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精神科

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U 精神科 目次
01 せん妄・アルコール関連障害 10 小児精神疾患
せん妄 3 自閉スペクトラム症 42
アルコール関連障害 3 注意欠陥多動性障害 (ADHD) 42
問題1~21 4 選択緘黙 42
チック症 42
02 統合失調症 問題1~12 43

統合失調症 11
問題1~18 12 11 パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害 47
03 気分障害 問題1 48

うつ病 17
双極性障害 17 問題の解答一覧 49
問題1~17 18

04 神経症
パニック障害 22
不安障害 22
強迫性障害 22
解離性障害・転換性障害 23
身体表現性障害 23
ストレス関連障害 23
問題1~20 24

05 心理検査
心理検査 29
問題1~4 30

06 薬物依存
薬物依存 31
問題1~4 32

07 睡眠障害
不眠症 33
ナルコレプシー 33
レストレスレッグス症候群 (むずむず脚症候群) 33
周期性四肢運動障害 34
睡眠時随伴症 34
問題1~7 35

08 認知症
認知症 37
問題1~5 38

09 摂食障害
神経性食思不振症 (AN)・神経性大食症 (BN) 39
問題1~7 40

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U01 せん妄・アルコール関連障害

せん妄
三大因子
・定義:日内変動を伴う意識障害 (せん妄≠診断)
・定義:+ 幻覚 (特に幻視),錯覚,妄想や精神運動興奮. 準備因子
・睡眠覚醒リズムの変化,見当識障害がみられ,後に健忘を残す.
・夜間に悪化しやすい.
促進因子 直接因子
・鑑別:認知症・うつ病

■ せん妄の種類と対応
夜間せん妄 … 高齢者の入院でみられやすい. 対応:まずはバイタルサインをチェック
術後せん妄 … 手術直後よりみられうる. 対応:原疾患 (直接因子)の治療 + 抗精神病薬
ICU症候群 … せん妄,不安,抑うつなどを 予防:昼夜逆転の防止,不安の軽減,家族の面会,
ICU症候群 … ICU入院患者は呈しやすい. 予防:ICU患者の場合,可能な限り一般病室へ戻す など

振戦せん妄 … アルコール多飲者の 対応:ベンゾジアゼピン (ジアゼパム など)


振戦せん妄 … 急激な断酒で起こる.
その他 … 作業せん妄

抗精神病薬の主な副作用
錐体外路症状:ジストニア,アカシジア,パーキンソニズム,ジスキネシア
高プロラクチン血症:乳汁,無月経
悪性症候群:高熱,ミオグロビン尿,筋強剛
※ 治療 … 大量補液・ダントロレン など

アルコール関連障害
アルコール離脱
長期飲酒歴のある人が断酒もしくは減酒したときに 【治療】
生じる一連の症状 ・離脱症状の予防:ベンゾジアゼピン
アルコール ・離脱症状の予防:(ジアゼパム,ロラゼパム など)
早期離脱 ・脱水や電解質異常の補正 (ビタミンB1を含む輸液)
離脱せん妄
断酒数時間後~ 断酒1~3日目 ■ Vit.B1不足の中枢神経の合併症
興奮,手指振戦, 意識混濁と錯乱, Wernicke脳症 :意識障害,外眼筋麻痺,小脳失調
自律神経症状 (発汗など), 幻覚 (特に小動物幻視), Korsakoff症候群:記銘力障害,逆行性健忘,作話
全身のけいれん発作 など 振戦,

アルコール使用障害 (アルコール依存症・乱用)
・仕事や人間関係を犠牲にしてまでも, 【治療】
・常に相当量の飲酒をせざるを得ない状態. ・断酒
・近年,女性や高齢者の患者数が増加している. ・断酒意志を固めるための精神的サポート
・肝障害や膵炎,アルコール心筋症などの ・→ 専門医療機関の紹介.
・アルコール関連の身体疾患の併存も多い. ※ 断酒会やAA (Alcoholics Anonymous)などの
■ CAGE質問表 ※ 自助会への参加も効果が高い.
※ また,精神保健センターや保健所も相談事業あり.
Cut Down (減酒の必要性の自覚)
・抗酒薬 (ジスルフィラム など)
Annoyed by criticism (飲酒の批判によるいらだち) ・→ 血中のアセトアルデヒド分解を阻害
Guilty feeling (飲酒に対する罪悪感)
Eye Opener (朝酒,迎え酒)

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U01 せん妄・アルコール関連障害

問題1 100C28-30
次の文を読み,28~30の問いに答えよ.
56歳の女性.右乳癌の治療のため外科病棟に入院していたが,夜間急に興奮状態となった.
現病歴:3週前に右乳房切除術を受け,続いて抗癌化学療法を開始した.次第に上腹部不快感,抑うつ気分お
よび不眠が強まった.「私はこのまま死んでいきたい.もう治療は受けたくない」と訴え,食事をとらなく
なった.夜になって急に言動に脈絡がなくなり,点滴を自ら外そうとした.それを止めようとした看護師に
物を投げつけ,「悪魔め,私の子供を殺すな」などと激しくののしった.
既往歴:特記すべきことはない.
家族歴:特記すべきことはない.
現 症:かけつけた当直医が話しかけても,うわの空だったり,興奮したりする.ここが病院であることを
理解していない様子である.

[C028]
この状態はどれか.
a せん妄 b 誇大妄想 c 被害妄想 d 心因反応 e もうろう状態

[C 0 2 9 ]
この状態への対応として適切なのはどれか.
a 隔離する. b 興奮を自制させる. c 抗不安薬を投与する.
d 抗精神病薬を投与する. e 抗てんかん薬を投与する.

[C 0 3 0 ]
翌日になると,うって変わって落ち着き,担当医や看護師と会話をするが,談話内容は悲観的である.昨夜の
出来事はほとんど覚えていない.
対応として適切なのはどれか.
a 昨夜の出来事をよく説明する. b うつ状態の改善を図る.
c 夜間は手足を抑制する. d 心理検査を行う.
e 退院を考慮する.

問題2 112B31
83歳の女性.右大腿骨頸部骨折のため手術を受けた.手術当日の夜は意識清明であったが,手術翌日の夜間
に,死別した夫の食事を作るために帰宅したいなど,つじつまの合わない言動が出現した.これまで認知症
を指摘されたことはない.
この病態について正しいのはどれか.
a 生命予後は悪化しない. b 抗精神病薬は禁忌である.
c 認知症の初発症状である. d 意識の混濁が短時間で変動する.
e ベンゾジアゼピン系薬剤が適応である.

問題3 111E13
せん妄のリスクファクターでないのはどれか.
a 肺炎 b 喫煙 c 低ナトリウム血症
d 尿道カテーテル留置 e ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬

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U01 せん妄・アルコール関連障害

問題4 107B49-51
次の文を読み,49~51の問いに答えよ.
77歳の男性.歩行困難のため搬入された.
現病歴:最近手のしびれを自覚した ため1ヵ 月前か らかか りつけ 医でビ タミン B12を投与さ れてい た.今 朝,
散 歩 中 に 公 園 の ト イ レ で 一 時 的 に 意 識 が も う ろ う と な り 転 倒 し た . す ぐ に 意 識 は 回 復 し た が ,右 殿 部 の 強 い
痛みで歩けなくなったために救急車を要請した.日常生活は自立していた.
既往歴:3年前に軽い脳梗塞を発症し,アスピリンを内服している.残存する上下肢の麻痺はない.逆流性
食道炎,前立腺肥大症および脂質異 常症で , プロ トンポ ンプ阻 害薬, α1遮断薬 および HMG - CoA 還元 酵素阻
害薬を内服している.
生活歴:無職.要支援1と認定されている.74歳の妻と2人暮らし.
家族歴:父親が肺結核.
現 症:意識は清明.体温36.4℃.脈拍88/分,整.血圧122/64mmHg.呼吸数20/分.SpO2 96%(鼻カ
ニ ュ ー ラ 2 L / 分 酸 素 投 与 下 ). 眼 瞼 結 膜 に 異 常 を 認 め な い . 心 音 と 呼 吸 音 と に 異 常 を 認 め な い . 心 電 図 に 異
常を認めない.頭部単純CTでは頭蓋内出血を認めない.

[B 0 4 9 ]
この患者の転倒に最も影響したと考えられる薬剤はどれか.
a α1遮断薬 b アスピリン c ビタミンB12
d プロトンポンプ阻害薬 e HMG-CoA還元酵素阻害薬

[B050]
その後,右大腿骨頸部骨折と診断し,入院3日目に全身麻酔下で人工骨頭置換術を行った.手術当日は回復室
で観察し,翌日,一般病床に移動した.術後は尿道カテーテル留置と左前腕からの持続輸液を行った.術後2
日目の夜に患者が不眠を訴えたため睡眠導入薬を投与した.日中は妻が毎日3時間程度来訪していた.術後
3日目の深夜,患者の病室から大きな物音がしたために看護師が訪室すると,患者がベッド上に起き上がって
おり,静脈留置針が前腕から抜けてシーツが血液で汚染されていた.本人に事情を聴いたところ,「銀行に
お金を振り込みにいく」と看護師の制止も聞かずに出かけようとした.
術後3日目の深夜の患者の状態はどれか.
a せん妄 b 躁状態 c 解離状態
d 抑うつ状態 e パニック発作

[B 0 5 1 ]
術後3日目の深夜の患者の状態の誘発因子でないのはどれか.
a 手術 b 持続輸液 c 妻の来訪
d 睡眠導入薬 e 病室の移動

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U01 せん妄・アルコール関連障害

問題5 107H31-32
次の文を読み,31,32の問いに答えよ.
82歳の女性.意味不明な言動を心配した家族に伴われて来院した.
現病歴:1週前までは特に変わった様子はなかった.数日前から食欲が低下し,昨日の朝からつじつまの合
わない言動がみられるようになった.今朝はパジャマのまま外出してしまい,連れ戻そうとすると大声で騒
ぐため,心配した家族に連れられて受診した.
既 往 歴 : 60歳時に甲状腺癌で甲状腺・副甲状腺全摘術を受けた.術後から甲状腺ホルモン,活性型ビタミンD及びカ
ルシウム剤を服用している.65歳時から高血圧症で服薬加療中.最近は腎機能障害と高血糖とを指摘されている.
生活歴:娘の家族と同居.
家族歴:母親が脳卒中のため75歳で死亡.
現 症:体温36.0℃.脈拍64/分,整.血圧152/74mmHg.呼吸数16/分.舌と皮膚とは乾燥している.開
眼しているが,質問に対して返答せず,意味不明の発言を繰り返す.
検査所見:血液所見:赤血球367万,Hb 10.5g/dL,Ht 33%,白血球4,200,血小板22万.血液生化学所
見:随時血糖167mg/dL,HbA1c(NGSP)6.0%(基準4.6~6.2),総蛋白6.4g/dL,アルブミン3.3g/dL,総
コレステロール212mg/dL,尿素窒素40mg/dL,クレアチニン1.7mg/dL,尿酸8.0mg/dL,Na 142mEq/L,
K 4.5mEq/L,Cl 100mEq/L,Ca 13.0mg/dL.CRP 0.5mg/dL.

[H031]
この精神障害の原因として最も考えられるのはどれか.
a 貧血 b 高血糖 c 高尿酸血症 d 高カルシウム血症 e 低アルブミン血症

[H 0 3 2 ]
この精神障害に特徴的なのはどれか.
a 睡眠は良好である. b 記銘力は保たれる. c 意識は清明である.
d 症状は変動しやすい. e 根本的な改善は期待できない.

問題6 109B44
89歳の女性.大腿骨骨折で入院中である.10年前にAlzheimer型認知症と診断され内服治療中である.2日前に室内で転倒し
動けなくなり救急車で搬送された.左大腿骨転子部骨折を認め,昨日,骨接合術を受けた.手術当日の経過は順調で夜間も良
眠した.術後1日目の夕方から落ち着かなくなり,夜になって立ち上がろうとして一晩中大声で看護師を呼び続けていた.
対応として適切なのはどれか.
a 強く叱責する. b 疼痛管理を見直す. c 体幹抑制を終日行う.
d ナースコールを取り外す. e 同様に叫ぶ患者と同室にする.

問題7 104A59
7 3 歳 の 男 性 . 肺 炎 で I C Uに 入 院 し た . 身 体 的 な 経 過 は 良 好 で あ っ た が , 入 院 5 日 目 か ら , 夜 に な る と 点 滴 を 外
して暴れようとする.看護師がベッドに戻そうとすると,「ここはどこか」,「なぜ妻はいないのか」と興
奮することもあった.日中は入院治療を受けていることをよく理解しており,夜間のことを覚えていない.
精神症状への対応として適切なのはどれか.
a 一般病棟に移す. b 家族の面会を制限する.
c 夜間,部屋を明るくする. d 夜間,予防的に身体を拘束する.
e 昼寝をしてもらい睡眠時間を保つ.

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U01 せん妄・アルコール関連障害

問題8 101F7
せん妄について正しいのはどれか.2つ選べ.
a 幻視が出現する. b 意識障害を認める. c 追想が可能である.
d 見当識は保たれる. e 常同姿勢を呈する.

問題9 95G3
69歳の女性.家族に伴われ来院した.12年前から手指振戦,無動および歩行障害のためにドパミン作動薬に
よ る 治 療 を 受 け て き た . 最 近 症 状 が 悪 化 し た の で 薬 を 増 や し た と こ ろ , 「 A ち ゃ ん ( 孫 の 名 前 )が 呼 ん で い
る.」と言い,夜中に飛び起きて近隣を歩き回ったり,大声での独り言が目立ち,家族が注意しても言動が改
善しなくなった.身長150cm,体重48kg.意識は清明.四肢腱反射低下.両手首と肘とに筋強剛を認める.
歩行は前屈みで両腕の振りを認めない.
この患者でまず行うべき薬物療法はどれか.
a 現在の薬物を減量する. b 抗コリン薬に変更する. c 抗精神病薬を追加する.
d 抗うつ薬を追加する. e 抗不安薬を追加する.

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U01 せん妄・アルコール関連障害

問題10 96C13-15
次の文を読み,13~15の問いに答えよ.
56歳の男性.言動の異常を心配した妻に伴われて来院した.担当医の要請で精神保健指定医が診察した.
現病歴:1週前に全身倦怠感を訴え内科を受診したところ,肝機能異常の悪化を指摘され,自宅療養と断酒と
を指示された.毎日欠かさなかった焼酎4~6合/日の晩酌を止め,安静に専念していたが,数日前から頭痛,
発汗および不眠を訴え始め,ついで精神的に焦燥感が強く不機嫌になってきた.昨日,「部屋の中に虫がた
くさんいて,おそってくる.」と大声をあげておびえ,虫を身体から払う動作を繰り返したり,家の外に逃げ
だそうとした.家族がいくら否定しても聞き入れない.夜になってますます不穏となり,昨夜は全く眠って
いない.
既往歴:肝障害のため2年前に投薬を受けたことがある.
生 活 歴 : 妻と息子2人の4人家族.20歳時からの大酒家であるが,仕事には真面目な家具職人として現在に至る.
現 症:身長165cm,体重65kg.体温36.5℃.脈拍110/分,整.血圧140/80mmHg.全身の発汗が著明.
神経学的診察では細かな手指振戦を認める他は異常を認めない.いろいろ質問しても注意が散漫で何度も聞
き直す.時には質問の内容にそぐわない答えが返ってくる.時間や場所に関する見当識や記銘力は明らかに
障害されている.診察中にも,「虫がいる.」と言って何度も診察室から逃げだそうとする.入院を勧めて
も,「こんな恐ろしいところにいたくない.」と頑として入院を拒否する.
検査所見:血液所見:赤血球400万,Hb 11.0g/dL,Ht 38%,白血球9,600,血小板17万.血清生化学所
見 : 空 腹 時 血 糖 1 1 0 m g / d L , 総 蛋 白 6 . 0 g / d L , ア ン モ ニ ア 3 0 μ g / d L ( 基 準 1 8 ~ 4 8 ), 総 ビ リ ル ビ ン 1 . 0 m g / d L ,
A S T 1 5 0 単 位 , A L T 6 0 単 位 , L D 4 3 0 単 位 (基 準 1 7 6 ~ 3 5 3 ), A L P 2 6 0 単 位 (基 準 2 6 0 以 下 ), γ - G T P 2 4 0 単
位 (基 準 8 ~ 5 0 ).

[C 0 1 3 ]
この患者にみられるのはどれか.
a 認知症 b 妄想状態 c せん妄 d 強迫状態 e 離人症

[C 0 1 4 ]
適切な処置はどれか.
a 本人の意志を尊重してそのまま帰宅させる. b 1週後の再受診を指示する.
c 直ちに応急入院させる. d 妻の同意を得て医療保護入院させる.
e 措置入院のための手続きをとる.

[C 0 1 5 ]
この患者の治療法として適切なのはどれか.2つ選べ.
a ハロペリドール投与 b イミプラミン投与 c ジアゼパム投与
d 電気けいれん療法 e 高照度光療法

問題11 109I2
アルコール依存症の離脱症状でないのはどれか.
a 幻視 b 興奮 c 作話 d 振戦 e 発汗

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U01 せん妄・アルコール関連障害

問題12 112A63
57歳の男性.食欲不振と肝機能障害のために入院中である.20歳台から連日日本酒3合を飲んでいたが,仕
事に支障をきたすことはなかった.3年前から飲酒量がさらに増加し,毎日5合以上飲むようになった.1週
間前から全身倦怠感を自覚し,仕事を休み始めた.それでも飲酒を続けていたが,3日前に著しい食欲不振で
食事を摂れなくなったため外来受診し,血液検査で肝機能障害が認められて入院することになった.入院時
から夜間不眠があり,入院2日目から落ち着きなく歩き回り,夜間には「動物が壁を這っている」と訴えて不
穏になった.このとき手指の粗大な振戦および著明な発汗がみられ,自分が入院していることが分からない
様子であった.入院時の頭部CTで異常を認めなかった.
まず投与すべき薬剤として適切なのはどれか.2つ選べ.
a 抗酒薬 b ジアゼパム c ビタミンB群
d イミプラミン e レボドパ〈L-dopa〉

問題13 110I29
アルコールによる異常酩酊を疑う状況はどれか.
a ビール1杯で悪心を訴えた. b 飲酒後に陽気で多弁になった.
c 飲酒後に大声で興奮し始めた. d 虫が這うような幻視を訴えた.
e 大量飲酒して意識を消失した.

問題14 106D15
アルコール依存症と関係があるのはどれか.2つ選べ.
a Leigh脳症 b Wernicke脳症 c Korsakoff症候群
d Kartagener症候群 e Lambert-Eaton症候群

問題15 112E12
アルコール依存症でみられる神経学的所見のうち,小脳失調の所見はどれか.
a 外眼筋麻痺 b 記銘力障害 c つぎ足歩行不能
d Romberg徴候陽性 e 手袋靴下型感覚障害

問題16 106I46
45歳の男性.全身倦怠感を主訴に来院した.20歳から毎日飲酒するようになり,日本酒を1日4合飲んでいた.その後,
飲酒量は増えたものの仕事に支障をきたすことはなかった.35歳時に職場の定期健康診断で肝機能障害を指摘され,
産業医から内科受診と禁酒とを繰り返し勧められたが,受診せず飲酒を続けていた.2ヵ月前に仕事上のトラブルがあ
り,飲酒量が急激に増加した.5日前からは,朝から飲酒し仕事に行かなくなった.3日前から全身倦怠感が強くなり,
増悪してきたため受診した.外来で肝機能障害が認められ,入院することになった.入院後3日,「ここは火葬場で,
周りの人間が自分を燃やそうとしている」と言い,興奮し始めた.発汗が著明である.粗大な手指振戦を認める.
時々,穏やかに対応することもあるが,自分の居る場所が病院であることを理解できず困惑している様子である.
現時点の対応として適切なのはどれか.
a 身体拘束を行う. b 抗酒薬を投与する. c 三環系抗うつ薬を投与する.
d ビタミンを含む輸液を行う. e 入院形態を措置入院に変更する.

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U01 せん妄・アルコール関連障害

問題17 108D1
アルコール依存症の治療について適切なのはどれか.
a 断酒会は匿名参加が原則である.
b 断酒より容易な節酒を目標とする.
c 離脱症状にベンゾジアゼピン系薬を投与する.
d 脳症の予防としてビタミンDを大量に投与する.
e 抗酒薬を患者に知らせず家族に食事に混ぜさせる.

問題18 97G107
向精神薬と薬理作用の組合せで正しいのはどれか.2つ選べ.
a ジアゼパム - 選択的セロトニン再取り込み阻害
b 炭酸リチウム - モノアミン酸化酵素阻害
c フェニトイン - モノアミン代謝回転の促進
d イミプラミン - モノアミン再取り込み阻害
e ハロペリドール - ドパミン受容体遮断

問題19 98G102
抗精神病薬による固縮・振戦に対する適切な治療薬はどれか.
a 抗不安薬 b 抗うつ薬 c 抗Parkinson病薬
d 抗けいれん薬 e 筋弛緩薬

問題20 103B16
抗精神病薬の副作用はどれか.
a 歯肉の肥厚 b 乳汁分泌 c 小脳失調
d 多毛 e 下痢

問題21 110I52
62歳の男性.発熱を主訴に来院した.統合失調症のため30歳ころから精神科病院に入退院を繰り返し,ハロ
ペリドール,ゾテピン及びニトラゼパムを服用している.昨日から40℃の発熱と高度の発汗があり心配した
家族に付き添われて受診した.家族によれば普段より反応が鈍いという.持参した昨年の健康診断の結果で
クレアチニンは0.7mg/dLであった.来院時,意識レベルはJCSⅡ-10.身長168cm,体重61kg.体温
39.0℃.脈拍112/分,整.血圧150/82mmHg.咽頭粘膜に発赤はなく,胸部に異常を認めない.腸雑音は
低下している.筋強剛が強くみられる.尿所見:蛋白1+,潜血2+,沈渣に赤血球1〜4個/1視野.血液所
見:赤血球304万,Hb 9.5g/dL,Ht 27%,白血球8,800,血小板13万.血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL,
ア ル ブ ミ ン 3 . 6 g / d L , A S T 2 2 5 I U / L , A L T 1 2 9 I U / L , L D 8 4 8 I U / L (基 準 1 7 6 〜 3 5 3 ), C K 3 5 , 0 0 0 I U / L (基 準
3 0 〜 1 4 0 ), 尿 素 窒 素 5 3 m g / d L , ク レ ア チ ニ ン 2 . 5 m g / d L , N a 1 3 5 m E q / L , K 5 . 3 m E q / L , C l 1 0 6 m E q / L .
適切な対応はどれか.
a 免疫グロブリン製剤投与 b ステロイドパルス療法
c 抗精神病薬の継続 d 赤血球輸血
e 大量輸液
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U02 統合失調症

統合失調症
脳内ドパミン神経系などの脳機能の変調により生じる. ■ 統合失調症の分類 (ICD-10)

解体型 思春期.難治性,予後不良.
中脳皮質系 黒質線条体
(破瓜型) 徐々に発症,進行する.陰性症状が主.
ドパミン経路 ドパミン経路
20歳前後.緊張性興奮と緊張性昏迷を繰り返す.
中脳辺縁系 緊張型
治療に反応し比較的予後良好.
漏斗下垂体系 ドパミン経路
ドパミン経路 30歳前後.陽性症状が主で比較的予後良好だが,
妄想型
人格荒廃に至るものも.
※ 統合失調症は家族歴がある場合には罹患率が高い.
※ 全人口の1%が罹患. ※ DSM-5では廃止されている.

【症状】
・三大症状:陽性症状,陰性症状,認知機能障害 ・思考の異常
・下記の5つの症状のうち,2つ以上が6カ月以上続く 内容の異常 一次妄想 (妄想気分,妄想知覚,妄想着想)
① 妄想 二次妄想 (誇大妄想,被害妄想 など)
② 幻覚 (多くは幻聴) 過程の異常 連合弛緩,破裂思考,言葉のサラダ,思考途絶
③ 連合弛緩
体験様式の異常 作為思考 (考想伝播,思考吹入,思考奪取 など)
④ 緊張病症状
⑤ 陰性症状 ・知覚の異常:幻覚 (特に幻聴)
・感情の異常:「自閉」的,感覚鈍麻,両価性 など
・意欲の異常:緊張病性昏迷,緊張病性興奮 など

【治療】

薬物療法 予後良好を呈する因子
・定型抗精神病薬 (ハロペリドール など) 発症:高年齢,急性,誘因がある
・非定型抗精神病薬 (リスペリドン,オランザピン など) 性格:病前の社会適応能力が高い.
※ 発症早期の積極的治療介入が重要 病型:緊張型
※ 未治療期間が長いほど予後不良とされる.
その他
入院形態
・心理教育
・(病識の欠如している患者に導入すべき) 任意入院 本人の同意に基づく入院

・幻覚については患者の体験を尊重し, 医療保護入院 本人の同意が得られない場合,


・頭ごなしに否定しない. 精神保健指定医が診察した上での
家族等の同意による入院
・昏迷状態・著しい興奮などに対し,
・修正型電気けいれん療法 応急入院 本人・家族等とも同意が
得られない場合,精神保健指定医の
・判断能力が欠如していることが多く, 診察による入院 (72時間まで)
・強制入院せざるを得ないことがある.
措置入院 自傷他害のおそれがある場合,
・治療環境の改善,生活技能訓練, 精神保健指定医2名が診察した上
・レクリエーション療法,生活指導, での都道府県知事の決定による入院
・デイケア・ナイトケア,援護寮 など
※ 病識の欠如した患者の対応は 緊急措置入院 措置入院と同様で,精神保健指定医
※ 保健所に相談することが多い. 1名による場合 (72時間まで)

■ 統合失調症の近縁疾患

緊張病症候群 妄想性障害
精神運動興奮または昏迷を主徴とし, 1つまたはそれ以上の妄想が1ヶ月以上持続する障害.
カタレプシー・反響言語などを示す症候 ・
妄想の内容は奇異でないことが特徴.
※ 気分障害や器質性精神障害においても認められる. ※社会的機能は保たれることが多い
治療:ベンゾジアゼピン → 電気けいれん療法 (ECT) 治療:抗精神病薬 など

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U02 統合失調症

問題1 100H31
18歳の女子.高校に入学して間もなく,学校での些細なことをきっかけに,腹痛を理由に登校しなくなった.
家族の説得で登校したり,しなかったりが続き,結局1年後には中退してしまった.その後,1年ほど自室に
閉じこもり,家族ともあまり口をきかず,外出の働きかけに興奮気味に反発し,最近「自分の考えが人に伝わ
る」,「家族が不幸になる」などと言うようになった.
最も可能性の高いのはどれか.
a 不登校 b 境界性人格障害 c うつ病
d 妄想性障害 e 統合失調症

問題2 111I29
統合失調症について正しいのはどれか.2つ選べ.
a 発症率は国によって大きく異なる.
b 家族歴がある場合には罹患率が高い.
c 脳内の異常蛋白の蓄積が原因である.
d 治療の開始時期によって予後が異なる.
e 陰性症状には選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉が有効である.

問題3 102A5
統合失調症で正しいのはどれか.2つ選べ.
a モノアミンが関与している.
b 大脳に炎症性変化が存在する.
c 陰性症状に対する薬物効果は高い.
d 発症初期の積極的な治療的介入が重要である.
e 有病率は人口10万当たり約10である.

問題4 112D35
21歳の男性.奇妙な行動をとるため両親に伴われて来院した.1週間前に大学院の入学試験を受けてから不
眠が続いていた.本日朝から駅前のベンチの周りを独り言を言いながら約3時間ぐるぐると回っていたこと
で警察に保護されたため,両親に伴われて近くの総合病院を受診した.身振りや表情が乏しく,一点を凝視
しており視線を合わせようとしない.急ににやにやするかと思うと,おびえたような表情に変わる.黙った
まま何かに聞き入ってうなずく様子がみられ,質問には全く返答することはないが,唐突に「なるほど」
「だからか」などとあたかも対話するように短く独語する.これまでに発達や適応上の問題はない.血液生
化学所見,頭部MRI及び脳波で異常を認めない.
この疾患にみられる症状はどれか.
a 感覚失語 b 行為心迫 c 連合弛緩
d 小動物幻視 e 記銘力障害

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U02 統合失調症

問題5 112E15
疾患と症状の組合せで誤っているのはどれか.
a 心気症 - 身体的愁訴
b うつ病 - 心気妄想
c 強迫性障害 - 作為体験
d 統合失調症 - 妄想知覚
e 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉 - 過覚醒

問題6 112F15
自我障害と考えられる症状はどれか.
a 恐怖
b 自閉
c 両価性
d 離人症
e 強迫観念

問題7 112F37
正しいのはどれか.2つ選べ.
a 感情失禁は適応障害でみられる. b 両価性はうつ病に特徴的である.
c 自生思考は強迫性障害でみられる. d 作話はKorsakoff症候群でみられる.
e 言葉のサラダは統合失調症に特徴的である.

問題8 105A23
35歳の男性.反応が鈍く奇妙な姿勢をとることを心配した会社の上司に伴われて来院した.半年前から上
司に「誰もいないのに職場の同僚からの悪口が聞こえてくる」と訴えていた.昨日から「会社に殺される」,
「 考 え て い る こ と が 会 社 に 筒 抜 け に な る 」 な ど と 独 り 言 を つ ぶ や い て い た か と 思 う と ,黙 り 込 ん で 開 眼 し た
まま無反応になったという.診察時に右手を挙上させるとそのままの姿勢をいつまでも保持する.
最も考えられる診断はどれか.
a うつ病 b 適応障害 c 緊張病症候群
d 広汎性発達障害 e Korsakoff症候群

問題9 99D84
緊張病症候群について誤っているのはどれか.
a 統合失調症で現れる. b 脳器質疾患で現れる. c 感情鈍麻が現れる.
d 反響動作が現れる. e 拒絶症が現れる.

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U02 統合失調症

問題10 104E59
72歳の女性.言動の変化を心配した家族に伴われて来院した.3年前に夫を亡くしてから,一人暮らしを続
けている.これまでに精神症状を呈したことはなかった.3ヵ月前から自宅に閉じこもりがちになったため,
心 配 し た 長 女 が 様 子 を 見 に 行 っ た と こ ろ 「 外 に 出 る と 皆 が 自 分 の 悪 口 を 言 っ て い る 」 ,「 隣 の 人 が い つ も 自
分を監視している」といった話をし続けたという.診察時には表情が明るく,抑うつ気分は認めない.疎通
性も良好である.幻覚は認めず,改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールは30点(満点30)であった.
最も考えられるのはどれか.
a うつ病 b 妄想性障害 c 統合失調症
d 強迫性障害 e 社会不安障害

問題11 108A39
6 3 歳 の 女 性 . 隣 家 と の ト ラ ブ ル を 主 訴 に 家 族 に 連 れ ら れ て 来 院 し た . 大 学 卒 業 後 結 婚 し ,主 婦 と し て 問 題 な
く過ごしていた.60歳ころから,明らかな誘因なく隣家の男性が家の中を覗いていると言うようになり,警
察に相談することがあった.さらに,変な薬を家の中に送り込んで殺そうとしていると言うようになり,頻
回に隣家に抗議し,隣家の前で罵倒することもあった.昨日は包丁を持って隣家に入り込み,警察沙汰に
なった.受診時,病識は欠如していた.身体的に明らかな問題は認められなかった.医療保護入院となり,
一時拒薬がみられたものの抗精神病薬により約1ヵ月で病的体験は軽減し,2回の外泊でも問題となる行動は
示さなかった.また家事を以前と同じようにこなすこともできたことから退院することになった.
退院時の家族に対する説明として適切なのはどれか.
a 「精神病症状は再燃する可能性があります」
b 「服薬は患者自身に任せておけば大丈夫です」
c 「今後自閉的な傾向が現れてくる可能性が高いと思います」
d 「妄想については,現実ではないと説得し続けてください」
e 「リハビリテーションのためにデイケアに通所しなければなりません」

問題12 110D44
23歳の男性.行動の異常を心配した家族に連れられて来院した.6ヵ月前に大学を卒業し就職した.3ヵ月
前から遅刻が目立つようになり,休みがちとなった.1ヵ月前からは,1日中自室に閉じこもるようになった.
1週前から誰かと話しているような独り言がみられ,さらに「誰かに見張られている」「数人が自分の悪口
を言い合っている」とおびえるようになった.夜間眠らず,部屋の中を動き回るようになったため家族に連
れられて受診した.意識は清明.神経学的所見に異常を認めない.血液生化学所見に異常を認めない.
治療薬として適切なのはどれか.
a バルプロ酸 b クロナゼパム c リスペリドン
d カルバマゼピン e フルボキサミン

問題13 110D16
統合失調症治療薬の抗ドパミン作用と関連した副作用はどれか.2つ選べ.
a 嘔吐 b 口渇 c 無月経 d 手指振戦 e 体重減少

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U02 統合失調症

問題14 108G52
父親が自身のかかりつけの医師に悩みを打ち明けた.「今年30 歳になる息子はここ3年間ほとんど家から出な
い.家族との会話はほとんどなく, 独り言,独り笑いがみられる.暴力を振るうことはないが, 時たま窓から外
に向かってバカヤローと叫ぶ」という.両親が本人に精神科受診を勧めると本人は拒否し,時に口論となる.
父親への助言として適切なのはどれか.
a 措置入院の手続きを警察署に依頼する.
b 救急車による搬送を消防署に依頼する.
c 本人を受診させる方法を保健所に相談する.
d 家族・親戚で本人を身体拘束して病院へ搬送する.
e 家族が医療機関から薬をもらって本人に飲ませる.

問題15 106B47
21歳の男性.引きこもりを心配した両親に伴われて来院した.1年前から大学の講義を休んで自室に引きこ
もり,独り言を言うようになった.患者は「外に出ると,誰もいないのに自分への悪口が聴こえる」と言う.
応対は穏やかであるが,「自分は病気ではない」と治療を拒否した.両親は入院治療を希望している.
この患者に適用される入院形態で正しいのはどれか.2つ選べ.
a 家族等の同意が必要である.
b 入院期間には72時間以内という制限がある.
c 精神保健指定医の診察に基づいて判断される.
d 人権擁護に関する行政機関の職員との面会を制限できる.
e 患者が手紙を出したり受け取ったりすることを制限できる.

問題16 107G40
48歳の男性.警察官に伴われて来院した.2週前から公園で寝泊まりしているところを目撃されていた.2
日前から意味不明の言動が認められるようになったが,他人に危害を加える様子はなかった.公園の管理者
が通報し受診となった.受診時,幻覚妄想状態を示し,十分な疎通性が得られず,入院加療が必要と考えられ
た.体温36.8℃.脈拍88/分,整.血圧136/88mmHg.入院の必要性を説明したが了解を得られない.所
持品から遠隔地にある医療機関の診察券が発見され身元は判明した.配偶者がいるようだが連絡がとれない.
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく入院として適切なのはどれか.
a 応急入院 b 措置入院 c 任意入院
d 医療保護入院 e 緊急措置入院

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U02 統合失調症

問題17 112F46
45歳の男性.精神科閉鎖病棟を含む複数の診療科のある病院内で, 廊下に座り込んでいるところを保護された.
病院事務員が話を聞くと,その病院の精神科に通院している患者であること,統合失調症と診断されているこ
と,単身で生活しており,すぐ連絡のとれる家族はいないことが分かった.患者は「自分は病気ではない.
『しばらくこの病院の廊下で寝泊まりするように』という声が聞こえてきたから,廊下で寝る場所を探してい
た」と述べた.患者から話を聴いている現場には内科当直医, 精神保健指定医の資格をもつ精神科医, 当直の
事務員がいる.精神科医の診察の結果,入院が必要であると判断された.精神科医が入院治療の必要性につい
て繰り返し説明したが,患者は拒否し「このまま病院の廊下で寝泊まりする」と主張し譲らなかった.
現時点で最も適切な入院形態はどれか.
a 任意入院 b 措置入院 c 応急入院
d 医療保護入院 e 緊急措置入院

問題18 95H13-15
次の文を読み,13~15の問いに答えよ.
60歳の女性.言動の異常を心配した長男夫婦に連れられて来院した.
現病歴:2ヵ月前から徐々に家にとじこもり横になっていることが多く,おかしなことを言うようになった.
家族によれば,心配することは何もないのに,「今年の所得税が払えない.自宅が抵当に入ったので立ち退
かねばならない.」と悩み,「そうなったのも昨年のお盆で先祖供養が不十分だったから.」と自分を責め,
いくら言っても聞き入れない.食事もとろうとせず,入浴は無理やりでないと入らない.体重がこの2ヵ月
で3kg減少した.夜間はほとんど眠らないまま,何かぶつぶつ言ってはお経を唱えている.「きっかけとし
ては,昨年新築した自宅の建築費についての税務署からの問い合わせが関係しているかもしれない.」と長
男は言う.この問い合わせは通常のもので問題は何もなかった.
既往歴:高血圧症のため10年前から投薬を受けている.
生活歴:夫と長男夫婦,孫2人の6人家族.元来きれい好きで働き者であった.
現 症:身長150cm,体重55kg.脈拍74/分,整.血圧166/92mmHg.神経学的身体診察では異常を認め
ない.医師がいろいろ質問しても患者はうつむいてほとんど答えないか,小声で二言三言答える程度である.
しかし意識ははっきりしており,現在の状況もわかっている.このままではいけないからと入院を勧めても,
「貧乏で入院費が払えないから.」と頑として入院を拒否する.改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールで
23点(基準21以上).

[H 0 1 3 ]
この患者にみられるのはどれか.
a 認知症 b せん妄 c 妄想 d 強迫 e 感情失禁

[H 0 1 4 ]
適切な処置はどれか.
a 本人の意志を尊重しそのまま帰宅させる. b 1週後の再受診を指示する.
c 夫の同意を得て医療保護入院させる. d 直ちに応急入院させる.
e 措置入院のための手続きをとる.

[H 0 1 5 ]
この患者の治療法として適切なのはどれか.2つ選べ.
a イミプラミン投与 b ワルファリン投与 c ジアゼパム投与
d 持続的気道陽圧法 e 電気けいれん療法

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U03 気分障害

うつ病
・1回以上の大うつ病エピソードがあり, 【治療】
・躁病エピソードを伴わないもの. ・薬物治療
・生涯有病率は10人に1人で,女性の方が多い. ・抗うつ薬の単剤投与が基本
・(SSRI,SNRI,三環系抗うつ薬 など)
【臨床像】 ・※ SSRIの副作用:吐き気,性機能障害 など
病前性格:循環気質,執着性格,メランコリー型性格 ・その他
発症の契機:つらい出来事や状況,昇進,転居, 不安や不眠が顕著:ベンゾジアゼピン系睡眠薬,
発症の契機:急激な負担の軽減など 不安や不眠が顕著:抗不安薬を併用.
■ 代表的な症状 焦燥感が強い例:抗精神病薬.
SIGECAPS + Depressed mood (抑うつ気分) 重症例や難治例:修正型電気けいれん療法.
Sleep disturbance = 睡眠障害
・自殺をしないよう約束させる.
Loss of Interest = 興味の消失
・心理教育
Guilt or feelings of worthlessness = 罪悪感
現在の状態がうつ病によるものであること,
Energy loss and fatigue = エネルギーの消失 回復する病気であること,治療などについて
Concentration problems = 集中困難 丁寧に説明し,患者自身の治療参加意欲を
Appetite / weight changes = 食欲低下 / 体重減少 サポートする.
Psychomotor retardation or agitation = 精神運動遅滞 ※ 十分な心身の休養が必要で,急性期の励ましや
※ 気晴らしの誘いは逆効果になることが多い.
Suicidal ideation = 希死念慮
※ 9つの症状のうち5つ以上当てはまる状態が
※ 2週間以上継続する場合はうつ病と診断.
補足
罪業妄想、心気妄想、貧困妄想
精神病性うつ病 … 幻覚や妄想を伴うもの
季節性感情障害 … 日本では冬季うつ病が多い.夕方に増悪.高照度光療法が有効.
うつ状態を呈しやすい疾患:脳血管障害やParkinson病など.

■ 適応障害
・心理的ストレス (6ヶ月以内)
・→ 抑うつ気分などの精神症状などを呈する障害
・診断するためには社会的・職業的な障害が必要

双極性障害
・双極性Ⅰ型障害 うつ状態に加え,激しい躁状態 【治療】
・双極性Ⅱ型障害 うつ状態に加え,軽躁状態 気分安定薬 (炭酸リチウム,バルプロ酸)
うつ状態では自殺念慮によって生命の危機をもたらす一方, 早急な鎮静が必要な場合,非定型型抗精神病薬の併用.
躁状態では行動の結果によって社会的生命を脅かす. ※ SSRI単剤は禁忌(躁転のリスク 高 )
■ 躁症状 … 3つ以上の症状が1週間以上続く
DIGFAST
Distractibility = 注意散漫
Impulsivity = 衝動性
Grandiosity = 誇大性
Flight of Ideas = 観念奔逸
Increased Activity = 活動性亢進
Decreased Sleep = 睡眠量減少
Talkativeness = 多弁

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U03 気分障害

問題1 111G56
68歳の女性.異常な言動を心配した夫に伴われて来院した.2ヵ月前から自宅で横になっていることが多く
なった.夫によると金銭問題はないにもかかわらず,「所得税が払えない.去年のお盆に先祖供養を十分し
なかったからだ」と繰り返し訴えるという.食事量が減り,体重が1ヵ月で5kg減少した.入浴を嫌がり,夜
は眠らず,ぶつぶつ何か言っている.50歳ごろから高血圧症で内服治療中である.質問には小声で短く答え
るが,うつむきがちで返答に時間がかかる.改訂長谷川式簡易知能評価スケールは26点(30点満点)であっ
た.治療の必要性を説明すると「お金がなくて薬代を払えない」と拒否した.身長150cm,体重50kg.神
経学的所見に異常を認めない.甲状腺機能を含めた血液検査所見に異常を認めない.
最も考えられるのはどれか.
a 気分障害 b 適応障害 c 症状性精神病
d 脳血管性認知症 e 恐怖症性不安障害

問題2 100G113
うつ病に最も適切な治療薬はどれか.
a モノアミン再取り込み阻害薬 b ベンゾジアゼピン系薬
c バルビツレート系薬 d 抗ヒスタミン薬
e 抗コリン薬

問題3 100A4
45歳の男性.数ヵ月前から始まった食思不振と倦怠感とを主訴に来院した.「食べ物が砂をかむような味
しかしない.食欲がでない.」と言う.身長170cm.最近2ヵ月で,67kgだった体重が63kgに減少した.
先週会社の健康診断で受けた上部消化管造影は正常で,胸部X線撮影,血液検査および生化学検査に異常所見
はなかった.健胃薬を処方したが2週たっても症状は改善しなかった.さらに患者は,最近では「朝方早く
目が覚めて再び眠れないので,睡眠薬を処方して欲しい」と言う.
診断に最も重要な質問はどれか.
a 「週末には眠れますか」 b 「家系に癌が多いですか」
c 「物忘れはありませんか」 d 「楽しく過ごす時間はありますか」
e 「職場でのストレスはありませんか」

問題4 112E8
患者の訴えのうち,抑うつ状態を最も疑わせるのはどれか.
a 「すぐにかっとなってしまいます」
b 「何をするのも億劫で仕方ありません」
c 「なんとなく落ち着かない気持ちになります」
d 「昼間にうとうとすることが多くなりました」
e 「外に出ると誰かに見られているような気がします」

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U03 気分障害

問題5 101F8
うつ病でみられるのはどれか.
a 思考制止 b 思考途絶 c 思考化声
d 妄想知覚 e アンビバレンス

問題6 93B66
うつ病について正しいのはどれか.
a 意識が高度に障害される. b 幻覚を伴う病型がある.
c 思考が障害されることはない. d 夕方に抑うつ状態が強くなる.
e 慢性化することはない.

問題7 110I34
うつ病の患者で,抑うつ気分と関連してみられる妄想はどれか.2つ選べ.
a 被毒妄想 b 迫害妄想 c 憑依妄想
d 罪業妄想 e 貧困妄想

問題8 108I60
48歳の男性.不眠を主訴に来院した.長年にわたる支店での活躍が評価され,半年前に本店に栄転した.当
初は喜んだものの,環境の変化になじめず,期待に応える仕事ができないと自分を責め,終日気分が晴れず夜
は一睡もできなくなった.1ヵ月前から仕事が手につかなくなり退職を申し出たところ上司に受診を勧めら
れた.抑うつ気分,意欲低下および全般的な興味や関心の低下がみられ,身体診察で異常所見を認めないこ
とからうつ病と診断した.
対応として適切なのはどれか.
a 自殺については話題にしない.
b 就寝前に少量の飲酒を勧める.
c 病気の症状であることを説明する.
d すぐに前の職場に戻すように上司に勧める.
e 仕事ができない原因について上司と話し合ってもらう.

問題9 107G31
電気けいれん療法について正しいのはどれか.
a 高齢者に行ってはならない.
b 重症うつ病は適応疾患である.
c 脳神経外科医の協力が必要である.
d 最近は行われることがまれである.
e 患者やその保護者の同意なしに実施できる.

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U03 気分障害

問題10 110I69
50歳の女性.ぼーっとした様子になったことを心配した家族に連れられて来院した.もともと明るい性格
で,家事やパートタイムの仕事を活発にこなしていたが,1ヵ月前に長男が大学受験に失敗した頃から「ゆう
うつだ,元気が出ない」と訴え始めた.家族によると,2週前に自宅近くの診療所を受診し抗うつ薬と睡眠薬
とを処方されたが改善せず,数日前からぼーっとした様子になったという.家事の手際が普段よりはるかに
悪く,時間がかかっている.5年前に人間ドックで慢性甲状腺炎を指摘されていた.診察時,抑うつ気分,意
欲 の 低 下 お よ び 注 意 機 能 の 低 下 が み ら れ た . 頭 部 M R Iで 異 常 を 認 め な い . 脳 波 検 査 で は 基 礎 波 と し て 広 汎 な
8〜9Hzのα波がみられた.
この患者にみられる精神障害として最も考えられるのはどれか.
a 気分障害 b 適応障害 c 解離性障害
d 症状性精神障害 e A l z h e i m e r型 認 知 症

問題11 109I3
ストレスが発症の原因となり,それが消失すると一定期間内に症状が消失するのはどれか.
a 適応障害 b 心気障害 c パニック障害
d 社交不安障害 e 心的外傷後ストレス障害

問題12 108D9
適応障害に含まれるのはどれか.
a 気分変調症 b 短期抑うつ反応 c うつ病エピソード
d 急性ストレス障害 e 外傷後ストレス障害

問題13 102A28
32歳の男性.妻と子供とに暴言を吐くため,見かねた両親に伴われて来院した.高校2年生のとき,特に
きっかけもなく元気がなくなり,3ヵ月間学校を休んだことがある.その時は特に治療を受けずに回復し,そ
の後は順調であった.3ヵ月前から,職場で上司や同僚と口論することが増え,注意を受けると不機嫌になり,
反抗的な態度を示すようになった.夜間や休日の外出が増え,浪費が著しい.普段は上機嫌でじょう舌だが,
ちょっとしたことでいらいらして悪態をつく.妻が浪費を注意すると激昂して暴言を吐く.幼い子供が泣き
やまないと怒鳴りつける.元々は機会飲酒程度であったが,最近は酒量が増えた.本人は,心身の不調は全
く自覚しておらず,両親の懇願に応じてしぶしぶ受診したと言う.
考えられるのはどれか.
a 人格障害 b 躁うつ病 c 統合失調症
d アルコール依存症 e 注意欠陥多動性障害〈ADHD〉

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U03 気分障害

問題14 111A14
双極性障害の躁状態でみられる症状はどれか.2つ選べ.
a 観念奔逸 b 思考制止 c 談話心迫 d 微小妄想 e 妄想気分

問題15 96D2
25歳の男性.多弁・多動を主訴に家族に伴われて来院した.元来,社交的で人情味があり,親しみやすい好
人物であった.3週前,仕事上の失敗で上司に注意され,責任を強く感じていた.その後,「眠くならない.
眠らなくても疲れない.」と言い,深夜まで読書をしたり,部屋を片づけたりしている.職場でも,多弁で声
が大きく,仕事に関係ない話題を同僚に話しかけるようになった.上司が注意すると,不機嫌になって大声
で言い返したり,書類を破り捨てたりする.診察時,意識は清明,気分は爽快で,話の内容は理解できるが,
しばしば話が脱線し,語呂合わせや冗談を言ったりする.「自分は病気ではない.入院は断固しない.」と
主張する.常用薬はない.
この患者で正しいのはどれか.2つ選べ.
a 思考障害が認められる. b 病識は保たれている.
c 妄想が認められる. d 睡眠障害はない.
e 病前性格は循環気質である.

問題16 107I20
躁状態の患者の発言と考えられるのはどれか.
a 「夜なかなか寝つけません」 b 「夜中に何度も目が覚めます」
c 「寝ていると金縛りにあいます」 d 「夜は眠らなくても大丈夫です」
e 「脚がむずむずしてよく眠れません」

問題17 109D23
40歳の女性.「気分の上がり下がり」を主訴に夫とともに来院した.1年前の転居を機に気分が落ち込み,
家事が全く手につかず寝込むようになった.家事を夫に任せて生活していたところ2ヵ月前から回復し,こ
の 2 週 間 は 逆 に 気 分 が 高 揚 し て 多 弁 で 眠 ら な い 状 態 が 続 い て い る た め 受 診 し た . 話 が あ ち こ ち に 飛 び ,ま と
まらない.「以前の調子の悪さが嘘のようで絶好調だ」という.身体所見に異常を認めない.
治療薬として適切なのはどれか.
a スルピリド b ジアゼパム c バルプロ酸
d リスペリドン e メチルフェニデート

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U04 神経症

神経症
主に心理的な原因によって生じる心身の機能障害の総称

パニック障害
・誘因なく突然予期せぬパニック発作が反復して生じる. 【治療】
・成人早期・女性に多く,遺伝的素因が強い. 薬物療法:SSRIが基本.
薬物療法:急性期には抗不安薬を用いることもある.
【臨床像】
精神療法:認知行動療法
以下の症状が1カ月以上続く 精神療法:発作がおきても生命にかかわることは
・パニック発作:動悸,発汗,呼吸促迫,胸痛 精神療法:ないことを説明する.
・パニック発作:めまい,悪心,窒息感
広場恐怖症
・パニック発作:気が狂うこと,死ぬことに対する恐怖
直ちに逃げ出すこと,助けを求めることが
・予期不安:また発作が起こるのではないか
できない状況に関して不合理な不安を抱く.
・しばしば広場恐怖を伴い,助けが求められない状況や 恐怖を回避し,時に外出も困難になる.
・場所を避ける (電車,人混みなど)

不安障害

社交不安障害
【臨床像】 【治療】
以下の症状が6ヵ月以上続く 薬物療法:SSRI,三環系抗うつ薬,
・比較的少人数の集団 (大学のゼミなど)の中で, 薬物療法:ベンゾジアゼピン系抗不安薬
・他の人から注目されるのを恐れ,そのような状況を 精神療法:認知行動療法
・避けようとする.単なる内気とは異なる.
・他の人に注視される場面では,赤面,発汗,
・ふるえなどの自律神経症状が生じる.
・青年期に好発し男女差はない.

全般性不安障害
【臨床像】 【治療】
以下の症状が6ヵ月以上続く 薬物療法:SSRI,三環系抗うつ薬,
・多数の出来事や活動に対する過剰な不安及び心配が 薬物療法:ベンゾジアゼピン系抗不安薬
・慢性的に続き,生活に支障をきたす. 精神療法:認知行動療法
・落ち着かない,いらいらする,集中困難,易刺激性,
・筋緊張感,睡眠障害.

・不安の焦点は他の不安障害のように限定されない.
・女性に多い.

強迫性障害
【臨床像】 【治療】
・強迫観念にとらわれ強い不安が生じ,強迫行為を繰り返す. 薬物療法:SSRI
・Tourette症候群との関連性が指摘されている. その他:森田療法,行動療法,認知行動療法
・以下の症状のどちらかがみられれば,強迫性障害と診断.
強迫観念:自分の意思に反する不合理な観念
強迫行為:強迫観念を解消しようとするために
強迫行為;行う不合理な行動
・特徴 … 病識がある,不合理さに悩む,治療意欲がある など

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U04 神経症

解離性障害・転換性障害
【臨床像】
心的外傷体験を抱えきれず無意識に回避行動をとる.
一般的に回避行動時の記憶はない.

・記憶や同一性の統合✕ → 解離性障害
記憶症状 … 健忘,遁走
同一性症状 … 解離性同一性障害 (多重人格)

・運動や感覚の統合✕ → 転換性障害
運動症状 … 失立失歩,失声,けいれん
感覚症状 … らせん状視野狭窄,知覚障害

・わざとらしさ,演技的傾向がみられ,身体的疾患はない.
・根底に疾病利得 (本症によって問題から逃れようとする)がある.
・知的レベルとの関連性もある.

【治療】
心理的要因が解決すると,たとえ症状が重篤でも改善する.

身体表現性障害
・検査所見は陰性であるにもかかわらず,
・様々な身体症状を訴え,医学的検索を執拗に要求するもの.
・周囲の注意を引こうと,演技的な行動がみられるが,これも無意識によるものである.
身体化障害 心気症
・30歳以下の女性に多い. ・中高年に多い
・頭痛や消化器症状, ・微細な身体異常にとらわれ,
・異常知覚などを慢性的に訴える. ・重病と思い込んで過度の不安を訴える.
・症状に対する過剰な不安や固執した ・実際に症状がない.
・思考パターンとの関連がある.
※ 実際に症状があるかないかが鑑別点.

ストレス関連障害
極めて強烈なストレスをもたらす出来事を経験した後,
急性・一過性に様々な神経症状が出現 (3日以上,1ヵ月未満) → 急性ストレス障害 (ASD)
ASDに引き続いて,もしくは数週~数ヵ月の潜伏期間を経て発症 → 心的外傷後ストレス障害 (PTSD)

【臨床像】 【治療】
PTSDは以下の主要症状が1ヵ月以上持続し, 薬物治療
著しい苦痛や社会的障害が生じている場合に診断される. ・PTSDにはSSRI
再体験:フラッシュバック,悪夢 ・ASDは自然に改善することが多いため,
回避:出来事の起きた場所,出来事を想起させる刺激を避ける ・薬物治療は推奨されていない.
麻痺:感情が麻痺したように感じる ・悪夢に対してα1ブロッカーを
・使用することがある.
過覚醒:不眠,易刺激性,過度の驚愕反応,集中困難
※ 悪夢に対するベンゾジアゼピンの
※ ASDはPTSDと臨床症状は酷似しているが,
※ 有効性は示されていない.
※ 症状が1ヵ月以内におさまる.
非薬物療法:持続暴露療法,EMDR

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U04 神経症

問題1 96A3
23歳の女性.息苦しさと動悸とを主訴に来院した.半年前,のんびりテレビを見ている最中に突然息苦しく
なり,動悸・頻脈と過呼吸とが出現した.同時に極度の恐怖に襲われ,感覚が麻痺し,気を失いそうになった.
しばらく座っていたところ症状は完全に消えた.しかし,その後もたびたび同様の発作が起きた.精査で循
環器・呼吸器系に異常がみられない.
この疾患の発作中にみられるのはどれか.2つ選べ.
a 広場恐怖 b 社会恐怖 c 不潔恐怖
d 死の恐怖 e 発狂の恐怖

問題2 109F12
パニック障害におけるパニック発作の特徴はどれか.
a 予期しない状況で起こる. b 特定の社会的状況で起こる.
c 客観的に危険な状況で起こる. d ストレス刺激に反応して起こる.
e 身近な家族から離れていると起こる.

問題3 112A42
27歳の女性.突然起こる動悸や息苦しさを主訴に来院した.約1ヵ月前,出勤時の電車内で突然,動悸と冷
や汗が出始め次第に呼吸が荒くなり,「このまま窒息して死んでしまうのではないか」という恐怖感に襲わ
れた.途中の駅で電車を降りたところ,症状は約10分で軽快した.以降も電車の中と自宅で1回ずつ同様の
症状があった.心電図を含めた精査を行ったが,異常を認めない.どのような場所にいても「また症状が起
きるのではないか」という心配が続いている.
このような心配が持続する症状はどれか.
a 心気妄想 b 自生思考 c 閉所恐怖
d 妄想気分 e 予期不安

問題4 92F33
38歳の女性.6ヵ月前から誘因がないにもかかわらず,発作的に呼吸が苦しくなり,動悸がして「このまま
死ぬのではないか」という恐怖感におそわれるようになった.その都度,救急車で病院に搬送されることが
頻繁となった.「また発作が起こるのではないかと不安で,ひとりで外出もできない」と訴えて来院した.
診察時の態度は緊張はしているが,おおむね自然であり,話の内容もまとまっている.発作中の記憶もよく
保たれている.身体所見に異常を認めない.
この患者に有効なのはどれか.3つ選べ.
a 精神療法 b 抗うつ薬 c 抗精神病薬
d 抗けいれん薬 e 抗不安薬

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U04 神経症

問題5 101G3
18歳の女子.会社を休みがちで,心配した家族に伴われて来院した.高校卒業後デパートに就職したが,大
勢の客の前で商品の説明をすることや販売することに苦痛を感じ,休みがちとなった.自宅では特に変わっ
た様子はない.
考えられるのはどれか.
a うつ病 b 不安障害 c 強迫性障害
d 解離性障害 e 統合失調症

問題6 106I32
社会不安障害について正しいのはどれか.2つ選べ.
a 注察妄想に発展する. b 発汗とふるえとを伴う.
c パニック発作を認めない. d 社会から疎外されていると考える.
e 他の人々から注視される状況を避ける.

問題7 111D54
22歳の男性.恐怖感を主訴に来院した.中学3年生の11月,高校受験でストレスを感じていた.そのころ友
人と一緒に食事をした際,喉が詰まったような感じで飲み込みにくくなった.その後も友人との食事の際,
同じような状態が続き,外食をすると全く食事が喉を通らなくなった.さらに見られているような気がして
手が震えるようになった.家では普通に食事ができる.このため,大学入学後は友人と遊ぶことがほとんど
ない.今回就職を控え,仕事に支障が出るのではないかと考え受診した.診察時,質問に対して的確に回答
し,陰うつなところはみられない.「自分でも気にすることはないと分かっているのに,何でこんなに緊張
して食事ができないのか分からない」と述べる.神経学的所見を含めて身体所見に異常を認めない.
治療薬として適切なのはどれか.2つ選べ.
a 抗不安薬 b 気分安定薬 c 抗Parkinson病薬
d 非定型抗精神病薬 e 選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉

問題8 103A39
62歳の女性.物忘れを主訴に1人で来院した.半年前から大切なことを忘れそうで何かとメモを取るように
なった.メモを取っても取り忘れたのではないかと落ち着かなくなる.だんだん記憶力が落ちてきたと思う.
楽しみにしていた友人との旅行を, 旅先で体調を崩すのが心配になって取りやめてしまった.救急車のサイレ
ンを聞くと,孫が事故にあったのではないかと気もそぞろになる.動悸がしやすく,時々めまいもするが,家事
全般はこなしている.身なりは整い,動作は機敏で,面接中はやや緊張しているが,受け答えは適切である.
考えられるのはどれか.
a うつ病 b Pick病 c 全般性不安障害
d 身体表現性障害 e A l z h e i m e r型 認 知 症

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U04 神経症

問題9 106D12
全般性不安障害の患者の訴えと考えられるのはどれか.
a 「人前で話すとすぐに顔が赤くなります」
b 「おなかの痛みが癌ではないかと心配です」
c 「いつも緊張して,休まるときがありません」
d 「誰もいないところで発作が起こるのが心配です」
e 「鍵をかけたのか,何度も確認しないと気が済みません」

問題10 110I37
強迫性障害の症状と考えられるのはどれか.2つ選べ.
a 考えが勝手に頭に浮かんでくる.
b 自分で考えているという実感がない.
c 過去に見た光景が頭の中にありありと浮かぶ.
d 人を殴ってしまうのではないかと考え続けてしまう.
e 机の上に置く物と机の辺が平行になっていないと気がすまない.

問題11 102A6
強迫性障害について正しいのはどれか.
a させられ〈作為〉体験が併存する.
b 強迫観念の内容は了解不能である.
c 生活機能が障害されることは少ない.
d 第一選択薬は非定型抗精神病薬である.
e 患者は強迫行為を不合理であると認識している.

問題12 96D3
27歳の男性.物事を何度も確認しないと安心できないと訴えて来院した.高校時代に字を書いても計算を
しても,間違いの有無を調べ続けるようになった.その後,さらに対象が広がり,鍵やガス栓の点検を何度も
繰り返すようになった.このため何事にも時間がかかり,本人も疲れ,職場にも毎日遅刻するようになった.
治療を強く希望している.
適切でない治療はどれか.
a 行動療法 b 認知療法 c 森田療法 d 抗うつ薬投与 e 電気けいれん療法

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U04 神経症

問題13 102G60
32歳の女性.1年前に夫婦げんかの最中に動悸がひどくなり,息が苦しくなり,気が遠くなり,体が弓なりの緊
張状態となって近医で処置を受けた.その後,同様の発作の頻度と持続時間とが増加した.最近では夫婦仲も
冷えて離婚話も出てきたが,その話が出るたびに発作を繰り返し,外来受診をしていた.身体的異常はない.
治療として適切なのはどれか.
a 精神療法 b 抗精神病薬投与 c 電気けいれん療法
d 抗けいれん薬投与 e 生活技能訓練[social skills training〈SST〉]

問題14 110E43
20歳の女性.声が出なくなったことを主訴に友人とともに来院した.今朝,いつもどおりに大学に行った
が,1限目の講義が終了したころから声がかすれるようになり,1時間後には全く声が出なくなった.友人
とともに保健管理室で相談したところ,医療機関へ行くことを勧められたため受診した.1年前から部活動
での人間関係のトラブルを契機として,不安感や情動の不安定性が出現し治療を受けていた.受診時,筆談
は可能で理解力は保たれ,意識は清明と考えられた.発声できないこと以外に神経学的所見に異常を認めな
い.血液生化学所見,脳波および頭部CTで異常を認めない.
この患者にみられるのはどれか.
a 解離 b 転換 c 離人症
d 被影響体験 e させられ〈作為〉体験

問題15 99E7
解離性〈転換性〉障害の症状として誤っているのはどれか.
a 健忘 b 失神 c 離人症 d けいれん e 多重人格

問題16 104A15
解離性〈転換性〉障害について誤っているのはどれか.
a 多重人格が含まれる.
b トランス状態が含まれる.
c パニック障害がしばしば併存する.
d 解離性遁走〈フーグ〉では解離性健忘を伴う.
e 精神分析学的には疾病利得が根底に存在する.

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U04 神経症

問題17 99C20
35歳の女性.心窩部の不快感を訴えて来院した.症状は1年以上続いており,既に4ヵ所の病院を受診した.
そのたび精密検査を受けたが症状を説明できる異常は認められなかった.しかし患者はこれまでの医師の説
明に納得できず,「がんのような重い病気なのではないかと思う.検査でみつからないだけなのではないか.
医師が隠しているのではないか」と疑い深く不安になっており,再度同じような精密検査を要求している.
最も考えられるのはどれか.
a うつ病 b 不安障害 c 薬物依存症
d 統合失調症 e 身体表現性障害〈心気障害〉

問題18 102A29
27歳の女性.一点を見つめ何事にも無関心なのを心配した夫に伴われて来院した.5週前に,帰宅途中に性
的暴行を受けた.それ以後家から出ることができず会社を休んでいる.夜も全く眠れず,食欲もなく,急激
に体重が減少した.夫が心配して話しかけるが返事をせず,ぼおっと一点を見つめるのみである.
考えられるのはどれか.
a 適応障害 b 強迫性障害 c 社会不安障害
d 全般性不安障害 e 外傷後ストレス障害〈PTSD〉

問題19 105I24
外傷後ストレス障害〈PTSD〉について誤っているのはどれか.
a 自律神経過覚醒状態が起こる.
b 感覚が鈍くなり物事を楽しめなくなる.
c ストレス反応は1ヵ月以内に消失する.
d 外傷体験の想起につながる状況を回避する.
e 外傷体験となった出来事を繰り返し回想する.

問題20 107D22
32歳の男性.不眠を主訴に来院した.消防隊員として大規模災害の支援に災害発生の翌日から派遣され,厳
しい状況下で2週間救助活動を行った.その後元の職場に戻り,しばらくは問題なく過ごし,むしろ以前より
も真剣に仕事をこなしていた.しかし救助活動から戻った約2ヵ月後から何度も夜中に覚醒するようになり,
いらいらして集中力も落ちてきたため産業医に相談し受診した.特記すべき既往歴はない.仕事への意欲は
あり,疲労感の増大はみられない.
診断のために重要な質問はどれか.
a 「嫌な情景が急に浮かんでくることがありますか」
b 「家族につらい症状を話すと少しは楽になりますか」
c 「今晩も眠れないのではないかと不安になりますか」
d 「ひどく気持ちが落ち込んで,それが何日も続いていますか」
e 「以前は楽しかったことを楽しめなくなったように感じますか」

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U05 心理検査

心理検査

田中・Binet式知能検査
知能検査 Wechsler児童用知能検査 (WISC-Ⅳ)
知能検査
Wechsler成人用知能検査 (WAIS-Ⅲ)*1
発達テスト 津守・稲毛式発達検査
Minnesota多面人格検査 (MMPI) 自記式 質問紙
質問紙法
矢田部-Guilford性格テスト (Y-Gテスト) 自記式 質問紙
心理学的
検査 Rorschachテスト
性格検査 バウム・テスト ※
投影法 絵画統覚テスト (TAT)
文章完成テスト (SCT) 自記式
P-Fスタディ 自記式
精神作業能力検査 内田・クレペリン連続加算テスト ※
視覚構成運動能力検査 ベンダー・ゲシュタルトテスト (BGT) ※
WAB失語症検査
失語症検査
標準型失語症検査(SLTA)
失行検査 標準高次動作検査 (SPTA)
失認検査 標準高次視知覚検査 (VPTA)

神経心理学的 前頭葉機能検査 (FAB)


検査 前頭葉検査
ウィスコンシンカードソーティングテスト (WCST)
改訂長谷川式簡易知能評価スケール (HDS-R) *2
認知機能検査
Mini-Mental State Examination (MMSE) *2
対語記銘力検査 (三宅式記銘力検査)
記憶検査
リバーミード行動記憶検査 (RBMT)
Beckのうつ病自己評価尺度 自記式 質問紙

スクリーニング 状態・特性不安検査 (STAI) 自記式 質問紙


検査 Cornell medical index (CMI) 自記式 質問紙
気分プロフィール検査 (POMS) 自記式 質問紙
簡易精神症状評価尺度 (BPRS)
症状評価尺度
Hamilton うつ病評価尺度 (HRSD,HAM-D)
※ 文字ではなく絵・計算の答え・図形を検者の前で書く検査
*1 発達障害の診断に有用
*2 研修医でも行えることが望ましい

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U05 心理検査

問題1 111G9
心理・精神機能検査のうち,直接患者に行わないのはどれか.
a 津守・稲毛式発達検査
b 田中・Binet式知能検査
c 状態特性不安検査〈STAI〉
d Minnesota多面人格検査〈MMPI〉
e Mini-Mental State Examination〈MMSE〉

問題2 106E36
自記式で行う心理学的検査はどれか.2つ選べ.
a Rorschachテスト
b 状態特性不安検査〈STAI〉
c Hamiltonうつ病評価尺度
d 簡易精神症状評価尺度〈BPRS〉
e Minnesota多面人格検査〈MMPI〉

問題3 112F8
自記式の心理学的検査はどれか.
a Rorschachテスト
b 津守・稲毛式発達検査
c 状態特性不安検査〈STAI〉
d Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
e 簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]

問題4 105G41
23歳の男性.引きこもりを心配した両親に伴われて来院した.幼児期に言葉の遅れを指摘され「ことばの
教室」に通った.そのころから一人遊びが好きで,友達はできず自宅でゲームばかりしていた.小中高校を
通じて,学業成績は良好であったが,不器用で,体育は不得意であった.大学に進学し留年もせず卒業したが,
就職活動では書類審査は合格するが面接試験ですべて不合格となった.最近は自宅にこもりゲームに興じて
いることが多い.こだわりが強く,家族がゲームを止めさせようとすると興奮し暴れる.会話では吃音が目
立ち,視線を合わせない.表情には感情表出が乏しい.
診断に有用な心理・精神機能検査はどれか.
a 簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]
b Wechsler成人知能検査〈WAIS-Ⅲ〉
c 田中・Binet式知能検査
d Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
e ウィスコンシンカードソーティングテスト〈WCST〉

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U06 薬物依存

薬物依存
精神依存:強迫的欲求 (渇望),薬物探索行動が生じ,ときとして犯罪行為に至ることもある.
身体依存:断薬すると苦痛の強い離脱症状が生じる.
耐性 :薬物の反復乱用により同じ量では効果が減弱することで摂取量が増え,
耐性 :身体的な中毒症状や離脱症状が生じやすくなる.

依存
薬物 耐性 中毒症状 離脱症状
精神 身体
モルヒネ 自律神経の嵐
多幸,陶酔感,呼吸抑制,縮瞳,
ヘロイン + + + (鼻汁,くしゃみ,流涙,
血圧低下,消化管運動抑制
抑制薬

コデイン 嘔吐,下痢,散瞳 など)


アルコール + + + アルコール関連障害参照
バルビツール酸 + + + 意欲・認知力の低下,構音障害,眼振
アルコールに類似
ベンゾジアゼピン -~+ + -~+ 高度では呼吸抑制

覚醒剤 統合失調症に類似するが,疎通性が
保たれ幻覚妄想が場面的 疲労感,抑うつ,睡眠障害,
アンフェタミン + - +
交感神経刺激症状 焦燥脱力感
メタンフェタミン
興奮剤

MDMA + - + 多幸,親近感,悪性症候群類似の症状 不安,焦燥,抑うつ,めまい


多幸,陶酔感,鼻中隔穿孔
コカイン + - - 覚醒剤と同様
→ 不安,幻覚,散瞳,血圧↑
※ 抑うつ,イライラ,不安,
ニコチン + + + 多幸,満足感,抗不安
集中困難,不眠
幻視 (フラッシュバック)
LSD + - + サイケデリック体験 -
(恍惚感にひたり神秘的な体験)
酩酊状態
幻覚剤

有機溶剤 -
+ - + 知覚異常 (特に幻視)
シンナー まれにけいれん発作,せん妄
歯の腐食・視力障害
大麻
頻脈,結膜充血,
マリファナ + - - -
酩酊状態,知覚異常,幻覚
ハシッシ
※ ニコチン依存症に対してバレニクリンが使用されるが,
※ うつ病には禁忌.
乱用薬物スクリーニング 薬物作用機序
救急外来で急性薬物中毒や原因不明の意識障害に
対して使用される.

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U06 薬物依存

問題1 101G59
27歳の女性.「訳の分からないことを言う」と父親に連れられて来院した.左前腕に数多くの注射痕が認
められる.半年前から,同棲相手が歓楽街で買って使っていた薬を自分も使うようになった.薬は自分で静
脈に注射していたと言う.当初は気分が高揚し,疲労感がなくなり,頭の回転が良くなるなど,快感を体験で
きていた.しかし,1ヵ月前からは「殺してやる」という幻聴が現れ,いつもやくざにつけねらわれていると
いう妄想にとりつかれている.
正しいのはどれか.2つ選べ.
a 薬物を中断するとせん妄が起きる.
b フラッシュバックは起きない.
c 抗精神病薬が有効である.
d 精神依存は生じない.
e 感染症を検査する.

問題2 96H75
薬物依存について誤っているのはどれか.
a シンナー中毒は覚醒剤依存の一種である.
b 解熱鎮痛薬依存は主に医師から処方された薬剤で生じる.
c コカイン型依存は麻薬依存の一種である.
d 覚醒剤依存では次第に使用量が増加する.
e 向精神薬依存は抗不安薬で生じることが多い.

問題3 102I38
依存性がないのはどれか.
a 睡眠薬
b 鎮痛薬
c 精神刺激薬
d 抗精神病薬
e ベンゾジアゼピン系抗不安薬

問題4 107A20
精神作用物質と離脱症状の組合せで正しいのはどれか.3つ選べ.
a アヘン - 縮瞳
b アルコール - 発汗
c 抗不安薬 - 不眠
d ニコチン - 食欲低下
e メタンフェタミン - 疲労感

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U07 睡眠障害

睡眠障害
■ 睡眠周期

REM睡眠 徐波睡眠 (深睡眠)

開眼時 脳波
閉眼時
覚醒 β波 →α波
REM睡眠 β波
第1段階 θ波
第2段階 紡錘波 など
第3段階
δ波
第4段階
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 (時間)

※ δ波の量が50%を超えると第4段階.
※ 夜尿,夜驚症,夢遊病は第4段階で起こる.

不眠症
・不眠の原因 【治療】
身体的 更年期障害 など ・睡眠時間にこだわらず寝付けない日は離床する.
生理的 概日リズム睡眠障害 など ・起床時間を一定にし,起床後は日光を浴びる.
心理的 ストレス など ・薬物療法
精神疾患関連 うつ病,統合失調症 など 入眠困難:短時間作用型ベンゾジアゼピン
薬剤性 ステロイド,インターフェロン など 中途覚醒:長時間作用型ベンゾジアゼピン
熟眠感の欠如:トラゾドン (抗うつ薬)
・症状の種類:① 入眠困難,② 中途覚醒, ③ 早朝覚醒
・(実際には①+②+熟眠感の欠如,リズムの崩れに大別) リズムの崩れ:メラトニン作動薬,オレキシン拮抗薬

ナルコレプシー
・原因:視床下部側部のオレキシン産生低下 【治療】
・四主徴:日中の耐えがたい眠気と居眠りの反復 眠気に対して中枢神経刺激薬
・四主徴:情動脱力発作 (カタプレキシー) REM関連症状に対して抗うつ薬 (三環系抗うつ薬) など
・四主徴:睡眠麻痺
・四主徴:入眠時幻覚
・日本人の有病率は高い
・睡眠ポリグラフ検査で入眠時のREM睡眠の出現,
・睡眠潜時の短縮がみられる.
・日本人ではほぼ全例でHLA-DR2 (+)

レストレスレッグス症候群 (むずむず脚症候群)
・安静時 (特に夜間)に,下肢の深部に耐えがたい異常感覚 【治療】
・(むずむず感,虫が這う感じ)が起こり,足を動かすと 中枢ドパミン作動薬 (プラミペキソール など)

・改善するために,入眠が障害される.
GABA誘導体
・女性に多い.
ベンゾジアゼピン系薬物
・本態性:明らかな誘因なし
・続発性:腎不全・鉄欠乏性貧血・妊娠に合併
※ 入眠後に周囲四肢運動障害の合併も多い.

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U07 睡眠障害

周期性四肢運動障害
・睡眠中に四肢の周期的な不随意運動が繰り返し起こり, 【治療】
・中途覚醒が生じる. プラミペキソールが第一選択
・本人は気づかないことが多い.
・高齢者に多く,レストレスレッグス症候群やSAS,
・ナルコレプシーなど他の睡眠障害に合併することもある.

睡眠時随伴症
・睡眠時遊行症 急に起き上がって徘徊,扉を開けるなど
部分的に意味のある行動をする.
・夜驚症 急に悲鳴を上げながら起き上がり,
強い恐怖に伴う自律神経症状がみられる.
・REM睡眠行動障害 REM睡眠による筋トーヌスの抑制が
起こらないため夢の内容に従った異常行動がみられる.
※ Lewy小体型認知症でもみられる.

■ 睡眠時遊行症とREM睡眠行動障害の比較

睡眠時遊行症 REM睡眠行動障害

好発年齢 小児 高齢男性

睡眠段階 徐波睡眠 (non-REM睡眠) REM睡眠

時間 睡眠の最初の3時間 REM睡眠の時期

覚醒困難で, 速やかに覚醒し
刺激による覚醒
自分の言動を覚えていない 夢の内容を想起可能
環境調整
治療 大部分は自然軽快
少量クロナゼパム

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U07 睡眠障害

問題1 112A6
睡眠について正しいのはどれか.
a 夢を体験するのは浅いノンレム睡眠の時期である.
b 深いノンレム睡眠は朝方に向けて減少する.
c レム睡眠は緩徐な眼球運動が特徴である.
d 乳幼児ではレム睡眠が成人より少ない.
e 総睡眠時間は青年期以降一定である.

問題2 107I3
不眠症の対処として最も適切なのはどれか.
a 早寝早起きを心掛ける.
b 眠くなくても寝床に入る.
c 目が覚めたら日光を浴びる.
d 睡眠薬代わりに寝る前に酒を飲む.
e 昼寝も含めて1日8時間は睡眠をとる.

問題3 96A5
2 2 歳 の 男 性 . 不 眠 を 訴 え て 来 院 し た . 就 職 し た こ ろ か ら 夜 な か な か 眠 れ ず ,明 け が た に な っ て や っ と 眠 り に
ついて,昼ころまで眠ってしまい,会社での遅刻や欠勤が続いている.親にも協力してもらい,定時に出勤す
るよう努めるが,眠気が強く仕事にならない.職場では意志が弱いといつも注意されている.性格は真面目
で努力家である.
適切な対応はどれか.2つ選べ.
a 上司から厳しく注意してもらう.
b 抗うつ薬を投与する.
c ハロペリドールを投与する.
d 睡眠導入薬を投与する.
e 高照度光療法を行う.

問題4 110I68
18歳の女子.繰り返す授業中の居眠りを主訴に来院した.17歳ころから夜間十分に眠っても日中に強い眠
気を感じるようになり,次第に日中の居眠りが増えてきた.半年前から寝つく際に意識はあるのに力が入ら
ず体を動かすことができないという体験が出現するようになった.日中に大笑いすると膝の力が突然に抜け
ることがある.診察時,意識は清明で神経学的所見に異常を認めない.
この疾患について正しいのはどれか.
a 肥満者に多い.
b 入眠時幻覚が出現する.
c カタレプシーが出現する.
d 精神的なストレスにより生じる.
e 夜間の睡眠時間延長で症状は改善する.

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U07 睡眠障害

問題5 112A26
67歳の女性.不眠を主訴に来院した.1ヵ月前から夜になると両足に虫が這うような不快な感覚を自覚して
いた.この不快感は安静にしていると増強するが,足を動かすことで軽減する.かかりつけ医からは経過を
みるように言われたが良くならず,足を動かしたい欲求が強く寝つけなくなり受診した.四肢の筋トーヌス
は正常で筋力低下を認めない.腱反射は正常で,Babinski徴候は陰性である.感覚障害と小脳性運動失調と
を認めない.歩行に支障はなく,日常生活動作にも問題はない.血液生化学検査では血清フェリチンを含め
て異常を認めない.
適切な治療薬はどれか.
a β遮断薬
b 筋弛緩薬
c 抗コリン薬
d ドパミン受容体作動薬
e アセチルコリンエステラーゼ阻害薬

問題6 111I41
65歳の男性.睡眠中の行動異常を主訴に妻に伴われて来院した.5年前からしばしば悪夢を見てはっきりし
た 寝 言 を 言 う よ う に な っ た . 次 第 に 睡 眠 中 に 大 声 で 叫 ん だ り 笑 っ た り す る よ う に な り ,上 肢 を 振 り 回 し 妻 に
殴りかかることがあった.寝言や寝ぼけた行動は夢の内容に対応していた.
最も考えられる疾患について正しいのはどれか.
a A l z h e i m e r型 認 知 症 に 移 行 す る 可 能 性 が 高 い .
b 徐波睡眠相に一致して行動異常が出現する.
c 妻に対する無意識の敵意が原因である.
d 寝室環境の調整が必要である.
e 過眠を伴うことが多い.

問題7 107A23
78歳の男性.「誰もいないのに知らない人が部屋に見える」と訴え,来院した.妻によると,数年前から日
中は眠そうでぼう然としていることがしばしばあり,徐々に物忘れが目立ってきたという.動作は緩慢で,
小刻みに歩く.
この疾患でみられるのはどれか.
a 常同行動
b 滞続言語
c 言語蹉跌
d 全生活史健忘
e レム〈REM〉睡眠行動障害

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U08 認知症

認知症
【臨床像】 ■ 原因
・明らかな記憶障害 (+)
不可逆性
・記憶障害以外の認知機能の障害 (+) 認知症
・変性性認知症 ・血管性認知症
・生活に支障 (+) Alzheimer型認知症 ・ハンチントン舞踏病
Lewy小体型認知症 ・Creutzfeldt-Jakob症
治療:認知症薬
前頭側頭型認知症 ・慢性薬物中毒 など
中核症状 ドネペジル
メマンチン など

可逆性
記憶障害など
・甲状腺機能低下症 ・ビタミンB12欠乏症
治療:非定型抗精神病 ・うつ病 ・慢性硬膜下血腫 など
周辺症状 (BPSD)
・正常圧水頭症

興奮・徘徊・暴力 など

【診断の流れ】
認知症疑いあり
改定長谷川式
簡易知的機能評価スケール
認知機能検査 (MMSE・HDS-R)
異常あり
画像検査(MRI,SPECTなど)

【分類】
Alzheimer型認知症 Lewy小体型 前頭側頭型認知症
頭頂葉
前頭葉
主な
障害部位

側頭葉 後頭葉 側頭葉

・記銘力障害 ・幻視,妄想 ・人格変化


・見当識障害 ・パーキンソニズム ・(脱抑制,自発性の低下など)
主な症状
・物盗られ妄想 ・抗精神病薬に過敏性あり ・常同行動
・遂行機能障害 ・REM睡眠行動障害 ・滞続言語

男女比 女性に多い (男女比1:2) 男性に多い 特になし

CT / MRI 海馬・側頭葉,頭頂葉の萎縮 海馬の萎縮は比較的軽度 前頭葉と側頭葉の萎縮


所見 → 大脳全般の高度な萎縮

PET / 側頭葉,頭頂葉の 後頭葉の 前頭葉,側頭葉の


SPECT所見 血流・代謝低下 血流・代謝低下 血流・代謝低下

ドネペジル ドネペジル
治療
メマンチン レボドバ など

血管性認知症
・まだら認知症 (障害部位の機能↓) ・しばしば情動失禁 (+)
・局所神経症状 (+) ・段階的に悪化

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U08 認知症

問題1 106G52
68歳の女性.物忘れを主訴に夫に伴われて来院した.1年前から,話した内容を忘れてしまうことが多くなった.料理は得
意であったが,最近は献立の種類が減り,簡単に作ることができるものばかりになった.既往歴に特記すべきことはない.
この患者に認められる症状はどれか.
a 失語 b 失行 c 失認 d 注意障害 e 遂行機能障害

問題2 97G57
病的な記憶障害の可能性が高いのはどれか.
a 最近物忘れがひどく,財布を置いた場所をよく忘れると訴える76歳の女性.
b 最近1ヵ月間に会合に参加する約束を2回忘れ,心配になったという55歳の男性.
c 財布を置いた場所を忘れ,盗まれたと大騒ぎをし,家族に連れてこられた72歳の女性.
d 携帯電話の電話番号が一度では覚えられないと訴える62歳の男性.
e 脳ドックで小さな脳梗塞を指摘され,認知症になるのではと不安を訴える64歳の男性.

問題3 107A23
78歳の男性.「誰もいないのに知らない人が部屋に見える」と訴え,来院した.妻によると,数年前から日中は眠
そうでぼう然としていることがしばしばあり,徐々に物忘れが目立ってきたという.動作は緩慢で,小刻みに歩く.
この疾患でみられるのはどれか.
a 常同行動 b 滞続言語 c 言語蹉跌
d 全生活史健忘 e レム〈REM〉睡眠行動障害

問題4 105D22
60歳の男性.従来は周囲に対する配慮ができていたが,最近は著しく自己中心的な言動が目立つようになっ
たことを心配した家族に伴われて来院した.1年前から気力がなくなり,ぼーっとたたずんでいることが多
くなった.自室内には,数ヵ月前から収集し続けているペットボトルが山積みになっているという.
最も考えられる疾患はどれか.
a A l z h e i m e r型 認 知 症 b Lewy小体型認知症 c 前頭側頭型認知症
d 強迫性障害 e 統合失調症

問題5 112D46
75歳の女性.抑うつ気分を訴えるのを心配した隣人に付き添われて来院した.約3年前から徐々に物忘れが
進 行 し , 2 年 前 に A l z h e i m e r型 認 知 症 と 診 断 さ れ , ド ネ ペ ジ ル を 服 用 し て い る . 5 ヵ 月 前 に 長 男 が 交 通 事 故 で
死亡し,その直後から著明な抑うつ傾向を認め,「生きていても仕方がない」と頻繁に口にするようになっ
た.夫は10年前に死亡し,現在は一人暮らしである.診察時,「死んだ長男のことばかり考えているだけな
ので,治療は受けなくていい.家族にも連絡しないで欲しい」と述べる.身体診察では異常所見を認めない.
改訂長谷川式簡易知能評価スケールは19点(30点満点).
対応として適切なのはどれか.
a ドネペジルを増量する. b できるだけ安静にするよう指示する.
c 家族への連絡の承諾を得られるよう説得する. d 病状を地域の精神保健福祉センターに連絡する.
e 付き添ってきた隣人の同意を得て医療保護入院とする.
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U09 摂食障害

摂食障害
・心理的背景が誘因となる食行動の障害
・先進国で多くみられる.若年女性に多い.
・神経性食思不振症の死亡率は6~20%と高い

神経性食思不振症 (AN) 神経性大食症 (BN)


肥満恐怖,ボディイメージの障害 肥満恐怖,むちゃ食いエピソードの繰り返し
極端な痩せ (BMI<18.5) 不適切な代償行為 (自己誘発性嘔吐,下剤・利尿剤乱用)
低体重に対する深刻さの欠如 体重は保たれていることが多い (BMI:18.5~30)
低栄養に関わらず活動性は亢進 ※ BNでは過食などの症状を苦痛に感じ,
※ ある程度病識があることが多い.
■ 低栄養・低体重による症状 ■ 代償行為による症状
理学所見:低血圧,徐脈,低体温, 理学所見:指の吐きだこ など
理学所見:無月経,骨粗鬆症 など
検査所見:低K血症,代謝性アルカローシス
検査所見:FT3低値,貧血,高コレステロール血症, 検査所見:偽性Bartter症候群
検査所見:尿ケトン体 (+) など
※ 過食性障害:代償行為がない

【治療】
栄養療法:食事療法,経腸栄養,高カロリー輸液
※ 高度・長期の低栄養例に栄養療法を行う場合には,
※ refeeding syndrome (低リン血症 など)やWernicke脳症の発症に注意する.
精神療法:指示的精神療法,認知行動療法 など
※ ・栄養療法を強制的にでも行う必要のある身体状況であっても,
・精神面への配慮をできる限り行うことが望ましい.
・抗うつ薬は痙攣のリスクがあるためANには禁忌
・ ANに対して体重増加を目的として非定型抗精神病薬を使用することもある.

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U09 摂食障害

問題1 105D55
1 4 歳 の 女 子 . 学 校 の 健 康 診 断 で 高 コ レ ス テ ロ ー ル 血 症 を 指 摘 さ れ た た め 精 査 目 的 で 来 院 し た . 1年 半 前 か ら
友人と一緒に食事量を減らしてダイエットを開始した.半年前からは筋力トレーニングも開始した.最近は
倦怠感を強く自覚している.減量開始前の体重は43kgであった.意識は清明だが,表情は乏しい.身長
151cm(-0.9SD),体重27kg(-2.8SD).体温35.6℃.脈拍44/分,整.血圧110/92mmHg.心音と
呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟.皮膚は乾燥が目立ち,四肢に冷感を認める.血液生化学所
見:総コレステロール268mg/dL,トリグリセリド82mg/dL,TSH 4.6μU/mL(基準0.2~4.0),
F T3 1 .8 pg/m L (基準2 .5 ~4 .5 ) , F T40 .8 n g /m L (基 準0 .8 ~2 .2 ) .頭部 MRIで 軽度の 脳萎縮 を認め る.
この疾患に認められる症候はどれか.3つ選べ.
a 無月経 b 粘液水腫 c むちゃ食い
d 自己誘発性嘔吐 e アキレス腱肥厚

問題2 103I10
神経性食思不振症でみられるのはどれか.3つ選べ.
a 徐脈 b 貧血 c T3高値
d LH・FSH高値 e 低アルブミン血症

問題3 108D19
神経性食思不振症について正しいのはどれか.3つ選べ.
a 強迫行為を示すものが多い.
b 安静時にも頻脈であることが多い.
c 過食・嘔吐を伴うものは含まない.
d 抑うつの合併が高率に認められる.
e わが国では10年以内に約10%の患者が死亡する.

問題4 112D71
17歳の女子.るいそうのため入院中である.高校に入学した1年半前から,痩せるために食事摂取量を減ら
すようになった.その後,食事制限に加えて毎朝6時から3kmのジョギングを始めたところ,4ヵ月前から月
経がなく,1ヵ月前から倦怠感を強く自覚するようになった.自己誘発性の嘔吐や下剤の乱用はない.入院
後も食事摂取量は少なく,「太りたくない」と訴える.小学校,中学校では適応上の問題は特になく,学業成
績は良好であった.身長158cm,体重30kg.
この患者で認められる可能性が高いのはどれか.2つ選べ.
a 徐脈
b 低体温
c 恥毛脱落
d 高カリウム血症
e 高プロラクチン血症

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U09 摂食障害

問題5 94F33
25歳の女性.過食と嘔吐とがあるために母親に連れられて来院した.1年前から短時間に大量の食物を摂取
しては,指を口に入れて嘔吐するというエピソードを週に2,3回繰り返している.体重の変動が著しい.
この患者に予想される症状はどれか.3つ選べ.
a 強迫症状
b 過眠
c 幻覚妄想
d 抑うつ
e 月経不順

問題6 104D19
神経性大食症〈過食症〉について正しいのはどれか.
a 体重は標準を超える.
b 無月経を伴うことが多い.
c 過食はしても絶食はしない.
d 近年,神経性食思〈欲〉不振症よりも発生頻度が低い.
e 電解質異常と代謝性アルカローシスとをしばしば伴う.

問題7 98A4
22歳の女性.顔色不良を心配する家族に付き添われて来院した.3年前からダイエットを始めて体重が減少
し始めた.食べてもすぐに吐けば体重が増えないことに気付き,たくさん食べては嘔吐するようになった.
最近立ちくらみもある.身長155cm,体重32.5kg.血圧94/52mmHg.血液所見:赤血球323万,Hb
11.2g/dL,Ht 32%,白血球2,700.血清生化学所見:総蛋白6.3g/dL,AST 28単位,ALT 16単位,Na
1 3 3 m Eq/L , K 3 .6 m Eq/L , Cl 8 9 m Eq/L .TSH 3 .8 μU/m L (基準0 .2 ~4 .0 ), T 37 0 n g / dL ( 基準8 0 ~
220),T4 6μg/dL(基準5~12).
最も適切な対応はどれか.
a 中心静脈栄養による体重増加
b 食行動改善による体重増加
c 昇圧薬による低血圧改善
d 制吐薬による嘔吐改善
e ホルモン補充による甲状腺機能改善

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U10 小児精神疾患

小児精神疾患

自閉スペクトラム症
・ICD-10では自閉症,Asperger症候群などに分類される (DCM-5では自閉スペクトラム症として統合).
自閉症 (ICD-10)
・乳幼児期に発覚することが多く,男児に多い.
・主症状

対人的相互作用の障害 言語発達障害 ※ サヴァン症候群


乳幼児期から抱かれるのを嫌がる 発語の遅れ 知的障害や発達障害が
ある者のうち,ごく特定の
人見知りをしない,母親の後追いがない 反響言語 (オウム返し) 分野に限って優れた能力を
視線を合わせない
発揮する者の症状を指す.
同年代の子に関心を示さない 活動・興味の極端な限定
特定の物事への異常な執着
・知的発達障害がみられることが多い
常同行動
・感覚の過敏,多動,チックなどを伴うことがある

・治療:対人スキルの訓練,認知行動療法
・治療:親への心理的サポート

Asperger症候群
・自閉症と異なり,言語の遅滞や知能低下はない.
・診断補助として知能検査を行うことがある.

注意欠陥多動性障害 (ADHD)
・不注意 (集中困難),多動性,衝動性が主要症状である 【治療】
・成人になると不注意・衝動性のみが残ることが多い. ・心理社会的な介入:気を散らせる情報を少なくする
・男児に圧倒的に多い ・薬物療法:メチルフェニデート
・脳内のドパミン及びノルアドレナリン系の
・機能低下が原因と考えられている.

※ Tourette症候群 :
選択緘黙
・特定の生活領域でのみ自発的な発語が困難になる状態 【治療】
・幼児期 (3歳前後) から発症し, ・無理に喋らせず,
・小学校に入学する頃に気づかれることが多い. ・言語以外のコミュニケーションを試みる
・女児に多い. ・非言語的精神療法 (箱庭療法,絵画療法,遊戯療法 など),
・言語の理解に大きな障害はなく, ・行動療法
・不安・緊張から心因性に発語が障害される.

チック症
・運動または音声チックが1年以上続く. Tourette症候群
・(突発的で急速な不随意運動・発声) ・複数の運動チック・音声チックが
・一時的・部分的にのみ随意的に抑制できる ・同時に1年以上継続して存在.
※ 一過性チック障害:チックの期間が1年未満. ・強迫性障害・ADHDとの合併 多
※ 一過性チック障害:多くは自然軽快.男児に多い. ・10~20%に汚言症がみられる.
・治療:抗精神病薬
【治療】
受容的・指示的に接する
※ 指摘すると悪化する

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U10 小児精神疾患

問題1 99A6
5 歳 の 男 児 . 会 話 が 成 立 し な い こ と を 心 配 し た 母 親 に 連 れ ら れ て 来 院 し た . 乳 児 期 か ら 喃 語 が 少 な く ,視 線
が合わなかった.3歳児健康診査では運動発達に問題はないが,言葉の遅れを指摘された.母親によると,着
衣,道順および物の並び方がいつもと違うと興奮して暴れ,水に触って奇声をあげるという.診察中,問いか
けには答えず,鉄道の駅名を次々に言いながら回転椅子を回し続けている.
最も考えられるのはどれか.
a 小児自閉症
b 知的発達障害
c パニック障害
d Asperger症候群
e 注意欠陥多動性障害

問題2 107I4
自閉症について誤っているのはどれか.
a 精神遅滞を伴う.
b 感覚過敏を伴う.
c 3歳までにほぼ症状が出そろう.
d 言葉の出現と共に意思伝達の障害は改善する.
e 日常の習慣が変更されることに強い抵抗を示す.

問題3 100A5
10歳の男児.小学校で他の児童とうまく遊べないことを母親が心配して来院した.乳児のころはおとなし
く,3歳児健康診査で言葉の遅れは指摘されなかった.幼稚園では一人遊びが多かった.運動は苦手である
が,プロ野球が好きで選手の背番号を全て記憶している.冗談は通じずクラスで笑いものになることがある.
最も考えられるのはどれか.
a 選択緘黙
b 行為障害
c 小児自閉症
d Asperger症候群
e 注意欠陥多動性障害〈ADHD〉

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U10 小児精神疾患

問題4 102G64-66
次の文を読み,64~66の問いに答えよ.
21歳の男性.「就職など,将来のことが心配である」という訴えで来院した.
現病歴:大学卒業を控え,就職活動でいろいろな企業の面接を受けた.しかし面接担当者の前では恐怖感が
あり声が出なかった.
出生・発達歴:在胎38週,自然分娩で出生した.手先は不器用であったが,言語発達の遅れはなかった.幼
小児期は周りの人と視線が合わず,独り遊びが多かった.小学校では,プロ野球選手の背番号や経歴につい
て非常に興味を持ち「プロ野球博士」と言われていた.小学校,中学校,高校では運動が苦手で,いじめられ
たり,からかわれたりすることが多かった.その後現役で希望の大学の工学部に入学した.友達は少なく恋
愛経験もない.
既往歴:特記すべきことはない.
現 症:意識は清明.身長172cm,体重55kg.体温36.1℃.脈拍76/分,整.血圧120/78mmHg.診察室
では不安な様子で下を向き視線を合わせない.

[G 0 6 4 ]
この患者に認められるのはどれか.2つ選べ.
a 知能障害
b 睡眠障害
c 記憶障害
d 社会性の障害
e 関心・行動の制限

[G 0 6 5 ]
診断に最も有用な検査はどれか.
a 心理検査
b 脳波検査
c 脳脊髄液検査
d 脳SPECT
e 頭部単純MRI

[G066]
最も考えられるのはどれか.
a 行為障害
b 小児自閉症
c 統合失調症
d Asperger症候群
e 注意欠陥多動性障害〈ADHD〉

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U10 小児精神疾患

問題5 109A54
8歳の男児.落ち着きのなさを主訴に母親に連れられて来院した.幼児期から落ち着きのなさが認められ,
遊びでも順番やルールを守ることができなかった.授業中に席を離れることがあり,家では宿題を嫌がって
なかなかやらない.成績は中程度であり,身体所見に異常を認めない.
まず行うべき対応として適切なのはどれか.
a 薬物療法を導入する.
b 問題行動には厳しく叱責する.
c 教室全体が見えるように一番後ろに座らせる.
d 集中可能な持続時間を考慮して課題に取り組ませる.
e 母親に対して大人になれば改善することを説明する.

問題6 102A7
注意欠陥多動性障害〈ADHD〉について正しいのはどれか.
a 小児の約0.5%にみられる. b 女児に多い.
c 知的障害が合併する. d 脳内ドパミン神経系の異常がみられる.
e 副腎皮質ステロイドが有効である.

問題7 107G16
注意欠陥多動性障害にみられる症状のうち,注意欠陥と考えられる訴えはどれか.
a 「順番を待つことが苦手だ」 b 「ささいなことで気が散りやすい」
c 「椅子に座っていても手足を動かしてしまう」 d 「小学3年生になるのに自分の名前が書けない」
e 「学校の持ち物が気になり何度も確認してしまう」

問題8 106A50
9歳の男児.学校で教師や生徒と会話をしないことを指摘され,心配した両親に伴われて来院した.幼稚園
の年長のころから,話しかけられてもうなずく程度となり,発語が乏しくなったという.家庭では幼少時か
ら現在まで,家族と普通に会話している.生育歴は言葉の発達が少し遅れた程度で,目立った問題はなかっ
た.成績は中位である.身体診察所見に異常を認めない.
最も考えられるのはどれか.
a 吃音症 b 自閉症 c 学習障害 d 行為障害 e 選択緘黙

問題9 91F33
6歳の男児.小学校入学後数ヵ月くらいから,目をパチパチしたり,顔をしかめたり,首と肩とをしきりに動
かすことが目立ってきたため来院した.遊びに夢中になっているときや眠っているときには認められない.
注意されるとしばらくの間止まっている.担任の先生から「行儀が悪い」といつも注意されている.性格は
明るく友達が多い.神経質で几帳面なところがある.
対応として適切なのはどれか.
a 児童の動作を口やかましく注意しない. b 児童に対しカウンセリングを行う.
c 脳波検査を行う. d 入院させる.
e ハロペリドール内服を指示する.
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U10 小児精神疾患

問題10 107I44
10歳の男児.わいせつな言葉を口走ることを主訴に両親に伴われて来院した.5歳ころから瞬目,肩をすく
める,首振り及び咳払いなどの突発的かつ律動的で反復する運動が出現し,軽快と増悪とを繰り返してきた.
最近,主訴の症状が出現した.特記すべき既往歴はない.神経学的な所見に異常を認めない.
この患児について正しいのはどれか.
a 親の過干渉が主な原因である.
b 異常な運動は睡眠中ほぼ消失する.
c 置かれた状況による症状の変動は少ない.
d 成人まで症状が軽快せずに持続することが多い.
e ごく短時間でも自分で症状を止めることはできない.

問題11 112D4
Tourette症候群について正しいのはどれか.
a 乳児期に発症する.
b 発達の退行を伴う.
c 音声チックを認める.
d 6ヵ月以内に症状は消失する.
e 場面による症状の変動を認めない.

問題12 105D35
15歳の男子.不登校を心配した母親に伴われて来院した.10歳時に急に首を傾けたり,顔をしかめたり,咳
払いや「オッ」という声を発作的に発したりするようになった.自分では制御できずに卑猥な言葉も発する
ようになった.緊張すると顔しかめや発声の発作が増えるため,学校では奇異な目で見られ,いじめられた.
2年前から欠席が目立ち始め,1ヵ月前から不登校となった.身体所見に異常を認めない.尿,血液および血
液生化学所見に異常を認めない.頭部CTと脳波とに異常を認めない.
治療薬として適切なのはどれか.
a L-dopa
b 炭酸リチウム
c パロキセチン
d ハロペリドール
e メチルフェニデート

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U11 パーソナリティ障害

パーソナリティ障害
・ある人の認知,感情,対人関係機能,衝動の制御能力が,
・その人の所属する社会で求められる平均的なものに比べ
・著しく偏っているため,社会生活上の困難を生じる場合をいう.
・DSM-5では10類型に分けられているが,
・臨床の場で診断される頻度が最も高いのは境界性パーソナリティ障害である.

境界性パーソナリティ障害
【臨床像】
・自己像・感情・対人関係の不安定,強い衝動性が特徴
・若年女性に多い
・自己同一性の障害があり,慢性的な空虚感,無力感を抱いている.
・他者に対する評価がコロコロ変わり,対人関係も不安定.
・見捨てられることに対し強い不安を持っている.
・自己破壊的行為 (浪費,性的逸脱,薬物乱用,浪費)に陥ることもある.
・気分障害や摂食障害の併存が多い.

【治療】
長期にわたる精神療法と薬物療法

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U11 パーソナリティ障害

問題1 99H6
25歳の未婚女性.過量服薬のため救急車で搬送された.これまでも慢性の抑うつ状態の中で死にたいとし
きりに訴え,手首を切るなどの自傷行為や家族の目の前で車に飛び込もうとする行動がみられていた.こう
した衝動行為の後にはイライラ感が減少するという.気分がよいときは相手には極端な好意を寄せてつきあ
うかと思うと,些細な行き違いから急に怒りだしては相手をひどく責めることがたびたびあった.また,男
女関係ではこれまで同棲しては別れるということを3回繰り返し,仕事も転職を繰り返して,現在は無職であ
る.会話は普通にできるが,家庭内葛藤が強い.
最も考えられるのはどれか.
a パニック障害
b 境界性人格障害
c 気分循環性障害
d 気分変調性障害
e 統合失調感情障害

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U 解答一覧

U01 せん妄・アルコール関連障害 U02 統合失調症


問題番号 国試番号 解答 正答率 問題番号 国試番号 解答 正答率
1 100C28 a - 1 100H31 e -
100C29 d -
2 111I29 b,d 76.0%
100C30 b -
3 102A5 a,d -
2 112B31 d 75.3%
4 112D35 c 92.5%
3 111E13 b 74.8%
5 112E15 c 95.7%
4 107B49 a 80.9%
6 112F15 d 89.3%
107B50 a 99.8%
7 112F37 d,e 94.1%
107B51 c 89.9%
8 105A23 c 98.0%
5 107H31 d 95.7%
9 99D84 c -
107H32 d 85.8%
10 104E59 b 80.1%
6 109B44 b 96.9%
11 108A39 a 92.6%
7 104A59 a 78.6%
12 110D44 c 97.2%
8 101F7 a,b -
13 110D16 c,d 77.9%
9 95G3 a -
14 108G52 c 98.5%
10 96C13 c -
15 106B47 a,c 96.9%
96C14 d -
16 107G40 a 95.8%
96C15 a,c -
17 112F46 c 93.4%
11 109I2 c 97.1%
18 95H13 c -
12 112A63 b,c 86.1%
95H14 c -
13 110I29 c 18.8%
95H15 a,e -
14 106D15 b,c 99.6%

15 112E12 c 93.9%
U03 気分障害
16 106I46 d 81.7%
問題番号 国試番号 解答 正答率
17 108D1 c 76.6%
1 111G56 a 84.1%
18 97G107 d,e -
2 100G113 a -
19 98G102 c -
3 100A4 d -
20 103B16 b 95.1%
4 112E8 b 99.0%
21 110I52 e 93.2%
5 101F8 a -

6 93B66 b -

7 110I34 d,e 97.9%

8 108I60 c 99.9%

9 107G31 b 89.5%

10 110I69 d 57.4%

11 109I3 a 66.3%

12 108D9 b 42.1%

13 102A28 b -

14 111A14 a,c 87.4%

15 96D2 a,e -

16 107I20 d 99.8%

17 109D23 c 92.1%

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U 解答一覧

U04 神経症 5 112A26 d 84.6%


問題番号 国試番号 解答 正答率 6 111I41 d 38.4%
1 96A3 d,e - 7 107A23 e 82.5%
2 109F12 a 64.8%

3 112A42 e 99.5%
U08 認知症
4 92F33 a,b,e -
問題番号 国試番号 解答 正答率
5 101G3 b -
1 106G52 e 61.6%
6 106I32 b,e 67.4%
2 97G57 c -
7 111D54 a,e 66.1%
3 107A23 e 82.5%
8 103A49 c 57.2%
4 105D22 c 87.4%
9 106D12 c 58.7%
5 112D46 c 65.9%
10 110I37 d,e 92.4%

11 102A6 e -
U09 摂食障害
12 96D3 e -
問題番号 国試番号 解答 正答率
13 102G60 a - 1 105D55 a,c,d 66.7%
14 110G43 a 99.1% 2 103I10 a,b,e 83.7%
15 99E7 b - 3 108D19 a,d,e 50.9%
16 104A15 c 32.5% 4 112D71 a,b 74.4%
17 99C20 e - 5 94F33 a,d,e -
18 102A29 e - 6 104D19 e 81.3%
19 105I24 c 97.3% 7 98A4 b -
20 107D22 a 95.4%

U10 小児精神疾患
U05 心理検査 問題番号 国試番号 解答 正答率
問題番号 国試番号 解答 正答率 1 99A6 a -

1 111G9 a 65.6% 2 107I4 d 82.2%

2 106E36 b,e 39.8% 3 100A5 d -

3 112F8 c 82.2% 4 102G64 d,e -

4 105G41 b 27.1% 102G65 a -

102G66 d -

U06 薬物依存 5 109A54 d 70.3%

問題番号 国試番号 解答 正答率 6 102A7 d -

1 101G59 c,e - 7 107G16 b 89.0%

2 96H75 a - 8 106A50 e 89.6%

3 102I38 d - 9 91F33 a -

4 107A20 b,c,e 74.8% 10 107I44 b 76.3%

11 112D4 c 97.7%

U07 睡眠障害 12 105D35 d 90.7%

問題番号 国試番号 解答 正答率


1 112A6 b 92.0% U11 小児精神疾患
2 107I3 c 79.0% 問題番号 国試番号 解答 正答率
3 96A5 d,e - 1 99H6 b -

4 110I68 b 92.3%

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