心に、物資を調達しておいたほうがいいことを伝える。)

出発〜遺跡入り口
基本的にイベントはない。かつて冒険者が街道警備をやっていた頃から、このあたりは
蛮族も動物も動きが少ない地区だ。街道沿いの森の中にその遺跡はある。以前冒険者が発見
した時には、ずいぶん草木が生い茂っていたものだが、今は調査のために狭いなりにも草木
の払われた道が作られている。その細道に入って、しばらく進むと、遺跡にたどり着く。こ
の間に戦闘になることはない。
遺跡の地下空間への入口には、簡単な縄が渡してあり、共通語などで立ち入り禁止と書
かれている。それがどの程度意味のある表示かは疑わしいが、それはククリ自身も理解して
いるのだろう。暗い入口の先には階段が続いており、地下空間への入口になっていることが
わかる。

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遺跡内:地図

右下のサークルに降りてくる。
GM は以下のポイントで遭遇表を振る。
(1)左下・中央マップ初回進入時
2D6 敵
2〜4 スケルトン×5 + ゴースト×2
5〜11 スケルトン×5
12 出現しない
距離10で遭遇戦闘。探索判定か隠密判定をしていた場合のみ、先制判定を許可する。

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(2)右マップ上方通路進入時
2D6 敵
2〜4 ゴースト×2 グール×2
5〜11 スケルトン×2 ゴースト グール
12 出現しない
ボス戦前の消耗ねらい。

(3)中央小部屋進入時
2D6 敵
2〜4 スケルトン×2 ゴースト グール
5〜11 ゴースト グール
12 グール
ここに立ち入ると、この遺跡が建設途中で戦闘に巻き込まれたことがわかる。北側の
部屋では、武装していない人々の白骨死体を確認することができる。南側の部屋では、
ククリが壁に残る魔法痕を確認し、現代につながる魔法文明的詠唱技術がすでに確立
しつつあったことを読み取ってくれる。
また、この戦闘に勝利すれば、10点分の魔晶石が手に入る。

その他遭遇戦闘情報
中央マップの左隅の部屋に侵入すると、中ボスとの戦闘になる。

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遺跡内イベント解説

剣の紋章が
必要な扉

ショロトル
との戦闘 神紀文明期
の装備 デスソード
との戦闘

三本の剣と
剣の紋章
始祖神神話

太陽神ティダン

遺跡の芸術
魔法文明の
様式
装備

遺跡の芸術様式
ククリ「柱の装飾は華美だけど、装飾を増やすために柱が置かれているわけではない
ようね。これは間違いなく神紀文明時代の建造物の特徴。こんなに完全な形
で残されている神紀文明時代の遺跡はザルツではほとんど見られないの。さ
て、冒険者さん、右と左、どちららに行きます?」
ククリに尋ねると、装飾は動植物をかたどったものが多く、人間などのモチーフがこ
の空間にみられないことに気づいてくれる。ククリの見識判定ロール(目標値16)
に成功すると、それが三本の剣の神話と関わっているのではないか、という推測を話
してくれる。
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三本の剣と始祖神神話
ククリ「壁画が残ってる!これは大発見間違いなし!冒険者さん、これはすごいこと
なんですよ!ええと、ええと、」見識判定(目標値12)「三本の剣に関す
る神話みたいです。すごいなぁ。神紀文明時代に三本の剣に関する神話が
すでに壁画に描かれているなんて、これは学会が騒然としますよ!」
「ところで、三本の剣の神話はご存知ですよね?世界を作ったとされる三本
の剣が、はじめ大地と生物を、次に魂をつくったことで、人間のような生物
が生まれました。そののちに、始祖神ライフォスが第一の剣ルミエルに触れ
て、初めて神格を得ました。次に太陽神ティダン。そして第二の剣イグニス
に触れたダルクレムが神々の戦争をはじめた。そう伝わっています。」
「ここの壁画は・・・」見識判定(目標値12)
「ああ、きっとあれですね!
あそこに描かれているのが、第一の剣イグニスで、それに触れているのが、
きっとライフォスでしょう。魔法文明時代に確立した神話かと推測していま
したが、どうやら神紀文明時代にはすでにライフォスの神話がよく知られて
いたみたいですね。そして剣という言葉は当時から、まさしく剣のことを意
味すると考えられていたみたいです。」

太陽神ティダン
ククリ「あ、この扉。太陽のモチーフがあしらわれていますね。」(扉の情報から放射
状に二等辺三角形が伸びている。)「太陽神ティダンの象徴でしょう。とすると、ここ
は第一の剣イグニスに関わる神殿と見た方が良さそうですね。でもそんなに規模が大
きいとは言えない、と。よくわかりませんが、とにかく進んでみましょう。」
(この扉の先の小部屋には、10点分の魔晶石がある。)

魔法文明の装備(ククリの見識判定12)
ククリ「これは・・・、魔法文明時代の武器を持っているようです。ということは、
魔法文明時代にこの遺跡に侵入した人々がいたということですね。はぁ・・・
それなら、すでに奥の方まで荒らされてしまっているのかもしれません。あ
あ、どうか、キルヒア様のご加護を・・・」

神紀文明の装備
ククリ「これですよ!この剣先が丸っこくて、いまひとつ薄くなくて、まるで鈍器の
ようなスタイル。これこそ神紀文明時代の人間が使っていた武器です。品質
の良いものは歴史資料として高額で売りさばけますよ。冒険者さんたちには
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朗報じゃありませんか?研究費がありますから、買い手は私を選んでくださ
いね!」(ボーナスとして1D6×100G のボーナスを与えても良い)

剣の紋章
部屋には骨が散らばっているが、全てが魔力を失ってスケルトン化を免れている。

台座の上、中空に剣の紋章が浮かび上がっている。よく調べれば、それが台座に置か
れた大きめの魔石が作り出した像だとわかる。紋章か魔石に触れると、ファニリシュ
との戦闘が始まる。

円い石のようなもの。片面に剣の紋章が刻まれていて、ククリに渡したとき、彼女の
MP が残っていれば、彼女がセンス・マジックを行使して、それに強い魔法がかけら
れている事がわかる。どうやら、ここでファニリシュを召喚するためだけに存在して
いる石ではないようだ。

デスソードの部屋
2d6体分の人骨が転がっており、そのうち1d6÷2体の骨はデスソードが転移でき
る。その場合の HP は5しかなく、その他のステータスも軒並み2下がっている。

剣の紋章がなければ開かない扉
太陽の紋章の下に、イグニスを地面についたライフォスの姿があり、その柄の部分に、
丸い窪みがある。
丸い窪みに剣の紋章を入れると、剣と太陽に向かって魔力が分散していくのが見え、
扉が上下に開いていく。ティダンの紋章は上に、ライフォスは下に。
剣の紋章は地面の中に消えていき、扉が完全に開いたとき、下り坂になっている長い
廊下を、魔力が駆け抜けていくのがわかる。

最深部(魔法の消費 MP−1。信仰魔法はライフォス・ティダン・キルヒアのみ可能)
最深部に到達すると、再び空中に剣の紋章が浮かんでいる。今回は紋章を浮かび上が
らせる魔力の元はどこにも見えない。
紋章に触れると、どこからともなく四つの金属片が現れ、紋章の上で融合する。その
後、部屋の壁から強烈な魔力風が発生し、金属片を中心に火の手が上がり、次第に生
物の形を作り始める。→ショロトルとの戦闘へ

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エンディング
最深部のショトロルを倒すと、剣のかけらを四つ得ることができる。

また、ショロトルとの戦闘に勝利すると、ショロトルを召喚した台座に魔力が結晶化して、
魔石が作り出される。剣の紋章に封じられた魔法によって、ショロトルを召喚する魔石であ
り、この遺跡に封じられていた“神器”であることが、ククリの発言から理解される。この
“神器”だけは、ククリが史跡調査に伴う公共的保有物としてフェンディル王国に持ち帰る
と言って聞かない。素人には扱えない品であり、使い方を慎重に分析しなければ、どんな事
故につながるかわからない、とまで言う。
なお、この石に不用意に触れたタビット族以外の冒険者には、自分のものではない記憶の流
入が発生する。体がそれを反射的に拒絶して目眩と強い吐き気に襲われることになる。タビ
ット族だけは、この現象に見舞われないため、ククリはこれを触って運ぶことができる。

ククリ「ひとまず、これで遺跡の内部を調査することができそうです。こちら、今回の報酬
です。」1000ガメルを渡されるほか、拾得物アイテムの換金が行われる。

ここで今回の経験点1000点が与えられ、依頼は終了となる。
もしも遺跡内の敵をすべて倒していれば、ボーナス経験点として500点が加算される。

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データ編

スケルトン(−1)
レベル 知名度 弱点値 先制値 移動速度 生命抵抗 精神抵抗

攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP
11 —

その他留意事項(弱点: ) 戦利品
【 】 2D6 アイテム

【 】

【棍棒】
命中力+1

ゴースト
レベル 知名度 弱点値 先制値 移動速度 生命抵抗 精神抵抗

攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP

その他留意事項(弱点: ) 戦利品
2D6 アイテム

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グール
レベル 知名度 弱点値 先制値 移動速度 生命抵抗 精神抵抗

攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP

その他留意事項(弱点: ) 戦利品
【 】 2D6 アイテム
【 】
【 】

デスソード
レベル 知名度 弱点値 先制値 移動速度 生命抵抗 精神抵抗

攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP

その他留意事項(弱点: ) 戦利品
2D6 アイテム

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ファリニシュ(オリジナルモンスター)
レベル 知名度 弱点値 先制値 移動速度 生命抵抗 精神抵抗
3 14 16 12 18 3 7
攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP
牙 5 2d+3 5 2 38 20

その他留意事項(弱点:魔法+2) 戦利品
【酒水】 2D6 アイテム
水属性のダメージを受けた時、精神抵抗判定に成功すると、 2〜9 なし
そのダメージを完全に無効化し、水を酒に変え、ドランク 10〜 ファリニシ
を自動発動する。 ュの酒
【ドランク/6/精神抵抗/消滅】 1500
全判定値−1。睡眠効果。HP 半分以下で発動。
発動と同時に HP+10

ショロトル(ヘルハウンド+剣のかけら4)
レベル 知名度 弱点値 先制値 移動速度 生命抵抗 精神抵抗

攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP


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その他留意事項(弱点: ) 戦利品
【 】 2D6 アイテム
自動 剣のかけら
×4

【 】
【剣のかけら強化(+4)】

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配布資料類

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