You are on page 1of 90

本日の講演について

講演者プロフィール

本村・C・純也
アークシステムワークス株式会社
リードモデラー / テクニカルアーティスト / 他いろいろ
モデラー出身でシェーダーを書きたくてテクニカルアーティストに。
モデリング・リギング・シェーダー作成、講演とかいろいろ。

代表作:
GUILTY GEAR Xrdシリーズ
リードモデラー/テクニカルアーティスト
DRAGON BALL FighterZ(バンダイナムコエンターテインメント)
ディレクター/モデリング監修/テクニカルアーティスト
講演の流れ
PART1: GUILTY GEAR Xrdのモデリングワークフロー
GUILTY GEAR Xrdシリーズのキャラクターモデルを題材に、
絵から立体におこしていく工程を紹介します。

PART2: 破綻の少ない顔形状の作り方
初心者が陥りがちなミスとその回避方法
立体的な整合性を保ちながらアニメ的な形状を作るポイントを紹介します。

PART3: 実践的な法線編集
法線を制御して任意の形状の陰影を得る方法について、
「そもそも法線って何?」ってところから解説し、実演します。
この講演について

3Dソフトの種類は問いません
本講演では、「GUILTY GEAR Xrd」を題材とするため
実演などに「Softimage」を用います。しかし、紹介するテクニックは
ソフトを問わず応用できるものをチョイスしています。

メッシュ形状の作成に的を絞ります
特殊なシェーダーのテクニックやテクスチャの描き方などはカバーしません。
あくまでポリゴンメッシュの形状作成をどのように行うか、を主眼とします。
ボーンやスキニングの話はちょっとだけ出てきますが、アニメーションには触れません。

ポリゴンモデリングを前提とします
GUILTY GEAR Xrdではスカルプトモデリングを行っていないので、
ノーマルマップなどの話は出てきません。
代わりといっては何ですが、頂点法線の話をたくさんします。
Part1

GUILTY GEAR Xrdの


モデリングワークフロー
アークで目指しているモデリング

いかに3Dモデルでキャラクターの魅力を引き出すか

・2D上で練りこまれたキャラクターデザインの魅力を、そのまま3Dモデルに変換したい。
・2Dのデザインと3Dの都合の折り合いをつけ、可能な限り汎用性の高いモデルを作りたい。
モデリング初期に重視すること

・スタート地点として大事なのはシルエットの再現。

・プロポーションによって与える印象が全然変わってしまう。
わずかな差が印象を左右する
頭部サイズ -5% 頭部サイズ+5%

頭部のサイズを5%変える
だけでキャラクターは一気に
大人っぽくなったり、子供っぽ
くなったりしてしまう。
GGXrdワークフロー:

絵をベースにモデリングする
TIPS:元絵をモデルの横に置こう

すぐ隣に置くことで「ズレ」が一目瞭然に!

・別ウィンドウとかではなく、モデリングを行っている
作業スペースの中に直接配置する。

・必ずしも作っているメッシュと重ねず、
見比べられるようにずらして配置。

圧倒的メリット:
同じウィンドウ内に配置することで、
縦横比が何かの拍子にずれないように画像を正方形にしておくと安心 サイズなどの比率を直接見比べることができる。
元絵と比較しながらバランスを合わせる
例:

「あれ?ちょっと足が長すぎた?」 「元絵を基準にこのくらいかな?」→修正
元絵に適した絵

・作品中で最も多く目にする構図
あるいは、もっとも印象付けたい構図

・格闘ゲームであれば、いわゆる「待機ポーズ」 手足の長さが把握できるので元絵として適切
にすることが多い。

・手足の長さの比率や頭身が把握できるもの
であることが重要
>パースが強くかかったものや、
アオリ、フカン視点のものは避けたい

フカン気味なので元絵としてやや不適切
元絵を使ったモデリングの流れ
元絵の配置とサイズ合わせ

3Dビューポートの中に 既存のキャラクターモデルを基準に
板ポリ+テクスチャとして元絵を配置 キャラサイズの比率を合わせる
元絵を使ったモデリング1
素体を使わずに1からモデリングする場合:

元絵を基準にモデリング開始 胴体をおおざっぱに配置 元絵を見ながら四肢を作っていく まずは目分量で手足を配置

・近い体格の既存キャラクターがいる場合はそれを素体として改造して作ることも。
・その場合も、同じようにゴールとなる絵を横において体格を合わせるところからスタート。
元絵を使ったモデリング2

作りこみ 作りこみ

ローポリ段階でボーンを入れて ポーズ状態と元絵を見比べながら テクスチャやディティールはシルエットが


ポーズをとらせる。 バランス調整&作りこみ 固まってから着手する。各種パーツの
ここで、手足の長さなどを調整 バランスも元絵基準で合わせる
TIPS:速攻でボーンを入れる
TIPS:速攻でボーンを入れる

・TスタンスやAスタンスの状態では、
手足の長さが適切か判断しにくい。

・モデルを作りこむよりも先に、超ローポリ段階で
最速で元絵と同じポーズをとらせる。

・ボーンやスキンウェイトは仮でもいいので
ポーズをとった状態で元絵と比率を合わせるのが重要。

・リグによる特殊な伸縮などを使わずに、素のメッシュと
ボーン回転だけで元絵と同じプロポーションになるのが理想。
まとめ:元絵ベースのモデリング
まとめ:元絵ベースのモデリング

・ここでやっているのは要するに「2Dから3Dへの模写」

・必要なのは目コピ力。トレースではなく、観察と解釈と再現。

・だが、元絵を100%再現することがゴールではない。
・「元絵の完全再現」=「高クオリティのモデル」 とは限らない。

・元絵の完全再現にこだわるあまり他の状態で破綻するようでは本末転倒。

・重要なのは「キャラクターを表現する単体のモデル」としての完成度。
最終的には、元絵はあくまでもガイドにすぎない。
Part2

破綻しにくい顔形状の作り方
TIPS
そもそもなんでアニメ調の顔は破綻するのか?
前提:アニメ調の顔はそもそも立体的に破綻している

「誇張」と「省略」によって表現力を上げているため、必然。
むしろ、破綻している部分が魅力になっていることが多い。
破綻しにくい顔のタイプもある
たとえば・・・

(?)

比較的リアル気味のバランスだと破綻しにくい。
(ある意味当然)
デフォルメの度合いが強ければ強いほど破綻しやすくなる。
破綻を完全に防ぐことはできない

アニメ調の顔=極端で「超現実」的なデフォルメ。
ゆえに立体として完全に成立させるのは難しい。

「破綻は避けられない」と割り切って、ボーンやモーフなどを使って
随時修正していくアプローチが現実的。

でも、だからといってモデル側で何も対応しなくていいのか?
可能な限り破綻を回避し、理想的な見た目に近づけるために、
できることはたくさんある。
そもそもなんでそんなに難しいのか

1方向からの見た目を再現するのは簡単 2方向からの見た目を両立するのは可能

(平面的に頂点を配置すれば100%再現できる) (奥行きに合わせて頂点を前後にずらすだけなら簡単)
デフォルメ顔のモデリングの難しさ

いろんな方向からの見た目を全部成立させようとすると、とたんに難易度が跳ね上がる。

ここから先は三面図をなぞるような作り方では対応できなくなる。
モデラーとしての腕が問われる領域に。
TIPS:まずは斜め顔を成立させよう!
TIPS:まずは斜め顔を成立させよう!

・もっとも表示される頻度が高い角度。真正面、真横の構図はむしろレアケース。
・真正面や真横のアングルからは読み取れない表現ポイントが多い。
・中間の角度ゆえに、斜め顔が成立すれば、真正面、真横との間の他の角度も成立しやすい
斜め顔を成立させるには

「斜め顔を成立させる」=「立体感のある顔を作る」
ということ。

アニメ的ディフォルメと立体感を両立させることが、
破綻を最小限にとどめることにつながる。
斜め顔作成時におさえるべきポイント
斜め顔作成時におさえるべきポイント

ほほのライン 眉目の立体感

口の引っ込み あごのライン
TIPS:頬のラインを整えろ!
TIPS:頬のラインを整えろ!

・正面顔、横顔では提示されないライン
・シャープさ柔らかさ、ゴツさなどの印象を
大きく左右するライン
・いわゆる美形、美少女キャラなどを
作る場合はこのラインが生命線

TIPS:
・このラインを定義するための
専用エッジを作り、
それに合わせてポリゴン割を行う
・ほしいラインを出すためにはポリゴン数を
惜しまない
斜め顔時の口の引っ込み
斜め顔時の口の引っ込み

・アニメ顔でよくあるのが、斜め顔の時に
口が後ろ気味に描かれる表現。
・キリッとした口元にしたいときに重要
・やらないとやぼったくなることが多い。

カメラアングル毎にボーンやモーフで
修正することもできるが、
モデル段階で一工夫することで
最初からこの効果を出すことは可能。
TIPS:口角を引っ込めろ!
図解 実演
視点
GOOD 視点
NG
口角を後ろに下げて
口全体に奥行きを作ると
斜め顔の時に口が後ろに下がる。

仮説: そもそも、口が後ろに下がる
絵の表現は、この奥行き感を
表現するものと思われる

TIPS:
・口角を後ろに引っ込めることで
奥行きを出して口を後ろに下げる
・唇周りの輪郭線を消すなどの
制御が必要になるので注意
初心者にありがちなミス:口の造形
NG
・特に口を開けたときに不自然になる。
・「記号としての唇」の先入観にとらわれている?

口角の頂点を一つに集約してしまう

BETTER
TIPS:
・口角に厚みをもたせることで、
構造的な説得力が高まる。
・わずかだが斜め顔時の口の位置を
後ろにずらすことにもつながる。
・口を開けたときもこっちのほうが自然。
口角部分にも厚みを持たせる
眉目の立体感
眉目の立体感

・「眉目秀麗」と言われるように、重要な要素
・特に目の周辺は視線を集めやすいので
わずかな間違いでも違和感が出やすい
眉と額のとらえ方

・目頭から眉間までの段差の深さはいわゆる「彫りの深さ」を印象付ける。
・「額は平ら」という先入観に流されやすいが、平らなのは中央付近のみ。
・顔の中央に行くにつれて額と目との段差は深くなる。
目の造形:ポイントは前後の横幅の差

斜め顔では前後で目の横幅が変わると自然に見える 同じくらいの横幅にすると違和感…

・アニメ的な顔では、極端に後ろ側の目の横幅を狭くすることが多い。
・前後で幅を変えることで立体感を誇張する表現。
・現実の人間でも多少は変化するので、現実に即した表現でもある。
目の造形でやってしまいがちなミス

上面図

OK……かな?
平面的な目を斜めに配置することで ぱっと見はいい感じに奥の幅が狭
幅の差を作ろうとする まっている

確かに横幅は変化して見えるが…
目の造形でやってしまいがちなミス

NG
NG アオリのアングルの時に「たれ目」っぽく
横顔なのに瞳の内側の白目が見えてしまっ なってしまったり、目の焦点が合ってい
ないように見えたり…
て不自然だったり…

結果的に他の角度にさまざまな悪影響が出てしまう!
じゃあどうしたらいいのさ!
TIPS:ベターな目の造形方法

目じりだけを後ろにずらすことで、
幅の差を作るのがベター
BETTER

・目のパーツ全体を斜めにするのではなく、目じりだけを後ろに下げることで、
眼球が入っているような立体感を出しつつ、奥側の目の幅が狭まる結果を得られる。
・アニメ的な大きい目でもある程度は同じ考え方で対応できる。
TIPS:ベターな目の造形方法
BETTER

TIPS:

BETTER 立体的な形状解釈がカギだ!

・目を立体的に造形することで他の角度でも破綻しにくい

・最終的には「ちゃんと現実の立体を考慮してモデリングしよう」ということに落ち着く。
・実際に眼球をモデリングしなくても、まぶたの形状で目の立体感を考慮するだけで全然違う。
あごのライン
あごのライン

・ほほのラインと対になって斜め顔の輪郭を形成。
・このラインとほほのラインとの間の幅が
顔の幅として認識される。
・ほほのラインと同じく、シャープさ、ゴツさなどの
印象を大きく左右する。

印象を一貫させるために、正面顔の顔幅と
斜め顔の顔幅をある程度揃えたい…

これが問題になりやすい…
よくある問題:斜め顔が間延びしてしまう
あれ?なんか微妙…?

長い?

正面、真横はイメージ通りなのに、
斜め顔の時にどうしても顔の横幅が間延びしてしまって
イメージを損ねてしまう、というケース
ここの幅をなんとかしたい

妙にゴツい… このくらいになるといいなぁ…
斜め顔でよくあるミスの連鎖

斜め顔が間延びした
イメージに…
ぱっと見は顔幅が
狭まり、問題は解決。
しかし…

正面顔はいじりたくない
ので優先度の低い 前後につぶした結果
横顔を犠牲に、 「お祭りのお面」のような、
顔を前後につぶして 立体感の無い顔に。
対応しようとする。
→結果、アオリやフカンに弱い
NG 破綻しやすい形状に
実演
原因の分析:原因がわかれば対策は可能
そもそもなんで斜めから見ると間延びしてしまうの?

側面があるものは斜めから見ると幅が増す
TIPS:あごのラインと正面顔輪郭線を分ける

・正面顔の輪郭と、あごのラインを混同しているのが根本原因
・正面顔から頂点を押し出してモデリングするときに陥りやすい錯誤
TIPS:あごのラインと正面顔輪郭線を分ける

X軸で調整

・正面顔の輪郭となる部分=顔で最も横幅のある部分。
・正面顔の輪郭はあごのラインよりも前で稜線を定義する。
・X軸方向に幅を狭めることでほしい斜め顔のあごのラインを得られる。
あごのライン問題解決の図解

■正面顔の輪郭 ■正面顔の輪郭
■あごのライン ■あごのライン

・正面顔の輪郭になるラインは、あごのラインよりも前方で定義する。
・あごのラインを左右に狭めることで斜め顔の幅を調整できる。

・そもそもこうしないと正面顔の輪郭線が発生しない。
比較

・正面顔、横顔の見た目は変えずに、斜め顔の顔幅を調整できた。
・先入観にとらわれずに原因を特定し、柔軟な発想で対応するのが
問題解決のコツ。
まとめ:破綻しにくい顔モデリング
まとめ:破綻しにくい顔モデリング

・「現実を超えた表現」を目指す以上、ある程度の破綻は避けられない。

・ボーンやモーフによる変形で逐次対応するのが現時点ではベスト。

・しかしモデルそのものの工夫である程度まで緩和することはできる。

・ポイントは「デフォルメと立体整合性の両立」

・デフォルメされた魅力を損なわない範囲で、立体的な整合性を工夫する。

・そのためには意外とリアル寄りのモデリング技術が役に立つ。
Part3

実践的な法線編集
そもそも法線って何よ?
そもそも法線って何よ?

・一つ一つの頂点の持っている向きをベクトルで表したもの。

・XYZの3つの数字で管理される。

・ものすごくおおざっぱに言うと、この「頂点の向き」と「ライトの向き」によって、
ライティング結果が左右される。
法線ってどうやって決まるの?

通常はモデリング時に3Dソフト内で自動で計算される

・エッジでつながっている近隣の頂点の位置から自動で算出される。
・エッジのつなげ方によって陰影が変わってしまうのはこのため

エッジの割り方によって法線が変化する例
じゃあ法線の編集って何?

通常は自動で計算される頂点の法線を、ユーザーが任意の方向に上書きすること。
(そのため、ソフトによっては「カスタム法線」「ユーザー法線」などと呼ばれることも)

自動法線 法線編集

ライティングを左右する法線を、任意に上書きすることで、ライティング結果を直接いじれる!
→シビアな陰影が要求されるセル調表現において非常に有用。
法線編集の効果
自動法線
メッシュの形状(頂点の位置関係)によってライティングが左右されてしまう。
きれいなライティング結果を得たければメッシュ形状にも制限が出てくる。

法線編集
メッシュの形状とライティング結果を切り離せるので、
本来あり得ないようなライティング結果を得ることができるようになる。

重要:メッシュの形状とライティング結果を切り離せる
法線の制御方法いろいろ
様々な法線の制御手法

モデリングによる法線の制御
通常のモデリングの中での頂点配置によって方向を制御

法線の転写
別の形状をもったメッシュから法線を転写する

法線の手動制御
頂点法線の方向を手作業で指定

これらの手法を用途によって使い分けるのが重要
モデリングによる法線の制御
モデリングによる法線の制御

初級:法線編集をせずに法線を制御する

「頂点の配置で法線が勝手に決まるなら、
欲しい法線になるように配置すればいいじゃない!」

・自動法線の計算の仕組みを利用して、欲しい陰影を得るアプローチ。
・無意識にやっている人も多いと思うが、理屈を理解しておくと求める結果が得やすくなる。
・ノーマルマップを使用しないモデリングでは非常に重要な手法。
実演:モデリングによる法線の制御

実演 ボックスの陰影を制御

実演 アームバンドの陰影を制御

実演 髪の毛のふさの陰影を制御
モデリングによる法線の制御:その理屈
・頂点法線は、隣接する頂点の位置によって影響を受ける。
→既存のエッジ上に頂点を置くことで、「エッジに対して垂直の法線」が狙って得られる。
→エッジ上のどこに頂点を置くかでライティング結果を調整できる。

・衣服のフチや、髪の毛の毛先などに使うことでクオリティを上げられる。
・アークではこの追加する頂点のことを「抑え」の頂点と呼んだりしてます。
・シルエット的には無駄な頂点なので頂点数的にはデメリットとなる。
→でも表現としてはそれに見合う価値はある。
法線の転写
解いておきたい誤解

「法線編集」=「法線の転写」だけではない。

「法線の転写」は手法の一つでしかない。
法線の転写

中級:別メッシュから法線を転写する

「あんたの法線いい感じだね。
ちょっと貸してくれない?」

・別のメッシュから、法線を転写することで本来の形状とは違うライティング結果を得る。
・原理上、細かい陰影制御には向かない。よりスムーズな陰影を得るのに使うことが多い。
・草木などの板ポリの陰影が不自然にならないように、という用途でも多く使われている。
実演:法線の転写

実演 髪の毛への法線転写
法線の手動制御
法線の手動制御
上級:手作業で直接法線を個別に指定する

「どうしてもほしい陰影の形があるなら、
自分で指定すればいいじゃない!」

・法線の転写では不可能な、細かいディティールや、狙いすました影形状を得るには、
やはり手で個別に法線を指定していく必要がある。
・主に顔など、徹底的に表現を決め打ちしたい箇所に使用する。
・全身に使用するのは作業量的に非現実的。(ほかの手法も併用して、使い分ける)
法線の手動制御

実演 汚い影を一瞬で消す方法

実演 GGxrd流、顔の法線編集
手動法線編集を考慮したモデリング
塗り分けたいエリア(簡易な例) エリアに合わせてポリゴンを割っておく

・法線は頂点単位での指定なので、それを考慮したモデリングが必要。
→頂点の無いところの陰影形状はいじれない。
・ほしい陰影形状をあらかじめ考慮したポリ割りが必要になる。
・ポリゴンの流れ的にどうしてもうまく解決できない箇所も出てくる。
そういう場合は他の手法との合わせ技にするなど工夫が必要。
法線編集のメリット・デメリット
法線編集のメリット

・汚い影が出ない。狙った影が出せる。
>アーティストの「表現」が込められる。結果「絵」作りができる。

・メッシュ形状とライティング結果を切り離せられる。

・トポロジーの呪縛から逃れられる。
より自由なポリ割りが可能に。
法線編集の制限、デメリット
フェイシャルボーンを回転させると
法線が変化して汚い影が…

・ボーンの回転変形は法線ごと回転するので
陰影が崩れてしまう。表情作成時などに問題に。 実演

線が意図せず細く…

・背面法の輪郭線と併用する場合、工夫が必要。
(輪郭線の押し出し方向が変化するため)

法線が再計算されてしまう

・サブディビジョンサーフェースと併用できない
(法線が再計算されてしまうため)
>映像系で問題になるかも?
まとめ:実践的な法線編集
まとめ:実践的な法線編集

・法線を制御する手法はいろいろあり、用途によって使い分けることで
より良い結果が得られる。

・手間や制限も多いが、「陰影をコントロールする」ということには、
それだけの価値はある。
リアルタイムのセルシェーディングにおいては特に有効。

・頂点法線編集は非常に強力な手段だが、
まだ活用例が少なく、研究も足りない。
今後、様々な活用法や編集ツールが登場することに期待。
最後に
さまざまな技法について

キャラクターモデルはこのような細かな工夫の積み重ねで作られます。

しかしここで紹介したのは数ある手法の中のほんのいくつかにすぎません。

アニメ調のキャラクタモデリングはまだまだ全然歴史が浅く、改善の余地しかありません。

今日もどこかで誰かが新しい技法を発見しているかもしれません。

あるいは、
次にそれを見つけるのはあなたかもしれません。
良いキャラモデラーになるために

・「キャラクターモデリング」はメッシュ作成だけでは完結しません。

・リギングやシェーダー、アニメーションなどの周辺分野の知識も学習することで、
より効果的で使い勝手のいいキャラクターモデルが作れるようになります。

・特に多人数で作業する場合は、キャラクターモデルだけが良くても意味がありません。
作品全体の品質向上に貢献することが、良いキャラクターモデラーの条件です。

・視野を広く持って、作品全体のクオリティを向上させるようなモデルづくりを目指しましょう!
お知らせ
スタッフ募集のお知らせ

こんな感じのモデルを作る仕事をしたい!
こんな感じのモデルにモーションをつけたい!
背景を作りたい! エフェクトを作りたい!

そんな人はぜひアークシステムワークスへ!
スタッフ募集のお知らせ

http://www.arcsystemworks.jp/official/company/career_join/

You might also like