You are on page 1of 26

トヨタ生産方式

Toyota Production System


【かんばんの概要】
・かんばんの誕生
・後工程引取り
・かんばん方式とは
・かんばんの種類と役割
・仕掛けのやり方
・かんばん運用ルール
・かんばん取扱い基本ルール
・かんばんを使った生産の概要
・外注かんばん運営の基本的考え方
・納入サイクル(かんばんサイクル)
・かんばん回転枚数
・在庫低減の進め方
・かんばん部品の最大・最少在庫表示
・安全在庫の設定
・在庫品保管
・運搬の形態

株式
会社 イノアックコーポレーション
生産改善室
かんばんの概要
かんばんの誕生
(1)かんばん方式 → スーパーマーケット方式
※ 昭和37年トヨタ本社工場を中心に適用
『スーパーマーケット』とは
・顧客にとって
『必要とする品物』を『必要な時』に『必要な量』だけ入手しうる マーケットである
顧客は不要な品となるような物は購入しなくてもすみ、一方マーケットは顧客がい
つ何を買いに来ても良いように、品物を揃えておくという考えから成り立っている

『 トヨタ生産方式 』への応用
マーケットを前工程、顧客を後工程としてとらえる

前工程 ストア(店) 後工程

・前工程の需要あった分だけ補充しておく 『必要な物』を『必要な時』に『
・顧客が何をいくつ買ったか、何をいくつ店へ補充 必要な量』だけ取りに行く
するかを明示するために【 かんばん 】を用いた 『良い品質』で
『安い』ことを要

後工程引き取り

Ⅰ .後工程引取りと押込み方式の違い
(1)押込み方式
1 2 3
出荷
工程 工程 工程

在庫の山 在庫の山 在庫の山


押込み方式とは、
・前工程が生産計画に基づき次工程へ品物を供給する、お届け方式である

(2)後工程引取り
ストア

1 2 3
出荷
工程 工程 工程

後工程引き取りとは、
・ 後工程が必要な時に、必要な物を必要な量だけ前工程から引き取って来ること
・ 工程の完成品は物を造ったその工程のすぐ後ろにストア(店)に置くこと
・ 後工程引取りは、後工程から前工程へ順次つながり全工程が、チェーンで結ば
れたように生産と運搬を円滑に進めること
- 1-
かんばん方式

1) かんばんとは トヨタ生産方式=かんばん方式というのは誤解
ジャストインタイム生産を実現するための生産管理・改善の道具
(1)売れるものだけを造り、造り過ぎを抑えるために、各工程で必要な物を、必要な時
に、必要な量だけ生産、運搬するための管理の道具
(2)売れに結びついたものを、ジャストインタイムに生産したり運搬することができるよ
うに改善するための道具
2) かんばんの役割
(1)引取り情報
現場の実際の進捗に即した『何を、いつ、どれだけ生産(運搬)したらよいか』という
自動生産(運搬)指示情報
(2)『造り過ぎ』・『運び過ぎ』の防止
かんばん枚数が適正に制約されていれば、必然的に生産量・運搬量に抑制される
(3)生産の優先順位がわかる
かんばんの外れた順番に生産仕掛けをすればよい
(4)目で見る管理の道具
自工程の能力把握、自工程の在庫状況、自工程の人員配置の適性度、後工程の
作業の進捗状況、後工程の緊急度

前工程 後工程

仕掛管理板 完成品ストア か
仕掛かんばんポスト
得意先便 A1 A2 B1B1C1C2
上郷 1
〃 2
〃 3
〃 4
〃 5

(5)問題点顕在化の道具
工程間の在庫が少なければ、少ないほど問題が健在化される
在庫管理の道具でなく、改善を促進するための道具である
“ かんばんも多過ぎると役に立たない”

- 2-
かんばんの種類と役割

1) かんばんの種類
1. 工程内かんばん
仕掛けかんばん
2. 信号かんばん
かんばん
3. 工程間引取りかんばん
引取りかんばん
4. 外注部品納入かんばん

臨時かんばん ( 斜めかんばん )

電子かんばん 記載項目
品番、荷姿、収容数、ストアー、客先
背番号、サイクル、基準数、ロット、棚番

2) かんばんの役割
〔役割〕
1 . 工程内かんばん ・・・・工程内で生産指示
2 . 信号かんばん ・・・・ ロット工程で生産指示
(三角かんばん)
3 . 工程間引取りかんばん ・・・・運搬指示
4 . 外注部品納入かんばん ・・・・部品納入指示
5 . 臨時かんばん ・・・・(臨出時などに使う)
6 . 電子かんばん ・・・・部品納入指示
・ 工程内かんばんは、工程内の仕掛けに使うかんばんであり、組付けラインのよ うな
専用ラインであったり、複数の品物を生産していても段取り替えが実質的に小さい
工程、即ち、ライン生産工程で用いられるかんばんである

・ 信号かんばんは、1つのラインあるいは設備で多種類の品物を加工しており、段取
り替えに若干時間のかかる工程、即ち、ロット生産工程の仕掛け指示に用いられる
かんばんである(三角かんばんとも呼ばれている)

・ 工程間引取りかんばんは、組付けラインにおいて機械加工、プレス、塗装、樹脂成
形など多くの前工程から部品を集めてこなければならない、これらの部品を前工程
から引取る為の指示として用いるかんばんである

・ 外注部品納入かんばんは、基本的には工程間引取りかんばんと同じである、仕入
先から部品が納入される時に付けられる
・ 電子かんばんは、外注部品納入かんばんと同じ役割である、紙製のビニール袋入り
かんばんの情報をデジタル化、暗号化をかけた上で部品メーカーにオンラインで送る
- 3-
(1)仕掛けかんばん
① 工程内かんばん(1品1葉)

工程名 仕掛けかんばん
品番・品名 発行枚数

背番号 後工程名
塗装品について
は色No.色な
収容数 容器 完成品置場 ども記入

② 信号かんばん(三角かんばん)

ライン 品番 完成品置場
置場 品名
材料置場
ロットサイズ 収容数
(仕掛数) 容器
後工程名
段取り回数何回/日 何時間以内に生産するのか
できるかによる (通常ロットの1/2)+ α
基準数

仕掛けのやり方
順序 全種類の店
1 . 後補充生産 ( A タイプ ) 平準化した引取り
かんばん
( 造る権利 ) a1

a2

a3
加工工程 程
a4

2 . 順序仕掛け生産 ( B タイプ ) 総量規制かんばん


( 造る権利 )
1列 ( 順序 ) の店

順序 平準化した引取り


順序 工
計画表 b4 b3
加工工程 程

3 . 順序 + 後補充 ( C タイプ ) 順序
仕掛けかんばん
総量規制かんばん
a 全種類と b( 順序 ) の店

かんばん 平準化した引取り
( 造る権利 ) a1

a2
順序 工
a3
計画表 加工工程 程
a4
bの順序 b

- 4-
仕掛けのAタイプ
仕掛けのAタイプ
< 後補充生産 > ・・・・・仕掛けの基本

・全種類の店を揃える
・引取られた製品を、仕掛けかんばんの外れた順で生産

順序 全種類の店

平準化した引取り

かんばん
( 造る権利 ) a1

a2

a3

加工工程 a4
< 長所 >
・受注から出荷までのリードタイムが短い
・引取り ( 売れ ) の変動に敏感に対応出来る

仕掛けのBタイプ
仕掛けのBタイプ
< 総量規制で順序生産 >
・店は1列 ( 造った順に並べる )
・総量規制かんばんが外れた分だけ ( 順序で ) 生産

総量規制かんばん
( 造る権利 )
1列 ( 順序 ) の店

平準化した引取り
順序


順序 工
計画表 b4 b3

加工工程

< 長所 > b2 b1
・製品の在庫を持たなくて良い ( 1回の引取り分程度 )

- 5-
仕掛けのCタイプ
仕掛けのCタイプ
< AタイプとBタイプの混合生産 >
・Aタイプ全種類とBタイプ用1列の店を持つ
・引き取られた製品を、仕掛けかんばんの外れた順で生産
Bの総量規制かんばんの場合は、生産順序計画の順

仕掛けかんばん
順序 a 全種類と b( 順序 ) の店
総量規制かんばん

かんばん 平準化した引取り
( 造る権利 ) a1

a2

順序 a3
計画表 程
加工工程 a4

bの順序 b
< 長所 >
・少頻度の製品の在庫を持たなくて良い
・多頻度の製品は、リードタイムが短く引取りの変動に敏感に対応出来

ロット形成ポストでの取廻し方
ロット形成ポストでの取廻し方 ③ 外れかんばんが仕掛けポイント
ロット形成ポスト に達した順番に仕掛ける
② 外れかんばんをロット
形成ポストへ ロット形成ポスト
プレス工程
② 1-1 インジェクション工程

ブロー工程
1-2
① 引取り ④ かんばん数を生産し
か 1-3 ③
完成品ストアへ置く
か か か

か か か か 生産仕掛け

ポイント
か か か

か か か か
③ 仕掛中
か か か か
生産指示ポスト
1-1 1- 1-
2 3
“ 店” 成形完成品ストア
(所番地)

- 6-
プレス工程
信号かんばんの取廻し方
信号かんばんの取廻し方 インジェクション工程
・置場(所番地)の表示 ブロー工程
・・ ・・ ・・ ・・ ・現物見本を付ける ③ 加工数を生産し
完成品ストアへ置く
① 仕掛け基準数の位置へ
左側前段上側
から順に取る 信号かんばんを掛ける

信号かんばん ③
基準数 仕掛中
仕掛け順序
1- 1 ①
1- 2 1-3 2 1

1-1 1- 1- 仕掛け管理板
2 3
“ 店” 成形完成品ストア 仕掛け中の
(所番地) ② 信号かんばんが外れた かんばんを
順番に仕掛ける 設備に付けておく

(2)引取りかんばん
① 工程間引取りかんばん

工程間引取りかんばん

背番号 品番・品名 発行枚数

容器

前工程置場 後工程置場 収容数

② 外注部品引取りかんばん

メーカー名 荷姿 納入 納入時間 ライン置場 発行枚数


サイクル

収容数 背番号 受入置場

メーカー番号 品番・品名 受入口

- 7-
かんばん運用ルール
かんばんは、ジャストインタイムを実現するための道具である したがって、かんばん
のルールを破り、前提条件を無視すれば、かんばんの機能が十分発揮されないだけ
でなく、むしろ害悪になる かんばんについて正しい理解のもとで運用することが重要
である

かんばんルールには7つある
1. 製品は、100%良品であること
自分で加工した物は、自分で品質保証するという立場から工程内検査を徹底する必
要がある.不良品が出ると後工程では作業がストップする、その事実を誰にでも判る
ように自動的に知らせる仕組みを考え、もし、不良品が出たらラインを止め良品と交
換(手直し)して100%良品を後工程に流すことが大切である

2. かんばんが外れただけ後工程が前工程に引取りに行く
かんばんの外れた枚数だけ、つまり必要な物を必要な数だけ後工程が取りに行くこ
とである.後工程がこの原則を無視して勝手に取りに行くと、前工程の生産が不安定
になり、かんばん方式は成り立たない

3. 前工程は、かんばんの外れた物を、外れただけ、外れた順に造る
(同時に外れた場合は量の少ないものから)
前工程は、後工程が引取った分だけ引取った順に生産する.つまり、後工程と同様
に前工程でも余分に生産したり、余分に在庫を持つ事はできない.具体的にはかん
ばん枚数以上に生産しない、かんばんの出た順に生産することが肝要である
4. かんばんのない時は、造らない、運ばない
造り過ぎと運び過ぎを防止するためのルールでかんばんが無い時は運ばない、造ら
ないという原則である.かんばんの動きによって、作業者は生産や運搬をするのであ
る したがって、作業者や監督者は勝手な判断で行動してはならない

5. かんばんは、現物に必ず付けておく
6. かんばんの入数表示と実数は合致していること
かんばんは現物と必ず一緒に動くというルールになっている.つまり、かんばんは現
品票の機能を持っており現品名や数量が一目で判るし、必要な現品であることを証
明している
7. かんばんの枚数を減らしていく
かんばんは問題点を顕在化させたり、在庫量を適切にコントロールする役割もある.
かんばんの枚数を減らしていくことで、さらに問題点が顕在化され、改善のニーズが
生まれる

-8-
かんばん取扱い基本ルール
回収ポスト
必ず稼動時間内でのかんばん取外しを行う

稼動前(朝)と昼休み時間終了後のかんばん回収枚数が多いと か

① 部品納入の片寄り
② トラックに乗らない

③ 部品メーカーの生産のバラツキ か
等の問題が発生する か

最初の部品を1個取る時にかんばんを回収ポストに投入する
ルール違反
回収ポスト


かんばんの先取り
実入り
か ポス

か か

か か


かんばんの後出し
あなたが部品の注文者です
空箱 ポス



かんばんの先取り、後出しをしない か

・かんばんの先取りは先取りした分も納入され、受入れ場から溢れ置場が無くなる
部品メーカーの生産がバラツク…生産が間に合わない 遅れる
トラックの積み残し発生…必要な部品までも後に廻されてしまう
・かんばんの後出し、かんばんが部品メーカーに届かないので納入されず欠品となる

かんばんの入数表示と完成品数が合致したらかんばんを付ける
か ②
・かんばんの先付けは行わない…良品と勘違いして運搬される

かんばんを取り忘れない
① 完 か
・空箱について仕入先へ帰り…かんばん回転 成
ライン 品 か
枚数が少なくなり欠品する

- 9-
かんばん運用上の留意事項

1. 生産レベルの変動に対するかんばんの発行枚数増減は、月毎に管理
2.かんばんの発行枚数の安全係数のプラスアルファ分は、改善により出来るだけ少なく
3.かんばんは使った時に出し、小刻みに回収
4.安定した引取りの実施
5.臨出時の特異な生産をする時は、必ず連絡
・臨時かんばんを小刻みに発行する ・終了時は、速やかに回収する

かんばんを使った生産の概要 物と情報の流れ 【A票】

1.定義
(1) 物の流れ、情報の流れを明確にし図示する事

2.目的
(1) 物と情報の流れを図示することで、分岐、合流(乱流)を明らかにし工程を流れ化
(整流)にする
(2) 情報の流れを明らかにする、また、情報の動く頻度を明らかにする
(3) ストア(製品、半製品、構成部品)を何処に開設しているかを明らかにする

三菱
旧型
指示書 生管 仕掛けポスト か
TNS
指示書 イノアック
物流課 トヨタ
ロット形成ポスト
三菱
か か 号口
第 か
低流動品 か トヨタ
1-1-1 1

2-1-1 形 塗 補 補給
材料 装 給
高流動品 か C
仕掛けポスト
セントラル
量産
成形品ストアー か

三菱
加 1-8-12
物と情報 工 量産

情報 B
完成品ストアー

物と情報の流れ図

- 10-
かんばんの廻し方
工程内かんばん
③ ポスト ⑤
② A加工ライン
④ 完 粗材
ASSY 成 (後補充生産)
ポ運 品
P/G組付けライン ス搬 B加工ライン
トか 粗材
ん (後補充生産)

① ん
C加工ライン
粗材
(後補充生産)

① 組付けラインで部品箱から部品を取上げたら、その箱に付けてある運搬かんばんを
かんばんポストに差し入れる

・部品箱の最初の一つに手をかけたとき、または決められた量になったらかんばん
を外す

② 一定量(または、一定時)かんばんが外れたならば、運搬担当者は、運搬かんばん
を持って前工程へ部品を取りに行く

・外れたかんばんで、前工程に取りに行く

③ A加工ラインの完成品ストアへ行き、引取って行く部品箱に付いている工程内かん
ばんを外し、工程内かんばんポストに入れ、持ってきた引取りかんばんその部品箱
に付ける
・取りに行ったストアで工程内かんばんと差替える
④ 運搬した部品箱は、組付けラインの部品置場にかんばんを付けたまま、4Sを配慮し
て置いておく
・かんばんの無いものは絶対運ばない
⑤ 加工ラインでは、作業者が外れた工程内かんばんに従って、その部品を加工し引取
られた分だけ造っておく.その場合、かんばんの外れた種類が複数のときは、かん
ばんが外れた順に仕掛けることである.同じ種類だからといって、まとめてはいけな

・外れたかんばん分だけ、外れた順にものを造る
⑥ 作業者は、それぞれの加工ラインで加工するが、物と一緒にかんばんは流し、部品
箱が一杯になったら、それに工程内かんばんを付けて完成品ストアへ置いておく
・かんばんと物は一緒に流す
・かんばんの無い物は絶対に造らない
- 11-
かんばんと物の流れ

納品 荷降し 受入れ

仕入先より納入 指定された場所へ 個数を確認


指定された日時、場所へ 荷降し

回収 使用 補給

か か か

か か


ポス

補給された最初の部品を 補給マンがライン際の
時間を決めて回収マンが
使用時にポストへ 指定の場所へ
ポストから回収

保管 持帰る 積込み
納入かんばんポスト 仕入先へ イノアックへ
仕入先 便 A1 A2 B1 B1C1 C2
原 1
空箱
タツキ 2
〃 3
西浦 4
〃 5

回収されたかんばんは、
仕入先別に整理棚(納入 運転手がかんばん、空箱 かんばん枚数分の部品
かんばんポスト)へ 伝票を持帰る を積み込む

- 12-
外注部品引取りかんばんのまわし方

かんばん置場(受入れ)
納入かんばんポスト 外注メーカー
納入かんばんポスト (バラシポスト)
仕入先 便 A1 A2 B1 B1C1 C2
原 1
タツキ 2
〃 3
西浦 4
車両
〃 5 ③

外れかんばんポスト ④
② か

部品棚
組立てライン ①

納入車両
外注かんばんの運営の基本的考え方
(1)心構え
① かんばんは前工程である仕入先への生産指示
『バラツキ防止が必要』
② 部品の在庫量はその職場の実力を表す
『部品の山』は × : 欠品発生 → 在庫増
お金 ○ : 在庫減 → 問題点の
の山 発見と
対策
(2)管理の考え方
① 管理の基本は現地現物主義
『目で見る管理』 道具の整備
が可能な状態にする ・所番地・背番号・納入サイクル
・入荷時間・部品の最大最小

異常を検知し対策

② 必要最小限の在庫にする
・かんばんのバラツキ防止 決められた時間の回収ダイヤで回収
・安全在庫の見直し 部品置場をみて安全(最小)在庫を減らす
(3)運営に当っての考え方
① 目で見る管理のための道具の整備と維持
② かんばん枚数の増減は極力細かく分割
③ かんばん回収は極力小刻みに、決められた間隔で行う
④ 納入時刻に気を配り決められた時刻に来るよう仕入先を指導
⑤ 臨時かんばん発行は仕入先とよく連絡をとって行う
- 13-
納入サイクル (かんばんサイクル)
< 納入サイクルとは >
・部品の納入頻度 ( 納入回数 ) と、納入のリードタイム ( 遅れ回数 ) を取り決めたもので

< 納入サイクルの表示方法 >
A - B - C
1 - 4 - 2
1日 何日に納入するか
4 回納入 日に何回納入するか
2 回遅れの便で納入 かんばん持帰り後
何回目に納入するか
< 例 >
納入サイクル 便 月 火 水 木
1 - 1 - 1 ① ○ ○ ○ ○
① ○ ○ ○ ○
1 - 2 - 1 ② ○ ○ ○ ○
① ○ ○ ○ ○
② ○ ○ ○ ○
1 - 4 - 2
③ ○ ○ ○ ○
④ ○ ○ ○ ○

かんばん枚数の決め方
(1)定期不定量運搬の場合
日量数 1 + C
算出式 総枚数 = × ( A × + 安全係数 )
収容数 B
A - B - C はサイクルの事で
A ・・ ・・ 何日に 運搬量ならびに運搬車の積載量によって決める
B ・・ ・・ 何回
もらったかんばん分を何回目に運搬するかによって決まる
C ・・ ・・ 何回遅れ
2回迄が適当で3回以上にならない方がよい
※ 安全係数の目安
かんばん かんばん かんばん
安全係数 安全係数
サイクル 安全係数 サイクル サイクル
0.12 3-1-1 0.75~1.5
1-1-1 0.25~0.5 1-4-2
1-1-2 0.5 1-6-1 0.04~0.08 3-1-2 1.5
1-1-3 0.5 ~0.75 1-6-2 0.08 4-1-1 1.0 ~2.0
1-2-1 0.12~0.25 1-8-1 0.03~0.06 4-1-2 2.0
1-2-2 0.25 1-8-2 0.06 5-1-1 1.25~2.5
1-2-3 0.25~0.5 2-1-1 0.5~1.0 5-1-2 2.5
1-4-1 0.06~0.12 2-1-2 1.0
- 14-
かんばん回転枚数
1.回転枚数の考え方
今回 今回 持帰り
+ + + 安全在庫
納入分 持帰り分 済み分

2.かんばん回転枚数の例
1箱10個入りの部品を1日100個使用する時の回転枚数

A: 納入サイクル 『1-1-1』 の場合 (安全在庫:0.2日分の場合)

10枚
10枚 10枚 10枚 10枚
10枚 10枚
10枚 α10枚
枚 20枚10枚
+α枚

1日の使用量 α :
1日の使用量 + + 10 × 0.2=2枚 = (回転枚数
(今回仕入れ
(今回納入分) (安全在庫分) 22枚)
先持帰り分)

100個 1 + 1回後
回転枚数 22枚 = × ( 1日 × + 0.2 安全分 )
10個入 1回

A: 納入サイクル 『1-2-1』 の場合 (安全在庫:0.2日分の場合)

10枚
10枚 10枚
10枚 10枚
α10枚 10枚
5枚 5枚 枚 10枚10枚
+α枚

1 / 2日の使用量 + 1 / 2日の使用量 + α : =
(今回仕入れ 10 × 0.2=2枚 (回転枚数
(今回納入分) (安全在庫分) 12枚)
先持帰り分)

100個 1 + 1回後
回転枚数 12枚 = × ( 1日 × + 0.2 安全分 )
10個入 2回

A: 納入サイクル 『1-1-2』 の場合 (安全在庫:0.5日分の場合)

10枚
10枚 10枚
10枚 10枚
10枚 10枚
α10枚 10枚
10枚 10枚 10枚 枚 30枚10枚
+α枚

1日の使用量 + 1日の使用量 + 1日の使用量 +α : =


(今回仕入れ (先持帰り 10×0.5 = 5 枚 (回転枚数
(今回納入分) (安全在庫分) 35枚)
先持帰り分) 済み分)

100個 1 + 2回後
回転枚数 35枚 = × ( 1日 × + 0.5 安全分 )
10個入 1回
- 15-
在庫低減の進め方
1.在庫の役割 ・ ・ 顧客に製品をタイムリーに供給する為の部品
受注のブレを平均化する為の防波的な役割を果たす部品

適正な量の把握と維持、管理が大切

2.適正な在庫の把握
1)在庫量を決める要因は、 ① 製品を発注する間隔
② 発注から納入までの時間(日数)
③ 1回当りの発注量
④ 実需要の実績及び傾向
があり、製品別(品番別)に押さえを決める
2)在庫が多いと、 ① 在庫管理人員の増大
② 倉庫の拡張、積め替えが発生
③ 商品をぶつけ損傷させたり
④ 商品は全て旧品となり廃却量が多くなる
・問題が相乗的に発生し、益々悪さが悪さを呼ぶ
・ムダがムダを呼び、益々ムダがわからなくなる
3)在庫が必要以上に多くなる理由
イ.後工程に迷惑をかけたくない安心賃
ロ.個々の能率のみを追求した誤った考え
ハ.大ロット引取り時に後工程に欠品を起こさせない
二.予測精度の悪さを在庫量でカバーする
4)在庫低減と適正化
イ.最大在庫と最少在庫の基準を決め、その中で推移する管理
最大在庫量=最少在庫量+1回当りの納入ロット数
最少在庫量=発注から納入までのリードタイム間の必要量

需要に対応できる安全量
ロ.基準在庫量の維持・管理
製品置場は基準在庫量の上・下限を超えた異常がわかる事
異常発生時には原因をつかむ場合によっては基準在庫を見直す
ハ.発注から仕入れ業務での工数低減
二.納入回数とリードタイム短縮
発注頻度を多くし 納入回数増 リードタイム短縮
- 16-
かんばん部品の最大・最少在庫表示

・かんばん枚数のチェック 現物の数で判断できるようにしたもの

2から8の範囲か?

○○××△△ ○○××△△

仕入先 背番号 最大
8 棚ラベル

○○ ×× 最少 2
A
日当り最大必要数 ×
B
最大在庫 = + 最少在庫の切上げ
収容数

納入サイクル A - B - C

日当り最大必要数 × 安全係数
最少在庫 = の切上げ
収容数

常に現物と数と棚ラベルの最大・最少を見てかんばんの運営枚数が正しいか、
どうか見極めること

社内の在庫
入荷直後 最大在庫がオーバーの時、インフレ
かんばんが出ていないか調べる
入荷数/1便
(かんばん棚卸し)

庫 最少在庫 『安全在庫
入荷直前

- 17-
安全在庫の設定

社内の在庫
入荷直後

入荷数/1便



入荷直前 最少在庫 『安全在庫』

①便 ②便 ③便 ④便 〝多いと異常を
隠してしまう
昼 夜

安全在庫の構成

生産変動対応 変動する

仕入先異常対応分(納入時間遅れ)
供給対応分(受入れ → ラインサイド) 固定分

かんばん回収対応分

(例)かんばん回収 8 : 30 9 : 30 10 : 30 11 : 30

一 二 三
回 回 回
目 目 目
かんばん回収時間

かんばん取出し~
回収ポストへ
かんばん回収~
かんばん仕分けの時間
MIN
0.5
かんばん回収時間差
MAX 1.5

安全在庫は、固定分と変動分に分けて設定する

- 18-
在庫品保管
保管の7原則
1.定義・目的
1)保管方法を考える時の基本として「保管の7原則」がある。7原則の狙いは、 物の置き方
を標準化し、安全、品質、効率等の確立と更なるレベルアップを図ることです
2.保管の7原則

No. 項 目 基 準 目 的

① 品目集約 形状(部品の形) ・サイクル作業の安定化


・出荷荷姿作り容易化
・保管及び入出庫作業時の品質確保
② 縦置き (幅)300mm ・棚への出し入れの容易化
(高)300mm以上 ・空気保管の削減
横置き保管
在庫変動
ムダ
3→1

縦置き保管
在庫変動 空間口
3→1 利用

③ 目の高さ 最大手の届く範囲 ・ワンタッチで出し入れ


極小・小物は目の高さ迄

④ 重い物は 下から腰の高さ迄 ・安全の確保(腰痛防止等)


中段 ・出し入れの容易化
⑤ 所番地 1品番1所番地 ・入出庫作業時の照合桁数の削減
(品番10~12桁 → 3~4桁)
・探索時間の削減
⑥ 流量別 頻度別 ・作業効率の向上
(スロー・低・中・高) ・スペースの有効活用

⑦ 異常区分 在庫基準以上の在庫 ・現場での目で見る在庫管理


(在庫削減)

3.在庫品の整理・整頓
『必要な在庫』と『不必要な在庫』に区分けし、更に『不必要な在庫』は在庫過多品と死蔵品
とに分ける
- 19-
運搬の形態
運搬方法としては、以下のような形態がある
① 多回運搬
② 混載運搬
運搬方法 ③ 順序引き運搬
④ セット運搬(水すまし運搬)
⑤ 乗り継ぎ運搬
⑥ ハイヤー方式
① 多回運搬
部品単位で見た場合の運搬頻度を多くする運搬方法をいい、前後工程の在庫を少
なくするために用いる.但し、単に車両の運行回数を多くし、車両の積載効率を低下
させないよう多回運搬するには、混載運搬をして、運搬車両のトータルとしての運行
回数を増やさない配慮が必要である

② 混載運搬
1台の車両に、いろいろな部品とか数社の部品を積載して運搬する方法をいう
この混載運搬により、運搬効率を低下させずに(運搬車両トータルとして運行回数
を増やさずに)、多回運搬ができ前後工程の在庫量を少なくすることが出来る.ま
た生産変動に対し運行回数の増減も容易になる

③ 順序引き運搬
仕掛けられる製品や組立部品の順番が決まって入る時、または、メインラインから
順序指示で順立て場で順次仕掛けた物を必要な時に引き取ってくる方法である

④ セット運搬(水すまし運搬)
複数の前工程を指定された順番に巡回し、決められた数だけ自工程の生産順序
に必要な種類の部品を集め運搬する方法をいう.つまり、セット、定量、順序引き
の組み合わさった運搬をいう

⑤ 乗り継ぎ運搬
運搬作業 ( 運転 ) と荷役作業を分割し、運転手は目的地へ運搬したら、そこで、すで
に積み込みが終って待機しているトラックに乗り換える方法である.これにより荷役
作業と運搬作業が平行して行うことができ、物流のリードタイム短縮、在庫低減が
可能になる. また、 少人数の運転手で多台数のトラックを使う事により、運搬の
生産性を上げることが出来る

-20-
⑥ ハイヤー方式
運搬専従者が、プレス品や鋳造品などをリフトなどで、1パレットづつ運搬する作業
に適用する.各部品を必要とする工程からの運搬依頼情報を集中管理板に表示し
表示された工程に必用なものを1パレットだけ供給し、供給後は集中管理板前に戻
り、次の運搬指示を待つシステムである
集中管理板では、運搬依頼された情報を保持することにより、情報の先入先出しを
可能とし、また現在の仕事量に対する運搬専従者の過不足が判り、運搬作業の効
率が図られる

目的地に
必要な時に
必要な物を
必要なだけ
タイミングよく供給する

① 多回運搬
1個流しの原則にのっとり、より小刻みに(多回)引くことにより各ラインの要求が明確に
なると共に、前後工程の在庫を減らすことが出来る

平準化ポスト
空箱
完成品ストア
8:00 9:00
定時不定量 4便/直 置場
A ④
15 分間隔
B
INOAC
① 必要品番の 加工組立ライン

得意先別 空箱を運ぶ
得意先
かんばん 加工組立ライン
空箱とかんばん ③
出荷準備

15 分間隔でかんばん 加工組立ライン
ヤード のある物だけ引き取る
定時不定量運搬
INOAC
加工組立ライン

- 21-
② ー1)混載運搬
1 台の車(トラック)に、出発地、目的地の異なる部品を混載して運搬すること

多回運搬の悪い例 多回運搬
□□ AB ○×
Aのみ
1 便目 □□ □△
CD

○○ ○×
Bのみ AB
2 便目 ○○ □△
CD

△△ ○×
Cのみ AB
△△ □△
3 便目 CD

×× ○×
AB
Dのみ ×× □△
4 便目 CD

各製品 各製品
1回/日 運搬 4回/日 運搬

② -2)混載運搬

1 台の車(トラック)に、出発地の異なる部品を混載して運搬すること

出発地混載(ミルクラン)

A社 B社 C社 A社 B社 C社

1回 1回 1回 3回

トヨタ トヨタ

- 22-
④ セット運搬 ( 水すまし運搬 )
複数の前工程を指定された順番で回り、自工程に必要な部品を必要な量だけ集める
パワーステアリングの水すまし運搬
ギヤーハウジング ピストンパワー セクターシフト
研削ライン 研削ライン 研削ライン
A B C D A B C D
A B C D E
E E
完成品ストア
購入部品 A
ストア ナット ウォーム B
研削ライン 研削ライン C

A B C D E E

組付けライン
仕掛けポスト
A B かん A C A A
ばん B
かんばん
セット台車
⑤ 乗り継ぎ運搬
1人で2台の車を持ち、納品から帰ってきたらもう1台の車に乗り換え納品に行く

--A社 B・C工場の例 (かんばんサイクル 1-20-4)--


B工場 C工場

A社 イ ロ ※ ハ ニ

第2組立 第1組立

トヨタ ※ チ ト ※ は乗り継ぎ場 ヘ ホ

(注)A社B・C工場、トヨタ第1・2組立とも各2ヶ所で積み下ろし、ただし、乗り継ぎ
に各1個所、計2個所

運転手はステーションにある次のトラックを運転する

到着 出発

ステーション ステーション
出荷品を乗せる(出荷)
-23-
⑥ ハイヤー方式
運搬専従者が、素材やプレス品・鋳鍛造品などをリフト等で1パレットづつ運搬する作業
に適用する

MA - 100 MA - 101 MA - 102

MA - 103 MA - 104 MA - 105

SW・ON・・各作業者が行う
ン (ランプ点灯)
ア ンド
2 SW・OFF・・運搬専従者が
材 供給 M A 1 0

101 05 (ランプ消灯)行う
MA M A1
10 0
MA 104 素材  タクシー・・ ・・注文を取るために空動きし、
MA
1 03
MA ストア 注文が取れたら稼働する
 ハイヤー・・ ・・注文が取れてから稼働する

運搬の種類
物流のまとめ

生産効率を主目的とした運搬 運搬効率を主目的とした運搬

生産工程をタイムリーに結びつ 物を運ぶこと事体を目的とし、大
け円滑な生産が出来るよう必要 きな車両で、できるだけ多量にタ
な時に、必要な物を、必要な量 イミングより、むしろ安く運ぶこと
だけ運搬し平準化、在庫低減な を第一目的とした運搬
どによりもたらされる生産性向
上を目的とする

運搬
生産性
運搬 効率
生産性
効率

運搬
生産性
効率 バランスを考慮!!

- 24-
かんばん回転枚数の計算

設問1. ・納入サイクル :1-2-2


・直必要数 : 320個/直
・収容数 :20個/箱
・安全係数 :0.25日
(2直稼動)

かんばん回転枚数は何枚?

設問2. ・納入サイクル :1-1-2


・日必要数 : 320個/日
・収容数 :20個/箱
・安全係数 :0.5日

かんばん回転枚数は何枚?

You might also like